説明

樹脂ペレット、樹脂ペレットの製造方法、及び太陽電池封止材

【課題】互着が抑えられた樹脂ペレット等を提供すること。
【解決手段】本発明に係る樹脂ペレットは、エチレンと、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物に由来する共重合体ペレットの表面に、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、及びリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、平均粒径が1μm以上で200μm以下である粒子が付着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互着の抑えられた樹脂ペレット、その製造方法、及び太陽電池封止材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘着性を有する共重合体のゴム及び樹脂等のペレットが、保管、輸送、製品加工時等にペレット同士で互着することについて、種々の対策が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ゴムペレットと高級脂肪酸又は/及びその塩とをアルコールの存在下に混合して、粘着性の小さいゴムペレットを製造することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、25℃における動粘度が0.5〜100,000cStで、かつ25℃における表面張力が10〜50dyne/cmの範囲内にある少なくとも1種類の液体と、平均粒径が50μm以下の少なくとも1種類の有機系微粉又はシリカ微粉からなる微粉を被覆させる非粘着性に優れる樹脂ペレットの製造方法が記載されている。ここで、有機系微粉として、高級脂肪酸もしくは高級脂肪酸塩誘導体からなるものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、ペレット形状のエチレン−ビニルエステル共重合体及びフィラーを、撹拌翼の先端の回転速度が5m/秒以上であるミキサーを用いて撹拌し、前記エチレン−ビニルエステル共重合体を微粒子化したものの軟質化した表面に前記フィラーを付着させて得られるエチレン−ビニルエステル共重合体組成物の製造方法が記載されている。
【0006】
特許文献4には、樹脂ペレットを、超微粒子シリカを高速攪拌機を使って水に分散させて調整したシリカ水分散槽に導き、樹脂ペレット表面をシリカ粉末でコーティングする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−124829号公報(公開日1984年7月19日)
【特許文献2】特開2001−342259号公報(公開日2001年12月11日)
【特許文献3】特開2005−306959号公報(公開日2005年11月4日)
【特許文献4】特開平1−288408号公報(公開日1989年11月20日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の互着防止処理が施された共重合体のゴム及び樹脂等のペレットを用いてシート等の最終製品を作製した場合、最終製品の物性(例えば、体積固有抵抗及び透明性)の低下が見られることがあった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ペレット同士の互着が抑えられており、かつ加工後の製品における体積固有抵抗及び透明性の低下が抑えられる樹脂ペレット、及びその製造方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明に係る樹脂ペレットは、エチレンに由来する構造単位と、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体ペレットの表面に、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、及びリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、平均粒径が1μm以上で200μm以下である粒子が付着している。
【0012】
本発明に係る樹脂ペレットは、上記構成において、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ上記化合物が、ビニルアセテート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びグリシジルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る樹脂ペレットは、上記構成において、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ上記化合物が、ビニルアセテート及びメチルメタクリレートの少なくとも一方であることがより好ましい。
【0014】
本発明に係る樹脂ペレットの製造方法は、上記の課題を解決するために、エチレンに由来する構造単位と、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体ペレットの表面に、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、及びリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、平均粒径が1μm以上で200μm以下である粒子を付着させる付着工程と、上記付着工程で得られた、共重合体ペレットの表面に上記粒子が付着している樹脂ペレットを包装する工程とを含む。
