説明

楽器の音響を改善する方法

楽器において、一次音の生成に直接関与するパーツを、一次音の生成に直接関与しないパーツやコンポーネントから分離することにより、楽器の音響を改善する方法について提供する。演奏技術上の機能や視覚的な効果が主な機能であって静止した状態のパーツ(6,7)から音響的にアクティブなエリアを分離することによって、一次音への干渉や一次音の歪みの原因となる振動およびバイブレーションの放出を防止することができる。本発明においては、音の伝播を削減する素材(1)によって形成される中間層を、パーツ間を繋ぐ連結部に設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器の音響を改善する方法に関する。本発明は、特に楽器のパーツ間で伝播される音を削減する方法に関する。また、最後には、本発明による新しい種類の楽器についても提示している。
【0002】
本発明でいう楽器の「パッシブエリア」とは、音の生成に直接関与しないパーツまたはこのパーツの部分を意味する。このようなパーツとしては、例えば、グランドピアノやアップライトピアノではピアノ線が張られた金属プレート、バイオリンではネック、ティンパニでは皮が張られた胴体等が該当する。
【0003】
一方、本発明でいう楽器の「アクティブエリア」とは、音の生成に直接関与するパーツの部分のことを意味し、例えば、アップライトピアノ、グランドピアノおよびバイオリンの弦や、クラリネットのリードなどが該当する。
【0004】
また、本発明の説明に際し、「一次音」および「二次音」という概念を使用しているが、これらの概念はそれぞれ次のような意味で用いられている。一次音とは、アクティブエリアのパーツ、または、パーツにおけるアクティブエリアが振動やバイブレーションを起こすことにより生成される音、すなわち、楽器の音響構成で主要な部分を占め、楽器で必要とされる本来の音を意味する。これに対し、二次音とは、楽器のパッシブエリアにおけるパーツが振動やバイブレーションを起こすことによって生成される音を意味し、この二次音が一次音と重なることにて、全体の音響が定まるのである。
【背景技術】
【0005】
伝統的な楽器製造では、二次音が一次音に及ぼす影響は不可避的なものであり、全体音の構成上避けられないものとされてきた。
【0006】
アップライトピアノやグランドピアノの場合(図1および図2を参照)を例に説明すると分かり易い。響板13は、胴体(シェル6と側板7)の他の部分と連結し、それらの部分に音を伝達しており、同様に楽器の全パーツとも連結して音を伝達している。つまり、楽器の全パーツが、一次音、すなわち、弦、駒14および響板13にて構成されたアクティブエリアの振動によって共振することを意味する。
【0007】
同じ基本原理は他の全ての楽器にも当てはまり、例えば、弦楽器や撥弦楽器では共鳴デッキが楽器のネックと連結して音を伝え、管楽器の場合にはマウスピースが管状の楽器本体と連結していることで音が伝播され、打楽器の場合にはフレームに張られた皮を打つことにより皮と本体とが連結しているため本体へ伝達される。
【0008】
しかし、個々のパーツの伝達時間や共鳴特性が異なるため、極めて複雑な干渉や位相のずれが発生する。最終的には全体音となるが、この全体音も、響板13から発せられた一次音が大部分を占めるものの、一次音が本来持っていた純粋な透明感や躍動感は、無数の複雑な干渉によって歪められ、重なり合い、失われてしまう。
【0009】
特に、アップライトピアノやグランドピアノの製造に関しては、障害となる音響現象を取り除くための様々な試みが過去に多数行われてきた。例えば、金属プレート5に音響用の大きな穴を開け、金属プレート5の支柱を削除する方法なども実験的に行われてきた。キャスタ11や固定用下敷は、グランドピアノをフロアから離せるよう特別な設計(多くはスプリングシステムやエアクッションシステムを採用)になっている。しかし、アップライトピアノやグランドピアノの全てのコンポーネントは、基本的には互いに連結されて音を伝達する構造になっており、この点は今日に至るまで変わっていない。楽器の一次音を生成するエリアを、一次音の生成に直接関与しない全てのパーツから分離し、一次音の生成に直接関与しないパーツが振動しないようにする方法が正式に楽器に採用されたことは、過去から現在に至るまでない。専門家の間では、素材や本体を共鳴させる方法は、個々の楽器の全体音の特徴を把握する方法と考えられている。
【0010】
