説明

樹脂及び樹脂水分散液

【課題】 種々の用途に有用な新規な樹脂を提供でき、例えば、トナー用バインダー樹脂及びそれを用いたトナーとして使用することにより、良好な低温定着性、ワックス分散性、保存安定性を有する樹脂及び樹脂水分散液を提供することにある。
【解決手段】
下記化合物(A)と下記化合物(B)を反応させて得られる樹脂及び樹脂水分散液。
(A)エポキシ樹脂
(B)ポリアルキレンポリアミン類と脂肪酸類の縮合物であり、かつ、エポキシ基と反応する活性水素を有する脂肪酸アミド
また、下記化合物(A)と下記化合物(B)と下記化合物(C)を少なくとも反応させて得られる樹脂及び樹脂水分散液。
(A)エポキシ樹脂
(B)ポリアルキレンポリアミン類と脂肪酸類の縮合物であり、かつ、エポキシ基と反応する活性水素を有する脂肪酸アミド
(C)モノカルボン酸類

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の用途に有用な新規な樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂および、重合脂肪酸と環式骨格を有するジアミンとを反応させて得られるポリアミドジカルボン酸を反応させた樹脂が報告されている(例えば、特許文献1参照)。これは重合脂肪酸が二塩基酸であることから重合脂肪酸とジアミンの繰り返し単位を有したポリアミド構造を用いているが、本発明の樹脂はこのような繰り返し単位を構造上有さない。
【特許文献1】特開平5−301940号公報
【0003】
また、エポキシ樹脂と反応させない脂肪酸アミド(活性水素を持たない脂肪酸アミド)は、トナー用途向けに、これまではワックスとしての用途に用いられているが、これらの構造とも異なるものである。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献2】特開2006−188467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、種々の用途に有用な新規な樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、種々の用途に有用な新規な樹脂を見出し本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)下記化合物(A)と下記化合物(B)を反応させて得られる樹脂であり、
(A)エポキシ樹脂
(B)ポリアルキレンポリアミン類と脂肪酸類の縮合物であり、かつ、エポキシ基と反応する活性水素を有する脂肪酸アミド
【0007】
(2)下記化合物(A)と下記化合物(B)と下記化合物(C)を反応させて得られる樹脂であり、
(A)エポキシ樹脂
(B)ポリアルキレンポリアミン類と脂肪酸類の縮合物であり、かつ、エポキシ基と反応する活性水素を有する脂肪酸アミド
(C)モノカルボン酸類
(3)分散剤を用いて前記(1)の樹脂を少なくとも分散していることを特徴とする樹脂水分散液であり、
(4)分散剤を用いて前記(2)の樹脂を少なくとも分散していることを特徴とする樹脂水分散液であり、
(5)分散剤が高分子乳化剤及び/又は界面活性剤である前記(3)又は(4)の樹脂水分散液である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の種々の用途に有用な新規な樹脂を提供することができ、例えば、トナー用バインダー樹脂及びそれを用いたトナーとして使用することにより、良好な低温定着性、ワックス分散性、保存安定性を有する樹脂及び樹脂水分散液を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いる化合物(A)すなわちエポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合物(少なくとも2量体以上)、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの縮合物、ビスフェノールADとエピクロロヒドリンとの縮合物、ビスフェノールCとエピクロロヒドリンとの縮合物、ビスフェノールSとエピクロロヒドリンとの縮合物、ビスフェノールEとエピクロロヒドリンとの縮合物、ビスフェノールBとエピクロロヒドリンとの縮合物であるビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられるが、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂やビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。これらを単独で使用しても良いし、物性の異なる二種以上を併用してもよい。また、固形エポキシ樹脂であることが好ましく、エポキシ当量は200〜5000が好ましく、重量平均分子量は1000〜30000が好ましい。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、工業用に製造されているものであって、ビスフェノール類とエピクロロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させる一段法、あるいは、この一段法により製造されたエポキシ樹脂にさらにビスフェノール類を付加重合させる二段法で得られるものである。
【0010】
化合物(B)すなわち、ポリアルキレンポリアミン類と脂肪酸類の縮合物であり、かつ、エポキシ基と反応する活性水素を有する脂肪酸アミド(B)としては、炭素数6〜24の脂肪酸類とポリアルキレンポリアミン類との反応により得られるアミノ基含有アミド化合物を挙げることができる。
【0011】
炭素数6〜24の脂肪酸類としては、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖脂肪酸、及び、2−エチルヘキシル酸、イソステアリン酸等の分岐脂肪酸並びにこれら脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、グリセリンエステル等の誘導体のいずれでも良い。これら脂肪酸及び脂肪酸誘導体はその一種を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良いが、炭素数18〜22の長鎖アルキル基を有する脂肪酸が好ましく、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸がより好ましい。
【0012】
ポリアルキレンポリアミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、アミノエチルピペラジン等が挙げられ、これらはその一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。これらの中では、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが好ましい。
【0013】
本発明で用いる化合物(B)は、上述の脂肪酸類とポリアルキレンポリアミン類とを反応させて得られる。脂肪酸類とポリアルキレンポリアミン類との仕込比率は特に制限はないが、脂肪酸類のカルボン酸基のモル数を(a)、ポリアルキレンポリアミン類の一級アミノ基および二級アミノ基の合計モル数を(b)とした場合、3.5≧[b/a]>1の関係が好ましく、2.1≧[b/a]>1の関係がより好ましい。
