説明

構造化表面を有するフィルム及びその作製方法

フィルム、及び生産方法であって、フィルム(4)は、結晶質ポリラクチドを含むものであり、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面(5、6)を有し、エンボス加工された構造化表面の構造は最高130℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持されるよう機能する(function)。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
世界のプラスチック使用量は年間3500億ポンド(158.8Gg)と推測される。プラスチック使用のこの成功は、国際的なインフラストラクチャーへのその影響が原因で問題化してきた。その結果、再生可能な分解性ポリマーを含有する有用な物品が大いに注目されている。再生可能なポリマーは、天然材料由来又はバイオマス材料由来のポリマーとして定義される。石油系ポリマーに代わる再生可能な分解性ポリマーの使用の原動力となっているのは、廃棄物管理、可用性、及び費用を含む数々の問題である。
【0002】
使い捨ておむつ及び日用品でのプラスチックの使用は、世界市場におけるプラスチック消費のかなりの部分を占めている。したがって、そのような製品における再生可能な分解性ポリマーフィルムの必要がある。そのような用途としては、例えば、おむつの閉鎖機構としての再生可能ポリマー製フック・アンド・ループ式ファスナーが挙げられる。その他の用途としては、おむつ及び、リント除去テープのような日用品用途における再生可能ポリマー製つや消し仕上げフィルムの使用が挙げられる。
【0003】
そうしたフィルムに適切な物性を与えて経済的に生産することは難しい。例えば、フック・アンド・ループ式ファスナーのフックのためのポリマーは、ループに繰り返し固定するための高い弾性率及び強靱性を有する必要がある。それらはまた、温度安定性及び老化安定性のための特定量の結晶化度も有する必要がある。そのようなポリマーは比較的低コストで、急速に結晶化する能力を有し、フックステムとして形成可能であり、かつ高速でのツールロールからの剥離性を有する必要があり、場合によっては続いてキャッピング動作でフックとして形成可能である必要もある。同様の特性は、エンボス加工又は転写加工のつや消し仕上げフィルムにも望まれる。したがって、例えばフック・アンド・ループ式ファスナーのフックは、通常、ポリプロピレンから高速で生産される。
【0004】
最初の市販の比較的低コストの再生可能な分解性ポリマーは、乳酸又はラクチドの重合により生産されたものである。コーンスターチ又は甘蔗糖から乳酸を生成するために細菌による発酵を行うが、それぞれの重合反応は1分子の水を生成し、その存在は、ごく低分子量のみが観察されるほどまでに形成ポリマー鎖を劣化させるので、乳酸を直接重合して有用な製品にすることはできない。したがって、乳酸は、通常、広範な分子量を有するポリマーへとより容易に重合することができる環式ラクチドモノマーに転換される。そのような材料は、通常、「ポリ乳酸」ポリマー、又は「ポリラクチド」ポリマー、又は「PLA」と呼ばれる。PLAは高い表面エネルギーを有し、PLAから生成されるフィルムは光沢に優れた艶のあるプラスチックらしい表面仕上げを有し、平滑である。非晶質PLAから生成される典型的なつや消し仕上げフィルムは、そのガラス転移温度(Tg)(約58℃)を超す温度で熱せられると表面構造を保持せず、平滑になり艶が出る。
【0005】
PLAを急速に加工して連続フィルムにすることに伴う1つの問題は、その結晶化が非常に遅いことである。可塑剤及び成核剤の添加が結晶化速度を増すことは周知であるが、典型的な連続フィルム生産方法においてPLAが急冷ツールロールに65℃を超す温度で押出されると、PLAは急冷ロールに粘着する。したがって、65℃以下の急冷温度を使ってフィルムを生産することが推奨される。これは、後に加熱されるときに保持される構造を有する構造化フィルムを形成することを非常に困難にする。
【0006】
例えば、JP第2007−130893号は、より低い鋳造温度で非構造化PLAフィルムを形成することを実証しているが、第1のロールが(結晶性成核材料を形成するために)材料を冷却又は急冷し、第2のロールが焼なまし温度まで材料を再加熱する、という順序の2つのロールに依存する。この方法では、第1のロールによって適用されるようにつや消し仕上げが開示されたとしても、その後の第2のロールでの再加熱の際に平滑な表面に焼きなますことになる。
【0007】
また、冷たい急冷温度では、十分なステムの長さを形成するようにポリマーがフックステム成形型に流れ込むことができない。冷温急冷はまた、後でキャッピング動作によってフックとして形成するため、並びに熱安定性及び老化安定性のために重要な、フックステムの十分な結晶化を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、急速かつコスト効果に優れた方法によって生産されたPLAを含有するエンボス加工された構造化フィルムの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、結晶質ポリラクチドを含むフィルム及びその作製方法を提供する。そのようなフィルムはエンボス加工された構造化表面を有する。有意にも、そのエンボス加工された構造化表面の構造は、最高130℃までの温度でフィルムを加熱する際に(例えばサイズ及び形が)保持される。
【0010】
一実施形態では、本発明は、フィルムを形成する方法を提供し、この方法は、ポリラクチドを含む溶融組成物を、構造化表面を有するツールロールに適用する工程であって、ツールロールがポリラクチド含有組成物のTgより高くTmより低い温度である、工程と、ポリラクチドの少なくとも一部分を結晶質ポリラクチドに転換するために十分な時間、溶融組成物をツールロールと接触させ続ける工程と、結晶質ポリラクチドを含むフィルムをツールロールから取り外す工程と、を含み、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、更に、そのエンボス加工された構造化表面の構造は、最高130℃までの温度でそのフィルムを加熱する際に保持される。
【0011】
特定の実施形態では、ポリラクチドは少なくとも1重量%の結晶化度を有する。特定の実施形態では、ポリラクチドは40重量%以下の結晶化度を有する。この結晶化度は、エンボス加工された構造化表面の構造を例えば搬送中及び保管中に保持する能力に寄与する。典型的には、構造のサイズ及び形は最高130℃までの温度でフィルムを加熱する際に保持される。
【0012】
本発明のフィルムは、構造化表面上に1つの構造(例えば連続模様)又は複数の構造を有することができる。例えば、そのような構造はフック又はステムの形状であることができる。そのようなフィルムは、複数の成形窪みを備える構造化表面を有するツールロールを使用することによって、本発明の特定の実施形態で形成することができる。溶融されたPLA含有組成物を、成形窪みを満たすために効果的な条件下でツールロールに適用する。そのような条件は、十分な圧力(当業者であれば容易に決定することができる)、及び100℃〜130℃のツールロール温度を含むことができる。特定の実施形態では、ツールロールの構造化表面の成形窪みは直立のフックステムをフィルムの表面上に形成するものであり、所望により、そのようなステムはヘッドつきステムの機械的ファスナーに変換され得る。
【0013】
あるいは、本発明のフィルムはつや消し仕上げを有することができる。そのようなフィルムは、テクスチャのある構造化表面を有するツールロールを使用することによって、本発明の特定の実施形態で形成することができる。好ましくは、そのようなつや消し仕上げフィルムの構造化表面は少なくとも1.25マイクロメートルのRaを有する。溶融されたPLA含有組成物を、構造化ツールロール表面のテクスチャをフィルムに転移してつや消し仕上げをもたらすために効果的な条件下でツールロールに適用する。そのような条件は、十分な圧力(当業者であれば容易に決定することができる)、及び85℃〜130℃のツールロール温度を含むことができる。
