構造物の欠陥検出方法および装置、ならびに欠陥検出機能を備えた荷役機械
【課題】移動荷重を生じさせる移動体が走行する大型構造物において、その表面亀裂等の欠陥を、欠陥検出作業用の足場を組むことなく、赤外線照射等の加熱手段を必要とせずに、かつ加振装置などの構造物への荷重負荷の付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって、遠隔から容易かつ確実に検出することができる構造物の欠陥検出方法を提供すること。
【解決手段】移動荷重を生じさせる移動体7が走行する構造物4の欠陥を検出するにあたり、移動体7に赤外線カメラ9を設置し、その赤外線カメラ9により移動体7が走行することにより応力変動が生じている構造物4を撮影して、構造物4の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより前記構造物に存在する欠陥を検出する。
【解決手段】移動荷重を生じさせる移動体7が走行する構造物4の欠陥を検出するにあたり、移動体7に赤外線カメラ9を設置し、その赤外線カメラ9により移動体7が走行することにより応力変動が生じている構造物4を撮影して、構造物4の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより前記構造物に存在する欠陥を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンやアンローダなどの大型の移動荷役機械の表面亀裂や内部亀裂・腐食などの欠陥を検知する構造物の欠陥検出方法および装置、ならびに欠陥検出機能を備えた荷役機械に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン、アンローダをはじめとする大型構造物や荷役機械の老朽化が社会問題となっており、この対策に対しては強いニーズがある。効率的な老朽化対策を実施するためには、老朽化度合いを知ることが先決である。このため、対象としている構造物の欠陥を検出する必要があり、その手段として、例えば、カラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などが従来から実施されている。
【0003】
しかしながら、カラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などの手法は、それぞれ必要な処置を施すために測定対象物の近傍まで人が近づかなければ計測ができない。例えば、磁紛探傷においては、検知領域の錆などを落とし計測可能な表面性状にしたうえで、磁界をかける必要がある。このため、大型構造物の場合には検査を行うために足場を組んで高所作業の準備を整え、検査領域に作業員の手が届く状態にしなければ作業が行えない。その結果、欠陥検出費用よりも、足場を組む作業のほうが多くの人手と費用を費やさねばならない。
【0004】
このような状況下において、遠隔計測を実現するため、さらには一度に広範囲の領域を検査できる利便性から、近年、赤外線カメラを用いた赤外線サーモグラフによる手法が提案されている。例えば、トンネル内部のコンクリート壁の亀裂や剥離などを検出する手段として、従来の打音テストによる診断方法に替わって、なんらかの熱源によりトンネル壁面を加熱し、正常部位の温度分布の差から欠陥部位を検出する方法が用いられている。これら赤外線カメラを用いたアクティブな手法の従来技術として、例えば、特許文献1には、コンクリート構造物に赤外線を均一に照射する手段を用いて、温度分布を測定することにより構造物の内部欠陥を検出する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、鋼構造物を対象として加熱前後における温度分布画像の差画像および健全・非健全のサンプル熱画像の差を用いた欠陥の識別方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2に記された方法では、加熱のために赤外線照射が前提とされており、この方法ではコンクリートなど比較的熱拡散速度の遅い対象には適用可能であるが、熱拡散速度の速い鋼構造物に対しては、近接距離から赤外線を照射しなければ赤外線カメラで検出できるほどの温度分布を作り出すことが困難である。このため、加熱を行うために測定対象まで近接する手段が必要となり、やはり、上述したカラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などの手法と同様、足場などを組む必要が生じてしまう。また、赤外線カメラを固定して計測するために欠陥検出に時間がかかってしまう。
【特許文献1】特開2003−185608号公報
【特許文献2】特開2004−37201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、クレーンやアンローダに代表される、移動荷重を生じさせる移動体が走行する大型構造物において、その表面亀裂等の欠陥を、欠陥検出作業用の足場を組むことなく、赤外線照射等の加熱手段を必要とせずに、かつ加振装置などの構造物への荷重負荷の付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって、遠隔から容易かつ確実に検出することができる構造物の欠陥検出方法および装置、ならびに欠陥検出機能を備えた荷役機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、荷役機械のような移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物において、実使用時に移動体から与えられる移動荷重により応力を付与し、かつ移動体に設けられた赤外線カメラにより応力変動が生じている構造物を撮影することにより、赤外線カメラによる熱画像を用いて遠隔位置から容易かつ確実に、しかも実操業を行いながら欠陥を検出することができることを見出した。
【0009】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜(28)を提供する。
【0010】
(1)移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、前記移動体に赤外線カメラを設置し、その赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して、前記構造物の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより前記構造物に存在する欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
【0011】
(2)前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする(1)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0012】
(3)移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を前記熱画像と同時に計測し、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする(1)または(2)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0013】
(4)前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0014】
(5)前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0015】
(6)前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0016】
(7)前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行うことを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0017】
(8)前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより行われることを特徴とする(7)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0018】
(9)前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより行われることを特徴とする(7)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0019】
(10)移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出装置であって、前記移動体に設置された赤外線カメラと前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部とを具備することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
【0020】
(11)前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする(10)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0021】
