説明

樹脂及びそれを含む接着剤

ロジンとフェノール化合物及び/又はテルペンフェノール樹脂をブレンステッド酸の存在下で一緒に反応させることを含むロジン樹脂の製造方法。これらの樹脂は、クロロプレンコンタクトセメントなどの接着剤における粘着付与剤として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明はロジン誘導樹脂と、そのような樹脂の接着剤における粘着付与剤としての使用とに関する。
【0002】
先行技術の記載
粘着付与剤樹脂は接着剤の接着性を増強する材料である(接着剤の別の主成分はベースポリマー、例えばゴムである)。粘着付与剤樹脂の形成にロジン及びロジン誘導体を使用することは当該技術分野で周知である{例えば、Kennedyら、“粘着付与剤中のロジン(Rosin in Adhesive Tackifiers)”,Naval Stores(Zinkel及びRussell編)、第18章、Pulp Chemicals Association(1989)参照}。ロジンベースの粘着付与剤樹脂は、接着剤の性能に顕著な貢献をする。例えば、接着剤の粘着性、耐剥離性、及び表面の濡れ容易性といった性能は粘着付与剤の選択によって影響を受ける。
【0003】
接着剤組成物の一つのタイプはコンタクトセメント又は触圧接着剤として知られている。コンタクトセメントは、二つの基材を一緒に接着するのに使用されるタイプの接着剤製品である。コンタクトセメントの典型的な使用例では、一緒に接着される二つの基材をそれぞれセメントで被覆し、セメントを短時間乾燥させてから次の手順に進む。次に、二つの基材を合わせ、一方の基材上のセメント部分と他方の基材上のセメント部分とを接触させる。セメントの接着力は十分強いので、セメント部分どうしの接触がひとたび確立されると、強力な接着を形成するのにほんのわずかな量の圧力(例えば、通常のヒトの体力で加えられる程度の圧力)しか必要としない。この接着は典型的には瞬間的なので、接着を維持するための追加の圧力(例えば基材を合わせて留め金で締める)は通常必要ない。
【0004】
コンタクトセメントは、粘着付与剤とクロロプレンポリマー又は熱可塑性ゴムのようなポリマーを含有することが多い。熱可塑性ゴムを配合したセメントは溶液型でありうるが、クロロプレンポリマーを配合したセメントは溶媒型のこともラテックス型のこともある。コンタクトセメントは、例えば、自動車用接着剤、建設用接着剤、及び貼合せ用接着剤としてよく使用される。
【0005】
以下の特許は、コンタクトセメントを含む接着剤組成物中のロジン誘導樹脂の使用に関する。
米国特許第5,977,222号(1999)(出願人Tosoh Corporation)は、クロロプレン含有接着剤組成物に関する。該接着剤組成物に使用されている粘着付与剤はロジン及びロジン誘導体を含みうる。
【0006】
米国再発行特許第29.157号(1977)及び米国特許第3,617,591号(1971)(いずれも出願人はSchenectady Chemicals,Inc.)は、クロロプレン及び、樹脂酸亜鉛とアルカリ縮合アルキル又はアリール置換フェノールホルムアルデヒド樹脂との熱反応生成物を含む接着剤組成物に関する。ロジンは、接着剤組成物の任意の成分として開示されている。
【0007】
英国特許明細書663,823号(1951)(出願人Minnesota Mining and Manufacturing Company)は、粘着テープ用のブタジエン−スチレンコポリマー接着剤組成物に関する。これらのテープはロジン又はテルペンを含みうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当該技術分野では、特にコンタクトセメント接着剤組成物用の改良された粘着付与剤樹脂が求められている。本発明は、以下に記載のように、この需要を満たすだけでなく、その他の関連利益も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
簡潔に言うと、一側面において、本発明は、ブレンステッド酸の存在下でロジンと、フェノール化合物及びテルペンフェノール樹脂の少なくとも一つとを一緒に反応させることを含む樹脂の製造法を提供する。所望の側面においてロジンはガムロジンであり、別の所望の側面においてブレンステッド酸はスルホン酸又は硫酸である。本発明は、この製造法によって製造される樹脂も提供する。この製造法によって製造される樹脂は、例えば、軟化点115〜150℃、酸価10〜85、Mw550〜1400、Mn405〜750、及び原液のガードナーカラー6〜12の一つ以上を特徴としうる。
【0010】
本発明の一側面において、樹脂の製造法は、ロジンとテルペンフェノール樹脂を一緒に反応させることを含み、好適な側面において、テルペンフェノール樹脂は約125〜150℃の軟化点を有し、且つ/又はロジンとテルペンフェノールは、ロジン:テルペンフェノールの重量比約40:60〜約60:40で一緒に反応させる。テルペンフェノール樹脂の製造に使用されるテルペンの例は、d−リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン及びδ−3−カレンなどであるが、これらに限定されない。本発明は、この製造法によって製造される樹脂も提供する。例えば、この製造法によって製造される樹脂は、軟化点115〜150℃、酸価10〜50、Mw550〜1400、Mn405〜750、及び原液のガードナーカラー6〜12の一つ以上を特徴としうる。
