説明

樹脂組成物、前記樹脂組成物を用いた合わせガラス用中間膜および前記中間膜を用いた合わせガラス

【課題】 本願発明の目的は、耐湿性、耐候性、耐衝撃性など合わせガラスに必要な基本特性と従来のものより優れた透明性を合わせ持ち、常温で保管が可能で、かつ、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせず、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板の両方に合わせ加工が可能であり、加工時および長期間の使用中において中間膜の着色などによる外観不良が生じない合わせガラス中間膜に好適な樹脂組成物、前記樹脂組成物を用いた合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを提供することにある。
【解決手段】 (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(B)アジリジン誘導体、(C)ポリエチレンイミンおよび(D)透明改質剤を含有することを特徴とする樹脂組成物により目的が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする合わせガラス中間膜用樹脂組成物、当該樹脂組成物からなる合わせガラス用中間膜およびこの中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、合わせガラスは、自動車用安全ガラス板、車両サイド窓用の合わせガラス、公共施設や運動施設などのグレージング材料、間仕切り、防犯用ドアなどに広く用いられており、その構造は、複数枚のガラス板(ガラス板同士又はガラス板と合成樹脂板を少なくとも2枚を接合する場合を含む)を中間膜を介して合わせ加工したものである。
【0003】
合わせガラス用中間膜としては、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂によるものが、ガラス板との優れた接着性、強靭な引っ張り特性、高度の透明性を兼ね備えているため、最も一般的に用いられている。しかしながら、上記ポリビニルブチラール樹脂よりなる中間膜で実際に合わせガラスを製造する場合は、ガラス板との合わせ加工の前に中間膜の調湿加工を必要とし、しかも合わせ加工はオートクレーブによる高温高圧下で行う必要があるため、合わせ加工の作業を煩雑なものにしている。
【0004】
また、透明な合成樹脂板を合わせ加工する場合には、可塑剤が中間膜と合成樹脂板との界面にブリードアウトし、接着性を低下させると共に、合成樹脂板を浸食し、白化させるという欠点があった。
【0005】
上記の欠点の解決策として、(イ)エチレン−酢酸ビニル共重合体に有機過酸化物とシランカップリング剤を配合してなる樹脂組成物から成形した熱架橋性の中間膜が開示されている。(特許文献1)さらに、(ロ)エチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体に5〜12価の多価アルコールおよびその誘導体と2倍当量のベンズアルデヒドおよびその誘導体の縮合反応生成物やカリックスアレン化合物を透明改質剤として添加してなる樹脂組成物から成形した合わせガラス用中間膜が開示されている。(特許文献2)また、(ハ)エチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレンーアルキル(メタ)アクリレート共重合体に透明改質剤、有機官能基と加水分解性基を有するシランカップリング剤、ロジン系樹脂または炭化水素系樹脂などを添加してなる樹脂組成物より形成されていることを特徴とする、合わせガラス用中間膜が開示されている。(特許文献3)
【0006】
(イ)の中間膜は、熱変成時に結晶性が低下するため透明性が向上し、且つ常温保管が可能で合わせ加工前の調湿が不要であり、さらにオートクレーブなしに合わせ加工ができるという利点がある。しかしながら、有機過酸化物の分解により生じたラジカルを熱硬化反応に利用するので、140〜150℃の合わせ加工温度を必要とし、着色した装飾合わせガラスを製造する場合には耐熱色素が必要となり、加工作業性の悪化、コストアップを招くという欠点があった。また、この中間膜を合成樹脂板と合わせ加工する場合には、高温で合成樹脂板が熱変形を起こすという問題点もあった。
【0007】
さらに、(ロ)の中間膜では、透明性、耐湿性、耐衝撃性、合成樹脂板との接着性などの合わせガラスに必要な基本特性を損なうこと無く、膜の自着が無く、調湿を必要とせず、オートクレーブなしに低い加工温度、加工圧力で合わせ加工が可能であるが、ガラス板を金属製の窓サッシに組み込む際に緩衝材として軟質プラスチック製のビード(グレージングチャンネルと呼ばれる)を使用する方法で施工すると、ビード中の可塑剤が合わせガラス端部より中間膜中に移行、拡散し、中間膜/ガラス板界面に剥離が発生するという問題があった。
【0008】
この剥離を生じないような耐久性を耐可塑剤性(または、耐グレージングチャンネル性)と呼んでいる。上記の(イ)及び(ロ)の中間膜はいずれもこの耐可塑剤性の点で問題があった。 また、(ハ)の中間膜では、耐可塑剤性の問題は解決されている。しかしながら、防犯性が高く、より高い透明性が要求されるポリカーボネート等の合成樹脂板を挟んだ合わせガラスに用いた場合、透明性が十分ではなく、また接着性を発現させるために添加しているシランカップリング剤が加工時および成形品の長期の使用により着色するという欠点があった。この問題を解決する手段として、透明化剤とシランカップリング剤のマスターバッチを異なった加工温度で混練し、両マスターバッチを混練する方法が開示されている。しかし、この方法を用いても長期間の使用中においての中間膜の着色防止については充分ではなく、さらに、この方法では3段階の加工工程を経るために加工コストがかかるという欠点も有しており(特許文献4)、これら従来技術の有する欠点や問題点の解決された合わせガラス用中間膜および前記中間膜を用いた合わせガラスが要望されていた。