鍵盤やメカニズムのパーツが動く際などに付随して発生するノイズに関しても、その処理について真剣に考えられてきたのは、過去および現在においても、そうしたノイズが発生する分野に限られていた。メカニズムのノイズを低減する古典的な方法は、軟らかくて厚いフェルトクッションや、軟らかくて厚い皮のクッションなどを用いる方法である。ただし、そうした対策を施してもなお残るノイズは、音響構成上不可避な成分と考えられてきた。
【0011】
グランドピアノの場合では、棚板9(鍵盤台)の主な機能は、メカニズムの部分を安定した形で載せられるようにすることである。各種の実施例が存在するが、いずれの場合も安定感が第一で、メカニズムのノイズ対策を強化する(あるいはノイズを防止する)ことなどは従来考慮されていなかった。同じことは、グランドピアノの蓋8についても当てはまる。輝くようなポリエステルラックの光沢を維持ため、鍵盤表面の形状の安定感が第一に考慮され、層の構造は重要視されていなかった。音響工学的に、楽器の他のパーツと連結しているため共振を起こす蓋から発せられる二次音の放出などの層の構造について全く考慮されてこなかった。蓋自体の振動特性によって発生する一次音との干渉や、響板から発せられ、開けた状態の蓋で反射することにより、聴衆へ届く一次音に与える蓋の振動の影響に関しては、科学的、非科学的を問わず、避けられないものと考えられていた。以下では、この振動の影響の問題を楽器全般と関連付けて論じているが、上記のような理由から、そうした本稿の論点と同様の方法で振動の影響を回避しているグランドピアノは今日に至るまで存在してこなかった。
【0012】
この点の例外については個別に説明している。このような発明の方法では、音の伝播を削減するため、または、音の伝播を分離するため、音響インピーダンスの低い素材、すなわち、音速が遅く密度の小さい素材を使用している。
【0013】
例えば、US4607559(ARMIN RICHARD(CA))1986年8月26日では、共鳴デッキがSTYROFOAMによって本体から分離されているバイオリンが公開されている。この場合、専門家から見ると、音の伝播を削減する素材としては適切とは言い難い素材が使用されている。音響インピーダンスの低い素材、すなわち、音速が遅く密度が小さい素材が使用されていたのである。
【0014】
また、GB2285848(Boosey&HAWKES MUSICAL INSTR(GB))1995年7月26日でも、金管楽器のリターンスプリングスの振動を抑えるために、リップの薄い弾性素材が緩く埋め込まれている。使用されている素材と楽器自体のパーツとの間に存在する音響インピーダンスの差を利用し、そこで考慮されているパーツに限定されてはいるが、様々なパーツを分離する方法を発明者は考慮している。また、密度が4×10−8g/cmのSTYROFOAMのような音響インピーダンスの低い素材、すなわち、音速が遅く密度が小さい素材が使用されている。
【0015】
しかし、これらの方法では従来の楽器の音響の本質的な改善には至らなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明では、楽器の音響を本質的に改善するため、楽器内部の各種パーツ間を伝播する二次音が一次音に及ぼす悪影響を削減する方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明では、請求項1のように、密度が2.4g/cm以上であり、かつ、素材内の音速が150m/s以下である素材を用いて音の伝播を制限することにより、上述の課題を解決している。本発明の方法の好適な実施例は、請求項2ないし4で提示している。本発明の枠内で用いられている密度が2.4g/cm以上であり、かつ、素材内の音速が150m/s以下である素材は、請求項5ないし8の対象となっている。また、最後の請求項9および10では、本発明の方法に基づく楽器を請求項として提示している。
【0018】
素材内の音速が、空気中の音速である340m/sより大幅に遅い素材、特に、素材内の音速が150m/s以下であり、かつ、密度が2.4g/cm以上である素材を意図的に用いることにより運動力学的に分離している。この運動力学的分離に使用する素材内の音速は、分離すべき各パーツの音速より常に遅くなければならない。
【0019】
背景技術にて提示した先行特許と異なり、本発明の場合には具体的な方法および使用する特定の素材、すなわち、共振や音の放出が不要なパーツまたは共振や音の放出があってはならないパーツに伝わる音響エネルギを、パーツを分離することによって最小限に抑え、一次音が干渉を受けて歪み濁ったまま放出されることがないようにする素材も明示している。さらに、二次音源から発せられる音(鍵盤を叩く音やメカニック部分のノイズなど)が、その二次音源を発生させるパーツ内で広がることも防止できる。
