説明

構造物シミュレーションシステム及びサーバ装置

【課題】本発明の課題は、構造物に関する三次元画像をシミュレーション表示する際のサーバ側及びユーザ側の端末の処理負担を軽減するとともに、ネットワークを通じてユーザ側の端末で構造物内部を自由に視点移動して三次元画像をシミュレーション表示することを可能にすることである。
【解決手段】サービス提供サーバ装置2は、制御部8、二次元画像処理部6、三次元画像処理部7、二次元データ記憶部9及び三次元データ記憶部10を有するデータ記憶部11、データ入力部14、通信制御部12を有し各部はバス13に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物シミュレーションシステム及びサーバ装置に係り、特に、マンションや一戸建て、博物館、病院及びショッピングモール等の構造物に関わる三次元画像をネットワークを通じて不特定多数のユーザに提供する構造物移動シミュレーションシステム及びサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不動産の仲介業務等にコンピュータシステムを用いて、ユーザの要求に応じた不動産物件情報を検索するサービスが提供されている。このようなサービスでは、例えば、不動産物件の資料、間取り、最寄り駅等の検索条件を入力することにより、その検索条件に該当する物件の情報をサーバに登録されている物件情報から検索し、検索結果を表示するようにしている。
【0003】
また、三次元画像を利用して、例えば、物件周囲の環境や住戸の日照、眺望や室内の状況等を、インターネットを通じてユーザ側の端末でシミュレーション表示するサービスを提供するシステムも提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
特許文献1に記載された三次元コンピュータグラフィック画像生成用サーバ及び特許文献2に記載された不動産物件仲介支援システムでは、予め仮想3D空間内に配置したカメラの視点を移動させて、物件の室内の三次元画像をインターネットを通じてユーザ側の端末でシミュレーション表示するサービスを提供している。
【0005】
特許文献3に記載された不動産情報提供システムでは、視点移動指示に応じて、不動産物件周辺の環境を三次元画像でインターネットを通じてユーザ側の端末でシミュレーション表示するサービスを提供している。
【特許文献1】特開2001−338037号公報
【特許文献2】特開2001−236396号公報
【特許文献3】特開2007−183745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3では、仮想3D空間内に配置したカメラの視点移動や視点移動指示に応じて、物件の室内や不動産物件周辺の環境の三次元画像をインターネットを通じてユーザ側の端末でシミュレーション表示する機能について開示しているだけであり、サーバ側で三次元画像を生成する過程やユーザ側の端末に三次元画像を提供する過程が開示されておらず、システムとして実現することは困難である。すなわち、物件に関する二次元画像を三次元画像に変換する処理過程や視点移動に応じて三次元画像を移動させる処理過程等が開示されていない。
【0007】
また、上記特許文献1〜3では、視点の移動範囲が予め設定した仮想3D空間内のカメラの配置位置や物件周囲の環境に限定されているため、物件を三次元画像でシミュレーション表示する範囲も限定されている。
【0008】
本発明は、構造物に関する三次元画像をシミュレーション表示する際のサーバ側及びユーザ側の端末の処理負担を軽減するとともに、ネットワークを通じてユーザ側の端末で構造物内部を自由に視点移動して三次元画像をシミュレーション表示することを可能にする構造物移動シミュレーションシステム及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態に係る第1の特徴は、ネットワークに接続されたユーザ端末からの視点移動指示に応じて、ネットワークを通じてユーザ端末側で構造物内を移動する三次元画像をシミュレーション表示する構造物移動シミュレーションシステムであって、構造物に関わる第1の二次元画像データを取り込み、第1の二次元画像データから二次元モデリングデータを生成し、二次元モデリングデータを二次元マッピング処理して構造物内を移動する領域を設定した二次元マッピングデータを生成する二次元画像処理部と、二次元モデリングデータと二次元マッピングデータを記憶する二次元データ記憶部と、構造物に関わる第2の二次元画像データを取り込んで、第2の二次元画像データと二次元データ記憶部に記憶された二次元モデリングデータを比較して画像データを生成し、第2の二次元画像データと二次元データ記憶部に記憶された二次元マッピングデータを三次元マッピング処理して構造物内の視点位置を設定した三次元マッピングデータを生成する三次元画像処理部と、画像データと三次元マッピングデータを記憶する三次元データ記憶部と、ユーザ端末から視点移動指示を受信して、三次元データ記憶部に記憶された画像データと三次元マッピングデータをネットワークを通じてユーザ端末に送信し、ユーザ端末側で構造物内を移動する三次元画像をシミュレーション表示させる通信制御部と、を具備する構造物移動シミュレーションシステムである。