(12)移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする(10)または(11)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0022】
(13)前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする(10)から(12)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0023】
(14)前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする(10)から(12)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0024】
(15)前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする(10)から(14)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0025】
(16)前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする(10)から(15)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0026】
(17)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(16)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0027】
(18)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(16)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0028】
(19)移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた構造物と、前記構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、前記欠陥検出機構は、前記移動体に設置された赤外線カメラと前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部とを有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0029】
(20)前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする(19)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0030】
(21)前記欠陥検出機構は、移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする(19)または(20)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0031】
(22)前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする(19)から(21)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0032】
(23)前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする(19)から(22)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0033】
(24)前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする(19)から(23)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0034】
(25)前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする(19)から(24)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0035】
(26)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(25)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0036】
(27)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(25)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0037】
(28)移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた第1の構造物と、前記第1の構造物が走行可能に設けられた第2の構造物と、前記第1および第2の構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、前記欠陥検出機構は、前記移動体に設置された第1の赤外線カメラと、前記第1の構造物に設置された第2の赤外線カメラと、前記第1の赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第1の構造物を撮影して得られた熱画像、および前記第2の赤外線カメラにより前記第1の移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第2の構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部とを有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する際に、移動体に赤外線カメラを設置し、その赤外線カメラにより移動体が走行することにより応力変動が生じている構造物を撮影して、構造物の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより構造物に存在する欠陥を検出するので、欠陥検出作業用の足場を組むことなく、赤外線照射等の加熱手段を必要とせずに欠陥を測定することができ、しかも静止状態の荷重負荷よりも応力変動を大きくすることができ、より高精度で欠陥の検出を行うことができる。また、本発明が対象としている橋梁やクレーン等の荷役機械のような大型構造物では、もともと移動荷重が予定されており、その予定されている移動荷重を用いて応力変動を生じさせるので、加振装置等の特別な荷重負荷付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって、極めて迅速に構造物の欠陥を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るクレーン装置を示す概略斜視図である。
【0040】
このクレーン装置は、一対のガーダ4を有しており、この一対のガーダ4の上にまたがるように、クレーン台車であるトロリ7が走行可能に設けられている。トロリ7は荷物8を吊した状態で、ガーダ4の上をその長手方向に沿って走行する。また、ガーダ4は、建屋に設けられたガーダ走行用のランウエイ5に沿って走行するようになっている。
【0041】
トロリ7には取り付け部材20によりガーダ4の熱画像を撮影するための赤外線カメラ9が取り付けられ、この赤外線カメラ9はトロリ7の移動にともなって移動しつつガーダ4を撮影する。赤外線カメラ9からの情報は、情報処理部10に取り込まれ、この情報処理部10において欠陥を検出するための所定の情報処理が行われる。
【0042】
トロリ7にはレーザ変位計13が設けられており、さらにガーダ4の端部に反射板14が設けられている。そして、レーザ変位計13により、射出したレーザを反射板14で反射させて反射光を受光することによって、トロリ7の移動量または位置情報を得るようになっている。または、CCDカメラによる可視画像を同時に入手することで欠陥の位置を後で確認することも可能である。
【0043】
情報処理部10は、パソコン11と、Lock-in processor15と、表示部(ディスプレー)12を有している。Lock-in
processor15は、レーザ変位計13からの検出信号から得られるトロリ7の移動量または移動速度を熱画像と同時にパソコン11に取り込み、これを参照信号として、これに同期して変動する熱画像を取り出すとともに表示部(ディスプレー)12に表示する。
【0044】
実際のクレーン装置のガーダ4における欠陥検出に際しては、赤外線カメラ9をセットし、その視野を、例えばトロリ7の4箇所の車輪下でかつ亀裂発生頻度の高いウエブとフランジの溶接部に合わせる。この状態で荷重8を吊した状態のトロリ7をガーダ4上で横行させる。これにより、ガーダ4には、応力変動が発生し、これに伴う熱弾性効果または塑性発熱により、わずかであるが温度分布変動が生じる。赤外線カメラ9は、トロリ7とともに移動しながら、この際のガーダ4の熱画像を撮影し、その情報を情報処理部10に送信する。情報処理部10ではその情報がパソコン11に取り込まれ、赤外線カメラ9により撮影したガーダ4上の熱画像計測面における温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、その結果に基づいて欠陥を検出し、その際の欠陥検出画面が表示部(ディスプレー)12に表示される。Lock-in processor15においては、参照信号と熱画像情報(温度データ)との関係が図2に示すようになっており、熱画像情報を参照信号に同期させて計測することにより、温度変動の振幅および位相のずれをもとに欠陥を検出し、参照信号と相関のない温度変動による影響を小さくして信号のS/N比を向上させる。
