説明

樹脂表面用洗浄剤及び樹脂表面の洗浄方法

【課題】樹脂表面、特に塗膜表面に付着している汚れを十分にかつ簡便に除去でき、しかも保存安定性及び施工性に優れる樹脂表面用洗浄剤を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂表面用洗浄剤は、気圧0.1MPaでの沸点が150℃以上であり、かつ気圧0.1MPaでの引火点が40℃以上である液状の石油系炭化水素7〜50質量%、微粒子状金属酸化物3〜30質量%、アニオン界面活性剤0.1〜3質量%、非イオン界面活性剤0.5〜10質量%、両性アクリル系ポリマー0.1〜4質量%、及び水30〜70質量%を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂表面、特に樹脂塗膜の表面に付着している汚れを除去するための樹脂表面用洗浄剤及び樹脂表面の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂表面には様々な汚れが付着する。例えば、樹脂は電気を通しにくく、静電気が生じやすいため、空気中に浮遊している微粒子を吸着して汚れを形成することがある。また、屋外においては、空気中に浮遊している微粒子が降雨に混入し、樹脂表面上に付着して汚れを形成することがある。さらに、樹脂表面に付着した雨滴が乾燥すると、雨滴痕と称される、微粒子を含むスケール痕になって汚れを形成することがある。
ここで、空気中に浮遊している微粒子としては、オイルダストなどの有機化合物、煤や砂などの無機化合物、それらが複合化した複合化物が挙げられる。
有機化合物の微粒子による汚れ(有機汚れ)は、樹脂に対して親和性が高く、特異的に付着する。有機汚れを付着させたまま長期間放置すると、樹脂表面に固着したり、樹脂内部に浸透したりして、シミや変色を引き起し、美観を損ねることがある。
無機化合物の微粒子による汚れ(無機汚れ)は、樹脂に固着や浸透することはないが、通常、無機化合物微粒子の硬度は樹脂より硬いため、擦り等による物理的摩擦によって、樹脂表面に細かい擦過傷を付けてしまうことがある。
複合化物の微粒子による汚れ(複合汚れ)は、有機汚れ及び無機汚れでの問題を両方生じさせる。
【0003】
通常、上記の問題が起こらないようにするために、例えば、有機汚れ及び無機汚れや、これらを原因とする固着物、シミ及びスケール痕を洗浄する対策が採られる。洗浄方法としては、無機化合物、特に無機酸化物などにより、汚れが付着した樹脂表面や劣化した樹脂表面を薄くかつ均一に研磨して、表面を洗浄する方法が広く知られている。
しかしながら、無機酸化物で研磨した場合には、汚れを効果的かつ効率的に除去できるが、研磨処理後、樹脂表面に汚れ成分及び研磨に用いた無機酸化物が残留する。残留した無機酸化物は、流水による濯ぎだけで取り除くことは困難であり、濯ぎにより取り除けなかった無機酸化物は、無機汚れと同様に、細かい擦過傷の発生の原因となる。また、濯ぎ後、乾燥によって粉ふきやスケール痕が発生するため、樹脂表面の光沢や艶などの美観が損なわれる。
そのため、研磨処理で洗浄する方法では、界面活性剤や溶剤などにより汚れを分散・溶解・抽出処理して、樹脂表面を再洗浄する必要があり、洗浄作業が簡便とは言えなかった。
【0004】
そこで、コーティングなどの表面改質処理によって汚れを防止する方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、自動車車体の外表面を改質して親水性にし、水と表面との間の接触角を50度未満にするのに適したポリビニルピロリドンのホモ又はコポリマーを含む洗浄剤組成物が提案されている。この洗浄剤組成物でコーティング処理を行うことにより、汚れの付着を抑え、水の乾燥痕の形成を防ぎ、長期にわたって表面を清浄にできる。
特許文献2では、カチオン性の単量体化合物、アニオン性の単量体化合物及び非イオン性の親水性単量体化合物を重合させた両性重合体を使用して、セラミックス、タイル、ガラスなどの硬質表面を処理して、洗浄性と親水性を付与する方法が提案されている。この方法により洗浄性と親水性を付与することにより、硬質表面に付着された水滴の乾燥によるスケール痕の形成や汚れを防止できる。
特許文献3では、セラミックス、タイル、ガラス、金属、メラミン、プラスチックなどの硬質表面を洗浄又はすすぎ洗いするための、ポリベタイン型ポリマーを含む水性組成物が提案されている。この水性組成物によれば、硬質表面を親水性に改質でき、汚染性物質の付着防止性及び密着防止性を長期にわたって付与できる。
【0005】
また、有機汚れ及び無機汚れや、これらを原因とする固着物、シミ及びスケール痕を洗浄する方法として、界面活性剤や溶剤などにより、汚れを分散・溶解・抽出して樹脂表面を洗浄する方法が提案されている。例えば、特許文献4では、第四級窒素含有単量体又は両性イオン性単量体から得られる高分子物質の石鹸泡増進剤を含む液体洗剤組成物により樹脂表面を洗浄する方法が提案されている。
