説明

樹脂フィルムロールおよびその製造方法

【課題】機能層をフィルムに積層する等のフィルム加工工程におけるキズの発生が少なく、搬送時の蛇行やずれが無い等の加工適性に優れ、かつフィルムの平面性や巻姿が良好である樹脂フィルムロールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂フィルムをフィルム長手方向に巻き取ってなる樹脂フィルムロールであって、フィルム幅方向両端部からの距離が100mm以内のフィルム領域に1または複数の突起からなる突起帯を有し、該突起帯がフィルム長手方向に連続して存在しており、突起帯の幅(a)が5〜20mmであり、突起帯のフィルム幅方向に対する位置がフィルム長手方向に沿って変化することを特徴とする樹脂フィルムロール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工時のキズや搬送時の蛇行やずれが無い等加工性に優れ、かつフィルムの平面性や巻姿が良好である樹脂フィルムロールおよびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、高平滑でありながら巻姿や平面性が極めて良好であり、機能層をフィルム表面上に積層する際にもキズやズレの発生を抑制することができる樹脂フィルムロール、特にフラットパネルディスプレイやタッチパネル、表面加飾フィルム用途に好適な樹脂フィルムロールおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムは、物理的性質に優れ、かつ生産性にも優れているため、さまざまな用途に広く用いられている。特に近年はIT分野の伸びに従いフラットパネルディスプレイ用途やタッチパネル用途などの表示材料や表面保護・加飾フィルムなどの基材として使用量が増加している。このような用途では高い透明性が要求されるため、一般的な包装用フィルムや工業材料用フィルムに易滑材として添加されている不活性粒子はほとんど添加されておらず、非常に平滑な表面を有している。そのため、フィルム製造工程や加工工程での搬送性が悪く、搬送ロール上で蛇行したり、ロール上の蛇行が原因で表面にキズがついたり、最終的にロール上に巻取った場合にフィルム層間に巻き込んだ空気層が抜けにくくなって巻きずれを起こすことがある。
【0003】
このような問題を改善する方法として、フィルムの両端部分にエンボス加工により突起形状を形成する方法が提案されている(特許文献1および特許文献2)。しかしながら、近年のタッチパネル用途などに代表されるディスプレイの高精細化に伴い、フィルム表面のキズ等の欠陥に対する要求が益々厳しくなってきている。そこで、フィルム巻き取り時のフィルムロール上での擦過によるキズや層間に巻き込んだ塵埃による転写欠点、フィルム表面上に施されるハードコート層などの機能層を積層する加工工程で生じるキズなどを高度に管理する必要性が増してきている。
【0004】
特許文献1、2では、フィルムロールの両端部近傍に施した突起加工により、フィルムをロール状に巻き取る際に巻込まれる空気量を適正化する技術が開示されている。ただし、上述した様に、フィルム表面上に機能層を積層した状態で突起構造による擦過防止やずれ防止機能を新たに発現させるためには高い突起が必要となる。その結果、樹脂フィルムをロール状に巻き取った際に、幅方向端部の突起構造部位と幅方向中央部の製品部位とのフィルムの積層厚み差によりロールの硬度や形状が不均一となり、特に突起加工部位近辺においてフィルムの平面性が悪化する問題があった。特に近年は、僅かな平面性の不良が画像のゆがみや機能層の厚みムラや欠点の原因となるため、厳格に平面性を維持することが求められているが、高いエンボス突起を有しながら高度な平面性を維持することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−272003号公報
【特許文献2】特開2010−36519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、機能層をフィルムに積層するフィルム加工工程等におけるキズや欠点の発生が少なく、更に搬送時の蛇行やずれ等を防止できる点で加工適性に優れ、フィルムの平面性や巻姿が良好である樹脂フィルムロールおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る樹脂フィルムロールは以下の構成を有する。
【0008】
(1)樹脂フィルムをフィルム長手方向に巻き取ってなる樹脂フィルムロールであって、フィルム幅方向両端部からの距離が100mm以内のフィルム領域に1または複数の突起からなる突起帯を有し、該突起帯がフィルム長手方向に向けて延在しており、前記突起帯の幅(a)が5〜20mmであり、前記突起帯のフィルム幅方向に対する位置がフィルム長手方向に沿って変化することを特徴とする樹脂フィルムロール。
【0009】
(2)前記突起帯のフィルム幅方向に対する位置がフィルム長手方向に沿って周期的に変化し、その変化量(b)が、突起帯の幅(a)の1倍以上かつ5倍以下である、(1)の樹脂フィルムロール。
【0010】
(3)前記樹脂フィルムロールのロール直径が300〜800mmであり、両側のフィルム端部からの距離が100mm以内のフィルム領域におけるへり高量が200〜1500μmである、(1)または(2)の樹脂フィルムロール。
【0011】
(4)前記突起帯がそれぞれ独立した突起よりなる集合体からなり、前記突起帯における個々の変形部分の平均面積が0.03〜0.20mmであり、前記突起帯における変形部分の面積率が3〜10面積%であり、前記突起帯の平均高さが4〜10μmである、(1)〜(3)の樹脂フィルムロール。
【0012】
(5)前記樹脂フィルムを構成する樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂またはポリフェニレンスルフィド樹脂からなる、(1)〜(4)の樹脂フィルムロール。
【0013】
(6)前記樹脂フィルムの表面粗さ(SRa)が5nm以下であり、十点平均粗さ(SRz)が300nm以下である、(1)〜(5)の樹脂フィルムロール。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る樹脂フィルムロールの製造方法は、以下の構成を有する。
【0015】
(7)フィルム幅方向両端部からの距離が100mm以内のフィルム領域に1または複数の突起からなる突起帯を有し、該突起帯がフィルム長手方向に向けて延在しており、前記突起帯の幅(a)が5〜20mmである樹脂フィルムをフィルム長手方向に巻き取ってなる樹脂フィルムロールを製造する方法であって、
樹脂フィルムのフィルム幅方向両端部からの距離が100mm以内のフィルム領域に、突起付与ロールにより突起帯を設ける突起付与工程と、
樹脂フィルムをフィルム幅方向両端部にて切断する切断工程と、
樹脂フィルムを巻き取る巻取工程とを有し、
前記突起付与工程において、前記突起付与ロールにおける突起付与部位のフィルム幅方向の位置を、前記切断工程において切断するフィルム切断部位の幅方向の位置に対して周期的に変化させることを特徴とする樹脂フィルムロールの製造方法。
【0016】
