説明

楽曲再生装置、楽曲再生制御方法及び楽曲再生プログラム

【課題】曲中の所望の部位を所望のタイミングで再生させたいというニーズを満足する。
【解決手段】現在時間が、目的地に到達するまでの到達予定時間から楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間を減じた再生開始時間となったこと、及び、その再生開始時間に対応する再生開始地点に車両1が到達したこと、の少なくともいずれかを再生開始条件とし、この再生開始条件が満たされたときに楽曲の再生を開始することにより、車両1が目的地に到達した際に楽曲中の曲中部位SPを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体において楽曲を再生する楽曲再生装置、楽曲再生制御方法及び楽曲再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両等の移動体には、搭乗者がその道中を楽しむために、例えばCD(Compact Disk)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体に書き込まれた楽曲を再生するための楽曲再生装置が搭載されている。従来、このような車載された楽曲再生装置を、ナビゲーション機能と連携して動作させる技術が存在している(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、ナビゲーション機能において設定された目的地に車両が近づくと、その目的地に関連付けられた楽曲が自動的に再生される。
【特許文献1】特開2001−354071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように目的地に関連付けて楽曲を再生させる場合、一般に搭乗者は、例えばその目的地の景観に曲調が合致する楽曲や、その地域に所縁のある所定の歌詞を含む楽曲等、目的地に何かしら関連性のある楽曲を再生することが考えられる。またその他にも、例えば特定の目的地を走行中に同乗者に対し特定の楽曲を聴かせたいといったような、特定の目的を持って楽曲を再生する場合なども考えられる。このような場合、搭乗者は、例えば曲中で最も盛り上がるサビ部分や所定の歌詞が含まれる部分等の曲中の所望の部位を、目的地を通過している最中に再生させたい場合が多い。すなわち、ただ楽曲が再生されるだけでは足りず、その曲中の所望の部位を所望のタイミングで再生させたいというニーズが存在する。しかしながら、特許文献1に記載のような楽曲再生装置によれば、車両が目的地に近づいた際に楽曲が曲頭から再生されるため、交通状況等によっては目的地を通過中に曲中の所望の部位が再生されるとは限らず、上述のようなニーズを必ずしも満たすことはできなかった。
【0004】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、移動体において楽曲を再生する楽曲再生装置であって、前記移動体の移動先を示す地点(以下、移動先地点と称する)、ならびに移動先地点に到達する到達予定時間を取得する取得手段と、前記移動先地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する選曲手段と、選曲された前記楽曲中の所定の部位(以下、曲中部位と称する)を特定する曲中部位特定手段と、前記到達予定時間と、前記楽曲における曲頭から前記曲中部位までの再生所要時間とに基づき、前記楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する再生開始条件設定手段と、前記再生開始条件が満たされたか否かを判定する判定手段と、前記再生開始条件が満たされたと判定された場合に、前記楽曲の再生を開始する楽曲再生手段と、を備える。
【0006】
上記課題を解決するために、請求項14記載の発明は、楽曲の再生を制御する楽曲再生制御方法であって、移動体の移動先を示す地点(以下、移動先地点と称する)、ならびに移動先地点に到達する到達予定時間を取得する取得工程と、前記移動先地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する選曲工程と、前記選曲された楽曲中の所定の部位(以下、曲中部位と称する)を特定する曲中部位特定工程と、前記到達予定時間と、前記楽曲における曲頭から前記曲中部位までの再生所要時間とに基づき、前記楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する再生開始条件設定工程と、前記再生開始条件が満たされたか否かを判定する判定工程と、前記再生開始条件が満たされたと判定された場合に、前記楽曲の再生を開始する楽曲再生制御工程と、を有する。
【0007】
上記課題を解決するために、請求項15記載の発明は、移動体の移動先を示す地点(以下、移動先地点と称する)、ならびに移動先地点に到達する到達予定時間を取得する取得工程と、前記移動先地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する選曲工程と、前記選曲された楽曲中の所定の部位(以下、曲中部位と称する)を特定する曲中部位特定工程と、前記移動体が前記目的地に到達する到達予定時間と、前記楽曲における曲頭から前記曲中部位までの再生所要時間とに基づき、前記楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する再生開始条件設定工程と、前記再生開始条件が満たされたか否かを判定する判定工程と、前記再生開始条件が満たされたと判定された場合に、前記楽曲の再生を開始する楽曲再生制御工程と、を有する楽曲再生制御方法をコンピュータに実行させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の楽曲再生装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0009】
楽曲再生装置100は、移動体としての車両1に搭載されている。この楽曲再生装置100は、CD(Compact Disk)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体16に書き込まれた楽曲を再生する楽曲再生機能と共に、現在地検出センサ22の検出結果に基づいて現在地を検出し、現在地から設定された目的地または経由地までの経路を探索するナビゲーション機能を有する。なお、以下の実施形態では、楽曲再生装置100が移動体としての車両1に搭載されたものとして説明するが、例えば、楽曲再生装置100を携帯可能な端末装置とし、移動体としての歩行者により把持されたものとしても適用可能である。
