橋桁の架設および撤去方法と橋桁工事用装置
【課題】現場での作業時間を短縮し短時間で現場を明渡すことができる橋桁の架設および撤去方法と、その方法に用いる橋桁工事用装置を提供する。
【解決手段】橋桁工事用装置1を使用して橋桁Gの架設工事を行う。まず、新設用の橋桁Gを一体化させた縦梁部材10を架設区間Cの側方スペースSに搬入し、横梁部材30を架設区間Cを跨いだ状態に設置する。そして、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gを架設区間C上に横送りし橋座A上に据え付ける。その後、縦梁部材10を架設区間C上から側方スペースSに戻し、この縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する。一方、撤去工事は、基本的に上記架設工事の逆のプロセスを辿ることにより行う。
【解決手段】橋桁工事用装置1を使用して橋桁Gの架設工事を行う。まず、新設用の橋桁Gを一体化させた縦梁部材10を架設区間Cの側方スペースSに搬入し、横梁部材30を架設区間Cを跨いだ状態に設置する。そして、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gを架設区間C上に横送りし橋座A上に据え付ける。その後、縦梁部材10を架設区間C上から側方スペースSに戻し、この縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する。一方、撤去工事は、基本的に上記架設工事の逆のプロセスを辿ることにより行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁の架設および撤去方法と橋桁工事用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場から輸送された橋桁を現場で設置する架設工法の一種として、橋桁を架設する架設区間の側方に設けられた側方スペースに橋桁を搬入し、この橋桁を横方向に送り出して所定位置に架け並べる工法がある(例えば特許文献1)。この工法は、側方スペースから架設区間にかけて横梁を架渡し、側方スペースに運び込んだ橋桁を横梁における側方スペース側の端部に取り付けた後、この橋桁を横梁に沿って架設区間側に横送りして所定位置に設置する工法である。
また、既設の橋桁を撤去する工法の一種として、橋桁を撤去する撤去区間からその側方スペースにかけて横梁を架渡し、この横梁に沿って既設の橋桁を側方スペースに横送りし、撤去する工法がある。
【特許文献1】特開平9−59930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような工法では、橋桁の設置および撤去作業に入る前に、あらかじめ横梁を架渡しておく必要があり、かつ、橋桁の設置および撤去作業が終了した後、横梁を撤去する必要がある。また、横梁の架渡しには、橋桁を所定の高さ位置において横送りするために、この横梁の設置高さを調節して支持する架台等の設備が必要とされる。この設備の設置および撤去作業を短時間で行うことは非常に困難であり、一連の作業を終えるには長い時間を必要とし、その間、これら設備は現場に組み上げたまま留め置かれることになる。
【0004】
そして、側方スペースが狭い場合、これらの設備が、近接する道路や鉄道等の建築限界を侵してしまうこともある。このような場合、近接する道路や鉄道の交通規制を行った上で作業を行う、もしくは通行車両のない時間帯を見計らって作業を行うことになる。しかし、長時間にわたって交通規制を行うことは難しく、また通行車両のない時間帯となると非常に短い時間に限られてしまい対応できないという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、現場での作業時間を短縮し短時間で現場を明渡すことができる橋桁の架設および撤去方法と、その方法に用いる橋桁工事用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、橋桁の架設区間の側方スペースから橋桁を横送りして架設する橋桁の架設方法であって、前記架設区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、この縦梁部材の両端において前記架設区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記架設区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記架設区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記横梁部材に沿ってこの縦梁部材を移動させて前記架設区間上に前記橋桁を横送りする橋桁横送り工程と、前記縦梁部材に吊り下げられている前記橋桁を下降させて前記架設区間内に設けられた桁座部上に設置する橋桁設置工程と、前記橋桁を離した前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記架設区間上から前記側方スペースに戻す縦梁戻し工程と、前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の方法において、前記縦梁搬入工程では、予め前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げ可能な状態に一体化して前記運搬機構により前記架設区間の側方スペースに搬入するところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、橋桁の撤去区間からこの撤去区間の側方スペースへ橋桁を横送りして撤去する橋桁の撤去方法であって、前記撤去区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、この縦梁部材の両端において前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記撤去区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記撤去区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記横梁部材に沿って移動させて前記撤去区間上に送る縦梁送り工程と、前記縦梁部材を下降させて前記撤去区間の前記橋桁をこの縦梁部材に吊り下げ可能に取り付ける橋桁取付工程と、前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記撤去区間上から前記側方スペースに横送りする橋桁横送り工程と、前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の方法において、前記撤収工程では、前記縦梁部材に吊り下げられた前記橋桁を前記縦梁部材に一体化して前記運搬機構により前記撤去区間の側方スペースから撤収するところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、架設区間への橋桁の架設または撤去区間からの橋桁の撤去を行う橋桁工事用装置であって、前記架設区間または前記撤去区間よりも全長が長くかつ前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、この縦梁部材の両端において前記架設区間または前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構と、を備えるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記横梁部材の上面にはこの横梁部材の部材軸方向に沿って延びる軌道部が備えられ、前記移動支持機構がこの軌道部に沿って走行可能とされているところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載のものにおいて、前記運搬機構は、前記架設区間の側方スペースまたは前記撤去区間の側方スペースに敷設されたレール上を走行可能な軌条走行車輪を備えるところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項5〜請求項7のいずれかに記載のものにおいて、前記運搬機構は、前記縦梁部材の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、前記横梁部材はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされているところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項5〜請求項8のいずれかに記載のものにおいて、前記運搬機構は、前記橋桁と一体化された前記縦梁部材を支持して運搬可能とされているところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載のものにおいて、前記縦梁部材の下面には支持機構が設けられ、この縦梁部材は、前記運搬機構上に載置された前記橋桁上に前記支持機構の下面を接触させることで前記橋桁を介して前記運搬機構に支持されるところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項10に記載のものにおいて、前記支持機構は、上下に伸縮可能であるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