【0011】
本発明の別の側面において、樹脂の製造法は、ロジンとフェノール化合物を一緒に反応させることを含む。好ましくは、ロジンとフェノール化合物は、ロジン:フェノール化合物の重量比約70:30〜約90:10で一緒に反応させる。本発明は、この製造法によって製造される樹脂も提供する。例えば、この製造法によって製造される樹脂は、軟化点115〜150℃、酸価30〜85、Mw550〜1400、Mn405〜750、及び原液のガードナーカラー6〜12の一つ以上を特徴としうる。
【0012】
別の側面において、本発明は、クロロプレンと本発明の樹脂とを含む製品を提供する。該製品はさらに、例えば酸化金属及び炭化水素溶媒を含んでいてもよい。本発明はまた、クロロプレンセメントの製造法も提供する。該方法は、クロロプレン、酸化金属、炭化水素溶媒及び本発明の樹脂(RP又はRTPのいずれか)を組み合わせることを含む。
【0013】
本発明のこれら及びその他の側面は、以下の発明の詳細な説明を参照すると明白になるであろう。
発明の詳細な説明
様々な側面において、本発明は、ロジン−テルペンフェノール樹脂(又は“RTP樹脂”)、RTP樹脂の製造法、RTP樹脂を含有するコンタクトセメント、並びに該コンタクトセメントの製造及び使用法を提供する。本発明はまた、ロジン−フェノール樹脂(又は“RP樹脂”)、RP樹脂の製造法、RP樹脂を含有するコンタクトセメント、並びに該コンタクトセメントの製造及び使用法も提供する。驚くべきことに、本発明の樹脂をコンタクトセメント剤に使用すると、当業界でこれまでに知られているコンタクトセメント剤に優る著しい接着性の増強がもたらされることがわかった。この接着性の増強は、高レベルの剪断応力を受ける物をつなぎ合わせるのに特に適切である。例えば、過酷な使用条件下で使用されるキャンバス生地製ランニングシューズの部品の接着などである。
【0014】
このように、一態様において、本発明は、ロジンとフェノール及びテルペンフェノール樹脂の少なくとも一つとをブレンステッド酸の存在下で一緒に反応させることを含む樹脂の製造法を提供する。この製造法でフェノールを使用するとロジン−フェノール樹脂製品(“RP樹脂”)が製造され、テルペンフェノール樹脂を使用するとロジン−テルペンフェノール樹脂製品(“RTP樹脂”)が製造される。これらの反応物をいかに組み合わせ一緒に反応させるかの詳細を提供する前に、これらの反応物の簡単な説明を提供する。この説明において、並びに本明細書及びクレームの全体を通じて、不定冠詞(“a”及び“an”)がついていても引用された用語は単数以上であることを意味する。例えば“一つのフェノール化合物”という用語は、一つのフェノール化合物だけでなく数個のフェノール化合物も含む。
【0015】
ロジン
ロジンは、主に、ピマル酸及びアビエチン酸(これらの個々の酸は一般的に“樹脂酸”と呼ばれる)に代表されるC20三環縮合環モノカルボン酸の混合物である。本発明に使用するのに適切なロジンは多くの供給元から得ることができ、純度も様々でありうる。例えばウッドロジンが本発明に使用できるが、ウッドロジンは、ダイオウマツの切り株から、切り株の収穫後、切り株を小片にチップ化し、そのチップをヘキサン又は高沸点パラフィンで抽出し、そして該ヘキサン又はパラフィンを蒸留することによって得られる。別の適切なロジンはタル油ロジンである。これは、製紙のためのクラフト(すなわち硫酸塩)パルプ化工程の副産物である。このパルプ化工程で、松材をアルカリ及び硫化物で蒸解する際、タル油石鹸及び粗硫酸塩ターペンタインが副産物として生成する。この石鹸を酸性化し、次いで粗タル油の分留によってタル油ロジン及び脂肪酸が得られる。分留条件によって、本発明で使用されるタル油ロジンは様々な量の脂肪酸を含有しうる。
【0016】
ガムロジンも本発明に使用できる。ガムロジンは、松の木に傷を付け、滲出樹液を収集し、次いで揮発性成分を蒸留除去した後に得られるロジンに与えられた名前である。ガムロジンの例は、中国産ガムロジンであるが、これに限定されない。本発明においてガムロジンをロジン成分として使用すると、典型的には他の種類のロジンから得られるより高い軟化点を有する樹脂が得られる。従って、本発明のロジン成分は好ましくはガムロジンである。ガムロジンを使用すると生成物の収率も高くなる傾向にある。
【0017】
ロジンは多数の市販業者から入手することができる。例えば、標準グレードのロジンはArizona Chemical(フロリダ州ジャクソンビル)からUNI−TOL(登録商標)、ACINTOL(登録商標)又はSYLVAROS(登録商標)の商品名で入手できる。
【0018】
フェノール化合物