【特許文献1】特表2003−524681号公報
【特許文献2】特表2003−505535号公報
【特許文献3】特表2006−514150号公報
【特許文献4】特開2002−309292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法では、樹脂表面に固着した汚れやシミを除去できるものの、その除去の程度は十分に満足する程ではないのが実情であった。そのため、前記無機化合物などによる研磨処理と同程度に汚れやシミを除去できる洗浄剤および洗浄方法が求められていた。
また、洗浄剤は、長期にわたって保存されることがあるので、保存安定性に優れることが求められている。さらに、洗浄剤は、樹脂表面を塗る際に延ばしやすく、容易に塗り広げることができ、また、樹脂表面上に余剰に付着した場合でも乾拭きや濡れ拭きによって容易に除去できることや水による濯ぎ洗いで簡単に除去できることが求められている。すなわち、施工性に優れることが求められている。
【0007】
本発明は、樹脂表面、特に塗膜表面に付着している汚れを十分にかつ簡便に除去でき、しかも保存安定性及び施工性に優れる樹脂表面用洗浄剤を提供することを目的とする。さらには、樹脂表面に付着している汚れを十分にかつ簡便に除去できる樹脂表面の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の石油系炭化水素、金属酸化物、界面活性剤、両性アクリル系ポリマーを組み合わせた洗浄剤を用いることによって、樹脂表面の汚れやシミ、スケール痕を簡便に除去でき、しかも水流し濯ぎによって清浄な樹脂表面が得られることを見出した。そして、この知見に基づき、さらに検討した結果、以下の樹脂表面用洗浄剤及び樹脂表面の洗浄方法を発明した。
【0009】
[1]気圧0.1MPaでの沸点が150℃以上であり、かつ気圧0.1MPaでの引火点が40℃以上である液状の石油系炭化水素7〜50質量%、微粒子状金属酸化物3〜30質量%、アニオン界面活性剤0.1〜3質量%、非イオン界面活性剤0.5〜10質量%、両性アクリル系ポリマー0.1〜4質量%、及び水30〜70質量%を含有することを特徴とする樹脂表面用洗浄剤。
[2]石油系炭化水素の気圧0.1MPaでの沸点が170℃以上であり、かつ気圧0.1MPaでの引火点が45℃以上であることを特徴とする[1]に記載の樹脂表面用洗浄剤、
[3]石油系炭化水素がナフテン系炭化水素であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の樹脂表面用洗浄剤、
[4]微粒子状金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤、
[5]微粒子状金属酸化物の平均粒子径が0.1〜5μmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤。
[6]アニオン界面活性剤が、硫酸エステル型アニオン界面活性剤又はスルホン酸型アニオン界面活性剤であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤、
[7]非イオン界面活性剤がポリグリセリンエステル型非イオン界面活性剤であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤、
[8]両性アクリル系ポリマーがベタイン型両性アクリル系ポリマーであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂表面用洗浄剤によれば、樹脂表面、特に塗装用塗料によって形成された塗膜表面に付着している汚れを十分に除去できる。また、本発明の樹脂表面用洗浄剤は、樹脂表面上に余剰に付着した場合でも、除去した汚れとともに濯ぎ洗いにより樹脂表面から容易に除去できる。したがって、洗浄作業を簡便にできる。しかも、本発明の樹脂表面用洗浄剤は、保存安定性及び施工性に優れる。
本発明の樹脂表面の洗浄方法によれば、樹脂表面、特に塗装用塗料によって形成された塗膜表面に付着している汚れを十分にかつ簡便に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(樹脂表面用洗浄剤)
本発明の樹脂表面用洗浄剤(以下、洗浄剤と略す。)は、石油系炭化水素、微粒子状金属酸化物、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性アクリル系ポリマー及び水を含有するものである。
【0012】
[石油系炭化水素]