(8)前記切断工程において切断するフィルム切断部位のフィルム幅方向に対する位置と、前記巻取工程において巻き取るフィルム巻取部位のフィルム幅方向に対する位置とを周期的に変化させ、かつ、前記フィルム切断部位および前記フィルム巻取部位のフィルム幅方向に対する位置の変化量がともに、前記突起付与ロールにおける突起付与部位のフィルム幅方向の位置を前記切断部位のフィルム幅方向の位置に対して変化させた量よりも大きくなるように変化させる、(7)の樹脂フィルムロールの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機能層をフィルムに積層するフィルム加工工程等におけるキズや欠点の発生が少なく、搬送時の蛇行やずれが防止できる点で加工適性に優れ、フィルムの巻姿が良好であり、フィルムの平面性が高度に維持された樹脂フィルムロールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施態様に係る樹脂フィルムロールの概略斜視図である。
【図2】本発明の樹脂フィルムロールにおける突起帯の一例を示した概略平面図である。
【図3】本発明の樹脂フィルムロールにおける突起帯の他の例を示した概略平面図である。
【図4】本発明の樹脂フィルムロールの製造方法に用いられる突起付与装置の一例を示した概略斜視図である。
【図5】本発明の樹脂フィルムロールの製造方法に用いられる、周期的にフィルム幅方向の位置が変化する突起付与ロールを有する突起付与装置の一例を示した概略斜視図である。
【図6】本発明の樹脂フィルムロールの製造方法における、フィルム製造工程と連続した突起付与工程、切断工程、巻き取り工程の一例を示した概略構成図である。
【図7】本発明の樹脂フィルムロールの製造方法における、スリット工程に含まれた突起付与工程、切断工程、巻き取り工程の一例を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
樹脂フィルムロールは、幅方向両側の最端部からの距離が100mm以内の領域に、1または複数の突起からなる突起帯を有している。樹脂フィルムロールの両端部に突起帯を設けることにより、フィルムをロール状に巻き取ったときおよびフィルムが搬送ロールに接触したときのフィルムのずれを防止し、かつロール状に巻き取ったフィルム間に適度な空気層を保持することで、フィルムがこすれてできるキズやフィルム層間の微少な塵埃による転写欠点を防止することができる。特に表面が高平滑なフィルムにおいては、幅方向両端部に突起帯を有しない場合、搬送中や巻き取り時の擦過によるキズや巻き取り時のずれが発生しやすい。また、突起帯が片側端部のみに設けられている場合に、両端部のバランスが悪化することで、十分な効果が発現されない可能性がある。なお、突起帯を形成する位置については、幅方向最端部からの距離が100mm以内のフィルム領域、好ましくは50mm以内のフィルム領域に、突起帯全体が入るように突起帯が設けられる。突起帯の位置が最端部より100mmを越えるフィルム内側領域に存在する場合には、巻き取り時にフィルム中央部側に巻き込んだ空気層の抜け方が不均一となったり、最終的に、機能層をフィルム表面上に設けた機能フィルム製品として採取できるフィルム領域が狭くなることによりコストが高くなる等の問題が発生する恐れがある。
【0020】
上記突起帯は、1または複数の突起から構成されている。ここでいう突起とは樹脂フィルム表面上における高さ方向の変形を有し、その一部がフィルム表面に対して凸形状となっているものである。フィルム表面の変形形状としては、凹み状変形と凸状変形を同時に有する凹凸形状となる事が一般的である。フィルム表面を凸形状に変形させることで、搬送・巻き取り時の滑りを防止したり、ロール状に巻き取った時にフィルム層間に適度な空気層を保持する事が可能となる。また、突起帯は複数の独立した突起から構成された集合体であることが好ましい。独立した突起とは、変形部分を観察したときに他の変形部分と連続しておらず独立した状態で存在する突起のことである。突起帯が複数の独立突起からなる場合には、突起帯の間隙から適度な空気層の排出が可能となるため、更に良好な巻き姿を得ることができる。
【0021】
上記独立した突起における個々の変形部分の平均面積は0.03〜0.20mmであることが好ましく、0.05〜0.18mmであることがさらに好ましい。平均面積が0.03mm未満である場合には、突起帯としての効果の発現が不十分となって巻き姿や加工工程でのキズが悪化したり、突起毎の変形バラツキが大きくなる恐れがあり、好ましくない。また、平均面積が0.20mmを越える場合にはロール中央部側の空気層の排出不足や突起高さが不足する傾向が見られ、その結果、巻き姿や加工工程でのキズが悪化する恐れがあり好ましくない。
【0022】
突起帯の平均高さは4〜10μmが好ましく、5〜8μmであることがさらに好ましい。突起帯の平均高さが4μm未満である場合には、突起高さが不足するため巻き姿の安定化や加工時のキズ防止効果が不十分であり、10μmを越える場合には、突起高さが高すぎるため巻き姿やフィルムの平面性が悪化する傾向があり好ましくない。
【0023】
突起帯における変形部分の面積率(突起帯における変形部分の面積割合)は3〜10面積%である事が好ましい。変形部分の面積率が3面積%未満である場合には、突起面積が小さいために巻き姿や加工時のキズが悪化したり、少しの条件変動にて突起帯の高さが場所によりばらつく等の傾向が見られ好ましくない。また、変形部分の面積率が10面積%を越える場合は、突起高さが不足する傾向があり、その結果、巻き姿や加工時のキズが悪化したり、高い突起を得ようとして高温・高圧で突起付与ロールを押しつけた場合に、突起帯の高さが場所によりばらつく傾向があり好ましくない。
【0024】
突起帯の幅は5〜20mmであり、7〜15mmであることが好ましい。突起帯の幅が5mm未満である場合には、突起帯によるズレ防止効果が不十分となり、巻き姿や加工時におけるキズが悪化する恐れがある。また突起帯の幅が20mmを越える場合には、ロール中央部の空気層の排出不足や突起高さが不足する傾向により、巻き姿や加工工程においてキズが悪化する恐れがある。
【0025】
突起帯は、フィルムロールの長手方向に連続して形成されている。ここでいう「連続して」とは、1または複数の突起の集合体からなる突起帯が途切れることなく形成されている状態を示し、具体的には最も近接した変形部分同士の間隔が20mm未満となる様に、フィルムロールの巻芯および表層の余長部分を除いた製品部分全長にわたって突起帯が途切れることなく形成されている状態を示す。突起帯が連続して形成されていない場合には、フィルム間に存在する空気層の保持や加工時における搬送ロールとフィルムの把持力が場所によりばらつくため、巻き姿・平面性や表面キズが悪化することがある。
【0026】
変形部分の面積や突起高さ、変形帯の幅を有するフィルムロールを得る方法は特に限定されるものではなく、突起付与ロールの設計や突起付与時の温度・圧力などの条件により調整することが可能である。
【0027】
フィルムロール両側の最端部からの距離が100mm以内の領域におけるへり高量は、200〜1500μmである事が好ましく、300〜1200μmであることがさらに好ましい。へり高量が200μm未満である場合には、フィルムをロールに巻き上げたときの突起帯によるズレ防止効果が不十分となる場合があり好ましくない。また、1500μmを越える場合はフィルムの平面性が悪化する場合があり好ましくない。なお、ヘリ高量を上述の範囲に調整する方法としては、突起帯の幅方向位置をフィルム長手方向位置により変化させる方法等がある。
【0028】