【0014】
本発明で用いる化合物(B)は、脂肪酸類とポリアルキレンポリアミン類との反応により得られ、反応条件としては100〜230℃に加熱し、生成する水を除去しながら行う。反応時間は、通常、1〜10時間であり、触媒としてベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等を使用することができ、トルエンやキシレン等の溶剤を使用して生成する水を共沸蒸留により除去しながら反応を促進させる方法を採用することもできる。
【0015】
本発明で用いるモノカルボン酸類(C)は、安息香酸、4−ブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸といった芳香族モノカルボン酸や、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪族モノカルボン酸、ロジン、並びにそれらモノカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等が挙げられるが、脂肪族モノカルボン酸類やロジン類が好ましい。
【0016】
本発明の樹脂は、化合物(A)と化合物(B)(と必要に応じてモノカルボン酸類(C))とを反応させて得られる。化合物(A)と化合物(B)との反応は、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基との開環反応により進行する。化合物(A)とモノカルボン酸類(C)との反応は、化合物(A)のエポキシ基とモノカルボン酸類(C)のカルボキシル基との開環反応により進行する。冷却管、攪拌装置、不活性ガス導入管、温度計等を備えた加熱可能なフラスコに上述した原料を仕込み、加熱溶融することによって樹脂が得られる。反応温度としては、これら構成成分の融点以上でかつ均一に混合することができる温度が望ましく、60〜200℃の範囲が好ましい。反応に際してエポキシ基の開環反応を促進する触媒を加えてもよい。この場合の使用できる触媒は、トリアルキルアミン、アルキルイミダゾールなどのアミン類、ブチルトリアルキルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩類、トリフェニルフォスフィンなどを挙げることができる。
【0017】
本発明の樹脂を製造するにあっては、化合物(A)と化合物(B)(とモノカルボン酸類(C))との仕込比率は特に制限はないが、化合物(B)中のアミノ基のモル数を(c)、化合物(A)中のエポキシ基のモル数を(d)、モノカルボン酸類(C)中のカルボン酸基のモル数を(e)とした場合、4.0≧[d/(c+e)]≧0.8が好ましく、2.5≧[d/(c+e)]≧0.9がより好ましい。e/cの仕込比率は、1.60≧e/c≧0.03が好ましい。
【0018】
本発明の樹脂は、分散剤を用いて樹脂水分散液とすることもできる。
【0019】
分散剤としては、高分子乳化剤や界面活性剤などを挙げることができる。
【0020】
高分子乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、両性の合成高分子、あるいは一般の天然高分子乳化剤が使用でき、合成高分子の一例を挙げれば、ポリビニルアルコールおよびその変性物、(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体を例示することができる。天然高分子乳化剤として、例えばカゼイン、レシチン、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉及び加工澱粉が挙げられる。アニオン性高分子乳化剤が好ましく、特にアニオン性(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体が好ましい。
【0021】
本発明においては、前記高分子乳化剤の一種を単独で使用することもできるし、またその二種以上を併用することもできる。
【0022】
界面活性剤としては、通常、乳化重合に適用できるものが使用可能であり、ノニオン性、アニオン性及び両性の界面活性剤が挙げられるが、重合性基を有する界面活性剤も使用できる。この中でもアニオン性界面活性剤が好ましい。この界面活性剤は1種単独で使用することもできるし、また、2種以上でも使用できる。
【0023】
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤の1種を単独で使用することもできるし、また、2種以上を併用することもできる。
【0024】
上記アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の化合物のリン酸エステル及びその塩(以下、(塩)と略することがある)並びに前記化合物のスルホン酸エステル(塩)、コハク酸エステル(塩)及びスルホコハク酸エステル(塩)、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(塩)、アルケニルコハク酸(塩)、ロジン(塩)、強化ロジン(塩)及びヘキシルジフェニルエーテルジスルホン酸、デシルジフェニルエーテルジスルホン酸、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸及びヘキサデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系化合物(塩)などを挙げることができる。その塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等を例示できる。これらのアニオン性界面活性剤の1種を単独で使用することもできるし、また、2種以上を併用することもできる。
【0025】
上記両性界面活性剤としては、アニオン性基とカチオン性基とを有する界面活性剤及びこれらにおいてアニオン性基がナトリウム塩等のアルカリ金属塩又はアミン塩になっているもの等を挙げることができる。これらは1種単独で使用することもでき、又、2種以上を使用することもできる。
【0026】