【0010】
本実施形態に係る第2の特徴は、ネットワークに接続されたユーザ端末からの視点移動指示に応じて、ネットワークを通じてユーザ端末側で構造物内を移動してシミュレーション表示するための三次元画像を提供するサーバ装置であって、構造物に関わる第1の二次元画像データを取り込み、第1の二次元画像データから二次元モデリングデータを生成し、二次元モデリングデータを二次元マッピング処理して構造物内を移動する領域を設定した二次元マッピングデータを生成する二次元画像処理部と、二次元モデリングデータと二次元マッピングデータを記憶する二次元データ記憶部と、構造物に関わる第2の二次元画像データを取り込んで、第2の二次元画像データと二次元データ記憶部に記憶された二次元モデリングデータを比較して画像データを生成し、第2の二次元画像データと二次元データ記憶部に記憶された二次元マッピングデータを三次元マッピング処理して構造物内の視点位置を設定した三次元マッピングデータを生成する三次元画像処理部と、画像データと三次元マッピングデータを記憶する三次元データ記憶部と、ユーザ端末から視点移動指示を受信して、三次元データ記憶部に記憶された画像データと三次元マッピングデータをネットワークを通じてユーザ端末に送信する通信制御部と、を具備するサーバ装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造物に関する三次元画像をシミュレーション表示する際のサーバ側及びユーザ側の端末の処理負担を軽減するとともに、ネットワークを通じてユーザ側の端末で構造物内部を自由に視点移動して三次元画像をシミュレーション表示することができる構造物移動シミュレーションシステム及びサーバ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る構造物移動シミュレーションシステム1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る構造物移動シミュレーションシステム1の全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態に係る構造物移動シミュレーションシステム1は、サービス提供サーバ装置2、販売会社サーバ装置3、ユーザ端末4、ネットワーク5を有している。サービス提供サーバ装置2はネットワーク5に接続されて、ネットワーク5を介して単数又は複数のユーザ端末4に接続されている。サービス提供サーバ装置2は、専用回線Lを介して販売会社サーバ装置3と接続されている。販売会社サーバ装置3は内装、外装、家具、家電及び調度品等の画像データをサービス提供サーバ装置2に提供することができる。
【0014】
図2は、図1のサービス提供サーバ装置2の内部構成を示す図である。図2に示すように、本実施の形態に係るサービス提供サーバ装置2は、制御部8、二次元画像処理部6、三次元画像処理部7、二次元データ記憶部9及び三次元データ記憶部10を有するデータ記憶部11、データ入力部14、通信制御部12を有し各部はバス13に接続される。
【0015】
サービス提供サーバ装置2は、販売会社サーバ装置3から提供される内装、外装、家具、家電及び調度品等の画像データをデータ記憶部11に記憶する。
【0016】
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)等を有している。例えば、サービス提供サーバ装置2にネットワーク5を介してユーザ端末4から三次元シミュレーション表示サービスの要求があった場合に、後述する構造物内の三次元シミュレーション表示サービスを提供する処理を制御する。
【0017】
二次元画像処理部6は、第1の二次元画像データとして構造物に関わる平面図のデジタルデータを取り込み、平面図のデジタルデータから二次元モデリングデータ20を生成し二次元データ記憶部9に記憶する。二次元画像処理部6は、記憶した二次元モデリングデータ20を二次元マッピング処理して構造物内を移動する領域を設定した二次元マッピングデータ30を生成して、二次元データ記憶部9に記憶する。