【0014】
本方法の好ましい実施形態では、ポリラクチド含有組成物は可塑剤を含む。典型的には、ポリラクチド含有組成物のTgを5℃超下げる可塑剤が選択される。特定の実施形態では、ポリラクチド含有組成物は、PLA含有組成物の総重量に基づいて少なくとも5重量%の量の可塑剤を含む。
【0015】
本方法の好ましい実施形態では、ポリラクチド含有組成物は成核剤を含む。成核剤は、(例えば25ナノメートル〜10マイクロメートルの平均粒径を有する)無機成核剤であってもよい。あるいは、成核剤は有機高分子成核剤であってもよい。
【0016】
本発明はまた、本明細書に記載されている任意の1つの方法によって作製されるフィルムも含む。
【0017】
一実施形態では、本発明は少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含むフィルムを提供するものであり、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し(フィルムの片面又は両面が構造化されている場合がある)、構造は最高130℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持される。特定の実施形態では、ポリラクチドは40重量%以下の結晶化度を有する。この結晶化度は、エンボス加工された構造化表面の構造を例えば搬送中及び保管中に保持する能力に寄与する。本発明のフィルムは、通常、1つ以上の可塑剤及び1つ以上の成核剤を含むことになる。
【0018】
本発明のフィルムは、接着剤層を有する表面を含むことができ、例えばテープを形成することができる。本発明のフィルムを使用することが可能なその他の製品としては、例えば、おむつに使用され得るフック・アンド・ループ式ファスナーシステムが挙げられる。その他の製品としては、リント除去テープ及びローラー、並びに本発明のフィルムを不織布及び紙のような他の基材に積層するラミネートが挙げられる。
【0019】
したがって、本発明は、例えば、本発明のフィルムを含むおむつのような使い捨て衣類を提供する。そのようなフィルムは、例えばフック部分のようなフック・アンド・ループ式ファスナーシステムの一部分であってもよく、例えばおむつのバックシートであってもよい。
【0020】
少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含むフィルムを備えるフック・アンド・ループ式ファスナーもまた提供され、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、構造は最高130℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持され、更に、構造化表面は複数のフックを備える。
【0021】
本発明はまた、接着剤層が配置された少なくとも1つの表面を有するフィルムを備えるテープを提供するものであり、フィルムは少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含み、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、構造は最高130℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持され、更に、構造化表面はつや消し仕上げを有する。接着剤は、つや消し仕上げされた表面上にコーティングされてもよく、あるいは、つや消し仕上げされた表面の反対側の(典型的には平滑な)表面上にコーティングされてもよい。そのようなテープはテープフラッグの形状であってもよく、あるいは、リント除去ローラーに使用されるテープであってもよい。
【0022】
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲中に現れる場合、制限する意味を有しない。
【0023】
語句「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の環境において特定の利益を供し得る発明の実施形態を示す。しかしながら、同一の又は他の状況下で、他の実施形態も好まれる可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0024】
本明細書で使用されるように、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。したがって、例えば、「1つの(a)」成核剤を含む組成物は、その組成物が「1つ以上の(one or more)」成核剤を含むことを意味すると解釈できる。同様に「1つの」可塑剤を含有する組成物は、「1つ以上の」可塑剤を含有する組成物を意味すると解釈できる。
【0025】
本明細書で使用する時、用語「又は」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられている。用語「及び/又は」は、挙げられた要素の1つ若しくはすべて、又は挙げられた要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0026】
本明細書で使用するとき、全ての数は用語「約(about)」によって及び好ましくは用語「ちょうど(exactly)」によって修飾されるものと仮定する。本発明の広範な範囲を設定する数値範囲及びパラメーターが概数であるとはいえ、特定の実施例に示した数値はできる限り正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値はそれらの試験測定値における標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本来的に含むものである。
【0027】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、など)が包含される。また、特定の値を指して「最高〜まで」という数値範囲にはその特定の値も含まれる。
【0028】
上記の本発明の概要は、本発明の開示した実施形態それぞれ又はすべての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。本出願のいくつかの箇所で、実施例の一覧として説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、限定的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】構造化表面、及びツールロール上に形成されたフィルムを有する、ツールロールの部分概略図。
【図2】ステムウェブの拡大斜視図。
【図3】フック式ファスナーの拡大斜視図。
【図4】本発明によるフック式ファスナーを使用する使い捨ておむつの斜視図。
【図5】リント除去テープのロールの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、結晶質ポリラクチドを含むフィルム及びそのフィルムの作製方法を提供する。ポリラクチドは、生分解性という意味合いからフィルムとして独特の利点を提供する高分子材料である。より高い結晶化度を有するポリラクチド含有フィルムは、高い湿度及び熱の条件下で非晶質のフィルムより概してゆっくりと分解するが、結晶化度は温度安定性及び老化安定性並びに構造化フィルム(すなわち、構造化表面を有するフィルム)にとって望ましい他の特性に寄与する。
【0031】
