説明

樹脂組成物

【課題】光照射後のポリビニルブチラール樹脂及びその成形物の着色を抑制すること。
【解決手段】ポリビニルブチラール樹脂と、式(I)


〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基等を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子等を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物とを含有するポリビニルブチラール樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルブチラール樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルブチラール樹脂は、接着性、透明性、膜物性、耐候性等に優れていることから、主に合わせガラス用中間膜に成形して用いられており、建築用窓ガラスや自動車フロントガラスに広く採用されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「2008年 プラスチックフィルム・シートの現状と将来展望」、株式会社富士キメラ総研、2008年7月17日、p.185−191
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリビニルブチラール樹脂は、光が照射されることにより黄変したり透明性が低下したりすることがあり、かかる光照射後のポリビニルブチラール樹脂及びその成形物の着色を抑制することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の[1]〜[12]記載の発明に至った。
[1]ポリビニルブチラール樹脂と、式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物とを含有するポリビニルブチラール樹脂組成物;
【0006】
[2]式(I)で表される亜リン酸エステル化合物の使用量が、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部である[1]記載の樹脂組成物;
[3]式(I)で表される亜リン酸エステル化合物が、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンである[1]又は[2]記載の樹脂組成物;
[4]さらに、式(II’)

(式中、R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。)
で表される構造を有するピペリジン化合物を含有する[1]〜[3]のいずれか一項記載の樹脂組成物;
[5]式(II’)で表される構造を有するピペリジン化合物が、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)とセバシン酸(メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)との混合物、又は、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)である[4]記載の樹脂組成物;
[6]さらに、紫外線吸収剤を含有する[1]〜[5]のいずれか一項記載の樹脂組成物;
[7]紫外線吸収剤が、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、又は、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メトジルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである[6]記載の樹脂組成物;
【0007】
[8]光照射後のポリビニルブチラール樹脂の着色を抑制するための、式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物の使用;
【0008】
[9]下記工程(A)及び(B)を含むことを特徴とする光照射後のポリビニルブチラール樹脂成形物の着色抑制方法;
(A):ポリビニルブチラール樹脂と式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物とを混練する工程
(B):工程(A)で得られた混練物を成形する工程
【0009】
[10]下記工程(A)及び(B)を含むことを特徴とする光照射後のポリビニルブチラール樹脂成形物の製造方法;
(A):ポリビニルブチラール樹脂と式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物とを混練する工程
(B):工程(A)で得られた混練物を成形する工程
【0010】
[11][1]〜[7]のいずれか一項記載の樹脂組成物を含有する太陽電池用封止材;
[12][11]記載の太陽電池用封止材を含む太陽電池。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光照射後のポリビニルブチラール樹脂及びその成形物の着色を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明に用いるポリビニルブチラール樹脂について説明する。
【0013】
ポリビニルブチラール樹脂は、ビニルブチラールに由来する構造単位を含む樹脂である。通常、ビニルアルコールに由来する構造単位と、酢酸ビニルに由来する構造単位を含んでおり、式(IV)で表される組成であることが好ましい。

