説明

構造安定性が改善された透湿性構造体のためのポリマー組成物、及び前記組成物を含む構造体

本発明は、例えば、組成物を好適な基材、例えば、微孔性フィルム上に、層又はコーティングに形成することによって、液体不透過性・透湿性構造体を製造する親水性ポリマー組成物、及び該組成物を含む複合構造体に関する。本発明の親水性ポリマー組成物は室温で固結せず、粘稠な、又は「クリーム状」の状態を維持する。これによって、本発明の親水性ポリマー組成物から製造される層がフィルムとして沈降することを防止し、好適な基材上にコーティングされて層になる親水性ポリマー組成物を含む複合構造体の層間剥離が回避される。本発明の親水性ポリマー組成物は、液体不透過性及び透湿性が所望される様々な用途を見出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば透湿性液体不透過性複合構造体を形成することによって、透湿性液体不透過性構造体を製造するためのポリマー組成物に関し、ここで、前記ポリマー組成物の層は基材上にコーティングされる。本発明の組成物は、透湿性及び水不透過性が望まれる様々な用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
透湿性を提供することに加えて、液体バリアを提供する熱可塑性フィルムは当該技術分野において既知である。特に好ましいものは、材料内の開放細孔又は孔を通した湿気の通流を可能にしないが、フィルムの一方側の湿気濃度が高い方で水を吸収し、フィルムのその反対側の湿気濃度が低い方で水を脱着又は蒸発させることにより、フィルムを通してかなりの量の湿気を移送する親水性の連続フィルムである。このようなフィルムは、典型的には、熱可塑性親水性ポリマーから、又は熱可塑性親水性ポリマー若しくは熱可塑性親水性ポリマー類のブレンドを含む熱可塑性ポリマー組成物から形成される。また、前述の特性を有する熱可塑性親水性ポリマー類及び熱可塑性親水性ポリマー組成物は、当該技術分野において「モノリシックポリマー類」及び「モノリシック組成物」として既知であり、これらから製造される、透湿性液体不透過性の層又はフィルムは「モノリシック層」又は「モノリシックフィルム」として既知である。それらは、そのまま使用すること、又は積層構造体に組み込むことができる。
【0003】
例えば、PCT国際公開特許WO95/16746は、a)ブロックコポリエーテルエステル、ブロックコポリエーテルアミド類(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、及び/又はポリウレタンと、b)aと相溶性でない熱可塑性ポリマーと、c)相溶化剤との混合物から調製されるフィルムを開示している。フィルムは液体不透過性で、約700g/m2・日の透湿性を有する。また米国特許第5,447,783号は、少なくとも3層を有する、蒸気透過性・耐水性の多成分フィルム構造体を開示している。その外層は、厚さが1.3〜7.6μmで、WVTRが400〜2500g/m2・24hの疎水性コポリエーテルエステルエラストマー類であり、内層は、厚さが7.6〜152μmで、WVTRが少なくとも3500g/m2・24hの親水性コポリエーテルエステルエラストマーである。
【0004】
米国特許第5,445,875号は、防水性で血液とウイルスを通さない通気性積層体を開示している。この積層体は、織布/不織布、及び厚さ約1ミル(25.4μm)のハイトレル(Hytrel)(商標)のような押出成形フィルムを含む。
米国特許第5,532,053号は、不織材料上に積層することのできる、高透湿性医療用フィルムを開示している。この積層フィルムは、ポリエーテルエステルコポリマーの第1の層、並びに特定のポリマー類の群から選択される第2及び第3の層を含む。このフィルムは、MVTR(ASTM F−1249)が750g/m2・24hより大きく、厚さが1ミル(25.4μm)未満、好ましくは0.6ミル〜0.75ミル(15〜19μm)である。
【0005】
米国特許第4,938,752号は、透水性が低く、水蒸気透過度(記載される特定の試験で測定)が500g/m2・24hであり、厚さが5〜35μmのコポリエーテルエステル類のフィルムを含む吸収性物品を開示している。支持基材については開示されていない。
米国特許第4,493,870号は、MVTR(ASTM E96−66)が少なくとも1000g/m2・24hであり、厚さが5〜35μmのコポリエーテルエステルのフィルムで被覆された織物材料を含む、可撓性層状防水性製品を開示している。
GB2024100は、透湿性であるが耐液性の微孔性疎水性外層と、MVTRが1000g/m2・24hを超えるポリエーテルポリウレタンの親水性内層とを含む、可撓性層状耐水性品を開示している。
【0006】
本発明者らによる特許出願である、PCT国際公開特許WO99/64077、名称「透湿性構造体のための低粘度熱可塑性組成物及び吸収性物品におけるそれらの利用(Low viscosity thermoplastic compositions for moisture vapour permeable structures and the utilisation thereof in absorbent articles)」、及びPCT国際公開特許WO99/64505、名称「透湿性が向上した構造体のための低粘度熱可塑性組成物及び吸収性物品におけるそれらの利用(Low viscosity thermoplastic compositions for structures with enhanced moisture vapour permeability and the utilisation thereof in absorbent articles)」において、透湿性及び液体不透過性の好ましい特徴を有する、親水性で連続的な透湿性液体不透過性のフィルム又は層を製造するための、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマー類のブレンドを含む熱可塑性親水性ポリマー組成物を開示している。開示されているこれらの好ましい熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、易加工性であり、所望の厚さを有するコーティングを基材上に提供するため、従来の複雑な押出装置を必要としない。それは、このような粘度を低下させる好適な可塑剤又は可塑剤類のブレンドを組成物中に含むことによって、熱可塑性親水性ポリマー類の粘度を調整して達成される。それによって、これらの好ましい組成物で、透湿性液体不透過性のフィルム又は層を形成するために低粘度のホットメルト組成物を基板上に直接コーティングする当該技術分野において既知の典型的なプロセス条件を利用することが可能である。
【0007】
特に好ましい親水性可塑剤類はPCT国際公開特許WO99/64505に記載されており、これは組成物の粘度を調整することに加えて、透湿性に関する更なる利益を熱可塑性親水性ポリマー組成物に提供する。
前記で引用された先行技術文献に示されるように、透湿性液体不透過性層を製造するための既知の熱可塑性親水性ポリマー類及び熱可塑性親水性ポリマー組成物(「モノリシックポリマー類」及び「モノリシック組成物」)は、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマー組成物の1つ以上の層が、1つ以上の異なる基材、例えば不織布のような繊維層又は微孔性フィルムに接続されている透湿性液体不透過性複合構造体の製造に好ましく使用される。
【0008】
しかし、この種の構成には、前記基材と前記熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー組成物の層との間の前記接続を達成するのに使用される結合手段によって幾つかの欠点がある。例えば、接着剤を使用することにより、又は、例えば熱接合などの熱と圧力により前記接続を達成することができる。しかし、例えば接着剤による結合は、積層体構造にさらに層を追加することを意味し、それはコスト、製造の容易さ、及び結果として得られる構造体の全体的な通気性に関して望ましくない場合があるため、これらの既知の方法は好ましくない。一方、熱及び圧力を必要とする手段は、親水性ポリマー組成物から形成される層の一体性に有害な可能性、おそらくその透湿性を変化させる可能性があり、更に、例えば層に不連続性又は孔までも形成して液体不透過性に影響を及ぼす可能性が高い。
【0009】