【0018】
三次元画像処理部7は、第2の二次元画像データとして構造物に関わるデジタル写真データを取り込み、デジタル写真データと二次元データ記憶部9に記憶された二次元モデリングデータ20を比較して構造物を三次元化する画像データを生成する。三次元画像処理部7は、デジタル写真データと二次元データ記憶部9とに記憶された二次元マッピングデータ30を三次元マッピング処理して構造物内の視点位置を設定した三次元マッピングデータを生成し、生成した三次元マッピングデータと画像データ40とを三次元データ記憶部10に記憶する。
【0019】
二次元データ記憶部9は、二次元モデリングデータ20と二次元マッピングデータ30とを記憶する。
【0020】
三次元データ記憶部10は、画像データ40と三次元マッピングデータとを記憶する。二次元データ記憶部9及び三次元データ記憶部10はデータ記憶部11内に格納される。データ記憶部11は、大容量のHDD(Hard disk drive)等で構成してもよい。
【0021】
通信制御部12は、ネットワーク5に接続されている。通信制御部12は、制御部8により制御されて、三次元シミュレーション表示サービスをユーザ端末4に提供する際に、TCP/IPプロトコルに基づく通信制御を実行する。
【0022】
次に、サービス提供サーバ装置2において実行される二次元デジタルデータ(例えば、間取り図)の取り込み、二次元モデリング、二次元マッピング処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0023】
図3に示すように、二次元画像処理部6は、まず平面図のデジタルデータ(例えば、間取り図)の有無を判別し(ステップS101)、平面図のデジタルデータが有れば(ステップS101:YES)データ入力部14において取り込み処理を行い(ステップS102)、平面図のデジタルデータが無ければ(ステップS107:NO)平面図のデータを作成する(ステップS107)。例えば、平面図又は間取り図などを作成し、この図をデジタル化してデータ入力部14から入力する。次に、二次元画像処理部6は、取り込み処理をした平面図のデジタルデータ及び作成した平面図のデジタルデータを二次元データ記憶部9に記憶する(ステップS103)。
【0024】
次に、二次元画像処理部6は、記憶した平面図のデジタルデータを基に二次元モデリング処理を行う(ステップS104)。ここで、二次元モデリングとは、平面図又は間取り図のデジタルデータを取り込み、加工する工程をいう。この二次元モデリング処理の結果、例えば図4(a)に示すような二次元モデリングデータ20が作成される。
【0025】
次に、二次元モデリング処理を行ったデジタルデータを二次元データ記憶部9に記憶し(ステップS105)、記憶したデジタルデータを基に二次元マッピング処理を行う(ステップS106)。この二次元マッピング処理の結果、例えば図4(b)に示すように、二次元マッピングデータ30が作成される。この場合、二次元モデリングデータ20を基にXY座標系を設定して区分することにより二次元マッピングデータ30が作成される。なお、二次元マッピングデータ30は構造物の内部について示したが、構造物の外部についてデジタルデータがある場合は構造物の外部のデジタルデータを用いて二次元マッピングデータ30を作成することができる。
【0026】
二次元マッピングとは、二次元モデリング処理を行った二次元モデリングデータ20に対して構造物内を移動する領域をXY座標により設定するとともに、壁や柱などの進入禁止領域をXY座標で区分した領域毎に設定することである。また、各領域に対する内装(例えば、壁、床、家具、家電等)に関する情報は属性情報として対応付けて記憶させるものとする。各領域に対応付けられた属性情報は、後述する構造物移動シミュレーション画面50内においてポップアップ画面54(図10参照)として表示される。
【0027】
本実施の形態では、二次元マッピング処理において、構造物内の移動領域の設定を行う際に、壁や柱などの視点が侵入してはならない領域を進入禁止領域として設定を行うことに特徴がある。
【0028】
次に、サービス提供サーバ装置2において実行される二次元デジタルデータの取り込み(例えば、デジタル写真)、画像データ40の生成処理、三次元マッピング処理について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0029】
