説明

構内交換機

【課題】デジタル電話およびアナログ電話を含む端末グループに属する各端末を適切なタイミングで鳴動させる。
【解決手段】IP−PBX2は、記憶部21と、デジタル鳴動開始部22と、アナログ鳴動開始部23とを有する。記憶部21は、デジタル電話D1〜D3を呼び出すタイミングを各端末で個別に規定する第1の遅延時間と、アナログ電話A1,A2を呼び出すタイミングを各端末で個別に規定する第2の遅延時間とを記憶する。デジタル鳴動開始部22は、第1の遅延時間に基づいて、デジタル電話D1〜D3を呼び出す第1の呼出信号を送信することによって、デジタル電話D1〜D3を鳴動させる。アナログ鳴動開始部23は、第2の遅延時間に基づいて、アナログ電話A1,A2を呼び出す第2の呼出信号を送信することによって、アナログ電話A1,A2を鳴動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル通信網に接続される構内交換機に係り、特に、デジタル電話およびアナログ電話が混在する端末グループにおける鳴動機能に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数のデジタル電話をデジタル通信網に接続して、複数のデジタル電話からなる内線電話網を構築する装置として、IP−PBX(Internet Protocol Private Branch eXchange)と呼ばれる構内交換機が開示されている。また、特許文献2には、アナログ電話をデジタル通信網に接続するVoIP(Voice over Internet Protocol)ゲートウェイを有するVoIPシステムが開示されている。このVoIPシステムは、VoIPゲートウェイおよびルータを介してアナログ電話をデジタル通信網に接続するとともに、ルータを介してデジタル電話をデジタル通信網に接続する。また、この特許文献2には、VoIPゲートウェイの機能をルータ自身に実装する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232304号公報
【特許文献2】特開2003−169134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されたIP−PBXに特許文献2に開示されたVoIPゲートウェイの機能を実装すれば、デジタル電話およびアナログ電話が混在した端末グループからなる内線電話網の構築が可能になる。しかしながら、この場合には、この端末グループを一斉に鳴動させるグループ鳴動機能を利用しても、デジタル電話およびアナログ電話で鳴動タイミングにズレが生じる可能性がある。例えば、デジタル電話は、トラフィック依存性というデジタル通信固有の特性があり、伝送路の状況次第で通信速度が変化する。そのため、送受信すべき通信量が多い状況下では、デジタル回線とは別個のアナログ回線で直結されたアナログ電話の鳴動タイミングよりも遅れて、デジタル電話が鳴動することがある。
【0005】
本発明の目的は、デジタル電話およびアナログ電話が混在する端末グループに属する各端末を適切なタイミングで鳴動させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、記憶部と、デジタル鳴動開始部と、アナログ鳴動開始部とを有し、デジタル電話およびアナログ電話を含む端末グループをデジタル通信網に接続する構内交換機を提供することである。記憶部は、端末グループに対して予め設定すべき情報として、デジタル電話を呼び出すタイミングを規定する第1の遅延時間と、アナログ電話を呼び出すタイミングを規定する第2の遅延時間とを記憶する。デジタル鳴動開始部は、デジタル通信網を介して外部からの発呼信号を受信した場合、発呼信号の受信タイミングを基準として、記憶部から読み出された第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、デジタル電話を呼び出す第1の呼出信号を送信することによって、デジタル電話を鳴動させる。アナログ鳴動開始部は、第1の呼出信号を受信したデジタル電話から送信される応答信号を受信した場合、応答信号の受信タイミングを基準として、記憶部から読み出された第2の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、アナログ電話を呼び出す第2の呼出信号を送信することによって、アナログ電話を鳴動させる。