従って、例えば、複合層状構造体を形成するため、透湿性液体不透過性層を好適な基材、例えば不織布層又は微孔性フィルムなどに直接結合させることが好ましく、前記で参照されるような熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される透湿性液体不透過性層に特に好適である。それは、典型的には、溶融又は半溶融又は可塑性状態にあるときの熱可塑性親水性ポリマー組成物の固有の粘着性を利用する、例えば、親水性ポリマー組成物で製造される層を基材上に直接押出すことによって、又は、ホットメルトコーティング、即ち、典型的には低粘性の溶融状態にある親水性ポリマー組成物の層で基材をコーティングすることによって達成される。特にホットメルトコーティングに好適な方法は、例えば、特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64077又はWO99/64505で参照され、低粘度でホットメルトコーティングプロセスに特に好適な、透湿性液体不透過性構造体のための熱可塑性親水性ポリマー組成物が開示されている。好ましい組成物及び方法は、本発明者らの案件EP1193289に広く記載されている。
【0010】
しかし、EP1193289に従って製造される多層構造体は、改善された機械的特性を有するが、このような多層構造体が、例えば、パンティライナー類及びナプキン類などの衛生用品に採用されたときに起こり得るような、繰り返しの曲げ伸ばしのような特に激しい物理的扱いを受けたとき、層間剥離する、即ち、層間の接着が緩む傾向を依然として有する場合がある。
【0011】
低コストの基材の使用と、良好な機械的特性と安定性、防水性及び透湿性を併せ持つ代替型の構造体が、米国特許第4,613,544号で提案されているが、該特許は、親水性組成物で細孔が充填されている微孔性膜を記載しており、これは水蒸気透過性及び液体不透過性である。
実際、親水性材料は連続フィルムを形成しないが、細孔の充填を制限し、複合構造体は層間剥離する傾向がないため、前述のものなどの多層構造体と比較した場合、この溶液には幾つかの利点を有することができる。この方法の欠点は、親水性材料を含有する液体組成物を調製し、前記液体組成物をマトリックスの細孔にだけ流入させ、後で液体組成物を固体の親水性材料に転換させることを含む、複雑なプロセスを必要とすることである。好ましい方法は、後でその場で重合される親水性材料の前駆体溶液の使用、又は細孔に浸潤され、後で溶媒が蒸発されるポリマー溶液の使用を提案することである。
【0012】
米国特許第4,833,026号は、微孔性フィルムと、フィルムの細孔に浸潤される親水性フィラー材料とを含む、前述のものに類似の通気性・防水性シート材料、及びこのようなシート材料の製造方法が記載されている。本発明に記載の方法では、液体親水性材料又はその前駆体は、フィルムが縦方向に延伸された後であるがフィルムが横方向に延伸される前に、微孔性フィルムの細孔に浸潤される。横方向の延伸工程の前に微孔性フィルムをコーティングすることによって、優れた防水性を有するシート材料が得られる。この方法で製造されるシート類は、米国特許第4,613,544号に対して改善されているが、製造プロセスは、追加の延伸工程によって更に複雑化している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、特有のレオロジー特性を有し、更に、より簡単な製造技術を使用して加工され、また、例えば、基材上に塗布することができ、そのため、例えば、スロットコーティングなどの簡単なプロセスにより水蒸気透過性・液体不透過性の複合構造体の製造が可能な、改善された親水性ポリマー組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、水蒸気透過性・液体不透過性であり、更に、使用中に改善された構造安定性を示し、特に応力下で層間剥離の傾向がない、前記改善されたポリマー組成物を含む複合構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
ポリウレタン類、コポリウレタン類又はブロックポリウレタン類及びこれらの誘導体、ポリアミド類及びコポリアミド類、ポリエステル類及びコポリエステル類及びこれらのスルホン化誘導体、ポリエーテル及びポリエーテルコポリマー類、ポリエーテルエステル類及びポリエーテルエステルブロックコポリマー類、ポリエーテルアミド類及びポリエーテルアミドブロックコポリマー類、ポリエステルアミド類及びポリエステルアミドブロックコポリマー類、ポリエーテルエステルアミド類及びポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー類、ポリビニルアルコールコポリマー類、ポリグリコール酸コポリマー類、ポリ乳酸コポリマー類、アクリル及びビニルコポリマー類、並びにこれらの混合物、からなる群から選択される熱可塑性親水性ポリマー、又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、
好適な相溶性可塑剤、又は好適な相溶性可塑剤のブレンド、を含む新規な親水性ポリマー組成物に関する。
【0015】
この親水性ポリマー組成物が、25℃及び1rad/secにおいて、>0.8、好ましくは>1、更に好ましくは>1.5のtanδを有し、
25℃及び1rad/secにおける複素粘度η*は、0.01〜1000Pa・sの間、好ましくは0.1〜500Pa・sの間、更に好ましくは0.5〜200Pa・sの間に含まれる。
【0016】
本発明の親水性ポリマー組成物は、該親水性ポリマー組成物を好適な基材上にコーティングすることにより、透湿性液体不透過性複合構造材料の製造を可能にする。我々は、意外なことに、前記親水性ポリマー組成物により得られる層が、複合構造体が激しい条件下で使用されるときでも層間剥離しないことを見出した。
【0017】
また、本発明は、
25℃及び1rad/secにおいて、>0.8、好ましくは>1、更に好ましくは>1.5のtanδを有し、
25℃及び1rad/secにおける複素粘度η*が、0.01〜1000Pa・sの間、好ましくは0.1〜500Pa・sの間、更に好ましくは0.5〜200Pa・sの間に含まれる、ポリマー組成物でコーティングされた微孔性フィルムを含む、透湿性液体不透過性複合構造体に関する。
【0018】
複合構造体は、少なくとも300g/m2・24h、更に好ましくは少なくとも500g/m2・24h、更により好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hの水蒸気透過速度(WVTR)を有し、該水蒸気透過速度は本明細書で参照される変更されたASTM E−96「直立カップ」法に従って測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
「親水性ポリマー」又は「親水性ポリマー組成物」の記載は、本明細書では、材料中の開放細孔又は孔を通した湿気の通流を可能にはしないが、フィルム又は層又はコーティングの一方側の湿気濃度が高い方で水を吸収し、フィルム又は層又はコーティングの反対側の湿気濃度が低い方で水を脱着又は蒸発させることにより、フィルム又は層又はコーティングを通してかなりの量の湿気を移送する、フィルム又は層又はコーティング(本明細書で説明されるような、モノリシックフィルム又は層又はコーティング類)を形成できるポリマー、典型的には熱可塑性ポリマー、又はポリマー組成物を意図する。従って、「親水性ポリマー」及び「親水性ポリマー組成物」は、本明細書では、「モノリシックポリマー」及び「モノリシックポリマー組成物」の同義語であると考えられる。
【0020】
下記に更に詳細に説明するように、本発明の親水性ポリマー組成物は、室温におけるそれ自体の選択されたレオロジーにより、室温で固体ではないため、「熱可塑性」であるとは言えない。しかし、真の熱可塑性ポリマー組成物に起こるのと同様に、温度が上昇すると本発明のポリマー組成物の粘度は低下する。
【0021】
「通気性の」及び「通気性」の用語は、本明細書では、「透湿性の」又は「水蒸気透過性の」、及び「透湿性」又は「水蒸気透過性」に対応することが意図され、典型的には、発明の背景で定義される「モノリシック組成物」及び「モノリシック層又はコーティング類又はフィルム」、並びに、本発明の好ましい実施形態による前記モノリシック組成物を含む複合構造体のことを言う。また、「湿気」と「水蒸気」は同等とみなす。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、透湿性液体不透過性構造体を製造するための親水性ポリマー組成物は、少なくとも熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、及び好適な可塑剤又は好適な可塑剤類のブレンドを含む。
