説明

楽器および遠隔操作部材

【課題】楽器本来の演奏性をもって、携帯情報端末機器から楽音を良好に発生させて演奏を楽しむことができる楽器、およびその楽器に用いられる遠隔操作部材を提供する。
【解決手段】演奏に応じて楽音を選択する鍵盤部2を有し、この鍵盤部2の演奏操作に応じてスピーカ部から楽音を発生する楽器本体1と、入力表示部15bのタッチ入力操作に応じて情報を表示すると共にスピーカ部から音を発生する携帯情報端末機器15と、楽器本体1の鍵盤部2の演奏操作に応じて携帯情報端末機器15の入力表示部15bをタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材16と、を備える。従って、楽器本体1の鍵盤部2を操作して携帯情報端末機器15のスピーカ部から楽音を発生させる際に、フレキシブルな遠隔操作部材16によって携帯情報端末機器15の入力表示部15bを楽器本体1の鍵盤部2の操作に応じてタッチ操作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍵盤楽器、管楽器、弦楽器などの楽器、およびその楽器に用いられる遠隔操作部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、楽器本体に設けられた鍵盤部の各鍵を押鍵操作すると、その押鍵操作に応じて楽器本体内のスイッチがそれぞれオンし、このスイッチのオン信号に基づいて楽器本体内に設けられたスピーカ部から楽音を発生するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−214569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような鍵盤楽器では、鍵盤部の各鍵を押鍵操作してスピーカ部から楽音を発生させて演奏を楽しむことができても、携帯型の情報端末機器であって入力表示部のタッチ入力操作に応じて情報を表示すると共にスピーカ部から音を発生するタッチ入力方式の携帯情報端末機器を楽器本体に着脱可能に装着し、この装着された携帯情報端末機器の入力表示部を鍵盤部の各鍵の押鍵操作に応じてタッチ操作することにより、携帯情報端末機器のスピーカ部から楽音を発生させて演奏を楽しむことはできない。
【0005】
この場合、携帯情報端末機器は、入力表示部に鍵盤部の各鍵を表示させ、この表示された鍵盤部の各鍵を演奏に応じて押圧操作することにより、楽音を発生させることができても、携帯情報端末機器の入力表示部に表示された鍵盤部の各鍵を押鍵操作しても、鍵盤楽器の鍵のような鍵ストロークがないため、鍵盤楽器のようなリアルな鍵タッチが得られず、演奏性に劣る。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、楽器本来の演奏性をもって、携帯情報端末機器から楽音を良好に発生させて演奏を楽しむことができる楽器、およびその楽器に用いられる遠隔操作部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、演奏に応じて楽音を選択する操作部を有し、この操作部の演奏操作に応じてスピーカ部から楽音を発生する楽器本体と、入力表示部のタッチ入力操作に応じて情報を表示すると共にスピーカ部から音を発生する携帯情報端末機器と、前記楽器本体の前記操作部の演奏操作に応じて前記携帯情報端末機器の前記入力表示部をタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材と、を備えていることを特徴とする楽器である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、楽器本体の操作部を操作して携帯情報端末機器のスピーカ部から楽音を発生させる際に、フレキシブルな遠隔操作部材によって携帯情報端末機器の入力表示部を楽器本体の操作部の操作に応じてタッチ操作することができる。このため、楽器本体の操作部によるリアルな演奏操作ができるので、楽器本来の演奏性をもって、携帯情報端末機器から楽音を良好に発生させて演奏を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1を示した平面図である。
【図2】図1に示された鍵盤楽器のA−A矢視における拡大断面図である。
【図3】図2に示された鍵盤楽器の機器装着部に装着された携帯情報端末機器を示した正面図である。
【図4】図2に示された鍵盤楽器内に組み込まれた遠隔操作部材を一部省略して示した拡大断面図である。
【図5】図4に示された遠隔操作部材の伝達線材の要部を示し、(a)はその伝達線材のチューブを示した要部の拡大断面図、(b)はその伝達線材の伝達ワイヤーを示した要部の拡大断面図である。
【図6】図2に示された鍵盤楽器において、遠隔操作部材の入力操作部とこれに対応する鍵との対応状態を示した要部の拡大断面図である。
【図7】図6に示された遠隔操作部材の入力操作部が取り付けられる箇所における鍵盤シャーシの要部を示した拡大平面図である。
【図8】図2に示された鍵盤楽器において、遠隔操作部材の出力操作部とこれに対応する携帯情報端末機器との対応状態を断面で示した要部の拡大斜視図である。
【図9】図1に示された鍵盤楽器の回路構成を示したブロック図である。
【図10】この発明を管楽器に適用した実施形態2を示した断面図である。
【図11】図10に示された管楽器において、楽器本体の機器装着部に携帯情報端末機器を装着した状態を示した要部の拡大断面図である。
【図12】図11に示された管楽器において、楽器本体の機器装着部から携帯情報端末機器を取り外した状態を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、図1〜図9を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1には、鍵盤部2が設けられている。この鍵盤部2は、図2に示すように、下部ケースを兼ねる鍵盤シャーシ3と、この鍵盤シャーシ3上に並列に配列させた状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵4とを備えている。
【0011】
この場合、鍵盤シャーシ3上には、図1および図2に示すように、並列に配列された複数の鍵4における鍵配列方向の両側に配置されると共に、複数の鍵4の各後部(図2では右側部)を覆って配置される上部ケース5が設けられている。これにより、鍵盤部2は、複数の鍵4が上方に露出した状態で楽器本体1内に設けられている。また、この上部ケース5の両側部には、図1に示すように、スピーカ部6が設けられており、この上部ケース5の中間部には、後述するスイッチ部7および機器装着部8が設けられている。
【0012】
ところで、鍵盤部2の各鍵4は、図1および図2に示すように、白鍵4aおよび黒鍵4bを有し、その各後端部にそれぞれ肉厚の薄い屈曲部4cが設けられ、この各屈曲部4cが鍵配列方向に連続する連結部4dにそれぞれ連結され、この連結部4dが鍵盤シャーシ3の後部に設けられた鍵取付部3aにビス3bによって取り付けられている。これにより、鍵盤部2の各鍵4は、各屈曲部4cを中心に上下方向に回転するように構成されている。
【0013】
この場合、各鍵4の前後方向(図2では左右方向)におけるほぼ中間部には、図2に示すように、スイッチ押圧部4eがそれぞれ設けられている。このスイッチ押圧部4eに対応する箇所の鍵盤シャーシ3上には、スイッチ基板10が鍵配列方向に沿って連続して配置されている。このスイッチ基板10上には、複数のゴムスイッチ11が複数の鍵4の各スイッチ押圧部4eにそれぞれ対応して設けられている。このゴムスイッチ11は、鍵4が押鍵操作された際に、スイッチ押圧部4eによって押圧操作されることにより、スイッチ信号を出力するように構成されている。
【0014】