乳酸は、2つの光学異性体、(S)−乳酸としても知られるL−乳酸、及び(R)−乳酸としても知られるD−乳酸を有する。乳酸のキラル性のために、いくつかの別個の形態のポリラクチド(2つの(S)−乳酸残基を含む、L−ラクチドとしても知られるL,L−ラクチド、D−ラクチドとしても知られる、2つの(R)−乳酸残基を含むD,D−ラクチド、及び(R)−乳酸残基と(S)−乳酸残基とを1つずつ含むメソ−ラクチド)が存在する。L−ラクチドとD−ラクチドとのラセミ混合物の重合は、通常、結晶質でなく非晶質のポリ−DL−ラクチドの合成をもたらす。重合中に特定の触媒を使用すること及び/又はD鏡像異性体とL鏡像異性体との比率を制御することはPLAの結晶化動力学に影響を及ぼすことができるが、添加剤(例えば成核剤)及びプロセスパラメーターは結晶化度のレベル及び結晶化の速度に影響を及ぼす。
【0032】
本発明の方法では、多様な用途に好適な結晶化度を有する使用可能な連続フィルムをもたらすフィルム形成方法が提供される。この方法は、(非晶質)ポリラクチドを含む溶融組成物を、構造化表面を有するツールロールに適用する工程であって、ツールロールが、ポリラクチド含有組成物のTgより高くTmより低い温度である、工程と、(非晶質)ポリラクチドの少なくとも一部分を結晶質ポリラクチドに転換するために十分な時間、溶融組成物をツールロールと接触させ続ける工程と、結晶質ポリラクチドを含むフィルムをツールロールから取り外す工程と、を含み、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、更に、そのエンボス加工された構造化表面の構造は最高130℃までの温度(ただし、より高い温度も可能であり得る)でそのフィルムを加熱する際に保持される。
【0033】
構造化表面2(例えば構造化ベルト、スリーブ、ワイヤ、又は同様のものの結果であり得る)を有するツールロール1の部分概略図である図1に示されるように、PLA含有組成物は、ツールロールの構造化表面2のネガインプリントの形状の構造6を備えるエンボス加工された構造化表面5を有する連続フィルム4を形成するツールロールと接触している。
【0034】
その結果得られるフィルムは「連続」しており、連続しているフィルムとはその幅よりはるかに長い不特定の長さを有するフィルムを指す(例えば長さは幅の少なくとも5倍、幅の少なくとも10倍、又は幅の少なくとも15倍)。そのような連続フィルムはエンボス加工された構造化表面を有し、構造はツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状である。
【0035】
有意にも、そのエンボス加工された構造化表面の構造は、最高130℃までの温度でフィルムを加熱する際に保持される。そのような保持は、少なくともある程度、PLAの結晶化度の有無によるものである。したがって、本発明のフィルムを形成する方法は、保管中及び搬送中に概して安定なフィルムを提供する。
【0036】
本発明のフィルムの結晶化度として望ましいレベルは、重量に基づいて、好ましくは少なくとも1重量百分率(重量%)、より好ましくは2重量%、更により好ましくは少なくとも5重量%、更により好ましくは少なくとも10重量%である。典型的に、かつ好ましくは、本発明のフィルムは40重量%以下の結晶化度を有する。
【0037】
ツールロールの構造化表面の構造は、1つの連続構造又は連続模様(例えば斜交平行模様)の形状であってもよく、複数の構造(例えばフックステムを形成するための窪み)であってもよい。構造は、ツールロールの構造化表面のインプリントをフィルムに転写することによってPLAフィルムにエンボス加工される。そのようなツールロールの構造化表面はランダムな構造を含むことができる。あるいは、より構造化された機械仕上げを有することもできる。例えば、ツールロールの構造化表面は、フィルムにつや消し仕上げをもたらすためのテクスチャを有することができる。所望により、本明細書で提供されるフィルムの両面に転写による構造を与えることができる。
【0038】
特定の実施形態では、ツールロールの構造化表面は複数の成形窪みを備える。そのような成形窪みは、直立のフックステム又は例えばフックのような突起をフィルムの表面上に形成する、好適な形状を有する。そのようなツールロールを使用する方法では、溶融組成物は、成形窪みを満たすために効果的な条件下でツールロールに適用される。そのような条件は、時間及び温度を含み、本明細書の教示に基づいて当業者によって容易に決定されるであろう。
【0039】
本発明の方法では、ツールロールの温度はポリラクチド含有組成物のTgより高くポリラクチド含有組成物のTmより低い。典型的な市販のPLAのTgは約58℃であるが、これはポリラクチド含有組成物の処方に依存して変化し得る。最低30℃(Tg)であってもよい。特定の好ましい実施形態では、ツールロールは少なくとも85℃、少なくとも100℃、100℃より高い温度、又は少なくとも105℃の温度である。同様に、典型的な市販のPLAの融解温度(Tm)は約160℃であるが、これはポリラクチド含有組成物の処方に依存して変化し得る。したがって、特定の実施形態では、ツールロールの温度は130℃以下である。
【0040】
そのような温度はポリラクチドの結晶化速度を高め、成形窪みの充填を向上し、ツールロールへのフィルムの粘着を減らすことができ、それによって例えば加工速度を高めることができる。具体的な代表的方法は、ツールロールを85℃〜130℃の温度で使用する。別の代表的方法は、ツールロールを100℃〜130℃の温度で使用する。別の代表的方法は、ツールロールを105℃〜130℃の温度で使用する。
【0041】
当業者は、ツールロールに接触する溶融組成物の区域(ニップされる区域と呼ばれることが多い)に付加する十分な圧力を決定することができる。そのような圧力は、表面における初期構造の形成に影響を与え得る。通常、ツールロールの温度が高いほど、低い圧力が要求され得る。
【0042】
本発明の連続フィルムを調製するための設備設定は、当業者には周知である。代表的な設備設定は、実施例の項で説明する。例えば、典型的なツールロールはスチール製であるが、他のツールロール材料としては、ニッケルメッキスチール又はクロムメッキスチールが挙げられる。
【0043】
典型的には、本発明の方法は1つの主ツールロールを使用する。例えば、他のロール(例えばニップ又はバックアップゴムロール又はスチールロール)を使用してもよいが、典型的な方法は、JP第2007−130893号で行われているような、組成物又はフィルムの温度を冷やしてから再加熱する順序の2つのロールを含まない。したがって、本発明の好ましいフィルム形成方法は、1つの工程で、例えば1つの主要な構造形成工程で行われる。
【0044】
特定の実施形態では、本発明は、フィルムの表面上に直立するステムから出るヘッドつきステム機械的ファスナーを形成する方法もまた提供する。図2は、図3に示すようなフックファスナー(ヘッドつきステム機械的ファスナーとも呼ばれる)を作製するために使用することができるステムウェブの拡大斜視図である。この方法は、直立のステム基部と、外向きに突出する(及び場合によっては下向きに突出する)繊維係合部分を有するフックヘッド又はヘッド部分と、を有する直立のフック要素の配列を有するフィルムをもたらす。ヘッドつきステム機械的ファスナーの作製方法は、米国特許第6,132,660号、同第6,039,911号、同第5,679,302号、同第6,635,212号に記載されている。
【0045】
ここで図2を参照すると、本発明により生産し得る代表的なステムウェブは、参照番号10によって概して指定されている。ステムウェブ10は、概して平行の上位主面12及び下位主面13を有する薄くて強い可撓性のフィルム様の支持体11と、支持体11の少なくとも上面12から突出する複数の離間配置されたステム14とを備える。支持体は、引き裂き抵抗又は補強のために望ましい場合がある平らな表面又は表面的特徴を有することができる。
【0046】