【0020】
音の伝播を遮断する素材をパーツ間に設けてパーツを運動力学的に分離するという本発明の方法を、本出願では、「運動力学的分離」としているが、この方法によって、一次音源から生成された本来の一次音を、アクティブエリアとしてのアクティブパーツを備えた局所エリアのみに限定することが可能となる。一方、これとは対照的なのが、楽器のパッシブなパーツやコンポーネントである。これらパッシブなパーツやコンポーネントには別の機能(安定性、演奏方法および外観など)があり、音を生成するアクティブエリアと区別するため、そうしたパッシブなパーツやエリアをパッシブエリアと呼んでいる。
【0021】
したがって、本発明の運動力学的分離とは、アクティブエリアから楽器の他のパッシブエリアに音を伝えないことを意味している。また、その楽器を演奏する空間(コンサートホールおよびステージなど)のフロアに楽器をセットした場合に、その楽器の音が脚柱、キャスタおよび支柱などを介して音響工学的にフロアへ伝わることを防止することも可能である。さらには、楽器の必要とされる音を基本的に妨害する音(アップライトピアノやグランドピアノの棚板内のメカニカルノイズなど)を生成するパーツを、他のパーツから音響工学的に分離し、妨害音の放出やその楽器の全体音への影響を最小限に抑えることが可能である。
【0022】
本発明の意味における運動力学的分離に適した素材としては、例えば、ドイツのアーデルハイツドルフにあるスタンキーヴィッツ社が「Bary−X」の商品名で販売しているような、無機物充填材を含む合成樹脂マットなどであり、この合成樹脂マットは、音速が約60m/sであり、厚さ3mmの場合の重量は8kg/m(または、厚さ6mmで16kg/m)となっている。この「Bary−X」の密度は公表されているEUの安全データ表によると、2.45g/cmおよび2.7g/cmとなっており、また、音響インピーダンスは約147000Ns/mおよび約162000Ns/mとなっている。
【0023】
アップライトピアノやグランドピアノの場合、このようなプレートをアクティブエリアとパッシブエリアとの間に挿入(または接着)し、各パーツやエリアを運動力学的に完全に分離している。
【0024】
請求項7では、音の伝播を削減する素材を楽器のパーツの多層構造の間に入れる本発明の使用方法が提示されているが、この方法を用いることにより、この楽器のパーツを「音響的に静止した状態」にすることができる。すなわち、このようなパーツが楽器本体を通じて伝わった空気または到着した空気の振動によって起振されることがなく、また、一次音に悪影響を与える二次音を生成することもない。例えば、このような多層構造の間に音の伝播を削減する素材を設ける構造をグランドピアノの蓋などに採用すれば、この蓋から発せられる不要な共鳴を根本的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る方法を使用する楽器であるグランドピアノの三次元図面である。
【図2】図1で示したグランドピアノの胴体部分の図である。
【図3】響板を本体から分離する方法における構造上のバリエーションを示す断面図である。
【図4】図3と同様に、響板用のベアリングを間に設置した構造上のバリエーションを示す図である。
【図5】図3と同様に、連結部を分離する方法における構造上の可能性を示す図である。
【図6】棚板をその他の胴体部分から分離する方法における構造上の可能性を示す図である。
【図7】多層構造になっているその他のハウジングから棚板を分離する本発明の方法における可能性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面および実施例を用いて本発明の長所および特徴を詳細に説明する。
【0027】
図1および図2は、本発明に係る方法を使用する楽器であるグランドピアノとその胴体部分とだけを示した図である。
【0028】
このグランドピアノは、側板7とシェル6とから形成された主要部分であるリムにて構成されており、このリムは、脚柱10およびこの脚柱に取り付けられたキャスタ11上に設置され、また、その上部は、蓋8によって閉じられている。このリムの前面の下部には、棚板9があり、この棚板の上には弦をたたくために必要な、鍵盤(キー)およびアクションからなる一連のパーツが置かれている。このリム内には、シェル6上に膠で接着した、通常はトウヒ製の響板13の主要部分が取り付けられており、また、この響板の上には、弦が張られた通常ねずみ鋳鉄製の金属プレート5が設置され、この響板の下には胴体を補強するブレースが設置されている。このブレースと金属プレート5とはボックスアングル4にて固定され、弦と響板13とは響板13に固定された駒14によってそれぞれ連結されている。グランドピアノの前面上部には、譜面台12が取り付けられている。