【0009】
これらの要望に対して本発明者らは、先に(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(B)アジリジン誘導体および(C)透明改質剤を含有する樹脂組成物を合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラス中間膜用樹脂組成物、合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを特願2005−108254号(特許文献5)において提案した。
【0010】
【特許文献1】特開昭57−196747号公報
【0011】
【特許文献2】特開平7−2551号公報
【0012】
【特許文献3】特開平9−188548号公報
【0013】
【特許文献4】特開平8−198974号公報
【0014】
【特許文献5】特願2005−108254
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本願発明の目的は、耐湿性、耐候性、耐衝撃性など合わせガラスに必要な基本特性と従来のものより優れた透明性を合わせ持ち、常温で保管が可能で、かつ、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせず、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板の両方に合わせ加工が可能であり、加工時および長期間の使用中において中間膜の着色などによる外観不良が生じない合わせガラス中間膜用樹脂組成物、合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題に鑑みて本発明者は、上記課題を解決するためにエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とした種々の樹脂組成物について検討した結果、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(B)分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体、(C)ポリエチレンイミンおよび(D)透明改質剤を含有する樹脂組成物を合わせガラス用中間膜として用いた場合、特願2005―108254において本発明者らが提案したものと同様に耐湿性、耐候性、耐衝撃性など合わせガラスに必要な基本特性と従来のものより優れた透明性を合わせ持ち、常温で保管が可能で、かつ、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせず、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板の両方に合わせ加工が可能であり、さらに加工時および得られた合わせガラスの長期間の使用中において中間膜の着色などによる外観不良を防止された合わせガラス用中間膜が得られることを見い出し、本発明を完成させた。
【0017】
本発明で用いられる(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体は、その酢酸ビニル含量によって透明性および力学特性に差を生じることが知られている。この共重合体の酢酸ビニル含量は通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは、18〜35重量%である。
【0018】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニル成分の含量が高すぎると、得られる中間膜の透明性は向上するが引張り強度などの機械的強度が低下する傾向がある。逆に、酢酸ビニル成分の含量が低すぎると、得られる中間膜の引張り強度は十分であるが透明性が低下する上に、流動開始温度が高いため脱気性、加工時間などの合わせ加工性が悪くなる傾向がある。
【0019】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトインデックス(ASTM D1238に準拠して測定された値、以下「MI」と記す)は、通常、0.1〜500g/10分、好ましくは1〜200g/10分である。MIが小さすぎると、得られる中間膜の流動性が低下して合わせ加工性(脱気性、加工時間)が低下する傾向があり、逆に、MIが大きすぎると、得られる中間膜の粘性が低下して合わせ加工後に中間膜が端部からはみ出したり厚みが減少し、また得られる合わせガラスの耐衝撃性が低下する。
【0020】
本発明で用いられる(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体は、高圧法、乳化法など公知の製造方法によって製造可能であり、その重量平均分子量は通常、3,000〜500,000、好ましくは5,000〜300,000、より好ましくは10,000〜250,000であり、市販されているものとしては、例えば、住友化学社製のスミテートKA−10、エバテートK2010、スミテートKA−31、スミテートKC−10、スミテートHC−10、東ソー社製のウルトラセン634、ウルトラセン635ウルトラセン710、751等が挙げられる。
【0021】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、必要により可塑化、部分鹸化、酸変性、架橋などの変性を行って変性物としてもよい。また、必要によりこれに接着力調整剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤などの配合剤が添加されていてもよい。
【0022】