当該技術分野において既知のように、可塑剤は、加工を容易にすること、及びポリマーが固体のとき、最終製品の可撓性及び靭性を増大することの両方のためにポリマーに添加される有機化合物として広く定義される。本発明者らによる特許出願である、PCT国際公開特許WO99/64077及びWO99/64505において教示されるように、プロセス条件における前記熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類の粘度を低下させるため、熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類を含む親水性ポリマー組成物の中に、可塑剤又は可塑剤類のブレンドを含むことができるが、そうしなければその粘度はかなり高い。このことが、典型的には、望ましい厚さの層及び好ましくは薄い厚さの層を基材上に、即ち、構造基材に後で移送するために形成基材に、又は典型的には、複合層状構造体を形成するために構造基材上に直接、のいずれかで提供されるため、これらの組成物の加工性を容易にする。PCT国際公開特許WO99/64505は、組成物の粘度を調整することに加えて、組成物中に含まれる純粋な熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類の通気性を実質的に保持できる、及び幾つかの場合には増大させることもできる好ましい可塑剤類を詳細に開示している。
【0023】
好ましい実施形態によれば、本発明は透湿性液体不透過性の層又は構造体を製造するための親水性ポリマー組成物を開示し、熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類、及び好適な相溶性可塑剤又は可塑剤類のブレンドの特定の選択によって、
25℃及び1rad/secにおいて、>0.8、好ましくは>1、更に好ましくは>1.5のtanδを有し、
及び
25℃及び1rad/secにおける複素粘度η*が、0.01〜1000Pa・sの間、好ましくは0.1〜500Pa・sの間、更に好ましくは0.5〜200Pa・sの間に含まれる、ことにより定義される、室温における選択されたレオロジーを有する最終組成物が提供される。
tanδは、当該技術分野において既知のように、G’/G”比に対応し、ここで、G’は特定の温度及び周波数で評価される組成物の弾性率、G”は貯蔵弾性率である。
【0024】
このように選択されたレオロジーによって、室温で固体ではなく「クリーム状」又は「ペースト状」であり、同様に室温で展延されることにより基材上に塗布又はコーティングできる、本発明によるポリマー組成物が提供される。
本発明による好適な熱可塑性親水性ポリマー類は、本発明者らの同時係属中の出願であるPCT国際公開特許WO99/64077、WO99/64505、及びEP1193289に開示されている熱可塑性親水性ポリマー類の中から選択することができる。具体的には、本発明による好適な熱可塑性親水性ポリマー類は、ポリウレタン類、コポリウレタン類又はブロックポリウレタン類及びこれらの誘導体、ポリアミド類及びコポリアミド類、ポリエステル類及びコポリエステル類及びこれらのスルホン化誘導体、ポリエーテル及びポリエーテルコポリマー類、ポリエーテルエステル類及びポリエーテルエステルブロックコポリマー類、ポリエーテルアミド類及びポリエーテルアミドブロックコポリマー類、ポリエステルアミド類及びポリエステルアミドブロックコポリマー類、ポリエーテルエステルアミド類及びポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー類、ポリビニルアルコールコポリマー類、ポリグリコール酸コポリマー類、ポリ乳酸コポリマー類、アクリル及びビニルコポリマー類、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0025】
ポリウレタン類、コポリウレタン類又はブロックポリウレタン類及びこれらの誘導体、コポリエステル類、ポリエステルアミドブロックコポリマー類、ポリエーテルブロックコポリマー類、ポリエーテルアミドブロックコポリマー類、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー類、及びポリエーテルエステルブロックコポリマー類、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー類が好ましい。
【0026】
特に好ましい熱可塑性親水性ポリマー類は、熱可塑性ポリエーテルアミドブロックコポリマー類(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー類(例えば、ハイトレル(Hytrel)(商標))、及び熱可塑性ポリウレタン類、典型的には非反応性ポリウレタン類(例えば、エスタン(Estane)(商標))、又はこれらの混合物である。
【0027】
本発明による好適な可塑剤類は、クエン酸エステル類、酒石酸エステル類、グリセロール及びそのエステル類、スクロースエステル類、アジペート類、セバケート類、ソルビトール、エポキシ化植物油類、重合植物油類、多価アルコール類、フタレート類、液体ポリエステル類、グリコレート類、p−トルエンスルホンアミド及び誘導体、グリコール類及びポリグリコール類及びこれらの誘導体、ソルビタンエステル類、ホスフェート類、モノカルボキシル脂肪酸類(C8〜C22)及びその誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
好ましい可塑剤類は、25℃で液体のものである。あまり好ましくないが、25℃では液体でないが80℃で液体である可塑剤類も選択することができる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によれば、親水性ポリマー組成物中に含まれる好適な可塑剤又は好適な可塑剤類のブレンド、及び熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物は、好ましくは、選択された熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物中に、前記好適な可塑剤又は好適な可塑剤類のブレンドが吸収され得るように選択される。
親水性ポリマー又は親水性ポリマー類の混合物の可塑剤又は可塑剤類のブレンドを吸収する能力は、本明細書に記載の可塑剤吸収試験に従って、ポリマー/可塑剤吸収比として測定することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、親水性ポリマー組成物の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、更に好ましくは100重量%が、熱可塑性親水性ポリマー、又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、及び好適な相溶性可塑剤、又は好適な相溶性可塑剤のブレンドからなり、それらは、熱可塑性親水性ポリマーと好適な相溶性可塑剤(親水性ポリマー組成物中に1種類のポリマーと1種類の可塑剤だけが存在する場合)、又は他の選択肢として、それらの各ポリマー/可塑剤の組合せ(親水性ポリマー組成物中に1種類より多くの熱可塑性親水性ポリマー及び/又は1種類より多くの好適な相溶性可塑剤が存在する場合)のポリマー/可塑剤吸収比の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、更に好ましくは少なくとも50%となるように選択されることが見出される。ポリマー/可塑剤吸収比は、本明細書に記載の可塑剤吸収試験に従って測定される。
【0030】
本発明の親水性ポリマー組成物中のポリマー/可塑剤の、又は各ポリマー/可塑剤の組合せの好ましいポリマー/可塑剤吸収比は、好ましくは、25℃の試験温度で満たされなければならない。あるいは、本明細書に記載の可塑剤吸収試験に更に詳細に開示されるように、前記好ましいポリマー/可塑剤吸収比は、80℃の試験温度で満たされなければならない。
【0031】
本発明によれば、親水性ポリマー組成物は、1種類以上の熱可塑性親水性ポリマー類から、及び1種類以上の好適な相溶性可塑剤類からほとんど構成され、選択されたポリマー又はポリマー類、及び可塑剤又は可塑剤類の中で可能な1つの熱可塑性親水性ポリマー/可塑剤、又は各熱可塑性親水性ポリマー/可塑剤の組合せが、好ましいポリマー/可塑剤吸収比の要件を満たすということが有意義である。例えば、本発明による親水性ポリマー組成物では、選択される熱可塑性親水性ポリマーは、本組成物自体に存在する1種類以上の、例えば2種類の選択される好適な相溶性可塑剤類に対して所望のポリマー/可塑剤吸収比を示すことができる。好ましくは、ポリマー/可塑剤吸収比を満たす熱可塑性親水性ポリマー及び2種類の好適な相溶性可塑剤類は、全部で、親水性ポリマー組成物の総量の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%を構成し、更に好ましくは親水性ポリマー組成物の全てを構成する。