式中、Xは0.001〜0.5であることが好ましく、Yは0.001〜0.5であることが好ましく、Zは0.4〜0.9であることが好ましい。但し、XとYとZとの合計は1である。
【0014】
かかるポリビニルブチラール樹脂は、通常、ビニルアルコール重合体をn−ブチルアルコールでアセタール化することにより製造される。上記ビニルアルコール重合体は、従来公知の手法、即ち酢酸ビニルを重合し、得られた重合体をけん化することによって得ることができる。酢酸ビニルを重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、従来公知の方法を適用することができる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解などが適用でき、この中でもメタノールを溶剤とし水酸化ナトリウムを触媒として用いるけん化反応が簡便であり好ましい。
【0015】
アセタール化に用いる酸触媒としては特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でも塩酸、硫酸、硝酸が好ましく、塩酸がより好ましい。
アセタール化に用いるアルカリ触媒としては特に限定されず、有機酸および無機酸のいずれでも使用可能であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアが挙げられる。これらの中でも水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0016】
本発明に用いられるポリビニルブチラール樹脂の原料となるビニルアルコール重合体の重合度は、150〜3000の範囲が好ましい。200〜2500の範囲がより好ましく、250〜2000の範囲がさらに好ましい。
【0017】
ポリビニルブチラール樹脂は、上記の方法により製造して用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。市販のポリビニルブチラール樹脂としては、例えば、電気化学工業株式会社製のデンカブチラール#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−2、#5000−A、#5000−D、#6000−C、#6000−EP、#6000−CS、#6000−AS、積水化学工業株式会社製のエスレック(登録商標)Bシリーズ(BL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−5)、エスレック(登録商標)Kシリーズ(KS−1、KS−3、KS−5、KS−10、KX−1、KX−5、KW−1、KW−3、KW−10)、エスレック(登録商標)SVシリーズ(SV−05、SV−D001、SV−D002)等が挙げられる。
【0018】
次に、前記式(I)で表される亜リン酸エステル化合物(以下、化合物(I)と記すことがある)について説明する。
【0019】
前記式(I)中、R、R、RおよびRで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基,t−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。
【0020】
炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基が挙げられる。
【0021】
、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。RおよびRは、それぞれ独立にt−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基または1−メチルシクロヘキシル基であることがさらに好ましい。Rは、それぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基またはt−ペンチル基であることがさらに好ましい。Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基または水素原子であることがより好ましい。
【0022】
で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基,t−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基または水素原子が好ましく、メチル基または水素原子がより好ましい。
【0023】
Xは、単結合、硫黄原子または前記式(I−1)で示される2価の基を示す。式(I−1)においてRで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基,t−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等の炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であることが好ましい。Xは、単結合または式(I−1)で示される2価の基であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
【0024】
Aは、炭素数2〜8のアルキレン基または前記式(I−2)で示される2価の基を示すが、炭素数2〜8のアルキレン基が好ましく、かかるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、プロピレン基がさらに好ましい。式(I−2)で示される2価の基は、酸素原子とベンゼン核とに結合しているが、*は酸素原子と結合していることを示している。Rで示される炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。かかるRとしては、単結合またはエチレン基が好ましい。
【0025】
Y、Zは、いずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、他の一方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基,t−オクチル基、2−エチルヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、t−ペンチルオキシ基、i−オクチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α、α−ジメチルベンジルオキシ基が挙げられる。
【0026】
かかる化合物(I)の中でも、RおよびRがt−アルキル基、シクロヘキシルまたは1−メチルシクロヘキシル基であり、Rが炭素数1〜5のアルキル基であり、Rが水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rが水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Xが単結合であり、Aが炭素数2〜8のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物において、化合物(I)として単独の化合物を使用してもよいし、2以上の化合物を併用してもよい。
【0028】
かかる化合物(I)としては、例えば、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン〔「スミライザー(登録商標)GP」として住友化学(株)から市販されている。〕、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジエチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[2,2−ジメチル−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられ、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンが最も好ましい。
【0029】
かかる化合物(I)は、例えば、特開平10−273494号公報に記載の方法により製造することができる。
【0030】
本発明の樹脂組成物において、化合物(I)の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは、0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部である。化合物(I)の含有量が0.001重量部以上であれば、光照射後のポリビニルブチラール樹脂の着色が低減する傾向があることから好ましい。また、ブリードアウトの観点から5重量部以下であることが好ましい。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、さらに、上記式(II’)で表される構造を有するピペリジン化合物(以下、ピペリジン化合物と記すことがある)を含有していてもよい。
【0032】
式(II’)中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましい。具体的なRとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ブトキシ基等を挙げることができる。Yは酸素原子又は窒素原子を表す。
【0033】
ピペリジン化合物としては、例えば、式(II)

(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Aは、炭素数1〜10のアルキレン基又は式(III)

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で表される2価の基)
で表されるピペリジン化合物;
例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) 2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) 2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート;
例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド;
【0034】
例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチル サクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)];
【0035】
例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられる。
【0036】
ピペリジン化合物は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
ピペリジン化合物としては、化合物(II)が好ましい。
化合物(II)としては、例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル、セバシン酸ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のセバシン酸を含むピペリジン化合物;
【0037】
アジピン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のアジピン酸を含むピペリジン化合物;
コハク酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のコハク酸を含むピペリジン化合物等を挙げることができる。
【0038】
中でも、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)とセバシン酸(メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)との混合物、並びにセバシン酸(メチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、又は、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)が好ましく、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス[1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)とセバシン酸(メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)との混合物、又は、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)がより好ましく、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)とセバシン酸(メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)との混合物、又は、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)がより好ましい。
【0039】
ピペリジン化合物の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは、0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部である。ピペリジン化合物の含有量が0.001重量部以上であれば、光照射後のポリビニルブチラール樹脂成形物の着色が低減する傾向があることから好ましい。また、ブリードアウトの観点から5重量部以下であることが好ましい。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、さらに紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば式(V)

(式中、R〜R14としては、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。R15は、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
で表される化合物(以下、化合物(V)と記すことがある)等のシュウ酸ジアニリド系紫
外線吸収剤;
【0041】
例えば、式(VI)

(式中、R16、17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、カルボキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基等を表す。これらアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の水素原子は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
で表される化合物(以下、化合物(VI)と記すことがある)等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
【0042】
例えば、式(VII)

(式中、R19は、水素原子又はハロゲン原子を表し、R20は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
で表される化合物(以下、化合物(VII)と記すことがある)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
【0043】
例えば、式(VIII)