【0045】
このようにして得た熱画像をオンラインでリアルタイムに、またはパソコン11内のメモリ等に記憶させておきオフラインで再生することにより、亀裂の有無を確認することができる。この際に、レーザ変位計13で検出した信号によりトロリ7の移動量または位置情報を把握することができるので、この情報を記録することにより、亀裂の有無のみならず亀裂の位置を特定することもできる。
【0046】
以上は、赤外線カメラ9をトロリ7に取り付けてガーダ4の亀裂を検出する場合について説明したが、第2の実施形態として図3に示すように、赤外線カメラ9を取り付け部材21によってガーダ4に取り付け、ランウエイ5の亀裂を検出するようにすることも可能である。この場合にも上記手順と全く同様にして検出作業を行うことができる。なお、この場合には、ガーダ4にレーザ変位系13′を取り付け、ランウエイ5に反射板14′を取り付けることにより、ガーダ4の移動量または位置情報を把握することができる。または、CCDカメラによる可視画像を同時に入手することで欠陥の位置を後で確認することも可能である。
【0047】
本実施形態においては、このように移動荷重が付与されることにより、その際の応力変動にともなう温度変化を検出することができるので、熱弾性効果または塑性発熱を利用して亀裂等の欠陥を把握することができる。また、このようなクレーン装置1では、本来的に荷重が移動するものであるため、加振装置等の特別な荷重負荷付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成により、かつ安価に上述のような手順で欠陥を検出することができる。そして、このようにトロリ7またはガーダ4を移動させながら熱画像を得ることができるので、ガーダ4およびランウエイ5全域の劣化診断を極めて短時間で行うことが可能であり、老朽設備の安全性を素早くかつ漏れなく高精度で確認することができる。また、このように荷重を移動させながら検出作業を行うことができるため、実働の際に赤外線カメラ9の画像をモニタすることによっても亀裂の診断を行うことができる。
【0048】
亀裂がある程度大きく、負荷荷重も十分な場合には、トロリ7またはガーダ4を走行させた際の赤外線カメラ9を通過時の画像だけで検出可能であるが、亀裂が短い場合や負荷荷重が小さい場合には、亀裂先端近傍の応力状態が検出に十分な程大きくならず、赤外線カメラ9の通過時の熱画像だけではノイズ等の影響により亀裂を見逃すおそれがある。
【0049】
このような場合には、計測精度を高めるために、例えば図4に示すように、赤外線カメラ9を取り付ける取り付け部材21に赤外線カメラが走行するリニアガイド22を取り付け、一定の範囲内において、トロリ7またはガーダ4の移動方向とは反対方向に同じ移動速度で赤外線カメラ9を移動させるようにする。これにより、測定部位に対してカメラ視野が相対的に停止している状態で熱画像を得ることができ、これにより特定部位の情報量を多くしてS/N比を高めることができる。本実施形態のクレーン等、一般的に荷役構造物では、劣化しやすい箇所は概ね予想がつくので、その部位を中心にこのような方法で測定箇所を順次移動させて熱画像を入手することにより、検出精度を向上させることができる。なお、図1の取り付け部材20に同様なリニアガイドを設けて赤外線カメラ9を移動させることも可能である。
【0050】
上記のように赤外線カメラ9をリニアに移動させる代わりに、赤外線カメラ9の角度を可変にしておき、一定の範囲内において、トロリ7またはガーダ4の移動方向とは反対方向に同じ移動速度で赤外線カメラ9の角度を変化させることにより同様な効果を得ることができる。
【0051】
また、き裂が短い場合や負荷荷重が小さい場合に、ロックイン計測、あるいは自己相関ロックイン計測等のロックイン処理による、ソフト的な手法で精度改善を行うことが有効である。
【0052】
しかしながら、移動する物体から撮像したときには、当然ながら測定対象物の視野内での位置も変化するため、そのままではロックイン解析ができない。このため、時系列で得られた赤外線強度分布データを画素単位で並べかえることにより、定点の時系列赤外線強度分布データが得られるようにする。具体的な手法を以下に示す。
【0053】
図5に示すように、例えば256画素×256画素の有効撮像画素をもつ赤外線カメラ(赤外線サーモグラフィ)31を左から右に移動させながら測定対象物32を撮像する場合を考える。図5の(a)はそのときの状態を模式的に示し、(b)は赤外線カメラ31の画像を示す。この図に示すように、対象物中の注目点Aは赤外線カメラ31が位置Xにあるときには、画面中の最も右の画素列に捉えられる。その後、赤外線カメラ31の移動により、順次画面中を右から左へと移動し、赤外線カメラが位置Yに達したときに最も左の画素列に捉えられ、その後は画面から外れる。したがって、注目点Aの時系列赤外線強度変動データは、注目点Aが赤外線カメラ31の視野に捕らえられている時間の間、計測することが可能であり、その数は赤外線カメラ31の横方向の画素数(この場合256)、時間にすれば赤外線カメラ31のフレーミングタイム分となる。また移動方向の位置に関しては、時系列データの開始時刻は図6に示すようにずれているが、移動方向の長さに関しては赤外線カメラ31の横方向の画素数分のデータが得られる。同じ時間スケールにおけるある領域の連続画像を得るためには、図6のように帯状時間領域Tを設定してロックイン処理を行う。
【0054】
この場合には、例えば、図7に示すように、パソコン11を用いた画像処理により、熱画像上においてねらった部位、つまり測定対象の注目部位が、異なる時刻の画面上で互いに重なるように、各画像について画面上での経時的な移動量に相当する画素分だけ時間的にシフトして重ねるようにし、一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行う。これにより、熱画像の一部は活用できないものの、ねらった部位に関しては情報を時間的に重ねることにより時間的な変化の情報をより多く入手することができ、検出精度を向上させることができる。
【0055】
ロックイン処理は、図6のように1つの設定帯時間に対して行うことも可能であるが、この場合には、図7に示すように、処理を行わないデータを作ってしまう。そこで、帯状の時間を設定する場合には、図8に示すように、一定の時間領域において、複数の帯状時間領域(図8ではT1〜T4)を、時刻をずらして設定し、これらに対して逐次ロックイン処理を連続して行い、その結果を順次平均化すればよい。このように、帯状の時間領域に入っている場所でのロックイン処理結果を順次平均化していくことにより、図9に示すように、全領域にわたるロックイン処理画像を得ることができる。このような処理によれば、図6に示すような1つの設定帯時間に対してロックイン処理を行う場合に比べ、得られたデータを最大限活用することが可能であるため、画像全域の欠陥をさらに見落とすことなく検知することができる。
【0056】
また、このようなロックイン処理を用いた手法は、例えば赤外線カメラを複数台使用することで、同じ時間でより広範囲の熱画像情報を入手することができ、計測の空間およびロックイン処理の時間領域を拡張することが可能なので、加算回数が増して測定精度の向上につながる。
【0057】
次に、測定対象の亀裂欠陥部分の判定について説明する。
測定対象の亀裂欠陥部分の判定については図10の手法を用いることができる。すなわち、図10の(a)に示す測定対象の熱画像の空間的変化と時間的変化から、移動荷重にともなって局所的に温度変化が急峻に変化している箇所を見出し、この箇所を亀裂先端とみなすことによる方法を用いることができる。この場合に、図10の(a)に示す矢印の部分の応力分布は図10の(b)に示すようになる。また、前記矢印の部分の応力分布の時間的変化は図10の(c)に示すようになる。
【0058】
上述したように、構造物の亀裂は部材同士の溶接部などあらかじめ発生箇所が概略予測可能である。したがって、予想される亀裂の発生箇所を中心にその周辺部位において、移動荷重にともなって変化する温度分布の時間変化データから最も変化量の大きな部分、または急峻に変化する部分を見出せば、亀裂の部位を特定することができる。なお、図6の応力値データは画像の局所的なデータを代表例として掲載したが、解析過程では当然のことながら熱画像全領域の応力分布の時間的変化を評価する。
【0059】
以上説明したような手法により、製鉄所等において膨大な数使用されているガーダおよび総延長距離が数十kmにもおよぶランウエイの検査を、人手を介することなく、赤外線カメラと比較的簡易な情報処理部等による簡単な装置を用いて、トロリやガーダを通常通り移動させるだけで行うことができ、簡易、かつ高精度、かつ短時間で効率良く亀裂を把握することができる。従来の手法では足場を組み立てる等の大がかりな設備を用い、操業を止めて長時間の検査を行う必要があり、精度も十分なものではなかったが、本発明によりこのような問題を解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、クレーン等の大型の荷役機械の構造部に生じた亀裂等の欠陥の検出に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検出機能を備えたクレーン装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】Lock-in processorにおける参照信号と熱画像情報の関係を示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る欠陥検出機能を備えたクレーン装置の概略構成を示す斜視図。