【0010】
図1に示す例では、楽曲再生装置100は、記憶装置18、演算装置20、表示制御回路14及びインターフェース6を有しており、これらはバス12により接続されている。したがって、演算装置20は、これら記憶装置18、インターフェース6及び表示制御回路14との間でデータの授受が可能な構成となっている。
【0011】
楽曲再生装置100には、ディスプレイ15が接続されている。また、楽曲再生装置100には、インターフェース6を介し、現在地検出センサ22、スピーカ18、及びタッチパネル21が接続されている。これらディスプレイ15及び現在地検出センサ22は、楽曲再生装置100の一部として構成してもよい。たとえば、楽曲に関連する映像情報が存在する場合、具体例としては、楽曲のプロモーションを示す映像情報が楽曲に関連つけて記憶媒体16に記憶されている場合、当該楽曲の再生とともに当該映像情報を再生してディスプレイ15に表示する。
【0012】
現在地検出センサ22としては、加速度センサ5、ジャイロセンサ2、車速パルス検出器3、GPS(Global Positioning System)4及び地磁気センサ11のうち、少なくともいずれか又はこれらいずれかの組み合わせを例示することができる。
【0013】
加速度センサ5は、例えば車両1の加速度及び傾斜角の少なくとも一方を検出する機能を有する。ジャイロセンサ2は、例えば車両1の移動方位の検出を行う機能を有する。このジャイロセンサ2は、車両1の方向変化に伴う角速度データを出力する角速度センサの一種である。このジャイロセンサ2は、加速度センサ5の代わりに上記傾斜角を計測しても良い。
【0014】
車速パルス検出器3は、例えば車両1の移動量や加速度を検出する機能を有する。この車速パルス検出器3は、車両1が移動中であるか或いは停止中であるかを検出し、その検出状態を出力する。この車速パルス検出器3は、車両1が移動中である場合にはこの車両1の走行速度及び移動距離に関する走行状態データを出力する機能を有する。GPS4は、複数のGPS衛星からの電波を受信して演算を行い、測位を行う機能を有する。このGPS4は、例えば緯度、経度、高度及び進行方位のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせの測位データを生成する。
【0015】
具体的には、このGPS4は、例えば同時に観測した4機の衛星までの疑似距離を測定し、これら4機の衛星までの疑似距離の差に基づいて、現在地の測位を行う機能を有する。地磁気センサ11は、地磁気に基づいて車両の絶対方位を表す角度を検出する方位検出装置の一種である。このような角度としては、例えば方位角を挙げることができる。
【0016】
記憶装置18は、ROM8、RAM9及び記憶媒体16を有する。ROM8は、後述する各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM9は、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。このRAM9は、後述するプログラム、テーブル及びデータを揮発的に記憶可能なメモリである。記憶媒体16は、上述したように、例えばCD、HDD、フラッシュメモリ等の情報記憶媒体である。この記憶媒体16は、楽曲データや地図データを書き換え可能に記憶する。
【0017】
演算装置20は、CPU7及びグラフィックコントローラ13を有する。CPU7は、上記各種のプログラムに従って各種の演算、制御を行う機能を有する。グラフィックコントローラ13は、CPU7の制御によってビデオRAM(図示せず)などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像を表示制御回路14によってディスプレイ15に表示させる機能を有する。
【0018】
具体的には、このグラフィックコントローラ13は、このCPU7の制御によって、例えば上記楽曲データに基づく曲名・歌詞等や、上記地図データに基づく電子地図をディスプレイ15に表示させたり、その電子地図上に自らの車両の位置(現在地)を表すマークを重ね合わせてマッピングさせて表示させる機能等を有する。さらに、電子地図上の目的地や経由地の位置に、その場所で再生予定である楽曲名等を重ね合わせて表示させる機能等も有する。
【0019】
スピーカ18は、CPU7の制御によって再生された楽曲音を出力する機能を有する。またタッチパネル21は、例えばディスプレイ15の表示領域の表面に沿って設けられた透明なスイッチである。このタッチパネル21は、例えばディスプレイ15の表示領域の表示物に応じて運転者や同乗者などによる接触があった場合、その接触箇所のスイッチがオンされるようになっている。
【0020】
図2は、図1に示す楽曲再生装置100において動作するソフトウェアなどの構成例を示す機能ブロック図である。なお、図2に示すソフトウェアは、CPU7が動作を制御するプログラム及びデータの一例を示している。以下、図1を参照しつつソフトウェアの構成例について説明する。
【0021】
楽曲再生装置100は、取得部30、曲調情報取得部34、選曲部35、曲中部位特定部36、再生開始条件設定部37、判定部38、楽曲再生部39、地図データベースMD及び楽曲データベースSDを有する。取得部30(取得手段に相当)は、現在地検出部31、経路探索部32、到達予定時間算出部33を有する。なお、地図データベースMD及び楽曲データベースSDを構成する地図データ及び楽曲データは、前述したように、記憶媒体16にそれぞれ記憶されている。また、楽曲データベースSDは、楽曲データの他に、各楽曲データに対応する曲調データをも有している。すなわち、楽曲データベースSDは、予め全楽曲データについて公知の曲調検出技術を用いて曲調を検出しておき、その曲調データを楽曲データに関連付けてデータベース化したものである。なお、地図データベースMD及び楽曲データベースSDの少なくともいずれかを車両外部のサーバ等が有する構成とし、無線通信等を介してそれらのデータベースからデータを取得するようにしてもよい。また、取得部30は、現在地検出部31、経路探索部32、到達予定時間算出部33を有することなく、それら各現在地検出部31、経路探索部32、到達予定時間算出部33と同等の機能を有する他の装置からそれら各機能によって得られる情報(後述する車両1の現在地や移動先地点までの経路、当該移動先地点に到達するまでの到達予定時間等)を取得するようにしてもよい。
【0022】