(式中、R21は、水酸基を表し、R22は、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表し、R23〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基等を表す。これらアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の水素原子は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
で表される化合物(以下、化合物(VIII)と記すことがある)等のトリアジン系紫外線吸収剤;
【0044】
例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0045】
化合物(V)としては、例えば、
N−(2−メチルフェニル)−N’−(2−メトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(2−t−ブチルフェニル)−N’−(2−t−ブトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(5−t−ブチル−2−メトキシフェニル)−N’−(4−t−ブチル−2−メチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(5−t−ブチル−2−エトキシフェニル)−N’−(4−t−ブチル−2−エチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(5−t−ブチル−2−t−ブトキシフェニル)−N’−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−メチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−エチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−t−ブチルチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−メトキシフェニル)シュウ酸ジアミド
N,N’−ビス(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド
N,N’−ビス(2−t−ブトキシフェニル)シュウ酸ジアミドなどが挙げられる。
中でも、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、又は、
N−(5−t−ブチル−2−エトキシフェニル)−N’−(4−t−ブチル−2−エチルフェニル)シュウ酸ジアミドが好ましい。
【0046】
化合物(VI)としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(2−ヒドロキシエチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(n−オクチルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン等などを挙げることができる
【0047】
化合物(VII)としては、例えば、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メトジルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等、あるいは2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、3,3−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}プロパン、2,2−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}ブタン、2,2’−オキシビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルフィド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホキシド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホン、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕アミン等が挙げられる。
【0048】
化合物(VIII)としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
【0049】
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0050】
紫外線吸収剤は、単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
好ましい紫外線吸収剤は化合物(VI)又は化合物(VII)であり、より好ましくは2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、又は、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メトジルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである。
【0051】
紫外線吸収剤の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜5重量部、より好ましくは、0.005〜3重量部、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、さらに可塑剤を混練してもよい。かかる可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機系可塑剤や燐酸系可塑剤等を挙げることができる
【0053】
上記一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては特に限定はされないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコール系エステルが挙げられ、なかでもトリエチレングリコール−ジカプロン酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキシル酸エステル等のトリエチレングリコールのエステルが好ましい。
【0054】
多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては特に限定はされないが、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の多塩基性有機酸と炭素原子数4〜8個の直鎖状又は分岐状アルコールとのエステルが挙げられ、なかでもジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペートが好ましい。
【0055】
燐酸系可塑剤としては特に限定はされないが、トリブトキシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフォスフェート等が好ましい。
【0056】
可塑剤の使用量は、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは15〜45重量部である。可塑剤の使用量が10重量部以上であれば成型加工性が向上する傾向にあり、80重量部以下であれば可塑剤がブリードアウトし難い傾向にあり、それぞれ好ましい。
【0057】
本発明の課題解決に影響を与えない範囲で、さらに、次の添加剤群に記載された添加剤を含むことができる。添加剤群:接着性付与剤、カップリング剤、界面活性剤、着色剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤または難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されてもよい。
【0058】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、ポリビニルブチラール樹脂と化合物(I)とを混練する工程を含む。かかる混練方法としては、特に限定はされないが、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等のバッチ式混合機を用いて、ポリビニルブチラール樹脂と化合物(I)と、必要に応じてピペリジン化合物、紫外線吸収剤、可塑剤および上記添加剤群に記載された添加剤とをドライブレンドし、単軸、多軸押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール、ミキシングロール等を用いる方法が挙げられる。生産性の観点から、押出機を用いる方法が好ましい。
【0059】
次に、下記工程(A)及び(B)を含むことを特徴とするポリビニルブチラール樹脂成形物の着色抑制方法について説明する。
(A):ポリビニルブチラール樹脂と化合物(I)とを混練する工程
(B):工程(A)で得られた混練物を成形する工程
【0060】
工程(A)において、化合物(I)の使用量は、上記樹脂組成物における使用量として記載した量と同様である。
【0061】
工程(A)において、さらに、上記ピペリジン化合物や紫外線吸収剤や可塑剤、上記添加剤群に記載された添加剤を混練してもよい。
【0062】
工程(A)の混練方法としては、特に限定はされないが、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等のバッチ式混合機を用いて、ポリビニルブチラール樹脂と化合物(I)と、必要に応じてピペリジン化合物、紫外線吸収剤、可塑剤および上記添加剤群に記載された添加剤とをドライブレンドし、単軸、多軸押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール、ミキシングロール等を用いる方法が挙げられる。生産性の観点から、押出機を用いる方法が好ましい。
【0063】
工程(B)は、上記工程(A)で得られた混練物を成形する工程である。かかる成形方法としては、加熱成形が好ましい。加熱成形方法としては、例えば、単軸または多軸押出し機を用いて上記工程(A)で得られた混練物を好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で溶融押出してペレット状に成形する方法、例えば、前記ペレット状の成形物をさらに、好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で加熱しながら、射出成形する方法、例えば、前記ペレット状の成形物をさらに、好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で加熱しながら、Tダイなどから押出成形する方法、例えば、上記工程(A)で得られた混練物を有機溶媒に溶解したのち、基材等に塗工し、好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で該有機溶媒を留去して、シート状の成形物を得る方法等を挙げることができる。
【0064】
工程(B)により得られるポリビニルブチラール樹脂成形物は、光が照射された後でもイエローネスインデックス(YI)値が小さく、黄変が少ない。また、光線透過率が高く、透明度が維持される。
【実施例】
【0065】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。各実施例において、「部」は、特に説明がない限り「重量部」を意味する。
【0066】
(実施例1)
30mm径の単軸押出し機(田辺プラスチック社製、VS30−28型押し出し機)を用い、180℃、スクリュー回転数50rpmの条件で、ポリビニルブチラール樹脂(エスレック(登録商標)B BM−1、積水化学工業株式会社製)100部と、化合物(I)として6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(スミライザー(登録商標)GP、住友化学株式会社製、以下「化合物(1)」と記載する)0.2部とを混練した。
次いで、得られた混練物を200℃で熱プレスし、1mm厚のシート状のポリビニルブチラール樹脂成形物を得た。
【0067】
(実施例2)
実施例1において、化合物(I)の使用量を0.05部とする以外は実施例1と同様にしてシート状のポリビニルブチラール樹脂成形物を得た。
【0068】
(比較例1)
実施例1において、化合物(I)を用いない以外は実施例1と同様にしてシート状のポリビニルブチラール樹脂成形物を得た。
【0069】
(試験例1)
キセノンウエザーメーター(アトラス社製 Ci35A)(ブラックパネル温度:63℃、雨なし)を用い、実施例1、2及び比較例1でそれぞれ得られたシート状のポリビニルブチラール樹脂成形物にキセノン光を照射した。照射時間が0時間(照射前)、100時間、500時間、1000時間である各成形物のYIを、プラスチックの光学的特性試験方法JIS K 7105に基づいて、ミノルタ社製色差計CM−3500dを用いて測定した。測定結果を表1に示す。YIの値が小さいほど黄変が小さいことを示している。
【0070】
【表1】

