樹脂ベルト製造方法
【課題】 押出し成形直後の樹脂ベルトに迅速に硬化処理を行える作業効率が高い樹脂ベルト製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 導電性材料Cを配合した樹脂材料Jが混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイ52を経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ52直後の筒状成形部67に電子線照射手段18を設置し、該電子線照射手段18の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することにより、成形ダイ52から筒状に押し出された直後の筒状部が即座に架橋・硬化されるので、格別な別途の工程を設定することなく、簡素な製造装置にて機械的な強度が向上したエンドレスベルトが得られる。
【解決手段】 導電性材料Cを配合した樹脂材料Jが混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイ52を経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ52直後の筒状成形部67に電子線照射手段18を設置し、該電子線照射手段18の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することにより、成形ダイ52から筒状に押し出された直後の筒状部が即座に架橋・硬化されるので、格別な別途の工程を設定することなく、簡素な製造装置にて機械的な強度が向上したエンドレスベルトが得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性エンドレスベルトを射出成形する樹脂ベルト製造方法に関し、特に、複写機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置等の画像形成のための中間転写ベルト等に用いられる導電性エンドレスベルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ドラム等にトナーを供給し、感光ドラムの潜像に該トナーを付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、感光ドラムを一定電位に帯電させた後、露光機により感光ドラム上に静電潜像を形成し、さらに、トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを感光ドラムの潜像に付着させる現像を行う。また、感光ドラムと現像ローラに一定の間隙を設け、その間隙にトナーを電気的に飛翔させて現像を行う非接触現像法も提案されている。
【0003】
また、上記感光ドラムの帯電には、従来コロナ放電方式が採用されていたが、コロナ放電方式では、6〜10kVの高電圧を印加する必要があるため、装置の安全確認の観点から好ましくはなく、さらに、コロナ放電中にオゾン等の有害物質が発生するため、環境面からも好ましくなかった。これに対し、感光ドラムを帯電させる接触帯電方式が提案されている。
【0004】
上記加圧現像法における現像ローラ、ならびに上記接触帯電方式における帯電ローラは、感光ドラムに密着した状態を確実に保持しながら回転しなければならないため、また、非接触現像法における現像ローラにおいても、トナーに対するストレスを軽減するために、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、シリコーンゴム。アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリウレタン等のエラストマーにカーボンブラックや金属粉を分散させた半導電性の弾性体やこれらを発泡させた発泡体からなる半導電性弾性層を形成した構造となっている。また、トナーに対する帯電性や付着性の制御、弾性層による感光ドラムの汚染防止等を目的として、上記弾性層の表面に、さらに、樹脂被覆層を形成する場合がある。
【0005】
さらに、上記現像ローラおよび帯電ローラに加えて、現像ローラにトナーを供給するためのトナー供給ローラ、感光ドラムの潜像に付着したトナーを記録媒体に転写するための転写ローラ、転写後に感光ドラム上に残留するトナーを除去するためのクリーニングローラ等にも、上記のようなシャフトの外周に半導電性弾性層を形成し、該弾性層の表面にさらに樹脂被覆層を形成した構造の導電性ローラが用いられている。
【0006】
一方、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記加圧現像法にしたがってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工夫が必要であり、この工程を行うためにはいくつかの方式が提案されている。
【0007】
4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像をそれぞれマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像、ブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねるとにより、カラー画像を再現するタンデム方式と、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像、ブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して、4色のトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写する中間転写方式がある。また、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせたタンデム中間転写方式もある。これらの方式において、記録媒体送り機能付与とトナー像形成のために無端状の導電性エンドレスベルトが用いられているのは周知の通りである。
【0008】