取得部30の現在地検出部31は、現在地検出センサ22の検出結果に基づき、車両1の現在地を検出する。取得部30の経路探索部32は、現在地検出部31で検出された現在地から、搭乗者によって設定された目的地(移動先地点に相当)までの経路を、地図データベースMDの地図データに基づき探索する。取得部30の到達予定時間算出部33は、経路探索部32によって探索された経路を経て目的地に到達する到達予定時間(時刻)を算出する。これによって、取得部30は、車両1の現在地と、現在地から目的地までの経路と、当該経路を経て目的地に到達する到達予定時間とを取得する。なお、目的地だけではなく、経路上の経由地を移動先地点として、当該経由地までの経路と、当該経路を経て経由地に到達する到達時間とを取得するようにしてもよい。
【0023】
曲調情報取得部34(曲調情報取得手段に相当)は、楽曲データベースSDより各楽曲の曲調情報を取得する。選曲部35(選曲手段に相当)は、曲調情報取得部34により取得された楽曲の曲調情報に基づき、設定された目的地や経由地に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する。例えば、目的地や経由地として海や山等のレジャー関連の行き先が設定されている場合には明るい曲調の楽曲を選曲したり、夜の時間帯のドライブであればジャズ調の楽曲を選択する。なお、このように自動的に選曲を行うのではなく、搭乗者が例えばタッチパネル21を用いる等により手動操作にて選曲を行う構成としてもよい。
【0024】
曲中部位特定部36(曲中部位特定手段に相当)は、曲調情報取得部34により取得された楽曲の曲調に基づき、選曲部35により選曲された楽曲中の所定の部位SP(以下、曲中部位SPと称する)を特定する。曲中部位SPとしては、曲中で最も盛り上がるサビ部分や、曲調が変化するAメロ、Bメロ部分等が一例として挙げられる。また、例えば特定の歌詞を含む部分等、搭乗者が任意の曲中部位SPを設定できるようにしてもよい。
【0025】
再生開始条件設定部37(再生開始条件設定手段に相当)は、曲中部位特定部36による曲中部位SPの特定結果に基づき、楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間を検出し、到達予定時間算出部33で算出した到達予定時間と、楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間とに基づき、楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する。この再生開始条件として、到達予定時間から再生所要時間を減じた再生開始時間、及び当該再生開始時間に対応する車両1の再生開始地点のうち、少なくともいずれかを設定する。
【0026】
判定部38(判定手段に相当)は、再生開始条件設定部37で設定された再生開始条件が満たされたか否かを判定する。具体的には、再生開始条件として上記再生開始時間が設定されている場合には、図示しない計時手段から取得した現在時間情報に基づき、その現在時間が再生開始時間となったか否かを判定する。また、再生開始条件として上記再生開始地点が設定されている場合には、車両1の現在地が当該再生開始地点に到達したか否かを判定する。楽曲再生部39(楽曲再生手段に相当)は、判定部38により再生開始条件が満たされたと判定された場合に、選曲部35により選曲された楽曲の再生を開始する。
【0027】
次に、以上のような一構成例である楽曲再生装置100による楽曲再生制御方法の一例について説明する。この楽曲再生制御方法は、楽曲再生プログラム(移動体用楽曲再生プログラムに相当)がCPU7において実行させる各ステップによって構成されており、次のような楽曲再生処理を含んでいる。
【0028】
図3は、楽曲再生処理の手順例を示すフローチャートである。この楽曲再生処理は、上記楽曲再生プログラムがCPU7の制御によって動作することにより実現される手順を含んでいる。
【0029】
まずステップS5では、車両1の搭乗者が例えばタッチパネル21を操作する等により、所望の目的地や経由地を設定する。
【0030】
次にステップS10では、取得部30の現在地検出部31により、現在地検出センサ22の検出結果に基づき、車両1の現在地を検出する。
【0031】
次にステップS15では、取得部30の経路探索部32により、上述したステップS10において現在地検出部31により検出された現在地から、上述したステップS5において搭乗者により設定された目的地や経由地までの経路を、地図データベースMDの地図データに基づき探索する。
【0032】
次にステップS20では、取得部30の到達予定時間算出部33により、上述したステップS15において経路探索部32により探索された経路を経て、設定された目的地や経由地に到達する到達予定時間(時刻)を算出する。
【0033】
次にステップS25では、選曲部35により、曲調情報取得部34により取得された楽曲の曲調情報に基づき、設定された目的地や経由地に関連付けて再生を行う楽曲を楽曲データベースSDの楽曲データの中から選曲する。なお、前述したように、搭乗者が手動操作により選曲できるようにしてもよい。
【0034】
次にステップS30では、曲中部位特定部36により、曲調情報取得部34により取得された楽曲の曲調情報に基づき、上述したステップS25において選曲部35により選曲された楽曲中の曲中部位SPを特定する。これにより、例えば楽曲のサビ部分や、Aメロ、Bメロ部分等が曲中部位SPとして特定される。なお、この場合において一律にサビ部分が特定されるようにしてもよいし、例えば1曲中に複数存在する曲調変化部分(サビ、Aメロ、Bメロ等)が一覧表示され、搭乗者がその中から選択できるようにしてもよい。さらには、前述したように、例えば特定の歌詞を含む部分等、搭乗者が任意の曲中部位SPを設定できるようにしてもよい。
【0035】
次にステップS35では、再生開始条件設定部37により、上述したステップS30において曲中部位特定部36により特定された曲中部位SPに基づき、楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間を検出する。
【0036】
次にステップS40では、再生開始条件設定部37により、上述したステップS20において到達予定時間算出部33により算出した到達予定時間と、上述したステップS35において検出した曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間とに基づき、楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する。なお、前述したように、この再生開始条件として、到達予定時間から再生所要時間を減じた再生開始時間、及び当該再生開始時間に対応する車両1の再生開始地点のうち、少なくともいずれかを設定する。
【0037】