本発明で用いられる(B)分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体としては、分子内に2個以上のアジリジニル基を有する化合物であれば用いることができ、それらの中でも式(1)〜(3)
【化1】

(式中、式(1)のRは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、式(1)のR〜R、式(2)のR〜Rおよび式(3)のR〜R14は、水素原子、塩素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアルコール基、アクリル酸アルキル基、アルキルフェノール基、式(4)〜式(6)で示される構造を表わし、同一であってもよいし、異なっていてもよい。 また、式(4)のR15〜R20、式(5)のR21〜R25及び式(6)のR26〜R30は、水素原子、塩素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアルコール基、アクリル酸アルキル基、アルキルフェノール基で示される構造を表わし、同一であってもよいし、異なっていてもよい。 但し、式(1)におけるR〜Rのうち2個以上が式(4)〜式(6)の構造を有し、式(2)におけるR〜Rのうち、2個以上が式(4)〜式(6)の構造を有する。式(3)におけるR〜R14のうち、2個以上が式(4)〜式(6)の構造を有する。)で表わされる化合物が好ましい。
【0023】
分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体のうち、式(1)で示される化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン−トリス−(α−メチル−α−アジリジニルアセテート)、トリメチロールプロパン−トリス−(α−エチル−α−アジリジニルアセテート)、トリメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールブタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、モノクロロトリメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、モノフェニルトリメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、モノエトキシトリメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(2−メチル-1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(2−ヒドロキシエチル−1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(2,2−ジメチル−1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(2−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(1−メチル−2−アジリジニルプロピオナート)、トリメチロールプロパン−トリス−(α−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、トリメチロールプロパン−トリス−(β−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)等が挙げられ、式(2)で示される化合物としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリス−(α−メチル−α−アジリジニルアセテート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2−プロピル−1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2,2−ジメチルアジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2,2−ジエチル−1−アジリジニルプロピオナート)テトラメチロールメタン−テトラキス−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−β−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート)等が挙げられ、式(3)で示される化合物としては、例えば、ジトリメチロールプロパン−ヘキサキス−(β−アジリジニルプロピオナート)、ジトリメチロールプロパン−ペンタキス−(β−(2−メチルアジリジニルプロピオナート)等が挙げられる。 これらのうち、トリメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールブタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(2−メチル-1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(2,2−ジメチル−1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(α−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、トリメチロールプロパン−トリス−(β−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−トリス−(α−メチル−α−アジリジニルアセテート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2−プロピル−1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2,2−ジメチル−1