本発明のRP樹脂は、ロジンに加えてフェノール化合物から製造される。フェノール化合物は、ヒドロキシ置換フェニル基、すなわち所望により置換されていてもよいフェノール部分を含む化合物である。フェノールの分子式はCOHである。置換フェノールは、炭素に結合している1個以上の水素が異なる基、すなわち置換基で置換された場合に得られる。本発明の樹脂形成組成物の成分として使用するのに適切なフェノール化合物は、フェノール、C1−12アルキルフェノール類(すなわち1個以上のアルキル置換基を有するフェノールで、アルキル置換基は1〜12個の炭素を有する)、アリールフェノール類、アラルキルフェノール類、クレゾール類、1,3,5−キシレノール類、ジフェニロールプロパン、クミルフェノール、ビスフェノールAなどであるが、これらに限定されない。本明細書中で使用しているアルキルとは、C−C及びC−H単結合だけを含有する炭化水素構造領域のことであり;アリールとは、芳香環系としての炭化水素構造領域のことであり、アラルキルとは、芳香族及びアルキル部分の両方を含有する炭化水素構造領域のことである。一側面においてフェノール化合物はフェノールであり、別の側面においてフェノール化合物はフェノールを含むフェノール化合物の混合物である。一側面においてフェノール化合物はC1−12アルキルフェノールであり、別の側面においてフェノール化合物はC1−12アルキルフェノールを含むフェノール化合物の混合物である。一側面において、フェノール化合物は小分子量化合物、例えば分子量約500未満、又は約400未満、又は約300g/mol未満の化合物である。しかしながら、別の側面において、フェノール化合物はポリマー、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂である。フェノールが好適なフェノール化合物である。フェノール化合物は、Aldrich Chemical(ウィスコンシン州ミルウォーキー)のような既知の供給元から得ることができる。
【0019】
好ましくは、RP樹脂の製造の際、ロジンとフェノール化合物は、ロジン:フェノール化合物の重量比、約70:30〜約90:10、さらに好ましくは約75:25〜約85:15、なおさらに好ましくは約80:20で一緒に反応させる。
【0020】
好ましくは、RP樹脂の製造の際、ロジンとフェノール化合物は、RP樹脂の形成に使用される反応物の大部分の重量を占める。従って、本発明の様々な所望の側面において、ロジンとフェノール化合物は、RP樹脂の形成に使用される炭素含有反応物の重量の少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は100%に寄与する。
テルペンフェノール樹脂
本発明のRTP樹脂の製造においてはロジンをテルペンフェノール樹脂と反応させる。上に開示した製造法で使用されうるテルペンフェノール樹脂(“TP樹脂”)は、適切な溶媒中で一つ以上のテルペンと一つ以上のフェノール化合物との酸触媒重合によって製造できる。フェノール化合物の例は前節に記載した。この化学は当該技術分野では周知であり(例えば、米国特許第5,723,566号及び5,844,063号参照)、TP樹脂は多くの販売元から市販されている。例えば、本発明の上記開示製造法に使用するのに適切なテルペンフェノール樹脂は、Arizona Chemical Company(フロリダ州ジャクソンビル)から販売されているSLYVARES(登録商標)TP96、TP300、TP2040、TP2040HM、TP2019、TP7042及びTP3523樹脂という名の商品などである(これらに限定されない)。
【0021】
TP樹脂の製造に使用するのに適切なテルペンの例は、d−リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、及びδ−3−カレン(これらに限定されない)などであり、これらの各テルペンは様々な市販業者から入手できる。例えば、Aldrich Chemical(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、フロリダ州ジャクソンビルのArizona Chemical Company(商品名SYLVAPINE(登録商標)A テルペン、SYLVAPINE(登録商標)B テルペン、SYLVAPINE(登録商標)405 テルペン、SYLVAPINE(登録商標)402など)、フロリダ州ジャクソンビルのBush Boake & Allen/International Flavors and Fragrances(商品名UNITENE(登録商標)LP テルペンなど)、及びフロリダ州ジャクソンビルのMillennium Specialty Chemicals(商品名MILLENNIUM(登録商標)2B13 テルペン)などである。リモネンは柑橘類工業の副産物として得られ、ジペンテンはα−ピネンの熱分解又は接触分解によって得られる。β−ピネンモノマーは通常粗硫酸塩ターペンタインの蒸留によって得られる。これは製紙工業の副産物である。樹脂グレードのβ−ピネンは一般的に約80重量%のβ−ピネンと約20重量%のα−ピネンである。より高純度グレードのβ−ピネン、例えばβ−ピネンが90%を超えるいわゆる芳香化学グレードのものもテルペン樹脂の製造に使用できる。純テルペン及びテルペンの混合物もTP樹脂の製造に使用できる。
【0022】
ルイス酸を使用すればTP樹脂の製造が促進できる。適切なルイス酸は、三フッ化ホウ素及びその誘導体又は錯体、並びにフッ化水素酸及び硫酸のような強プロトン酸などであるが、これらに限定されない。TP樹脂はテルペン及びフェノール化合物から製造されるが、その他の共反応物もTP樹脂の製造に利用してよい。例えば、非テルペン系オレフィン及びジエンが共反応物として利用できる。適切な非テルペン系オレフィン及びジエンは、石油蒸留物のスチームクラッキングから得られるイソブチレン、ジイソブチレン、1−アルケン類(例えば1−オクタデセン)、ビニルシクロヘキセン、ピペリレン及びジシクロペンタジエン流、並びにスチレン、インデン、メチルスチレン、及びアルキル芳香族スチレンのようなビニル芳香族などであるが、これらに限定されない。