【0032】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、所定の比較的低温での、可塑剤吸収試験における25℃の好ましい試験温度によって例示されるように、好ましくは室温での、選択された可塑剤又は可塑剤類を吸収する選択された親水性ポリマー又はポリマー類の能力は、室内条件で固結しないが、代わりに、同様に室温で実際に展延されることによって基材上に塗布又はコーティングできるような、粘稠なペースト状の性質(「クリーム状」とも定義できる)を特徴とする親水性ポリマー組成物を達成する目的に関連性があると考えられる。
【0033】
本明細書で使用される可塑剤吸収試験は、ポリマー類の吸水比の測定に使用されるASTM D 570−81の方法の変更である。この試験から得られる値は、本発明の組成物中に存在する1つのポリマー/可塑剤、又は各ポリマー/可塑剤の組合せのポリマー/可塑剤吸収比であり、熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類の混合物、及び好適な可塑剤又は可塑剤類のブレンドの両方の選択に依存する。
【0034】
本発明によれば、特に、前記で説明した好ましいポリマー/可塑剤吸収比を満たす親水性熱可塑性ポリマー又はポリマー類、及び好適な相溶性可塑剤又は可塑剤類に関して、熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物の総量は、好適な相溶性可塑剤又は好適な相溶性可塑剤のブレンドの総量に匹敵することが好ましい。
【0035】
好ましくは、本発明の親水性ポリマー組成物は、選択される熱可塑性親水性ポリマー又は選択される熱可塑性親水性ポリマーの混合物を、親水性ポリマー組成物の10重量%〜75重量%、好ましくは25重量%〜65重量%、更に好ましくは40重量%〜60重量%、及び選択される好適な相溶性可塑剤又は選択される好適な相溶性可塑剤のブレンドを、親水性ポリマー組成物の25重量%〜90重量%、好ましくは35重量%〜75重量%、更に好ましくは40重量%〜60重量%含む。
【0036】
本発明による親水性ポリマー組成物はまた、前述の本発明により選択されるものの他に、更なる熱可塑性ポリマー又はポリマー類、及びまた更なる可塑剤又は可塑剤類を含むことができる。例えば更なる親水性ポリマー又はポリマー類及び可塑剤又は可塑剤類は、本発明者らによる特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64077又はWO99/64505に開示されているものの中から選択することができる。好ましくは、これらの更なる構成成分を、親水性ポリマー組成物の20重量%より多く含んではならない。
【0037】
例えば組成物の粘着性レベルの上昇が望まれる場合、従来の既知の粘着付与樹脂類もまた、本発明の親水性ポリマー組成物に含むことができる。好適な粘着付与樹脂類は、本発明者らによる特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64077又はWO99/64505及びWO02/28951に開示されているものの中から選択することができる。好ましくは、粘着付与樹脂又は粘着付与樹脂類のブレンドの総量は、前記親水性ポリマー組成物の0〜20重量%、好ましくは15重量%未満、更に好ましくは10重量%未満とすべきである。
【0038】
本発明の親水性ポリマー組成物は、組成物の加工性、またこのような親水性ポリマー組成物から形成される層の機械的特性、並びに光及び酸素によるエージングに対する耐性、目に見える外観などの他の特性も更に改善するため、追加の任意成分を更に含んでもよい。
【0039】
一般に、本発明の親水性ポリマー組成物には、酸化防止剤類、紫外線防止剤類、水捕捉剤類、加水分解安定剤類、顔料類、染料類、臭気吸収材類、香料類、製薬類、薬剤類、薬物類、抗菌剤類、殺生物剤類、抗ウイルス薬類、及びこれらの混合物を挙げてもよく、これらは組成物の10重量%までの濃度で組成物内に存在してもよい。本発明の親水性ポリマー組成物は、その「クリーム状」の性質により、以前知られていた「クリーム状」でない親水性ポリマー組成物と比較して、より低温で従来のホットメルト装置で加工することができるため、これらの活性成分類を組み込むのに特に有用である。これによって、揮発性香料類、又は加熱されると分解する化合物類などの多数の活性物質類を溶融物に直接組み込むことが可能になるが、さもなければ、それらは、既知のホットメルト及び押出成形プロセスに典型的な加工温度で分解する可能性がある。
【0040】
本発明の親水性ポリマー組成物に含むことができる更なる構成成分類は、例えば、更なる望ましい効果を提供できる粒子状又は粉末の形態の材料であり、例えば臭気制御を提供できるいずれかの既知の材料(例えばゼオライト)、又はいずれかの既知の活性剤放出材料、又は既知の流体吸収性材料(例えば超吸収性材料)などがある。本発明の親水性ポリマー組成物に吸水力を提供するため、超吸収性材料が添加される場合、本明細書で使用される前記超吸収性材料の粒子の平均粒度は、乾燥状態で、0.1μm〜500μm、好ましくは1μm〜200μm、更に好ましくは10μm〜100μm、更により好ましくは10μm〜60μm、最も好ましくは15μm〜40μmである。理論によって束縛されることを意図しないが、超吸収性材料の粒子類の平均直径が小さいほど、液体類に対する吸収性が良好であると考えられる。事実、吸収される液体と接触している有効表面積は、大量の小さな粒子の方が、同じ全重量を有する少量の大きい粒子と比較してかなり大きい。一般に、0.1μmよりも小さい超吸収性粒子の粒度は、非常に微細な粒子により、それらの粒子を扱う際、例えば本発明の組成物の製造中に、埃の発生が極めて起こりやすいため、プロセスの問題が生じる場合がある。一方、直径が500μmよりも大きい超吸収性粒子類を使用すると、本発明の組成物の薄い層を提供することはもはや不可能である。このような層の最小限の厚さは、それに組み込まれる超吸収性粒子の直径によって決定される。
【0041】
本発明によれば、透湿性液体不透過性複合材料は、本発明の親水性ポリマー組成物から形成することができ、これは前記親水性ポリマー組成物を好適な基材上に載置することによって行われる。本発明の組成物は、同じ厚さを有し、同じ純粋な熱可塑性親水性ポリマー若しくはポリマー類だけを含む、又は、同じ熱可塑性親水性ポリマー若しくはポリマー類と、本発明の組成物の所望のレオロジー特性を提供しない異なる選択の可塑剤若しくは可塑剤類とを含む固体のフィルム又は層を前記基材上に形成することによって得られるものに類似の、液体不透過性で、良好なレベルの透湿性(通気性)も有する複合材料を提供することができる。また、本発明による特に好ましい組成物は、同じ厚さを有し、同じ純粋な熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類だけを含む固体フィルム又は層を前記基材上に形成して得られる複合材料と比較して、より高レベルの通気性を有する複合材料も提供することができる。本発明のこの特に好ましい実施形態によれば、好ましいポリマー/可塑剤吸収比を満たす好適な相溶性可塑剤又は可塑剤類のブレンドを、本発明者らの同時係属出願であるPCT国際公開特許WO99/64505に記載の好ましい親水性可塑剤類の中から、並びにグリコール類及びポリグリコール類の中から選択することができる。
【0042】
本発明の親水性ポリマー組成物を含む複合材料の透湿度は、好ましくは少なくとも300g/m2・24h、更に好ましくは少なくとも500g/m2・24h、更により好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hであり、前記水蒸気透過速度は変更されたASTM E−96「直立カップ」法に従って測定される。好ましくは前記速度は、少なくとも20μmである親水性ポリマー組成物の典型的には連続的な層の厚さで達成される。
【0043】
本発明によれば、これまで記載された親水性ポリマー組成物から、厚さ約0.2μm〜約200μmの層を形成することができ、前記層は、例えば織布若しくは不織布繊維材料、又は微孔性フィルムなどの異なる基材類にコーティングすることができる。
下記に更に詳細に説明するように、既知の方法で本発明の組成物の層又はコーティング類を製造することができる。
【0044】
本発明に従って製造される層又はコーティング類は、必ずしも連続的ではなく、即ち、液体不透過性ではなく、実際、このような層を、例えば、微孔性フィルムなどの僅かだけ透水性の基材にコーティングする場合、各単一構成成分、即ち、本発明の親水性ポリマー組成物の層と微孔性フィルム基材が、それ自体完全に液体不透過性でなくても、それらは組み合わされて、透湿性及び液体不透過性である複合構造体を形成することができる。