これらのベルト表面において、感光ドラムや記録媒体供給手段の制御や監視目的で、表面に赤外線を照射したり、トナー離型性を向上させるため、基材層とは別に表層として樹脂被覆層を形成することが行われている。
【0009】
従来、上記導電性エンドレスベルトを製造するには、導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出されて(射出されて)製造される。このような成形ダイとして、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成されたものが提案されている(下記特許文献1参照。)
【0010】
【特許文献1】特開2001−138380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記特許文献1に開示されたものは、マンドレルと外周ダイリングとの間に環状通路を区画するとともに該環状通路に螺旋溝を形成し、該環状通路内に溶融樹脂材料を押し出して樹脂製薄肉チューブを形成し、これを製品幅に切断して導電性エンドレスベルトを得るものである。このようなマンドレルと外周ダイリングとを用いることで、厚み精度を高めることが達成された。
【0012】
しかしながら、このような従来の製造方法によって、高い厚み精度の導電性エンドレスベルトが得られることとなったものの、成形ダイ中での溶融樹脂の滞留時間が長く境界線が発生する虞れが生じる他、成形ダイを通じて押し出されたままでは、エンドレスベルトとしての強度が充分ではなかった。そこで、別工程にて前記エンドレスベルトの機械的強度向上のための工程が必要であった。そのため、工程が複雑化し、時間もかかって作業効率が低下していた。
【0013】
そこで本発明は、このような従来の導電性エンドレスベルトの課題を解決して、押出し成形直後の樹脂ベルトに迅速に硬化処理を行える作業効率が高い樹脂ベルト製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため本発明は、導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ直後の筒状成形部に電子線照射手段を設置し、該電子線照射手段の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することを特徴とする。また本発明は、前記成形ダイが、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成され、前記マンドレルと外筒ダイリングとが相対回転する両者間の空間に溶融樹脂材料を供給して、筒状の樹脂ベルトを形成することを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ直後の筒状部に電子線照射手段を設置し、該電子線照射手段の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することにより、成形ダイから筒状に押し出された直後の筒状部が即座に架橋・硬化されるので、格別な別途の工程を設定することなく、簡素な製造装置にて機械的な強度が向上したエンドレスベルトが得られる。
【0016】
また、前記成形ダイが、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成され、前記マンドレルと外筒ダイリングとが相対回転する両者間の空間に溶融樹脂材料を供給して、筒状の樹脂ベルトを形成する場合は、前記相対回転するマンドレルと外筒ダイリングとの間に送られる樹脂材料を強制循環させることで、滞留を生じさせることなく円滑に流下させて、境界線の発生等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の樹脂ベルト製造方法を図面に基づいて説明する。図1は本発明の樹脂ベルト製造方法の概略全体図、図2は成形ダイの拡大斜視図、図2(A)はマンドレルの斜視図、図2(B)は外筒ダイリングの回転駆動の説明斜視図、図3は導電性エンドレスベルトの斜視図である。本発明の樹脂ベルトの製造方法の基本的な構成は、図1に示すように、導電性材料Cを配合した樹脂材料Jが混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイ52を経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ52直後の筒状成形部67に電子線照射手段18を設置し、該電子線照射手段18の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することを特徴とする。
【0018】
以下、実施例について説明する。図3は導電性エンドレスベルトとして使用される樹脂ベルトを示す。導電性エンドレスベルト3は、回転軸である駆動軸やアイドル軸8、9に掛け渡されてゴムや樹脂等の基体部5が張設される。該基体部5の周囲にさらに塗膜層4が塗装される。また、ベルト基体部5と表面層との間に弾性層を設けてもよい。この基体部5を溶融樹脂材料から射出成形して製造する。
【0019】
図1に示すように、カーボン等の導電性材料Cを配合した樹脂材料Jが混練部50の投入口から投入され、混練スクリュ55にて混練されつつ下流へと供給される。ヒータ57により加熱された樹脂材料は軟化し、供給部51に入る。供給部51ではさらにヒータ58により加熱されて完全に溶融する。溶融樹脂材料として成形ダイ52に入り、相対回転するマンドレル52Aと外筒ダイリング52Bとの間にて強制循環され、筒状に押し出されて筒状成形部67にて電子線照射手段18により硬化・架橋される。その後、カット部CUにて切断されてエンドレスベルト3としての基体部5(図3)が完成する。
【0020】
図2(A)に示すように、成形ダイ52は、中央に位置するマンドレル52Aと該マンドレル52Aの周囲に所定間隔を空けて配設される外筒ダイリング52Bとから構成される。前記所定間隔を空けたマンドレル52Aと外筒ダイリング52Bとの間には環状通路54が形成され、前記マンドレル52Aの周囲には複数の螺旋溝60が刻設される。また、マンドレル52Aの上端部には中央開口53が穿設され、該中央開口53から前記螺旋溝60の流路開口61に通じる流路が形成される。図2(B)に示すように、前記マンドレル52Aの周囲に配設された外筒ダイリング52Bは、上部回転部62の円周上に形成されたリングギヤ65に噛合する駆動ギヤ64により回転駆動される。駆動ギヤ64は、モータ64により駆動される。