【0023】
所望の側面において、本発明の樹脂の製造法に使用されるTP樹脂は、95〜150℃、又は95〜140℃、又は95〜130℃、又は95〜120℃、又は95〜110℃、又は105〜150℃、又は105〜140℃、又は105〜130℃、又は105〜120℃、又は115〜150℃、又は115〜140℃、又は115〜130℃、又は125〜150℃、又は125〜140℃、又は135〜150℃、又は140〜150℃の範囲の軟化点を有する。本発明の樹脂の製造法に使用されるTP樹脂の軟化点は、好ましくは約115〜150℃の範囲、更に好ましくは125〜150℃の範囲である。
【0024】
好ましくは、本発明のRTP樹脂の製造において、ロジンとTP樹脂は、ロジン:TP樹脂の重量比約40:60〜約60:40、更に好ましくは約45:55〜約55:45、なおさらに好ましくは約50:50で一緒に反応させる。
【0025】
好ましくはRTP樹脂の製造において、ロジンとTP樹脂は、RTP樹脂の形成に使用される反応物の大部分の重量を占める。様々な所望の側面において、ロジンとTP樹脂は、RTP樹脂の形成に使用される炭素含有反応物の重量の少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は100%を占める。
【0026】
ブレンステッド酸
本発明の樹脂及び製造法は、ロジンと共反応物(フェノール化合物又はテルペンフェノール樹脂のいずれか)を利用し、これらの材料をブレンステッド酸の存在下で一緒に反応させる。本明細書中で使用している“ブレンステッド酸”という用語は、当該技術分野におけるその通常の意味を有し、反応又は別の試薬にプロトンを供与する能力を有する試薬のことを言う。ブレンステッド酸は周知であり、ブレンステッド酸の例は、塩酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、酢酸、及び安息香酸などであるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明で使用するのに好適なブレンステッド酸は硫酸及びスルホン酸である。スルホン酸は、分子式:−S(=O)(OH)の部分を含有する化合物である。硫酸及びスルホン酸の例は、硫酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及び4−デセン−3−スルホン酸のような所望により置換されていてもよい脂肪族スルホン酸;並びにドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、クメンスルホン酸、キシレンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸のような所望により置換されていてもよい芳香族スルホン酸などである(これらに限定されない)。好適な側面において、本発明で使用するブレンステッド酸はパラトルエンスルホン酸(PTSA)である。
【0028】
反応条件
本発明の製造法はロジンと共反応物を一緒に反応させることを含む。本明細書中で使用している“反応させる”又は“一緒に反応させる”という用語は,掲載された反応物のそれぞれを、各反応物が、a)別の反応物、又はb)二つ以上の反応物から形成された反応生成物のいずれかと反応するような反応条件下で反応容器に加えることを意味する。従って、RP樹脂の製造においては、ロジンとフェノール化合物の両方を反応容器に入れる。RTP樹脂の製造ではロジンとテルペンフェノール化合物の両方を反応容器に入れる。好適な態様において、これらはRP又はRTP樹脂の形成に使用される炭素含有反応物だけであるが、所望の態様においては一つ以上の追加の炭素含有反応物をRP又はRTP樹脂の製造に利用してもよい。
【0029】
反応の持続時間及び温度は、好ましくは、製造される樹脂が樹脂形成反応物のいずれよりも高い分子量を有するように選択される。該樹脂は好ましくは以下で論じるような特性を有する。RP形成又はRTP形成反応を起こすためには、組合せた反応物を高い温度、例えば約50〜300℃、好ましくは約80〜300℃の範囲の温度にさらさなければならない。このような高温で、反応物は他の反応物との共有結合形成反応を受け、その結果樹脂性材料、すなわち比較的高分子量の材料が形成される。特に、エステル化が起こるのが観察される。エステル化はカルボン酸基(ロジン由来)がヒドロキシル基(フェノール化合物又はテルペンフェノール樹脂由来)と反応した場合に起こる。
【0030】
例えば、各反応物を単一の反応容器内で一緒にして、その混合物を昇温させると、反応物が互いに反応して本発明の樹脂が形成される。この手法は“ワンポット”反応工程と名付けることができる。
【0031】
あるいは二つ以上の(しかし全部よりは少ない)反応物を単一の反応容器内で一緒にして、この混合物を昇温させて、反応物が互いに反応して中間反応生成物が形成されるようにしてもよい。他の反応物はこの中間反応生成物と反応させる(同じ又は異なる反応容器のいずれかで)。このようにして、本発明は、反応物を任意の順序で一つ以上の高温で互いに反応させると本発明の樹脂が得られることを規定する。しかしながら、同一の反応物(量及びアイデンティティに関して)でも、どの程度まで厳密に反応物を一緒に反応させるかによって異なる物理的性質及び性能を有する樹脂が形成されうることは理解されるはずである。