次にステップS45では、上述したステップS15において経路探索部32により探索された経路に基づき、目的地や経由地までの経路案内が開始される。なおこのとき、ディスプレイ15に、経路案内のための地図データと共に、上述したステップS40において再生開始条件設定部37により設定した再生開始条件を、例えば「何時何分(再生開始時間に対応)にどこの場所(再生開始地点に対応)を通過してください」といったように表示させてもよい。
【0038】
次にステップS50では、判定部38により、上述したステップS40において設定された再生開始条件が満たされたか否かを判定する。具体的には、前述したように、再生開始条件として上記再生開始時間が設定されている場合には、図示しない計時手段から取得した現在時間がその再生開始時間となったか否かを判定する。また、再生開始条件として上記再生開始地点が設定されている場合には、現在地検出部31により検出した車両1の現在地が当該再生開始地点に到達したか否かを判定する。再生開始条件が満たされるまで本判定を繰り返し、再生開始条件が満たされた場合には、次のステップS55を実行する。なお、この再生開始時間と再生開始地点の各々は、移動先地点への到達予定時間が交通渋滞発生等の交通事情に起因して変化した場合には、当該変化した到達予定時間に応じて再生開始時間や再生開始地点を変更する。すなわち、変化した到達予定時間に対し再生所要時間を減じた再生開始時間または当該再生開始時間に対応する車両1の再生開始地点を再度設定する。ちなみに、この設定は、到達予定時間の変化の都度おこなわれる。
【0039】
ステップS55では、楽曲再生部39により、上述したステップS25において選曲部35により選曲された楽曲の再生を開始する。なお、上述したフローチャートでは記載を省略したが、経路案内中に車両1がルートを外れる等のリルート事由が発生した場合には、ステップS10に戻り、再度同様の手順を繰り返すようになっている。
【0040】
上述したような楽曲再生処理を行うことによる楽曲再生装置100の具体的な動作例としては、次のような場合が一例として挙げられる。
例えば、目的地としてテーマパークを設定した場合に、そのテーマパークのテーマ曲のサビ部分をテーマパークに到着する際に再生したり、食事をするために目的地として料理店を設定した場合に、その料理店のCMで使用されている楽曲のサビ部分を料理店に到着する際に再生する等である。
【0041】
以上のように、上記実施形態における楽曲再生装置100は、車両1(移動体に相当)において楽曲を再生する楽曲再生装置100であって、車両1の目的地や経由地(移動先地点に相当)ならびに当該目的地や経由地に到達する到達予定時間を取得する取得部30(取得手段に相当)と、当該目的地や経由地に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する選曲部35(選曲手段に相当)と、選曲された楽曲中のサビ等の所定の部位SP(曲中部位に相当)を特定する曲中部位特定部36(曲中部位特定手段に相当)と、到達予定時間と、楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間とに基づき、楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する再生開始条件設定部37(再生開始条件設定手段に相当)と、再生開始条件が満たされたか否かを判定する判定部38(判定手段に相当)と、再生開始条件が満たされたと判定された場合に、楽曲の再生を開始する楽曲再生部39(楽曲再生手段に相当)と、を備える。
【0042】
上記実施形態における楽曲再生制御方法は、車両1の目的地や経由地(移動先地点に相当)、ならびに当該目的地や経由地に到達する到達予定時間を取得するステップS5〜S20(取得工程に相当)と、当該目的地や経由地に関連付けて再生を行う楽曲を選曲するステップS25(選曲工程に相当)と、選曲された楽曲中の所定の部位SP(以下、曲中部位SPと称する)を特定するステップS30(曲中部位特定工程に相当)と、到達予定時間と、楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間とに基づき、楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定するステップS40(再生開始条件設定工程に相当)と、再生開始条件が満たされたか否かを判定するステップS50(判定工程に相当)と、再生開始条件が満たされたと判定された場合に、楽曲の再生を開始するステップS55(楽曲再生制御工程に相当)と、を有する。
【0043】
上記実施形態における楽曲再生プログラムは、車両1の目的地や経由地(移動先地点に相当)、ならびに当該目的地や経由地に到達する到達予定時間を取得するステップS5〜S20(取得工程に相当)と、当該目的地や経由地に関連付けて再生を行う楽曲を選曲するステップS25(選曲工程に相当)と、選曲された楽曲中の所定の部位SP(以下、曲中部位SPと称する)を特定するステップS30(曲中部位特定工程に相当)と、到達予定時間と、楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間とに基づき、楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定するステップS40(再生開始条件設定工程に相当)と、再生開始条件が満たされたか否かを判定するステップS50(判定工程に相当)と、再生開始条件が満たされたと判定された場合に、楽曲の再生を開始するステップS55(楽曲再生制御工程に相当)と、をコンピュータに実行させている。
【0044】
このようにすると、現在時間が、移動先地点に到達するまでの到達予定時間から楽曲における曲頭から曲中部位SPまでの再生所要時間を減じた再生開始時間となったこと、及び、その再生開始時間に対応する再生開始地点に車両1が到達したこと、の少なくともいずれかを再生開始条件とし、この再生開始条件が満たされたときに楽曲の再生を開始することにより、車両1が目的地に到達した際に楽曲中の曲中部位SPを再生することができる。これにより、曲中の所望の部位を所望のタイミングで再生させたいというニーズを満たすことができる。
【0045】
上記実施形態における楽曲再生装置100においては、取得部30は、車両1の現在地と、当該現在地から目的地や経由地までの経路と、当該経路を経て目的地や経由地に到達する到達予定時間と、を取得する。このようにすると、まず現在地を検出し、当該現在地から目的地や経由地までの経路を探索し、当該経路を経て目的地や経由地に到達するまでの到達予定時間を取得することができるので、より正確な到達予定時間を取得することができる。
【0046】