【0021】
このような構成の成形ダイ52を用いて、図1に示した供給部51から供給された溶融樹脂材料は、図2に示したマンドレル52Aの中央開口53に導かれ、外筒ダイリング52Bの回転駆動状態の下で、複数の樹脂流路開口61から環状通路54にほぼ均等に分岐・流出する。これにより、それらの溶融樹脂材料に、上部回転部分62の回転に基づく剪断力を作用させて、それらの全体を環状通路54内で回転方向へ強制流動させる。このように、各樹脂流路開口61から流出した溶融材料は滞留することなく強制的に合流し、充分に攪拌されて円滑に流下するので、相互の合流に起因する境界線の発生等が防止される。
【0022】
成形ダイ52にて筒状に形成された溶融樹脂材料は、筒状成形部67にてチューブ状に押し出される。該筒状成形部67には電子線照射手段18が設置される。電子線照射手段18は、例えば内周側に環状のフィラメントを配設し、チューブ状の樹脂材料の外周側にビームコレクタを配設して、これらの間に熱電子を照射することによって、樹脂材料を硬化・架橋するものである。高エネルギーで瞬時に処理を行え、安全でコンパクトである。また、ランニングコストが小さく、メンテナンスも容易である。かくして、押出し成形部にて即座に樹脂材料を硬化・架橋することができて、格別な別途の工程を設定することなく、簡素な製造装置にて機械的な強度が向上したエンドレスベルトが得られる。また、電子線照射手段18を筒状成形部67ではなく、外周側周囲に設置して樹脂材料を硬化・架橋させることもできる。
【0023】
本発明の導電性エンドレスベルトにおいて、基材に用いる熱可塑性樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、熱可塑性ポリアミド(PA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、熱可塑性ポリアセタール(POM)、熱可塑性ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリカーボネート(PC)等を好適に挙げることができる。また、かかる熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイ、またはポリマーブレンドを用いることもでき、これらのうちのいずれかを基材として用いることにより、良好な強度、特には良好な屈曲耐久性を備えたベルトを得ることができる。
【0024】
また、本発明に用いる高分子イオン導電剤としては、例えば、特開平9−227717号公報、特開平10−120924号公報および特開2000−327922号公報に記載されているものを用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0025】
具体的には、(A)有機ポリマー材料、(B)イオン導電可能なポリマーまたはコポリマーおよび(C)無機または低分子量有機塩からなる混合物を挙げることができ、ここで、成分(A)は、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステルであり、成分(B)は、オリゴエトキシ化アクリレートもしくはメタクリレート、芳香族環についてオリゴエトキシ化されたスチレン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテルエステルであり、また成分(C)は、無機または低分子量有機プロトン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛またはアンモニウム塩であり、好ましくは、LiClo4 、LiCF3 SO3 、NaClo4 、LiBF4 、NaBF4 、KBF4 、NaCF4 SO3 、KClO4 、KPF6 、KCF3 SO3 、KC4 F9 SO3 、Ca(ClO4 )2 、Ca(PF6)2 、Mg(ClO4)2 、Mg(CF3 SO3 )2 、Zn(ClO4)2 、Zn(PF6)2 、またはCaCF3 SO3 )2 等である。
【0026】
これらの中でも、成分(B)として、ポリエーテルアミド成分またはポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子イオン導電剤が好適であり、さらにこれに加えて成分(C)として低分子イオン導電剤成分を含有することが好ましい。また、かかるポリエーテルアミド成分およびポリエーテルエステルアミド成分としては、ポリエーテル成分が(C−H2 −CH2 −O)含有し、ポリアミド成分がナイロン12またはナイロン6を含有するものが特に好ましく、これを成分(B)として含有し、さらに成分(C)の低分子イオン導電剤成分としてNaClO4 を含有する高分子イオン導電剤が特に好適である。かかる好適な高分子イオン導電剤は、市場においてIrgastat(登録商標)P18およびIrgastat(登録商標)P22(共に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インコーポレーテッド製)、ペレスタットNC6321(三洋化成(株)製)として入手することができる。
【0027】