【0032】
反応温度は以下の点に留意して選択される。反応温度は、反応容器中の内容物が十分流体となってそれらの内容物を撹拌できるくらいに高くなくてはならない。温度が高いほど、速い反応速度を提供するため、経済的な理由から一般的に好適である。しかしながら、反応温度が高すぎて反応成分が沸騰して反応容器から溢れるようなことがあってはならない。また、反応成分又は反応生成物の分解が起こるほど高くてもいけない。
【0033】
本発明のRP及びRTP樹脂の製造において、反応は溶媒中で実施できる。好ましくは、溶媒は非極性溶媒である。なぜならば、反応成分は当然非極性なので、極性溶媒よりも非極性溶媒中でより容易に可溶化する傾向にあるからである。更に好ましくは、溶媒は高沸点を有する非極性溶媒である。なぜならば、本発明のエステル化工程は副産物として水を生成するからである。100℃を超える沸点を有する溶媒を使用することにより、反応混合物から水を沸騰除去して反応が逆行するのを防止できる。溶媒の体積に大きく影響することもない。そのような溶媒の例は、キシレン及びトルエンなどである(これらに限定されない)。
【0034】
樹脂の特性
本発明では、樹脂製造において達成されるエステル化度は、反応工程に与えられる時間の長さによって調節できる。エステル化の時間が長ければ、より多くのロジンの酸基がエステル基に転化するので、一般的に樹脂生成物の酸価は低くなる。本明細書中で使用している酸価とは、1gの樹脂生成物を中和するのに要するKOH塩基の量(ミリグラム数)に等しい。好ましくは、本発明のRTP樹脂は、約10〜85又は10〜80又は10〜75又は10〜70又は10〜65又は10〜60又は10〜55の酸価を有し、更に好ましくは、本発明のRTP樹脂は約10〜50の酸価を有する。好ましくは、本発明のRP樹脂は、約10〜85又は15〜85又は20〜85又は25〜85の酸価を有し、更に好ましくは、本発明のRP樹脂は約30〜85の酸価を有する。反応の程度をモニタするために、反応混合物からサンプルを定期的に取り出し、酸価を分析してもよい。
【0035】
反応時間の長さは得られる生成物の分子量にも影響を及ぼす。典型的には樹脂生成物の分子量は、反応生成物中の共有結合の形成により多くの時間が与えられると増加する。好適な側面において、本発明の製造法によって製造される樹脂は、550〜1400の範囲の分子量(Mw)及び、405〜750の範囲のMnを有する。これらの分子量の値は、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で、分子量値に対するリテンションタイムの検量にポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィーを用いて得られる。
【0036】
樹脂生成物のエステル化度は以下の方法によってモニタできる。まず、反応混合物のテストサンプル(約6〜7g)を反応容器から定期的に取り出し、炭酸ナトリウム水溶液(約4〜5%(w/v))でクエンチングする。各テストサンプルの有機層を回収し、約110℃に約20分間加熱し、残りの残渣を秤量して固体物質の反応混合物のパーセンテージを決定する。次にこの残渣を当業者に公知の方法を用いて酸価の測定にかければよい。エステル化度は各サンプルの酸価に反比例すると解釈される。あるいは、又はそれに加えて、サンプルの残渣を赤外分光法によって、1744cm−1(エステルC=O)及び1696cm−1(酸C=O)におけるピーク強度を比較する分析を行ってもよい。エステル化度は1744cm−1におけるピーク強度に比例し、1696cm−1におけるピーク強度に反比例すると解釈される。
【0037】
本発明の樹脂生成物の色はガードナーカラースケールに従って測定できる。スコア0は無色の組成物に対応し、スコア15は赤褐色の組成物に対応する。樹脂のガードナーカラーの正確な測定値は、吸光度(Abs)モードにセットしたSpectronic 301分光光度計(Milton Roy,ロチェスター)を用いて得ることができる。Spectronic 301は、マイクロプロセッサで制御されたシングルビーム可視領域の分光光度計である。波長領域は325〜900nmで、正確度(accuracy)±2nm、波長の精度(precision)±1nmである。Spectronic 301は、−0.1〜2.5Abs単位の測光レンジを有する。Spectronic 301は、これらのレンジを正確に維持するために30分間のウォームアップを要し、Milton Roy Spectronic標準を用いて毎年較正される。波長と測光データはビルトイン式RS232Cポートにより外部コンピュータに送信される。外部コンピュータは、ガードナーカラー標準に基づいてデータすなわち200〜700nmの波長における吸光度を10nmきざみで解釈する。データは、ASTM標準E308を用いて翻訳され、ガードナーカラーと値の両方がプリントアウトされる。ガードナー値はガードナーカラーのデジタル版である。例えば、ガードナーカラーの3−はガードナー値2.50〜2.82に等しく;ガードナーカラーの3はガードナー値の2.83〜3.17に等しく;そしてガードナーカラーの3+はガードナー値の3.17〜3.49に等しい。ソフトウェアはPaul N.Gardner Company Inc.(フロリダ州ポンパノビーチ)から入手できる。一側面において、本発明の樹脂生成物は原液(すなわち溶媒を含まない)のガードナーカラーが6〜12の範囲である。