【0015】
本発明に係る樹脂ペレットの製造方法は、上記の方法において、上記粒子と分散媒とを含有する分散液を、上記共重合体ペレットに付与し、当該分散媒を除去することが好ましい。
【0016】
本発明はさらに、上記何れかの樹脂ペレットを用いて得られる太陽電池封止材を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ペレット同士の互着が抑えられており、かつ加工後の製品における体積固有抵抗及び透明性の低下が抑えられる樹脂ペレット、及びその製造方法等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔1.樹脂ペレット〕
(本発明に係る樹脂ペレット)
本発明に係る樹脂ペレットは、エチレンに由来する構造単位と、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体ペレットの表面に、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、及びリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、平均粒径が1μm以上で200μm以下である粒子が付着しているものである。
【0019】
上記樹脂ペレットは、上記粒子を付着させない状態と比較して樹脂ペレット同士の互着が抑えられているため、保管及び輸送の間にペレット同士が互着する虞が少ない。また、上記粒子は元来、耐光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等として樹脂に混練され得るものであるから、樹脂ペレットを成形して得られる樹脂製品の物性低下を招来する虞が少ない。特に、樹脂製品の物性のうち、光透過性、及び体積固有抵抗の低下を招来する虞が少なく、かつ当該樹脂製品に耐光安定性、紫外線吸収性、及び酸化防止等の物性を付与することが出来るため、特に太陽電池封止材用途の樹脂ペレットとして好ましい。
【0020】
なお、本明細書において、「共重合体ペレット」とは上記粒子を付着させる前のペレットを指し、「樹脂ペレット」とは上記粒子を付着させた後のペレットを指す。
【0021】
(共重合体ペレット)
上記共重合体ペレットは、エチレンに由来する構造単位と、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位とを繰り返し単位として含む共重合体のペレットである。
【0022】
エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ上記化合物としては、例えば、エチレン性二重結合を有する不飽和炭化水素;カルボン酸ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、及びその誘導体;等が挙げられる。エチレン性二重結合を有する不飽和炭化水素としては、例えば、ブテン、ヘキセン等が挙げられる。カルボン酸ビニル化合物としては、ビニルアセテート、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸、及びその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びグリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0023】
上記共重合体ペレットは、透明性等の観点からは、ビニルアセテート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びグリシジルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種のコモノマーとエチレンとの共重合体のペレットが好ましく、ビニルアセテート及びメチルメタクリレートの少なくとも一方(一方又は両方)とエチレンとの共重合体のペレットがより好ましい。
【0024】
上記共重合体におけるコモノマーに由来する構造単位の量は、加工性及び透明性を高める観点からは、好ましくは20質量%以上で35質量%以下の範囲内であり、より好ましくは23質量%以上で33質量%以下の範囲内であり、さらに好ましくは25質量%以上で32質量%以下の範囲内である。共重合体が複数種の上記コモノマーを重合してなる場合、当該共重合体が含む全てのコモノマーに由来する構造単位の量の総和を、コモノマーに由来する構造単位の量とする。なお、上記コモノマーに由来する構造単位の量は、共重合体に含まれるエチレンに由来する構造単位の量と、コモノマーに由来する構造単位の量との総和を100質量%とした時の値をいう。
【0025】
また、上記コモノマーとしてビニルアセテートのみを用いる場合、得られる共重合体ペレットの互着防止がより必要となるという観点からは、ビニルアセテートに由来する構造単位の量の下限は、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは28質量%以上である。
【0026】
上記共重合体ペレットのメルトフローレート(MFR)は、加工性を高める観点から、好ましくは4g/10分以上で50g/10分以下の範囲内である。MFRの上限はより好ましくは40g/10分以下である。MFRの下限はより好ましくは5g/10分以上である。MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法により、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されるものをいう。