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2,2−ジエチル−1−アジリジニルプロピオナート)テトラメチロールメタン−テトラキス−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−β−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート)、ジトリメチロールプロパン−ヘキサキス−(β−アジリジニルプロピオナート)、ジトリメチロールプロパン−ペンタキス−(β−(2−メチルアジリジニルプロピオナート)が好ましく、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−(β−アジリジニルプロピオナート)がさらに好ましく、分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体について市販されているものとしては、例えば、相互薬工社製のTAZM(トリメチロールプロパン−トリス−(β−アジリジニルプロピオナート )、TAZO(テトラメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)))日本触媒製のケミタイトPZ−33(トリメチロールプロパン−トリス−(β−アジリジニルプロピオナート))等が挙げられる。
【0024】
前記アジリジン誘導体の添加量は、本発明の効果を阻害しない量であれば特に制限されないが、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲で配合される。上記樹脂組成物中、アジリジン誘導体の含有量が0.01重量部より低すぎると得られる中間膜の接着性の向上効果が充分に得られない場合があり、また5重量部より高すぎると得られる中間膜や合わせガラスの透明性が低下する傾向がある。
【0025】
本発明で用いられる(C)ポリエチレンイミンとしては、線状構造のものや分岐構造を有するものも用いることができ、これらの内、分岐構造を有するものが好ましい。 またポリエチレンイミンの分子量は、通常、100〜10000程度のものが用いられるが、分子量150〜2000程度のものが好ましい。分子量が10000より高くなると、中間膜にしたときの透明性が低下する傾向がある。
【0026】
前記(C)ポリエチレンイミンについて市販されているものとしては、例えば、日本触媒製のエポミンSP−003(分子量約300)、SP−006(分子量約600)、SP−012(分子量約900)、SP−018(分子量約1800)、SP−200(分子量約10000)等が挙げられる。
【0027】
本発明で用いられる(C)ポリエチレンイミンの添加量は、本発明の効果を阻害しない量であれば特に制限されないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、0.001〜0.1重量部、好ましくは0.005〜0.05の範囲で配合される。上記組成物中、ポリエチレンイミンの含有量が0.001重量部より低すぎると得られる接着性の向上効果が充分に得られない場合があり、また0.1重量部より高すぎると得られる中間膜や合わせガラスの透明性が低下および着色する傾向がある。
【0028】
本発明で用いられる(D)透明改質剤としては、例えば、5〜12価の多価アルコール及びその誘導体とベンズアルデヒド及びその誘導体との縮合反応生成物、有機リン酸系化合物、カリックスアレン系化合物等が挙げられ、前記透明改質剤を1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
前記透明改質剤のうち、5〜12価の多価アルコール及びその誘導体とベンズアルデヒド及びその誘導体との縮合反応生成物については、5〜12価の多価アルコール及びその誘導体と2倍当量のベンズアルデヒド及びその誘導体との縮合反応生成物が好ましい。
【0030】
また、前記透明改質剤のうち、5〜12価の多価アルコール及びその誘導体とベンズアルデヒド及びその誘導体との縮合反応生成物の合成方法としては、特公昭40−15489号、特公昭47−7460号に記述されているように、不活性ガス存在下で冷却管と攪拌機の取り付けられた反応器に5〜12価の多価アルコール及びその誘導体を投入し、次いでその2倍当量のベンズアルデヒド及びそのアルデヒド誘導体を投入し、硫酸等の酸触媒を添加して加熱反応せしめることにより合成することができる。
【0031】
前記縮合反応生成物の合成に際して使用される縮合触媒としては、例えば硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、塩酸、塩化亜鉛等が挙げられる。
【0032】
本発明で用いられる(D)透明改質剤のうち、5〜12価の多価アルコール及びその誘導体とベンズアルデヒド及びその誘導体における、5〜12価の多価アルコール及びその誘導体としては、例えば、ソルビトール(グルシトール)、キシリトール、マンニトール、ズルシトール、ソルボース、アラビニトール、リビトール、フルクトース等が挙げられる。特に、5〜12価の多価アルコール及びその誘導体として、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ズルシトールを用いた縮合反応生成物が好ましく、これらは単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
【0033】