【0038】
接着剤組成物及びそれから製造される製品
別の側面において、本発明は、本発明のRP又はRTP樹脂を含む接着剤組成物を提供する。そのような接着剤組成物の一つがコンタクトセメントである。コンタクトセメントは当該技術分野で周知であり(例えば、米国特許第5,733,958号及び5,897,412号参照)、多くの販売元から入手できる(例えば、Macco Adhesives,Cleaveland OH 44115 USA;DAP Inc.,Baltimore MD 21224 USA;www.dap.com;及びHenkel Consumer Adhesives,Avon OH 44011 USA;www.henkelca.com)。コンタクトセメントは製靴業で頻繁に使用されるが、コンタクトセメントは、二つの表面を一緒に接着しなければならないあらゆる状況で使い道がある。
【0039】
コンタクトセメントは、二つ以上の部品を一緒に接着することによって形成される製品が使用時に柔軟でなければならない場合、例えば、靴、布製品、木製品、ゴムボート、タイヤなどにおいて特に有用である。従って一側面において、本発明は、製品がゴム、例えばクロロプレンゴム及び本発明の樹脂、すなわちRP又はRTP樹脂を含む、例えば靴のような製品を提供する。
【0040】
一側面において、接着剤組成物及びそれから製造される製品は、ゴム、例えば天然ゴム又はクロロプレンゴムと混合したRP又はRTP樹脂を含み、コンタクトセメントである。クロロプレンゴムは、ポリクロロプレンとしても知られており、接着剤組成物の好適な成分である。DuPont Dow Elastomers L.L.C.(米国デラウェア州ウィルミントン;www.dupont−dow.com/neoprene)がNEOPRENEの商標で適切なクロロプレンゴムを販売している。コンタクトセメント剤は固体の形態であっても水性エマルジョンの形態であってもよい。他の所望の側面において、組成物及びそれから製造される製品は、酸化金属をさらに含んでいてもよい(例えば酸化マグネシウム及び/又は酸化亜鉛)。該組成物はまた、例えばトルエン又はキシレンなどの炭化水素溶媒を含んでいてもよい。
【0041】
このように、本発明は接着剤組成物、例えばコンタクトセメントの製造法も提供する。該方法は、ポリマー、例えばクロロプレンのようなゴムを、RP又はRTP樹脂と、所望により一つ以上の酸化金属の存在下、また所望により一つ以上の不活性溶媒の存在下で一緒にすることを含む。該組成物は、成分を適切な容器中で一緒にし、次いで均一な組成物が得られるまで混合することにより容易に製造される。本発明のRP又はRTP樹脂は、コンタクトセメントに現在使用されている他の粘着付与剤樹脂、特にロジン誘導粘着付与剤樹脂の代わりに、又はそれに加えて使用できる。
【0042】
一側面において、コンタクトセメントは、表面、例えば布又はゴム表面に塗布され、乾燥される。次に乾燥したコンタクトセメントを、同様に処理された別の表面と接触させ、その二つの表面を高温下、例えば約100〜150℃で保持する。冷却すると、二つの表面がコンタクトセメントによって一緒に接着された貼合せ製品が製造される。あるいは、コンタクトセメントを表面に塗布した後、コンタクトセメントが乾く前に、第二の表面をコンタクトセメントで被覆された表面に貼り付ける。コンタクトセメントが乾燥すると二つの表面は一緒に接着結合される。
【0043】
このように、本発明は二つの表面を一緒に接着結合する方法を提供する。該方法は、少なくとも一つの表面をRP又はRTP含有接着剤組成物で被覆し、次いで二つの表面を接着促進条件下で一緒に保持することを含む。表面の被覆は、スプレー、刷毛塗り、又は接着剤を表面に塗布する別の方法によって実施できる。接着促進条件は時間と温度の適切な組合せである。
【0044】
以下の実施例は本発明を説明する目的で提供するものであって、本発明を制限するものではない。試薬は、Aldrich Chemical(ウィスコンシン州ミルウォーキー)のような販売元から入手したままで試薬級以上であった。SYLVARES(登録商標)TP7042テルペンフェノール樹脂はArizona Chemical(フロリダ州ジャクソンビル)から入手した。TAMANOL(登録商標)803Lテルペンフェノール樹脂はArakawa Chemical(USA)Inc.(イリノイ州シカゴ;www.arakawa−usa.com)から入手した。比較例は実施例番号の後の“C”の文字で示した。
【実施例】
【0045】
実施例1
RTP樹脂の合成
100gの中国産ガムロジンのキシレン175g中溶液を、撹拌機、キシレンで満たされ凝縮器に接続されたディーン・スターク・トラップ、及び窒素吸気口付き熱電対プローブアセンブリを備えた1リットル入りモルトンフラスコに入れた。次に、該フラスコに、100gのSYLVARES(登録商標)TP7042テルペンフェノール樹脂のキシレン175g中溶液をさらに加えた。12gのパラトルエンスルホン酸をロジン−TP混合物に加えた後、該混合物を電気加熱マントル上で加熱し、還流させた。反応の進行に従って、反応によって形成された水(エステル化の副産物)がディーン・スターク・トラップの底部に集められた。反応混合物は合計約7時間、又は所望のエステル化レベルに到達するまで還流させた。エステル化レベルは本明細書中に既述したエステル化モニタ法の一つによって測定した。