上記実施形態における楽曲再生装置100においては、移動先地点は、車両1の目的地または経由地である。このようにすると、目的地だけでなく、目的地までの途中の経由地でも、たとえば、当該経由地に見合った最適な楽曲の曲中部位の再生を行うことができるので、利便性を向上でき、たとえば、目的地までの移動中における最高のパフォーマンスを数回に亘り演じることができる。
【0047】
上記実施形態における楽曲再生装置100においては、再生開始条件設定部37は、再生開始条件として、到達予定時間から再生所要時間を減じた再生開始時間を設定し、判定部38は、現在時間が再生開始時間になったか否かを判定する。このようにすると、現在時間が再生開始時間になった時点に楽曲の再生を開始すれば、その再生開始時間から再生所要時間が経過した時点、すなわち当該楽曲の所定の部位SPの再生が開始される時点に到達予定時間となり、車両1が目的地や経由地、たとえば当該所定の部位SPの再生を開始するのに最適なシチュエーションとなる地点での楽曲再生のパフォーマンスを演じることができる。
【0048】
上記実施形態における楽曲再生装置100においては、再生開始条件設定部37は、再生開始条件として、到達予定時間から再生所要時間を減じた再生開始時間に対応する再生開始地点を設定し、判定部38は、車両1の現在地が再生開始地点に到達したか否かを判定する。このようにすると、たとえば、当該再生開始地点を地図上に表示する等して搭乗者に教えるようにすれば、搭乗者に対する楽曲再生のパフォーマンスをより向上させることができる。
【0049】
上記実施形態における楽曲再生装置100においては、楽曲の曲調情報を取得する曲調情報取得部34(曲調情報取得手段に相当)を備え、曲中部位特定部36は、取得された楽曲の曲調情報に基づき、楽曲中の所定の部位SPを特定する。このようにすると、例えば曲中で最も盛り上がるサビ部分や、曲調が変化するAメロ、Bメロ部分等を所定の部位SPとして特定し、車両1が目的地や経由地に到達した時に再生することができる。
【0050】
上記実施形態における楽曲再生装置100においては、楽曲の曲調情報を取得する曲調情報取得部34を備え、選曲部35は、取得された楽曲の曲調情報に基づき、楽曲を選曲する。このようにすると、例えば、目的地として海や山等のレジャー関連の行き先が設定されている場合には明るい曲調の楽曲を選曲したり、夜の時間帯のドライブであればジャズ調の楽曲を選択したりすることが可能である。このように、搭乗者がわざわざ選曲操作を行なわなくても、楽曲の曲調に基づいて自動的に選曲が行われるため、操作の煩わしさを減少でき、搭乗者の利便性を向上することができる。
【0051】
なお、本実施形態は、上記に限られず、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。以下、上述した実施形態と同一の構成及び手順については図1乃至図3と同一の符号を用いると共に、その説明を適宜省略し、上述した実施形態と異なる点を中心として説明する。
【0052】
(1)楽曲の選曲、曲中部位の特定を履歴情報に基づいて行う場合
本変形例は、搭乗者による楽曲の再生履歴、車両1の走行履歴、楽曲の選曲履歴、曲中部位の特定履歴等の履歴情報を用いて、楽曲の選曲、曲中部位の特定を行う構成としたものである。
【0053】
図4は、本変形例の楽曲再生装置100において動作するソフトウェアなどの構成例を示す機能ブロック図である。この図4に示す例では、楽曲再生装置100は、曲調情報取得部34の代わりに、履歴情報を蓄積する履歴データベースLD(履歴情報蓄積手段に相当)を有する。この履歴データベースLDは、曲中部位特定部36による曲中部位SPの特定履歴を表す特定履歴情報、楽曲の再生履歴情報、車両1の移動履歴情報及び楽曲の選択履歴情報のうち、少なくともいずれかを含む履歴情報を蓄積している。これらの履歴情報も、前述した地図データベースMD及び楽曲データベースSDのデータベースを構成する地図データ及び楽曲データと同様に、記憶媒体16に記憶されている。なお、履歴データベースLDを車両外部のサーバ等が有する構成とし、無線通信等を介して履歴情報を取得する構成としてもよい。
【0054】
本変形例では、選曲部35は、履歴データベースLDにより蓄積された履歴情報に基づき、目的地に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する。これにより、履歴情報に再生履歴情報及び選択履歴情報が含まれる場合には、当該履歴情報に基づき、再生された回数が多い楽曲や、例えば搭乗者により手動選択された回数が多い楽曲を選曲することができる。また例えば、履歴情報に再生履歴情報又は選択履歴情報と、移動履歴情報とが含まれる場合には、当該履歴情報に基づき、過去にその目的地又は経由地において再生又は選択された回数が最も多い曲を選曲することができる。
【0055】
また曲中部位特定部36は、履歴データベースLDにより蓄積された履歴情報に基づき、楽曲中の曲中部位SPを特定する。これにより、履歴情報に特定履歴情報が含まれる場合には、当該履歴情報に基づき、例えば特定された回数が多い曲中部位SPを特定することができる。
【0056】
本変形例における楽曲再生処理は、前述した図3に示すフローチャートと同様であるため、説明を省略する。なおこの場合、ステップS25では、選曲部35により、履歴データベースLDにより蓄積された履歴情報に基づき選曲を行う。またステップS30では、曲中部位特定部36により、履歴データベースLDにより蓄積された履歴情報に基づき、楽曲中の曲中部位SPを特定する。
【0057】
上記変形例における楽曲再生装置100は、曲中部位特定部36による曲中部位の特定履歴情報を含む履歴情報を蓄積する履歴データベースLD(履歴情報蓄積手段に相当)を備え、曲中部位特定部36は、蓄積された履歴情報に基づき、楽曲中の曲中部位SPを特定する。このようにすると、特定履歴情報に基づき、例えば特定された回数が多い曲中部位SPを特定することができる。これにより、搭乗者の嗜好に合致した曲中部位を自動的に特定することができる。
【0058】
上記変形例における楽曲再生装置100においては、楽曲の再生履歴情報、移動体の移動履歴情報及び車両1の楽曲の選択履歴情報のうちの少なくとも1つを含む履歴情報を蓄積する履歴データベースLDを備え、選曲部35は、蓄積された履歴情報に基づき、移動先地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する。このようにすると、例えば再生履歴情報や選択履歴情報に基づき、再生された回数が多い楽曲や例えば搭乗者により手動選択された回数が多い楽曲を選曲することができる。また例えば、再生履歴情報又は選択履歴情報と、移動履歴情報とに基づき、過去にその目的地において再生又は手動選択された回数が最も多い曲を選曲することができる。これにより、ユーザの嗜好に合致した楽曲を自動的に選曲することができる。