そのようなステムウェブは、図3に示すようなフックファスナー(ヘッドつきステム機械的ファスナーとも呼ばれる)30に変換することが可能であり、それぞれのフック要素(すなわちフック)18は、一端が支持体11(概して平行の上位主面12及び下位主面13を有する)に付着されており、支持体11とのフックの固定及びそれらの接合部での破壊強度を増すために好ましくは支持体11に向かって広がるテーパーされたセクションを有するステム部分15と、ステム部分15の支持体11とは反対側の端にあるヘッド部分17と、を有する。
【0047】
フックヘッドの幾何学的形状は、特に限定されず、本明細書に記載されるような広範な形を含む。ステム部分は本質的に円形の断面を有し得るが、例えば本質的に三角形若しくは矩形の断面、又はあまり規則的でない断面のような他の形もまた可能である。支持体11から垂直にフックヘッド部分17(図3)まで延在するステム部分に沿ったステム部分の厚さは、本質的には一定であることができるが、変化することもでき、本質的に一定の厚さ又は支持体11からフックヘッド部分17にかけて本質的に減少する厚さが好ましい。
【0048】
フック要素のサイズは広範に変化してもよい。本発明のフック要素(ヘッドつきステムファスナーとしても知られる)は、おむつのような低コストの使い捨て品に特に有用である。おむつでの使用では、フックの高さは均一であり、好ましくは0.1ミリメートル(mm)〜1.3mmの高さであり、より好ましくは0.2mm〜0.5mmの高さである。フックの支持体上での密度は、好ましくは、1平方センチメートル(cm)当たりフック60〜1,600個、より好ましくは1平方センチメートル当たりフック約125〜700個である。フックのヘッドに隣接するステムの直径は、好ましくは0.1mm〜0.6mm、より好ましくは0.1mm〜0.3mmである。ヘッドは、ステムのそれぞれの側に放射状に平均0.01mm〜0.25mm越えて、より好ましくは平均0.025mm〜0.13mm越えて突出し、それらの外側の面と内側の面との間の平均厚さ(すなわちステムの軸に平行な方向で測定される厚さ)は、好ましくは0.01mm〜0.25mm、より好ましくは0.025mm〜0.13mmである。ヘッドの平均直径(すなわちヘッド及びステムの軸を放射状に測定する)のヘッドの平均厚さに対する比率は好ましくは1.5:1〜12:1、より好ましくは2.5:1〜6:1である。
【0049】
本発明の別の実施形態は、つや消し仕上げのフィルムである。代表的なつや消し仕上げのフィルムの構造化表面の構造は、好ましくは少なくとも1.25マイクロメートルのRaを有する。粗さ平均(Ra)は、中心線から測定された測定輪郭の高さ偏差の絶対値の算術サンプリング平均値である。これらの構造は、典型的に、かつ好ましくは、最高100℃までの(100℃を含む)温度にフィルムを熱したとき、好ましくはこのRa値で保持される。
【0050】
PLA含有組成物はPLAを含有し、PLAと適合性のある他のポリマーを所望により含有する。好ましくは、ポリラクチドは5重量%未満のd−ラクチド又は2重量%未満のd−ラクチドを含む。好ましくは、ポリラクチドは20重量%以下のd−ラクチドを含む。
【0051】
押出し成形又は熱成形に適した市販の代表的なPLA樹脂は、NatureWorks,Minnetonka,MNから商品名NatureWorks PLAポリマー2002D、4032D、及び4042Dとして入手可能である。その他の市販のPLA樹脂としては、フィルムグレード、シートグレード、不織布グレード、又は射出成形グレードの材料が挙げられる。
【0052】
本発明のPLA含有組成物は、好ましくは、1つ以上の可塑剤及び/又は1つ以上の成核剤を含む。典型的には、そのような可塑剤及び/又は成核剤は、結果的に得られるフィルムにおいて保持される。
【0053】
可塑剤は、典型的には、組成物の所与の温度での融解粘度を低減するために使用され、低温でのポリマーの加工及び押出しを助けるものであるが、ラクチドポリマーのフィルム特性(例えば可撓性、衝撃抵抗、引き裂き抵抗)を改善することもできる。代表的な可塑剤は、ポリラクチド含有組成物のTgを、5℃超、好ましくは20℃〜30℃、低下させる。
【0054】
望ましくは、生分解性フィルムに使用する可塑化剤(すなわち可塑剤)それ自体が生分解性であり、かつその樹脂と適合性でなくてはならない。また、代表的な可塑剤は、比較的不揮発性であってもよい。好適な可塑化剤は、例えば米国特許第6,121,410号、JP第2007−130893号、及び米国公開特許第2007/0160782号に開示されている。
【0055】
好適な可塑剤の例は、アルキル又は脂肪族エステル、エーテル、及び多官能基エステル及び/又はエーテルの一般的なクラスである。これらには、アルキルリン酸エステル、ジアルキルエーテルジエステル、トリカルボン酸エステル、エポキシ化オイル及びエステル、ポリエステル、ポリグリコールジエステル、アルキルアルキルエーテルジエステル、脂肪族ジエステル、アルキルエーテルモノエステル、クエン酸エステル、ジカルボン酸エステル、植物油及びそれらの誘導体、並びにグリセリンのエステルが挙げられる。最も好ましい可塑剤は、トリカルボン酸エステル、クエン酸エステル、グリセリンのエステル、及びジカルボン酸エステルである。芳香族官能基又はハロゲンを含有する可塑剤は、それらが環境に及ぼし得るマイナスの影響のため、好ましくない。
【0056】
例えば、適切な特性を呈するのは、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−ヘキシルシトレート、n−ブチルトリ−n−ヘキシルシトレート、及びジオクチルアジパートである。適切な適合性を呈するのは、アセチルトリ−n−ブチルシトレート及びジオクチルアジパートである。その他の適合性の可塑剤としては、ポリラクチドと配合可能な任意の可塑剤又は可塑剤の組み合わせが挙げられ、それらはポリラクチドと混和性であるか、又は機械的に安定な配合物を生成する。
【0057】
揮発性は、可塑剤の蒸気圧によって決定される。適切な可塑剤は、フィルムの生産に必要な工程全体を通して可塑剤が実質的に樹脂製剤中に留まるように、十分に不揮発性である。過度の揮発性は、高ラクチド含有量のポリラクチドの融解加工によってフィルムを生産するときに観察される加工設備のファウリングをもたらし得る。好ましい可塑剤は170℃で約10mmHg未満の蒸気圧を有し、より好ましい可塑剤は200℃で10mmHg未満の蒸気圧を有する。
【0058】
ポリラクチドと結合する内部可塑剤もまた有用である。エポキシドは、内部可塑剤を導入する1つの方法を提供する。
【0059】
可塑剤は、PLA含有組成物の総重量に基づいて少なくとも5重量%のレベルで有用である。好ましくは、可塑剤は、PLA含有組成物の総重量に基づいて少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%のレベルで使用される。可塑剤は、PLA含有組成物の総重量に基づいて30重量%以下のレベルで有用である。好ましくは、可塑剤は、PLA含有組成物の総重量に基づいて20重量%以下のレベルで使用される。
【0060】
成核剤は、典型的には、結晶化が開始できる不均一の表面を提供するために使用される。成核剤は、無機材料でも有機材料でもよい。好適な成核剤は、例えば、米国特許第6,121,410号、JP第2007−130893号、及び米国公開特許第2007/0160782号に開示されている。成核剤としては、選択された可塑剤、超微粒子状鉱物、有機化合物、有機酸塩及びイミド塩、並びに超微粒子状結晶質ポリマーでありポリラクチドの加工温度より高い溶融点を有するものが挙げられる。
【0061】
好ましい成核剤としては、無機成核剤及び有機高分子成核剤が挙げられ、より好ましくは無機成核剤が挙げられる。適した成核剤としてJP第2007−130893号に記載されている小さい有機分子は、本発明での使用には概して適していない。