また、鍵盤シャーシ3の後端下部(図2では右端下部)には、図2に示すように、回路基板12が鍵盤シャーシ3の各ボス部3cを介して設けられている。この回路基板12には、楽器全体の電子回路を制御するのに必要な各種の電子部品が搭載されている。また、この回路基板12には、スイッチ基板10、スピーカ部6、スイッチ部7がそれぞれ電気的に接続されている。
【0015】
この場合、スイッチ基板10は、図2に示すように、鍵盤シャーシ3の各ボス部3dに取り付けられた中継基板13を介して、回路基板12と接続ケーブル14によって電気的に接続されている。さらに、この回路基板12には、外部機器と電気的に接続するためのコネクタ部15cが設けられている。
【0016】
ところで、上部ケース5に設けられたスイッチ部7は、図1に示すように、電源スイッチ、音量スイッチ、音色選択スイッチなどの楽器に必要な各種のスイッチを備えているほか、モード切替スイッチ7aを備えている。このモード切替スイッチ7aは、鍵盤部2の各鍵4を押鍵操作した際に楽器本体1のスピーカ部6から楽音を発音させる通常の演奏モードと、鍵盤部2の各鍵4を押鍵操作した際に後述する携帯情報端末機器15から楽音を発音させる特殊な演奏モードとのいずれかに、切り替えるためのスイッチである。
【0017】
また、楽器本体1の機器装着部8は、図1および図2に示すように、携帯情報端末機器15が着脱可能に装着するように構成されている。この場合、携帯情報端末機器15は、図3に示すように、ほぼ四角形の厚みの薄い機器ケース15aを有し、この機器ケース15aに入力表示部15bが表面に露出して設けられていると共に、機器ケース15aの内部にスピーカ部(図示せず)が設けられた構成になっている。
【0018】
この携帯情報端末機器15の入力表示部15bは、透明なタッチパルの裏面に表示パネルを重ね合わせたものである。この入力表示部15bは、表示パネルに表示された情報が透明タッチパネルを通して外部から見え、この表示された情報を見ながら透明なタッチパネルをタッチ操作することにより、情報が入力されると共に、入力された情報に応じて表示パネルに情報が表示されるように構成されている。この場合、表示パネルは、液晶表示素子やEL(エレクトロルミネッセンス)表示素子などの平面型の表示素子からなり、電気光学的に情報を表示するように構成されている。
【0019】
また、この携帯情報端末機器15が装着する楽器本体1の機器装着部8は、図1および図2に示すように、鍵盤シャーシ3の後端部上に設けられた機器搭載部8aと、上部ケース5に設けられた機器挿入孔8bと備えている。機器搭載部8aは、図2に示すように、携帯情報端末機器15の下部を受け止めて保持するように構成されている。機器挿入孔8bは、携帯情報端末機器15を後方(図2では右側)に向けて斜めに傾けた状態で、上部ケース5の上方から斜めに挿入させて機器搭載部8aに保持させるように構成されている。
【0020】
これにより、機器装着部8は、図2および図8に示すように、携帯情報端末機器15の下部を機器搭載部8aで保持すると共に、携帯情報端末機器15の中間部を機器挿入孔8bで保持することにより、携帯情報端末機器15の入力表示部15bが上方を向くように、携帯情報端末機器15を後方(図2では右側)に向けて斜めに傾けた状態で着脱可能に装着し、この状態で携帯情報端末機器15の上部が上部ケース5の上方に傾いて突出するように構成されている。
【0021】
この場合、楽器本体1内には、図2に示すように、楽器本体1の鍵盤部2における各鍵4の演奏操作に応じて、携帯情報端末機器15の入力表示部15bをタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材16が、各鍵4にそれぞれ対応して設けられている。
【0022】
この遠隔操作部材16は、図4に示すように、フレキシブルなチューブ18内に伝達ワイヤー19が移動可能に設けられた伝達線材17と、この伝達線材17の一端部(図4では左端部)に設けられて伝達ワイヤー19を移動させるための入力操作部20と、伝達線材17の他端部(図4では右端部)に設けられ、且つ伝達ワイヤー19の移動に連動して伝達線材17の他端部から衝撃吸収性をもって出没する出力操作部21と、を備えている。
【0023】
伝達線材17のチューブ18は、図5(a)に示すように、アルミニウムなどの金属線を螺旋状に巻いた螺旋コイル18aと、この螺旋コイル18aの外周面を覆って設けられたウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂からなる保護コート18bとを備えている。これにより、このチューブ18は、その軸方向に伸縮することがなく、軸方向と直交する方向に自由に屈曲するように構成されている。また、伝達線材17の伝達ワイヤー19は、図5(b)に示すように、細い金属線を組み紐状に組み上げたものであり、チューブ18と同様、軸方向に伸縮することがなく、軸方向と直交する方向に自由に屈曲するように構成されている。
【0024】
入力操作部20は、図4および図6に示すように、伝達線材17のチューブ18の一端部(図4では左端部)に取り付けられた入力ホルダ部22と、伝達線材17の伝達ワイヤー19の一端部19a(図4では左端部)に設けられて入力ホルダ部22内にスライド可能に配置された入力押圧部23と、入力ホルダ部22内に設けられて入力押圧部23を入力ホルダ部22内から外部に向けて押し出すように付勢する入力付勢部24とを備えている。
【0025】
この場合、入力ホルダ部22は、図4に示すように、円筒状に形成され、伝達線材17側に位置する一端部側(図4では右端部)の内面に雌ねじ部22aが形成され、この雌ねじ部22aが伝達線材17のチューブ18の一端部における外周面に固着された入力取付部25の雄ねじ部25aに螺着するように構成されている。また、この入力ホルダ部22の内部におけるほぼ中間部には、鍔状のストッパ部22bが環状に形成されている。さらに、伝達線材17と反対側に位置する入力ホルダ部22の他端部側(図4では左端部)の外周面には、入力取付溝22cが環状に設けられている。
【0026】
入力押圧部23は、図4に示すように、入力ホルダ部22の内径よりも少し小さい外径の円柱状に形成され、その外端部に鍔部23aが外周方向に突出して形成された構成になっている。これにより、入力押圧部23は、その中心部に伝達ワイヤー19の一端部19aが挿入されて固定され、この状態で鍔部23aと反対側に位置する部分が入力ホルダ部22内にスライド可能に挿入されると共に、鍔部23aが入力ホルダ部22の外端部に接離可能に当接するように構成されている。
【0027】
入力付勢部24は、図4に示すように、コイルばねなどのばね部材であり、入力押圧部23が挿入される入力ホルダ部22内における入力押圧部23と伝達線材17のチューブ18の一端部(図4では左端部)との間に、それぞれワッシャ24aを介して配置され、この状態で入力押圧部23を伝達ワイヤー19と共に入力ホルダ部22内から押し出す方向、つまり伝達ワイヤー19の一端部19aの前方(図4では左方向)に向けて押し出しように付勢するように構成されている。
【0028】
すなわちこの入力付勢部24は、その内部に伝達ワイヤー19が軸方向に沿って挿入され、この状態で外端部が入力押圧部23の内端面にワッシャ24aを介して弾接し、内端部が入力ホルダ部22内の中間部に設けられた鍔状のストッパ部22bにワッシャ24aを介して弾接し、これにより入力押圧部23を入力ホルダ部22内から外部に押し出す方向に向けて付勢するように構成されている。
【0029】
ところで、入力ホルダ部22は、図4に示すように、伝達線材17のチューブ18に固着された入力取付部25の雄ねじ部25aに対する雌ねじ部22aを緩めたり、締め付けたりして、入力ホルダ部22を伝達線材17の入力取付部25に対してその軸方向に移動させることにより、入力押圧部23が入力ホルダ部22から外部に突出する長さを調整して、入力押圧部23をスライドさせるための押圧力を調整するように構成されている。これにより、入力ホルダ部22から外部に突出する入力押圧部23の長さを調整するための、入力操作部20の調整部が構成されている。