【0059】
(2)目的地までの途中の通過地点でも楽曲再生を行う場合
本変形例は、経路中に存在する、楽曲を再生するのに好適な少なくとも1つの通過地点を自動抽出し、当該通過地点においても所望の曲中部位を再生させる構成とするものである。
【0060】
図5は、本変形例の楽曲再生装置100において動作するソフトウェアなどの構成例を示す機能ブロック図である。この図5に示す例では、楽曲再生装置100は、通過地点抽出部42を有しており、取得部30は、領域情報取得部41を有している。なお、本変形例においては、地図データベースMDは、地図データの他に、各エリアにおける領域情報をも有している。この領域情報としては、例えばそのエリアにおける景観情報や観光情報、店舗情報等が一例として挙げられる。
【0061】
取得部30の領域情報取得部41は、経路探索部32により探索された経路周辺の領域情報を、地図データベースMDより取得する。これによって、取得部30は経路周辺の領域情報を取得する。また通過地点抽出部42(通過地点抽出手段に相当)は、領域情報取得部41により取得した領域情報に基づき、経路探索部32により探索された経路中に存在する、楽曲を再生するのに好適な少なくとも1箇所の通過地点を抽出する。例えば、景観のよいスポットや観光名所、有名店舗があるエリア等が抽出される。なお、このように自動的に通過地点の抽出を行うのではなく、搭乗者が例えばタッチパネル21を用いる等により手動操作にて通過地点を指定できるようにしてもよい。
【0062】
本変形例では、抽出された各通過地点について、前述した目的地と同様の処理が行われる。すなわち、取得部30の到達予定時間算出部33は、各通過地点に到達するまでの到達予定時間をそれぞれ算出し、選曲部35は、各通過地点に関連付けて再生を行う楽曲をそれぞれ選曲する。また曲中部位特定部36は、曲調情報取得部34により取得された楽曲の曲調に基づき、選曲部35により選曲された各楽曲中の曲中部位SPをそれぞれ特定し、再生開始条件設定部37は、到達予定時間と再生所要時間とに基づき、楽曲の再生を開始する再生開始条件をそれぞれ設定する。そして、判定部38は、再生開始条件設定部37で設定された再生開始条件が満たされたか否かを判定し、再生開始条件が満たされると選曲部35により楽曲の再生を開始する。
【0063】
図6は、本変形例の楽曲再生処理の手順例を示すフローチャートである。
ステップS5乃至ステップS15は前述の図3と同様であるので説明を省略する。
【0064】
次にステップS17では、取得部30の領域情報取得部41により、ステップS15において経路探索部32により探索された経路周辺の領域情報を、地図データベースMDより取得する。
【0065】
次にステップS18では、通過地点抽出部42により、上述したステップS17において領域情報取得部41により取得した領域情報に基づき、経路探索部32により探索された経路中に存在する、楽曲を再生するのに好適な少なくとも1箇所の通過地点を抽出する。なお、前述したように、搭乗者が手動操作にて通過地点を指定できるようにしてもよい。この場合には、例えば、上述したステップS17において領域情報取得部41により取得した領域情報をディスプレイ15に表示し、搭乗者が表示された領域情報を参照しながら指定できるようにしてもよい。
【0066】
その後のステップS20乃至ステップS55は前述の図3と同様であるので説明を省略する。なお、この図6に示す例では煩雑となるため図示を省略しているが、ステップS20乃至ステップS40と、ステップS50及びステップS55は、設定された目的地及び抽出された全通過地点についてそれぞれ実行される。すなわち、設定された目的地及び抽出された全通過地点について再生開始条件の設定が行われ、各再生開始条件が満たされるごとに楽曲の再生が行われる。
【0067】
図7は、上述したような楽曲再生処理を行うことによる楽曲再生装置100の具体的な動作例を説明するための図である。この図7に示す例では、現在地から目的地までの探索された経路R中にレインボーブリッジが含まれており、通過地点抽出部42により、取得した領域情報に基づき、レインボーブリッジ中の絶景ポイントである中央部分が楽曲を再生するのに好適な通過地点PAとして抽出されている。この通過地点PAの到達予定時間は20:23と算出されている。そして、この例では選曲された楽曲の曲中部位SPとしてサビ部分が特定され、このサビ部分の曲頭からの再生所要時間が1分である。したがって、通過地点PAに対する再生開始条件として、到達予定時間20:23から再生所要時間1分を減じた20:22が再生開始時間として設定される。
【0068】
これにより、図7に示すように、現在時間が20:22となった時点で楽曲の再生が開始され、車両1がレインボーブリッジ中の絶景ポイントである通過地点PAに到達する20:23にサビ部分が再生されることになる。この結果、車両1の搭乗者は、レインボーブリッジからの絶景を楽しみつつ楽曲中で最も盛り上がるサビ部分を聴くことができる。
【0069】
なお、前述したように、再生開始条件として、上記再生開始時間20:22に対応する再生開始地点CAを設定してもよい。この場合には、現在地検出部31により検出される車両1の現在地が再生開始地点CAを通過した際に、楽曲の再生が開始される。また、再生開始条件として上記再生開始時間と再生開始地点との両方が設定され、両条件が満たされた場合に楽曲の再生を開始してもよい。
【0070】
また、以上ではレインボーブリッジが通過地点PAとして抽出された例を述べたが、レインボーブリッジを目的地又は経由地として設定した場合にも同様の動作で楽曲再生が行われる。また通過地点PAは、1箇所でなく複数箇所抽出されてもよい。例えば、経路Rに東京タワー付近を抜けるルートが含まれており、そのルート中に東京タワーが綺麗に見えるポイントが複数ある場合には、それらのポイントが複数の通過地点PAとしてそれぞれ抽出されるような場合が一例として挙げられる。さらに、通過地点PAは上記のようなピンポイントに限らず、一定の距離を有する領域として抽出してもよい。例えば、景色の良いスカイライン等を走行する場合には、そのスカイライン全体を通過地点PAとして抽出し、スカイラインを走行中は選択された楽曲が繰り返し走行されるような場合が一例として挙げられる。
【0071】
また通過地点PAとしては、上記のように景色のよいポイントのみでなく、目的に関連する店舗等が存在するポイントが抽出されてもよい。例えば、目的地が海である場合にサーフショップの存在するポイントが抽出されたり、ドライブデートの際におしゃれなカフェが存在するポイントが抽出される等が一例として挙げられる。さらには、地理条件に基づいて通過地点PAが抽出されるようにしてもよい。例えば、目的地がスキー場であるような場合に、トンネルを抜けて雪景色になるポイントや、高速道路を下りるポイントが抽出される等が一例として挙げられる。