図5に示すように、三次元画像処理部7は、まずデジタル写真データの有無を判別し(ステップS201)、デジタル写真データが有れば(ステップS201:YES)データ入力部14において取り込み処理を行い(ステップS202)、デジタル写真データが無ければ(ステップS201:NO)二次元データ記憶部9から二次元マッピングデータ30を読み込み、三次元化処理を行う(ステップS206)。
【0030】
次に、三次元画像処理部7は、デジタル写真データと二次元データ記憶部9に記憶された二次元モデリングデータ20を比較して構造物を三次元化する画像データ40の生成処理を行い(ステップS203)、その画像データ40と読み込み処理を行った二次元マッピングデータ30及び三次元化処理を行ったデジタルデータを三次元データ記憶部8に記憶する(ステップS204)。ここで、画像データ40の生成処理とはデジタル写真データを取り込み、加工する工程をいう。この画像データ40の生成処理では、前述のXY座標により区分された各領域を三次元化して、取り込んだデジタル写真データを投影するための画像データ40を生成する。すなわち、二次元マッピングにおいて区分された各領域を視点移動により移動した際に、その移動した三次元空間内において見える画像を計算により求める処理のことである。
【0031】
デジタル写真データ及び三次元化処理を行った結果、生成された画像データ40の例を図6(a)に示す。図6(a)に示すように構造物内の視点位置Pを設定した画像データ40が作成される。画像データ40は、二次元マッピングデータ30のXY座標にZ座標を設定して作成される。
【0032】
図6(a)に示すように、画像データ40に視点位置Pを設定して、上下、左右、前後の各領域の画像が作成される。視点位置Pとは視点移動時の現在位置のことをいう。視点位置Pは、構造物移動シミュレーション画面50においてユーザ端末4からユーザが、画面操作51(図8参照)の操作方法に従って前進、後退、右向き、左向き、上向き、下向きと任意に移動させることができる構造物内の移動指示手段である。この上下、左右、前後の移動指示により構造物内の三次元空間を任意に移動して表示する為の画像データ40がステップS203の画像データ生成処理において生成される。
【0033】
図6(b)は、図6(a)の展開図であり、例えば図4(b)のXY座標を参照して、視点位置Pを現在位置A(X2,Y2)に設定した場合に、前方をC(X2,Y3)とし、後方をE(X2,Y1)とし、左方をB(X1,Y2)とし、右方をD(X3,Y2)とした場合を示す。
【0034】
次に、記憶したデジタル写真データ及び三次元化処理を行った画像データ40の三次元マッピング処理を行う(ステップS205)。三次元マッピングとは、画像データ40の生成処理を行った画像データ40に対して内装(例えば、壁、床、家具、家電等)に関する情報を属性情報として画像データ40に付加し記憶させるものである。各領域に付加された属性情報は、後述する構造物移動シミュレーション画面50内においてポップアップ画面54(図10参照)として表示される。
【0035】
本実施の形態の三次元シミュレーション表示サービスでは、この図6(b)に示す視点位置Pに対応する前後、左右、上下のデータをユーザ端末4に対して送信することを処理単位とすることにより、送信する画像データ量と、ユーザ端末4における画像表示処理の負荷を軽減することに特徴がある。
【0036】
例えば、図6(b)の画像データ40を最初にユーザ端末4に送信し、視点移動指示により次の移動先の画像データ40を更新する例を図7に示す。例えば、視点位置Pを現在位置Aから進行方向Cに移動する場合は、図7に示すように、左方をF(X1,Y3)、右方をG(X3,Y3)、前方をH(X2,Y4)の画像データ40をサービス提供サーバ装置2からユーザ端末4に非同期で送信する。この画像データ40をユーザ端末4のブラウザのレイヤに書き込むとともに、進行方向C(X2,Y3)に移動した際に不要となった画像データ40であるB(X1,Y2)、D(X3,Y2)、E(X2,Y1)の各データ(点線で示す)を移動前の位置A(X2,Y2)のレイヤから消去する。ここで、送信した画像データ40には、三次元マッピング処理を行った際に対応付けた属性情報が付加されている。
【0037】