【0030】
一方、出力操作部21は、図4に示すように、伝達線材17の他端部(図4では右端部)に位置するチューブ18に設けられた出力ホルダ部26と、伝達線材17の他端部に位置する伝達ワイヤー19の他端部19bに取り付けられて出力ホルダ部26内を移動するスライド部27と、出力ホルダ部26内に設けられてスライド部27を出力ホルダ部26内から外部に向けて押し出す方向に付勢する出力付勢部28とを備えている。
【0031】
また、この出力操作部21は、図4に示すように、出力ホルダ部26内にスライド可能に配置され、外端部が出力ホルダ部26内から外部に突出した状態でスライド部27のスライド動作に応じてスライドする操作接触部29と、スライド部27によって操作接触部28が押し出される押出力を緩衝して操作接触部28を弾力的に押し出すための緩衝部材30とを更に備えている。
【0032】
この場合、出力ホルダ部26は、図4に示すように、円筒状に形成され、伝達線材17側に位置する一端部側(図4では右端部)の内面に雌ねじ部26aが形成され、この雌ねじ部26aが伝達線材17のチューブ18の他端部(図4では右端部)における外周面に固着された出力取付部31の雄ねじ部31aに螺着するように構成されている。また、伝達線材17と反対側に位置する出力ホルダ部26の他端部側(図4では左端部)における内周端部には、抜け止め用の突起部26bが環状に設けられており、その外周面には、出力取付溝26cが環状に設けられている。
【0033】
スライド部27は、図4に示すように、出力ホルダ部26の内径よりも少し小さい外径の円柱状に形成され、その中心部に伝達ワイヤー19の他端部19b(図4では右端部)が挿入されて固定された構成になっている。これにより、スライド部27は、出力ホルダ部26内にスライド可能に挿入され、伝達ワイヤー19の移動に連動して出力ホルダ部26内をスライドするように構成されている。
【0034】
出力付勢部28は、図4に示すように、コイルばねなどのばね部材であり、出力ホルダ部26内におけるスライド部27と伝達線材17のチューブ18の他端部(図4では右端部)との間にそれぞれワッシャ28aを介して配置されている。この場合、出力付勢部28は、その内部に伝達ワイヤー19が軸方向に沿って挿入され、この状態で外端部がスライド部27の内端面にワッシャ28aを介して弾接し、内端部が伝達線材17のチューブ18の他端部にワッシャ28aを介してワッシャ28aを介して弾接するように構成されている。
【0035】
これにより、出力付勢部28は、図4に示すように、スライド部27を出力ホルダ部26内から外部に押し出す方向に向けて付勢することにより、入力付勢部24と共に伝達ワイヤー19の弛みを防ぐように構成されている。この場合、出力付勢部28は、その付勢力が入力付勢部24の付勢力と同じか、それよりも少し弱く形成され、これにより入力付勢部24と出力付勢部28との両方の付勢力が釣り合ったニュートラル状態を維持するように構成されている。
【0036】
操作接触部29は、図4に示すように、出力ホルダ部26における抜け止め用の突起部26bの内径よりも少し小さい外径の円柱状に形成され、その内端部に抜け止め用の鍔部29aが環状に設けられ、外端部である先端部にゴムやエラストマーなどの弾性材料からなる弾力部32が設けられ、この弾力部32がスライド部27のスライド移動に伴って伝達線材17のチューブ18の他端部(図4では右端部)から出没方向に突出するように構成されている。
【0037】
緩衝部材30は、図4に示すように、スライド部27の押出力を操作接触部29に弾力的に伝達する第1付勢部材33と、この第1付勢部材33の付勢力を更に緩和して操作接触部29に弾力的に伝達する第2付勢部材34とを備えている。第1付勢部材33は、コイルばねなどのばね部材であり、出力ホルダ部26内におけるスライド部27と操作接触部29との間に配置され、操作接触部29に対するスライド部27の押出力を緩和するように構成されている。
【0038】
また、第2付勢部材34は、図4に示すように、コイルばねなどのばね部材であり、操作接触部29の抜け止め用の鍔部29aと出力ホルダ部26の抜け止め用の突起部26bとの間に位置する操作接触部29の外周に配置され、操作接触部29に対するスライド部27の押出力が第1付勢部材33によって緩和された上、更に操作接触部29に対する押出力を緩和することにより、衝撃吸収性をもって操作接触部29の弾力部32を押し出すように構成されている。すなわち、この第2付勢部材34は、その付勢力である弾性力が第1付勢部材33の付勢力である弾性力よりも弱く形成されている。
【0039】
この場合にも、出力ホルダ部26は、図4に示すように、伝達線材17のチューブ18に固着された出力取付部30の雄ねじ部30aに対する雌ねじ部26aを緩めたり、締め付けたりして、出力ホルダ部26を伝達線材17の出力取付部30に対してその軸方向に移動させることにより、操作接触部29が出力ホルダ部26から突出する長さを調整して、操作接触部29の押出力を調整するように構成されている。これにより、出力ホルダ部26から突出する操作接触部29の長さを調整するための、出力操作部21の調整部が構成されている。
【0040】
そして、このような遠隔操作部材16は、図4に示すように、入力操作部20の入力押圧部23が押圧操作されると、入力付勢部24と出力付勢部28との両方の付勢力のバランスが崩れて、伝達線材17の伝達ワイヤー19が入力押圧部23によって押されると共に出力付勢部28の付勢力によってチューブ18内を移動し、この伝達ワイヤー19の移動に伴って出力操作部21のスライダ部27が出力ホルダ26内から押し出される方向に移動するように構成されている。
【0041】
また、この遠隔操作部材16は、図4に示すように、スライダ部27が押し出される方向に移動すると、操作接触部29が緩衝部材30を介して押し出される方向に移動し、この操作接触部29の外端部に設けられた弾力部32が出力ホルダ部26内から外部に向けて弾力的に押し出されるように構成されている。すなわち、緩衝部材30は、操作接触部29に対するスライド部27の押出力が第1付勢部材33によって緩和された上、更に操作接触部29に対する押出力を緩和することにより、衝撃吸収性をもって操作接触部29の弾力部32を弾力的に押し出すように構成されている。
【0042】
ところで、このような遠隔操作部材16は、図2に示すように、伝達線材17が鍵盤シャーシ3の下側に配置された状態で、伝達線材17の一端部(図4では左側部)に位置する入力操作部20が鍵4の前部(図4では左側部)に対応する鍵盤シャーシ3の前部に取り付けられ、伝達線材17の他端部(図4では右側部)に位置する出力操作部21が機器装着部8の前側近傍に位置する鍵盤シャーシ3に取り付けられている。
【0043】
この場合、遠隔操作部材16は、図2に示すように、白鍵用と黒鍵用との2種類に分かれて各鍵4ごとにそれぞれ配置されている。すなわち、白鍵用の遠隔操作部材16は、図2および図6に示すように、その入力操作部20が白鍵4aの前部内に設けられた操作突起部4fに対応した状態で鍵盤シャーシ3に取り付けられている。
【0044】
すなわち、鍵盤シャーシ3には、図6および図7に示すように、複数の入力取付孔36が白鍵4aの操作突起部4fにそれぞれ対応して設けられている。この入力取付孔36は、図7に示すように、入力操作部20の操作押圧部23および入力ホルダ部22が挿入する大径孔部36aと、入力ホルダ部22の入力取付溝22cが挿入する小径孔部36bとを有し、これらが連続して形成されている。
【0045】
これにより、白鍵用の入力操作部20は、図7に示すように、操作押圧部23および入力ホルダ部22を鍵盤シャーシ3の前部に設けられた入力取付孔36の大径孔部36aに下側から挿入させて入力ホルダ部22の入力取付溝22cに対応させ、この状態で入力ホルダ部22を入力取付孔36の小径孔部36bに向けてスライドさせると、小径孔部36bの縁部に入力取付溝22cが挿入することにより、入力取付溝22cに取り付けられている。