【0045】
本発明の好ましい実施形態によれば、熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類と組合せて前述のように選択される、好適な相溶性可塑剤又は可塑剤類は、最終親水性ポリマー組成物に室温における所望のレオロジー特性を提供することに加えて、典型的には、本発明者らによる特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64077又はWO99/64505に既に開示されているのと同様の方法で、プロセス条件における前記組成物の粘度を調整することにより、本発明の親水性ポリマー組成物の加工性を向上させるのに好ましく有効である。
【0046】
実際、本発明の親水性ポリマー組成物は室温でクリーム状又はペースト状である、即ち、固体ではないため、原則として室温で好適な基材上に塗布することができるが、これらの条件における粘度をより良好に調整するため、プロセス温度の好適な上昇が達成されることが好ましい。
本発明の親水性ポリマー組成物は、既知のホットメルトコーティング技術を使用して選択された基材上に塗布できると同時に、後で室内条件で冷却した後、所望の「クリーム状」の状態を有するように、好ましくは、プロセス条件で以下の複素粘度(η*)を有する。
【0047】
周波数1rad/s、温度210℃以下で、5Pa・s(50ポアズ)<η*<400Pa・s(4000ポアズ)、好ましくは10Pa・s(100ポアズ)<η*<200Pa・s(2000ポアズ)、更に好ましくは10Pa・s(100ポアズ)<η*<100Pa・s(1000ポアズ)、及び、周波数1000rad/s、プロセス温度(T)210℃以下で、η*<200Pa・s(2000ポアズ)、好ましくはη*<100Pa・s(1000ポアズ)、更に好ましくはη*<50Pa・s(500ポアズ)であり、ここで、η*は、熱可塑性親水性ポリマー組成物の複素粘度を表す。好ましくは、温度Tは200℃以下、更に好ましくは180℃以下、最も好ましくは150℃〜50℃である。
【0048】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、前述の複素粘度を有する親水性ポリマー組成物は、低粘度のホットメルト組成物を基材上にコーティングして必要な厚さを有する層にする当該技術分野において既知の典型的なコーティング条件及び装置を使用して、しかし、好ましくは、ホットメルトプロセスで典型的に知られているものと比較して更に低温で、基材にコーティングしてコーティング又は層にすることが可能であると同時に、室内条件で所望の「クリーム状」の状態を有する、即ち、固体のフィルム又は層に硬化しない組成物を提供するという点において、本発明の親水性ポリマー組成物の好都合な特性も維持する。
また、このような粘度を有する本発明による親水性ポリマー組成物は、非常に薄い層も提供できる。
【0049】
本発明による親水性ポリマー組成物は、いずれかの既知のプロセスを用いて製造することができ、これは、典型的には、少なくとも、選択される熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類の混合物、及び選択された好適な相溶性可塑剤又は可塑剤粘類のブレンド、及び任意に前記で説明したいずれかの更なる追加の構成成分、例えば粘着付与剤又は粘着付与剤類のブレンドを提供する工程、これらの構成成分を加熱し、例えば、既知の好適な混合機でこれらを配合して後のプロセス工程のために溶融状態の親水性ポリマー組成物を形成する工程を含む。
あるいは、溶媒又はエマルション系が創作され、前記組成物から透湿性液体不透過性構造体を、及びこの構造体を含む物品を製造する際の中間工程又は最終工程のいずれかとして本発明の親水性ポリマー組成物を加工するために使用することができる。
【0050】
本発明による親水性ポリマー組成物から層を製造する好ましいプロセスは、典型的には、前記組成物を提供する工程、好ましくは、それを加熱して、前記組成物を所望の厚さを有する層で基材上にに形成するためにホットメルトコーティングプロセスを使用できる程度まで流動性を高くする工程を含む。
原則的に、本発明の組成物は、その粘稠な「クリーム状」の状態を利用して、室内条件で所望の基材上に直接塗布できる。勿論、好適に加熱することによって、プロセス条件で組成物の粘度を更に低下させることができ、簡単なホットメルトコーティングプロセスの使用が可能になる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、親水性ポリマー組成物と、前記親水性ポリマー組成物が載置される好適な基材とを含む透湿性・不透水性複合構造体を形成することができ、ここで好ましくは基材も透湿性である。熱可塑性親水性ポリマー又はポリマー類、及び好適な相溶性可塑剤又は可塑剤類の開示される選択による本発明の親水性ポリマー組成物に付与されるレオロジー特性によって、典型的には、得られる複合構造体では使用中の層間剥離に対する抵抗性が増大し、また、親水性ポリマー組成物の非常に薄い層が提供される。本組成物は、特に臨界条件及び応力のかかる使用条件下で基材から分離(即ち、層間剥離)する傾向がより大きい場合がある固体フィルムに室内条件で硬化又は固結しないため、層間剥離に対する抵抗性が向上する。むしろ、本発明の親水性ポリマー組成物は、使用中の機械的応力に更に有効に耐えることができる柔軟で可撓性のある高粘稠性の層を形成する。結果として得られる複合構造体は、前記抵抗性の向上と併せて、例えば、類似の組成物から形成され、同じ厚さを有するが、本発明によるポリマー又はポリマー類の混合物、及び相溶性可塑剤又は可塑剤類のブレンドの選択された組合せを含まないため本明細書に記載の所望のレオロジー特性を有していない固体層又はフィルムと比較した場合、本発明の親水性ポリマー組成物から形成される層の水蒸気透過能に対する悪影響が全くない。本発明による特に好ましい可塑剤類は、類似の組成物から形成される同じ厚さの層と比較したとき、本発明の親水性ポリマー組成物から形成される層の水蒸気透過速度を増大させることができる。前記複合構造体中に使用される好適な基材類は、例えば、不織布層などの繊維基材、又は好ましくは微孔性フィルムである。
【0052】
本発明の親水性ポリマー組成物から、透湿性液体不透過性構造体(コーティング類及び層に限定されない)、並びにこの構造体を含む物品を製造するため、他の既知のプロセスを使用することもできる。
【0053】
(調製方法)
層の少なくとも1つが本発明の親水性ポリマー組成物を含む、2つ以上の層を有する複合構造体を製造することができる。これは、共押出成形、押出コーティングが挙げられるがこれらに限定されない様々な既知の手段で達成することができる。好ましい方法は、ホットメルトコーティングである。このような構造体を物品に組み込むことができる。
【0054】
構造体又は物品は、他の1種類以上の材料との複合体とすることができ、複合体は、他の1種類以上の材料と組合せられる親水性ポリマー組成物の少なくとも1つの構成成分を含むことができる。このような材料には、繊維類、繊維状芯類(fibrous batts)、不織布類、織布類、紙類、微孔性又は多孔質のフィルム又は膜類、ポリマーフィルムなどのフィルム、圧縮石膏シート類などの無機構造体、穿孔又は有孔フィルム及び紙類、巨視的に伸張されたフィルム、布、材木などの実質的に剛性の繊維ベース材料などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記他の構成成分は、非吸収性、吸収性、液体を含有するものなどであってもよい。
【0055】
本発明の好ましい実施形態によれば、微孔性フィルム上にコーティングされて層になる親水性ポリマー組成物を含む複合構造体を提供することができる。
代替の有用な技術は、スプレーコーティングプロセスである。本発明の親水性ポリマー組成物は、加熱スプレー技術に適しているが、加熱すると、好適な基材上にスプレーコーティング又はスパッタリングできるほど粘度が十分に低下する。あるいは、スプレーコーティング法は、溶媒ベースの手法又はエマルションなど、親水性ポリマー組成物の異なる出発原料様式を採用することができる。
本発明の親水性ポリマー組成物を含み、スプレーコーティング手法を採用する複合体物品では、他の材料が金型の役割をするように、他の材料はそれ自体で十分な三次元構造体を提供してもよく、それが十分にコーティングされて、複合体物品が完成する。
【0056】