【0062】
有用な成核剤の例としては、例えば、タルク、酸化亜鉛、サッカリンのナトリウム塩、ケイ酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、チタン酸カルシウム、窒化ホウ素、及び銅フタロシアニンが挙げられる。
【0063】
適した無機成核剤の例は、少なくとも25ナノメートル又は少なくとも0.1マイクロメートルの平均粒径を有する。好適な無機成核剤の例は、10マイクロメートル以下の平均粒径を有する。
【0064】
成核剤は、PLA含有組成物の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%のレベルにおいて有用である。好ましくは、成核剤は、PLA含有組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1.0重量%、更により好ましくは少なくとも2.0重量%のレベルで使用される。所望により、充填剤としてそのような成核剤を高レベルで用いることができる。
【0065】
本発明の好ましいフィルムは、少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含むものであり、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、構造は最高100℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持される。そのような構造は、好ましくは、少なくとも1.25マイクロメートルのRaを有する。
【0066】
本発明のフィルムは、典型的には配向されていない。すなわち、それらは典型的には後配向(post-oriented)されたものでなく、しかしながら、型から出されるときにわずかに配向されていてもよい。
【0067】
本発明のPLA含有フィルムは、多様な製品に使用することができる。例えば、それらは、おむつ又は病院用ガウンのような使い捨て衣類の閉鎖機構のフック・アンド・ループ式ファスナーとして、おむつのバックシートとして、テープ(おむつテープなど)、テープフラッグ、リント除去テープ(例えばリントローラー)、及び不織布及び紙のような他の基材へのフィルムのラミネートに、使用することができる。例えば、つや消し仕上げのPLA含有フィルムは、おむつ(例えばバックシート又はテープ支持体として)、テープ、テープフラッグ、及びリント除去テープのような日用品用途に使用することができる。つや消し仕上げ表面は、所望により、本発明のつや消し仕上げフィルムの片面にあってもよく、両面にあってもよい。支持体として本発明のつや消し仕上げフィルムを使用するテープの接着剤は、つや消し仕上げされた表面に配置されてもよく、又は反対側の(典型的には平滑な)表面に配置されてもよい。
【0068】
従来のおむつ構成体を図4に図示する。おむつ90には、薄い液体不透過性の外側バックシート94及び液体透過性の内側カバーシート95が備えられる。バックシート94と内側カバーシート95との間には吸収性コア(図示せず)がある。図4で、大面積フックタブ91は、当該技術分野で周知のようにおむつ90に取り付けられるキャリア基材92に取り付けられている。あるいは、フックタブは、おむつの耳切り出し部分又は縁領域のいずれかでおむつ95に直接結合されてもよい。これらの実施形態のいずれでも、フックタブ91はバックシート94上の適した結合領域96と係合することになる。バックシート94は薄いポリエチレンフィルムであってもよく、又は本発明のつや消し仕上げのPLA含有フィルムであってもよいが、内側カバーシート95は典型的にはスパンボンドポリプロピレンのような不織布となるであろう。
【0069】
そのような使い捨て衣類は、フック・アンド・ループ式ファスナーシステムの代わりに接着締結式のタブ(例えばおむつテープ)を含んでもよい。そのようなテープは、接着剤層を有する表面を備える本発明のつや消し仕上げのフィルムのようなPLA含有フィルムを含んでもよい。おむつテープに加えて、本発明のテープは、テープフラッグ又はリント除去ローラーに使用されるテープのような他の広範な用途にも使用することができる。接着剤は、そのようなフィルムのつや消し仕上げされた表面に配置されてもよく、又は反対側の(典型的には平滑な)表面に配置されてもよい。当該技術分野で既知の多様な接着剤を使用することができる。代表的な接着剤は、粘着性エラストマーのような感圧性接着剤であり、このエラストマーはA−B型ブロックコポリマーであり、Aブロック及びBブロックは線形、放射状、又は星形の構成で配置される。当該技術分野において周知の多様な他の接着剤を使用してもよい。
【0070】
同様に、そのような接着剤及び本発明のPLA含有つや消し仕上げフィルムを、例えばリントローラーに使用されるようなリント除去テープに使用してもよい。図5は、リント除去テープ組立品を提供するためにアプリケーター150上の、本発明のつや消し仕上げのPLA含有フィルム上にコーティングされた接着剤を含む、リント除去テープ208のロール151を図示する。ハンドル部分152は任意の形を有することができ、人間工学的に手に適応する形状にすることができる。ハンドル部分152は自由端156及び接続端158を有する。自由端156は、アプリケーター150を保管するためにフックにかけることを可能にする開口部160を有することができる。テープ受容部分は154に示されており、自由端162及び接続端164を含む。ハンドル部分152の接続端158は、テープ受容部分154の接続端164に接続される。テープ受容部分154はまた、自由端162と接続端164との間に延在する円筒形テープ受容表面166も含む。テープ受容表面166は、テープロール151の全幅にかけて延在し、テープロールのほぼ全面に沿って支持を提供する。テープ受容表面166は典型的には円筒形であるが、そうでなくてもよい。それは、テープロール151の定位置での保持を支援する縁で接する平面又は曲面の形状であってもよい。
【0071】
ロール151は所望によりコアを含んでもよく、リント除去テープ208の多重巻きがコアの周囲に巻かれる。ロール151は、テープ208の多重巻きの間に挟まれるオプションのライナーを含んでもよい。リント除去テープ208は、リント除去テープ208の全幅にわたってコーティングされた接着剤層を有するものとして図示されている。あるいは、本発明のPLA含有フィルムを含むテープ208は、1つの又は任意の数の非接着ゾーンを含んでもよい。これらの非接着ゾーンは、ユーザーがロール5からテープ208の外側巻きを分離するのを助けることになる。第1の非接着ゾーンは、リント除去テープ208の長さの第1の縁に沿って置くことができる。第2の非接着ゾーンは、第1の非接着ゾーンに対向して、リント除去テープ208の長さの第2の縁に沿って置くことができる。双方の非接着ゾーンは、リント除去テープ208の長さに沿って接着剤層をそれらの間にはさみ、互いに対向して置くことができる。非接着ゾーンは、テープの残りの部分とともにまず接着剤でコーティングしてから、例えばろう、ラッカー、又はインクによって粘着性を取り除いてもよい。あるいは、第1及び第2の非接着ゾーンを接着剤でコーティングせずにそのまま残してもよい。
【0072】
本発明のPLA含有フィルムは、分解性ポリマーが望まれる他の広範な用途に使用することができる。
【0073】
−代表的な実施形態
1.フィルムを形成する方法であって、
ポリラクチドを含む溶融組成物を、構造化表面を有するツールロールに適用する工程であって、ツールロールが、ポリラクチド含有組成物のTgより高くTmより低い温度である、工程と、
ポリラクチドの少なくとも一部分を結晶質ポリラクチドに転換するために十分な時間、溶融組成物をツールロールと接触させ続ける工程と、
結晶質ポリラクチドを含むフィルムをツールロールから取り外す工程と、を含み、
フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、
更に、そのエンボス加工された構造化表面の構造は、最高130℃までの温度でフィルムを加熱する際に保持される、方法。
【0074】
2.フィルムが、少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含む、実施形態1に記載の方法。
【0075】
3.フィルムが、40重量%以下の結晶化度を有するポリラクチドを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0076】
4.ツールロールの構造化表面が複数の成形窪みを備えており、成形窪みを満たすために効果的な条件下で溶融組成物がツールロールに適用される、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
5.ツールロールが100℃〜130℃の温度である、実施形態4に記載の方法。
【0078】
6.ツールロールの構造化表面の成形窪みが、フィルムの表面上に直立のフックステムを形成する、実施形態4に記載の方法。
【0079】
7.フィルムの表面上の直立のフックステムを基に、ヘッドつきステム機械的ファスナーを形成する工程を更に含む、実施形態6に記載の方法。
【0080】
8.ツールロールの構造化表面にテクスチャがあり、ツールロールの構造化表面のテクスチャをフィルムに転移するため及びつや消し仕上げをもたらすために効果的な条件下でツールロールに溶融組成物を適用する、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
9.フィルム表面の構造が少なくとも1.25マイクロメートルのRaを有する、実施形態8に記載の方法。
【0082】
10.ツールロールが85℃〜130℃の温度である、実施形態8又は9に記載の方法。
【0083】
11.ツールロールが少なくとも85℃の温度である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
12.ツールロールが少なくとも100℃の温度である、実施形態11に記載の方法。
【0085】
13.ツールロールが100℃を超す温度である、実施形態12に記載の方法。
【0086】
14.ツールロールが少なくとも105℃の温度である、実施形態13に記載の方法。
【0087】
15.ツールロールが130℃以下の温度である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
16.方法が、組成物又はフィルムを冷却してから再加熱する順序の2つのロールを含まないことを条件とする、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
17.結晶質ポリラクチドを含むフィルムを形成することが1つの工程で行われる、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
18.ポリラクチド含有組成物が可塑剤を含む、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
19.ポリラクチド含有組成物が、ポリラクチド含有組成物のTgを5℃超下げる可塑剤を含む、実施形態18に記載の方法。
【0092】
20.ポリラクチド含有組成物が、PLA含有組成物の総重量に基づいて少なくとも5重量%の量の可塑剤を含む、実施形態18又は19に記載の方法。
【0093】
21.ポリラクチド含有組成物が成核剤を含む、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
22.ポリラクチド含有組成物が、PLA含有組成物の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%の量の成核剤を含む、実施形態21に記載の方法。
【0095】
23.成核剤が無機成核剤を含む、実施形態21又は22に記載の方法。
【0096】
24.無機成核剤が、25ナノメートル〜10マイクロメートルの平均粒径を有する、実施形態23に記載の方法。
【0097】
25.成核剤が有機高分子成核剤を含む、実施形態21又は22に記載の方法。
【0098】
26.ポリラクチドが5重量%未満のd−ラクチドを含む、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
27.実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法によって作製されるフィルム。
【0100】
28.少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含むフィルムであって、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、構造は最高130℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持される、フィルム。
【0101】
29.ポリラクチドが40重量%以下の結晶化度を有する、実施形態28に記載のフィルム。
【0102】
30.構造化表面が複数のフック又はステムを備える、実施形態28又は29に記載のフィルム。
【0103】
31.構造化表面がつや消し仕上げを備える、実施形態28又は29に記載のフィルム。
【0104】
32.つや消し表面の構造が少なくとも1.25マイクロメートルのRaを有する、実施形態31に記載のフィルム。
【0105】
33.可塑剤を更に含む、実施形態28〜32のいずれか1つに記載のフィルム。
【0106】
34.成核剤を更に含む、実施形態28〜33のいずれか1つに記載のフィルム。
【0107】
35.成核剤が無機成核剤を含む、実施形態34に記載のフィルム。
【0108】
36.無機成核剤が、25ナノメートル〜10マイクロメートルの平均粒径を有する、実施形態35に記載のフィルム。
【0109】
37.成核剤が有機高分子成核剤を含む、実施形態34に記載のフィルム。
【0110】
38.ポリラクチドが5重量%未満のd−ラクチドを含む、実施形態28〜37のいずれか1つに記載のフィルム。
【0111】
39.接着剤層が付着された表面を更に備える、実施形態28〜38のいずれか1つに記載のフィルム。
【0112】
40.実施形態28〜39のいずれか1つに記載のフィルムを備える使い捨て衣類。
【0113】
41.おむつである、実施形態40に記載の使い捨て衣類。
【0114】
42.接着剤層が付着された少なくとも1つの表面を有するフィルムを備えるテープであって、フィルムは少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含み、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、構造は最高130℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持され、更に、構造化表面はつや消し仕上げを有する、テープ。
【0115】
43.テープフラッグである、実施形態42に記載のテープ。
【0116】
44.実施形態42のテープを備えるリントローラー。
【0117】
45.少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含むフィルムを備えるフック・アンド・ループ式ファスナーであって、フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、構造は最高130℃までの温度でのフィルムの加熱の際に保持され、更に、構造化表面は複数のフックを備える、フック・アンド・ループ式ファスナー。
【実施例】
【0118】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【0119】