【図4】赤外線カメラ取り付け部の変形例を示す図。
【図5】赤外線カメラを移動した時の、画像上の注目点の位置の推移を説明するための図。
【図6】帯状時間領域Tを設定してロックイン処理を行う場合を説明するための図。
【図7】図6に示すように帯状時間領域Tを設定してロックイン処理を行う際の画像処理を説明するための模式図。
【図8】複数の帯状時間領域T1〜T4を設定してロックイン処理を行う場合を説明するための図。
【図9】図8に示すように複数の帯状時間領域T1〜T4をずらして設定し、これらに対してロックイン処理を連続して行い結果を平均化する画像処理を説明するための模式図。
【図10】測定対象の亀裂欠陥部分の判定を行う方法の一例を示す図。
【符号の説明】
【0062】
4;ガーダ(構造物または移動体)
5;ランウエイ(構造物)
7;トロリ(移動体)
8;荷物
9;赤外線カメラ
10;情報処理部
11;パソコン
12;表示部
13;レーザ変位計
14;反射板
15;Lock-in processor
20,21;取り付け部材
22;リニアガイド
31;赤外線カメラ
32;測定対象物
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンやアンローダなどの大型の移動荷役機械の表面亀裂や内部亀裂・腐食などの欠陥を検知する構造物の欠陥検出方法および装置、ならびに欠陥検出機能を備えた荷役機械に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン、アンローダをはじめとする大型構造物や荷役機械の老朽化が社会問題となっており、この対策に対しては強いニーズがある。効率的な老朽化対策を実施するためには、老朽化度合いを知ることが先決である。このため、対象としている構造物の欠陥を検出する必要があり、その手段として、例えば、カラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などが従来から実施されている。
【0003】
しかしながら、カラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などの手法は、それぞれ必要な処置を施すために測定対象物の近傍まで人が近づかなければ計測ができない。例えば、磁紛探傷においては、検知領域の錆などを落とし計測可能な表面性状にしたうえで、磁界をかける必要がある。このため、大型構造物の場合には検査を行うために足場を組んで高所作業の準備を整え、検査領域に作業員の手が届く状態にしなければ作業が行えない。その結果、欠陥検出費用よりも、足場を組む作業のほうが多くの人手と費用を費やさねばならない。
【0004】
このような状況下において、遠隔計測を実現するため、さらには一度に広範囲の領域を検査できる利便性から、近年、赤外線カメラを用いた赤外線サーモグラフによる手法が提案されている。例えば、トンネル内部のコンクリート壁の亀裂や剥離などを検出する手段として、従来の打音テストによる診断方法に替わって、なんらかの熱源によりトンネル壁面を加熱し、正常部位の温度分布の差から欠陥部位を検出する方法が用いられている。これら赤外線カメラを用いたアクティブな手法の従来技術として、例えば、特許文献1には、コンクリート構造物に赤外線を均一に照射する手段を用いて、温度分布を測定することにより構造物の内部欠陥を検出する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、鋼構造物を対象として加熱前後における温度分布画像の差画像および健全・非健全のサンプル熱画像の差を用いた欠陥の識別方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2に記された方法では、加熱のために赤外線照射が前提とされており、この方法ではコンクリートなど比較的熱拡散速度の遅い対象には適用可能であるが、熱拡散速度の速い鋼構造物に対しては、近接距離から赤外線を照射しなければ赤外線カメラで検出できるほどの温度分布を作り出すことが困難である。このため、加熱を行うために測定対象まで近接する手段が必要となり、やはり、上述したカラーチェック、磁紛探傷や超音波探傷などの手法と同様、足場などを組む必要が生じてしまう。また、赤外線カメラを固定して計測するために欠陥検出に時間がかかってしまう。
【特許文献1】特開2003−185608号公報
【特許文献2】特開2004−37201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、クレーンやアンローダに代表される、移動荷重を生じさせる移動体が走行する大型構造物において、その表面亀裂等の欠陥を、欠陥検出作業用の足場を組むことなく、赤外線照射等の加熱手段を必要とせずに、かつ加振装置などの構造物への荷重負荷の付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって、遠隔から容易かつ確実に検出することができる構造物の欠陥検出方法および装置、ならびに欠陥検出機能を備えた荷役機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、荷役機械のような移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物において、実使用時に移動体から与えられる移動荷重により応力を付与し、かつ移動体に設けられた赤外線カメラにより応力変動が生じている構造物を撮影することにより、赤外線カメラによる熱画像を用いて遠隔位置から容易かつ確実に、しかも実操業を行いながら欠陥を検出することができることを見出した。
【0009】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜(28)を提供する。
【0010】
(1)移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、前記移動体に赤外線カメラを設置し、その赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して、前記構造物の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより前記構造物に存在する欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
【0011】
(2)前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする(1)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0012】
(3)移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を前記熱画像と同時に計測し、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする(1)または(2)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0013】
(4)前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0014】
(5)前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0015】
(6)前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0016】
(7)前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行うことを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出方法。
【0017】
(8)前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより行われることを特徴とする(7)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0018】
(9)前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより行われることを特徴とする(7)に記載の構造物の欠陥検出方法。
【0019】
(10)移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出装置であって、前記移動体に設置された赤外線カメラと前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部とを具備することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
【0020】