上記重合性基を有する界面活性剤としては、一般に反応性乳化剤と称され、分子中に疎水基、親水基及び重合性基を有する化合物を挙げることができる。この重合性基としては、例えば、(メタ)アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、イソプロペニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の炭素−炭素二重結合を有する官能基を含む重合性基が挙げられる。この重合性基を有する界面活性剤としては、通常乳化重合に適用できるものが使用可能であり、特に限定されるものではないが、具体例として分子中に前記重合性基を一つ以上有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアラルキルエーテル及びポリオキシアルキレンフェニルエーテル等の重合性基含有ポリオキシアルキレンエーテル系化合物、ポリオキシアルキレンモノスチリルフェニルエーテル及びポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル系化合物を挙げることができる。その他に、これらの重合性基含有ポリオキシアルキレンエーテル系化合物及び前記ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル系化合物から誘導されるスルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩及びスルホコハク酸エステル塩、前記重合性基含有ポリオキシアルキレンエーテル化合物から誘導される脂肪族カルボン酸塩及び芳香族カルボン酸塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系化合物、及びロジン−グリシジル(メタ)アクリレート系化合物等を例示できる。これらの界面活性剤は1種単独で使用することもできるし、また、その2種以上を使用することもできる。
【0027】
(使用比率)
水分散液における樹脂の含有量は、通常0.1〜60重量%であり、分散剤の濃度、添加量は特に制限はなく、用途に応じて添加量、濃度を変更することができるが、樹脂に対する分散剤は固形分当り0.01〜0.6倍を添加することが好ましい。分散剤は、0.01倍より少ない場合には乳化性が低下する場合があり、0.6倍より多い添加は不要であり、泡立ちが激しくなる場合がある。
【0028】
(分散方法)
分散方法としては、転相乳化法、高圧乳化法、超音波乳化法の公知の方法が使用できる。転相乳化法が好ましい。
【0029】
本発明の樹脂をトナー用バインダー樹脂として使用する場合には、単独で使用しても良いし、他の樹脂と併用しても良い。他の樹脂としては、電子写真トナーのバインダーとして使用できるものであればいずれも使用することができる。代表的なものは、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−アクリル系共重合体とポリエステルを複合化した樹脂などが挙げられる。併用する場合のこれら樹脂は、本発明の樹脂の性能を阻害しない程度に使うことができる。
【0030】
分子量
重量平均分子量は、2000〜50000が好ましく、2000〜30000がより好ましい。
なお、本発明における分子量は、THF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したものであって、GPCによる分子量測定条件は以下の通りである。
装置:東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム:TSKgel GMHxl + GMHxl−l
測定温度:40℃
試料溶液:0.1重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μl
検出装置:屈折率検出器
なお、分子量校正曲線は、標準ポリスチレンを用いて作成した。
【0031】
酸価
酸価は0〜10mgKOH/gの範囲にあることが好ましく、0〜5mgKOH/gの範囲にあることがより好ましい。
なお、本発明における酸価は、試料2gをテトラヒドロフラン(以下、THFと略することがある)50mlに溶解させ、指示薬としてフェノールフタレイン/エタノール溶液を数滴加えた後、1/10N規定KOH水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が紫色を呈した時点を終点とし、この滴定量と試料質量から酸価(KOHmg/g)を算出したものとする。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例を提示して本発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例は本発明を限定するものではない。なお、実施例及び比較例で示す「部」及び「%」は、特に断りのない限り、重量部及び重量%を意味する。
【0033】
<実施例1>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるベヘン酸510.9部、及びポリアルキレンポリアミン類であるテトラエチレンペンタミン94.7部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下170℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)525.8部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−1)を得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、ベヘン酸由来の直鎖アルキルのシグナルが1.26ppmに見られ、テトラエチレンペンタミン由来のアルキル鎖のシグナルが2〜4.5ppmに複数見られ、エポキシ樹脂(A1)由来のビスフェノールAのシグナルが1.62、6.80、7.11ppmに見られた。また、IRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1640cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2910cm−1に強く見られた。重量平均分子量は6900であった。酸価は1.3mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0034】
<実施例2>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるステアリン酸546.2部、及びポリアルキレンポリアミン類であるテトラエチレンペンタミン113.6部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下170℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)516.2部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−2)を得た。得られた樹脂のIRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1640cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2920cm−1に強く見られた。重量平均分子量は9900であった。酸価は1.1mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0035】