洗浄剤に含まれる石油系炭化水素は、石油から分留されてまたは石油を改質して得られる液状の炭化水素であって、沸点が150℃以上であり、かつ引火点が40℃以上の石油系炭化水素である。沸点が150℃未満のもの又は引火点が40℃未満のものでは、汚れを除去できないか、保存安定性が低くなる。ここで、本発明における沸点、引火点は共に気圧0.1MPaの条件下で測定された値である。
また、石油系炭化水素は、樹脂表面の汚れやシミをより簡便に洗浄除去できることから、沸点が170℃以上であり、かつ引火点が45℃以上であるのものが好ましく、沸点が200℃以上であり、かつ引火点が50℃以上のものがより好ましい。なお、沸点は330℃以下であることが好ましく、引火点は200℃以下であることが好ましい。これは、沸点、引火点が前記上限値を超えるものは入手困難であるからである。
具体的には、石油系炭化水素としては、樹脂表面の汚れやシミをより簡便に洗浄除去できることから、ナフテン系炭化水素であることが好ましい。ナフテン系炭化水素の中では、炭素数9〜15のナフテン系炭化水素が好ましい。
また、脂環式炭化水素と脂肪族炭化水素の混合物も好ましい。
【0013】
石油系炭化水素の具体例としては、例えば、灯油、軽油、市販品としての「エクソールD−80」、「エクソールD−110」(商品名、エクソンモービル社製)などが挙げられる。
【0014】
洗浄剤中の石油系炭化水素の含有量は7〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%である。石油系炭化水素の含有量が7〜50質量%であることにより、樹脂表面の有機汚れやシミを効率よく擦り取ることができる。これに対し、石油系炭化水素の含有量が7質量%未満であると、十分な洗浄効果を得ることができず、50質量%を超えると、洗浄効果は得られるが、樹脂(塗膜)を膨潤又は溶解させるおそれがある。
【0015】
[微粒子状金属酸化物]
微粒子状金属酸化物における微粒子とは、平均粒子径(一次平均径)が0.05〜10μmの粒子のことである。平均粒子径が0.05〜10μmであることにより、樹脂表面を傷つけることなく、樹脂表面の汚れやシミ、スケール痕を効率よく擦り取ることができる。これに対し、微粒子状金属酸化物の平均粒子径が10μmを超えると、樹脂表面を傷つけるおそれがあり、0.05μm未満のものは取り扱いが困難で、汚れを効率よく擦りとることができない。
また、微粒子状金属酸化物の平均粒子径(一次平均径)は、樹脂表面の汚れやシミ、スケール痕をより効率的に洗浄除去できることから、0.1〜5μmであることが好ましく、0.5〜2μmであることがより好ましい。
【0016】
金属酸化物の種類としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、カオリン、活性白土、ケイ石、ケイ藻土、タルク、ゼオライト、ベントナイトなどが挙げられる。これらの微粒子状金属酸化物は1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。上記金属酸化物のうち、樹脂表面の汚れやシミ、スケール痕をより効率的に洗浄除去できることから、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物が好ましい。
【0017】
洗浄剤中の微粒子状金属酸化物の含有量は3〜30質量%であり、5〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。微粒子状金属酸化物の配合量が3〜30質量%であることにより、樹脂表面の汚れやシミ、スケール痕を効率よく擦り取ることができる。これに対し、微粒子状金属酸化物の含有量が3質量%未満であると、十分な洗浄効果を得ることができず、30質量%を超えると、洗浄効果は得られるが、洗浄作業時の負荷が大きくなる。
【0018】
[アニオン界面活性剤]
アニオン界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、脂肪酸セッケン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル酢酸塩などのカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィンなどの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、イゲポンT型、スルホコハク酸ジエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルスルホン酸塩などのスルホン酸塩などが挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