(11)前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする(10)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0021】
(12)移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする(10)または(11)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0022】
(13)前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする(10)から(12)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0023】
(14)前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする(10)から(12)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0024】
(15)前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする(10)から(14)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0025】
(16)前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする(10)から(15)のいずれかに記載の構造物の欠陥検出装置。
【0026】
(17)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(16)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0027】
(18)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(16)に記載の構造物の欠陥検出装置。
【0028】
(19)移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた構造物と、前記構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、前記欠陥検出機構は、前記移動体に設置された赤外線カメラと前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部とを有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0029】
(20)前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする(19)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0030】
(21)前記欠陥検出機構は、移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする(19)または(20)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0031】
(22)前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする(19)から(21)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0032】
(23)前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする(19)から(22)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0033】
(24)前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする(19)から(23)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0034】
(25)前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする(19)から(24)のいずれかに記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0035】
(26)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(25)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0036】
(27)前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする(25)に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【0037】
(28)移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた第1の構造物と、前記第1の構造物が走行可能に設けられた第2の構造物と、前記第1および第2の構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、前記欠陥検出機構は、前記移動体に設置された第1の赤外線カメラと、前記第1の構造物に設置された第2の赤外線カメラと、前記第1の赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第1の構造物を撮影して得られた熱画像、および前記第2の赤外線カメラにより前記第1の移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第2の構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部とを有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する際に、移動体に赤外線カメラを設置し、その赤外線カメラにより移動体が走行することにより応力変動が生じている構造物を撮影して、構造物の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより構造物に存在する欠陥を検出するので、欠陥検出作業用の足場を組むことなく、赤外線照射等の加熱手段を必要とせずに欠陥を測定することができ、しかも静止状態の荷重負荷よりも応力変動を大きくすることができ、より高精度で欠陥の検出を行うことができる。また、本発明が対象としている橋梁やクレーン等の荷役機械のような大型構造物では、もともと移動荷重が予定されており、その予定されている移動荷重を用いて応力変動を生じさせるので、加振装置等の特別な荷重負荷付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成によって、極めて迅速に構造物の欠陥を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るクレーン装置を示す概略斜視図である。
【0040】
このクレーン装置は、一対のガーダ4を有しており、この一対のガーダ4の上にまたがるように、クレーン台車であるトロリ7が走行可能に設けられている。トロリ7は荷物8を吊した状態で、ガーダ4の上をその長手方向に沿って走行する。また、ガーダ4は、建屋に設けられたガーダ走行用のランウエイ5に沿って走行するようになっている。
【0041】
トロリ7には取り付け部材20によりガーダ4の熱画像を撮影するための赤外線カメラ9が取り付けられ、この赤外線カメラ9はトロリ7の移動にともなって移動しつつガーダ4を撮影する。赤外線カメラ9からの情報は、情報処理部10に取り込まれ、この情報処理部10において欠陥を検出するための所定の情報処理が行われる。
【0042】
トロリ7にはレーザ変位計13が設けられており、さらにガーダ4の端部に反射板14が設けられている。そして、レーザ変位計13により、射出したレーザを反射板14で反射させて反射光を受光することによって、トロリ7の移動量または位置情報を得るようになっている。または、CCDカメラによる可視画像を同時に入手することで欠陥の位置を後で確認することも可能である。
【0043】
情報処理部10は、パソコン11と、Lock-in processor15と、表示部(ディスプレー)12を有している。Lock-in
processor15は、レーザ変位計13からの検出信号から得られるトロリ7の移動量または移動速度を熱画像と同時にパソコン11に取り込み、これを参照信号として、これに同期して変動する熱画像を取り出すとともに表示部(ディスプレー)12に表示する。
【0044】
実際のクレーン装置のガーダ4における欠陥検出に際しては、赤外線カメラ9をセットし、その視野を、例えばトロリ7の4箇所の車輪下でかつ亀裂発生頻度の高いウエブとフランジの溶接部に合わせる。この状態で荷重8を吊した状態のトロリ7をガーダ4上で横行させる。これにより、ガーダ4には、応力変動が発生し、これに伴う熱弾性効果または塑性発熱により、わずかであるが温度分布変動が生じる。赤外線カメラ9は、トロリ7とともに移動しながら、この際のガーダ4の熱画像を撮影し、その情報を情報処理部10に送信する。情報処理部10ではその情報がパソコン11に取り込まれ、赤外線カメラ9により撮影したガーダ4上の熱画像計測面における温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、その結果に基づいて欠陥を検出し、その際の欠陥検出画面が表示部(ディスプレー)12に表示される。Lock-in processor15においては、参照信号と熱画像情報(温度データ)との関係が図2に示すようになっており、熱画像情報を参照信号に同期させて計測することにより、温度変動の振幅および位相のずれをもとに欠陥を検出し、参照信号と相関のない温度変動による影響を小さくして信号のS/N比を向上させる。