突起帯のフィルム幅方向に対する位置は、フィルムの長手方向位置により変化している。また、その変化量(b)[mm]と突起帯の幅(a)[mm]は、関係式 a ≦ b ≦ 5a を満たす事が好ましく、関係式 2a ≦ b ≦ 4a を満たすことがさらに好ましい。突起帯の幅方向の位置が変わらない場合には、フィルムをロール状に巻き上げた場合、突起帯部分の直径がフィルム製品部分の直径より大きくなることで、突起帯周辺部のフィルムロール形状の均一性が損なわれ、フィルムの平面性や加工性が悪化する。また、突起帯の幅方向位置の変化量(b)が突起帯の幅(a)未満となる場合には、前述した突起帯の重なりを低減する効果が不十分で平面性や加工性が悪化する恐れがあり、好ましくない。特に、近年は僅かな平面性の不良が画像のゆがみや機能層の厚みムラや欠点の原因となるため、厳格に平面性を維持することが要求されている。また、突起帯の幅方向変化量(b)が突起帯の幅(a)の5倍を越える場合には、ロール状に巻き取ったときの突起帯によるズレ防止機能が不十分になったり、突起帯により製品部として使用できない領域の割合が多くなる事があり好ましくない。
【0029】
突起帯の幅方向の位置は、周期的に変化していることが好ましい。位置が周期的に変化する事により、樹脂フィルムロールの巻き芯部、中央部、表層部など長手方向の位置によらず、巻き姿やヘリ高量を均一化することが出来るので好ましい。変化が不規則な場合には、位置により突起帯の重なり具合にムラが生じ、局所的な巻き姿・平面性不良や加工性の悪化に繋がることがある。位置変化の周期は、長手方向に0.3m〜200m周期であることが好ましく、5m〜100m周期であることがさらに好ましい。
【0030】
樹脂フィルムロールのロール直径は300〜800mmφが好ましい。300mmφ未満である場合には、フィルム長が短く生産効率が落ちるため好ましくない。800mmφを越える場合には、ロールのヘリ高量が大きくなるため、良好な平面性を維持する事が困難となる場合があり好ましくない。
【0031】
上述の様に、突起帯の幅方向の位置を長手位置方向によって周期的に変化させることで、高い突起帯を形成した場合でもフィルムロールに巻き取った時に突起帯部分の重なりを適正化する事が可能となり、ロールのへり高量を全長に渡って制御することが出来る。その結果、非常に良好な巻き姿および平面性を有し、かつ加工性に優れた樹脂フィルムロールを得ることが出来る。
【0032】
突起帯を付与する方法としては、例えば突起付与ロールを押しつける事で突起付与ロールに刻印されている凹凸を樹脂フィルム表面に転写させる方法や、レーザー処理により樹脂表面の一部を溶融させて突起を形成する方法などが例示されるが、生産性や安全性などの観点からは突起付与ロールを使用する方法が好ましい。さらには突起付与時に発生する塵埃を防止したり、安定した高い突起を付与するために、突起付与ロールを加熱しながら樹脂フィルム表面に押し当てる方法が好ましい。この時の突起付与ロールの温度としては、樹脂フィルムの融点をTg(℃)としたとき、(Tg−50)(℃)以上(Tg+30)(℃)以下が好ましい。突起付与ロールの温度が(Tg−50)(℃)未満である場合には、高い突起を付与できない場合があり、また(Tg+30)(℃)を越える場合は、突起付与ロールに樹脂が付着劣化し、欠点となる場合がある。また、突起付与ロールの押さえ力については300〜2000Nであることが好ましく、500〜1500Nであることがさらに好ましい。押さえ力が低い場合には突起高さが不足する場合があり、高すぎる場合には突起高さのバラツキが大きくなる場合がある。なお、突起高さのバラツキを防止するため、突起付与ロールの両側から加重を保持する構造とする事が、圧力均一性が改善されるので好ましい。
【0033】
樹脂フィルムロールの製造方法としては、樹脂フィルムの幅方向両側の端部から100mmの領域に突起付与ロールにて突起帯を設ける工程であって、該突起付与ロールのフィルム幅方向の位置が周期的変化する事を特徴とする突起付与工程と、樹脂フィルムの幅方向両端部を切断する工程(切断工程)および樹脂フィルム巻き取る工程(巻き取り工程)を有する製造方法を用いることが好ましい。突起帯を設ける工程においては、突起付与ロールの幅方向の位置を周期的に変化させることで、上述のフィルム幅方向位置に対して、突起帯の位置を周期的に変化させる。また突起付与ロールの変化量の振幅や変化の周期を可変とする方法を採用することは、樹脂フィルムの厚みや幅、加工方法等の種々の目的に対して、最適な条件を選択する事が可能となるため好ましい。また、突起帯の幅方向の位置を周期的に変化させる方法としては、例えば図5に例示されるような突起付与ロール上の凹凸パターンそのものを、幅方向に周期的に変化させる方法も好ましい例として挙げられる。このような方法を用いた場合には、突起付与ロール装置を幅方向に変化させる装置を用いることなく、簡便に突起帯の幅方向位置を変化させる事ができる。
【0034】
切断工程における切断部位及び巻き取り工程における巻き取り部位の幅方向の位置は、切断工程を実施する前のフィルムに対して幅方向に周期的に変化し、かつその幅方向変化量が、前記突起帯の切断工程後のフィルムに対する幅方向位置変化量(b)[mm]よりも大きい事が好ましい。樹脂フィルムは様々な方法にて製造されるが、いずれの方法を用いた場合においても、樹脂フィルムは一般的にフィルム幅方向に固定された厚みムラを有しており、そのまま巻き取った場合には、樹脂フィルムロールの硬度ムラとなり平面性が悪化する場合がある。よって、上記の様に、切断部および巻き取り部位を、製膜されたフィルムに対して幅方向に周期的に変化させ、その変化量を大きくすることが、フィルムロールの中央部の硬度ムラを改善し、平面性が極めて良好となるため好ましい。
【0035】
樹脂フィルムロールの製造方法に使用される装置の一例を図6、7に示す。突起付与工程22で用いられる突起付与ロール12、切断工程で用いられるカッター15および巻き取り工程でのフィルム巻き取り部位(樹脂フィルムロール1の位置に該当)は、図6に例示されるようにフィルム製膜装置に連続して設置されていても良く、また図7に例示されるように一旦巻き取った中間製品をスリットする工程を実施する装置に設置されていても良い。なお、突起帯はフィルムの片側表面にのみ付与しても、両側表面に付与してもどちらでもよく、加工方法やフィルム特性により適宜選択する事が可能である。
【0036】
樹脂フィルムに用いられる樹脂は、特には限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ノルボルネン等の脂環式ポリオレフィン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはこれらの樹脂のブレンド物などを用いることができる。中でもフラットパネルディスプレイやタッチパネル、表面保護フィルムや加飾フィルム用途の基材フィルムとして用いる場合は、機械特性や熱特性および透明性に優れたポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート樹脂が、また上記用途の離型用工程紙として用いる場合には、耐熱性や耐薬品性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂が好ましい樹脂として挙げられる。
【0037】