前記ベンズアルデヒド及びそのアルデヒド誘導体としては、ベンズアルデヒドの塩素原子、アルキル基、アルコキシ基置換体が挙げられる。具体的には、ベンゼン核での置換位置がオルト位、メタ位、パラ位のクロロベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、プロピルベンズアルデヒド、ブチルベンズアルデヒド、ペンチルベンズアルデヒド、ヘキシルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、エトキシベンズアルデヒド、プロポキシベンズアルデヒド、ペントキシベンズアルデヒド、ブトキシベンズアルデヒド、ヘキシルオキシベンズアルデヒド等が挙げられる。さらに、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、2,3,6−トリクロロベンズアルデヒド、3−メチル−5−クロロベンズアルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
【0034】
本発明で用いられる(D)透明改質剤のうち、式(7)
【化2】

(式中、R31及びR32は、水素原子、塩素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R31及びR32は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)で示されるジベンジリデンソルビトール化合物がさらに好ましい。
【0035】
前記ジベンジリデンソルビトール化合物としては、例えばジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(プロピルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ブチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ペンチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ヘキシルベンジリデン)ソルビトール、ビス(クロルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよいし、併用されてもよい。
【0036】
本発明の樹脂組成物に用いられる(D)透明改質剤のうち、有機リン酸系化合物としては、例えばナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4'−ジメチル−5,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[(4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−m−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]等が挙げられ、これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明の樹脂組成物に用いられる(D)透明改質剤のうち、カリックスアレン系化合物としては、例えば、4−t−ブチルカリックス[4]アレン、4−t−ブチルカリックス[5]アレン、4−t−ブチルカリックス[6]アレン、4−t−ブチルカリックス[7]アレン、4−t−ブチルカリックス[8]アレン、4−t−ブチルカリックス[9]アレン、4−t−ブチルカリックス[10]アレン、4−t−ブチルカリックス[11]アレン、4−t−ブチルカリックス[12]アレン、4−t−ブチルカリックス[13]アレン、4−t−ブチルカリックス[14]アレン、4−t−ブチルカリックス[15]アレン、4−t−ブチルカリックス[16]アレンが挙げられる。
【0038】
前記(D)透明改質剤について市販されているものとしては、例えば、新日本理化社製のゲルオールD(ジベンジリデンソルビトール)、ゲルオールMD(ビス(4―メチルベンジリデン)ソルビトール)、ミリケン社製のミラード3988(3,4―ジメチルベンジリデンソルビトール)、三井化学製のNC4((ビス(4―エチルベンジリデン)ソルビトール))、NC―6(ビス(4―メチルベンジリデン)ソルビトール)旭電化社製のアデカスタブNA11(ソジウムメチレンビス(2,4―t―ブチル―フェニル)ホスフェート)等が挙げられる。
【0039】
本発明の樹脂組成物に用いられる(D)透明改質剤の添加量は、本発明の効果を阻害しない量であれば特に制限されないが、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.01〜1重量部の範囲であり、好ましい範囲としては0.02〜0.5重量部である。0.01重量部以下では透明性の改善は十分に得られない場合があり、1重量部以上添加した場合には透明性の低下がおこる場合がある。
【0040】
また、中間膜の劣化を防止するため、例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤等について、本発明の効果を損わない範囲で添加することができる。
【0041】
上記熱安定剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム石鹸、ジアルカノール脂肪族第三級アミンなどが挙げられ、上記酸化防止剤としては、t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリルテトラキス[3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](共同薬品社製「SONGNOX1010」)、n−オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(共同薬品社製「SONGNOX1076」)、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10,−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン(住友化学社製「スミライザーGP」)などが挙げられる。
【0042】