【0007】
第2の発明は、記憶部と、デジタル鳴動開始部と、アナログ鳴動開始部とを有し、デジタル電話およびアナログ電話を含む端末グループをデジタル通信網に接続する構内交換機を提供することである。記憶部は、端末グループに対して予め設定すべき情報として、デジタル電話を呼び出すタイミングを規定する第1の遅延時間と、アナログ電話を呼び出すタイミングを規定するとともに、第1の遅延時間とは異なる第2の遅延時間とを記憶する。デジタル鳴動開始部は、デジタル通信網を介して外部からの発呼信号を受信した場合、発呼信号の受信タイミングを基準として、記憶部から読み出された第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、デジタル電話を呼び出す第1の呼出信号を送信することによって、デジタル電話を鳴動させる。アナログ鳴動開始部は、発呼信号を受信した場合、発呼信号の受信タイミングを基準として、記憶部から読み出された第2の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、アナログ電話を呼び出す第2の呼出信号を送信することによって、アナログ電話を鳴動させる。
【0008】
ここで、本発明において、第1の遅延時間および第2の遅延時間は、端末グループに属する各端末の仕様に応じて定まる遅延時間と、構内交換機から各端末までの伝送路の構成に応じて定まる遅延時間とに基づいて、各端末で個別に予め決定されることが好ましい。また、アナログ鳴動開始部は、発呼信号に含まれる発信者に係る情報を保持するとともに、第2の呼出信号を送信した後で情報をアナログ電話に送信することが好ましい。さらに、発呼信号に含まれる発信者に係る情報を構内交換機に接続される表示装置に表示させる表示制御部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デジタル鳴動開始部は、基準となるタイミングから第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、第1の呼出信号を送信することによって、デジタル電話を鳴動させる。また、アナログ鳴動開始部は、基準となるタイミングから第2の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、第2の呼出信号を送信することによって、アナログ電話を鳴動させる。これによれば、第1の遅延時間および第2の遅延時間を規定して各端末で個別に鳴動タイミングを調整することができる。したがって、デジタル電話およびアナログ電話が混在する端末グループに属する各端末を適切なタイミングで鳴動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る内線電話網のブロック図
【図2】第1の実施形態に係るIP−PBXのブロック図
【図3】第1の実施形態に係る記憶部に記憶された遅延時間のテーブル
【図4】第1の実施形態に係る内線電話網のタイミングチャート
【図5】第2の実施形態に係る内線電話網のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る内線電話網のブロック図である。内線電話網1は、構内交換機としてのIP−PBX2と、デジタル電話としてのIP(Internet Protocol)電話D1〜D3と、アナログ電話A1,A2とを有する。IP−PBX2は、IP電話D1〜D3およびアナログ電話A1,A2が混在する端末グループGをデジタル通信網に接続する。IP電話D1〜D3は、音声およびデジタル信号を双方向に変換することによって、音声通話を可能とする。アナログ電話A1,A2は、音声およびアナログ信号を双方向に変換することによって、音声通話を可能とする。ここで、IP電話D1〜D3およびアナログ電話A1は、発信者番号などの情報を表示させるディスプレイを備えている。これに対して、アナログ電話A2は、このようなディスプレイを備えていない。なお、図示したケースは一例であって、端末の種別、端末の個数、接続形態等については、実情に応じて任意に設定される。
【0012】