<請求項1、請求項3および請求項5の発明>
請求項1、請求項3および請求項5の発明によれば、移動支持機構によって縦梁部材を所定の高さで支持し、横梁部材を下降させることによりその横梁部材を架設区間または撤去区間を跨いだ状態に設置することができ、縦梁部材に橋桁を吊り下げた状態とした後、この縦梁部材を移動支持機構により横梁部材に沿って移動させることにより、架設区間上に橋桁を横送り(撤去の際には撤去区間から橋桁を横送り)することができる。これにより、横梁部材の設置において、橋桁を所定の高さ位置において横送りするために、この横梁部材の設置高さを調節する架台等の設備を設置しなくてもよいから、従来に比べ横梁部材を設置する作業が短時間で済む。また、橋桁を設置もしくは撤去した後、横梁部材および縦梁部材をすみやかに側方スペースから撤収できるから、従来のように横梁部材およびそれに係る架台等の設備の解体作業を現場で行わなくてもよく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0018】
<請求項2、請求項4および請求項9の発明>
請求項2、請求項4および請求項9の発明によれば、橋桁を縦梁部材に一体化して架設区間の側方スペースに搬入、または撤去区間の側方スペースから撤収することができる。これにより、橋桁の取り付けまたは取り外しを現場以外の場所で行うことができるから、その分現場での作業時間を減らすことができ、また、現場にこの作業のためのスペースを確保しなくてもよい。さらに、トレーラー等の橋桁運搬手段を別途手配しなくてもよい。
【0019】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、移動支持機構は横梁部材の上面に備えられた軌道部に沿って横梁部材の部材軸方向に走行可能とされているから、移動支持機構の移動は規定の範囲内に限られる。これにより、移動支持機構の移動に係る制御が容易となり、スムーズに移動支持機構を移動することができる。
【0020】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、運搬機構は、架設区間の側方スペースまたは撤去区間の側方スペースに敷設されたレール上を走行可能な軌条走行車輪を備えているので、運搬機構は既設のレールを使用してスムーズに側方スペースに搬入、もしくは側方スペースから搬出される。
【0021】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、運搬機構は縦梁部材の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、横梁部材はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされているので、縦梁部材を横梁部材と共に運搬する際には、横梁部材を旋回させて運搬機構の走行方向に沿う方向にしておくことができる。これにより、運搬する際に、その運搬経路の沿道に設置されている既設構造物(例えば電柱や各種建物等)に横梁部材が接触してしまうことを回避できる。
【0022】
<請求項10の発明>
請求項10の発明によれば、縦梁部材の下面には支持機構が設けられ、この縦梁部材は、運搬機構上に載置された橋桁上に支持機構の下面を接触させることで橋桁を介して運搬機構に支持される。これにより、縦梁部材の下面において橋桁を避ける位置に支持機構を配さなくてもよいから、支持機構と橋桁とを縦梁部材の部材軸方向に離間させて配するのに比べ、縦梁部材の長さを短くすることができる。したがって、橋桁工事用装置をコンパクトなものにすることができ、運搬が容易となる。
【0023】
<請求項11の発明>
請求項11の発明によれば、支持機構は上下に伸縮可能であるので、橋桁を介して縦梁部材を運搬機構に支持するときは、橋桁の高さ分だけ支持機構を縮めることにより全体の高さをできるだけ低く抑えることができ、橋桁を介さずに縦梁部材を支持するときは、支持機構を伸ばすことにより縦梁部材を運搬するのに必要な高さを確保することができる。このように、支持機構を上下に伸縮することにより運搬に必要な所定の高さを確保しつつできるだけ全体の高さを低く抑えることができるから、橋桁工事用装置をよりコンパクトなものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本実施形態の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設および撤去方法について図1〜図18によって説明する。ここでは、図5に示すような、鉄道の複線区間において、下り線側に橋桁Gを架設、もしくは下り線側から橋桁Gを撤去する場合について説明する。なお、下り線側における架設区間Cまたは撤去区間Dを除いた部分と、上り線側とには本線レールR(本発明のレールに該当する)が敷かれている。
【0025】
図1には、架設時において本実施形態の橋桁工事用装置1が架設区間Cの側方スペースSに搬入された状態を表す側面図を、図3、図4および図5には、図1のA−A断面図、B−B断面図および平面図を示した。以下、各構成部材において、図1における右側(軌道モーターカー44側)を前方、左側を後方として説明する。
【0026】
まず橋桁工事用装置1について述べる。この橋桁工事用装置1は、架設区間Cへの橋桁Gの架設、または撤去区間Dからの橋桁Gの撤去を行うためのものである。
【0027】
この橋桁工事用装置1は、橋桁Gを吊り下げる縦梁部材10を備えている。縦梁部材10は鋼材からなり、橋桁Gを架設しようとする架設区間C(撤去の際には橋桁Gを撤去しようとする撤去区間D)の長さよりもやや長い角筒状とされている。
【0028】
縦梁部材10の前後両端部には、この縦梁部材10および橋桁Gを吊り下げた状態の縦梁部材10を支持可能な横取装置20(本発明の移動支持機構に該当する)が設けられている。各横取装置20は、上下方向に長い4本の支柱21を備えている。この支柱21の下端は、この4本の支柱21の軸線から等距離にある線を中心軸として回転可能に連結された回転台座22に支持されている。この回転台座22は略四角形の板状をなし、その下面には二対の車輪23が備えられている。
【0029】
各回転台座22の下方にはそれぞれ横梁部材30が設けられている。これらの横梁部材30は縦梁部材10の両端部に位置しており、架設区間Cまたは撤去区間Dの間隔よりも長い距離を隔てて設けられている。横梁部材30は、図2に示すように、2本のH型鋼31よりなり、各H型鋼31の腹部31Aがそれぞれ上下方向に延びるようにして並列され、両者の間が複数箇所において連結部材32により連結されている。そして、各H型鋼31の上側フランジ部31Bの上面には、回転台座22の下面に備えられた車輪23が走行可能な横取レール33(本発明の軌道部に該当する)が備えられている。横取レール33は、上側フランジ部31Bにおける部材幅方向ほぼ真中位置、つまり腹部31Aに対応する位置において部材軸方向に沿って延びており、その横取レール33の並列間隔は、回転台座22に備えられた一対の車輪23の間隔とほぼ同じ間隔とされており、横取レール33上を車輪23が走行可能となっている。なお、横梁部材30は、複数本の鋼棒34により回転台座22の下方に吊り下げ可能となっており、この吊り下げ状態で回転台座22を回転させることにより、横梁部材30を、縦梁部材10の軸線方向に沿った向きと縦梁部材10の軸線方向に対し略直角方向となる向きとの間で旋回できるようになっている(図6を併せて参照)。
【0030】
架設区間Cに架設される新設の橋桁G(撤去の際には撤去区間Dから撤去される橋桁G)の上面において、その前後両端から所定の間隔だけ中心側へ入った位置の2箇所には、1箇所につき左右一対の桁吊り用ピース13が設けられている。一方、縦梁部材10においてこの桁吊り用ピース13に対応する位置の前後2箇所には、桁吊り部11が備えられている。各桁吊り部11は、図4に示すように、縦梁部材10の左右幅よりも左右両外側に張り出した梁状をなし、その両端には橋桁Gを吊り下げるチェーンブロック12が下げられている。この桁吊り部11のチェーンブロック12を橋桁Gの桁吊り用ピース13に連結することにより、橋桁Gは縦梁部材10に吊り下げ可能である。
【0031】
橋桁Gおよび縦梁部材10の下方には、これらを載せて搬送するための運搬台車40(本発明の運搬機構に該当する)が、前後に2台配されている(図1参照)。2台の運搬台車40は、縦梁部材10、もしくは橋桁Gおよび縦梁部材10を載せた際、前後にバランスをとって支持可能となるように、所定の間隔を空けて配されている。各運搬台車40はレール上を走行可能な軌条走行車輪41を備えており、上り線に敷かれた本線レールRまたは本線レールRから分岐する引き込み線(図示せず)のレール上を走行可能とされている。また、運搬台車40は、縦梁部材10を、その部材軸方向が走行方向に沿った向きとなるようにして運搬するようにされている。なお、運搬台車40はアウトリガー付きのものであり、縦梁部材10、もしくは橋桁Gおよび縦梁部材10を支えた状態で安定を保つことができるようになっている。