【0027】
上記共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、加工性を高める観点から、2以上で8以下の範囲内であることが好ましい。分子量分布の下限は、2.5であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。分子量分布の上限は、5であることがより好ましく、4.5であることがさらに好ましく、4であることがよりさらに好ましい。なお、Mwは、上記共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量を指し、Mnは、上記共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量を指す。
【0028】
上記共重合体のポリエチレン換算の重量平均分子量は、40000以上で80000以下であることが好ましく、50000以上で70000以下であることがより好ましい。ポリエチレン換算の重量平均分子量は、以下の方法によるものである。ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によってポリスチレン換算の重量平均分子量を求め、当該ポリスチレン換算の重量平均分子量と、ポリエチレンとポリスチレンのQファクターの比(17.7/41.3)との積として、ポリエチレン換算の重量平均分子量を求める。
【0029】
上記共重合体ペレットの形状としては、例えば、球状、楕円球状、円柱状、楕円柱状、角状、棒状等が挙げられる。また、共重合体ペレットの大きさは、直径又は長さが3mm以上で5mm以下程度であることが好ましい。
【0030】
上記共重合体ペレットの製造方法としては、例えば、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0031】
(共重合体ペレットの表面に付着させる粒子)
本発明において、共重合体ペレットの表面に付着させる粒子は、平均粒径が1μm以上で200μm以下の範囲内にあり、かつ、耐光安定剤、紫外線吸収剤、又は酸化防止剤等として樹脂に所定の機能を付与する有機系の機能性粒子である。当該粒子は、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、及びリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物から構成される。本発明では上記粒子を互着防止剤(アンチブロッキング剤)としても利用する。
【0032】
本発明で用いるヒンダードアミン系化合物は、ヒンダードアミン耐光安定剤(HALS)と総称されるものであり、特性の1つとして樹脂に耐光安定性を付与する。
【0033】
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル及びトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)−ジエタノールとの縮合物、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、ポリ[〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、1,1−(1,2−エタン−ジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチル)ピペラ−ジノン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。市販品としては、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA―63P、LA−67、LA−68(いずれも(株)ADEKA製)、Tinuvin(登録商標) 144、Tinuvin 622LD、Tinuvin 744、Tinuvin 765、Tinuvin 770、Tinuvin 770DF、CHIMASSORB(登録商標) 944LD(いずれもBASF社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等が挙げられる。なお、上記ヒンダードアミン系化合物は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
本発明で用いるベンゾフェノン系化合物とは、ベンゾフェノン骨格の2位の水素が水酸基で置換された基本骨格を有する化合物である。ベンゾフェノン系化合物は、特性の1つとして樹脂に紫外線吸収性を付与する紫外線吸収剤として機能する。
【0035】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。市販品としては、スミソーブ(登録商標)130(住化ケムテックス社製)、EVERSORB 10、EVERSORB 11、EVERSORB 12(いずれも台湾永光化学工業製)等が挙げられる。なお、上記ベンゾフェノン系化合物は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明で用いるベンゾトリアゾール系化合物とは、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物である。ベンゾトリアゾール系化合物は、特性の1つとして樹脂に紫外線吸収性を付与する紫外線吸収剤として機能する。