本発明の一実施形態では、典型的には、透湿性液体不透過性複合層状構造体が提供され、複合材料の全体的な性能に対する本発明の親水性ポリマー組成物から形成される層の寄与によって、通気性の液体バリアが提供され、そのため、好都合なことには、できるだけ薄く提供することができる。ここで残りの性能の物理的基準は、典型的には提供される基材によってもたらされ、そのため基材は支持層の役割もする。
【0057】
基材又は支持層は、好ましくはまた透湿性の、どのような有用な層であってもよく、透湿性は、好ましくは少なくとも100g/m2・24時間、更に好ましくは少なくとも300g/m2・24時間、最も好ましくは少なくとも500g/m2・24時間である。
【0058】
複合構造体の支持層として本明細書で使用するのに好適な基材類には、二次元の平面状ミクロ及びマクロ孔質フィルム;巨視的に伸張されたフィルム;成形された有孔フィルム;不織布及び織布層が挙げられる。本発明によれば、前記層の孔はどのような形状であってもよいが、好ましくは球形又は長円形であり、様々な寸法を有してもよい。これらの孔は、好ましくは、層の表面全体に均一に分布されるが、表面のある特定の領域だけに孔を有する層も考慮されている。
【0059】
好適な2次元多孔質平面層は、当該技術分野において既知のどのような材料で製造してもよいが、好ましくは、一般的に入手可能なポリマー材料から製造される。好適な材料は、いわゆる通気性衣料におけるそれらの用途が当該技術分野において周知の、例えばゴアテックス(Goretex(商標))又はシンパテックス(Sympatex(商標))タイプの材料である。その他の好適な材料には、米国ミネソタ州セントポールのミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)のXMP−1001、及びエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から提供されるエグザイア(Exxaire)XBF−101Wが挙げられる。本明細書で使用するとき、二次元平面層という用語は、深さが1mm未満、好ましくは0.5mm未満の層を言い、その際、孔はその長さに沿って均一な平均直径を有し、この層の水平面から突出していない。本発明で使用する有孔材料は、EP293,482及び該特許中の参照文献に記載されるものなど、当該技術分野において既知の方法のいずれを使用して製造してもよい。
本発明によれば、本明細書で使用するのに特に好ましい支持層には、平面状微孔性フィルムが挙げられる。
【0060】
好適な成形された有孔フィルムには、層表面の水平面を超えて延び、そのため突出部を形成する、別個の孔を有するフィルムが含まれる。これらの突出部は、その終端部にオリフィスが配置されている。好ましくは、前記突出部は、米国特許第3,929,135号に記載されているものと同様に、漏斗形のものである。平面内に配置される孔及び突出部自体の終端部に配置されるオリフィスは、突出部末端のオリフィスの断面の寸法又は面積が、層表面に配置される孔の断面の寸法又は面積より小さければ、円形であっても、又は非円形であってもよい。好ましくは、前記予め成形された有孔フィルムは、完全ではないが少なくとも実質的に一方向に流体を輸送するような単一方向性がある。
本明細書で使用するのに好適な巨視的に伸張されたフィルムには、例えば、米国特許第4,637,819号及び米国特許第4,591,523号に記載されているようなフィルムが挙げられる。
【0061】
本発明のこの好ましい実施形態の複合層状構造体は、熱可塑性組成物が所望の厚さを有する層又はコーティングとして支持基材上に形成され得る複合体を提供することができるため、特に好都合である。例えば、前記に説明されるように、プロセス条件で親水性ポリマー組成物の粘度を好適に調整すると、親水性ポリマー組成物を基材上に所望の厚さで提供するため、低粘度ホットメルト類を直接コーティングする当該技術分野において既知の典型的なコーティング条件及び装置を容易に利用することができる。
【0062】
本発明による透湿性液体不透過性構造体を製造するための親水性ポリマー組成物については、典型的には、プロセス条件で低粘度状態の所望の粘着性を備えるものとして、これまで記載してきた。これは、例えば、親水性ポリマー組成物が好適な基材上にコーティング又は層として直接形成されている、より安定性の高い透湿性液体不透過性層状複合構造体を形成するため、本発明の好ましい実施形態において望ましく、基材に対する前記粘着性は、得られる層又はフィルムの透湿性を損なわない。勿論、これは、コーティング段階での選択された基材に対する親水性ポリマー組成物の接着力の向上に対応するが、組成物は室温で固体に硬化せず、前記で説明するようにクリーム状の状態を維持するため、真の接着作用は実際には発現されない。
【0063】
本発明の別の実施形態によれば、透湿性液体不透過性複合構造体が提供され、該構造体は、
25℃及び1rad/secにおいて、>0.8、好ましくは>1、更に好ましくは>1.5のtanδを有し、
及び
25℃及び1rad/secにおける複素粘度η*が、0.01〜1000Pa・sの間、好ましくは0.1〜500Pa・sの間、更に好ましくは0.5〜200Pa・sの間に含まれる、ポリマー組成物でコーティングされた微孔性フィルムを含む。
【0064】
本実施形態による複合構造体は、少なくとも300g/m2・24h、更に好ましくは少なくとも500g/m2・24h、更により好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hの水蒸気透過速度(WVTR)を有する。水蒸気透過速度は本明細書で参照される変更されたASTM E−96「直立カップ」法に従って測定される。
【0065】
本発明のこの代替の実施形態では、ポリマー組成物は、典型的には、それ自体本質的には親水性となり得ないか、又は本発明の好ましい実施形態の選択されたポリマー類よりも親水性が低い可能性がある熱可塑性ポリマー又は熱可塑性ポリマー類の混合物、及び好適な相溶性可塑剤又は好適な相溶性可塑剤のブレンドを含むことができる。可塑剤又は可塑剤類は、本発明の好ましい実施形態を参照して既に記載したものの中から好適に選択することができる。本発明の好ましい実施形態の熱可塑性親水性ポリマー組成物を参照して前述したように、ポリマー/可塑剤吸収比の好ましい条件は、好ましくは、この代替の実施形態にも適用される。
【0066】
典型的には、複合構造体全体の液体不透過性が達成されることを条件として、できるだけ薄く、好ましくは連続的でないポリマー組成物のコーティングで、この代替の実施形態の複合構造体の通気性を向上させることができる。
【0067】
(用途)
本発明の好ましくは親水性のポリマー組成物及び透湿性液体不透過性構造体、例えば、それから形成される複合構造体は、液体不透過性及び透湿性が望まれる多くの用途で有用性が見出されている。
前記構造体は、典型的には、使い捨て(例えば、基材として不織布を有する構造体)とすることができるし、又は他の選択肢として、耐久性又は半耐久性(例えば、基材又は支持体として織物又は布地を備える積層構造体)とすることもできる。
【0068】
特に本発明は、吸収性物品、創傷ケア物品、又は化粧品類のようなパーソナルケア製品類に有効に使用することができる。非限定例は、おむつ類、生理用ナプキン類、パンティライナー類、失禁用製品類、及び母乳パッド類のような吸収性物品;創傷及び火傷用被覆材類及び包帯類、医療用の加温又は冷却用パッド;例えば、医療処置又は美容処置用で、活性物質を含有及び提供してもよいパッチ類、包帯類又はラップ類;腋窩、手首、及び頭部の汗取りパッド類のような汗取りパッド類、襟インサート類、靴インサート類、ハットバンド類;皮膚上又は毛髪上に通気性コーティングを作り出すためのメークアップ、フェースマスク類、口紅類、又はヘアージェル類、ネイルポリッシュなどのような化粧品類である。
【0069】