【0032】
各運搬台車40には、橋桁Gおよび縦梁部材10を載せる桁載せ部42が備えられている。この桁載せ部42は、上方から見ると横幅が橋桁Gの横幅とほぼ同じ幅の略長方形の板状をなしている(図9を併せて参照)。この桁載せ部42の左右両端には、図3に示すように、それぞれレバーブロック43が備えられている。なお、前後両運搬台車40のうち、前側の運搬台車40には軌道モーターカー44が連結ロッド45により連結され、この軌道モーターカー44により橋桁工事用装置1が牽引されるようになっている。
【0033】
縦梁部材10の下面には、橋桁Gもしくは運搬台車40上に載置可能な伸縮式ベンド14(本発明の支持機構に該当する)が備えられている(図1参照)。伸縮式ベンド14は、縦梁部材10の下面において2台の運搬台車40にそれぞれ対応する前後2ヶ所に配され、その下部には、運搬台車40の桁載せ部42の上面と対向するベース部15が備えられている(図3参照)。このベース部15は、橋桁Gの左右幅とほぼ同じ幅の略長方形の板状をなしており、その横方向における両端には、運搬台車40に備えられたレバーブロック43がそれぞれ連結されるようになっている。そして、桁載せ部42に橋桁Gを載せ、その上にベース部15を接触させた状態で、レバーブロック43のレバー43Aを操作することにより、橋桁Gは桁載せ部42とベース部15とにより挟まれてその位置ずれが防止されるようになっている。こうして、縦梁部材10は、運搬台車40上に載置された橋桁G上に伸縮式ベンド14のベース部15の下面を接触させることで橋桁Gを介して運搬台車40に支持されるようになっている。また、伸縮式ベンド14は上下方向に伸縮可能な伸縮機能を備えており、伸縮式ベンド14が上下方向に伸縮することにより橋桁Gと縦梁部材10との間の上下間隔が調節されるようになっている。
【0034】
縦梁部材10の上面において、伸縮式ベンド14に対応する前後2箇所には、1箇所につき2本ずつ、ベンド吊り梁16が備えられている。ベンド吊り梁16は、図3に示すように、縦梁部材10の左右方向幅よりも左右方向に張り出した梁部材であって、その両端部には鋼棒17が備えられている。そして、この鋼棒17により、伸縮式ベンド14は縦梁部材10を挟んでベンド吊り梁16から吊り下げられた形態で縦梁部材10に固定されている。こうして伸縮式ベンド14は、縦梁部材10に吊り下げ可能とされている。
【0035】
各横取装置20には、リフト機能を備えた縦梁受け部24が備えられている(図2参照)。縦梁受け部24は、4本の支柱21に沿って上下方向に昇降するとともに、支柱21に対し任意の高さで上下動不能に固定可能とされている。この縦梁受け部24にはそれぞれ縦梁部材10の端部が連結されており、縦梁受け部24を支柱21に対して上下方向に昇降させて固定することにより、支柱21に対して縦梁部材10の高さ位置を任意に設定できるようになっている。また、縦梁部材10を運搬台車40で支持した状態では、縦梁受け部24に対し支柱21を上下方向に昇降するとともにこの支柱21を縦梁受け部24に対し任意の高さで上下動不能に固定することができる。これにより、支柱21を縦梁受け部24に対して上下方向に昇降させて固定することにより、支柱21の下端に備えられた横梁部材30の高さ位置を縦梁部材10に対し任意に設定できるようになっている。
【0036】
また、横取装置20を横梁部材30の横取レール33に沿って走行させると、縦梁受け部24に連結されている縦梁部材10が、横梁部材30に添って移動するようになっている。なお、横取装置20は、横梁部材30上を走行しながら縦梁受け部24を上下に昇降させることができるようになっている。
【0037】
A.橋桁Gの架設方法
次に、前述の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設方法について述べる。
この架設方法は、橋桁工事用装置1を使用し、縦梁部材10を架設区間Cの側方スペースSに搬入する縦梁搬入工程と、横梁部材30を架設区間Cを跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、縦梁部材10に吊り下げられた新設用の橋桁Gを架設区間C上に横送りする橋桁横送り工程と、橋桁Gを橋座A上に据え付ける橋桁設置工程と、縦梁部材10を架設区間C上から側方スペースSに戻す縦梁戻し工程と、縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する撤収工程と、を行うことにより、橋桁Gを架設区間Cに設置する橋桁Gの架設方法である。
【0038】
以下、この工程を順を追って説明する。
(1)縦梁部材10の搬入工程
本実施形態の橋桁工事用装置1の基地には、上り線側の本線レールRから分岐する引き込み線が敷設されている。この引き込み線のレール上において、伸縮式ベンド14と運搬台車40とを上下軸線上に位置あわせしつつ、橋桁Gと縦梁部材10とを2台の運搬台車40で支持した状態にする。このとき、橋桁Gを運搬台車40と伸縮式ベンド14との間でしっかりと挟み付け固定するとともに、横梁部材30を縦梁部材10の両端に吊り下げた状態とする(図1参照)。また、桁吊り部11のチェーンブロック12を橋桁Gの桁吊り用ピース13に連結する。
そして、前側の運搬台車40に軌道モーターカー44を連結ロッド45を用いて連結し、前後両横梁部材30をそれぞれ運搬台車40の走行方向に沿った向きにして、橋桁Gおよび縦梁部材10を載せた運搬台車40を軌道モーターカー44で牽引することにより、引き込み線のレールから上り線側の本線レールRに沿って走行させる。こうして橋桁Gおよび縦梁部材10が架設区間Cの側方スペースS上に至るまで前進させ、縦梁部材10を架設区間Cの側方スペースSに搬入する(図5参照)。
【0039】
(2)横梁部材30の設置工程
次に、横梁部材30を架設区間Cを跨いだ状態に設置する。図6には、横梁設置工程の様子を示す平面図を、図7および図8には、図6の側面図およびC−C断面図を示した。
まず、縦梁部材10の部材軸方向に沿った向きになっている横梁部材30を、横取装置20の回転台座22を回転させることにより、縦梁部材10の部材軸方向に沿った方向に対し略直角方向、つまり横梁部材30が上下線間に架け渡される向きに旋回させる(図6参照)。そして、軌道モーターカー44と運搬台車40とを連結していた連結ロッド45を切り離すとともに、横梁部材30の下側における各本線レールRの両脇に受け梁35を設置する。この受け梁35には、本線レールRの高さ寸法よりも断面の高さ寸法が大きいH型鋼31を使用し、その腹部が上下方向に延びるようにして上り線側と下り線側にそれぞれ4本ずつ、計8本設置する。なお、受け梁35の長さは横梁部材30の部材幅方向寸法よりも長いくされている。また、受け梁35の下面(地表面側の面)には、一寸板からなる緩衝材35Aが備えられている。
次いで、前後両横取装置20の支柱21を縦梁受け部24に対して下降させ、横梁部材30の下面が受け梁35に当接したところで、支柱21を縦梁受け部24に対して上下動不能に固定する。この受け梁35上に横梁部材30を支持させることにより、横梁部材30の高さ位置を微調整して横梁部材30を略水平に設置できるとともに、横梁部材30上を横取装置20が移動する際の振動等が受け梁35によって吸収されるようになっている。こうして、前後両横梁部材30は、下り線における架設区間Cの前後スペースにそれぞれ設置され、つまり架設区間Cを跨いだ状態で設置されるとともに、縦梁部材10は前後両横取装置20によって支持された状態になる。
【0040】
(3)橋桁Gの横送り工程
次に、縦梁部材10に吊り下げられた新設用の橋桁Gを架設区間C上に横送りする。図9には、橋桁G横送り工程の様子を示す平面図を、図10および図11には、図9の側面図およびD−D断面図を示した。
まず、伸縮ベンド14と運搬台車40とを連結しているレバーブロック43を緩めて外し、橋桁Gの位置ずれ防止を解除するとともに、横取装置20の縦梁受け部24を上昇させる。そして、横取装置20を横梁部材30上の横取レール33に沿って横方(上り線側から下り線側へ)に移動させると、縦梁部材10の桁吊り部11からチェーンブロック12によって吊り下げられた橋桁Gも、この横取装置20に伴って上り線側から下り線側へ移動する(図9参照)。この橋桁Gの送り出しの際、運搬台車40は側方スペースS(上り線上)に留め置かれ、橋桁Gは、桁吊り部11に吊り下げられた状態で架設区間C上(下り線上)に送り出される。
そして、前後両横取装置20が下り線側の所定位置に達したところで、横取装置20を停止させる。これにより、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gは、架設区間C上において橋桁Gの設置位置に対応した位置に吊り下げられた状態となる。
【0041】
(4)橋桁Gの設置工程