これらアニオン界面活性剤のうち、洗浄剤の保存安定性をより高くできることから、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルのカルボン酸塩型、硫酸エステル塩型又はスルホン酸塩型のアニオン界面活性剤が好ましく、硫酸エステル塩型又はスルホン酸塩型のアニオン界面活性剤がより好ましい。硫酸エステル塩型又はスルホン酸塩型のアニオン界面活性剤の中では、特に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルスルホン酸塩が好ましい。
【0019】
アニオン界面活性剤がアルキル基又はアルケニル基を有する場合、そのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は8以上であることが好ましく、炭素数12〜22であることがより好ましく、炭素数16〜20であることが特に好ましい。アルキル基又はアルケニル基の炭素数が8以上であれば、洗浄剤の保存安定性をより高くできる。
アニオン界面活性剤がポリオキシアルキレン基を有する場合、ポリオキシアルキレン基としてはポリオキシエチレン基が挙げられる。また、洗浄剤の保存安定性をより高くできることから、オキシエチレンの繰り返し単位は10以下であることが好ましく、2〜6であることがより好ましい。
【0020】
洗浄剤中のアニオン界面活性剤の含有量は0.1〜3質量%であり、0.2〜2質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましい。アニオン界面活性剤の含有量が0.1〜3質量%であることにより、樹脂表面の汚れやシミを効率よく取ることができ、洗浄剤の保存安定性も維持できる。これに対し、アニオン界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、十分な洗浄効果や洗浄剤の保存安定性を得ることができず、3質量%を超えると、洗浄効果は得られるが、樹脂(塗膜)を膨潤または溶解させるおそれがある。
【0021】
[非イオン界面活性剤]
非イオン界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルケニルエステル、ショ糖エステル、スパン類、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル、ツイーン類などの多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、硬化ひまし油などの油脂のアルキレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物などのポリアルキレングリコール型などが挙げられる。これらの非イオン界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0022】
これら非イオン界面活性剤のうち、洗浄剤の保存安定性がより高くできることから、好ましくは、ショ糖エステル、スパン類、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステルであり、より好ましくはポリグリセリンエステル(ポリグリセリンエステル型非イオン界面活性剤)である。さらに、ポリグリセリンエステルの中でも、テトラグリセリン以上、特にペンタグリセリンからペンタデカグリセリンと、炭素数10〜22、特に炭素数12〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸とを反応させて得られるポリグリセリンエステルが好ましい。ポリグリセリンエステルはモノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれであってもよい。
【0023】
ポリグリセリンエステル型非イオン界面活性剤としては、例えば、「Decaglyn 1−M」(デカグリセリンミリスチン酸モノエステル)、「Hexaglyn 1−L」(ヘキサグリセリンラウリン酸モノエステル)、「Hexaglyn 1−SV」(ヘキサグリセリンステアリン酸モノエステル)、「Decaglyn 2−ISV」(デカグリセリンイソステアリン酸ジエステル)[いずれも商品名、日光ケミカルズ(株)製)]などが市販されている。
【0024】
洗浄剤中の非イオン界面活性剤の含有量は0.5〜10質量%であり、2〜9質量%であることが好ましく、3〜8質量%であることがより好ましい。非イオン界面活性剤の含有量が0.5〜10質量%であることにより、樹脂表面の汚れやシミを効率よく取ることができ、洗浄剤の保存安定性も維持できる。非イオン界面活性剤の配合量が0.5質量%未満であると、十分な洗浄効果や洗浄剤の保存安定性を得ることができず、10質量%を超えると、洗浄効果は得られるが、樹脂(塗膜)を膨潤または溶解させるおそれがある。
【0025】
[両性アクリル系ポリマー]
両性アクリル系ポリマーは、エチレン性不飽和基の重合鎖を主鎖として有し、アニオン性基とカチオン性基とを側鎖に有する高分子である。