上記紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(共同薬品社製「バイオソーブ550」)、2−(2'−ヒドロキシ−3', 5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(共同薬品社製「バイオソーブ580」)、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(共同薬品社製「バイオソーブ583」)などが挙げられる。
【0043】
上記ヒンダードアミン系安定剤しては、一般に市販されているものが用いられ、例えば、三共ライフテック社製 のSanol LS−770、共同薬品社製のバイオソーブ04、チバガイギー社製のChimassorb944LD、Tinuvin622LD、Tinuvin144、旭電化社製のアデカスタブLA−57、LA−62、LA−82等が挙げられる。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、優れた透明性を持ち、また耐湿性、耐候性、耐衝撃性、耐可塑剤性など合わせガラスに必要な基本特性を損なうことなく、ポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板との両方に良好な接着性能を有し、常温で保管が可能であり、製造工程では調湿および140〜150℃の合わせ加工温度を必要とせずに、比較的低温でポリカーボネート等の合成樹脂板とガラス板との合わせ加工が可能な合わせガラス用中間膜およびそれを用いた合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0046】
(A)スミテートKA−31(エチレン−酢酸ビニル共重合体:酢酸ビニル含有量28重量%、メルトインデックス(MI)7g/10分 住友化学社製)100重量部に対して(B)ケミタイトPZ−33(トリメチロールプロパン−トリス−(β−アジリジニルプロピオナート 日本触媒社製)0.1重量部、(C)エポミンSP−003(ポリエチレンイミン 分子量約300 日本触媒社製)0.01重量部及び(D)ゲルオールMD(ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール 新日本理化社製)0.1重量部加えたものについてブラベンダー社製プラスチコーダーを用いて150℃、50回転/分、10分間、溶融混練し、樹脂組成物Aを得た。
【実施例2】
【0047】
(A)スミテートKA−31 100重量部をスミテートKA−20(エチレン−酢酸ビニル共重合体:酢酸ビニル含有量25重量%、メルトインデックス(MI)3g/10分 住友化学社製)に(C)エポミンSP−003の量を0.01重量部から0.02重量部に代える以外は実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Bを得た。
【実施例3】
【0048】
(B)ケミタイトPZ−33 0.1重量部をTAZO(テトラメチロールメタン−トリ−(β−アジリジニルプロピオナート)及びペンタエリスリトール−テトラ−(β−アジリジニルプロピオナート)の混合物 相互薬工社製) 0.1重量部に代える以外は実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Cを得た。
【実施例4】
【0049】
(D)ゲルオールMD 0.1重量部をNC−4(ビス(エチルベンジリデン)ソルビトール 三井化学社製)0.1重量部に代える以外は、実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Dを得た。
【実施例5】
【0050】
(C)エポミンSP−003 0.01重量部をエポミンSP−006(ポリエチレンイミン 分子量約600 日本触媒社製)0.01重量部に代える以外は実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Eを得た。
【実施例6】
【0051】
(C)エポミンSP−003 0.01重量部をエポミンSP−012(ポリエチレンイミン 分子量約1200 日本触媒社製)0.01重量部に代える以外は実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Fを得た。
【実施例7】
【0052】
(C)エポミンSP−003 0.01重量部をエポミンSP−018(ポリエチレンイミン 分子量約1800 日本触媒社製)0.01重量部に代える以外は実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Gを得た。
【実施例8】
【0053】
スミテートKA−31 100重量部に対してゲルオールMD 0.1重量部、ケミタイトPZ−33 0.1重量部、エポミンSP−003 0.01重量部、SONGNOX1076(酸化防止剤;共同薬品社製) 0.1重量部バイオソーブ580(紫外線吸収剤;共同薬品社製)を0.1重量部、バイオソーブ04(ヒンダードアミン系安定剤;共同薬品社製)を0.1重量部加えたものについて加えたものについて実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Hを得た。
【実施例9】
【0054】
スミテートKA−31 100重量部に対してゲルオールMD 0.1重量部、ケミタイトPZ−33 0.1重量部、エポミンSP−003 0.01重量部、スミライザーGP(酸化防止剤;住友化学社製)0.1重量部(酸化防止剤;共同薬品社製)バイオソーブ583(紫外線吸収剤;共同薬品社製)を0.1重量部及びバイオソーブ04を0.1重量部加えたものについて加えたものについて実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Iを得た。
【0055】
(比較例1)
(D)ゲルオールMD 0.1重量部を用いない以外は、実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Jを得た。