【0045】
このようにして得た熱画像をオンラインでリアルタイムに、またはパソコン11内のメモリ等に記憶させておきオフラインで再生することにより、亀裂の有無を確認することができる。この際に、レーザ変位計13で検出した信号によりトロリ7の移動量または位置情報を把握することができるので、この情報を記録することにより、亀裂の有無のみならず亀裂の位置を特定することもできる。
【0046】
以上は、赤外線カメラ9をトロリ7に取り付けてガーダ4の亀裂を検出する場合について説明したが、第2の実施形態として図3に示すように、赤外線カメラ9を取り付け部材21によってガーダ4に取り付け、ランウエイ5の亀裂を検出するようにすることも可能である。この場合にも上記手順と全く同様にして検出作業を行うことができる。なお、この場合には、ガーダ4にレーザ変位系13′を取り付け、ランウエイ5に反射板14′を取り付けることにより、ガーダ4の移動量または位置情報を把握することができる。または、CCDカメラによる可視画像を同時に入手することで欠陥の位置を後で確認することも可能である。
【0047】
本実施形態においては、このように移動荷重が付与されることにより、その際の応力変動にともなう温度変化を検出することができるので、熱弾性効果または塑性発熱を利用して亀裂等の欠陥を把握することができる。また、このようなクレーン装置1では、本来的に荷重が移動するものであるため、加振装置等の特別な荷重負荷付与手段を必要とせずに、簡単な装置構成により、かつ安価に上述のような手順で欠陥を検出することができる。そして、このようにトロリ7またはガーダ4を移動させながら熱画像を得ることができるので、ガーダ4およびランウエイ5全域の劣化診断を極めて短時間で行うことが可能であり、老朽設備の安全性を素早くかつ漏れなく高精度で確認することができる。また、このように荷重を移動させながら検出作業を行うことができるため、実働の際に赤外線カメラ9の画像をモニタすることによっても亀裂の診断を行うことができる。
【0048】
亀裂がある程度大きく、負荷荷重も十分な場合には、トロリ7またはガーダ4を走行させた際の赤外線カメラ9を通過時の画像だけで検出可能であるが、亀裂が短い場合や負荷荷重が小さい場合には、亀裂先端近傍の応力状態が検出に十分な程大きくならず、赤外線カメラ9の通過時の熱画像だけではノイズ等の影響により亀裂を見逃すおそれがある。
【0049】
このような場合には、計測精度を高めるために、例えば図4に示すように、赤外線カメラ9を取り付ける取り付け部材21に赤外線カメラが走行するリニアガイド22を取り付け、一定の範囲内において、トロリ7またはガーダ4の移動方向とは反対方向に同じ移動速度で赤外線カメラ9を移動させるようにする。これにより、測定部位に対してカメラ視野が相対的に停止している状態で熱画像を得ることができ、これにより特定部位の情報量を多くしてS/N比を高めることができる。本実施形態のクレーン等、一般的に荷役構造物では、劣化しやすい箇所は概ね予想がつくので、その部位を中心にこのような方法で測定箇所を順次移動させて熱画像を入手することにより、検出精度を向上させることができる。なお、図1の取り付け部材20に同様なリニアガイドを設けて赤外線カメラ9を移動させることも可能である。
【0050】
上記のように赤外線カメラ9をリニアに移動させる代わりに、赤外線カメラ9の角度を可変にしておき、一定の範囲内において、トロリ7またはガーダ4の移動方向とは反対方向に同じ移動速度で赤外線カメラ9の角度を変化させることにより同様な効果を得ることができる。
【0051】
また、き裂が短い場合や負荷荷重が小さい場合に、ロックイン計測、あるいは自己相関ロックイン計測等のロックイン処理による、ソフト的な手法で精度改善を行うことが有効である。
【0052】
しかしながら、移動する物体から撮像したときには、当然ながら測定対象物の視野内での位置も変化するため、そのままではロックイン解析ができない。このため、時系列で得られた赤外線強度分布データを画素単位で並べかえることにより、定点の時系列赤外線強度分布データが得られるようにする。具体的な手法を以下に示す。
【0053】
図5に示すように、例えば256画素×256画素の有効撮像画素をもつ赤外線カメラ(赤外線サーモグラフィ)31を左から右に移動させながら測定対象物32を撮像する場合を考える。図5の(a)はそのときの状態を模式的に示し、(b)は赤外線カメラ31の画像を示す。この図に示すように、対象物中の注目点Aは赤外線カメラ31が位置Xにあるときには、画面中の最も右の画素列に捉えられる。その後、赤外線カメラ31の移動により、順次画面中を右から左へと移動し、赤外線カメラが位置Yに達したときに最も左の画素列に捉えられ、その後は画面から外れる。したがって、注目点Aの時系列赤外線強度変動データは、注目点Aが赤外線カメラ31の視野に捕らえられている時間の間、計測することが可能であり、その数は赤外線カメラ31の横方向の画素数(この場合256)、時間にすれば赤外線カメラ31のフレーミングタイム分となる。また移動方向の位置に関しては、時系列データの開始時刻は図6に示すようにずれているが、移動方向の長さに関しては赤外線カメラ31の横方向の画素数分のデータが得られる。同じ時間スケールにおけるある領域の連続画像を得るためには、図6のように帯状時間領域Tを設定してロックイン処理を行う。
【0054】
この場合には、例えば、図7に示すように、パソコン11を用いた画像処理により、熱画像上においてねらった部位、つまり測定対象の注目部位が、異なる時刻の画面上で互いに重なるように、各画像について画面上での経時的な移動量に相当する画素分だけ時間的にシフトして重ねるようにし、一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行う。これにより、熱画像の一部は活用できないものの、ねらった部位に関しては情報を時間的に重ねることにより時間的な変化の情報をより多く入手することができ、検出精度を向上させることができる。
【0055】
ロックイン処理は、図6のように1つの設定帯時間に対して行うことも可能であるが、この場合には、図7に示すように、処理を行わないデータを作ってしまう。そこで、帯状の時間を設定する場合には、図8に示すように、一定の時間領域において、複数の帯状時間領域(図8ではT1〜T4)を、時刻をずらして設定し、これらに対して逐次ロックイン処理を連続して行い、その結果を順次平均化すればよい。このように、帯状の時間領域に入っている場所でのロックイン処理結果を順次平均化していくことにより、図9に示すように、全領域にわたるロックイン処理画像を得ることができる。このような処理によれば、図6に示すような1つの設定帯時間に対してロックイン処理を行う場合に比べ、得られたデータを最大限活用することが可能であるため、画像全域の欠陥をさらに見落とすことなく検知することができる。
【0056】
また、このようなロックイン処理を用いた手法は、例えば赤外線カメラを複数台使用することで、同じ時間でより広範囲の熱画像情報を入手することができ、計測の空間およびロックイン処理の時間領域を拡張することが可能なので、加算回数が増して測定精度の向上につながる。
【0057】
次に、測定対象の亀裂欠陥部分の判定について説明する。
測定対象の亀裂欠陥部分の判定については図10の手法を用いることができる。すなわち、図10の(a)に示す測定対象の熱画像の空間的変化と時間的変化から、移動荷重にともなって局所的に温度変化が急峻に変化している箇所を見出し、この箇所を亀裂先端とみなすことによる方法を用いることができる。この場合に、図10の(a)に示す矢印の部分の応力分布は図10の(b)に示すようになる。また、前記矢印の部分の応力分布の時間的変化は図10の(c)に示すようになる。
【0058】
上述したように、構造物の亀裂は部材同士の溶接部などあらかじめ発生箇所が概略予測可能である。したがって、予想される亀裂の発生箇所を中心にその周辺部位において、移動荷重にともなって変化する温度分布の時間変化データから最も変化量の大きな部分、または急峻に変化する部分を見出せば、亀裂の部位を特定することができる。なお、図6の応力値データは画像の局所的なデータを代表例として掲載したが、解析過程では当然のことながら熱画像全領域の応力分布の時間的変化を評価する。
【0059】