樹脂フィルムに好ましく使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂、および/又はポリエチレンナフタレート樹脂について、その極限粘度(JIS K7367 2000に従い、25℃のo−クロロフェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gの範囲内であることがより好ましい。
【0038】
樹脂フィルムに好ましく使用する事ができるポリフェニレンスルフィド樹脂とは、代表的には、ポリ−p−フェニレンスルフィドであり、p−フェニレンスルフィド単位が90モル%以上、好ましくは、95モル%以上含まれた高分子である。また、繰り返し単位の10モル%未満、好ましくは5モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の10モル%未満、好ましくは5モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられる。これらのうち一つまたは二つ以上を共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの形式であってもよい。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度315℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、100〜2000Pa・sの範囲であることが好ましく、200〜1,000Pa・sの範囲であることがさらに好ましい。
【0039】
樹脂フィルム中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、架橋剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。また、樹脂フィルムが2層以上の積層構造体であっても良い。積層構造体としては、例えば、内層部と表層部と有する複合体フィルムであって、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有させた層を設けた複合体フィルムを挙げることができ、内層部と表層部が化学的に異種のポリマーであっても同種のポリマーであっても良い。特にディスプレイの基材用途においては、樹脂フィルム中に粒子などを含有しない方が透明性などの光学特性上好ましい。
【0040】
樹脂フィルムの厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜選択されるが、好ましい範囲は10〜500μm、さらに好ましくは20〜300μm、特に好ましくは38〜250μmである。また、樹脂フィルムは未延伸フィルムでも延伸フィルムのどちらでもよく、また延伸方向については一方向に延伸処理を施した一軸延伸フィルムでも、二方向に延伸した二軸延伸フィルムでも良く、特には限定されない。なお、フラットパネルディスプレイやタッチパネル、表面保護フィルムや加飾フィルム用途などの基材として用いられる場合は、その機械特性や熱特性、厚みの均一性等から二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0041】
樹脂フィルムの表面粗さ(SRa)は5nm以下であり、十点平均粗さ(SRz)は300nm以下である事が好ましい。なお、ここでいう表面粗さ(SRa)および十点平均粗さ(SRz)は、樹脂フィルムの両側表面を測定した時の平均値である。樹脂フィルムの表面粗さを上記の範囲とすることで、非常にクリアで透明感がある良好な外観が得られるため好ましい。このような超平滑な表面状態とする場合は、樹脂フィルム中に無機粒子や有機粒子などの滑剤を含有しないか、極めて少量とする必要があり、その結果、易滑性が低下し巻き姿・加工性が悪化する事がある。これらを解決するための方法としては、例えば易滑粒子を含有しない樹脂フィルム表面に、薄い塗布層を設け、該塗布層中に微粒子を含有させる等の方法が、透明性やクリアな外観を維持したまま、滑り性が付与する事ができるため好ましい。
【0042】
塗布層中に含有する微粒子は特には限定されないが、コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ゼオライト粒子などの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、“テフロン”(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などの有機粒子が挙げられ、これら粒子のいずれを用いてもあるいは複数種を併用してもよい。これら粒子の数平均一次粒径は、10〜300nmの範囲内であることが好ましく、40〜150nmの範囲内であることがより好ましい。ここで平均一次粒径とは、JIS−H7008(2002)において単一の結晶核の成長によって生成した粒子と定義される一次粒子の粒子径の平均である。なお粒子には、単分散粒子を用いても、複数の粒子が凝集した凝集粒子を用いてもよい。また、場合によっては平均一次粒径の異なる複数種の粒子を併用してもよい。
【0043】
塗布層を構成する樹脂は特には限定されないが、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が好ましい樹脂として挙げられ、さらにメラミン系樹脂、オキサゾリン系樹脂、エポキシ系樹脂などに代表される架橋剤や、アンモニウムイオンやスルホン酸イオンを含有する樹脂、ポリチオフェン等に代表される帯電防止剤を含有しても良い。塗布層の厚みについては特に限定されないが、10〜500nmの範囲である事が好ましく、20〜200nmであることがさらに好ましい。なお、塗布層を形成する方法としては、樹脂フィルム製造工程内に塗布装置で塗布する所謂インラインコーティング法と、いったんフィルムロールに巻き取った後、再度巻き出し塗布装置で塗布するオフラインコーティング法のいずれを用いても良い。塗布方式も特に限定されず、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法などの公知の方法を用いる事が出来る。
【0044】
次に樹脂フィルムの製造方法を、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある)フィルム樹脂を用いた場合を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
樹脂フィルムを構成する極限粘度0.5〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給し260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作製する。この未延伸フィルムを70〜100℃に加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向を指し「長手方向」ともいう)に2.5〜5.0倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面に空気中でコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に塗布層を構成する微粒子を含有する水系塗剤を塗布する。この塗布された積層ポリエステルフィルムをクリップで把持して乾燥ゾーンに導き、塗布層を乾燥させた後に70〜150℃の温度で加熱を行い、引き続き連続的に70〜150℃の加熱ゾーンで横方向(フィルムの進行方向とは直交する方向を指し「幅方向」ともいう)に2.5〜5.0倍延伸し、続いて200〜240℃の加熱ゾーンで5〜40秒間熱処理を施し、100〜200℃の冷却ゾーンを経て結晶配向の完了した樹脂フィルムを得る。なお、上記熱処理中に必要に応じて3〜12%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの端部をカットした後に中間製品として巻き取る。その後スリッターを用いて所望の幅に切断後、円筒状のコアに巻き付け所望の長さのポリエステルフィルムロールを得ることができる。なお、本スリット工程において巻き取り時に突起付与ロールをフィルム表面に押しつけ、突起帯を形成する。この時、押さえロールの幅方向の位置を振幅b[mm]で周期的に変化させる事で、突起帯の幅方向の位置が周期的に変化する樹脂フィルムを得ることが出来る。さらに巻き出し位置において、幅方向の位置を振幅c[mm]で周期的に変化させることによって、フィルムの切断位置と巻き取り位置を元のフィルムに対して変化させることが可能となる。