<実施例3>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるステアリン酸256.1部、及びポリアルキレンポリアミン類であるジエチレントリアミン46.4部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下180℃で6時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)215.1部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−3)を得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、ステアリン酸由来の直鎖アルキルのシグナルが1.25ppmに見られ、ジエチレントリアミン由来のアルキル鎖のシグナルが2〜4.5ppmの間に複数見られ、エポキシ樹脂(A1)由来のビスフェノールAのシグナルが1.61、6.80、7.10ppmに見られた。また、IRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1650cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2910cm−1に強く見られた。重量平均分子量は3940であった。酸価は2.0mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0036】
<実施例4>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるステアリン酸416.2部、及びオレイン酸21.8部及びポリアルキレンポリアミン類であるジエチレントリアミン79.5部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下180℃で6時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)404.9部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−4)を得た。得られた樹脂のIRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1640cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2910cm−1に強く見られた。重量平均分子量は2600であった。酸価は1.8mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0037】
<実施例5>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるベヘン酸694.8部、及びポリアルキレンポリアミン類であるトリエチレンテトラミン99.4部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下180℃で6時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)325.0部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−5)を得た。得られた樹脂のIRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1640cm−1に見られた。重量平均分子量は3700であった。酸価は3.1mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0038】
<実施例6>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるオレイン酸508.5部、及びポリアルキレンポリアミン類であるジエチレントリアミン103.2部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下180℃で6時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A2(東都化成製YD−014、エポキシ当量970)1067.0部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−6)を得た。得られた樹脂のIRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1640cm−1に見られた。重量平均分子量は9300であった。酸価は0.8mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0039】
<実施例7>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるベヘン酸479.6部、及びポリアルキレンポリアミン類であるテトラエチレンペンタミン83.3部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下180℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを100℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)799.2部、及びモノカルボン酸類であるロジン269.3部を加え、窒素雰囲気中、常圧下100℃〜190℃に徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−7)を得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、脂肪酸由来の直鎖アルキルのシグナルが1.25ppmに見られ、テトラエチレンペンタミン由来のアルキル鎖のシグナルが2〜4.5ppmに見られ、エポキシ樹脂(A1)由来のビスフェノールAのシグナルが7.12、6.81、1.62ppmに見られ、ロジン由来の脂環族およびアルキルのシグナルが1〜2ppm近傍に見られた。また、IRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基および、エステル基由来の伸縮が1640、1720cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2910cm−1に強く見られた。重量平均分子量は4350であった。酸価は0.3mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基及びモノカルボン酸が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0040】
<実施例8>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるステアリン酸338.0部、及びポリアルキレンポリアミン類であるジエチレントリアミン68.1部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下180℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを100℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)441.7部、及びモノカルボン酸類であるステアリン酸37.6部を加え、窒素雰囲気中、常圧下100℃〜190℃に徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−8)を得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、脂肪酸由来の直鎖アルキルのシグナルが1.24ppmに見られ、ジエチレントリアミン由来のアルキル鎖のシグナルが2〜4.5ppmの間に複数見られ、エポキシ樹脂(A1)由来のビスフェノールAのシグナルが1.60、6.80、7.10ppmに見られた。また、IRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基および、エステル基由来の伸縮が1640、1740cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2920cm−1に強く見られた。重量平均分子量は、4100であった。酸価は2.7mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)アミノ基及びモノカルボン酸が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0041】