以上説明したような手法により、製鉄所等において膨大な数使用されているガーダおよび総延長距離が数十kmにもおよぶランウエイの検査を、人手を介することなく、赤外線カメラと比較的簡易な情報処理部等による簡単な装置を用いて、トロリやガーダを通常通り移動させるだけで行うことができ、簡易、かつ高精度、かつ短時間で効率良く亀裂を把握することができる。従来の手法では足場を組み立てる等の大がかりな設備を用い、操業を止めて長時間の検査を行う必要があり、精度も十分なものではなかったが、本発明によりこのような問題を解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、クレーン等の大型の荷役機械の構造部に生じた亀裂等の欠陥の検出に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検出機能を備えたクレーン装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】Lock-in processorにおける参照信号と熱画像情報の関係を示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る欠陥検出機能を備えたクレーン装置の概略構成を示す斜視図。
【図4】赤外線カメラ取り付け部の変形例を示す図。
【図5】赤外線カメラを移動した時の、画像上の注目点の位置の推移を説明するための図。
【図6】帯状時間領域Tを設定してロックイン処理を行う場合を説明するための図。
【図7】図6に示すように帯状時間領域Tを設定してロックイン処理を行う際の画像処理を説明するための模式図。
【図8】複数の帯状時間領域T1〜T4を設定してロックイン処理を行う場合を説明するための図。
【図9】図8に示すように複数の帯状時間領域T1〜T4をずらして設定し、これらに対してロックイン処理を連続して行い結果を平均化する画像処理を説明するための模式図。
【図10】測定対象の亀裂欠陥部分の判定を行う方法の一例を示す図。
【符号の説明】
【0062】
4;ガーダ(構造物または移動体)
5;ランウエイ(構造物)
7;トロリ(移動体)
8;荷物
9;赤外線カメラ
10;情報処理部
11;パソコン
12;表示部
13;レーザ変位計
14;反射板
15;Lock-in processor
20,21;取り付け部材
22;リニアガイド
31;赤外線カメラ
32;測定対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、
前記移動体に赤外線カメラを設置し、その赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して、前記構造物の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより前記構造物に存在する欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
【請求項2】
前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項1に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項3】
移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を前記熱画像と同時に計測し、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項4】
前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項5】
前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項6】
前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項7】
前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項8】
前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより行われることを特徴とする請求項7に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項9】
前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより行われることを特徴とする請求項7に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項10】
移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出装置であって、
前記移動体に設置された赤外線カメラと
前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を具備することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
【請求項11】
前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項10に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項12】
移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、
前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項13】
前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項14】
前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項15】
前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項16】
前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項17】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項16に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項18】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項16に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項19】
移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた構造物と、前記構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、
前記欠陥検出機構は、
前記移動体に設置された赤外線カメラと
前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項20】
前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項19に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項21】
前記欠陥検出機構は、移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、
前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする請求項19または請求項20に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項22】
前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする請求項19から請求項21のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項23】
前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする請求項19から請求項22のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項24】
前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする請求項19から請求項23のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項25】
前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする請求項19から請求項24のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項26】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項25に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項27】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項25に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項28】
移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた第1の構造物と、前記第1の構造物が走行可能に設けられた第2の構造物と、前記第1および第2の構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、
前記欠陥検出機構は、
前記移動体に設置された第1の赤外線カメラと
前記第1の構造物に設置された第2の赤外線カメラと