【0046】
所望のエステル化レベルに到達したら反応混合物を約90℃未満に冷却し、炭酸ナトリウム溶液(150mLの水に約7.2g)を加えて反応をクエンチングした。次に、反応フラスコから水を以下のようにして除去した。クエンチング後の混合物を約75〜80℃に加熱し、反応フラスコを約10分間撹拌した後、混合物を層分離させ、水性層を取り除いた。次に、反応混合物を追加の水150mLで処理し、水除去工程を繰り返した。
【0047】
次に、残りの反応混合物を、撹拌機、三方テイクオフアダプタを介した凝縮器、熱電対アセンブリ、及び噴霧管を備えた四つ口丸底フラスコ(風袋秤量済み)に入れた。反応混合物を一定の窒素噴霧下(噴霧量約2000mL/分)で撹拌しながら約245℃に加熱した。溶媒は約140〜170℃で蒸留除去された。反応混合物のサンプルを窒素パージ下で定期的に抽出し(1〜2mLの分量)、軟化点を分析した。所望の軟化点に到達するまで窒素噴霧下で反応を進行させた。次いで反応生成物を冷却して取り出し、軟化点149.7℃及びガードナーカラー8.9(原液)を有するRTP粘着付与剤樹脂を得た。
【0048】
実施例2
RP樹脂の合成
160gの中国産ガムロジンのキシレン275g中溶液を、撹拌機、キシレンで満たされ凝縮器に接続されたディーン・スターク・トラップ、及び窒素吸気口付き熱電対プローブアセンブリを備えた1リットル入りモルトンフラスコに入れた。次に、該フラスコに、40gのフェノールのキシレン100g中溶液をさらに加えた。9.6gのパラトルエンスルホン酸をロジン−フェノール混合物に加えた後、該混合物を電気加熱マントル上で加熱し、還流させた。反応の進行に従って、反応によって形成された水(エステル化の副産物)がディーン・スターク・トラップの底部に集められた。反応混合物は合計約7時間、又は所望のエステル化レベルに到達するまで還流させた。エステル化レベルは本明細書中に既述したエステル化モニタ法の一つによって測定した。
【0049】
所望のエステル化レベルに到達したら反応混合物を約90℃未満に冷却し、炭酸ナトリウム溶液(150mLの水に約5.8g)を加えて反応をクエンチングした。次に、反応フラスコから水を以下のようにして除去した。クエンチング後の混合物を約75〜80℃に加熱し、反応フラスコを約10分間撹拌した後、混合物を層分離させ、水性層を取り除いた。次に、反応混合物を追加の水150mLで処理し、水除去工程を繰り返した。
【0050】
次に、残りの反応混合物を、撹拌機、三方テイクオフアダプタを介した凝縮器、熱電対アセンブリ、及び噴霧管を備えた四つ口丸底フラスコ(風袋秤量済み)に入れた。反応混合物を一定の窒素噴霧下(噴霧量約2000mL/分)で撹拌しながら約245℃に加熱した。溶媒は約140〜170℃で蒸留除去された。反応混合物のサンプルを窒素パージ下で定期的に抽出し(1〜2mLの分量)、軟化点を分析した。所望の軟化点に到達するまで窒素噴霧下で反応を進行させた。次いで反応生成物を冷却して取り出し、軟化点139.6℃及びガードナーカラー9.3(原液)を有するRP粘着付与剤樹脂を得た。
【0051】
実施例3−4、5C−8C、9、10及び11C
接着剤及び試験
コンタクトセメント組成物を表1に示した重量パーセントに従って製造した。反応フラスコに、クロロプレンポリマー、酸化亜鉛、抗酸化剤(IRGANOX(登録商標)1076抗酸化剤、Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown NY 10591 USA;www.cibasic.com を使用したが、代わりに他の抗酸化剤を使用してもよい)、表示量の4/9の酸化マグネシウム、及びトルエン(ポリマー重量の約6倍)を入れた。次に、反応混合物を、全てのポリマーが溶解し、無機成分が分散するまで撹拌した。別の反応フラスコに、粘着付与剤樹脂、残りの酸化マグネシウム、トルエン(粘着付与剤樹脂の重量の約2倍)、及び水(酸化マグネシウムの全量の約1/9)を入れ、粘着付与剤樹脂が溶解し、無機成分が分散するまで混合した。次に、二つのフラスコの内容物を一緒にして、均一になるまで混合し、コンタクトセメント組成物を得た。
【0052】
次に、コンタクトセメント組成物の接着力を試験した。あらゆるコーティングの前に、何らかの沈降が発生していた場合に備えて、コンタクトセメントを撹拌した。それからコンタクトセメント組成物を、20番のワイヤを巻付けたロッドを備えた手動式Acculab Drawdown Machineを用いてコットンキャンバス基材に塗布した。各コンタクトセメントのサンプルをコットンキャンバスに被覆し、周囲温度で乾燥させた。この工程を、布の織地が接着剤膜の表面に見えなくなるようなコーティング厚が得られるまで繰り返した。
【0053】