両性アクリル系ポリマーとしては、例えば、カチオン性単量体とアニオン性単量体とのコポリマー、あるいは、ベタイン基、スルホベタイン基又はホスホベタイン基を有するアクリル系単量体又はメタクリル系単量体のホモポリマー若しくはコポリマーなどが挙げられる。
また、両性アクリル系ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0026】
カチオン性単量体とアニオン性単量体とのコポリマーとしては、例えば、特表2003−505535号公報に開示されているような、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性単量体と、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸又は燐酸を有するモノエチレン性不飽和単量体の金属塩(アニオン性単量体)との共重合により得られるコポリマーが挙げられる。ここで、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸又は燐酸を有するモノエチレン性不飽和単量体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、α−エタクリル酸、β,β−ジメチルアクリル酸、メチレンマロン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、N−メタクリロイルアラニン、N−アクリロイルヒドロキシグリシン、アクリル酸スルホプロピル、アクリル酸スルホエチル、メタクリル酸スルホエチル、メタクリル酸スルホプロピル、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アクリル酸スルホエチル、アクリル酸スルホノエチル、アクリル酸ホスホプロピル、アクリル酸ホスホノプロピル、メタクリル酸スルホエチル、メタクリル酸スルホノエチル、メタクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホノプロピルなどが挙げられる。
【0027】
また、ベタイン基、スルホベタイン基又はホスホベタイン基を有するアクリル系単量体又はメタクリル系単量体のホモポリマー若しくはコポリマー(ベタイン型両性アクリル系ポリマー)としては、例えば、特表2006−514150号公報に開示されているような、ベタイン基、スルホベタイン基又はホスホベタイン基を有する単量体のホモポリマー又はコポリマー、あるいは、これらの単量体と共重合可能な単量体とのコポリマーが挙げられる。
【0028】
ベタイン基、スルホベタイン基又はホスホベタイン基を有する単量体としては、メタクリル酸スルホプロピルジメチルアンモニオエチル、メタクリル酸スルホエチルジメチルアンモニオエチル、メタクリル酸スルホブチルジメチルアンモニオエチル、メタクリル酸スルホヒドロキシプロピルジメチルアンモニオエチル、スルホプロピルジメチルアンモニオプロピルアクリルアミド、 スルホプロピルジメチルアンモニオプロピルメタクリルアミド、スルホヒドロキシプロピルジメチルアンモニオプロピルメタクリルアミド、メタクリル酸スルホプロピルジエチルアンモニオエチルなどのアクリル酸若しくはメタクリル酸ジアルキルアンモニウムアルキル、ジアルキルアンモニウムアルキルアクリルアミド若しくはメタクリルアミドのアルキルスルホン酸塩又はホスホン酸塩;ピペラジンから誘導されたスルホベタイン、2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムベタイン、4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムベタイン、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウムベタインなどの複素環式ベタイン単量体;スルホプロピルメチルジアリルアンモニウムベタインなどのジアルキルアンモニウムアルキルアリル化合物又はヒドロキシアルキルスルホン酸塩又はホスホン酸塩;ジアルキルアンモニウムアルキルスチレンのアルキル又はヒドロキシアルキルスルホン酸塩又はホスホン酸塩;エチレン性不飽和無水物とジエンから生じるベタイン;((ジシアノエタノレート)エトキシ)ジメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドなどの環状アセタールから生じるベタイン等が挙げられる。
【0029】
両性アクリル系ポリマーのうち、洗浄剤の保存安定性と濯ぎ性をより高くできることから、ベタイン基を有するアクリル系単量体又はメタクリル系単量体のホモポリマー若しくはコポリマーが好ましく、スルホベタイン基を有するアクリル系単量体又はメタクリル系単量体のホモポリマー若しくはコポリマー(ポリスルホベタイン型両性アクリル系ポリマー)がより好ましい。