また、内線電話網1は、ネットワークケーブルを介してIP−PBX2に接続される表示装置3と、IP−PBX2およびIP電話D2を接続するスイッチ4(以下、「SW4」という)と、IP−PBX2およびIP電話D3を接続するゲートウェイ5(以下、「GW5」という)とを有する。表示装置3は、外部から受信した情報を電子メールや、ウェブアプリケーションなどを介して自己が備えるディスプレイ上に表示する装置であり、例えば、PC(Personal Computer)や、携帯端末などを用いることができる。SW4は、ネットワーク間を接続する通信機器である。GW5は、プロトコルの異なるネットワークを接続する通信機器である。
【0013】
図2は、IP−PBX2のブロック図である。IP−PBX2は、グループ鳴動機能を備えている。グループ鳴動機能とは、デジタル通信網を介して外部から端末グループGを発呼する発呼信号を受信した場合に、端末グループGに属する各端末を一斉に鳴動させる機能をいう。グループ鳴動機能自体は、従来のIP−PBXも備えているが、本実施形態の特徴は、IP電話D1〜D3およびアナログ電話A1,A2が混在する端末グループGにおいて、各端末の鳴動タイミングをより精度よく同期させる点にある。これを実現するための構成として、IP−PBX2は、記憶部21と、デジタル鳴動開始部22と、アナログ鳴動開始部23と、表示制御部24とを有する。
【0014】
記憶部21には、端末グループGに対して予め設定すべき情報(登録情報)として、デジタル電話D1〜D3を呼び出すタイミングを個別に規定する第1の遅延時間と、アナログ電話A1,A2を呼び出すタイミングを個別に規定する第2の遅延時間とが記憶される。なお、本実施形態では、第1の遅延時間および第2の遅延時間は、各端末で個別に決定・登録されているが、IP電話D1〜D3で1つの第1の遅延時間を決定・登録し、アナログ電話A1,A2で1つの第2の遅延時間に決定・登録してもよい。デジタル鳴動開始部22は、記憶部21から読み出された第1の遅延時間に基づいて、デジタル電話D1〜D3を呼び出す第1の呼出信号を個別に送信し、これによって、デジタル電話D1〜D3を鳴動させる。アナログ鳴動開始部23は、記憶部21から読み出された第2の遅延時間に基づいて、アナログ電話A1,A2を呼び出す第2の呼出信号を個別に送信し、これによって、アナログ電話A1,A2を鳴動させる。表示制御部24は、発信者番号などの発呼信号に含まれる発信者に係る情報を表示装置3に表示させる。表示制御部24によって表示制御される表示装置3を、例えば、アナログ電話A2の近傍に配設した場合、アナログ電話A2の使用者は、表示装置3を参照することによって、ディスプレイを備えている他の端末の使用者と同様の利益を享受することができる。
【0015】
第1の遅延時間および第2の遅延時間は、端末グループGに属する各端末の仕様に応じて定まる遅延時間と、IP−PBX2から各端末までの伝送路の構成に応じて定まる遅延時間とに基づいて、各端末で個別に予め決定・登録される。以下、第1の遅延時間および第2の遅延時間を決定する方法の一例について説明する。
【0016】
本実施形態では、各端末の仕様として、IP電話D1,D2は、新式の端末であり、IP電話D3は、IP電話D1,D2と比較して応答性能の低い旧式の端末であるものとする。一例として、第1の呼出信号を受信してからIP電話D3が鳴動を開始するタイミングは、IP電話D1,D2のそれよりも30msだけ遅延するものとする。また、伝送路の構成として、IP電話D1は、IP−PBX2に直接的に接続されている。IP電話D2は、SW4を介してIP−PBX2に接続されている。IP電話D3は、GW5を介してIP−PBX2に接続されている。IP−PBX2からIP電話D1〜D3までの接続には、ネットワークケーブルが用いられる。ここで、IP−PBX2による第1の呼出信号の送信から端末による第1の呼出信号の受信までの時間を端末の伝送時間とすれば、IP電話D2の伝送時間は、IP電話D1のそれと比較して10msだけ長くなるものとする。IP電話D3の伝送時間は、IP電話D1のそれと比較して50msだけ長くなるものとする。
【0017】
このようなケースにおいて、IP電話D1〜D3のそれぞれにIP−PBX2から同時に第1の呼出信号が送信された場合には、最初にIP電話D1が鳴動を開始する。次に、IP電話D1の鳴動タイミングを基準としてIP電話D2が10msだけ遅延して鳴動を開始する。そして、IP電話D1の鳴動タイミングを基準としてIP電話D3が80msだけ遅延して鳴動を開始する。ここで、IP電話D3における遅延時間の80msは、IP電話D3の仕様に応じて定まる遅延時間30msと、IP−PBX2からIP電話D3までの伝送路の構成に応じて定まる遅延時間50msとの合計である。