【0072】
上記変形例における楽曲再生装置100は、経路中に存在する、目的地や経由地以外の楽曲を再生するのに好適な少なくとも1つの通過地点を経路より抽出する通過地点抽出部42(通過地点抽出手段に相当)を備え、取得部30は、経路を経て通過地点に到達するまでの到達予定時間を取得し、選曲部35は、通過地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する。
【0073】
このようにすると、搭乗者が目的地を指定するだけで、現在地から目的地までの経路中に存在する、目的地や経由地以外の楽曲を再生するのに好適な少なくとも1つの通過地点が経路より自動的に抽出される。そして、車両1が通過地点に到達するごとに選曲された楽曲中の曲中部位をそれぞれ再生することができる。これにより、曲中の所望の部位を所望のタイミングで再生させたいというニーズを満たすことができる。また、搭乗者がいちいち通過地点を指定しなくとも楽曲再生に好適な地点が自動的に抽出されるので、操作の煩わしさを減少でき、ユーザの利便性を向上することができる。
【0074】
上記変形例における楽曲再生装置100においては、取得部30は、経路周辺の領域情報をさらに取得し、通過地点抽出部42は、取得した領域情報に基づき、経路より通過地点を抽出する。このようにすると、領域情報に例えば景観情報や観光情報、店舗情報等を含めておけば、目的地までの経路に例えば景観のよいスポットや観光名所、有名店舗等がある場合に、その場所を通過地点として自動的に抽出し、車両1がその通過地点を通過する際に、その景観に合致する楽曲や、その観光名所又は店舗に関連する楽曲等を再生することが可能となる。
【0075】
(3)到達予定時間が変化した場合に再生中の楽曲を伸縮させる場合
楽曲の再生を開始した後に、例えば交通状況やリルート事由の発生等が原因で、到達予定時間が変化した場合には、その変化時間に応じて再生中の楽曲の再生速度を変化させる楽曲再生制御手段を備える構成としてもよい。また、再生速度を変化させる以外にも、例えば、再生中の楽曲に対し、つなぎ曲又はその一部や、DJのような合いの手等の効果音等を挿入したり、再生中の楽曲の曲中部位を繰り返す等により楽曲を伸長させたり、再生中の楽曲を適宜間引くことにより、楽曲を縮短させてもよい。さらに、楽曲の再生を開始した後に到達予定時間が当初の到達予定時間より遅くなった場合、当該遅くなった到達予定時間に曲中部位SPが再生されるように楽曲の再生を一時停止状態とするようにしてもよい。なお、例えば事故が発生した場合等、上述した再生時間の調整が間に合わないような場合には、楽曲生成制御手段による楽曲の再生制御を行わず、そのまま楽曲の再生を継続してもよい。
【0076】
上記変形例における楽曲再生装置100は、楽曲再生部39により楽曲の再生を開始した後に、到達予定時間が変化した場合には、その変化時間に応じて楽曲の再生速度を変化させる楽曲再生制御手段を備える。このようにすると、楽曲の再生開始後に、例えば渋滞やリルート事由が生じて到達予定時間が遅延した場合には、楽曲の再生速度を遅くすることにより、予定通り車両1が目的地に到達した際に所望の曲中部位SPを再生することができる。また、楽曲の再生開始後に、例えば車両1の移動速度が上昇して到達予定時間が早まった場合には、楽曲の再生速度を早くすることにより、予定通り車両1が目的地に到達した際に所望の曲中部位SPを再生することが可能となる。このようにすることで、楽曲の再生開始後に到達予定時間が変化した場合でも、柔軟に対応することができる。
【0077】
上記変形例における楽曲再生装置100は、楽曲再生制御手段は、楽曲再生部39により楽曲の再生を開始した後に到達予定時間が当初の到達予定時間より遅くなった場合、当該遅くなった到達予定時間に曲中部位SPが再生されるように楽曲の再生を一時停止状態とする。このようにすると、一時停止時間を適宜調整することにより、予定通り車両1が目的地に到達した際に所望の曲中部位SPを再生することが可能となる。このようにすることで、楽曲の再生開始後に到達予定時間が変化した場合でも、柔軟に対応することができる。
【0078】
(4)その他
以上では搭乗者が目的地を設定する場合を説明したが、目的地を設定しなくとも、楽曲の曲中部位が再生される再生ポイントが自動的に抽出されるようにしてもよい。この場合には、例えば地図データに基づき、現在地から近い順に景色の良いポイント等が自動抽出されるようにしてもよい。これにより、例えば特に目的地のないドライブを行うような場合にも、楽曲再生を楽しむことができる。
【0079】
また、履歴データベースLDを有する場合において、楽曲の再生履歴情報を外部サーバ等にアップロードしておき、他のユーザと共有できる構成としてもよい。これにより、搭乗者は自分が普段聴いていない楽曲についての情報をも取得できるようになり、そのような楽曲についても選曲して再生することが可能となる。
【0080】
なお、以上において、図5、図7等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0081】
なお、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施形態の楽曲再生装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す楽曲再生装置において動作するソフトウェアなどの構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】楽曲再生処理の手順例を示すフローチャートである。
【図4】楽曲の選曲、曲中部位の特定を履歴情報に基づいて行う変形例の楽曲再生装置において動作するソフトウェアなどの構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】目的地までの途中の通過地点でも楽曲再生を行う変形例の楽曲再生装置において動作するソフトウェアなどの構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】目的地までの途中の通過地点でも楽曲再生を行う変形例の楽曲再生処理の手順例を示すフローチャートである。
【図7】目的地までの途中の通過地点でも楽曲再生を行う変形例の楽曲再生装置の具体的な動作例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0083】
1 車両(移動体に相当)
30 取得部(取得手段に相当)
34 曲調検出部(曲調検出手段に相当)