本発明の好ましくは親水性のポリマー組成物を含む他の物品は、身体又は身体の部位のための保護的物品を含む。非限定例は、作業着又は手術衣などのような保護衣料;手袋類、指サック類、長手袋類、ミトン類などのハンドカバー類;靴下類、ストッキング、パンティーストッキング、靴類、スリッパ類などの足又は脚カバー類;帽子類、キャップ類などのヘッドカバー類;コンドーム類のような性病予防及び避妊の機械的物品;フェースマスク類、鼻カバー類、耳カバー類、又はミット類などのフェイスカバー類;スポーツ及びフィットネス用着用物品、ウインドブレーカー類、寝袋類;男性器「競技用」サポーター類、ブラジャー類などの身体サポート用品類;下着、保護スリーブ類として、又は保護パッド類中に一部又は全体を組み込まれたものとして使用される衣料を含む。物品及び用途のその他の例には、ヒト用の可撓性又はドレープ性衣料物品、例えば、シャツ類、パンツ類、下着類、よだれかけ類、スモック類、コート類、スカーフ類、外套類、ストッキング類、レギンス類、スカート類、ドレス類などの非限定例;医療業務用、農業用、機械組立及び修理用、緊急公務用、軍用、競技用、清掃業用を含む様々な作業及び業務用の、他の可撓性又はドレープ性の衣料又は保護シート類;動物類用の保護衣類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本発明の好ましくは親水性のポリマー組成物を含む物品の更なるカテゴリーは、物体を保護するための物品を含む。好ましい保護物品は、リネン、マットレス、及び枕カバー類のような保護寝具カバー類を含む。また、クッション類、掛け布団、羽根ぶとん類、ヘッドボード類のようなベッド類の布張り部分、又はソファー類若しくはひじ掛けいす類の布張り部分のための保護カバー類が含まれる。他の非限定例は、電子/電気製品類(例えば、コンピューターのキーボード類、ハードドライブ類、ビデオレコーダー類など)用埃よけカバー類、乗り物類(例えば、飛行機類/列車類)内の座席用ヘッドレストカバー類、収縮包装用ラップ類、1回使用のテーブルカバー類などのような保護物品を含む。生鮮食品及び焼いた食品類(パン、ロール類、ケーキ類)のような食品類用などの包装用物品、例えば冷蔵庫内での食品保存用袋類、又は同様に電子レンジ用包装フィルム、又は例えばピザのような熱い「持ち帰り用」食品類用の包装類がある。更なる例は、農業又は園芸用物品、例えば非限定例としては、個々の植物類又は特定の植物類群を部分的又は全体的に囲むために設置される個々の物品(容器、三次元「バッグ」)を含む。布張りをしたいす類及びソファー類などのための保護カバー類のような家具用保護カバー類もまた含まれる。他の代替の保護物品は、建築用屋根葺き材類及び家屋の覆い、スキー、ウィンドサーフィン及び自転車/オートバイ用胸当てズボン類、絨毯類及び壁紙類用の裏材類、キャンプ用テント類、様々な品目(例えば車類、テニスコート類、スポーツグラウンド類など)のための保護シート類、庭/温室類の保護用シート類、テニスコート類、スポーツグラウンド類の閉鎖/保護用テント類、低温からの植物類保護のための品目などを含む。
【0071】
本発明の好ましくは親水性のポリマー組成物が、スプレーコーティング/刷毛塗り/ロールコーティングにより、典型的には溶媒又はエマルションをベースにする組成物の形態及び室温で適用される代替の用途では、石、コンクリート、木材(例えば家具)のような硬質面、靴類/皮革物品又は織物類のコーティング/防水加工のための保護コーティング類、車類のための保護用コーティング類(例えば船による輸送中)、例えば、長期間使用しない間の車類、ボート類などのための保護用コーティング類を含む。本発明の好ましくは親水性のポリマー組成物は、通気性塗料類にも含まれ得る。
【0072】
より一般的には前述の多くの異なる用途において可能であればいつでも、本発明の好ましくは親水性のポリマー組成物は、基材又は構造体上に既に形成されている層として提供できるし、又は他の選択肢として、例えば、スプレー又は刷毛塗りなど、液体又は半液体の形態で適用することもでき、また、活性剤類、例えば身体への、美容組成物、医療組成物、又は保護組成物中の活性剤類、又は植物への活性剤類を含む可能性もある。
【0073】
一般的には本発明の好ましくは親水性のポリマー組成物を含むすべての物品は、一般に、可撓性又は剛性の可能性がある。
前記のすべての物品は、既に記載した特許出願であるPCT国際公開特許WO99/64077、WO99/64505、及びEP1193289に記載される親水性ポリマー組成物も含むことができる。
【0074】
本発明の親水性ポリマー組成物を好適な基材上に成形することによって形成される透湿性液体不透過性複合構造体は、使い捨て吸収性物品、とりわけ生理用ナプキン類及びパンティライナー類、さらにはおむつ類、失禁用製品類、及び母乳パッド類用のバックシートとして特に有用である。また、マットレス又は枕カバー類のような寝具類は、本発明の複合構造体を含むことが好都合である。このような物品は、典型的には、液体透過性トップシート、吸収コア、バックシートなどの、当業者に既知の構成要素を含み、任意に固定手段やウイング類などの他の構成要素を含んでもよい。本発明による複合構造体から製造されるバックシート又は寝具物品は、液体不透過性及び通気性を提供すると同時に、激しい使用条件でも層間剥離に抵抗するため、改善された構造安定性を有する。
【実施例】
【0075】
(実施例1):以下を含む親水性ポリマー組成物:
【0076】
【表1】

【0077】
(実施例2):複合材料
実施例1の組成物(5gsm)を微孔性フィルムトリーデガー(Tredegar)XBF610w上に塗布して薄いコーティングにする。
得られる複合材料のMVTRは、900g/m2・24hである。
【0078】
(実施例3):複合材料
実施例1の組成物(5gsm)を微孔性フィルムトリーデガー(Tredegar)XBF616上に塗布して薄いコーティングにする。
得られる複合材料のMVTRは、900g/m2・24hである。
【0079】
(実施例4):物品
手術衣材料は、坪量24gsmの2層のスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布 (BBAシエ(Cie)製)間に実施例2の複合材料を組み立てて構成される。
【0080】
(試験方法)
(可塑剤吸収試験)
熱可塑性ポリマーのポリマー/可塑剤吸収比の決定は、変更された標準試験方法ASTM D 570−81に従って実施され、前記標準試験方法はポリマー類の吸水性を測定することを意図しているが、ここでは、ポリマーの可塑剤吸収性を測定するのに使用され、そのため、該試験が水の使用を指示するところで、選択された可塑剤を使用するという点が変更されている。
熱可塑性ポリマーのポリマー/可塑剤吸収比の測定は、ペレットの形態のポリマーで行われ、ペレットの直径は3mm〜5mmの範囲である。
【0081】
ポリマー/可塑剤吸収比の測定は、液体の形態の可塑剤で実施されなければならない。25℃で液体である可塑剤類では、試験は25℃で行われ、25℃で固体である可塑剤類では、試験は80℃で行われる。この温度は、「試験温度」と称される。80℃で液体でない可塑剤類は、本発明の熱可塑性親水性組成物に好適ではないと考えられ、選択される熱可塑性ポリマー中の各ポリマー/可塑剤吸収比は、慣用的にゼロとみなされる。また、試験温度でポリマーが可塑剤に完全に溶解するポリマー/可塑剤の組合せも、本発明の熱可塑性親水性組成物に好適ではないと考えられる。
【0082】
この方法によれば、ペレットの形態のポリマー10gが、試験温度で24時間液体可塑剤30g中に浸漬される。その後、ポリマーに吸収されない過剰量の可塑剤は、既知の好適な手段でポリマーのペレットから分離される。試験温度が80℃であった場合、後でペレットは25℃でゆっくり冷却される。最後に、ASTM D 570−81標準に従って、吸収された可塑剤のパーセンテージが測定される。これは、ポリマー/可塑剤吸収比と呼ばれ、重量パーセントで表される。
【0083】
本発明のポリマー組成物を含む物品、例えば、基材上にポリマー組成物がコーティングされている使い捨て吸収性物品から始める場合、それに含有されるポリマー又はポリマー類の混合物、及び可塑剤又は可塑剤類の混合物を決定するため、既知の手段でポリマー組成物を単離することができる。典型的には、使い捨て吸収性物品において、トップシートをバックシートから取り除き、その両方を、どの追加の層(ある場合)からも分離する。「クリーム状」のポリマー組成物をその基材層からスパチュラで擦り取る。それに含有されるポリマー又はポリマー類の混合物、及び可塑剤又は可塑剤類の混合物を決定するため、当業者に周知の慣用的な分析技術を使用して、回収されたポリマー材料を分析することができる。これが決定されると、本明細書に記載の可塑剤吸収試験を実施するため、熱可塑性ポリマー又は各熱可塑性ポリマーはペレットの形態で提供され、可塑剤又は可塑剤類は液体の形態で提供される。
【0084】
(透湿試験)
本発明の材料の通気性は、変更されたASTM E−96「直立カップ」法に従って、25℃、55%の相対湿度における透湿度として測定されるものである。標準ASTM E−96「直立カップ」法に対する唯一の変更は、試料とカップ内の水面との間の空隙の高さの変更であり、その高さは、標準試験方法で指定される19mm±2.5mmに代わり4mm±0.5mmである。
【0085】
(複素粘度測定)
本発明によれば、複素粘度η*及びtanδは、レオメトリックス社(Rheometrics Co.)から入手可能なレオメータRDA−IIを使用して測定される。