【0029】
アップライトピアノやグランドピアノの場合、一次音、すなわち、本来必要とされる音は弦が振動することによって生成され、駒14を介して響板13へ伝わり、そこで増幅される。したがって、アップライトピアノやグランドピアノのアクティブエリアは、弦、駒14、響板13およびこの響板を構成するその他の全てのパーツ(リップ、クロス補強材およびエッジ補強材など)ということになる。パッシブエリアはそれ以外の全てのパーツ、すなわち楽器の本体(側板7およびシェル6)、金属プレート5、蓋8および譜面台12などである。
【0030】
本発明の方法に基づいてアクティブエリアを運動力学的に分離するには、例えば、グランドピアノの場合、響板13を多くのベアリング2で保持する必要がある。また、響板13を保持するには、運動力学的分離に適した素材1の上に響板を直接載置する(図3を参照。)か、または、シェル6の一部を分離し、その分離した部分に響板13を膠で接着する(図4を参照。)。また、コネクタ、ボルト、ピンおよびアクティブエリアとパッシブエリアとを繋ぐその他の連結部の全てに、分離用の素材にて形成されたスリーブ(「ピン」)3に挿入(図5)し、十分な分離効果が得られ、アクティブエリアとパッシブエリアとを明確に分離できるようになっている。この場合、一次音が楽器のパッシブエリアに伝わる可能性がある楽器内の全ての箇所にて、その箇所の場所や大きさに関係なく、明確に分離できるようになっている。
【0031】
アップライトピアノやグランドピアノの場合、弦の張力は金属プレート5によって受け止められている。そのため、弦と金属プレート5とを分離することは不可能である。しかし、弦と金属プレート5とがそうした状態で連結しており、弦の音響エネルギが金属プレート5を通じて楽器のその他全てのパーツへ伝播する可能性があるため、金属プレート5についてもグランドピアノの他のパッシブエリアから分離する(すなわち、金属プレート5には運動力学的な分離が本来不要ではあるが、どうしても回避できない音を同様に極力狭い局所部分に制限する)必要がある。これを実行するには、上記の例と同様に、多数のベアリングを用いるか、金属プレート5を運動力学的分離に適した分離用素材1に埋め込む(図5を参照。この場合には、金属プレート5およびボックスアングル4が響板13だけでなく、シェル6や側板7からも分離している)。金属プレート5が他のパーツから(ピン15などによって)分離できない状態で連結されている場合には、それに代わる次のパーツに運動力学的分離処理を施し、音響エネルギ的に分離していないパーツの総体ができるだけ小さくなるようにしている(図6を参照。この場合には、金属プレート5とピン15とを分離することが構造的に不可能なため、ピン15、側板7およびシェル6間がそれぞれ分離されている。)。
【0032】
鍵盤や鍵盤の背後に位置するアクションが動くために発生する不要な二次音である「メカニカルノイズ」を最初に増幅するのは、棚板9(鍵盤台)である。このメカニカルノイズを局所に制限するため、または、メカニカルノイズの音が楽器全体に拡散しないようにするため、ここでも棚板9をシェル6や側板7から運動力学的に分離し、また、分離用の素材1を一枚または複数枚挿入すること(図7を参照。)にて、棚板を多層構造にし、それによって周辺の空気から分離して、メカニカルノイズを限定的な範囲に抑えている。メカニカルノイズを抑える他の方法として、鍵盤枠に分離用素材1を埋め込む方法や、分離用素材の上にピアノのメカニズムや鍵盤枠を載せるといった方法も可能である。
【0033】
また、前記の場合と同様の方法も可能であり、音響工学的な観点からも、蓋8、譜面台12、アッパまたはロアフレーム、側板7などの他のパーツにとっても好ましい方法である。
【0034】
上記の実施例では、楽器としてアップライトピアノやグランドピアノを例にして本発明の方法を説明した。しかしながら、アクティブエリアをパッシブエリアから運動力学的に分離するという原理を適用すれば、原理的には他の全ての楽器でもアップライトピアノやグランドピアノの場合と同様に優れた音が得られる。
【0035】
サクソフォン、クラリネットおよびオーボエなどのマウスピースを備えた管楽器や、リードを備えた他の全楽器の場合には、マウスピースを楽器本体(管)から分離するといった方法も可能である。マウスピースを楽器本体から分離すれば、一次音にとって必要かつ不可欠な管内の空気柱は、速度が変化することによって増幅されることはあっても、管楽器のノイズを発生する部分(本体)にて二次音を発生して一次音と干渉を起こすことはない。