三次元データサンプリングとは、サービス提供サーバ装置2に取り込んだ画像データ40を基に、視点移動に伴って移動可能な構造物内の位置での画像データ40をあらかじめ計算して三次元データ記憶部10に記憶する工程である。例えば、視点位置Pを進行方向Cに移動する場合において、視点の移動先C(X2,Y3)の画像データ40である左方のF(X1,Y3)、右方のG(X3,Y3)、前方のH(X2,Y4)をサービス提供サーバ装置2からユーザ端末4に送信する工程を三次元データサンプリングという。この三次元データサンプリング工程によりサービス提供サーバ装置2からユーザ端末4に送信する画像データ40は非同期通信により送信される。非同期通信は、視点移動に応じた画像データ40の各領域に区分した画像データ40をサービス提供サーバ装置2とユーザ端末4との画像データ40の送受信をバックグラウンドで行うことである。この場合、視点移動を予測して前もって、視点移動先の画像データ40をユーザ端末4に送信しているため、構造物移動シミュレーション画面50に表示中の三次元画像の一部を変更するだけで、視点移動に伴う画像の更新を済ませることができる。
【0038】
視点位置Pを現在位置Aから進行方向Cに移動した場合において、非同期通信で送信した画像データ40である左方のF(X1,Y3)、右方のG(X3,Y3)、前方のH(X2,Y4)を表示させて、移動した際に表示させない画像データ40である左方のB(X1,Y2)、右方のD(X3,Y2)、後方のE(X2,Y1)を移動前の画像データ40から削除する。この視点移動に伴って、移動先の三次元空間において表示、又は、非表示する画像の階層のことをレイヤという。このようにレイヤに基づいて、サービス提供サーバ装置2とユーザ端末4との間で必要最低限の画像データ40を送受信することにより、三次元空間内の画像の表示、非表示、又は、重ね合わせ表示等を実現する。
【0039】
次に、サービス提供サーバ装置2とユーザ端末4との通信手順を図8を参照して説明をする。
【0040】
まず、ユーザ端末4は、ユーザがTCP/IPプロトコルに基づいて動作するブラウザを起動(ステップU1)してサービス提供サーバ装置2にアクセスを開始する。このアクセスにより、ユーザ端末4とサービス提供サーバ装置2との間の回線接続(T1)が行われる。次に、サービス提供サーバ装置2内の制御部8は、初回三次元マッピングデータを三次元データ記憶部10から読み出して、図9に例示する構造物移動シミュレーション画面50の表示データとともに通信制御部12からユーザ端末4に送信する(ステップS301,T2)。
【0041】
ユーザ端末4の表示部(図示せず)では、図9に示す構造物移動シミュレーション画面50が表示される(ステップU2)。ここで、図9に示すように、構造物移動シミュレーション画面50内には、操作画面51、三次元シミュレーション画面52、二次元間取図53が表示される。この構造物移動シミュレーション画面50の表示状態が三次元シミュレーション表示サービスを開始した際の初期画面である。この時、二次元間取図53内には現在位置Pが表示されるとともに、三次元シミュレーション画面52内には現在位置Pから見える間取りが三次元表示される。
【0042】
次に、ユーザから操作画面51内の操作方法に応じたキー操作(図9参照)により前後、左右、目線を上に向ける、目線を下に向ける等の視点移動指示が行われると(ステップU3)、ユーザ端末4からサービス提供サーバ装置2に視点移動指示を送信する(T3)。視点移動指示を受信したサービス提供サーバ装置2は、視点移動指示に従って、移動先の画像データ40をユーザ端末4に非同期通信で送信する(ステップS302,T4)。ユーザ端末4に画像データ40が非同期通信で送信されると、視点の移動先の画像データ40が三次元シミュレーション画面52に表示されるとともに、二次元間取図53内の視点位置Pが移動先に表示される(ステップU4)。
【0043】
上記のキー操作を繰り返すことによりユーザによる任意の視点移動指示に応じて、構造物内を前後、左右、上下の任意の方向に移動する三次元シミュレーション表示がユーザ端末4の表示部に表示中の構造物移動シミュレーション画面50内に表示可能となる。
【0044】
ユーザから操作画面51のキー操作により視点の移動をした際に、図10に示すように、三次元シミュレーション画面52にポップアップ画面54を表示させることができる。このポップアップ画面54は、内装(例えば、壁、床、家具、家電等)に関する属性情報を表示させて、内装の質感、扉の開閉などの動作を行う画面である。例えば、図10に示すように、三次元シミュレーション画面52に表示中の扉をユーザが指示すると、扉部分のポップアップ画面54が三次元シミュレーション画面52上に表示される。このポップアップ画面54では、ユーザの指示により扉の開閉動作をシミュレーション表示することができる。このポップアップ画面54内のシミュレーション表示には、上述の属性情報が利用される。
【0045】
次に、ユーザからサービス終了指示(ステップU5)が入力されるとユーザ端末4からサービス提供サーバ装置2に終了指示が送信(T5)されて、サービス提供サーバ装置2が終了確認(ステップS303)を認識して、通信が切断(T6)される。