複素粘度及びtanδを測定するため、本発明のポリマー組成物を含む物品、例えば、基材上にポリマー組成物がコーティングされている使い捨て吸収性物品から始める場合、試験するため、既知の手段でポリマー組成物を単離することができる。典型的には、使い捨て吸収性物品では、トップシートをバックシートから取り除き、その両方を、どの追加の層(ある場合)からも分離する。「クリーム状」のポリマー組成物をその基材層からスパチュラで擦り取る。回収されたポリマー材料を使用して、既知の手段で前述されるように試料を調製する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリマー組成物であって、
ポリウレタン類、コポリウレタン類又はブロックポリウレタン類及びこれらの誘導体、ポリアミド類及びコポリアミド類、ポリエステル類及びコポリエステル類及びこれらのスルホン化誘導体、ポリエーテル及びポリエーテルコポリマー類、ポリエーテルエステル類及びポリエーテルエステルブロックコポリマー類、ポリエーテルアミド類及びポリエーテルアミドブロックコポリマー類、ポリエステルアミド類及びポリエステルアミドブロックコポリマー類、ポリエーテルエステルアミド類及びポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー類、ポリビニルアルコールコポリマー類、ポリグリコール酸コポリマー類、ポリ乳酸コポリマー類、アクリル及びビニルコポリマー類、並びにこれらの混合物、からなる群から選択される熱可塑性親水性ポリマー、又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、
好適な相溶性可塑剤又は好適な相溶性可塑剤のブレンド、
を含み、
前記親水性ポリマー組成物が、25℃及び1rad/secにおいて、>0.8、好ましくは>1、更に好ましくは>1.5のtanδを有し、
25℃及び1rad/secにおける複素粘度η*が、0.01〜1000Pa・sの間、好ましくは0.1〜500Pa・sの間、更に好ましくは0.5〜200Pa・sの間に含まれる、親水性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性親水性ポリマーが、ポリウレタン類、コポリウレタン類又はブロックポリウレタン類及びこれらの誘導体、コポリエステル類、ポリエステルアミドブロックコポリマー類、ポリエーテルブロックコポリマー類、ポリエーテルアミドブロックコポリマー類、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー類及びポリエーテルエステルブロックコポリマー類、並びにこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の親水性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記好適な相溶性可塑剤又は好適な相溶性可塑剤のブレンドが、クエン酸エステル類、酒石酸エステル類、グリセロール及びそのエステル類、スクロースエステル類、アジペート類、セバケート類、ソルビトール、エポキシ化植物油類、重合植物油類、多価アルコール類、フタレート類、液体ポリエステル類、グリコレート類、p−トルエンスルホンアミド及び誘導体、グリコール類及びポリグリコール類及びこれらの誘導体、ソルビタンエステル類、ホスフェート類、モノカルボキシル脂肪酸類(C8〜C22)及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される請求項1又は2に記載の親水性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、及び前記好適な相溶性可塑剤又は好適な相溶性可塑剤のブレンドは、前記親水性ポリマー組成物の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、更に好ましくは100重量%が熱可塑性親水性ポリマー、又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、及び好適な相溶性可塑剤、又は好適な相溶性可塑剤のブレンドからなるように選択され、ここで前記熱可塑性親水性ポリマーと前記好適な相溶性可塑剤、又は他の選択肢として、それらの各熱可塑性親水性ポリマー/可塑剤の組合せが、ポリマー/可塑剤吸収比の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%であり、前記比は本明細書に記載の可塑剤吸収試験に従って測定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記親水性ポリマー組成物の10重量%〜75重量%、好ましくは25重量%〜65重量%、更に好ましくは40重量%〜60重量%の前記熱可塑性親水性ポリマー又は熱可塑性親水性ポリマーの混合物、
前記親水性ポリマー組成物の25重量%〜90重量%、好ましくは35重量%〜75重量%、更に好ましくは40重量%〜60重量%の前記好適な相溶性可塑剤又は好適な相溶性可塑剤のブレンド、
0重量%〜20重量%、好ましくは15重量%未満、更に好ましくは10重量%未満の好適な相溶性粘着付与樹脂又は好適な相溶性粘着付与樹脂のブレンド、
を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の親水性ポリマー組成物。
【請求項6】
透湿性基材上にコーティングされる、請求項1〜5のいずれかに記載の親水性ポリマー組成物から形成される層を含む、透湿性液体不透過性複合構造体。
【請求項7】
前記親水性ポリマー組成物の前記層が、50ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、更に好ましくは0.5〜10ミクロンの厚さでコーティングされる、請求項6に記載の透湿性液体不透過性複合構造体。
【請求項8】
前記複合構造体は、少なくとも300g/m2・24h、更に好ましくは少なくとも500g/m2・24h、更により好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hの水蒸気透過速度(WVTR)を有し、前記水蒸気透過速度は本明細書で参照される変更されたASTM E−96「直立カップ」法に従って測定される、請求項6又は7に記載の透湿性液体不透過性複合構造体。
【請求項9】
前記透湿性基材が微孔性フィルムである、請求項6〜8に記載の透湿性液体不透過性複合構造体。
【請求項10】
請求項6〜9に記載の透湿性液体不透過性複合体を含む吸収性物品。
【請求項11】
・前記熱可塑性親水性ポリマー又はポリマーの混合物を提供する工程、
・前記好適な相溶性可塑剤又は好適な相溶性可塑剤のブレンドを提供する工程、
・前記熱可塑性親水性ポリマー又はポリマーの混合物、及び前記好適な相溶性可塑剤又は可塑剤のブレンドを加熱し、それらを配合して溶融状態の前記熱可塑性組成物を形成する工程、を含む請求項1〜5に記載の親水性ポリマー組成物を製造するプロセス。
【請求項12】
・前記親水性ポリマー組成物を提供する工程、
・好ましくは前記親水性ポリマー組成物を加熱する工程、
・前記熱可塑性組成物を、所望の厚さを有する層で基材上にコーティングする工程、
を含む請求項1〜5に記載の親水性ポリマー組成物を含む複合材料を製造するプロセス。
【請求項13】
ポリマー組成物でコーティングされた微孔性フィルムを含む、透湿性液体不透過性複合構造体であって、
前記ポリマー組成物が、25℃及び1rad/secにおいて、>0.8、好ましくは>1、更に好ましくは>1.5のtanδを有し、
25℃及び1rad/secにおける複素粘度η*が、0.01〜1000Pa・sの間、好ましくは0.1〜500Pa・sの間、更に好ましくは0.5〜200Pa・sの間に含まれ、
前記複合構造体が、少なくとも300g/m2・24h、更に好ましくは少なくとも500g/m2・24h、更により好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hの水蒸気透過速度(WVTR)を有し、前記水蒸気透過速度は本明細書で参照される変更されたASTM E−96「直立カップ」法に従って測定される複合構造体。
【請求項14】
請求項13に記載の透湿性液体不透過性複合体を含む吸収性物品。
【請求項15】
前記物品が、女性用の保護用使い捨て物品、好ましくは生理用ナプキン又はパンティライナーである、請求項10又は14に記載の吸収性物品。

【公表番号】特表2006−526032(P2006−526032A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563910(P2004−563910)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/040856
【国際公開番号】WO2004/058116
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】