<実施例9>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるベヘン酸519.4部、及びポリアルキレンポリアミン類であるトリエチレンテトラミン89.2部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下180℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを100℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)495.7部、及びモノカルボン酸類であるベヘン酸41.6部を加え、窒素雰囲気中、常圧下100℃〜190℃に徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−9)を得た。得られた樹脂のIRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基およびエステル基由来の伸縮が1650、1730cm−1に見られた。重量平均分子量は4300であった。酸価は2.5mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)アミノ基及びモノカルボン酸が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0042】
<実施例10>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるベヘン酸361.0部、及びポリアルキレンポリアミン類であるジエチレントリアミン54.7部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下170℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A1(東都化成製YD−011、エポキシ当量478)516.8部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−10)を得た。得られた樹脂のIRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮920cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1640cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2920cm−1に強く見られた。重量平均分子量は15700であった。酸価は0.8mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0043】
<実施例11>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるベヘン酸606.3部、及びポリアルキレンポリアミン類であるジエチレントリアミン91.8部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下170℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A3(東都化成製YDF−2004、エポキシ当量974)867.4部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−11)を得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、ベヘン酸由来の直鎖アルキルのシグナルが1.24ppmに見られ、エポキシ樹脂(A3)由来ビスフェノールFのフェノール部位のシグナルが6.80、7.03ppmに見られた。また、IRを測定したところ、アミド基由来の伸縮が1640cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2920cm−1に強く見られた。重量平均分子量は6900であった。酸価は1.3mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0044】
<実施例12>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、脂肪酸類であるベヘン酸490.5部、及びポリアルキレンポリアミン類であるジエチレントリアミン74.3部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下170℃で8時間反応させて、化合物(B)を得た。これを110℃に冷却した後、エポキシ樹脂A4(大日本インキ化学工業製EPICLON HP−7200H、エポキシ当量283)203.4部を加え、窒素雰囲気中、常圧下190℃まで徐々に昇温しながら9時間反応した。さらに10hPaの減圧下、190℃で0.5時間反応させて樹脂(P−12)を得た。得られた樹脂のH−NMRを測定したところ、ベヘン酸由来の直鎖アルキルのシグナルが1.24ppmに見られ、エポキシ樹脂(A4)由来のジシクロペンタジエン部位のシグナルが1.4〜4.0ppmに複数見られた。また、IRを測定したところ、エポキシ基由来の伸縮830cm−1が消失し、アミド基由来の伸縮が1650cm−1に見られ、アルキル由来のC−H伸縮が2920cm−1に強く見られた。重量平均分子量は2600であった。酸価は2.1mgKOH/gであった。これらより、化合物(A)のエポキシ基と化合物(B)のアミノ基が、反応して得られた樹脂であることが確認できた。
【0045】
<実施例13>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例1で得られた樹脂(P−1)244.4部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下90℃で溶融させ、アクリルアミド系高分子乳化剤水溶液(固形分35%) 139.7部を加え、0.5時間攪拌した。そこに、熱水733.2部を加えることで、粒径0.6μmの樹脂水分散液(E−1)を得た。
【0046】