【0046】
このため、この白鍵用の入力操作部20は、図2、図6および図7に示すように、鍵盤シャーシ3に入力ホルダ部22が垂直に起立した状態で取り付けられると共に、操作押圧部23が白鍵4aの操作突起部4fの下側に対応して配置され、この状態で白鍵4aが押鍵操作された際に、その白鍵4aの操作突起部4fによって、操作押圧部23が押圧操作されるように構成されている。
【0047】
また、この白鍵用の遠隔操作部材16は、図2および図8に示すように、その出力操作部21が機器装着部8の前側近傍(図2では左側近傍)に位置した状態で鍵盤シャーシ3に取り付けられている。すなわち、鍵盤シャーシ3には、図2に示すように、鍵盤シャーシ3の下側から挿入して上方に突出する挿入孔37が、鍵盤部2の各鍵4に対応して設けられている。
【0048】
また、鍵盤シャーシ3には、図2および図8に示すように、出力取付部38が機器装着部8の前側近傍に起立した状態で鍵配列方向に沿って連続して形成されている。この出力取付部38には、出力操作部21の出力ホルダ部26の出力取付溝26aが挿入する溝部38aが、携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された鍵盤表示部の白鍵表示に対応して設けられている。
【0049】
これにより、白鍵用の出力操作部21は、図8に示すように、出力ホルダ部26を鍵盤シャーシ3の挿入孔37に下側から挿入させて上方に突出させ、この突出した出力ホルダ部26を出力取付部38の出力取付溝26aの上方に対応させ、この状態で出力ホルダ部26の出力取付溝26aが出力取付部38の溝部28aの縁部に挿入することにより、出力取付部38に取り付けられている。
【0050】
このため、この白鍵用の出力操作部21は、図2および図8に示すように、鍵盤シャーシ1に出力ホルダ部26がほぼ水平な状態で取り付けられると共に、操作接触部29の弾力部30が機器装着部8に装着された携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された鍵盤表示部の白鍵表示に対応した状態で、携帯情報端末機器15の入力表示部15bに接離可能に接触するように構成されている。
【0051】
一方、黒鍵用の遠隔操作部材16は、図2および図5に示すように、その入力操作部20が黒鍵4bの前部内に設けられた操作突起部4gに対応した状態で、鍵盤シャーシ3に取り付けられている。すなわち、鍵盤シャーシ3には、図8に示すように、黒鍵4bの操作突起部4gに対応する箇所に一段高い取付台座部39が上方に突出して設けられており、この取付台座部39には、白鍵4aの場合と同様、大径孔部36aと小径孔部36bとを有する入力取付孔36が設けられている。
【0052】
これにより、黒鍵用の入力操作部20は、図7に示すように、操作押圧部23および入力ホルダ部22を鍵盤シャーシ3の取付台座部39に設けられた入力取付孔36の大径孔部36aに下側から挿入させて入力ホルダ部22の入力取付溝22cに対応させ、この状態で入力ホルダ部22を入力取付孔36の小径孔部36bに向けてスライドさせると、小径孔部36bの縁部に入力取付溝22cが挿入することにより、入力取付孔36に取り付けられている。
【0053】
このため、この黒鍵用の入力操作部20も、図2、図6および図7に示すように、鍵盤シャーシ1に入力ホルダ部22が垂直に起立した状態で取り付けられると共に、操作押圧部23が黒鍵4bの操作突起部4gの下側に対応して配置され、この状態で黒鍵4bが押鍵操作された際に、その黒鍵4bの操作突起部4gによって、操作押圧部23が押圧操作されるように構成されている。
【0054】
また、この黒鍵用の遠隔操作部材16は、図2および図8に示すように、その出力操作部21が機器装着部8の前側近傍(図2では左側近傍)に位置した状態で鍵盤シャーシ3に取り付けられている。すなわち、鍵盤シャーシ3には、白鍵用の遠隔操作部材16と同様、鍵盤シャーシ3の下側から挿入して上方に突出する挿入孔37が各鍵4に対応して設けられている。
【0055】
また、鍵盤シャーシ3には、白鍵用の遠隔操作部材16と同じ出力取付部38が、機器装着部8の前側近傍に起立した状態で鍵配列方向に沿って連続して形成されている。この出力取付部38には、出力操作部21の出力ホルダ部26の出力取付溝26aが挿入する溝部38bが、白鍵4aに対応する溝部38aよりも高い位置に設けられている。
【0056】
これにより、黒鍵用の出力操作部21は、白鍵用の遠隔操作部材16と同様、出力ホルダ部26を鍵盤シャーシ3の挿入孔37に下側から挿入させて上方に突出させ、この突出した出力ホルダ部26を出力取付部38の出力取付溝26aの上方に対応させ、この状態で出力ホルダ部26の出力取付溝26aが出力取付部38の溝部38bの縁部に挿入することにより、白鍵用の出力ホルダ部26よりも高い位置で、出力取付部38に取り付けられている。
【0057】
このため、この黒鍵用の出力操作部21は、白鍵用の遠隔操作部材16と同様、鍵盤シャーシ1に出力ホルダ部26がほぼ水平な状態で、白鍵用の出力ホルダ部26よりも高い位置に取り付けられると共に、操作接触部29の弾力部30が機器装着部8に装着された携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された鍵盤表示部の黒鍵に対応した状態で、携帯情報端末機器15の入力表示部15bに接離可能に接触するように構成されている。
【0058】
次に、図9のブロック図を参照して、鍵盤楽器の回路構成について説明する。
この鍵盤楽器の回路構成は、楽器本体1の回路全般を制御するCPU(中央演算処理装置)40と、予め定められたプログラムおよび入力されたデータを格納するメモリ部41と、音量、音色、モード切替などの各種のスイッチを備えたスイッチ部7と、各鍵4の押鍵操作に応じてオン信号を出力する鍵盤部2と、CPU40からの指示に基づいて音源データを生成する音源部42と、この音源部42で生成された音源データに基づいて楽音データを生成するサウンドシステム43とを備え、これらがバスライン44で接続されている。
【0059】
この場合、サウンドシステム43は、音源部42からの音源データに基づいて生成した楽音データをスピーカ部6に与えて、このスピーカ部6から楽音を放音させる。また、このサウンドシステム43は、携帯情報端末機器15などの外部機器の楽音データをコネクタ部15cから取り込み、この取り込んだ楽音データに基づいて楽器本体1のスピーカ部6から楽音を放音させる。
【0060】
次に、この鍵盤楽器の作用について説明する。
通常の鍵盤楽器として使用する場合には、まず、スイッチ部7のモード切替スイッチ7aを通常の演奏モードに切り替える。この状態で、鍵盤部2の各鍵4を押鍵操作すると、押鍵操作された鍵4のスイッチ押圧部4eがスイッチ基板10のゴムスイッチ11を押圧する。このときには、鍵4の操作突起部4f、4gによって遠隔操作部材16の入力操作部20が押圧操作されて伝達線材17を介して出力操作部21を出没動作させても、モード切替スイッチ7aが通常の演奏モードに切り替わっているので、楽音の発生には関与しない。
【0061】
このように、スイッチ基板10のゴムスイッチ11が押圧されると、ゴムスイッチ11がオンしてオン信号を出力し、この出力されたオン信号に基づいてCPU40が音源部41に音源データの生成を指示し、この音源部41で生成された音源データに基づいてサウンドシステム43が楽音データを生成してスピーカ部6から楽音を放音する。これにより、鍵盤部2の各鍵4を押鍵操作して演奏を行うと、その演奏に応じた楽音がスピーカ部6から順次放音される。
【0062】
また、鍵盤部2の各鍵4を押鍵操作した際に携帯情報端末機器15から楽音を発音させる場合には、スイッチ部7のモード切替スイッチ7aを操作して特殊な演奏モードに切り替え、楽器本体1の機器装着部8に携帯情報端末機器15を装着する。このときには、携帯情報端末機器15の入力表示部15bに鍵盤表示部を表示させ、この状態で携帯情報端末機器15を楽器本体1の機器装着部8に上方から挿入させて装着する。