次に、この橋桁Gを架設区間C内の橋座A(本発明の桁座部に該当する)に据え付ける。図12には、橋桁設置工程の様子を示す側面図を、図13には、図12のE−E断面図を示した。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させる。そして、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gが、橋座A位置に達したところで両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、橋桁Gを所定の位置にセットした後、橋桁Gを吊り下げていたチェーンブロック12を外し、橋桁Gを橋座A上に設置する。なお、横取装置20を移動させつつ縦梁受け部24を下降させてもよい。
【0042】
(5)縦梁部材10の戻し工程
次に、橋桁Gを降ろした縦梁部材10を側方スペースSに戻す。図14には、縦梁戻し工程の様子を示す平面図を、図15には、図14の側面図を示した。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を上昇させることにより、橋桁Gの設置位置から縦梁部材10を上昇させる。縦梁部材10の上昇に伴い、橋桁Gの上面に載っていた伸縮式ベンド14が、鋼棒17によってベント吊り梁16から吊り下げられた状態になる。そして、前後両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、伸縮式ベンド14を橋桁Gの高さ分だけ伸ばしてセットする。これにより、縦梁部材10を橋桁Gを介さず運搬台車40に載せた際、縦梁部材10の前後両端部にある横取装置20を吊り下げ可能な高さが確保されるようになっている。次いで、横取装置20を横梁部材30に添って横方(下り線側から上り線側)へ移動させると、これに伴って縦梁部材10も下り線側から上り線側へ移動する。伸縮式ベンド14が上り線上に留め置かれた運搬台車40上に至ったところで横取装置20の移動を停止させる。なお、縦梁受け部24の上昇と伸縮式ベンド14の高さ調整とは同時に行ってもよい。
【0043】
(6)撤収工程
次に、縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する。図16には、縦梁部材10が運搬台車40上に支持された状態を示す側面図を、図17には、横梁部材30を運搬台車40の走行方向に沿った向きに旋回した様子を示す平面図を、図18には、撤収工程の様子を示す側面図を示した。
まず、前後両縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させ、伸縮式ベンド14を運搬台車40上に載せた状態にする。こうして、縦梁部材10を運搬台車40で支持可能な状態にした後、前後両横取装置20の支柱21をその下端の横梁部材30が受け梁35上から浮く位置まで上昇させる。すると、縦梁部材10は前後2台の運搬台車40において支持された状態になる(図16参照)。そして、横方向(縦梁部材10の軸線方向に対し略直角方向)に向いている横梁部材30を、縦梁部材10の軸線方向、つまり運搬台車40の走行方向に沿った向きに旋回させる(図17参照)。この後、本線レールR脇に設置されている受け梁35を取り除くとともに前側の運搬台車40に軌道モーターカー44を連結させ、この軌道モーターカー44を本線レールRに沿って前進させることにより、縦梁部材10および横梁部材30を側方スペースSから撤去させ、さらに基地まで搬送する。
【0044】
B.橋桁Gの撤去方法
次に、前述の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの撤去方法について述べる。
この橋桁Gの撤去方法は、基本的に前述した架設方法の逆のプロセスを辿ることになる。
この撤去方法は、橋桁工事用装置1を使用し、縦梁部材10を撤去区間Dの側方スペースSに搬入する縦梁搬入工程と、横梁部材30を撤去区間Dを跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、縦梁部材10を撤去区間D上に送る縦梁送り工程と、橋桁Gを縦梁部材10に吊り下げ可能に取り付ける橋桁取付工程と、縦梁部材10に橋桁Gを吊り下げた状態として撤去区間D上から側方スペースSに横送りする橋桁横送り工程と、縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する撤収工程と、を行うことにより、橋桁Gを撤去区間Dから撤去する橋桁Gの撤去方法である。
【0045】
以下、この工程を順を追って説明する。なお、架設方法の説明に用いた図面を使って説明し、架設方法と重複する部分については説明を省略する。
(1)縦梁部材10の搬入工程
基地において、引き込み線のレール上に橋桁工事用装置1を設置する。
まず、伸縮式ベンド14と運搬台車40とを上下軸線上に位置あわせしつつ、縦梁部材10を2台の運搬台車40で支持した状態にする。このとき、図18に示すのと同様に、横梁部材30を縦梁部材10の両端に吊り下げた状態とする。
そして、前側の運搬台車40を連結ロッド45によって軌道モーターカー44に連結し、前後両横梁部材30をそれぞれ運搬台車40の走行方向に沿った向きにして、縦梁部材10を載せた運搬台車40を軌道モーターカー44で牽引することにより、引き込み線のレールから上り線側の本線レールRに沿って走行させる。こうして縦梁部材10を撤去区間Cの側方スペースS上に至るまで前進させ、撤去区間Cの側方スペースSに搬入する。
【0046】
(2)横梁部材30の設置工程
次に、横梁部材30を撤去区間Dを跨いだ状態に設置する。
上記した架設の場合と同様に、縦梁部材10の部材軸方向に沿った向きになっている横梁部材30を旋回させて上下線間に架け渡される向きにし、予め設置した受け梁35上に横梁部材30を降ろして支持させ、縦梁受け部24を上下動不能に固定する(図14および図15参照)。これにより、前後両横梁部材30は、下り線における撤去区間Dを跨いだ状態で設置されるとともに、縦梁部材10は前後両横取装置20によって支持された状態になる。
【0047】
(3)縦梁部材10の送り工程
次に、縦梁部材10を撤去区間D上に横送りする。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を上昇させることにより、運搬台車40の上面に載っていた伸縮式ベンド14を、縦梁部材10から吊り下げた状態にする。そして、前後両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、伸縮式ベンド14を橋桁Gの高さ分だけ縮めてセットする(図12参照)。これにより、縦梁部材10を橋桁Gを介して運搬台車40に載せた際、その全高が横取装置20を吊り下げ可能な高さを確保しつつできるだけ低くなるようにされている。
そして、横取装置20を横梁部材30上の横取レール33に沿って横方(上り線側から下り線側)へ移動させると、縦梁部材10も、この横取装置20に伴って上り線側から下り線側へ移動する。この縦梁部材10の送り出しの際、運搬台車40は側方スペースS(上り線上)に留め置かれ、縦梁部材10は、撤去区間D上(下り線上)に送り出される(図9参照)。
そして、前後両横取装置20が下り線側の所定位置に達したところで、横取装置20を停止させる。これにより、縦梁部材10は、撤去区間D上において撤去する橋桁Gの上方位置に至った状態となる。なお、縦梁受け部24の上昇と伸縮式ベンド14の高さ調整とは同時に行ってもよい。
【0048】
(4)撤去する橋桁Gの取付工程
次に、この縦梁部材10に撤去する橋桁Gを取り付ける。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させる。そして、縦梁部材10が、橋桁Gの吊り下げ作業が可能な高さに達したところで両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、伸縮式ベンド14の下面を橋桁Gの上面に接触させた状態で、縦梁部材10の桁吊り部11と橋桁Gとをチェーンブロック12により連結する。
【0049】
(5)撤去する橋桁Gの横送り工程
次に、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gを撤去区間D上から側方スペースSに横送りする。
まず、横取装置20の縦梁受け部24を上昇させるととともに横取装置20を横梁部材30上の横取レール33に沿って横方(下り線側から上り線側)へ移動させると、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gも、この横取装置20に伴って下り線側から上り線側へ移動する。そして、縦梁部材10の伸縮式ベンド14が上り線上に留め置かれた運搬台車40上に至ったところで横取装置20の移動を停止させる(図6参照)。
【0050】
(6)撤収工程
次に、縦梁部材10および橋桁Gを横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する。