【0018】
また、各端末の仕様として、一般に、アナログ電話A1,A2は、IP電話D1〜D3よりも応答性能が高い。アナログ電話A1,A2は、IP電話D1〜D3と比較して機能的に簡素で、かつ、通信原理も単純だからである。また、アナログ電話A1は、発信者番号を自己のディスプレイに表示させる発信者番号通知機能を有する。したがって、アナログ電話A1については、この機能を有さないアナログ電話A2とは異なり、発信者番号を送信する前に端末を起動する起動信号を送信する必要がある。この起動信号は、送信の開始から終了まで数秒の時間を要する。すなわち、アナログ電話A1に対しては、IP−PBX2は、起動信号を数秒の時間をかけて送信した後、発信者番号を送信し、さらに第2の呼出信号を送信することになる。また、伝送路の構成として、アナログ電話A1,A2は、電話線を介してIP−PBX2に直接的に接続されている。
【0019】
本発明を適用していない場合において、発呼信号を受信すると、最初にアナログ電話A2が鳴動を開始する。次に、IP電話D1〜D3が前述したタイミングで鳴動を開始する。そして、アナログ電話A1が鳴動を開始する。以上のことから、アナログ電話A1の鳴動タイミングに合わせて第1の遅延時間および第2の遅延時間を決定する必要がある。
【0020】
図3は、記憶部21に記憶された遅延時間のテーブルである。具体的には、第1の遅延時間のうち、IP電話D1の遅延時間TDを最初に決定する。IP電話D1の遅延時間TDは、アナログ電話A1に起動信号を送信するのにかかる時間と、発信者番号を送信するのにかかる時間とを合計した時間よりも長くなるように決定する。次に、IP電話D1の鳴動タイミングに合わせてIP電話D2,D3が鳴動を開始するように、IP電話D2の遅延時間をTD−10msに決定し、IP電話D3の遅延時間をTD−80msに決定する。そして、IP電話D1〜D3の鳴動タイミングに合わせてアナログ電話A1,A2が鳴動を開始するように、アナログ電話A1,A2の第2の遅延時間TAを決定する。具体的には、第2の遅延時間TAは、IP−PBX2が応答信号を受信してからIP電話D1〜D3が鳴動を開始するまでの時間と、IP−PBX2が第2の呼出信号を送信してからアナログ電話A1,A2が鳴動を開始するまでの時間との差によって決定される。
【0021】
図4は、内線電話網1のタイミングチャートである。本実施形態では、SIP(Session Initiation Protocol)によってセッションを確立する場合を例に説明する。また、図4では、図面を簡略化するため、グループGに属する各端末のうち、IP電話D1およびアナログ電話A1のタイミングチャートのみを記載している。以下の図面においても同様である。発呼信号(INVITE F5)を受信すると、IP−PBX2は、起動信号(CAR)を数秒の時間をかけてアナログ電話A1に送信した後、発信者番号(CID)をアナログ電話A1に送信する。アナログ電話A1は、起動信号や、発信者番号を受信することによって応答信号をIP−PBX2に送信する(図示略)。また、表示制御部24は、アナログ電話A1にCIDを送信するタイミングで表示装置3にCIDを送信して表示させる(図示略)。
【0022】
次に、デジタル鳴動開始部22は、発呼信号の受信タイミングを基準として、記憶部21から読み出された遅延時間TDだけ遅延させたタイミングで、第1の呼出信号(INVITE F7)をIP電話D1に送信する。IP電話D1は、第1の呼出信号を受信することによってIP−PBX2に応答信号(100 Trying F8)を送信する。アナログ鳴動開始部23は、応答信号の受信タイミングを基準として、記憶部21から読み出された遅延時間TAだけ遅延させたタイミングで、第2の呼出信号をアナログ電話A1に送信する。なお、応答信号は、IP電話D1〜D3からそれぞれ送信されるが、2番目の応答信号を受信したタイミングを基準とすることが好ましい。これは、3つの応答信号を受信したタイミングの平均に相当するからである。
【0023】