ベタイン型両性アクリル系ポリマーとしては、「MIRAPOLE SURF S 500」、「MIRAPOLE SURF S 200」(商品名、ローディア日華(株)製)などが市販されている。
【0030】
洗浄剤中の両性アクリル系ポリマーの含有量は0.1〜4質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜2質量%であることが特に好ましい。両性アクリル系ポリマーの含有量が0.1〜4質量%であることにより、樹脂表面の汚れ成分やシミを効率よく取ることができ、また、洗浄剤成分も残留せず、水流し濯ぎだけで清浄な樹脂表面が得られる。これに対し、両性アクリル系ポリマーの含有量が0.1質量%未満であると、十分な洗浄効果や洗浄剤成分、特に微粒子状金属酸化物の除去性が低下するおそれがあり、4質量%を超えると洗浄剤の保存安定性が低くなり、施工時に洗浄剤が延びにくくなる傾向にあり、十分な洗浄効果が得られないおそれがある。
【0031】
本発明者ら調べた結果、上記洗浄剤は、樹脂表面、特に塗膜表面に付着している汚れやシミ、スケール痕を洗浄除去できることが判明した。また、この洗浄剤は、樹脂表面に余剰に付着した場合でも、除去した汚れ成分と共に流水による濯ぎにより樹脂表面から除去できることが判明した。したがって、上記洗浄剤によれば、汚れを十分にかつ簡便に除去でき、清浄な樹脂表面を得ることができる。また、上記洗浄剤は、保存安定性及び施工性に優れる。
【0032】
(樹脂表面の洗浄方法)
本発明の樹脂表面の洗浄方法は、上述した洗浄剤を用いて樹脂表面を洗浄する方法である。
この樹脂表面の洗浄方法の具体例としては、例えば、上記洗浄剤を、スポンジ、布等により樹脂表面に塗り延ばした後、軽く擦り洗いを行う。その後、流水で濯ぎ、必要に応じて、乾拭きや濡れ拭きして、余剰の洗浄剤を取り除く方法などが挙げられる。また、必要に応じて、ポリッシャーやサンドグラインダーなどの研磨機械を使用することもできる。
この洗浄方法が適用される樹脂表面としては、例えば、自動車車体などにおいて、塗装用塗料によって形成された樹脂塗膜、樹脂成形品の表面などが挙げられる。
【0033】
この樹脂表面の洗浄方法によれば、樹脂表面、特に塗膜表面に付着している汚れを簡便に除去でき、また、除去した汚れとともに濯ぎ洗いで、樹脂表面を変色、変質、侵食、膨潤させることなく、樹脂表面から容易に除去できる。このような方法は、樹脂表面の機能付与加工の前処理として有用である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0035】
実施例1
1000mLの混合容器に、石油系炭化水素である「エクソールD−80」(商品名、エクソンモービル社製、気圧0.1MPaでの沸点200〜250℃(約225℃)、引火点77℃以上)300g、アニオン界面活性剤であるポリオキシエチレン(4モル)オレイルエーテル硫酸ナトリウム(不揮発分30質量%)30g、非イオン界面活性剤である「NIKKOL DECAGLYN 1−M」(商品名、日光ケミカルズ(株)製、デカグリセリンミリスチン酸モノエステル、不揮発分100質量%)60gを仕込み、60〜70℃に加熱し攪拌混合した。この中に、約60℃の温水240gを20回に分割して添加しながら、強い剪断力で撹拌混合して乳化液とした。
これとは別の1000mLの混合容器に、水170g、ベタイン型両性アクリル系ポリマーである「MIRAPOLE SURF S 500」(商品名、ローディア日華(株)製、不揮発分20質量%)50gを仕込み、撹拌混合した。この中に、平均粒子径1μmの酸化アルミニウム150gを徐々に添加し、撹拌混合して分散液とした。そして、この分散液に前記乳化液を添加し、撹拌混合して、洗浄剤1000gを得た。
【0036】
得られた洗浄剤は以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
[評価用の樹脂製物品]
洗浄剤の評価には、樹脂製物品として、ボンネット(「ライフ」の補修交換用ボンネット(黒)、本田技研工業(株)製)の塗膜、又は試験用のカチオン電着塗装板(70mm×150mm)、(株)テストピース製、JIS G 3141(SPCC SD)に自動車補修用二液型ウレタン塗料(BCベースコート、D800デルトロンクリヤー、D841ミディアムMSハードナー、マルチシンナー、PPGジャパン(株)製)を塗装した塗装板の塗膜を使用した。
【0037】
[耐分離性の評価]
洗浄剤を50℃で一週間放置した後、液面の油浮きの有無を目視により観察して耐分離性を評価した。なお、耐分離性は保存安定性の指標の一つであり、変化が小さい程、保存安定性に優れる。
○:液面に変化はなかった。
△:液面に油滴が認められた。
△×:液面に僅かに油層を有していた。
×:液面に油層を有していた。
【0038】
[耐沈降性の評価]