また、本発明においては、基材に対して、機能性成分として他の導電性材料を添加して、補助的に導電性の付与、調整を行うこともできる。かかる導電性材料としては、特に限定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸、ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベルジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第4級アンモニウム等の陽イオン界面活性剤:脂肪族スルホン酸、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF2 SO2 、NaClo4 、LiBF4 、NaCl等の周期律表第1族の金属塩;Ca)ClO4 )2 等の周期律表第2族の金属塩;およびこれらの帯電防止剤がイソシアネートと反応する活性水素を有する基(水素基、カルボキシル基、一級乃至二級アミン等)を1個以上有するもの等が挙げられる。さらに、これらと多価アルコール(1、4−ブタジエンオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)またはその誘導体との錯体、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等との錯体等のイオン導電剤;ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーブン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト等;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅等の金属および金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等を例示することができる。
【0028】
これら他の導電性材料の添加量は、基材100重量部に対して好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部程度である。本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の成分に加えて他の機能性成分を適宜添加することも可能であり、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することができる。さらに、着色剤を添加して、ベルトに着色を施してもよい。
【0029】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、導電性材料の種類およびその配合割合、樹脂材料の種類、それらの混練形態、加熱・溶融形態、マンドレルと外筒ダイリングとの組合せ形態を含む成形ダイの形状、形式(外筒ダイリングの回転駆動形式等)、筒状成形部の形状、形式、電子線照射手段の形状、形式およびその照射形態、エンドレスベルトとしての形状(層状形態等)、形式およびその基体部の材質および電子線硬化型樹脂等の樹脂材料への添加形態等については適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の樹脂ベルト製造方法の概略全体図である。
【図2】同、成形ダイの拡大斜視図で、図2(A)はマンドレルの斜視図、図2(B)は外筒ダイリングの回転駆動の説明斜視図である。
【図3】導電性エンドレスベルトの斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
3 導電性エンドレスベルト
18 電子線照射手段
50 混練部
51 供給部
52 成形ダイ
52A マンドレル
52B 外筒ダイリング
55 混練スクリュ
56 供給スクリュ
57 ヒータ
58 ヒータ
67 筒状成形部 CU カット部
J 樹脂材料
C 導電性材料
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性エンドレスベルトを射出成形する樹脂ベルト製造方法に関し、特に、複写機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置等の画像形成のための中間転写ベルト等に用いられる導電性エンドレスベルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ドラム等にトナーを供給し、感光ドラムの潜像に該トナーを付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、感光ドラムを一定電位に帯電させた後、露光機により感光ドラム上に静電潜像を形成し、さらに、トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを感光ドラムの潜像に付着させる現像を行う。また、感光ドラムと現像ローラに一定の間隙を設け、その間隙にトナーを電気的に飛翔させて現像を行う非接触現像法も提案されている。
【0003】
また、上記感光ドラムの帯電には、従来コロナ放電方式が採用されていたが、コロナ放電方式では、6〜10kVの高電圧を印加する必要があるため、装置の安全確認の観点から好ましくはなく、さらに、コロナ放電中にオゾン等の有害物質が発生するため、環境面からも好ましくなかった。これに対し、感光ドラムを帯電させる接触帯電方式が提案されている。
【0004】
上記加圧現像法における現像ローラ、ならびに上記接触帯電方式における帯電ローラは、感光ドラムに密着した状態を確実に保持しながら回転しなければならないため、また、非接触現像法における現像ローラにおいても、トナーに対するストレスを軽減するために、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、シリコーンゴム。アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリウレタン等のエラストマーにカーボンブラックや金属粉を分散させた半導電性の弾性体やこれらを発泡させた発泡体からなる半導電性弾性層を形成した構造となっている。また、トナーに対する帯電性や付着性の制御、弾性層による感光ドラムの汚染防止等を目的として、上記弾性層の表面に、さらに、樹脂被覆層を形成する場合がある。
【0005】
さらに、上記現像ローラおよび帯電ローラに加えて、現像ローラにトナーを供給するためのトナー供給ローラ、感光ドラムの潜像に付着したトナーを記録媒体に転写するための転写ローラ、転写後に感光ドラム上に残留するトナーを除去するためのクリーニングローラ等にも、上記のようなシャフトの外周に半導電性弾性層を形成し、該弾性層の表面にさらに樹脂被覆層を形成した構造の導電性ローラが用いられている。
【0006】
一方、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記加圧現像法にしたがってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工夫が必要であり、この工程を行うためにはいくつかの方式が提案されている。