【実施例】
【0046】
[物性の測定法]
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、各種物性の測定方法を記載する。
【0047】
(1)突起帯の幅・位置(図2および図3参照)
樹脂フィルムロールからフィルムを切り出したフィルムサンプルにおいて、突起帯の幅方向両側最端部の突起に接する接線を長手方向にひき、その接線の間隔をJIS1級の金尺にて長手方向に50mm間隔で5点測定し、5点の平均値を突起帯の幅とした。
【0048】
また、突起帯の幅方向位置は、樹脂フィルムの幅方向端部と突起帯の製品中心側の端部(前記突起帯の両端部にひいた接線の内、製品中心部に近い方)との距離をJIS1級の金尺にて測定した。なお、突起帯の幅方向の変化量は、前記突起帯の幅方向の位置が最も製品端部に近いものと最も製品端部から遠いものの差とした。
【0049】
(2)フィルムロールのヘリ高量(図1参照)
フィルムロールの幅方向最端部から100mmの範囲での最大高さと、幅方向最端部から200mm内側の部分の高さの差をフィルムロールのへり高量とした。ダイヤルゲージ((株)ミツトヨ製)をフィルムロール上に平衡におくことが出来かつ平行にスライド出来る台座に取り付け、まず最端部から200mm内側の部分にダイヤルゲージの触点を当て、目盛りを0に調整した。次に最端部から100mm内側の部分から触点をフィルムロールに接触させたまま最端部まで移動し、値が最大となる点の目盛りを読みとった。任意の位置で片側5ヶ所×両端部の計10カ所を測定し、10箇所の平均値をフィルムロールのへり高量とした。
【0050】
(3)突起帯の変形部分の平均面積および総面積率
スカラ株式会社製デジタルマイクロスコープDG−2Aを用いて、倍率50倍でフィルムの突起帯を観察した。突起帯の凹凸変形部分10個の面積を求め、その平均値を突起の平均面積とした。なお、変形部分はそれぞれを四角形で近似し、縦・横の長さを実測することでその積から面積を求めた。ただし、変形部分の形状が楕円または不定形の場合は、長径と短形の平均を直径とした円として面積を算出した。また、突起帯の変形部分の総面積比率は、前記と同じ方法でデジタルマイクロスコープにて10視野を観察し、変形部分の面積を測定視野面積で除して、100倍することで算出した。
【0051】
(4)突起帯の平均高さ
ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社製のデジタルマイクロメーターμメイトM−30を用いて、突起帯の幅方向中央部と突起帯のない部分の厚みをそれぞれ20点ずつ測定して平均し、その差をもって突起の高さとした。
【0052】
(5)フィルムの表面粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)
3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET4000AK)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。なお、表面粗さ(SRa)は、粗さ曲面の高さと粗さ曲面の中心面の高さの差をとり、その絶対値の平均値を表したものであり、十点平均粗さ(SRz)は、粗さ曲面の高さが第1位から第5位までの山頂部分の高さの平均値と、第1位から第5位までの谷底部分の高さの平均値の差を表したものである。なお、本発明における表面粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)はフィルムの両側表面を測定した平均値とした。
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5 (μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25(nm)
基準面積 0.1(mm
【0053】
(6)平面性
樹脂フィルムロールを巻き取った後、23℃60RH%の環境下で72時間エージングをした。次にロール最表層1枚分を廃棄し、その内側より長手方向に3m長のサンプルを採取した。採取したフィルムサンプルを平面台の上に伸ばして置き、蛍光灯反射にて端部たるみを確認し、下記の通り判定した。なお、幅方向両端部のたるみを確認し、悪い方の結果で判定した。
◎:たるみが見られない。
○:幅方向最端部たるみの高さが2mm未満。
△:幅方向最端部たるみの高さが3mm未満。
×:幅方向最端部たるみの高さが3mmを越える。
なお、◎、○、△が合格範囲である。
【0054】
(7)加工特性
ハードコート層を構成する活性線硬化型樹脂(日本合成化学工業(株)製 紫光UV−1700B[屈折率:1.50〜1.51])を、樹脂フィルムフィルムの表面上にグラビアコーターを用いて硬化後の膜厚が2.0μmとなるように均一に塗布した。なお、この時ハードコート層が突起帯にかからない様に塗布幅を調整した。次いで、ハードコート層の表面から9cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製 H03−L31)で、積算照射強度が300mJ/cmとなるように紫外線を照射し、硬化させた後に張力100N/mで巻き取り、フィルム上にハードコート層を積層された光学積層フィルムを得た。得られたハードコートフィルムの外観や巻姿をから、加工性を下記の通り判定した。
◎:表面の新たなキズ発生およびロールのずれが無く良好である。
○:ハロゲンライト(100W)反射で視認できる1mm以上のキズ発生が無く、かつロールのずれ量が1mm以下である。
△:三波長蛍光灯(30W)反射で視認できる1mm以上のキズ発生が無く、かつロールのずれ量が2mm以下である。
×:三波長蛍光灯(30W)反射で視認できる1mm以上のキズ発生があるか、ロールのずれ量が2mmを越える。
なお、◎、○、△が合格範囲である。
【0055】
[参考例1]ポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットの調製
酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、三酸化アンチモン(重合触媒)を得られるポリエステルペレットに対してアンチモン原子換算で300ppmとなるように添加し、重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g、カルボキシル末端基量40当量/トン、融点256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)ペレットを得た。