洗浄剤を50℃で一週間放置した後、微粒子状金属酸化物の沈降の有無を目視により観察して、耐沈降性を評価した。なお、耐沈降性は保存安定性の指標の一つであり、沈降物が少ない程、保存安定性に優れる。
○:底面に沈降物が認められなかった。
○△:底面にやわらかい沈殿物を僅かに有していた。
△:底面に柔らかい沈降物を有していた。
×:底面に硬い沈降物を有していた。
【0039】
[再分散性の評価]
洗浄剤を50℃で一週間放置して微粒子状金属酸化物が沈降した場合、軽く撹拌して沈降物の再分散性を目視により評価した。なお、再分散性は保存安定性の指標の一つであり、再分散しやすい程、保存安定性に優れる。
○:沈降物が再分散した。又は、沈降物がなかった。
×:沈降物が再分散しなかった。
【0040】
[洗浄剤の延び性の評価]
まず、ボンネットの上に水道水を流して、埃や砂を洗い流した。水道水を浸して軽く絞ったスポンジに洗浄剤約5mLを取り、洗い流した後のボンネットを軽く拭くように数回往復させて、洗浄剤をボンネット表面に塗り広げた。その際の洗浄剤の延びを目視により評価した。なお、洗浄剤の延び性は施工性の指標の一つであり、延びる程、施工性に優れる。
○:延びを有していた。
△:延びを若干有していた。
×:延びを有していなかった。
【0041】
[洗浄剤の除去性の評価]
前記洗浄剤の延び性の評価で洗浄剤をボンネット表面に塗り広げた後、洗浄剤の乾燥によって生じた白い粉を取り除くために、乾拭きまたは濡れ拭きした。その際の白い粉を拭取る際の手間のかかり具合により洗浄剤の除去性を評価した。なお、洗浄剤の除去性は施工性の指標の一つであり、除去しやすい程、施工性に優れる。
○:固着はなく簡単に白い粉の除去ができた。
△:手間はかかるが白い粉の除去はできた。
×:白い粉が固着して除去ができなかった。
【0042】
[接触角]
塗装板(70mm×150mm)をノルマルヘキサンで脱脂した後、洗浄剤約3mLをスポンジに取り、塗装板表面を軽く拭くように数回往復させて、洗浄剤を塗装板表面に塗り広げ、乾燥させた。その後、塗装板表面を水道水で流しつつ、スポンジで軽くなでながら、洗浄剤を洗い流した後、自然乾燥させた。自然乾燥後の塗装板表面における水での接触角を、FACE接触角測定器(協和界面科学機器(株))を用いて測定した。
なお、ノルマルヘキサンで脱脂した後の塗装板の表面での水の接触角(初期接触角:89度)との変化量を比較することで、塗装板表面上の汚れ状態及び洗浄剤の残留状態を推定できる。
変化量が±2度以下の範囲内:表面上に夾雑物のない清浄な表面であると推定される。
変化量が±2度を超えかつ±10度未満の範囲内:洗浄不足による油性汚れや無機汚れがあり、また、洗浄剤成分が残留した表面であると推定される。
変化量が±10度以上:油性もしくは親水性の化合物が吸着した表面であると推定される。
【0043】
[汚れ除去性の評価]
塗装板(70mm×150mm)に、ヘキサンに溶かしたアスファルトを塗り上げて乾燥付着させた後に80℃で10分間加熱処理した汚染塗装板を作製した。次いで、この汚染塗装板の表面に、洗浄剤約3mLを取ったスポンジで数回往復拭くようにして、洗浄剤を塗り広げた。乾燥後、塗装板表面を水道水で流し、スポンジで軽くなでながら、洗浄剤を洗い流し、自然乾燥させた。自然乾燥後の塗装板表面の状態を目視により評価した。
○:塗装板表面の汚れが落ちていた。
○△:塗装板表面の汚れがほぼ落ちていた。
△:塗装板表面に少し汚れが残っていた。
×:全く汚れが落ちていなかった。
【0044】
[濯ぎ除去性の評価]
洗浄剤をスポンジに約3mL取り、塗装板(70mm×150mm)表面に塗り広げて乾燥させた。次いで、洗浄剤の乾燥によって生じた白い粉を水流しだけで濯ぎ流し、白い粉が塗装板表面に残った程度を目視により評価した。
○:白い粉が除去された。
×:白い粉が除去されなかった。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例2〜13及び比較例1〜7
石油系炭化水素、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性アクリル系ポリマー、微粒子状金属酸化物及び水の配合を、表1〜3に示すように各々変更したこと以外は実施例1と同様に操作して、実施例2〜13及び比較例1〜7の洗浄剤を各々得た。得られた洗浄剤を実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1〜3に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
なお、表中の略記は下記のものを表している。
石油系炭化水素1:「エクソールD−80」
石油系炭化水素2:気圧0.1MPaでの沸点約257℃、引火点約117℃の石油系炭化水素
石油系炭化水素3:気圧0.1MPaでの沸点約182℃、引火点約37℃の石油系炭化水素