【0071】
(実施例3)
実施例1及び2でそれぞれ得られたシート状のポリビニルブチラール樹脂成形物を、太陽電池セルの両面に貼合し、次いで、その一方の面に基材を、他方の面にガラスを、それぞれ貼合し、太陽電池のモジュールを得る。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、光照射後のポリビニルブチラール樹脂の着色を抑制することができる。したがって、ポリビニルブチラール樹脂を太陽電池用の封止材として使用しても、発電効率の経時的な低下を抑制できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルブチラール樹脂と、式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物とを含有するポリビニルブチラール樹脂組成物。
【請求項2】
式(I)で表される亜リン酸エステル化合物の使用量が、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
式(I)で表される亜リン酸エステル化合物が、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンである請求項1又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、式(II’)

(式中、R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。)
で表される構造を有するピペリジン化合物を含有する請求項1〜3のいずれか一項記載の樹脂組成物。
【請求項5】
式(II’)で表される構造を有するピペリジン化合物が、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)とセバシン酸(メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)との混合物、又は、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)である請求項4記載の樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、紫外線吸収剤を含有する請求項1〜5のいずれか一項記載の樹脂組成物。
【請求項7】
紫外線吸収剤が、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、又は、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メトジルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールである請求項6記載の樹脂組成物。
【請求項8】
光照射後のポリビニルブチラール樹脂の着色を抑制するための、式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物の使用。
【請求項9】
下記工程(A)及び(B)を含むことを特徴とする光照射後のポリビニルブチラール樹脂成形物の着色抑制方法。
(A):ポリビニルブチラール樹脂と式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物とを混練する工程
(B):工程(A)で得られた混練物を成形する工程
【請求項10】
下記工程(A)及び(B)を含むことを特徴とするポリビニルブチラール樹脂成形物の製造方法。
(A):ポリビニルブチラール樹脂と式(I)

〔式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは単結合、硫黄原子または式(I−1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)で示される2価の基を表し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(I−2)

(式中、Rは単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素原子との結合手であることを表す。)で示される2価の基を表し、Y、Zはいずれか一方がヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
で示される亜リン酸エステル化合物とを混練する工程
(B):工程(A)で得られた混練物を成形する工程
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項記載の樹脂組成物を含有する太陽電池用封止材。
【請求項12】
請求項11記載の太陽電池用封止材を含む太陽電池。

【公開番号】特開2012−31274(P2012−31274A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171782(P2010−171782)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】