【0046】
本実施形態に係る三次元シミュレーション表示サービスでは、デジタル写真データから三次元シミュレーション表示用の画像データ40が生成されるため、三次元画像を生成する際のユーザの作業負担を軽減することができる。また、ユーザ端末4に対しては、構造物内を区分して視点を設置した前後、左右、上下の画像データ40を送信して、ユーザ端末4からの視点移動指示に応じて、最低限の移動先の画像データ40を更新する送信を行うだけなので、ユーザ端末4における画像表示処理の負荷を軽減することができる。その結果、ユーザ端末4では、ブラウザ機能を実装していれば、構造物内を自由に移動して三次元空間をシミュレーション体験するサービスを容易に実現することができる。
【0047】
なお、上記実施の形態に示した構造物移動シミュレーションシステム1は、インターネットを通じてユーザ端末4に構造物の三次元シミュレーション表示サービスを提供する場合を例示したが、インターネットに限定されるものではなく無線通信、PtoP等のネットワーク通信を用いることができる。
【0048】
なお、上記実施の形態に示した構造物移動シミュレーションシステム1は、構造物の内部について例示したが、構造物内部に限定されるものではなく構造物の外部についてもデジタル写真データを用意するだけで、同様の三次元シミュレーション表示サービスを実現することができる。例えば、住宅に限らず、博物館、病院、ショッピングモール等の構造物内外を任意に移動して三次元表示する三次元シミュレーション表示サービスを容易に実現することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態に示した構造物移動シミュレーションシステム1は、ユーザ端末4の表示部に表示させる構造物移動シミュレーション画面50の表示サイズは特に限定するものではなく、ユーザ端末4の表示部の表示サイズに応じて構造物移動シミュレーション画面50を適宜変更可能である。すなわち、サービス提供サーバ装置2は、ユーザ端末4が備える表示装置の表示領域のサイズに応じて、ユーザ端末4に提供する構造物移動シミュレーション画面50の表示サイズを任意に変更するように制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係る構造物移動シミュレーションシステムの全体構成の一例を示す図である。
【図2】本実施の形態に係るサービス提供サーバ装置の内部構成の一例を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る二次元画像処理部の二次元モデリング及び二次元マッピングの生成処理を示すフローチャートである。
【図4】(a)は二次元モデリングデータの一例を示す図であり、(b)は二次元マッピングデータの一例を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る三次元画像処理部の画像データ及び三次元マッピングの生成処理を示すフローチャートである。
【図6】(a)は画像データの一例を示す図であり、(b)は(a)の展開図である。
【図7】本実施の形態に係る画像データを更新する例を示す図である。
【図8】本実施の形態に係るサービス提供サーバ装置とユーザ端末との間で実行される通信手順の一例を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る構造物移動シミュレーション画面の一例を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る構造物移動シミュレーション画面内にポップアップ画面を表示した例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 構造物移動シミュレーションシステム
2 サービス提供サーバ装置
3 販売会社サーバ装置
4 ユーザ端末
5 ネットワーク
6 二次元画像処理部
7 三次元画像処理部
8 制御部
9 二次元データ記憶部
10 三次元データ記憶部
11 データ記憶部
12 通信制御部
13 バス
14 データ入力部
20 二次元モデリングデータ
30 二次元マッピングデータ
40 画像データ
50 構造物移動シミュレーション画面
51 操作画面
52 三次元シミュレーション画面
53 二次元間取図
54 ポップアップ画面
L 専用回線