【0056】
[参考例2]ポリエチレンナフタレート(PEN)ペレットの調製
2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100重量部とエチレングリコール60重量部とを、エステル交換触媒として酢酸コバルト4水塩0.03重量部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.023重量部を添加し、実質的にエステル交換反応を終了させた。更に三酸化アンチモン0.024部(0.82モル)を添加後、引き続き高温高真空下で常法通り重縮合反応を行ない、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒にて、35℃で測定)0.62dl/g、融点269℃のポリエチレンナフタレート(PEN)ペレットを得た。
【0057】
[参考例3]ポリフェニレンサルファイド(PPS)ペレットの調製
オートクレーブ容器に水硫化ナトリウム(NaSH)56.25モル部、水酸化ナトリウム54.8モル部、酢酸ナトリウム16モル部、およびN−メチルピロリドン(NMP)170モル部を仕込んだ。次に、窒素ガス気流下に撹拌しながら内温を220℃まで昇温させ脱水を行なった。脱水終了後、系を170℃まで冷却した後、55モル部のp−ジクロロベンゼン(p−DCB)と0.055モル部の1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を25モル部のNMPとともに添加し、窒素気流下に系を2.0kg/cmまで加圧封入した。235℃にて1時間、さらに270℃にて3時間撹拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマーのスラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間撹拌後ポリマーを分離した。このポリマーをさらに約70℃のイオン交換水(ポリマー重量の9倍)で撹拌しながら5回洗浄後、約70℃の酢酸リチウムの5重量%水溶液にて窒素気流下にて約1時間撹拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃かつ1torrの雰囲気下で20時間乾燥処理することによって白色のポリフェニレンサルファイド粉末を得た。次に、このポリフェニレンサルファイド粉末を市販の窒素ガス雰囲気下70℃のNMP(ポリフェニレンサルファイドポリマー重量の3倍量)にて30分間の撹拌処理を2回行なった。このポリフェニレンサルファイド粉末をさらに約70℃のイオン交換水で4回洗浄した後分離し、上記の乾燥処理のようにして乾燥することによって白色のポリフェニレンサルファイド粉末を得た。このポリフェニレンサルファイド粉末の300℃における溶融粘度は5000ポイズ、融点は285℃であった。次に平均粒径1.0μmの球状のカルサイト型炭酸カルシウムをエチレングリコール中に50重量%微分散させたスラリーを調製し、このスラリーを1μmカットフィルターで濾過した後上述のポリフェニレンサルファイド粉末にヘンシェルミキサを用いて炭酸カルシウムが0.05重量%となるよう混合した。次いで、2個所のベント孔を有する2軸押出機に供給し、溶融混練と同時にベント孔よりエチレングリコールを除去し、ガット状に押出し、水中で冷却後切断して炭酸カルシウム粒子含有ポリフェニレンサルファイド(PPS)ペレットとした。
【0058】
[参考例4]ポリエステル樹脂(A)の調製
窒素ガス雰囲気下でジカルボン酸成分としてテレフタル酸60モル部、2,6−ナフタレンジカルボン酸30モル部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム5モル部、グリコール成分としてエチレングリコール100モル部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブチルチタネート(触媒)を全ジカルボン酸成分100万重量部に対して100重量部添加して、160〜240℃で5時間エステル化反応を行った後、溜出液を取り除いた。
【0059】
その後、3価以上の多価カルボン酸成分である1,3,5−トリメリット酸5モル部と、テトラブチルチタネートを更に全ジカルボン酸100万重量部に対して100重量部添加して、240℃で、反応物が透明になるまで溜出液を除いたのち、220〜280℃の減圧下において、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A)を得た。該ポリエステル樹脂のTgは120℃であった。
【0060】
上記のポリエステル樹脂(A)100.0重量部に対して水531.6重量部、25重量%のアンモニア水2.0重量部、ブチルセロソルブ33.4重量部を添加して、40℃で溶解させた。続いてこの反応容器を密閉して、該容器の内部温度を120℃にまで昇温して2時間加熱を行い、ポリエステル樹脂(A)の水分散体を得た。
【0061】
<ポリエステル樹脂(A)の組成>
(ジカルボン酸成分および多価カルボン酸成分)
・テレフタル酸 60モル部
・2,6−ナフタレンジカルボン酸 30モル部
・5−スルホイソフタル酸ナトリウム 5モル部
・1,3,5−トリメリット酸 5モル部
(グリコール成分)
・エチレングリコール 100モル部
【0062】
[実施例1]
参考例1の方法で得られたポリエチレンテレフタレートペレット(極限粘度0.63dl/g)を真空中160℃で4時間乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融押出を行った。ステンレス鋼繊維を焼結圧縮した平均目開き5μmのフィルターで、次いで平均目開き14μmのステンレス鋼粉体を焼結したフィルターで濾過した後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを予熱ロールにて70℃に予熱後、上下方向からラジエーションヒーターを用いて90℃まで加熱しつつロール間の周速差を利用して長手方向に3.1倍延伸し、引き続き冷却ロールにて25℃まで冷却し、一軸配向(一軸延伸)フィルムとした。このフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの表面張力を55mN/mとした。
【0063】
次いで、下記塗液(A)を上記一軸延伸フィルムの両面にバーコーターを用いて塗布した。
<塗液(A)の組成>
使用した塗液は、ポリエステル樹脂固形分を100重量部とした時に以下の成分を含有する、ポリエステル樹脂固形分換算の濃度が5.0%である水溶液である。
・ポリエステル樹脂(A):100重量部
・メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”MW12LF):40重量部(固形分換算)
・粒径140nmのコロイダルシリカ:1.5重量部
【0064】
塗液を塗布した1軸延伸フィルムをクリップで把持してオーブン中にて雰囲気温度120℃で乾燥・予熱し、引き続き連続的に120℃の延伸ゾーンで幅方向に3.7倍延伸した。得られた二軸配向(二軸延伸)フィルムを230℃の加熱ゾーンで10秒間熱処理を実施後、230℃から120℃まで冷却しながら5%の弛緩処理を施し、続けて50℃まで冷却した。引き続き幅方向両端部を除去した後に巻き取り、基材ポリエステルフィルムの両面に厚さ90nmの塗布層が積層された厚さ125μm、ヘイズ0.8%(JIS K7105(1981))、表面の粗さ(SRa)3.0nm、十点平均粗さ(SRz)150nm、幅4mの積層ポリエステルフィルムの中間製品を得た。