(実施例1)
ポリ乳酸(PLA)ポリマー(Natureworks LLC,Minnetonka,MNから入手した4032D)を使用し、以下の手順にしたがって、つや消し仕上げを片面に有する構造化表面フィルムを調製した。40mm、10ゾーンの2軸押出し機を使用して、PLAポリマーと、可塑剤と、成核剤とを溶解し、容積流量定量ポンプへ、次いで、25センチメートル(25cm)幅の従来のコートハンガーフィルム型へと、押出した。PLAポリマーは、水分を全て除去するために60℃で最低12時間乾燥し、次いで、ロス・イン・ウェイトフィーダーを毎時4.54キログラム(kg/時)の供給速度で使用して、押出し機の第1ゾーンに供給した。第1ゾーンは約25℃で水冷した。押出し機の第2ゾーンは210℃に設定し、残りの8つのゾーンは180℃に設定した。型の温度は170℃に維持した。成核剤(Specialty Minerals,Bethlehem,PAから入手したUltraTalc 609タルク)は、最終押出し組成物に基づいて2.5重量%のタルクを達成する速度でロス・イン・ウェイトフィーダーを使用して押出し機の供給口に供給した。押出し機の速度は毎分200回転(RPM)に設定した。アセチルトリ−n−ブチルシトレート可塑剤(Vertellus Performance Materials,Greensboro,NCから入手したCITROFLEX A−4)は、最終押出し組成物に基づいて14.6重量%の供給速度でグリッドメルター(gridmelter)(Dynatec,Hendersonville,TN)を使用して押出し機のゾーン3に供給した。押出し機からの押出し品は、片側にある温度制御下の直径48cmのつや消し仕上げスチールツールロール(102℃)と、その反対側にある直径20cmの冷硬(冷却)ロールとで構成されるニップ内に、縦に下向きに配置した。線1cm当たり73Nのニップ力を使用した。押出しプロセスを支援するために、連続シリコーンゴムベルトを冷却ロールの周囲に巻いた(約180度の巻き)。ベルトの内面(押出し品と接触していない表面)は、設定点16℃で2つのスチールロールで冷却した。押出し品は、最初の押出し品の付着点から測定されるツールロール周囲のほぼ180度にかけてベルト及びツールロールと接触するように維持した。次いで、冷却された押出しフィルムをベルトから分離し、追加的に約60度の巻きにかけてツールロールと接触したまま維持してから、連続ロールに巻いた。フィルムは、ツールロールの速度に対してわずかに過速された、駆動された剥離ゴム被覆ロールを用いて、4.6メートル/分(m/分)でツールロールから引いた。ツールロールは、5.9マイクロメートルの平均Ra租さを達成するようにクロムメッキスチールロールをサンドブラストすることによって用意した。フィルム巻取り速度は、約65マイクロメートルのフィルム厚を達成するように調整した。
【0120】
(実施例2)
構造化表面フィルムは、Natureworksから入手したポリ乳酸樹脂4042Dを使用したことを除き、実施例1のように調製した。
【0121】
比較例C1
構造化表面フィルムは、つや消し仕上げのスチールツールロールを35℃の設定点温度に維持したこと及び線1cm当たり146Nのニップ力を使用したことを除き、実施例2のように調製した。下表1が示すように、この低いツールロール温度は、ニップ力の倍増にもかかわらず、焼きなまし(熱処理)後に与えられたつや消し仕上げをフィルムが保持することを可能にするために十分な結晶化度をフィルムに提供しなかった。
【0122】
(実施例3)
構造化表面フィルムは、9.1kg/時のPLA供給速度を用いたことを除き、実施例1のように調製した。可塑剤としてCITROFLEX B−6(Vertellus Performance Materials,Greensboro,NCから入手した)を、最終押出し組成物に基づいて14.6重量%の供給速度で使用した。押出し機のゾーン2は160℃に設定し、残りの8つのゾーンは180℃に設定した。型の温度は180℃に維持した。線1cm当たり97Nのニップ力を使用した。
【0123】
(実施例4)
構造化表面フィルムは、18.2kg/時のPLA供給速度を用いたことを除き、実施例1のように調製した。押出し機のゾーン2は160℃に設定し、残りの8つのゾーンは180℃に設定した。線1cm当たり12Nのニップ力を使用した。フィルムは、18.4m/分でツールロールから引いた。
【0124】
(実施例5)
構造化表面フィルムは、最終押出し組成物に基づいて15重量%の供給速度でCITROFLEX A−4可塑剤を使用したこと及び成核剤を使用しなかったことを除き、実施例1のように調製した。押出し機のゾーン2は160℃に設定した。型の温度は160℃に維持した。線1cm当たり12Nのニップ力を使用した。フィルムは、3.1メートル/分でツールロールから引いた。
【0125】
比較例C2
構造化表面フィルムは、8つのゾーンを有する18mm 2軸押出し機を使用してPLA組成物を押出したことを除き、実施例5のように調製した。UltraTalc 609タルクは、最終押出し組成物に基づいて0.5重量%で成核剤として使用した。押出し機の第1ゾーンは約25℃で水冷した。押出し機のゾーン2〜10は210℃に設定した。型の温度は180℃に維持した。つや消し仕上げのスチールツールロールを45℃の設定点温度に維持し、線1cm当たり194Nのニップ力を使用した。フィルムは、4.6m/分でツールロールから引いた。下表1が示すように、この低いツールロール温度は、ニップ力の増加にもかかわらず、焼きなまし(熱処理)後に与えられたつや消し仕上げをフィルムが保持するのを可能にするために十分な結晶化度をフィルムに提供しなかった。
【0126】
(実施例6)
ポリ乳酸(PLA)ポリマー(Natureworks LLC,Minnetonka,MNから入手した4032D)を使用し、以下の手順にしたがって、直立のステムの配列を片面に有する構造化表面フィルムを調製した。40mm、8ゾーンの2軸押出し機を使用して、PLAポリマーと、可塑剤と、成核剤とを溶解し、容積流量定量ポンプへ、次いで、46センチメートル幅の従来のコートハンガーフィルム型(Cloeren Co.,Orange,TXから入手した)へと、押出した。PLAポリマーは、水分を全て除去するために60℃で最低12時間乾燥し、次いで、ロス・イン・ウェイトフィーダーを19.5kg/時の供給速度で使用して、押出し機の第1ゾーンに供給した。押出し機の第1ゾーンは約25℃で水冷した。残りの7つのゾーンは210℃に設定した。型の温度は210℃に維持した。成核剤(Specialty Minerals,Bethlehem,PAから入手したUltraTalc 609タルク)は、最終押出し組成物に基づいて2.5重量%のタルクを達成する速度でロス・イン・ウェイトフィーダーを使用して押出し機の供給口に供給した。押出し機の速度は150RPMに設定した。アセチルトリ−n−ブチルシトレート可塑剤(Vertellus Performance Materials,Greensboro,NCから入手したCitroflex A−4)は、最終押出し組成物に基づいて13.5重量%の供給速度でグリッドメルター(Dynatec,Hendersonville,TN)を使用して押出し機のゾーン3に供給した。押出し機からの押出し品は、片側にある温度制御下の直径25cmのクロム仕上げスチールツールロール(100℃)と、その反対側にある直径30cmの冷硬(冷却)ロールとで構成される固定された隙間のニップ内に、縦に下向きに配置した。隙間は、所望のステム高さである360マイクロメートル以上を達成するように調整した。ツールロールは、米国特許第6,902,389号に記載されているように浮き上がりワイヤ(profiled wire)で巻き、ステム穴360個/cm、ステム穴直径127マイクロメートル、ステム穴深さ420マイクロメートルを有するツールロールを提供した。押出しプロセスを支援するために、連続シリコーンゴムベルトを冷却ロールの周囲に巻いた。押出し品は、最初の押出し品の付着点から測定されるツールロール周囲のほぼ120度にかけてベルト及びツールロールと接触するように維持した。次いで、冷却された押出しフィルムをベルトから分離し、追加的に約90度の巻きにかけてツールロールと接触したまま維持してから、連続ロールに巻いた。フィルムは、ツールロールの速度に対してわずかに過速された、駆動された剥離ゴム被覆ロールを用いて、8m/分でツールロールから引いた。フィルム巻き取り速度は、約123マイクロメートルのベースフィルム厚(ステムを含まず)を達成するように調整した。