【0007】
4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像をそれぞれマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像、ブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねるとにより、カラー画像を再現するタンデム方式と、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像、ブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して、4色のトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写する中間転写方式がある。また、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせたタンデム中間転写方式もある。これらの方式において、記録媒体送り機能付与とトナー像形成のために無端状の導電性エンドレスベルトが用いられているのは周知の通りである。
【0008】
これらのベルト表面において、感光ドラムや記録媒体供給手段の制御や監視目的で、表面に赤外線を照射したり、トナー離型性を向上させるため、基材層とは別に表層として樹脂被覆層を形成することが行われている。
【0009】
従来、上記導電性エンドレスベルトを製造するには、導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出されて(射出されて)製造される。このような成形ダイとして、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成されたものが提案されている(下記特許文献1参照。)
【0010】
【特許文献1】特開2001−138380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記特許文献1に開示されたものは、マンドレルと外周ダイリングとの間に環状通路を区画するとともに該環状通路に螺旋溝を形成し、該環状通路内に溶融樹脂材料を押し出して樹脂製薄肉チューブを形成し、これを製品幅に切断して導電性エンドレスベルトを得るものである。このようなマンドレルと外周ダイリングとを用いることで、厚み精度を高めることが達成された。
【0012】
しかしながら、このような従来の製造方法によって、高い厚み精度の導電性エンドレスベルトが得られることとなったものの、成形ダイ中での溶融樹脂の滞留時間が長く境界線が発生する虞れが生じる他、成形ダイを通じて押し出されたままでは、エンドレスベルトとしての強度が充分ではなかった。そこで、別工程にて前記エンドレスベルトの機械的強度向上のための工程が必要であった。そのため、工程が複雑化し、時間もかかって作業効率が低下していた。
【0013】
そこで本発明は、このような従来の導電性エンドレスベルトの課題を解決して、押出し成形直後の樹脂ベルトに迅速に硬化処理を行える作業効率が高い樹脂ベルト製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため本発明は、導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ直後の筒状成形部に電子線照射手段を設置し、該電子線照射手段の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することを特徴とする。また本発明は、前記成形ダイが、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成され、前記マンドレルと外筒ダイリングとが相対回転する両者間の空間に溶融樹脂材料を供給して、筒状の樹脂ベルトを形成することを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ直後の筒状部に電子線照射手段を設置し、該電子線照射手段の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することにより、成形ダイから筒状に押し出された直後の筒状部が即座に架橋・硬化されるので、格別な別途の工程を設定することなく、簡素な製造装置にて機械的な強度が向上したエンドレスベルトが得られる。
【0016】
また、前記成形ダイが、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成され、前記マンドレルと外筒ダイリングとが相対回転する両者間の空間に溶融樹脂材料を供給して、筒状の樹脂ベルトを形成する場合は、前記相対回転するマンドレルと外筒ダイリングとの間に送られる樹脂材料を強制循環させることで、滞留を生じさせることなく円滑に流下させて、境界線の発生等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の樹脂ベルト製造方法を図面に基づいて説明する。図1は本発明の樹脂ベルト製造方法の概略全体図、図2は成形ダイの拡大斜視図、図2(A)はマンドレルの斜視図、図2(B)は外筒ダイリングの回転駆動の説明斜視図、図3は導電性エンドレスベルトの斜視図である。本発明の樹脂ベルトの製造方法の基本的な構成は、図1に示すように、導電性材料Cを配合した樹脂材料Jが混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイ52を経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ52直後の筒状成形部67に電子線照射手段18を設置し、該電子線照射手段18の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することを特徴とする。
【0018】
以下、実施例について説明する。図3は導電性エンドレスベルトとして使用される樹脂ベルトを示す。導電性エンドレスベルト3は、回転軸である駆動軸やアイドル軸8、9に掛け渡されてゴムや樹脂等の基体部5が張設される。該基体部5の周囲にさらに塗膜層4が塗装される。また、ベルト基体部5と表面層との間に弾性層を設けてもよい。この基体部5を溶融樹脂材料から射出成形して製造する。