【0065】
得られた中間製品を図7の概略図で示されるスリット工程にて巻き出し張力900N/4m幅で巻き出し、幅1200mmの製品3本と両端部の耳部分に切断し、切断されたフィルムをそれぞれ巻き取り張力250N/m、直径130mmの押さえロールによる押さえ力50N/mの条件にて樹脂フィルムロールを内径6インチの繊維強化プラスチック製コアに巻き上げ、幅1200mm、製品長さ1700m、巻芯余長50m(合計フィルム長1750m)のフィルムロールを得た。フィルムロールの製品外径は568mmであった。なお、突起帯は、フィルムを製品幅に切断する前に各製品の幅方向両端部から45mmの範囲内になるように、直径127mmの突起付与ロールによる突起付与装置を温度260℃、押さえ力1000Nでフィルム表面の片面側(フィルムロールの外面側)に押さえつけ、表1に記載の突起帯を形成した。また、この時に中間製品巻き出し装置は、切断装置および巻き取り装置に対して、フィルム幅方向に150mmの範囲を周期500m長にて直線状にオシレートさせ、さらに、突起付与装置はフィルム切断装置および巻き取り装置に対して、フィルム幅方向に20mmの範囲を周期100m長にて直線状にオシレートさせた。
【0066】
【表1】

【0067】
得られたフィルムロールの特性を表1に示す。非常に平滑なフィルムにも関わらず、得られた樹脂フィルムロールは端部のたるみや巻きずれが見られず良好な巻姿を有しており、またフィルム外面側にハードコートを積層した際のキズの発生やハードコートフィルムの巻き取り時のエア溜まりやずれも見られず、非常に良好な加工特性も有していた。
【0068】
[実施例1〜12,比較例1〜5]
スリット工程の条件を表1の通りとした以外は実施例1に従い、フィルムロールを得た。得られたフィルムロールの特性を表1に示す。
【0069】
[実施例13]
塗液を以下の塗液(B)に変更した以外は実施例1に従い、表面粗さ(SRa)7.0nm、十点平均粗さ(SRz)400nmのフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの特性を表1に示す。
【0070】
<塗液(B)の組成>
使用した塗液は、ポリエステル樹脂固形分を100重量部とした時に以下の成分を含有する水溶液である。
・ポリエステル樹脂(A):100重量部
・メラミン系架橋剤(三和ケミカル社(株)製“ニカラック”MW12LF):40重量部(固形分換算)
・粒径300nmのコロイダルシリカ:1.5重量部
【0071】
[実施例14]
突起帯の幅方向の位置変化を、突起付与装置をオシレートさせずに、突起付与ロールのパターン形状をロール1周の長さ周期(0.4m)で幅方向に25mmだけ変動させる方法に変更した以外は、実施例1に従いフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの特性を表1に示す。
【0072】
[実施例15]
樹脂フィルムの原料をポリエチレンナフタレートに変更し、スリット工程の条件を表1としつつ、下記のようにしてフィルムロールを得た。
【0073】
参考例2に記載のポリエチレンナフタレートペレットを180℃で3時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度300℃で溶融し、ステンレス鋼繊維を焼結圧縮した平均目開き5μmのフィルターで濾過した後に、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度40℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを予熱ロールにて120℃に予熱後、上下方向からラジエーションヒーターを用いて加熱しつつロール間の周速差を利用して長手方向に3.0倍延伸し、引き続き冷却ロールにて25℃まで冷却し、一軸配向(一軸延伸)フィルムとした。このフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの表面張力を55mN/mとした。
【0074】
次いで、実施例1と同様の塗液を上記一軸延伸フィルムの両面にバーコーターを用いて塗布し、フィルム両端部をクリップで把持してオーブン中にて雰囲気温度120℃で乾燥・予熱し、引き続き連続的に140℃の延伸ゾーンで幅方向に3.3倍延伸した。得られた二軸配向(二軸延伸)フィルムを230℃の加熱ゾーンで10秒間熱処理を実施後、230℃から120℃まで冷却しながら5%の弛緩処理を施し、続けて50℃まで冷却した。引き続き幅方向両端部を除去した後に巻き取り、基材ポリエステルフィルムの両面に塗布層が積層された厚さ125μm、ヘイズ1.0%(JIS K7105(1981))、表面粗さ(SRa)4.0nm、十点平均粗さ(SRz)175nm、幅4mの積層ポリエステルフィルムの中間製品を得た。得られた中間製品に対し、突起付与ロールの温度を290℃とした以外は実施例1と同様の方法で加工することにより、製品ロールを得た。
【0075】
[実施例16]
樹脂フィルムの原料をポリフェニレンサルファイドに変更し、スリット工程の条件を表1に示した条件としつつ、下記の方法にてフィルムロールを得た。
【0076】
参考例3に記載の炭酸カルシウム粒子含有ポリフェニレンサルファイドペレットを、回転式真空乾燥機を用いて、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させた。得られた乾燥チップを、溶融部が310℃に加熱された単軸押出機に供給し、ステンレス鋼繊維を焼結圧縮した平均目開き5μmのフィルターで濾過した後に、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを縦延伸機にて、フィルム温度101℃温度で縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後両端部をクリップで把持してテンターに導き、延伸温度101℃、延伸倍率3.4倍で幅方向に延伸を行い、引き続いて温度260℃で8秒間熱処理を行ったのち室温まで冷却した。その後フィルムエッジを除去し、厚さ100μm、表面粗さ(SRa)24.0nm、十点平均粗さ(SRz)1100nm、幅2.4mの二軸配向ポリフェニレンサルファイドフィルムの中間製品を得た。得られた中間製品をスリット工程にて巻き出し張力500N/2.4m幅で巻き出し、幅1000mmの製品2本と両端部の耳部分に切断し、切断されたフィルムをそれぞれ巻き取り張力250N/m、直径130mmの押さえロールによる押さえ力50N/mの条件にて樹脂フィルムロールを内径6インチの繊維強化プラスチック製コアに巻き上げ、幅1000mm、製品長さ500m、巻芯余長30m(合計フィルム長530m)のフィルムロールを得た。フィルムロールの製品外径は315mmであった。なお、突起帯は、フィルムを製品幅に切断する前に各製品の幅方向両端部から45mmの範囲内になるように、直径127mmの突起付与ロールによる突起付与装置を温度290℃、押さえ力1000Nでフィルム表面の片面側(フィルムロールの外面側)に押さえつけ、表1に記載の突起帯を形成した。また、この時に中間製品巻き出し装置は、切断装置および巻き取り装置に対して、フィルム幅方向に100mmの範囲を周期300m長にて直線上にオシレートさせ、さらに、突起付与装置はフィルム切断装置および巻き取り装置に対して、フィルム幅方向に30mmの範囲を周期100m長にてオシレートさせた。