まず、前後両縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させ、橋桁Gを運搬台車20上に載せた状態にする(図7参照)。そして、横梁部材30を、受け梁35上から浮く位置まで上昇させると、縦梁部材10および橋桁Gは前後2台の運搬台車40において支持された状態になる(図1参照)。そして、横梁部材30を運搬台車40の走行方向に沿った向きに旋回させ、軌道モーターカー44を本線レールRに沿って前進させることにより、縦梁部材10および橋桁Gを横梁部材30とともに側方スペースSから撤去させ、さらに基地まで搬送する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る橋桁工事用装置1を用いて橋桁Gの架設もしくは撤去工事を行えば、横取装置20によって縦梁部材10を所定の高さで支持し、横梁部材30を下降させることによりその横梁部材30を架設区間Cまたは撤去区間Dを跨いだ状態に設置することができ、縦梁部材10に橋桁Gを吊り下げた状態とした後、この縦梁部材10を横取装置20により横梁部材30に沿って移動させることにより、架設区間C上に橋桁Gを横送り(撤去の際には撤去区間Dから橋桁Gを横送り)することができる。これにより、横梁部材の設置において、橋桁Gを所定の高さ位置で横送りするために、この横梁部材の設置高さを調節する架台等の設備を設置しなくてもよいから、従来に比べ横梁部材を設置する作業が短時間で済む。また、橋桁Gを設置もしくは撤去した後、横梁部材30および縦梁部材10をすみやかに側方スペースSから撤収できるから、従来のように横梁部材およびそれに係る架台等の設備の解体作業を現場で行わなくてもよく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0052】
また、橋桁Gを縦梁部材10に一体化して架設区間Cの側方スペースSに搬入、または撤去区間Dの側方スペースSから撤収することができる。これにより、橋桁Gの取り付けまたは取り外しを現場以外の場所で行うことができるから、その分現場での作業時間を減らすことができ、また、現場にこの作業のためのスペースを確保しなくてもよい。さらに、トレーラー等の橋桁運搬手段を別途手配しなくてもよい。
【0053】
加えて、横取装置20は横梁部材30の上面に備えられた横取レール33に沿って横梁部材30の部材軸方向に走行可能とされているから、横取装置20の移動は規定の範囲内に限られる。これにより、横取装置20の移動に係る制御が容易となり、スムーズに横取装置20を移動することができる。
【0054】
また、運搬台車40は、レール上を走行可能な軌条走行車輪41を備えているので、架設区間Cの側方スペースS(撤去の際は撤去区間Dの側方スペースS)に敷設された本線レールRまたは本線レールRから分岐する引き込み線のレール上を走行可能とされている。これにより、運搬台車40は既設の本線レールRを使用してスムーズに側方スペースSに搬入、もしくは側方スペースSから搬出される。
【0055】
そして、運搬台車40は縦梁部材10の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、横梁部材30はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされているので、縦梁部材10を横梁部材30と共に運搬する際には、横梁部材30を旋回させて運搬台車40の走行方向に沿う方向にしておくことができる。これにより、運搬する際に、運搬経路の沿道に設置されている既設構造物(例えば電柱や各種建物等)に横梁部材30が接触してしまうことを回避できる。
【0056】
また、縦梁部材10の下面には伸縮式ベンド14が設けられ、この縦梁部材10は、運搬台車40上に載置された橋桁G上に伸縮式ベンド14の下面を接触させることで橋桁Gを介して運搬台車40に支持される。これにより、縦梁部材10の下面において橋桁Gを避ける位置に伸縮式ベンド14を配さなくてもよいから、伸縮式ベンド14と橋桁Gとを縦梁部材10の部材軸方向に離間させて配するのに比べ、縦梁部材10の長さを短くすることができる。したがって、橋桁工事用装置1をコンパクトなものにすることができ、運搬が容易となる。
【0057】
加えて、伸縮式ベンド14は上下に伸縮可能であるので、橋桁Gを介して縦梁部材10を運搬台車40に支持するときは、橋桁Gの高さ分だけ伸縮式ベンド14を縮めることにより全体の高さをできるだけ低く抑えることができ、橋桁Gを介さずに縦梁部材10を支持するときは、伸縮式ベンド14を伸ばすことにより縦梁部材10を運搬するのに必要な高さを確保することができる。このように、伸縮式ベンド14を上下に伸縮することにより運搬に必要な所定の高さを確保しつつできるだけ全体の高さを低く抑えることができるから、橋桁工事用装置1をよりコンパクトなものにすることができる。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
(1)上記実施形態では、橋桁Gの架設および撤去方法についてそれぞれ説明したが、架設方法および撤去方法を併用することにより橋桁の架け替えにも対応できる。
【0060】
(2)上記実施形態に係る橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設および撤去においては、鋼製桁、RC桁、PC桁等さまざまな橋桁の架設および撤去に対応できる。
【0061】
(3)上記実施形態では、各径間毎に1本ずつの橋桁Gを架設もしくは撤去する方法について説明したが、これに限らず、各径間毎に複数本の橋桁を並べて架設する、もしくは複数本並んだ既設の橋桁を撤去する場合にも適用できる。
【0062】
(4)上記実施形態の架設方法では、橋桁Gを取り付けてから架設区間Cの側方スペースSに搬入したが、これに限らず、縦梁部材10を側方スペースSに搬入した後、その側方スペースSにおいて橋桁Gの取り付けを行ってもよい。
【0063】
(5)上記実施形態の撤去方法では、橋桁Gを取り付けた状態で撤去区間Dの側方スペースSから搬出したが、これに限らず、その側方スペースSにおいて橋桁Gの取り外しを行ってもよい。
【0064】
(6)上記実施形態においては、受け梁35上に横梁部材30を降ろして支持させるようにしているが、横梁部材は必ずしも受け梁上に支持させなくてもよく、例えば、緩衝部材を介して本線レール上に支持させるようにしてもよい。
【0065】
(7)上記実施形態においては、搬送時に前後両横梁部材30を本線レールRから浮かせた状態で搬送したが、これに限らず、例えば前後両横梁部材の下面に車を設けレール上を走行させるようにしてもよい。
【0066】
(8)上記実施形態においては、横梁部材30は2本のH型鋼31よりなるとされているが、これに限らず、例えば、各種鋼製の板材を組み合わせてなるものであってもよい。
【0067】
(9)上記実施形態においては、横梁部材30の上面には、横取装置20の下端に備えられた車輪23が走行可能な横取レール33が備えられているが、この横取レール33は備えられていなくても構わず、例えば、横取装置の下端に平面を走行可能なタイヤを設け、横梁部材の上面を移動するようにしてもよい。このとき、横梁部材の周縁に側壁等を設けてタイヤが横梁部材上から脱輪しないようにしてもよい。
【0068】
(10)上記実施形態では、運搬台車40はレール上を走行可能な軌条走行車輪41を備えているが、これに限らず、例えばレールのない路面を走行可能なタイヤを備えていてもよい。
【0069】
(11)上記実施形態では、横梁部材30は、縦梁部材10の軸線方向に沿った向きと縦梁部材10の軸線方向に対し略直角方向となる向きとの間で旋回されるようになっているが、横梁部材は旋回できなくても構わず、例えば、縦梁部材および横梁部材を運搬する運搬経路の幅が十分広い場合などにおいては、必ずしも横梁部材を縦梁部材の軸線方向、つまり運搬台車の走行方向に沿った向きにして走行させなくてもよい。
【0070】
(12)上記実施形態では、縦梁部材10は伸縮式ベンド14を介して運搬台車40に支持されるようになっているが、縦梁部材は必ずしも伸縮式ベンドを介して運搬台車に支持されていなくてもよく、例えば、運搬台車に柱状の支持部材を設けることにより、この支持部材に縦梁部材を支持させるようにしてもよい。
【0071】
(13)上記実施形態では、伸縮式ベンド14は上下方向に伸縮可能な伸縮機能を備えているが、例えば、運搬経路や側方スペース等において、その上方空間に高架橋が架渡されていたり電車架空線等が配されている等の制約がない場合等には、この伸縮式ベンドの替わりに伸縮機能を備えていないベンドを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】架設時において本実施形態の橋桁工事用装置が架設区間の側方スペースに搬入された状態を表す側面図
【図2】図1の状態における橋桁工事用装置の正面図
【図3】図1のA−A断面図
【図4】図1のB−B断面図
【図5】図1の平面図
【図6】横梁設置工程の様子を示す平面図
【図7】図6の側面図
【図8】図6のC−C断面図
【図9】橋桁横送り工程の様子を示す平面図
【図10】図9の側面図
【図11】図9のD−D断面図
【図12】橋桁設置工程の様子を示す側面図
【図13】図12のE−E断面図
【図14】縦梁戻し工程の様子を示す平面図
【図15】図14の側面図
【図16】縦梁部材が運搬台車上に支持された状態を示す側面図
【図17】横梁部材を運搬台車の走行方向に沿った向きに旋回した様子を示す平面図
【図18】撤収工程の様子を示す側面図
【符号の説明】
【0073】
1…橋桁工事用装置