【0019】
図1に示すように、カーボン等の導電性材料Cを配合した樹脂材料Jが混練部50の投入口から投入され、混練スクリュ55にて混練されつつ下流へと供給される。ヒータ57により加熱された樹脂材料は軟化し、供給部51に入る。供給部51ではさらにヒータ58により加熱されて完全に溶融する。溶融樹脂材料として成形ダイ52に入り、相対回転するマンドレル52Aと外筒ダイリング52Bとの間にて強制循環され、筒状に押し出されて筒状成形部67にて電子線照射手段18により硬化・架橋される。その後、カット部CUにて切断されてエンドレスベルト3としての基体部5(図3)が完成する。
【0020】
図2(A)に示すように、成形ダイ52は、中央に位置するマンドレル52Aと該マンドレル52Aの周囲に所定間隔を空けて配設される外筒ダイリング52Bとから構成される。前記所定間隔を空けたマンドレル52Aと外筒ダイリング52Bとの間には環状通路54が形成され、前記マンドレル52Aの周囲には複数の螺旋溝60が刻設される。また、マンドレル52Aの上端部には中央開口53が穿設され、該中央開口53から前記螺旋溝60の流路開口61に通じる流路が形成される。図2(B)に示すように、前記マンドレル52Aの周囲に配設された外筒ダイリング52Bは、上部回転部62の円周上に形成されたリングギヤ65に噛合する駆動ギヤ64により回転駆動される。駆動ギヤ64は、モータ64により駆動される。
【0021】
このような構成の成形ダイ52を用いて、図1に示した供給部51から供給された溶融樹脂材料は、図2に示したマンドレル52Aの中央開口53に導かれ、外筒ダイリング52Bの回転駆動状態の下で、複数の樹脂流路開口61から環状通路54にほぼ均等に分岐・流出する。これにより、それらの溶融樹脂材料に、上部回転部分62の回転に基づく剪断力を作用させて、それらの全体を環状通路54内で回転方向へ強制流動させる。このように、各樹脂流路開口61から流出した溶融材料は滞留することなく強制的に合流し、充分に攪拌されて円滑に流下するので、相互の合流に起因する境界線の発生等が防止される。
【0022】
成形ダイ52にて筒状に形成された溶融樹脂材料は、筒状成形部67にてチューブ状に押し出される。該筒状成形部67には電子線照射手段18が設置される。電子線照射手段18は、例えば内周側に環状のフィラメントを配設し、チューブ状の樹脂材料の外周側にビームコレクタを配設して、これらの間に熱電子を照射することによって、樹脂材料を硬化・架橋するものである。高エネルギーで瞬時に処理を行え、安全でコンパクトである。また、ランニングコストが小さく、メンテナンスも容易である。かくして、押出し成形部にて即座に樹脂材料を硬化・架橋することができて、格別な別途の工程を設定することなく、簡素な製造装置にて機械的な強度が向上したエンドレスベルトが得られる。また、電子線照射手段18を筒状成形部67ではなく、外周側周囲に設置して樹脂材料を硬化・架橋させることもできる。
【0023】
本発明の導電性エンドレスベルトにおいて、基材に用いる熱可塑性樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、熱可塑性ポリアミド(PA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、熱可塑性ポリアセタール(POM)、熱可塑性ポリアリレート(PAR)、熱可塑性ポリカーボネート(PC)等を好適に挙げることができる。また、かかる熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイ、またはポリマーブレンドを用いることもでき、これらのうちのいずれかを基材として用いることにより、良好な強度、特には良好な屈曲耐久性を備えたベルトを得ることができる。
【0024】
また、本発明に用いる高分子イオン導電剤としては、例えば、特開平9−227717号公報、特開平10−120924号公報および特開2000−327922号公報に記載されているものを用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0025】
具体的には、(A)有機ポリマー材料、(B)イオン導電可能なポリマーまたはコポリマーおよび(C)無機または低分子量有機塩からなる混合物を挙げることができ、ここで、成分(A)は、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステルであり、成分(B)は、オリゴエトキシ化アクリレートもしくはメタクリレート、芳香族環についてオリゴエトキシ化されたスチレン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテルエステルであり、また成分(C)は、無機または低分子量有機プロトン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛またはアンモニウム塩であり、好ましくは、LiClo4 、LiCF3 SO3 、NaClo4 、LiBF4 、NaBF4 、KBF4 、NaCF4 SO3 、KClO4 、KPF6 、KCF3 SO3 、KC4 F9 SO3 、Ca(ClO4 )2 、Ca(PF6)2 、Mg(ClO4)2 、Mg(CF3 SO3 )2 、Zn(ClO4)2 、Zn(PF6)2 、またはCaCF3 SO3 )2 等である。
【0026】
これらの中でも、成分(B)として、ポリエーテルアミド成分またはポリエーテルエステルアミド成分を含有する高分子イオン導電剤が好適であり、さらにこれに加えて成分(C)として低分子イオン導電剤成分を含有することが好ましい。また、かかるポリエーテルアミド成分およびポリエーテルエステルアミド成分としては、ポリエーテル成分が(C−H2 −CH2 −O)含有し、ポリアミド成分がナイロン12またはナイロン6を含有するものが特に好ましく、これを成分(B)として含有し、さらに成分(C)の低分子イオン導電剤成分としてNaClO4 を含有する高分子イオン導電剤が特に好適である。かかる好適な高分子イオン導電剤は、市場においてIrgastat(登録商標)P18およびIrgastat(登録商標)P22(共に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インコーポレーテッド製)、ペレスタットNC6321(三洋化成(株)製)として入手することができる。