被覆されたサンプル基材を1週間周囲温度で硬化させた後、同じ接着剤で被覆された別のサンプル基材にヒートシールした。ヒートシールは、Carver Press(Carver,Inc.,米国インジアナ州ウオバッシュ;www.carverpress.com)を用い、125℃及び89psiで5分間実施した。次にサンプルを周囲温度で5日間休ませた。次に、1インチ(約2.54cm)幅のストリップにカット後、Instron Model 1137試験装置(Instron Corporation,マサチューセッツ州カントン;www.instron.com)を用い、12インチ(約30.5cm)/分の速度のT形剥離様式でサンプル基材を互いから分離させた。6インチ(約15cm)のストリップを分離するのに要した平均の力(すなわち剥離強さ)を表1に示す。
【0054】
比較のために2種類の樹脂を選んだ。一つは製靴用のコンタクトセメント剤に通常使用されている市販品のTAMANOL(登録商標)803L粘着付与剤であった。もう一つは、ブレンステッド酸による触媒作用の代わりにBF触媒作用を用いて製造した樹脂であった。表1のデータは、本発明のRP及びRTP樹脂の優れた性能を証明している。このように、本発明の様々な所望の側面において、RP又はRTP樹脂は、20より大、又は21より大、又は22より大、又は23より大、又は24より大、又は25より大、又は26より大、又は27より大、又は28より大、又は29より大、又は30より大、又は31より大、又は32より大、又は33より大、又は34より大、又は35より大、又は36より大、又は37より大、又は38より大、又は39より大、又は40より大、又は41より大、又は42より大、又は43より大、又は44より大の剥離値(ポンド/インチ、本明細書中に記載のようにして測定)を提供する。
【0055】
本明細書中で引用及び/又は出願データシートに掲載した全ての上記米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許出版物は、引用によってそれらの全体を本明細書に援用する。
【0056】
本発明の特定の態様を説明の目的で本明細書中に記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多様な変形が可能であることは、上記の記述から理解されるであろう。従って、本発明は添付のクレームによって以外は制限されない。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジンと共反応物をブレンステッド酸の存在下で一緒に反応させることを含む樹脂の製造法であって、前記反応物がフェノール化合物又はテルペンフェノール樹脂であることを特徴とする前記製造法。
【請求項2】
ロジンをテルペンフェノール樹脂と反応させる、請求項1に記載の製造法。
【請求項3】
テルペンフェノール樹脂が125〜150℃の軟化点を有する、請求項2に記載の製造法。
【請求項4】
ロジンとテルペンフェノールを、ロジン:テルペンフェノールの重量比40:60〜60:40で一緒に反応させる、請求項2に記載の製造法。
【請求項5】
ロジンをフェノールと反応させる、請求項1に記載の製造法。
【請求項6】
ロジンとフェノールを、ロジン:フェノールの重量比70:30〜90:10で一緒に反応させる、請求項5に記載の製造法。
【請求項7】
ロジンをC−C12アルキルフェノールと反応させる、請求項1に記載の製造法。
【請求項8】
リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン及びδ−3−カレンからなる群から選ばれるテルペンがテルペンフェノール樹脂の製造に使用される、請求項2に記載の製造法。
【請求項9】
ブレンステッド酸がスルホン酸又は硫酸である、請求項1に記載の製造法。
【請求項10】
スルホン酸がパラトルエンスルホン酸である、請求項9に記載の製造法。
【請求項11】
軟化点115〜150℃、酸価10〜85、Mw550〜1400、Mn405〜750、及び原液のガードナーカラー6〜12を有する、請求項1に記載の製造法によって製造される樹脂。
【請求項12】
請求項2に記載の製造法によって製造される樹脂。
【請求項13】
10〜50の酸価を有する請求項12に記載の樹脂。
【請求項14】
請求項4に記載の製造法によって製造される樹脂。
【請求項15】
30〜85の酸価を有する請求項14に記載の樹脂。
【請求項16】
クロロプレンと請求項1に記載の製造法によって製造される樹脂とを含む製品。
【請求項17】
クロロプレンと請求項2に記載の製造法によって製造される樹脂とを含む製品。
【請求項18】
クロロプレンと請求項5に記載の製造法によって製造される樹脂とを含む製品。
【請求項19】
クロロプレン、酸化金属、炭化水素溶媒、及び請求項12に記載の樹脂を組み合わせることを含むクロロプレンセメントの製造法。
【請求項20】
クロロプレン、酸化金属、炭化水素溶媒、及び請求項14に記載の樹脂を組み合わせることを含むクロロプレンセメントの製造法。

【公表番号】特表2007−504325(P2007−504325A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525436(P2006−525436)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/028562
【国際公開番号】WO2005/023948
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(505333816)アリゾナ・ケミカル・カンパニー (13)
【Fターム(参考)】