10…縦梁部材
14…伸縮式ベンド(支持機構)
20…横取装置(移動支持機構)
30…横梁部材
33…横取レール(軌道部)
40…運搬台車(運搬機構)
41…軌条走行車輪
A…橋座(桁座部)
C…架設区間
D…撤去区間
G…橋桁
R…本線レール(レール)
S…側方スペース
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁の架設および撤去方法と橋桁工事用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場から輸送された橋桁を現場で設置する架設工法の一種として、橋桁を架設する架設区間の側方に設けられた側方スペースに橋桁を搬入し、この橋桁を横方向に送り出して所定位置に架け並べる工法がある(例えば特許文献1)。この工法は、側方スペースから架設区間にかけて横梁を架渡し、側方スペースに運び込んだ橋桁を横梁における側方スペース側の端部に取り付けた後、この橋桁を横梁に沿って架設区間側に横送りして所定位置に設置する工法である。
また、既設の橋桁を撤去する工法の一種として、橋桁を撤去する撤去区間からその側方スペースにかけて横梁を架渡し、この横梁に沿って既設の橋桁を側方スペースに横送りし、撤去する工法がある。
【特許文献1】特開平9−59930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような工法では、橋桁の設置および撤去作業に入る前に、あらかじめ横梁を架渡しておく必要があり、かつ、橋桁の設置および撤去作業が終了した後、横梁を撤去する必要がある。また、横梁の架渡しには、橋桁を所定の高さ位置において横送りするために、この横梁の設置高さを調節して支持する架台等の設備が必要とされる。この設備の設置および撤去作業を短時間で行うことは非常に困難であり、一連の作業を終えるには長い時間を必要とし、その間、これら設備は現場に組み上げたまま留め置かれることになる。
【0004】
そして、側方スペースが狭い場合、これらの設備が、近接する道路や鉄道等の建築限界を侵してしまうこともある。このような場合、近接する道路や鉄道の交通規制を行った上で作業を行う、もしくは通行車両のない時間帯を見計らって作業を行うことになる。しかし、長時間にわたって交通規制を行うことは難しく、また通行車両のない時間帯となると非常に短い時間に限られてしまい対応できないという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、現場での作業時間を短縮し短時間で現場を明渡すことができる橋桁の架設および撤去方法と、その方法に用いる橋桁工事用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、橋桁の架設区間の側方スペースから橋桁を横送りして架設する橋桁の架設方法であって、前記架設区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、この縦梁部材の両端において前記架設区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記架設区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記架設区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記横梁部材に沿ってこの縦梁部材を移動させて前記架設区間上に前記橋桁を横送りする橋桁横送り工程と、前記縦梁部材に吊り下げられている前記橋桁を下降させて前記架設区間内に設けられた桁座部上に設置する橋桁設置工程と、前記橋桁を離した前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記架設区間上から前記側方スペースに戻す縦梁戻し工程と、前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の方法において、前記縦梁搬入工程では、予め前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げ可能な状態に一体化して前記運搬機構により前記架設区間の側方スペースに搬入するところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、橋桁の撤去区間からこの撤去区間の側方スペースへ橋桁を横送りして撤去する橋桁の撤去方法であって、前記撤去区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、この縦梁部材の両端において前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記撤去区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記撤去区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記横梁部材に沿って移動させて前記撤去区間上に送る縦梁送り工程と、前記縦梁部材を下降させて前記撤去区間の前記橋桁をこの縦梁部材に吊り下げ可能に取り付ける橋桁取付工程と、前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記撤去区間上から前記側方スペースに横送りする橋桁横送り工程と、前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の方法において、前記撤収工程では、前記縦梁部材に吊り下げられた前記橋桁を前記縦梁部材に一体化して前記運搬機構により前記撤去区間の側方スペースから撤収するところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、架設区間への橋桁の架設または撤去区間からの橋桁の撤去を行う橋桁工事用装置であって、前記架設区間または前記撤去区間よりも全長が長くかつ前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、この縦梁部材の両端において前記架設区間または前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構と、を備えるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記横梁部材の上面にはこの横梁部材の部材軸方向に沿って延びる軌道部が備えられ、前記移動支持機構がこの軌道部に沿って走行可能とされているところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載のものにおいて、前記運搬機構は、前記架設区間の側方スペースまたは前記撤去区間の側方スペースに敷設されたレール上を走行可能な軌条走行車輪を備えるところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項5〜請求項7のいずれかに記載のものにおいて、前記運搬機構は、前記縦梁部材の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、前記横梁部材はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされているところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項5〜請求項8のいずれかに記載のものにおいて、前記運搬機構は、前記橋桁と一体化された前記縦梁部材を支持して運搬可能とされているところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載のものにおいて、前記縦梁部材の下面には支持機構が設けられ、この縦梁部材は、前記運搬機構上に載置された前記橋桁上に前記支持機構の下面を接触させることで前記橋桁を介して前記運搬機構に支持されるところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項10に記載のものにおいて、前記支持機構は、上下に伸縮可能であるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
<請求項1、請求項3および請求項5の発明>
請求項1、請求項3および請求項5の発明によれば、移動支持機構によって縦梁部材を所定の高さで支持し、横梁部材を下降させることによりその横梁部材を架設区間または撤去区間を跨いだ状態に設置することができ、縦梁部材に橋桁を吊り下げた状態とした後、この縦梁部材を移動支持機構により横梁部材に沿って移動させることにより、架設区間上に橋桁を横送り(撤去の際には撤去区間から橋桁を横送り)することができる。これにより、横梁部材の設置において、橋桁を所定の高さ位置において横送りするために、この横梁部材の設置高さを調節する架台等の設備を設置しなくてもよいから、従来に比べ横梁部材を設置する作業が短時間で済む。また、橋桁を設置もしくは撤去した後、横梁部材および縦梁部材をすみやかに側方スペースから撤収できるから、従来のように横梁部材およびそれに係る架台等の設備の解体作業を現場で行わなくてもよく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0018】