【0027】
また、本発明においては、基材に対して、機能性成分として他の導電性材料を添加して、補助的に導電性の付与、調整を行うこともできる。かかる導電性材料としては、特に限定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸、ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベルジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第4級アンモニウム等の陽イオン界面活性剤:脂肪族スルホン酸、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF2 SO2 、NaClo4 、LiBF4 、NaCl等の周期律表第1族の金属塩;Ca)ClO4 )2 等の周期律表第2族の金属塩;およびこれらの帯電防止剤がイソシアネートと反応する活性水素を有する基(水素基、カルボキシル基、一級乃至二級アミン等)を1個以上有するもの等が挙げられる。さらに、これらと多価アルコール(1、4−ブタジエンオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)またはその誘導体との錯体、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等との錯体等のイオン導電剤;ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーブン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト等;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅等の金属および金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等を例示することができる。
【0028】
これら他の導電性材料の添加量は、基材100重量部に対して好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部程度である。本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の成分に加えて他の機能性成分を適宜添加することも可能であり、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することができる。さらに、着色剤を添加して、ベルトに着色を施してもよい。
【0029】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、導電性材料の種類およびその配合割合、樹脂材料の種類、それらの混練形態、加熱・溶融形態、マンドレルと外筒ダイリングとの組合せ形態を含む成形ダイの形状、形式(外筒ダイリングの回転駆動形式等)、筒状成形部の形状、形式、電子線照射手段の形状、形式およびその照射形態、エンドレスベルトとしての形状(層状形態等)、形式およびその基体部の材質および電子線硬化型樹脂等の樹脂材料への添加形態等については適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の樹脂ベルト製造方法の概略全体図である。
【図2】同、成形ダイの拡大斜視図で、図2(A)はマンドレルの斜視図、図2(B)は外筒ダイリングの回転駆動の説明斜視図である。
【図3】導電性エンドレスベルトの斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
3 導電性エンドレスベルト
18 電子線照射手段
50 混練部
51 供給部
52 成形ダイ
52A マンドレル
52B 外筒ダイリング
55 混練スクリュ
56 供給スクリュ
57 ヒータ
58 ヒータ
67 筒状成形部 CU カット部
J 樹脂材料
C 導電性材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ直後の筒状成形部に電子線照射手段を設置し、該電子線照射手段の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することを特徴とする樹脂ベルト製造方法。
【請求項2】
前記成形ダイが、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成され、前記マンドレルと外筒ダイリングとが相対回転する両者間の空間に溶融樹脂材料を供給して、筒状の樹脂ベルトを形成することを特徴とする請求項1に記載の樹脂ベルト製造方法。
【請求項1】
導電性材料を配合した樹脂材料が混練されつつ加熱され、溶融樹脂材料として成形ダイを経て筒状に押し出される樹脂ベルト製造方法において、前記成形ダイ直後の筒状成形部に電子線照射手段を設置し、該電子線照射手段の照射により筒状の樹脂ベルトを硬化することを特徴とする樹脂ベルト製造方法。
【請求項2】
前記成形ダイが、中心部のマンドレルと所定間隔を空けてマンドレルを囲んで配置される外筒ダイリングとから構成され、前記マンドレルと外筒ダイリングとが相対回転する両者間の空間に溶融樹脂材料を供給して、筒状の樹脂ベルトを形成することを特徴とする請求項1に記載の樹脂ベルト製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2006−150896(P2006−150896A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348473(P2004−348473)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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