【0037】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メトジルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メトジル)−5−メトジルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メトジルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−2−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。市販品としては、スミソーブ200、スミソーブ250、スミソーブ300、スミソーブ340、スミソーブ350(いずれも住化ケミテックス社製)等が挙げられる。なお、上記ベンゾトリアゾール系化合物は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
本発明で用いるベンゾエート系化合物とは、ベンゾエート構造を有する化合物である。ベンゾエート系化合物は、特性の1つとして樹脂に紫外線吸収性を付与する紫外線吸収剤として機能する。
【0039】
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。市販品としては、スミソーブ400(住化ケムテックス社製)等が挙げられる。なお、上記ベンゾエート系化合物は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0040】
フェノール系化合物は、フェノール構造を有する化合物である。フェノール系化合物は、特性の1つとして樹脂の酸化を防止する酸化防止剤として機能する。
【0041】
フェノール系化合物としては、例えば、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]アンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。市販品としては、スミライザー(登録商標) GA−80、スミライザー MDP−S、スミライザー WX−RS、スミライザー WX-RC、スミライザー BBM−S(いずれも住友化学株式会社製)、Irganox(登録商標) 1076(BASF社製)等が挙げられる。なお、上記フェノール系化合物は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0042】
リン系化合物は、亜リン酸エステル(P(OR))又はリン酸エステル構造を有する化合物である。リン系化合物は、特性の1つとして樹脂の酸化を防止する酸化防止剤として機能する。
【0043】
亜リン酸エステル構造を有する化合物としては、例えば、6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノール、亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、6,6’,6’’−[ニトリロトリス(エチレンオキシ)]トリス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)等が挙げられる。市販品としては、スミライザーGP(住友化学株式会社製)、Irgafos(登録商標) 168、Irgafos 12(いずれもBASF社製)等が挙げられる。
【0044】
リン酸エステル構造を有する化合物としては、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィット、トリエチルフォスファイト、トリデシルフォスファイト等が挙げられる。市販品としては、TEPO(登録商標)(多摩化学工業株式会社製)、アデカスタブ(登録商標)260((株)ADEKA製)等が挙げられる。なお、上記リン系化合物は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
また、ヒンダードアミン系化合物とベンゾフェノン系化合物とのように、異なる系統に属する化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0046】
また、樹脂ペレットの保管又は輸送等の際に高温になる可能性がある場合には、共重合体ペレットの表面に付着させる上記粒子を構成する化合物として、想定される高温以上の融点を持つ化合物を選択すればよく、例えば、融点が40℃以上の化合物を選択すればよい。
【0047】
共重合体ペレットの表面に付着させる上記粒子の平均粒径は1μm以上で200μm以下の範囲内である。上記粒子の平均粒径が200μm以下であれば、樹脂ペレット同士の互着を防止できる。また、上記粒子の平均粒径の下限は粒子の取扱性の観点から、1μm以上であり、好ましくは10μm以上である。
【0048】
ヒンダードアミン系化合物の粒子の場合は、平均粒径は、200μm以下であることが好ましく、ベンゾフェノン系化合物の粒子の場合は、100μm以下であることが好ましく、フェノール系化合物の場合は、50μm以下であることが好ましく、リン系化合物の場合は、40μm以下であることが好ましい。
【0049】
なお、粒子の平均粒径とは、体積基準で測定した粒度分布の中心粒径である。
【0050】
なお、入手した上記粒子の平均粒径が200μmを超える場合には、例えば、乳鉢ですりつぶすことにより又はジェットミルで粉砕することにより、平均粒径を1μm以上で200μm以下の範囲内にした後に、共重合体ペレットの表面に付着させてもよい。
【0051】
上記粒子の使用量は、共重合体ペレットの形状及び大きさに応じて必要量添加すればよいが、より確実な互着防止の観点では、共重合体ペレット100質量部に対して0.001質量部以上で5質量部以下の範囲内であることが好ましく、0.01質量部以上で1質量部以下の範囲内であることがより好ましく、0.05質量部以上で0.5質量部以下の範囲内であることがさらに好ましい。