<請求項2、請求項4および請求項9の発明>
請求項2、請求項4および請求項9の発明によれば、橋桁を縦梁部材に一体化して架設区間の側方スペースに搬入、または撤去区間の側方スペースから撤収することができる。これにより、橋桁の取り付けまたは取り外しを現場以外の場所で行うことができるから、その分現場での作業時間を減らすことができ、また、現場にこの作業のためのスペースを確保しなくてもよい。さらに、トレーラー等の橋桁運搬手段を別途手配しなくてもよい。
【0019】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、移動支持機構は横梁部材の上面に備えられた軌道部に沿って横梁部材の部材軸方向に走行可能とされているから、移動支持機構の移動は規定の範囲内に限られる。これにより、移動支持機構の移動に係る制御が容易となり、スムーズに移動支持機構を移動することができる。
【0020】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、運搬機構は、架設区間の側方スペースまたは撤去区間の側方スペースに敷設されたレール上を走行可能な軌条走行車輪を備えているので、運搬機構は既設のレールを使用してスムーズに側方スペースに搬入、もしくは側方スペースから搬出される。
【0021】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、運搬機構は縦梁部材の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、横梁部材はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされているので、縦梁部材を横梁部材と共に運搬する際には、横梁部材を旋回させて運搬機構の走行方向に沿う方向にしておくことができる。これにより、運搬する際に、その運搬経路の沿道に設置されている既設構造物(例えば電柱や各種建物等)に横梁部材が接触してしまうことを回避できる。
【0022】
<請求項10の発明>
請求項10の発明によれば、縦梁部材の下面には支持機構が設けられ、この縦梁部材は、運搬機構上に載置された橋桁上に支持機構の下面を接触させることで橋桁を介して運搬機構に支持される。これにより、縦梁部材の下面において橋桁を避ける位置に支持機構を配さなくてもよいから、支持機構と橋桁とを縦梁部材の部材軸方向に離間させて配するのに比べ、縦梁部材の長さを短くすることができる。したがって、橋桁工事用装置をコンパクトなものにすることができ、運搬が容易となる。
【0023】
<請求項11の発明>
請求項11の発明によれば、支持機構は上下に伸縮可能であるので、橋桁を介して縦梁部材を運搬機構に支持するときは、橋桁の高さ分だけ支持機構を縮めることにより全体の高さをできるだけ低く抑えることができ、橋桁を介さずに縦梁部材を支持するときは、支持機構を伸ばすことにより縦梁部材を運搬するのに必要な高さを確保することができる。このように、支持機構を上下に伸縮することにより運搬に必要な所定の高さを確保しつつできるだけ全体の高さを低く抑えることができるから、橋桁工事用装置をよりコンパクトなものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本実施形態の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設および撤去方法について図1〜図18によって説明する。ここでは、図5に示すような、鉄道の複線区間において、下り線側に橋桁Gを架設、もしくは下り線側から橋桁Gを撤去する場合について説明する。なお、下り線側における架設区間Cまたは撤去区間Dを除いた部分と、上り線側とには本線レールR(本発明のレールに該当する)が敷かれている。
【0025】
図1には、架設時において本実施形態の橋桁工事用装置1が架設区間Cの側方スペースSに搬入された状態を表す側面図を、図3、図4および図5には、図1のA−A断面図、B−B断面図および平面図を示した。以下、各構成部材において、図1における右側(軌道モーターカー44側)を前方、左側を後方として説明する。
【0026】
まず橋桁工事用装置1について述べる。この橋桁工事用装置1は、架設区間Cへの橋桁Gの架設、または撤去区間Dからの橋桁Gの撤去を行うためのものである。
【0027】
この橋桁工事用装置1は、橋桁Gを吊り下げる縦梁部材10を備えている。縦梁部材10は鋼材からなり、橋桁Gを架設しようとする架設区間C(撤去の際には橋桁Gを撤去しようとする撤去区間D)の長さよりもやや長い角筒状とされている。
【0028】
縦梁部材10の前後両端部には、この縦梁部材10および橋桁Gを吊り下げた状態の縦梁部材10を支持可能な横取装置20(本発明の移動支持機構に該当する)が設けられている。各横取装置20は、上下方向に長い4本の支柱21を備えている。この支柱21の下端は、この4本の支柱21の軸線から等距離にある線を中心軸として回転可能に連結された回転台座22に支持されている。この回転台座22は略四角形の板状をなし、その下面には二対の車輪23が備えられている。
【0029】
各回転台座22の下方にはそれぞれ横梁部材30が設けられている。これらの横梁部材30は縦梁部材10の両端部に位置しており、架設区間Cまたは撤去区間Dの間隔よりも長い距離を隔てて設けられている。横梁部材30は、図2に示すように、2本のH型鋼31よりなり、各H型鋼31の腹部31Aがそれぞれ上下方向に延びるようにして並列され、両者の間が複数箇所において連結部材32により連結されている。そして、各H型鋼31の上側フランジ部31Bの上面には、回転台座22の下面に備えられた車輪23が走行可能な横取レール33(本発明の軌道部に該当する)が備えられている。横取レール33は、上側フランジ部31Bにおける部材幅方向ほぼ真中位置、つまり腹部31Aに対応する位置において部材軸方向に沿って延びており、その横取レール33の並列間隔は、回転台座22に備えられた一対の車輪23の間隔とほぼ同じ間隔とされており、横取レール33上を車輪23が走行可能となっている。なお、横梁部材30は、複数本の鋼棒34により回転台座22の下方に吊り下げ可能となっており、この吊り下げ状態で回転台座22を回転させることにより、横梁部材30を、縦梁部材10の軸線方向に沿った向きと縦梁部材10の軸線方向に対し略直角方向となる向きとの間で旋回できるようになっている(図6を併せて参照)。
【0030】
架設区間Cに架設される新設の橋桁G(撤去の際には撤去区間Dから撤去される橋桁G)の上面において、その前後両端から所定の間隔だけ中心側へ入った位置の2箇所には、1箇所につき左右一対の桁吊り用ピース13が設けられている。一方、縦梁部材10においてこの桁吊り用ピース13に対応する位置の前後2箇所には、桁吊り部11が備えられている。各桁吊り部11は、図4に示すように、縦梁部材10の左右幅よりも左右両外側に張り出した梁状をなし、その両端には橋桁Gを吊り下げるチェーンブロック12が下げられている。この桁吊り部11のチェーンブロック12を橋桁Gの桁吊り用ピース13に連結することにより、橋桁Gは縦梁部材10に吊り下げ可能である。
【0031】
橋桁Gおよび縦梁部材10の下方には、これらを載せて搬送するための運搬台車40(本発明の運搬機構に該当する)が、前後に2台配されている(図1参照)。2台の運搬台車40は、縦梁部材10、もしくは橋桁Gおよび縦梁部材10を載せた際、前後にバランスをとって支持可能となるように、所定の間隔を空けて配されている。各運搬台車40はレール上を走行可能な軌条走行車輪41を備えており、上り線に敷かれた本線レールRまたは本線レールRから分岐する引き込み線(図示せず)のレール上を走行可能とされている。また、運搬台車40は、縦梁部材10を、その部材軸方向が走行方向に沿った向きとなるようにして運搬するようにされている。なお、運搬台車40はアウトリガー付きのものであり、縦梁部材10、もしくは橋桁Gおよび縦梁部材10を支えた状態で安定を保つことができるようになっている。
【0032】
各運搬台車40には、橋桁Gおよび縦梁部材10を載せる桁載せ部42が備えられている。この桁載せ部42は、上方から見ると横幅が橋桁Gの横幅とほぼ同じ幅の略長方形の板状をなしている(図9を併せて参照)。この桁載せ部42の左右両端には、図3に示すように、それぞれレバーブロック43が備えられている。なお、前後両運搬台車40のうち、前側の運搬台車40には軌道モーターカー44が連結ロッド45により連結され、この軌道モーターカー44により橋桁工事用装置1が牽引されるようになっている。
【0033】