【0036】
バイオリン、チェロおよびギターなどの弦楽器や撥弦楽器の場合、シェルや指板を有するネックなどは、演奏機能や楽器の安定性の面でのみ有用とされることから、パッシブエリアに属することになる。響板と蓋とを塊柱15で連結するコネクタは、本来の音響に関係する重要なパーツである。したがって、本発明の方法にて、シェル6や側板7を楽器の他のパーツから(また、チェロやコントラバスの場合には楽器のテールピンから、さらに、テールピンの下端をフロアから)運動力学的に分離し、一次音がアクティブパーツに伝わることを制限することが可能である。
【0037】
このように、楽器の一次音の生成に必要なアクティブエリアを、音響上の直接的な機能を持たない全てのパーツから、本発明の請求項に係る方法によって分離すれば、他の楽器にも自由に適用できるものである。
【符号の説明】
【0038】
1 分離用素材
2 響板ベアリング
3 分離用素材のピン
4 ボックスアングル
5 金属プレート
6 シェル
7 側板
8 蓋
9 側板(鍵盤台)
10 脚柱
11 キャスタ
12 譜面台
13 響板
14 駒
15 塊柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーツとパーツとを繋ぐ連結部に音の伝播を削減する素材にて形成された中間層を設け、音の伝播を削減する前記素材は、密度が2.0g/cm以上好ましくは2.4g/cm以上でありかつ素材内の音速が150m/s以下である
ことを特徴とする楽器のパーツ間で伝播される音を削減する方法。
【請求項2】
音の伝播を削減する素材は、密度が2.45g/cmないし2.7g/cmの範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
音の伝播を削減する素材は、楽器のアクティブパーツすなわち音の生成に直接必要なパーツと、楽器のパッシブパーツすなわち音の生成に直接必要とされないパーツとの連結部に設ける
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
音の伝播を削減する素材は、機械的に動く部分を備えたパーツと、このパーツに隣接するパーツとの間に設ける
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の方法。
【請求項5】
密度が2.4g/cm以上でありかつ素材内の音速が150m/s以下である素材を、楽器のパーツ間の連結部に中間層として使用する
ことを特徴とする楽器のパーツ間で伝播される音を削減する方法。
【請求項6】
素材の密度が2.45g/cmないし2.7g/cmの範囲内である
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
楽器を音響的な静止状態にするため、密度が2.4g/cm以上でありかつ素材内の音速が150m/s以下である素材を前記楽器のパーツの少なくとも一つの多層構造に中間層として使用する
ことを特徴とする楽器のパーツ間で伝播される音を削減する方法。
【請求項8】
素材の密度が2.45g/cmないし2.7g/cmの範囲内である
ことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも二つのパーツを有し、これらのパーツ間の連結部に密度が2.4g/cm以上でありかつ素材内の音速が150m/s以下の素材が中間層として挿入された
ことを特徴とする楽器。
【請求項10】
素材の密度が2.45g/cmないし2.7g/cmの範囲内である
ことを特徴とする請求項9記載の楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−503036(P2010−503036A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527113(P2009−527113)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058977
【国際公開番号】WO2008/028846
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(509062996)
【氏名又は名称原語表記】STEINWAY & SONS
【住所又は居所原語表記】Rondenbarg 10,22525 Hamburg,Germany
【Fターム(参考)】