【0063】
すると、携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された鍵盤表示部の各鍵にそれぞれ遠隔操作部材16の各出力操作部21が対応する。すなわち、携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された鍵盤表示部の各鍵のうち、入力表示部15bに表示された鍵盤表示部の白鍵には白鍵用の遠隔操作部材16の各出力操作部21が対応し、入力表示部15bに表示された鍵盤表示部の黒鍵には黒鍵用の遠隔操作部材16の各出力操作部21が対応する。
【0064】
この状態で、楽器本体1の鍵盤部2の各鍵4を押鍵操作すると、押鍵操作された鍵4のスイッチ押圧部4eがスイッチ基板10のゴムスイッチ11を押圧すると共に、鍵4の操作突起部4f、4gが遠隔操作部材16の入力操作部20を押圧操作する。このときには、スイッチ基板10のゴムスイッチ11が鍵4のスイッチ押圧部4eによって押圧されてオンしても、モード切替スイッチ7aが特殊な演奏モードに切り替わっているので、楽器本体1のスピーカ部6から楽音を発生することはない。
【0065】
このように、鍵4が押鍵操作されると、鍵4の操作突起部4f、4gによって遠隔操作部材16の入力操作部20が押圧操作されて伝達線材17を介して出力操作部21を出没動作させ、これにより出力操作部21の操作接触部29が、楽器本体1の機器装着部8に装着された携帯情報端末機器15の入力表示部15bをタッチ操作する。
【0066】
すなわち、鍵4の操作突起部4f、4gによって遠隔操作部材16の入力操作部20が押圧操作される際には、入力操作部20の入力押圧部23が入力ホルダ部22内に押し込まれて伝達線材17の伝達ワイヤー19の一端部19aを押すと、入力操作部20の入力付勢部24と出力操作部21の出力付勢部28との両方の付勢力のバランスが崩れ、出力付勢部28が伝達ワイヤー19の他端部19bを引っ張る。これにより、伝達ワイヤー19がチューブ18内を移動して、伝達ワイヤー19の他端部19bに取り付けられた出力操作部21のスライド部27が押し出される方向に移動する。
【0067】
このときには、伝達ワイヤー19の一端部19aが入力付勢部24によって入力操作部20の入力押圧部23側に付勢され、伝達ワイヤー19の他端部19bが出力付勢部28によって出力操作部21のスライド部27側に付勢されていることにより、伝達ワイヤー19がチューブ18内で弛むことなく、ニュートラル状態で張り渡されているので、伝達ワイヤー19の一端部19aが押されると、伝達ワイヤー19の他端部19bが出力付勢部28によって引っ張られ、スライド部27が瞬時に押し出される方向に移動する。
【0068】
このように、出力操作部21のスライド部27が押し出される方向に移動すると、操作接触部29が緩衝部材30によって緩衝されながら出力ホルダ部26内から押し出される方向に移動し、操作接触部28の外端部の弾力部32が携帯情報端末機器15の入力表示部15bに弾力的に接触する。すなわち、出力操作部21のスライド部27によって操作接触部28が押される際には、スライド部27の押出力が、緩衝部材30の第1付勢部材33によって緩衝されると共に、緩衝部材30の第2付勢部材34によっても更に緩衝される。
【0069】
このため、操作接触部28は、衝撃吸収性をもって押し出されるので、携帯情報端末機器15の入力表示部15bを傷つけることなく、操作接触部28の外端部の弾力部32を携帯情報端末機器15の入力表示部15bに弾力的に接触させることができる。これにより、鍵4の押鍵操作に応じて遠隔操作部材16の出力操作部21の操作接触部29が携帯情報端末機器15の入力表示部15bをタッチ操作することができ、このタッチ操作された携帯情報端末機器15のスピーカから押鍵操作された鍵4に応じた楽音を発生させることができる。
【0070】
すなわち、鍵盤部2の白鍵4aが押鍵操作された際には、これに対応する白鍵用の遠隔操作部材16の入力操作部20が押圧操作されるので、この白鍵用の遠隔操作部材16における出力操作部21の操作接触部29が携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された白鍵に対応する箇所をタッチ操作することができ、これにより携帯情報端末機器15のスピーカ部から押鍵操作された白鍵4aに対応する楽音を発生させることができる。
【0071】
同様に、鍵盤部2の黒鍵4bが押鍵操作された際には、これに対応する黒鍵用の遠隔操作部材16の入力操作部20が押圧操作されるので、この黒鍵用の遠隔操作部材16における出力操作部21の操作接触部29が携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された黒鍵に対応する箇所をタッチ操作することができ、これにより携帯情報端末機器15のスピーカ部から押鍵操作された黒鍵4bに対応する楽音を発生させることができる。
【0072】
ところで、このように携帯情報端末機器15を楽器本体1の機器装着部8に装着した状態で、携帯情報端末機器15を接続ケーブル46によって楽器本体1のコネクタ部15cに接続した場合には、携帯情報端末機器15から楽音情報をサウンドシステム43に取り込むことができ、この取り込んだ楽音情報に基づいて楽器本体1のスピーカ部6から楽音を発生させることができる。
【0073】
このように、この鍵盤楽器によれば、演奏に応じて楽音を選択する鍵盤部2を有し、この鍵盤部2の鍵盤操作に応じてスピーカ部6から楽音を発生する楽器本体1と、入力表示部15bのタッチ入力操作に応じて情報を表示すると共にスピーカ部から音を発生する携帯情報端末機器15と、楽器本体1の鍵盤部2の鍵盤操作に応じて携帯情報端末機器15の入力表示部15bをタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材16と、を備えていることにより、楽器本来の演奏性をもって携帯情報端末機器15から楽音を良好に発生させて演奏を楽しむことができる。
【0074】
すなわち、この鍵盤楽器では、楽器本体1の鍵盤部2を鍵盤操作して携帯情報端末機器15のスピーカから楽音を発生させる際に、フレキシブルな遠隔操作部材16によって携帯情報端末機器15の入力表示部15bを楽器本体1の鍵盤部2の鍵盤操作に応じてタッチ操作することができる。このため、楽器本体1の鍵盤部2によるリアルな演奏操作ができ、楽器本体1の鍵盤部2における鍵盤操作による鍵タッチ感を楽しみながら、携帯情報端末機器15のスピーカ部からの楽音を聴くことができるので、楽器本来の演奏性をもって携帯情報端末機器15から楽音を良好に発生させて演奏を楽しむことができる。
【0075】
この場合、楽器本体1には、携帯情報端末機器15を着脱可能に装着する機器装着部8が設けられており、遠隔操作部材16は、楽器本体1内における鍵盤部2と機器装着部8との間に設けられ、且つ機器装着部8に装着された携帯情報端末機器15の入力表示部15bを弾力的にタッチ操作する構成であることにより、楽器本体1に対する携帯情報端末機器15の装着性が良いばかりか、携帯情報端末機器15を楽器本体1の機器装着部8に装着するだけで、鍵盤部2の鍵盤操作に応じて携帯情報端末機器15の入力表示部15bを遠隔操作部材16によって確実に且つ良好にタッチ操作することができる。
【0076】
また、遠隔操作部材16は、フレキシブルなチューブ18内に伝達ワイヤー19が移動可能に設けられた伝達線材17と、この伝達線材17の一端部に設けられて伝達ワイヤー19を押圧操作に応じて移動させるための入力操作部20と、伝達線材17の他端部に設けられて伝達ワイヤー19の移動に連動して伝達線材17の他端部から衝撃吸収性をもって出没する出力操作部21と、を備えていることにより、入力操作部20と出力操作部21とが離れていても、入力操作部20の押圧操作に応じて出力操作部21を確実に且つ良好に出没させることができる。