<実施例14>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例1で得られた樹脂(P−1)77.8部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下90℃で溶融させ、スチレンアクリル酸系高分子乳化剤水溶液(固形分31%) 100.4部を加え、0.5時間攪拌した。そこに、熱水762.4部を加えることで、粒径0.9μmの樹脂水分散液(E−2)を得た。
【0047】
<実施例15>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例7で得られた樹脂(P−7)27.5部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下90℃で溶融させ、ドデシルベンゼンスルホン酸 1.38部を加え、0.5時間攪拌した。そこに、熱水797.5部を加えることで、粒径0.4μmの樹脂水分散液(E−3)を得た。
【0048】
<実施例16>
温度計、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、実施例10で得られた樹脂(P−10)398部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下90℃で溶融させ、アクリルアミド系高分子乳化剤水溶液(固形分35%) 568.6部を加え、0.5時間攪拌した。そこに、熱水776.1部を加えることで、粒径0.9μmの樹脂水分散液(E−4)を得た。
【0049】
(トナーの調製)
<応用例>
樹脂(P−6)30部、スチレン−アクリル樹脂(重量平均分子量281,000、酸価20mgKOH/g、THF不溶分2.0%)70部をブレンダーにて混合し、加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練して、トナー用バインダー樹脂(BR−1)を得た。得られた樹脂(BR−1)100部、カルナバワックス5部、カーボンブラック7部及び荷電制御剤TN−105(保土谷化学製)1部をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練した。冷却した混練物をスピードミルで粗粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を分級機にて厳密に分級して重量平均粒子径8μmのトナー粒子を得た。次いで、得られたトナー粒子100部に対し、コロイダルシリカ(アエロジルR972、日本アエロジル株式会社製)0.5部を混合機にて混合して、応用例のトナー(T−1)を得た。得られたトナーの評価は以下の方法に従った。評価結果を表1に示す。
【0050】
<応用比較例>
エポキシ樹脂(東都化成製YD−014、エポキシ当量970)30部、スチレン−アクリル樹脂(重量平均分子量281,000、酸価20mgKOH/g、THF不溶分2.0%)70部をブレンダーにて混合し、加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、トナー用バインダー樹脂(CR−1)を得た。得られた樹脂(CR−1)100部、カルナバワックス5部、カーボンブラック7部及び荷電制御剤TN−105(保土谷化学製)1部をブレンダーにて混合し、130度に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練した。冷却した混練物をスピードミルで粗粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を分級機にて厳密に分級して重量平均粒子径8μmのトナー粒子を得た。次いで、得られたトナー粒子100部に対し、コロイダルシリカ(アエロジルR972、日本アエロジル株式会社製)0.5部を混合機にて混合して、応用比較例のトナー(T−2)を得た。得られたトナーの評価は以下の方法に従った。評価結果を表1に示す。
【0051】
<評価方法>
1.低温定着性
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度100mm/秒に設定した温度変更可能である定着器を用いて印刷を行い、低温定着性の評価を行った。また、トナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に定着し始めるときの最低温度を定着温度とし、以下の基準で判定した。
○(良好) : 定着温度が130℃未満
△(使用可能) : 定着温度が130℃以上160℃未満
×(劣る) : 定着温度が160℃以上
【0052】
2.耐高温オフセット性
低温定着性の評価方法と同一条件で定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐高温オフセット性を判断した。
○(良好) : オフセット発生温度が220℃以上
△(使用可能) : オフセット発生温度が200℃以上220℃未満
×(劣る) : オフセット発生温度が200℃未満
【0053】
3.耐ブロッキング性
温度50℃で3日間放置した後のトナー粉体の凝集程度を目視にて判断した。
○ : ブロッキングしていない
△ : 一部ブロッキングしている
× : ブロッキングがひどい
【0054】
4.ワックス分散性
溶融混練物の薄片を形成し、顕微鏡観察を行い、ワックスの凝集物を目視にて判断した。
○ : 2μm以上の凝集物が観察されない
× : 2μm以上の凝集物が観察される
【0055】
【表1】

【0056】
これらの結果より、本発明の樹脂をトナー用バインダーに用いると従来のバインダー樹脂より、低温定着性、耐ブロッキング性、ワックス分散性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の樹脂及び樹脂水分散液は、トナー用バインダー、水性ベースのインキ・塗料など種々の用途に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物(A)と下記化合物(B)を反応させて得られる樹脂。
(A)エポキシ樹脂
(B)ポリアルキレンポリアミン類と脂肪酸類の縮合物であり、かつ、エポキシ基と反応する活性水素を有する脂肪酸アミド
【請求項2】
下記化合物(A)と下記化合物(B)と下記化合物(C)を反応させて得られる樹脂。
(A)エポキシ樹脂
(B)ポリアルキレンポリアミン類と脂肪酸類の縮合物であり、かつ、エポキシ基と反応する活性水素を有する脂肪酸アミド
(C)モノカルボン酸類
【請求項3】
分散剤を用いて請求項1に記載の樹脂を少なくとも分散していることを特徴とする樹脂水分散液。
【請求項4】
分散剤を用いて請求項2に記載の樹脂を少なくとも分散していることを特徴とする樹脂水分散液。
【請求項5】
分散剤が高分子乳化剤及び/又は界面活性剤であることを特徴とする請求項3又は4の樹脂水分散液。

【公開番号】特開2009−41003(P2009−41003A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184882(P2008−184882)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000109635)星光PMC株式会社 (102)
【Fターム(参考)】