アニオン界面活性剤1:ポリオキシエチレン(4モル)オレイルエーテル硫酸ナトリウム(不揮発分30質量%)
アニオン界面活性剤2:ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(不揮発分30質量%)
非イオン界面活性剤1:「NIKKOL DECAGLYN 1−M」、デカグリセリンミリスチン酸モノエステル(不揮発分100質量%)
非イオン界面活性剤2:「Hexaglyn 1−L」(ヘキサグリセリンラウリン酸モノエステル)(不揮発分100質量%)
非イオン界面活性剤3:「Decaglyn 2−ISV」(デカグリセリンイソステアリン酸ジエステル)(不揮発分100質量%)
両性アクリル系ポリマー:「MIRAPOLE SURF S 500」(不揮発分20質量%)
【0050】
石油系炭化水素、微粒子状金属酸化物、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性アクリル系ポリマー及び水を特定量含有する実施例1〜13の洗浄剤は、保存安定性、施工性に優れていた。また、実施例1〜13の洗浄剤によれば、汚れの除去性に優れ、簡単な濯ぎで汚れ等の残留を防ぐことができ、清浄な樹脂表面を得ることができた。
これに対し、アニオン界面活性剤と非イオン界面活性剤とを併用していない比較例1及び2の洗浄剤は、保存安定性、施工性が低い上に、濯いでも汚れが残留し、清浄な樹脂表面が得られなかった。
石油系炭化水素が配合されていない比較例3の洗浄剤も、比較例1、2と同様に、保存安定性、施工性が低い上に、濯いでも汚れが残留し、清浄な樹脂表面が得られなかった。
微粒子状金属酸化物の配合されていない比較例4の洗浄剤では、汚れの除去性が低かった。
両性アクリル系ポリマーの配合されていない比較例5の洗浄剤では、施工性が低い上、濯ぎ除去性が低く、特に微粒子状金属酸化物が残留し、清浄な樹脂表面が得られなかった。
また、両性アクリル系ポリマーの含有量が4質量%を超えた比較例6の洗浄剤は、保存安定性及び施工性が低かった。さらに、接触角が小さくなり、両性アクリル系ポリマーが付着しているものと思われる。
引火点が40℃未満の石油系炭化水素を配合した比較例7の洗浄剤では、保存安定性及び施工性が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気圧0.1MPaでの沸点が150℃以上であり、かつ気圧0.1MPaでの引火点が40℃以上である液状の石油系炭化水素7〜50質量%、
微粒子状金属酸化物3〜30質量%、
アニオン界面活性剤0.1〜3質量%、
非イオン界面活性剤0.5〜10質量%、
両性アクリル系ポリマー0.1〜4質量%、
及び水30〜70質量%、
を含有することを特徴とする樹脂表面用洗浄剤。
【請求項2】
石油系炭化水素の気圧0.1MPaでの沸点が170℃以上であり、かつ気圧0.1MPaでの引火点が45℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂表面用洗浄剤。
【請求項3】
石油系炭化水素がナフテン系炭化水素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂表面用洗浄剤。
【請求項4】
微粒子状金属酸化物が酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤。
【請求項5】
微粒子状金属酸化物の平均粒子径が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤。
【請求項6】
アニオン界面活性剤が硫酸エステル型アニオン界面活性剤又はスルホン酸型アニオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤。
【請求項7】
非イオン界面活性剤がポリグリセリンエステル型非イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤。
【請求項8】
両性アクリル系ポリマーがベタイン型両性アクリル系ポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂表面用洗浄剤を用いて樹脂表面を洗浄することを特徴とする樹脂表面の洗浄方法。

【公開番号】特開2008−169361(P2008−169361A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6288(P2007−6288)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000226161)日華化学株式会社 (208)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】