【0077】
この場合、入力操作部20は伝達線材17の伝達ワイヤー19の一端部19aをその一端部側に向けて付勢する入力付勢部24を備え、出力操作部21は伝達ワイヤー19の他端部19bをその他端部側に向けて付勢する出力付勢部28を備え、伝達ワイヤー19は入力付勢部24と出力付勢部28との両方の付勢力によって弛むことなくニュートラル状態で引っ張られていることにより、入力操作部20側が押されて伝達ワイヤー19の一端部19aが押されると、入力付勢部24と出力付勢部28との両方の付勢力のバランスが崩れるので、伝達ワイヤー19をその他端部19b側に向けて速やかに移動させることができ、これにより入力操作部20の押圧操作を出力操作部21に瞬時に伝達することができる。
【0078】
また、出力操作部21は、伝達線材17の他端部に位置するチューブ18に設けられた出力ホルダ部26と、伝達線材17の伝達ワイヤー19の他端部19bに取り付けられて出力ホルダ部26内を移動するスライド部27と、出力ホルダ部26内にスライド可能に配置され、外端部が出力ホルダ部26内から外部に突出した状態でスライド部27のスライド動作に応じてスライドする操作接触部29と、スライド部27によって操作接触部29が押し出される押出力を緩衝して操作接触部29を弾力的に押し出すための緩衝部材30と、を備えていることにより、出力操作部21の操作接触部29が入力操作部20の押圧操作に応じて押し出される際に、衝撃吸収性をもって操作接触部29を押し出すことができる。
【0079】
すなわち、出力操作部21は、そのスライド部27が押し出される際に、操作接触部29が緩衝部材30によって緩衝されながら出力ホルダ部26内から押し出されるので、衝撃吸収性をもって操作接触部29を押し出すことができる。このため、操作接触部28を携帯情報端末機器15の入力表示部15bに弾力的に接触させることができ、これにより携帯情報端末機器15の入力表示部15bを傷つけることがなく、操作接触部28によって携帯情報端末機器15の入力表示部15bを良好にタッチ操作することができる。
【0080】
この場合、緩衝部材30は、スライド部27の押出力を操作接触部29に弾力的に伝達する第1付勢部材32と、この第1付勢部材33の付勢力を更に緩和して操作接触部29に弾力的に伝達する第2付勢部材34とを備えていることにより、スライド部27が押し出し方向に移動して、操作接触部29が緩衝部材30によって緩衝されながら出力ホルダ部26内から押し出される際に、スライド部27の押出力を、緩衝部材30の第1付勢部材33によって緩衝することができると共に、緩衝部材30の第2付勢部材34によっても更に緩衝することができるので、衝撃吸収性をもたせて確実に且つ良好に操作接触部29を弾力的に押し出すことができる。
【0081】
また、出力操作部21は、操作接触部29の外端部における出力ホルダ部26内から外部に突出する突出長さを調整する調整部を備えていることにより、操作接触部29の先端部の押出力を調整することができる。すなわち、この調整部は、出力ホルダ部26の内周面に設けられた雌ねじ部26aと、伝達線材17のチューブ18に固着された出力取付部30の雄ねじ部30aとからなり、この雄ねじ部30aに対する雌ねじ部26aを緩めたり、締め付けたりして、出力ホルダ部26を伝達線材17の出力取付部30に対してその軸方向に移動させることにより、操作接触部29が出力ホルダ部26から突出する長さを調整して、操作接触部29の押出力を正確に且つ確実に調整することができる。
【0082】
さらに、操作接触部29の外端部には、弾性変形可能な弾力部32が設けられていることにより、操作接触部28が携帯情報端末機器15の入力表示部15bに接触する際に、弾力部32を携帯情報端末機器15の入力表示部15bに弾力的に接触させることができるので、これによっても携帯情報端末機器15の入力表示部15bを傷つけることがなく、操作接触部28の弾力部32によって、より一層、携帯情報端末機器15の入力表示部15bを良好にタッチ操作することができる。
【0083】
(実施形態2)
次に、図10〜図12を参照して、この発明を管楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図9に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この管楽器は、図10に示すように、サクスホーンであり、湾曲した筒状の楽器本体50を備えている。この楽器本体50は、上部が細く、下部に向かうに従って次第に太くなり、その下部が上側に向けて湾曲しながら更に太くなる筒状に形成されている。
【0084】
この楽器本体50の上端部には、図10に示すように、マウスピース51が設けられており、楽器本体50の上下に位置する前側部(図10では左側部)には、複数の操作部52が設けられている。この複数の操作部52は、それぞれピストン部である。また、楽器本体50の内部における下部には、回路基板53が設けられていると共に、スピーカ部54が設けられている。このスピーカ部54は、接続ケーブル55によって回路基板53と電気的に接続されている。
【0085】
また、この楽器本体50における下側の先端部の内部、つまり下側から上側に向けて湾曲した楽器本体50の内部には、図10〜図12に示すように、機器装着部56が設けられている。この機器装着部56は、実施形態1と同様、携帯情報端末機器15が着脱可能に装着するように構成されている。この場合、機器装着部56の下部には、台座部57が上下方向に移動可能に設けられている。
【0086】
この台座部57は、図11および図12に示すように、その下部にコイルばねなどのばね部材58が設けられている。これにより、台座部578は、携帯情報端末機器15が楽器本体50の機器装着部56に装着された際に、ばね部材58のばね力に抗して押し下げられ、また携帯情報端末機器15が楽器本体50の機器装着部56から取り外された際に、ばね部材58のばね力によって押し上げられるように構成されている。
【0087】
また、この台座部57の一側部(図12では右側部)には、図11および図12に示すように、スイッチ基板60が起立した状態で設けられている。このスイッチ基板60における携帯情報端末機器15の入力表示部15bと反対側に位置する面には、複数のスイッチ部61が楽器本体50の各操作部52にそれぞれ対応して設けられている。この複数のスイッチ部61は、タッチスイッチであり、フレキシブルなフイルム配線基板62によって回路基板53と電気的に接続されている。
【0088】
ところで、楽器本体50の内部には、図10に示すように、楽器本体50に設けられた複数の操作部52の演奏操作に応じて、スイッチ基板60の各スイッチ部61と携帯端末機器15の入力表示部15bとのいずれか一方をタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材16が複数の操作部52にそれぞれ対応して設けられている。この遠隔操作部材16は、実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0089】
すなわち、この遠隔操作部材16は、実施形態1と同様、フレキシブルなチューブ18内に伝達ワイヤー19が移動可能に設けられた伝達線材17と、この伝達線材17の一端部(図10では右上部)に設けられて伝達ワイヤー19を移動させるための入力操作部を兼ねる楽器本体1の操作部52と、伝達線材17の他端部(図10では左下部)に設けられ、且つ伝達ワイヤー19の移動に連動して伝達線材17の他端部から衝撃吸収性をもって出没する出力操作部21と、を備えている。
【0090】
この場合、操作部52は、図4に示した実施形態1の入力操作部20と同様、伝達線材17のチューブ18の一端部(図4では左端部)に取り付けられた入力ホルダ部22と、伝達線材17の伝達ワイヤー19の一端部に設けられて入力ホルダ部22内にスライド可能に配置された入力押圧部23と、入力ホルダ部22内に設けられて入力押圧部23を入力ホルダ部22内から外部に向けて押し出すように付勢する入力付勢部24とを備えている。これにより、操作部52は、入力ホルダ部22が楽器本体50に固定され、この状態で入力押圧部23がピストン部として楽器本体50の外部に出没可能に突出するように構成されている(図4参照)。