35 選曲部(選曲手段に相当)
36 曲中部位特定部(曲中部位特定手段に相当)
37 再生開始条件設定部(再生開始条件設定手段に相当)
38 判定部(判定手段に相当)
39 楽曲再生部(楽曲再生手段に相当)
42 通過地点抽出部(通過地点抽出手段に相当)
100 楽曲再生装置
LD 履歴データベース(履歴情報蓄積手段に相当)
SP 曲中部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体において楽曲を再生する楽曲再生装置であって、
前記移動体の移動先を示す地点(以下、移動先地点と称する)、ならびに移動先地点に到達する到達予定時間を取得する取得手段と、
前記移動先地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する選曲手段と、
選曲された前記楽曲中の所定の部位(以下、曲中部位と称する)を特定する曲中部位特定手段と、
前記到達予定時間と、前記楽曲における曲頭から前記曲中部位までの再生所要時間とに基づき、前記楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する再生開始条件設定手段と、
前記再生開始条件が満たされたか否かを判定する判定手段と、
前記再生開始条件が満たされたと判定された場合に、前記楽曲の再生を開始する楽曲再生手段と、
を備えることを特徴とする楽曲再生装置。
【請求項2】
前記取得手段は、
前記移動体の現在地と、当該現在地から前記移動先地点までの経路と、当該経路を経て前記移動先地点に到達する到達予定時間と、を取得することを特徴とする請求項1に記載の楽曲再生装置。
【請求項3】
前記移動先地点は、前記移動体の目的地または経由地であることを特徴とする請求項1または2に記載の楽曲再生装置。
【請求項4】
前記再生開始条件設定手段は、前記再生開始条件として、前記到達予定時間から前記再生所要時間を減じた再生開始時間を設定し、
前記判定手段は、現在時間が前記再生開始時間となったか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項5】
前記再生開始条件設定手段は、前記再生開始条件として、前記到達予定時間から前記再生所要時間を減じた再生開始時間に対応する再生開始地点を設定し、
前記判定手段は、前記移動体の現在地が前記再生開始地点に到達したか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項6】
前記楽曲の曲調情報を取得する曲調情報取得手段を備え、
前記曲中部位特定手段は、取得された前記楽曲の曲調情報に基づき、前記楽曲中の前記曲中部位を特定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項7】
前記楽曲の曲調情報を取得する曲調情報取得手段を備え、
前記選曲手段は、取得された前記楽曲の曲調情報に基づき、前記楽曲を選曲することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項8】
前記曲中部位特定手段による前記曲中部位の特定履歴情報を含む履歴情報を蓄積する履歴情報蓄積手段を備え、
前記曲中部位特定手段は、蓄積された前記履歴情報に基づき、前記楽曲中の前記曲中部位を特定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項9】
前記楽曲の再生履歴情報、前記移動体の移動履歴情報及び前記楽曲の選択履歴情報のうちの少なくとも1つを含む前記履歴情報を蓄積する履歴情報蓄積手段を備え、
前記選曲手段は、蓄積された前記履歴情報に基づき、前記移動先地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項10】
前記経路中に存在する、前記移動先地点以外の前記楽曲を再生するのに好適な少なくとも1つの通過地点を前記経路より抽出する通過地点抽出手段を備え、
前記取得手段は、前記経路を経て前記通過地点に到達するまでの前記到達予定時間を取得し、
前記選曲手段は、前記通過地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する
ことを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項11】
前記取得手段は、前記経路周辺の領域情報をさらに取得し、
前記通過地点抽出手段は、取得した前記領域情報に基づき、前記経路より前記通過地点を抽出する
ことを特徴とする請求項10に記載の楽曲再生装置。
【請求項12】
前記楽曲再生手段により前記楽曲の再生を開始した後に、前記到達予定時間が変化した場合には、その変化時間に応じて前記楽曲の再生速度を変化させる楽曲再生制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の楽曲再生装置。
【請求項13】
前記楽曲再生制御手段は、前記楽曲再生手段により前記楽曲の再生を開始した後に前記到達予定時間が当初の到達予定時間より遅くなった場合、当該遅くなった到達予定時間に前記曲中部位が再生されるように前記楽曲の再生を一時停止状態とする
ことを特徴とする請求項12に記載の楽曲再生装置。
【請求項14】
楽曲の再生を制御する楽曲再生制御方法であって、
移動体の移動先を示す地点(以下、移動先地点と称する)、ならびに移動先地点に到達する到達予定時間を取得する取得工程と、
前記移動先地点に関連付けて再生を行う楽曲を選曲する選曲工程と、
前記選曲された楽曲中の所定の部位(以下、曲中部位と称する)を特定する曲中部位特定工程と、
前記到達予定時間と、前記楽曲における曲頭から前記曲中部位までの再生所要時間とに基づき、前記楽曲の再生を開始する再生開始条件を設定する再生開始条件設定工程と、
前記再生開始条件が満たされたか否かを判定する判定工程と、
前記再生開始条件が満たされたと判定された場合に、前記楽曲の再生を開始する楽曲再生制御工程と、
を有することを特徴とする楽曲再生制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の楽曲再生制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする楽曲再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−135012(P2010−135012A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310810(P2008−310810)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】