【0127】
次いで、結果として得られた直立のステムを有する構造化表面フィルムを、米国特許第5,679,302号に記載されているキャッピング手順を用いて、フック様の構造を有するフィルムに変換した。この構造化表面フィルムを、フィルムのステム側を上に向けて、283マイクロメートル離間して配置された2つのスチールカレンダーロールの間のニップに通した。上位スチールロールは143℃の温度に維持し、7m/分の表面速度で稼動した。下位スチールロールは135℃の温度に維持し、3.4m/分の表面速度で稼動した。次いで、米国特許第6,132,660号に記載されている手順を用いて構造化表面フィルムを加工した。上位(トップ)のシリコーンゴムで覆われたスチールロールは138℃の温度に維持した。ゴムのジュロ硬度(硬さ)は58ショアAであった。下位(ボトム)のスチールロールは38℃の温度に維持した。フィルムは、4メートル/分の速度で上位ロールと下位ロールとの間のニップを通して延伸した。図3に示したのと同じようなキノコ型フックストリップが生産された。
【0128】
(実施例7)
構造化表面フィルムは、フィルム巻き取り速度を20m/分としたことを除き、実施例6のように調製した。
【0129】
比較例C3
構造化表面フィルムは、ツールロール温度を27℃に維持したことを除き、実施例7のように調製した。この低いツールロール温度は、高さの低い、形の悪いステムをもたらした。
【0130】
試験
実施例1〜5及び比較例C1〜C2の表面粗さは、Perthometer MP4(Mahr Corp.,Cincinnati,OHから入手した)を用いて、直径10マイクロメートルのスタイラスを使用し、カットオフを2.5mmに設定して測定した。フィルム試料は、0マイクロメートルのRa粗さを有する平滑なガラスプレート上に置いて測定した。フィルム試料は、初めに粗さを測定してから、100℃の炉内で1分間焼きなまし(熱処理)し、次いで、ほぼ同じ領域で再び粗さを測定した。結果を下表1に示す。
【0131】
実施例6〜7及び比較例C3のステム高さは、+/−5マイクロメートルの分解能の光学測定顕微鏡で測定した。フィルム試料は、初めにステム高さを測定してから、100℃の炉内で1分間焼きなまし(熱処理)し、次いで、ほぼ同じ領域で再びステム高さを測定した。結果を下表2に示す。
【0132】
実施例1〜7及び比較例C1〜C3の結晶化度は、TA Instruments Q200 Differential Scanning Calorimeter(TA Instruments,New Castle,DEから入手した)を用いて、焼きなまし(熱処理)工程の前に測定した。それぞれのフィルムの約10mgを10℃/分で0℃から220℃まで熱した。代表的な初期結晶質エンタルピーは、低温結晶化エンタルピーと融解エンタルピーとの間の差として得た。結晶化度は、100ジュール/gを100%結晶質のPLAの基準点として用いて決定した。結果を下表1及び2に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考として組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する「特許請求の範囲」によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを形成する方法であって、
ポリラクチドを含む溶融組成物を、構造化表面を有するツールロールに適用する工程であって、前記ツールロールが、ポリラクチド含有組成物のTgより高くTmより低い温度である、工程と、
前記ポリラクチドの少なくとも一部分を結晶質ポリラクチドに転換するために十分な時間、前記溶融組成物を前記ツールロールと接触させ続ける工程と、
結晶質ポリラクチドを含むフィルムを前記ツールロールから取り外す工程と、を含み、
前記フィルムは連続しており、前記ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、
更に、前記エンボス加工された構造化表面の前記構造は、最高130℃までの温度で前記フィルムを加熱する際に保持される、方法。
【請求項2】
前記フィルムが、少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムが、40重量%以下の結晶化度を有するポリラクチドを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ツールロールの構造化表面が複数の成形窪みを備えており、前記成形窪みを満たすために効果的な条件下で前記溶融組成物が前記ツールロールに適用される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記ポリラクチド含有組成物が可塑剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリラクチド含有組成物が、前記ポリラクチド含有組成物のTgを5℃超下げる可塑剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含むフィルムであって、前記フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、前記構造は最高130℃までの温度での前記フィルムの加熱の際に保持される、フィルム。
【請求項8】
前記ポリラクチドが40重量%以下の結晶化度を有する、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
接着剤層が付着された少なくとも1つの表面を有するフィルムを備えるテープであって、前記フィルムは少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含み、前記フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、前記構造は最高130℃までの温度での前記フィルムの加熱の際に保持され、更に、前記構造化表面はつや消し仕上げを有する、テープ。
【請求項10】
少なくとも1重量%の結晶化度を有するポリラクチドを含むフィルムを備えるフック・アンド・ループ式ファスナーであって、前記フィルムは連続しており、ツールロールの構造化表面のネガインプリントの形状の構造を備えるエンボス加工された構造化表面を有し、前記構造は最高130℃までの温度での前記フィルムの加熱の際に保持され、更に、前記構造化表面は複数のフックを備える、フック・アンド・ループ式ファスナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−513922(P2012−513922A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544492(P2011−544492)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069108
【国際公開番号】WO2010/078134
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】