【0052】
また、上述のとおり、粒子を構成する上記化合物は、従来、互着防止以外の他の用途に用いられている。例えば、ヒンダードアミン系化合物は耐光安定剤等として、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びベンゾエート系化合物は紫外線吸収剤等として、フェノール系化合物及びリン系化合物は酸化防止剤等として用いられている。したがって、これら従来の用途に必要な量を、互着防止の目的で予め共重合体ペレットに付着させておくことで、製品加工時にこれらを添加する工程を省くこともでき、効率的である。
【0053】
例えば、最終製品が太陽電池封止材である場合、共重合体ペレットの表面に付着させるヒンダードアミン系化合物の粒子は、共重合体ペレット100質量部に対して0.06質量部以上で0.3質量部以下の範囲内であることが好ましい。ベンゾフェノン系化合物の粒子は、共重合体ペレット100質量部に対して0.1質量部以上で0.5質量部以下の範囲内であることが好ましい。フェノール系化合物の粒子は、共重合体ペレット100質量部に対して0.05質量部以上で0.3質量部以下の範囲内であることが好ましい。リン系化合物の粒子は、共重合体ペレット100質量部に対して0.05質量部以上で0.5質量部以下の範囲内であることが好ましい。
【0054】
〔2.粒子の付着方法、樹脂ペレットの製造方法〕
上記粒子を上記共重合体ペレットの表面に付着させて樹脂ペレットを製造する方法(付着工程の一例)としては、例えば、上記粒子と分散媒とを含有する分散液を、上記共重合体ペレットの表面に付与し、共重合体ペレットから分散媒を除去する方法、及び分散媒を用いずに上記粒子を上記共重合体ペレットの表面に付与する方法が挙げられる。
【0055】
上記粒子と分散媒とを含有する分散液を、上記共重合体ペレットの表面に付与し、共重合体ペレットから分散媒を除去する方法において、用いられる分散媒としては、水が好ましい。上記粒子を分散媒に分散させる方法としては、例えば、高速攪拌方法又は超音波を用いる方法等が挙げられ、分散液中で、粒子をより均一に分散させるために、超音波を用いて分散する方法が好ましい。
【0056】
上記粒子と分散媒とを含有する分散液を、上記共重合体ペレットの表面に付与し、分散媒を除去する方法(付着工程の一例)としては、例えば、後述するホッパー内又は空送ライン内に当該分散液を噴霧して上記共重合体ペレットを分散液で被覆後、乾燥することにより分散媒を除去する方法が挙げられる。
【0057】
分散媒を用いずに上記粒子を上記共重合体ペレットの表面に付与する方法としては、上記粒子と上記共重合体ペレットとをミキサーを用いて混合する方法、及び後述する空送ライン内に上記粒子を供給する方法が挙げられる。ミキサーとしては、例えば、タンブルミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【0058】
また、工業的規模で行うには、包装(例えば、袋、ドラム缶、プラスチック容器等に詰めること)などの作業(包装工程の一例)を連続的かつ簡単な操作で行うという必要性から、具体的には、以下のような方法で、上記粒子を共重合体ペレットに付与する方法が挙げられる。
【0059】
樹脂ペレットの製造を、工業的規模で行う場合の一例として、
工程a) エチレンとエチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物との共重合体を押出機から押し出して、水中でペレット状に切断して共重合体ペレットを製造し、
工程b) 水切りをした後に、当該共重合体ペレットを、空送ラインを通じて乾燥ホッパーに移し、
工程c) 当該乾燥ホッパー内において、当該共重合体ペレットを循環させながら乾燥し(乾燥工程の一例)、
工程d) 乾燥した共重合体ペレットを、空送ラインを通じて包装する(包装工程の一例)、方法において、
工程e) 上記工程b)から工程d)に至る何れかのタイミングで、上記共重合体ペレットの表面に上記粒子を付着させる付着工程を設ける、方法が挙げられる。
【0060】
上記工程b)は、当該共重合体ペレットの水切りをした後、空送ラインを通じて小型ホッパーに移し、その後、空送ラインを通じて乾燥ホッパーに移す工程としてもよい。
【0061】
上記工程e)が、上記粒子と分散媒とを含有する分散液を、上記共重合体ペレットの表面に付与し、共重合体ペレットから分散媒を除去する方法である場合、例えば、工程b)において、分散液を上記共重合体ペレットの表面に付与し、工程c)において、共重合体ペレットから分散媒を除去してもよいし、工程c)の後、分散液を上記共重合体ペレットの表面に付与し、共重合体ペレットから分散媒を除去してから、工程d)を行ってもよい。好ましくは、工程b)を行う空送ライン内、乾燥ホッパー内、又は小型ホッパー内に、当該分散液を噴霧し、工程c)と同時に共重合体ペレットから分散媒を除去する。工程a)において付着した水と工程e)において付着した分散媒とを1度に乾燥することができるからである。
【0062】
上記工程e)が、分散媒を用いずに上記粒子を共重合体ペレットの表面に付与する方法である場合は、上記工程e)は、工程d)を行うに際して、空送ライン内に上記粒子を供給することにより行う方法が好ましい。
【0063】
上記の製造工程で得られた樹脂ペレットは、ホッパー内、空送ライン内、及び包装された状態において互着が抑えられているので、保管性及び輸送性に優れる。
【0064】
〔3.太陽電池封止材〕