【0091】
また、出力操作部21は、図4に示した実施形態1と同様、伝達線材17の他端部に位置するチューブ18に設けられた出力ホルダ部26と、伝達線材17の他端部に位置する伝達ワイヤー19に取り付けられて出力ホルダ部26内を移動するスライド部27と、出力ホルダ部26内に設けられてスライド部27を出力ホルダ部26内から外部に向けて押し出す方向に付勢する出力付勢部28と、出力ホルダ部26内にスライド可能に配置され、先端部が出力ホルダ部26内から外部に突出した状態でスライド部27のスライド動作に応じて弾力的にスライドする操作接触部29と、スライド部27によって操作接触部28が押し出される押出力を緩衝する緩衝部材30とを備えている(図4参照)。
【0092】
これにより、出力操作部21は、図10に示すように、その出力ホルダ部26が楽器本体50内に設けられた取付部63に取り付けられ、この状態で楽器本体1の操作部52が操作された際に、操作接触部29の外端部に設けられた弾力部32(図4参照)が、機器装着部56のスイッチ基板60のスイッチ部61、または機器装着部56に装着された携帯情報端末機器15の入力表示部15bをタッチ操作するように構成されている。
【0093】
次に、この管楽器の作用について説明する。
通常の管楽器として使用する場合には、まず、機器装着部56から携帯情報端末機器15を取り外す。すると、図12に示すように、機器装着部56の台座部57がばね部材58のばね力によって押し上げられ、これに伴ってスイッチ基板60が上側に移動して、スイッチ基板60の複数のスイッチ部61が複数の遠隔操作部材16の各出力操作部21にそれぞれ対応する。
【0094】
この状態で、マウスピース51に口を当てて息を吹き込みながら、複数の操作部52を演奏に応じて操作する。すると、操作部53の操作に応じて遠隔操作部材16の伝達ワイヤー19を介して出力操作部21の操作接触部29が押し出され、この操作接触部29の弾力部32がスイッチ基板60のスイッチ部61をタッチ操作する。これにより、スイッチ部61がオン信号を出力し、そのオン信号によって楽音データが作成され、この楽音データに基づいてスピーカ部54から楽音が放音される。
【0095】
また、携帯情報端末機器15を用いて管楽器を演奏する場合には、まず、携帯情報端末機器15の入力表示部15bにサクスホーンのピストン部に相当する複数の操作部を表示させ、この携帯情報端末機器15を楽器本体50の機器装着部56に装着する。すると、図11に示すように、機器装着部56の台座部57がばね部材58のばね力に抗して押し下げられる。
【0096】
これにより、スイッチ基板60が下側に移動して遠隔操作部材16の出力操作部21から離脱し、この遠隔操作部材16の出力操作部21に携帯情報端末機器15の入力表示部15bに対面し、この入力表示部15bに表示された複数の操作表示部に複数の遠隔操作部材16の各出力操作部21がそれぞれ対応する。
【0097】
この状態で、マウスピース51に口を当てて息を吹き込みながら、複数の操作部52を演奏に応じて操作する。すると、操作部52の操作に応じて遠隔操作部材16の伝達ワイヤー19を介して出力操作部21の操作接触部29が押し出され、この操作接触部29の弾力部32が携帯情報端末機器15の入力表示部15bに表示された操作表示部をタッチ操作する。これにより、タッチ操作された携帯情報端末機器15のスピーカ部から押圧操作された操作部52に応じた楽音を発生させることができる。
【0098】
このように、この管楽器によれば、演奏に応じて楽音を選択する複数の操作部52を有し、この複数の操作部52の演奏操作に応じてスピーカ部54から楽音を発生する楽器本体50と、入力表示部15bのタッチ入力操作に応じて情報を表示すると共にスピーカ部から音を発生する携帯情報端末機器15と、楽器本体1の操作部52の演奏操作に応じて携帯情報端末機器15の入力表示部15bをタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材16と、を備えていることにより、楽器本来の演奏性をもって携帯情報端末機器15から楽音を良好に発生させて演奏を楽しむことができる。
【0099】
すなわち、この管楽器では、楽器本体50の操作部52を演奏操作して携帯情報端末機器15のスピーカから楽音を発生させる際に、フレキシブルな遠隔操作部材16によって携帯情報端末機器15の入力表示部15bを楽器本体50の操作部52の押圧操作に応じてタッチ操作することができる。このため、楽器本体50の複数の操作部52によるリアルな演奏操作ができ、楽器本体50の複数の操作部52における演奏操作によるタッチ感を楽しみながら、携帯情報端末機器15のスピーカ部からの楽音を聴くことができるので、楽器本来の演奏性をもって携帯情報端末機器15から楽音を良好に発生させて演奏を楽しむことができる。
【0100】
この場合、楽器本体50には、携帯情報端末機器15を着脱可能に装着する機器装着部56が設けられており、遠隔操作部材16は、楽器本体50内における操作部52と機器装着部56との間に設けられ、且つ機器装着部56に装着された携帯情報端末機器15の入力表示部15bを弾力的にタッチ操作する構成であることにより、楽器本体50に対する携帯情報端末機器15の装着性が良いばかりか、携帯情報端末機器15を楽器本体50の機器装着部56に装着するだけで、操作部52の押圧操作に応じて携帯情報端末機器15の入力表示部15bを遠隔操作部材16によって確実に且つ良好にタッチ操作することができる。
【0101】
また、遠隔操作部材16は、フレキシブルなチューブ18内に伝達ワイヤー19が移動可能に設けられた伝達線材17と、この伝達線材17の一端部に設けられて伝達ワイヤー19を押圧操作に応じて移動させるための入力操作部である操作部52と、伝達線材17の他端部に設けられて伝達ワイヤー19の移動に連動して伝達線材17の他端部から衝撃吸収性をもって出没する出力操作部21と、を備えていることにより、実施形態1と同様、操作部52と出力操作部21とが離れていても、操作部52の演奏操作に応じて出力操作部21を確実に且つ良好に出没させることができる。
【0102】
この場合にも、操作接触部29の外端部には、弾性変形可能な弾力部32が設けられていることにより、実施形態1と同様、操作接触部28が携帯情報端末機器15の入力表示部15bに接触する際に、弾力部32を携帯情報端末機器15の入力表示部15bに弾力的に接触させることができるので、これによっても携帯情報端末機器15の入力表示部15bを傷つけることがなく、操作接触部28の弾性部32によって、より一層、携帯情報端末機器15の入力表示部15bを良好にタッチ操作することができる。
【0103】
なお、上記実施形態2では管楽器としてサクスホーンに適用した場合について述べたが、必ずしもサクスホーンである必要はなく、例えばチューバ、フルート、ピッコロ、縦笛、横笛、尺八などの管楽器にも広く適用することができる。
【0104】
また、上記実施形態1、2では、鍵盤楽器と管楽器とに適用した場合について述べたが、必ずしも鍵盤楽器や管楽器である必要はなく、例えばギター、マンドリン、三味線などの弦楽器にも適用することができる。この場合には、ギターなどの弦楽器の指板に対応する箇所に遠隔操作部材16の入力操作部20を配置するように構成すれば良い。
【0105】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0106】
(付記)