P 現在位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたユーザ端末からの視点移動指示に応じて、前記ネットワークを通じて前記ユーザ端末側で構造物内を移動する三次元画像をシミュレーション表示する構造物移動シミュレーションシステムであって、
前記構造物に関わる第1の二次元画像データを取り込み、該第1の二次元画像データから二次元モデリングデータを生成し、該二次元モデリングデータを二次元マッピング処理して前記構造物内を移動する領域を設定した二次元マッピングデータを生成する二次元画像処理部と、
前記二次元モデリングデータと前記二次元マッピングデータを記憶する二次元データ記憶部と、
前記構造物に関わる第2の二次元画像データを取り込んで、該第2の二次元画像データと前記二次元データ記憶部に記憶された前記二次元モデリングデータを比較して画像データを生成し、該第2の二次元画像データと前記二次元データ記憶部に記憶された前記二次元マッピングデータを三次元マッピング処理して前記構造物内の視点位置を設定した三次元マッピングデータを生成する三次元画像処理部と、
前記画像データと前記三次元マッピングデータを記憶する三次元データ記憶部と、
前記ユーザ端末から視点移動指示を受信して、前記三次元データ記憶部に記憶された前記画像データと前記三次元マッピングデータを前記ネットワークを通じて前記ユーザ端末に送信し、該前記ユーザ端末側で構造物内を移動する三次元画像をシミュレーション表示させる通信制御部と、
を具備することを特徴とする構造物移動シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記二次元画像処理部は、前記第1の二次元画像データに基づいて前記構造物内を移動する際の進入禁止領域を前記二次元マッピングデータに設定することを特徴とする請求項1に記載の構造物移動シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記三次元画像処理部は、前記視点位置に基づく上下、左右、前後の各領域に対応する三次元マッピングデータを生成し、
前記通信制御部は、前記視点移動指示を受信する前に前記視点位置に基づく上下、左右、前後の各領域に対応する三次元マッピングデータを前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物移動シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記ユーザ端末から受信する視点移動指示に応じて、当該視点移動先の前記視点位置に基づく前記上下、左右、前後の各領域に対応する三次元マッピングデータを前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物移動シミュレーションシステム。
【請求項5】
ネットワークに接続されたユーザ端末からの視点移動指示に応じて、前記ネットワークを通じて前記ユーザ端末側で構造物内を移動してシミュレーション表示するための三次元画像を提供するサーバ装置であって、
前記構造物に関わる第1の二次元画像データを取り込み、該第1の二次元画像データから二次元モデリングデータを生成し、該二次元モデリングデータを二次元マッピング処理して前記構造物内を移動する領域を設定した二次元マッピングデータを生成する二次元画像処理部と、
前記二次元モデリングデータと前記二次元マッピングデータを記憶する二次元データ記憶部と、
前記構造物に関わる第2の二次元画像データを取り込んで、該第2の二次元画像データと前記二次元データ記憶部に記憶された前記二次元モデリングデータを比較して画像データを生成し、該第2の二次元画像データと前記二次元データ記憶部に記憶された前記二次元マッピングデータを三次元マッピング処理して前記構造物内の視点位置を設定した三次元マッピングデータを生成する三次元画像処理部と、
前記画像データと前記三次元マッピングデータを記憶する三次元データ記憶部と、
前記ユーザ端末から視点移動指示を受信して、前記三次元データ記憶部に記憶された前記画像データと前記三次元マッピングデータを前記ネットワークを通じて前記ユーザ端末に送信する通信制御部と、
を具備することを特徴とするサーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−134390(P2009−134390A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308340(P2007−308340)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(507393942)
【出願人】(507393953)
【Fターム(参考)】