下記の実施例で示されるように、本発明の樹脂ペレットを用いて得られる樹脂製品は、体積固有抵抗及び透明性(光線透過率)の低下が抑えられている。また、当該樹脂ペレットは上記粒子が付着されているため、当該樹脂製品に、耐光安定性、紫外線吸収性、及び酸化防止等の物性が付与される。したがって、本発明の樹脂ペレットを用いて作製したシート等は、太陽電池素子(結晶、多結晶、アモルファス等)の封止及び保護に用いられる太陽電池封止材に好適に用いられる。
【0065】
シート状の太陽電池封止材の製造方法としては、T−ダイ押出機、カレンダー成形機等を用いて上記樹脂ペレットを加工する方法が挙げられる。シートに加工する段階で、カップリング剤、防曇剤、可塑剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤、変色防止剤、難燃剤、結晶核剤、滑剤等を添加してもよい。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例及び比較例により、さらに詳細に説明する。
【0067】
(試験の方法)
実施例及び比較例における、ペレット互着試験及び物性の測定は、以下の方法で行った。
【0068】
〔ペレット互着試験〕
60mm×85mmのチャック付ポリ袋に試料ペレット32gを入れ、チャックを閉じた。次いで、40℃の雰囲気下で、上記袋に900g/cmの荷重をかけ、その状態を24時間保った後、温度のみを5℃に変更し、その状態を24時間保った。その後、荷重を取り除き23℃において24時間保った。その後、袋を破り、ペレットを取り出して、ペレットを取り出してペレットの非粘着性を観察し、下記の○、×で評価した。
○:ペレットの互着なし
×:ペレット同士が5粒以上くっついている
【0069】
〔体積固有抵抗(単位:Ω・cm)〕
互着試験後の樹脂ペレットを、150℃の熱プレス機により2MPaの圧力で5分間プレスした後、30℃の冷却プレス機で5分間冷却して、厚さ約500μmのシートを作製した。平板試料用大径電極(東亜ディーケーケー株式会社製 SME−8310)に、該シートを設置して、500Vの電圧を印加し、デジタル絶縁計(東亜ディーケーケー株式会社製 DSM−8103)にて1分後の抵抗値を測定し、その値をもとに体積固有抵抗値を算出した。
【0070】
〔光線透過率(単位:%)〕
互着試験後の樹脂ペレットを、ラボプラストミルにより5分間混練し、次いで150℃の熱プレス機により2MPaの圧力で5分間プレスした後、30℃の冷却プレス機で5分間冷却して、厚さ約500μmのシートを作製した。該シートの厚み方向の光線透過スペクトルを分光光度計(株式会社 島津製作所製 UV−3150)を用いて測定し、波長範囲400〜1200nmにおける光線透過率の平均値を算出した。
【0071】
〔平均粒径(単位:μm)〕
共重合体ペレットに付着させる化合物の平均粒径は、スミソーブ130、Tinuvin770 DF、スミライザーGP、Irgafos 168、Irganox 1076は、それぞれヘキサメタリン酸ナトリウム溶媒へ加え、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカは、それぞれエタノール溶媒へ加え、ホモジナイザで10分間分散した試料にレーザー光線を照射し、その回折(散乱)をマイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製 MT−3000EX II)で分析して粒度分布を体積基準で測定し、粒度分布の中心粒径を求めた値である。
【0072】
〔メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)〕
共重合体ペレットのメルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法により、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
【0073】
〔エチレン−ビニルアセテート共重合体に含まれるビニルアセテートに由来する構造単位の量(単位:質量%)〕
エチレン−ビニルアセテート共重合体に含まれるビニルアセテートに由来する構造単位の量は、共重合体に含まれるエチレンに由来する構造単位の量とビニルアセテートに由来する構造単位の量との総和を100質量%としたときの値であり、JIS K7192に従い測定した。
【0074】
〔エチレン−メチルメタクリレート共重合体に含まれるメチルメタクリレートに由来する構造単位の量(単位:質量%)〕
エチレン−メチルメタクリレート共重合体に含まれるメチルメタクリレートに由来する構造単位の量は、共重合体に含まれるエチレンに由来する構造単位とメチルメタクリレートに由来する構造単位との総和を100質量%としたときの値である。
エチレン−メチルメタクリレート共重合体の0.3mm厚のプレスシートを作製し、該プレスシートの赤外線吸収スペクトルを測定した。得られた赤外線吸収スペクトルの1700cm-1前後に現れるカルボニル基(C=O)の特性吸収の吸光度を、プレスシートの厚みで補正し、メチルメタクリレートに由来する構造単位の量が既知のエチレン−メチルメタクリレート共重合体を用いて作成された検量線を用いて、メチルメタクリレートに由来する構造単位の量を求めた。
【0075】
<実施例1>
エチレン−ビニルアセテート共重合体ペレット(住友化学株式会社製、KA−40、ビニルアセテートに由来する構造単位の量28質量%、MFR20g/10分、分子量分布4.0、ペレット重量32g、以下、EVA−1と称する)100重量部と、乳鉢により約2分間すり潰した、ベンゾフェノン系化合物である2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(スミソーブ130、住化ケムテックス社製、融点45℃以上、すり潰し後の平均粒径61μm、重量0.102g)0.32重量部を、ポリエチレン製の袋へ入れ2分間攪拌後、互着試験を実施し、互着試験後の樹脂ペレットを用いて体積固有抵抗、及び光線透過率を測定した。評価結果を表1に示した。