【0077】
表1によれば、突起帯の幅(a)が5〜20mmの範囲で、かつ、突起帯の幅方向位置が変化している場合には、樹脂フィルムロール端部のヘリ高量が適正化され良好な平面性が得られると共に、加工性も合格範囲となった。また、突起帯の幅方向位置変化量(b)と突起帯の幅(a)の関係が、a≦b≦5aを満たす場合には、さらに良好な結果となった。
【0078】
また、突起帯における変形部の面積が0.03〜0.20mm、変形部の総面積比率が3〜20面積%、突起帯の平均高さが4〜10μmの場合に樹脂フィルムロールのへり高量、平面性および加工性が良好な傾向となる結果となった(実施例1と実施例9,11,12の比較による。)。さらに、突起帯の幅(a)の値および、突起帯の幅(a)と突起帯の幅方向位置変化量(b)が前記の関係にあり、かつ突起帯の形状・高さが更に好ましい範囲である変形部の面積が0.05〜0.18mm、変形部の総面積比率が3〜10面積%、突起帯の平均高さが5〜8μmである場合に、フィルムの表面粗さ(SRa)が5nm以下、十点平均粗さ(SRz)が150nm以下の非常に平滑なフィルムにおいても、フィルムロールのへり高量、平面性、および機能層を付与した場合の加工性が非常に良好な結果となった(実施例1,4,6,8,10,14,15,16参照。)。つまり、突起帯の幅を規定し、さらにその幅方向位置を長手位置方向によって変化させることで、高い突起帯を形成した場合でも、フィルムロールの突起帯部分のへり高量を適正値に制御することができ、巻き姿、平面性および加工性に優れた樹脂フィルムロールを得ることが出来ることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る樹脂フィルムロールは、高平滑なフィルムであっても巻姿や平面性が極めて良好であり、更に機能層をフィルムに積層する際にキズや巻きずれの発生が無く加工性に優れる特徴を有する。よって、高透明・高平滑なフィルムが要求され、かつキズ・平面性などの品質要求が厳しいフラットパネルディスプレイやタッチパネル、表面保護フィルムや加飾フィルム用途の基材フィルムおよび離型用フィルム等に好適に用いることが出来る。
【符号の説明】
【0080】
1 樹脂フィルムロール
2 樹脂フィルムロールを巻き取るためのコア
3 突起帯
4 樹脂フィルムロールのヘリ高量
5 樹脂フィルムの幅方向端部
6 突起帯の幅方向端部に位置する個々の変形部分を結んだ接線
7 突起帯における変形部分
8 突起帯の幅(a)
9 突起帯のフィルム幅方向最端部からの距離(突起帯の幅方向端部に位置する個々の変形部分を結んだ接線の内、製品中央部よりの接線とフィルム端部との距離)
10 突起帯の幅方向変化量(b)
11 突起帯の幅方向位置変化の周期
12 突起付与ロール
13 転写位置が幅方向に周期的に変化する突起付与ロール
14 対極ロール
15 カッター
16 エッジ処理装置
17 押さえロール
18 搬送ロール
19 フィルム進行方向
20 突起付与工程、切断工程、巻き取り工程を含むユニット
21 突起付与工程、切断工程、巻き取り工程を含むユニットの幅方向位置変化量
22 突起付与工程
23 突起付与工程の幅方向位置変化量
24 中間製品ロール
25 中間製品ロール巻き出しユニット
26 中間製品ロール巻き出しユニットの幅方向位置変化量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムをフィルム長手方向に巻き取ってなる樹脂フィルムロールであって、フィルム幅方向両端部からの距離が100mm以内のフィルム領域に1または複数の突起からなる突起帯を有し、該突起帯がフィルム長手方向に向けて延在しており、前記突起帯の幅(a)が5〜20mmであり、前記突起帯のフィルム幅方向に対する位置がフィルム長手方向に沿って変化することを特徴とする樹脂フィルムロール。
【請求項2】
前記突起帯のフィルム幅方向に対する位置がフィルム長手方向に沿って周期的に変化し、その変化量(b)が突起帯の幅(a)の1倍以上かつ5倍以下である、請求項1に記載の樹脂フィルムロール。
【請求項3】
前記樹脂フィルムロールのロール直径が300〜800mmであり、両側のフィルム端部からの距離が100mm以内のフィルム領域におけるへり高量が200μm〜1500μmである、請求項1または2に記載の樹脂フィルムロール。
【請求項4】
前記突起帯がそれぞれ独立した突起よりなる集合体からなり、前記突起帯における個々の変形部分の平均面積が0.03〜0.20mmであり、前記突起帯における変形部分の面積率が3〜10面積%であり、前記突起帯の平均高さが4〜10μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂フィルムロール。
【請求項5】
前記樹脂フィルムを構成する樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂またはポリフェニレンスルフィド樹脂からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂フィルムロール。
【請求項6】
前記樹脂フィルムの表面粗さ(SRa)が5nm以下であり、十点平均粗さ(SRz)が300nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂フィルムロール。
【請求項7】
フィルム幅方向両端部からの距離が100mm以内のフィルム領域に1または複数の突起からなる突起帯を有し、該突起帯がフィルム長手方向に向けて延在しており、前記突起帯の幅(a)が5〜20mmである樹脂フィルムをフィルム長手方向に巻き取ってなる樹脂フィルムロールを製造する方法であって、
樹脂フィルムのフィルム幅方向両端部からの距離が100mm以内のフィルム領域に、突起付与ロールにより突起帯を設ける突起付与工程と、
樹脂フィルムをフィルム幅方向両端部にて切断する切断工程と、
樹脂フィルムを巻き取る巻取工程とを有し、
前記突起付与工程において、前記突起付与ロールにおける突起付与部位のフィルム幅方向の位置を、前記切断工程において切断するフィルム切断部位の幅方向の位置に対して周期的に変化させることを特徴とする樹脂フィルムロールの製造方法。
【請求項8】
前記切断工程において切断するフィルム切断部位のフィルム幅方向に対する位置と、前記巻取工程において巻き取るフィルム巻取部位のフィルム幅方向に対する位置とを周期的に変化させ、かつ、前記フィルム切断部位および前記フィルム巻取部位のフィルム幅方向に対する位置の変化量がともに、前記突起付与ロールにおける突起付与部位のフィルム幅方向の位置を前記切断部位のフィルム幅方向の位置に対して変化させた量よりも大きくなるように変化させる、請求項7に記載の樹脂フィルムロールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−192546(P2012−192546A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56347(P2011−56347)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】