このように、本実施形態によれば、第1の遅延時間および第2の遅延時間を規定して各端末で個別に鳴動タイミングを調整することができる。したがって、グループGに属する各端末を適切なタイミングで鳴動させることができる。また、アナログ鳴動開始部23は、応答信号の受信タイミングを基準として、記憶部21から読み出された第2の遅延時間TAだけ遅延させたタイミングで、第2の呼出信号を送信することによって、アナログ電話A1,A2を鳴動させる。したがって、伝送路のトラフィックに応じてIP電話D1〜D3の伝送時間が変化した場合であってもグループGに属する各端末を適切なタイミングで鳴動させることができる。さらに、このような内線電話網1によれば、既存のアナログ電話をIP−PBX2に接続することができるので、旧資産を有効に活用することができる。また、アナログ電話は、デジタル電話と比較して安価であるので、新規のアナログ電話をIP−PBX2に接続する場合であってもコストの低減を図ることができる。
【0024】
(第2の実施形態)
本実施形態の特徴は、IP電話D1〜D3から送信される応答信号の受信タイミングを基準とするのではなく、発呼信号の受信タイミングを基準とするようにアナログ鳴動開始部23を構成する点にある。また、本実施形態の特徴は、発信者番号などの発呼信号に含まれる発信者に係る情報を保持するとともに、第2の呼出信号を送信した後で起動信号と、発呼信号に含まれる発信者に係る情報とをアナログ電話A1に送信するようにアナログ鳴動開始部23を構成する点にある。このような構成によれば、アナログ電話A1の鳴動タイミングは、上述した第1の実施形態よりも早くなるので、第1の遅延時間を十分に短く決定することができる。なお、それ以外については、上述した第1の実施形態と同様なので、ここでの説明を省略する。
【0025】
第2の遅延時間TAは、IP電話D1〜D3の鳴動タイミングに合わせてアナログ電話A1,A2が鳴動を開始するように決定される。具体的には、IP−PBX2が発呼信号を受信してからIP電話D1〜D3が鳴動を開始するまでの時間と、IP−PBX2が第2の呼出信号を送信してからアナログ電話A1,A2が鳴動を開始するまでの時間との差によって決定される。すなわち、第2の遅延時間TAは、第1の遅延時間とは異なっている。
【0026】
図5は、第2の実施形態に係る内線電話網のタイミングチャートである。発呼信号(INVITE F5)を受信すると、デジタル鳴動開始部22は、発呼信号を受信したタイミングを基準として、記憶部21から読み出された遅延時間TDだけ遅延させたタイミングで、第1の呼出信号(INVITE F7)をIP電話D1に送信する。また、アナログ鳴動開始部23は、発呼信号を受信したタイミングを基準として、記憶部21から読み出された遅延時間TAだけ遅延させたタイミングで、第2の呼出信号をアナログ電話A1に送信する。そして、アナログ鳴動開始部23は、起動信号(CAR)を数秒の時間をかけてアナログ電話A1に送信した後、発信者番号(CID)をアナログ電話A1に送信する。
【0027】
このように、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様、グループGに属する各端末を適切なタイミングで鳴動させることができる。また、アナログ鳴動開始部23は、発呼信号を受信したタイミングを基準として、記憶部21から読み出された第2の遅延時間TAだけ遅延させたタイミングで、第2の呼出信号を送信することによって、アナログ電話A1,A2に鳴動を開始させるので、IP電話D1〜D3から送信される応答信号を待つ必要がなく、簡素な構成によってグループGに属する各端末を適切なタイミングで鳴動させることができる。
【0028】
なお、上述した実施形態では、第1の遅延時間および第2の遅延時間は、端末の仕様に応じて定まる遅延時間と、IP−PBX2から端末までの伝送路の構成に応じて定まる遅延時間とに基づいて、各端末で個別に予め決定されていた。これに対して、第1の遅延時間および第2の遅延時間は、例えば、所定の信号を各端末に送信して遅延時間を測定することによって動的に決定してもよい。
【0029】
また、上述した実施形態では、IP−PBX2は、1つのグループGをデジタル通信網に接続していたが、複数のグループを接続してもよい。この場合には、グループごとに第1の遅延時間および第2の遅延時間を決定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明は、デジタル通信網に接続される構内交換機に広く適用でき、特に、デジタル電話およびアナログ電話が混在する端末グループにおける鳴動機能に広く適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 内線電話網