【0076】
<実施例2>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、ヒンダードアミン系化合物であるビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Tinuvin 770 DF、BASF社製、融点80〜86℃、すり潰し後の平均粒径184μm、重量0.051g)0.16重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0077】
<実施例3>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、亜リン酸構造を有するリン系化合物である6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノール(スミライザーGP、住友化学株式会社製、融点115℃、すり潰し後の平均粒径33μm、重量0.032g)0.10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0078】
<実施例4>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、亜リン酸構造を有するリン系化合物である亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(Irgafos 168、BASF社製、融点183℃、すり潰し後の平均粒径22μm、重量0.032g)0.10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0079】
<実施例5>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、フェノール系化合物であるオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox 1076、BASF社製、融点50〜55℃、すり潰し後の平均粒径39μm、重量0.096g)0.30重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0080】
<実施例6>
〔エチレン−ビニルアセテート共重合体ペレットの製造〕
オートクレーブ式反応器にて、反応温度188〜195℃、反応圧力180〜185MPa、フィードガス組成(エチレン:63〜68質量%、ビニルアセテート:37〜32質量%)の条件で、開始剤としてt−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエートを用いて、エチレン−ビニルアセテート共重合体を合成した。次いで、押出機を用いて造粒して、エチレン−ビニルアセテート共重合体ペレット(ビニルアセテートに由来する構造単位の量32質量%、MFR37g/10分、分子量分布3.8、以下、EVA−2と称する。)を得た。
【0081】
〔スミライザーGP水分散液の製造〕
水に、6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノール(スミライザーGP、住友化学株式会社製、融点115℃、すり潰し後の平均粒径33μm)を加え、超音波処理を2分間行うことにより、スミライザーGP水分散液を得た。上記水分散液に含まれるスミライザーGPの濃度は0.1質量%とした。
【0082】
〔樹脂ペレットの製造〕
上記エチレン−ビニルアセテート共重合体ペレット(EVA−2、ペレット重量32g)100重量部と、上記スミライザーGP水分散液96g(EVA−2 100重量部に対し、スミライザーGP 0.30重量部)とを、ポリエチレン製の袋へ入れ2分間攪拌した。その後、袋から取り出したペレットを20℃のオーブンで2日間乾燥させ、互着試験を実施した。互着試験後のペレットを用い体積固有抵抗、及び光線透過率を測定した。評価結果を表2に示した。
【0083】
<実施例7>
エチレン−メチルメタクリレート共重合体ペレット(住友化学株式会社製、WK−402、メチルメタクリレートに由来する構造単位の量25質量%、MFR20g/10分、ペレット重量32g、以下、EMMA−1と称する)100重量部と、乳鉢により約2分間すり潰した、ベンゾフェノン系化合物である2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(スミソーブ130、住化ケムテックス社製、融点45℃以上、すり潰し後の平均粒径61μm、重量0.102g)0.32重量部を用い、ペレット互着試験の保管時間を40℃の雰囲気下で、48時間保った後、温度のみを5℃に変更し、その状態を24時間保ち、その後袋を破り、ペレットの非粘着性を確認した以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表3に示した。
【0084】
<実施例8>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、ヒンダードアミン系化合物であるビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Tinuvin 770 DF、BASF社製、融点80〜86℃、すり潰し後の平均粒径184μm、重量0.051g)0.16重量部を用いた以外は、実施例7と同様にして評価を実施した。評価結果を表3に示した。