請求項1に記載の発明は、演奏に応じて楽音を選択する操作部を有し、この操作部の演奏操作に応じてスピーカ部から楽音を発生する楽器本体と、入力表示部のタッチ入力操作に応じて情報を表示すると共にスピーカ部から音を発生する携帯情報端末機器と、前記楽器本体の前記操作部の演奏操作に応じて前記携帯情報端末機器の前記入力表示部をタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材と、を備えていることを特徴とする楽器である。
【0107】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の楽器において、前記楽器本体には前記携帯情報端末機器を着脱可能に装着する機器装着部が設けられており、前記遠隔操作部材は、前記楽器本体内における前記操作部と前記機器装着部との間に設けられ、且つ前記機器装着部に装着された前記携帯情報端末機器の前記入力表示部を弾力的にタッチ操作することを特徴とする楽器である。
【0108】
請求項3に記載の発明は、フレキシブルなチューブ内に伝達ワイヤーが移動可能に設けられた伝達線材と、この伝達線材の一端部に設けられて前記伝達ワイヤーを押圧操作に応じて移動させるための入力操作部と、前記伝達線材の他端部に設けられて前記伝達ワイヤーの移動に連動して前記伝達線材の前記他端部から衝撃吸収性をもって出没する出力操作部と、を備えていることを特徴とする遠隔操作部材である。
【0109】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の遠隔操作部材において、前記入力操作部は前記伝達線材の前記伝達ワイヤーの前記一端部をその一端部側に向けて押し出す方向に付勢する入力付勢部を有し、前記出力操作部は前記伝達ワイヤーの前記他端部をその他端部側に向けて押し出す方向に付勢する出力付勢部を有し、前記伝達ワイヤーは前記入力付勢部と前記出力付勢部との両方の付勢力によって弛むことなく、ニュートラル状態で引っ張られていることを特徴とする遠隔操作部材である。
【0110】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の遠隔操作部材において、前記出力操作部は、前記伝達線材の前記他端部に位置する前記チューブに設けられた出力ホルダ部と、前記伝達線材の前記伝達ワイヤーの前記他端部に取り付けられて前記出力ホルダ部内を移動するスライド部と、前記出力ホルダ部内にスライド可能に配置され、外端部が前記出力ホルダ部内から外部に突出した状態で前記スライド部のスライド動作に応じてスライドする操作接触部と、前記スライド部によって前記操作接触部が押し出される押出力を緩衝して前記操作接触部を弾力的に押し出すための緩衝部材と、を備えていることを特徴とする遠隔操作部材である。
【0111】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の遠隔操作部材において、前記緩衝部材は、前記スライド部の押出力を前記操作接触部に弾力的に伝達する第1付勢部と、この第1付勢部の付勢力を更に緩和して前記操作接触部に弾力的に伝達する第2付勢部とを備えていることを特徴とする遠隔操作部材である。
【0112】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の遠隔操作部材において、前記操作接触部の前記外端部における前記出力ホルダ部内から外部に突出する突出長さを調整する調整部を備えていることを特徴とする遠隔操作部材である。
【0113】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜請求項7のいずれかに記載の遠隔操作部材において、前記操作接触部の前記外端部には弾性変形可能な弾力部が設けられていることを特徴とする遠隔操作部材である。
【符号の説明】
【0114】
1、50 楽器本体
2 鍵盤部
4 鍵
6、54 スピーカ部
7 スイッチ部
8、56 機器装着部
10、60 スイッチ基板
11 ゴムスイッチ
12、53 回路基板
15 携帯情報端末機器
15a 入力表示部
16 遠隔操作部材
17 伝達線材
18 チューブ
19 伝達ワイヤー
19a 伝達ワイヤーの一端部
19b 伝達ワイヤーの他端部
20 入力操作部
21 出力操作部
22 入力ホルダ部
23 入力押圧部
24 入力付勢部
26 出力ホルダ部
27 スライド部
28 出力付勢部
29 操作接触部
30 緩衝部材
32 弾力部
33 第1付勢部
34 第2付勢部
52 操作部
61 スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏に応じて楽音を選択する操作部を有し、この操作部の演奏操作に応じてスピーカ部から楽音を発生する楽器本体と、
入力表示部のタッチ入力操作に応じて情報を表示すると共にスピーカ部から音を発生する携帯情報端末機器と、
前記楽器本体の前記操作部の演奏操作に応じて前記携帯情報端末機器の前記入力表示部をタッチ操作するフレキシブルな遠隔操作部材と、
を備えていることを特徴とする楽器。
【請求項2】
請求項1に記載の楽器において、前記楽器本体には前記携帯情報端末機器を着脱可能に装着する機器装着部が設けられており、前記遠隔操作部材は、前記楽器本体内における前記操作部と前記機器装着部との間に設けられ、且つ前記機器装着部に装着された前記携帯情報端末機器の前記入力表示部を弾力的にタッチ操作することを特徴とする楽器。
【請求項3】
フレキシブルなチューブ内に伝達ワイヤーが移動可能に設けられた伝達線材と、
この伝達線材の一端部に設けられて前記伝達ワイヤーを押圧操作に応じて移動させるための入力操作部と、
前記伝達線材の他端部に設けられて前記伝達ワイヤーの移動に連動して前記伝達線材の前記他端部から衝撃吸収性をもって出没する出力操作部と、
を備えていることを特徴とする遠隔操作部材。
【請求項4】
請求項3に記載の遠隔操作部材において、前記入力操作部は前記伝達線材の前記伝達ワイヤーの前記一端部をその一端部側に向けて押し出す方向に付勢する入力付勢部を有し、前記出力操作部は前記伝達ワイヤーの前記他端部をその他端部側に向けて押し出す方向に付勢する出力付勢部を有し、前記伝達ワイヤーは前記入力付勢部と前記出力付勢部との両方の付勢力によって弛むことなくニュートラル状態で引っ張られていることを特徴とする遠隔操作部材。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の遠隔操作部材において、前記出力操作部は、前記伝達線材の前記他端部に位置する前記チューブに設けられた出力ホルダ部と、前記伝達線材の前記伝達ワイヤーの前記他端部に取り付けられて前記出力ホルダ部内を移動するスライド部と、前記出力ホルダ部内にスライド可能に配置され、外端部が前記出力ホルダ部内から外部に突出した状態で前記スライド部のスライド動作に応じてスライドする操作接触部と、前記スライド部によって前記操作接触部が押し出される押出力を緩衝して前記操作接触部を弾力的に押し出すための緩衝部材と、を備えていることを特徴とする遠隔操作部材。
【請求項6】
請求項5に記載の遠隔操作部材において、前記緩衝部材は、前記スライド部の押出力を前記操作接触部に弾力的に伝達する第1付勢部と、この第1付勢部の付勢力を更に緩和して前記操作接触部に弾力的に伝達する第2付勢部とを備えていることを特徴とする遠隔操作部材。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の遠隔操作部材において、前記操作接触部の前記外端部における前記出力ホルダ部内から外部に突出する突出長さを調整する調整部を備えていることを特徴とする遠隔操作部材。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれかに記載の遠隔操作部材において、前記操作接触部の前記外端部には弾性変形可能な弾力部が設けられていることを特徴とする遠隔操作部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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