2 IP−PBX(構内交換機)
3 表示装置
4 スイッチ(SW)
5 ゲートウェイ(GW)
21 記憶部
22 デジタル鳴動開始部
23 アナログ鳴動開始部
24 表示制御部
A1,A2 アナログ電話
D1〜D3 IP電話(デジタル電話)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル電話およびアナログ電話を含む端末グループをデジタル通信網に接続する構内交換機において、
前記端末グループに対して予め設定すべき情報として、前記デジタル電話を呼び出すタイミングを規定する第1の遅延時間と、前記アナログ電話を呼び出すタイミングを規定する第2の遅延時間とを記憶する記憶部と、
前記デジタル通信網を介して外部からの発呼信号を受信した場合、当該発呼信号の受信タイミングを基準として、前記記憶部から読み出された前記第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、前記デジタル電話を呼び出す第1の呼出信号を送信することによって、前記デジタル電話を鳴動させるデジタル鳴動開始部と、
前記第1の呼出信号を受信した前記デジタル電話から送信される応答信号を受信した場合、当該応答信号の受信タイミングを基準として、前記記憶部から読み出された前記第2の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、前記アナログ電話を呼び出す第2の呼出信号を送信することによって、前記アナログ電話を鳴動させるアナログ鳴動開始部と
を有することを特徴とする構内交換機。
【請求項2】
デジタル電話およびアナログ電話を含む端末グループをデジタル通信網に接続する構内交換機において、
前記端末グループに対して予め設定すべき情報として、前記デジタル電話を呼び出すタイミングを規定する第1の遅延時間と、前記アナログ電話を呼び出すタイミングを規定するとともに、前記第1の遅延時間とは異なる第2の遅延時間とを記憶する記憶部と、
前記デジタル通信網を介して外部からの発呼信号を受信した場合、当該発呼信号の受信タイミングを基準として、前記記憶部から読み出された前記第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、前記デジタル電話を呼び出す第1の呼出信号を送信することによって、前記デジタル電話を鳴動させるデジタル鳴動開始部と、
前記発呼信号を受信した場合、当該発呼信号の受信タイミングを基準として、前記記憶部から読み出された前記第2の遅延時間だけ遅延させたタイミングで、前記アナログ電話を呼び出す第2の呼出信号を送信することによって、前記アナログ電話を鳴動させるアナログ鳴動開始部と
を有することを特徴とする構内交換機。
【請求項3】
前記第1の遅延時間および前記第2の遅延時間は、前記端末グループに属する各端末の仕様に応じて定まる遅延時間と、前記構内交換機から前記各端末までの伝送路の構成に応じて定まる遅延時間とに基づいて、前記各端末で個別に予め決定されることを特徴とする請求項1または2に記載された構内交換機。
【請求項4】
前記アナログ鳴動開始部は、前記発呼信号に含まれる発信者に係る情報を保持するとともに、前記第2の呼出信号を送信した後で前記情報を前記アナログ電話に送信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された構内交換機。
【請求項5】
前記発呼信号に含まれる発信者に係る情報を前記構内交換機に接続される表示装置に表示させる表示制御部をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された構内交換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−84989(P2012−84989A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227614(P2010−227614)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】