前記第1の赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第1の構造物を撮影して得られた熱画像、および前記第2の赤外線カメラにより前記第1の移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第2の構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項1】
移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出方法であって、
前記移動体に赤外線カメラを設置し、その赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して、前記構造物の表面の温度分布変動を熱画像として計測し、これにより前記構造物に存在する欠陥を検出することを特徴とする構造物の欠陥検出方法。
【請求項2】
前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項1に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項3】
移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を前記熱画像と同時に計測し、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項4】
前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項5】
前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項6】
前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項7】
前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項8】
前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより行われることを特徴とする請求項7に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項9】
前記位置補正は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより行われることを特徴とする請求項7に記載の構造物の欠陥検出方法。
【請求項10】
移動荷重を生じさせる移動体が走行する構造物の欠陥を検出する構造物の欠陥検出装置であって、
前記移動体に設置された赤外線カメラと
前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を具備することを特徴とする構造物の欠陥検出装置。
【請求項11】
前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項10に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項12】
移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、
前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項13】
前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項14】
前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項15】
前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項16】
前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項17】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項16に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項18】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項16に記載の構造物の欠陥検出装置。
【請求項19】
移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた構造物と、前記構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、
前記欠陥検出機構は、
前記移動体に設置された赤外線カメラと
前記赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項20】
前記情報処理部は、前記赤外線カメラにより検出された熱画像における前記構造物の表面の温度分布変動から熱弾性効果または塑性発熱に基づいて前記構造物の撮影部位の応力変動を算出し、算出した応力変動から前記構造物の欠陥を検出することを特徴とする請求項19に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項21】
前記欠陥検出機構は、移動荷重を生じさせる移動体の移動量または位置情報を検知する検知手段をさらに具備し、
前記情報処理部は、前記熱画像と前記検知手段で検知された移動体の移動量または位置情報から、欠陥の位置を特定可能とすることを特徴とする請求項19または請求項20に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項22】
前記赤外線カメラは前記移動体に対して移動可能に設置され、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラを移動させることを特徴とする請求項19から請求項21のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項23】
前記赤外線カメラは角度可変に前記移動体に設けられ、一定量の移動範囲で、前記移動体の移動方向と反対方向に前記赤外線カメラの角度を振らせることを特徴とする請求項19から請求項22のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項24】
前記移動体は前記構造物上を走行するための車輪を有し、前記赤外線カメラにより前記構造体の前記車輪に対応する部分を含む視野を撮影することを特徴とする請求項19から請求項23のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項25】
前記情報処理部は、前記移動体の移動にともなって、前記赤外線カメラにより得られる動的な熱画像において移動していく画像内の特定箇所の位置補正を行う機能を有することを特徴とする請求項19から請求項24のいずれか1項に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項26】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の画像データを一括ロックイン処理し、処理したデータを加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項25に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項27】
前記情報処理部は、前記動的な熱画像の中の一定の時間領域において、時間的に移動していく測定対象の注目部位が、異なる時刻の画像上で互いに重なるように各画像を時間的にシフトし、かつ一定時間領域の中に複数の時間領域を時間をずらして設定し、前記複数の時間領域ごとに逐次ロックイン処理し、処理したデータを順次加算平均することにより位置補正を行うことを特徴とする請求項25に記載の欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【請求項28】
移動荷重を生じさせる移動体と、前記移動体が走行可能に設けられた第1の構造物と、前記第1の構造物が走行可能に設けられた第2の構造物と、前記第1および第2の構造物の欠陥を検出する欠陥検出機構とを有する荷役機械であって、
前記欠陥検出機構は、
前記移動体に設置された第1の赤外線カメラと
前記第1の構造物に設置された第2の赤外線カメラと
前記第1の赤外線カメラにより前記移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第1の構造物を撮影して得られた熱画像、および前記第2の赤外線カメラにより前記第1の移動体が走行することにより応力変動が生じている前記第2の構造物を撮影して得られた熱画像における温度分布変動から、前記構造物の欠陥を検出する情報処理部と
を有することを特徴とする欠陥検出機能を備えた荷役機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−8705(P2008−8705A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177949(P2006−177949)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
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