【0056】
(比較例2)
(C)エポミンSP−003 0.01重量部を用いない以外は、実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Kを得た。
【0057】
(比較例3)
(C)エポミンSP−003 0.01重量部を用いない以外は、実施例3同様の操作を行ない、樹脂組成物Lを得た。
【0058】
(比較例4)
(B)ケミタイトPZ−33 0.1重量部を用いない以外は、実施例1同様の操作を行ない、樹脂組成物Mを得た。
【0059】
(比較例5)
(A)スミテートKA−31 100重量部に対して(D)ゲルオールMD 0.1重量部及びKBE−903(3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製)) 0.1重量部加えたものについて実施例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Nを得た。
【0060】
(比較例6)
(A)スミテートKA−31 100重量部に対して(D)ゲルオールMD 0.1重量部及びKBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製)) 0.1重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Oを得た。
【0061】
(比較例7)
(A)スミテートKA−31 100重量部に対して(D)ゲルオールMD 0.1重量部及びKBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)) 0.1重量部加えたものについて比較例1と同条件で溶融混練し、樹脂組成物Pを得た。
【0062】
実施例1〜9および比較例1〜7によって得られた樹脂組成物A〜Pについて、以下に示す接着性試験、透明性試験および着色促進試験を実施し、その評価結果を表1から4に示した。
[接着性試験]
樹脂組成物A〜Pについて、下記の被着体での接着を行い、剥離試験によりその剥離強度を測定した。
被着体 ポリカーボネート(PC)/強化ガラス
ポリカーボネート・・・エンジニアリングテストサービス製 0.3×25×150mm
強化ガラス・・・エンジニアリングテストサービス製 3×25×100mm
(接着条件)
各被着体に前記中間膜を挟み、さらに両端をクリップで挟んで約0.03MPaで圧締し、熱風循環式オーブン内120℃、30分間維持後、自然冷却した。
(剥離試験)
上記の方法により接着した被着体の180°剥離強度を測定した。(単位 N/25mm)剥離試験での引張速度及び測定温度は次の通りである。
引張速度=50mm/min
測定温度=25℃
[接着性評価]
10〜100(N/25mm)・・・×、101〜150(N/25mm)・・・△
150(N/25mm)以上・・・〇
【0063】
[透明性試験]
(合わせガラスの作成)
樹脂組成物A〜Pについて、それぞれ熱プレスで厚さ約200μmのシートに成形した。次に得られたシートをガラス板(JISR3202 日本エンジニアリングテストサービス製 2mm×90mm×90mm)に挟み、このサンドイッチ体をシリコンシートで挟んでヒートプレス(120℃、5分)にてホットメルトフィルムを溶融圧着させ貼り合せた。
その後、オーブン中で4時間かけて室温まで冷却し、合わせガラスを製作した。
上記の方法で得られた合わせガラスについて、直読ヘイズメーター(スガ試験機製)を用い、全光線透過率(%)及びヘイズ(曇価)(%)を測定した。
[透明性評価]
0.1〜1.2%・・・〇、1.3〜2.4%・・・△、2.5%以上・・・×
【0064】
[着色促進試験]
樹脂組成物A〜Pについて、それぞれ熱プレスで厚さ約1.5mmのシートに成形した。このシートを裁断して複数の試験片とし、これを熱風循環式オーブン内200℃、1時間養生した後、自然冷却した。
(判定)
上記試験片の着色促進試験前後での試験片の色相を目視により比較し判定を行った。
5段階判定 5(濃い着色)⇒1(ほとんど変化無し)
[耐着色性評価]
1、2・・・〇 3・・・△ 4、5・・・×




【0065】
【表1】














【0066】
【表2】
















【0067】
【表3】
















【0068】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体、(B)分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体、(C)ポリエチレンイミンおよび(D)透明改質剤を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、(B)分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体0.01〜5重量部と(C)ポリエチレンイミン0.001〜0.1重量部と(D)透明改質剤0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1〜2記載の樹脂組成物を用いることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
請求項3記載の合わせガラス用中間膜を用いてガラス板同士又はガラス板と合成樹脂板を少なくとも2枚接合してなる合わせガラス。

【公開番号】特開2007−77349(P2007−77349A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269777(P2005−269777)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)
【Fターム(参考)】