【0085】
<比較例1>
共重合体ペレットに付着させる化合物(スミソーブ130)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0086】
<比較例2>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、ステアリン酸カルシウム(AR−42、共同薬品株式会社製、平均粒径10μm、重量0.032g)0.10重量部をすり潰さずに用いた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0087】
<比較例3>
共重合体ペレットに付着させる化合物にとして、炭酸カルシウム(ホワイトンSB、白石カルシウム社製、平均粒径4μm、重量0.032g)0.10重量部をすり潰さずに用いた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0088】
<比較例4>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、ヒンダードアミン系化合物であるビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Tinuvin 770 DF、BASF社製、融点80〜86℃、平均粒径237μm、重量0.051g)0.16重量部をすり潰さずに用いた以外は、実施例1と同様にして評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0089】
<比較例5>
共重合体ペレットに付着させる化合物(スミライザーGP)を用いなかった以外は、実施例6と同様にして評価を実施した。評価結果を表2に示した。
【0090】
<比較例6>
共重合体ペレットに付着させる化合物として、シリカ(サイリシア 430、富士シリシア化学社製、平均粒径3μm、重量0.096g)0.30重量部をすり潰さずに用いた以外は、実施例6と同様にして評価を実施した。評価結果を表2に示した。
【0091】
<比較例7>
共重合体ペレットに付着させる化合物(スミソーブ130)を用いなかった以外は、実施例7と同様にして評価を実施した。評価結果を表3に示した。
【0092】
(試験の結果)
以下の表1、表2及び表3に上記の試験の結果を示す。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明により、ペレット同士の互着が抑えられており、かつ加工後の製品における体積固有抵抗及び透明性の低下が抑えられる樹脂ペレット及びその製造方法等を提供することができる。また、当該樹脂ペレットを用いた太陽電池封止材を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに由来する構造単位と、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体ペレットの表面に、
ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、及びリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、平均粒径が1μm以上で200μm以下である粒子が付着している樹脂ペレット。
【請求項2】
エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ上記化合物が、ビニルアセテート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びグリシジルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂ペレット。
【請求項3】
エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ上記化合物が、ビニルアセテート及びメチルメタクリレートの少なくとも一方である請求項1又は2に記載の樹脂ペレット。
【請求項4】
エチレンに由来する構造単位と、エチレン以外のエチレン性不飽和基をもつ化合物から選ばれる少なくとも1種のコモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体ペレットの表面に、
ヒンダードアミン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、及びリン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、平均粒径が1μm以上で200μm以下である粒子を付着させる付着工程と、
上記付着工程で得られた、共重合体ペレットの表面に上記粒子が付着している樹脂ペレットを包装する包装工程と
を含む樹脂ペレットの製造方法。
【請求項5】
上記付着工程は、上記粒子と分散媒とを含有する分散液を、上記共重合体ペレットに付与し、当該分散媒を除去する請求項4に記載の樹脂ペレットの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂ペレットを用いて得られる太陽電池封止材。

【公開番号】特開2013−76066(P2013−76066A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195524(P2012−195524)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】