縦梁部材10の下面には、橋桁Gもしくは運搬台車40上に載置可能な伸縮式ベンド14(本発明の支持機構に該当する)が備えられている(図1参照)。伸縮式ベンド14は、縦梁部材10の下面において2台の運搬台車40にそれぞれ対応する前後2ヶ所に配され、その下部には、運搬台車40の桁載せ部42の上面と対向するベース部15が備えられている(図3参照)。このベース部15は、橋桁Gの左右幅とほぼ同じ幅の略長方形の板状をなしており、その横方向における両端には、運搬台車40に備えられたレバーブロック43がそれぞれ連結されるようになっている。そして、桁載せ部42に橋桁Gを載せ、その上にベース部15を接触させた状態で、レバーブロック43のレバー43Aを操作することにより、橋桁Gは桁載せ部42とベース部15とにより挟まれてその位置ずれが防止されるようになっている。こうして、縦梁部材10は、運搬台車40上に載置された橋桁G上に伸縮式ベンド14のベース部15の下面を接触させることで橋桁Gを介して運搬台車40に支持されるようになっている。また、伸縮式ベンド14は上下方向に伸縮可能な伸縮機能を備えており、伸縮式ベンド14が上下方向に伸縮することにより橋桁Gと縦梁部材10との間の上下間隔が調節されるようになっている。
【0034】
縦梁部材10の上面において、伸縮式ベンド14に対応する前後2箇所には、1箇所につき2本ずつ、ベンド吊り梁16が備えられている。ベンド吊り梁16は、図3に示すように、縦梁部材10の左右方向幅よりも左右方向に張り出した梁部材であって、その両端部には鋼棒17が備えられている。そして、この鋼棒17により、伸縮式ベンド14は縦梁部材10を挟んでベンド吊り梁16から吊り下げられた形態で縦梁部材10に固定されている。こうして伸縮式ベンド14は、縦梁部材10に吊り下げ可能とされている。
【0035】
各横取装置20には、リフト機能を備えた縦梁受け部24が備えられている(図2参照)。縦梁受け部24は、4本の支柱21に沿って上下方向に昇降するとともに、支柱21に対し任意の高さで上下動不能に固定可能とされている。この縦梁受け部24にはそれぞれ縦梁部材10の端部が連結されており、縦梁受け部24を支柱21に対して上下方向に昇降させて固定することにより、支柱21に対して縦梁部材10の高さ位置を任意に設定できるようになっている。また、縦梁部材10を運搬台車40で支持した状態では、縦梁受け部24に対し支柱21を上下方向に昇降するとともにこの支柱21を縦梁受け部24に対し任意の高さで上下動不能に固定することができる。これにより、支柱21を縦梁受け部24に対して上下方向に昇降させて固定することにより、支柱21の下端に備えられた横梁部材30の高さ位置を縦梁部材10に対し任意に設定できるようになっている。
【0036】
また、横取装置20を横梁部材30の横取レール33に沿って走行させると、縦梁受け部24に連結されている縦梁部材10が、横梁部材30に添って移動するようになっている。なお、横取装置20は、横梁部材30上を走行しながら縦梁受け部24を上下に昇降させることができるようになっている。
【0037】
A.橋桁Gの架設方法
次に、前述の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設方法について述べる。
この架設方法は、橋桁工事用装置1を使用し、縦梁部材10を架設区間Cの側方スペースSに搬入する縦梁搬入工程と、横梁部材30を架設区間Cを跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、縦梁部材10に吊り下げられた新設用の橋桁Gを架設区間C上に横送りする橋桁横送り工程と、橋桁Gを橋座A上に据え付ける橋桁設置工程と、縦梁部材10を架設区間C上から側方スペースSに戻す縦梁戻し工程と、縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する撤収工程と、を行うことにより、橋桁Gを架設区間Cに設置する橋桁Gの架設方法である。
【0038】
以下、この工程を順を追って説明する。
(1)縦梁部材10の搬入工程
本実施形態の橋桁工事用装置1の基地には、上り線側の本線レールRから分岐する引き込み線が敷設されている。この引き込み線のレール上において、伸縮式ベンド14と運搬台車40とを上下軸線上に位置あわせしつつ、橋桁Gと縦梁部材10とを2台の運搬台車40で支持した状態にする。このとき、橋桁Gを運搬台車40と伸縮式ベンド14との間でしっかりと挟み付け固定するとともに、横梁部材30を縦梁部材10の両端に吊り下げた状態とする(図1参照)。また、桁吊り部11のチェーンブロック12を橋桁Gの桁吊り用ピース13に連結する。
そして、前側の運搬台車40に軌道モーターカー44を連結ロッド45を用いて連結し、前後両横梁部材30をそれぞれ運搬台車40の走行方向に沿った向きにして、橋桁Gおよび縦梁部材10を載せた運搬台車40を軌道モーターカー44で牽引することにより、引き込み線のレールから上り線側の本線レールRに沿って走行させる。こうして橋桁Gおよび縦梁部材10が架設区間Cの側方スペースS上に至るまで前進させ、縦梁部材10を架設区間Cの側方スペースSに搬入する(図5参照)。
【0039】
(2)横梁部材30の設置工程
次に、横梁部材30を架設区間Cを跨いだ状態に設置する。図6には、横梁設置工程の様子を示す平面図を、図7および図8には、図6の側面図およびC−C断面図を示した。
まず、縦梁部材10の部材軸方向に沿った向きになっている横梁部材30を、横取装置20の回転台座22を回転させることにより、縦梁部材10の部材軸方向に沿った方向に対し略直角方向、つまり横梁部材30が上下線間に架け渡される向きに旋回させる(図6参照)。そして、軌道モーターカー44と運搬台車40とを連結していた連結ロッド45を切り離すとともに、横梁部材30の下側における各本線レールRの両脇に受け梁35を設置する。この受け梁35には、本線レールRの高さ寸法よりも断面の高さ寸法が大きいH型鋼31を使用し、その腹部が上下方向に延びるようにして上り線側と下り線側にそれぞれ4本ずつ、計8本設置する。なお、受け梁35の長さは横梁部材30の部材幅方向寸法よりも長いくされている。また、受け梁35の下面(地表面側の面)には、一寸板からなる緩衝材35Aが備えられている。
次いで、前後両横取装置20の支柱21を縦梁受け部24に対して下降させ、横梁部材30の下面が受け梁35に当接したところで、支柱21を縦梁受け部24に対して上下動不能に固定する。この受け梁35上に横梁部材30を支持させることにより、横梁部材30の高さ位置を微調整して横梁部材30を略水平に設置できるとともに、横梁部材30上を横取装置20が移動する際の振動等が受け梁35によって吸収されるようになっている。こうして、前後両横梁部材30は、下り線における架設区間Cの前後スペースにそれぞれ設置され、つまり架設区間Cを跨いだ状態で設置されるとともに、縦梁部材10は前後両横取装置20によって支持された状態になる。
【0040】
(3)橋桁Gの横送り工程
次に、縦梁部材10に吊り下げられた新設用の橋桁Gを架設区間C上に横送りする。図9には、橋桁G横送り工程の様子を示す平面図を、図10および図11には、図9の側面図およびD−D断面図を示した。
まず、伸縮ベンド14と運搬台車40とを連結しているレバーブロック43を緩めて外し、橋桁Gの位置ずれ防止を解除するとともに、横取装置20の縦梁受け部24を上昇させる。そして、横取装置20を横梁部材30上の横取レール33に沿って横方(上り線側から下り線側へ)に移動させると、縦梁部材10の桁吊り部11からチェーンブロック12によって吊り下げられた橋桁Gも、この横取装置20に伴って上り線側から下り線側へ移動する(図9参照)。この橋桁Gの送り出しの際、運搬台車40は側方スペースS(上り線上)に留め置かれ、橋桁Gは、桁吊り部11に吊り下げられた状態で架設区間C上(下り線上)に送り出される。
そして、前後両横取装置20が下り線側の所定位置に達したところで、横取装置20を停止させる。これにより、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gは、架設区間C上において橋桁Gの設置位置に対応した位置に吊り下げられた状態となる。
【0041】
(4)橋桁Gの設置工程
次に、この橋桁Gを架設区間C内の橋座A(本発明の桁座部に該当する)に据え付ける。図12には、橋桁設置工程の様子を示す側面図を、図13には、図12のE−E断面図を示した。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させる。そして、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gが、橋座A位置に達したところで両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、橋桁Gを所定の位置にセットした後、橋桁Gを吊り下げていたチェーンブロック12を外し、橋桁Gを橋座A上に設置する。なお、横取装置20を移動させつつ縦梁受け部24を下降させてもよい。
【0042】
(5)縦梁部材10の戻し工程
次に、橋桁Gを降ろした縦梁部材10を側方スペースSに戻す。図14には、縦梁戻し工程の様子を示す平面図を、図15には、図14の側面図を示した。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を上昇させることにより、橋桁Gの設置位置から縦梁部材10を上昇させる。縦梁部材10の上昇に伴い、橋桁Gの上面に載っていた伸縮式ベンド14が、鋼棒17によってベント吊り梁16から吊り下げられた状態になる。そして、前後両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、伸縮式ベンド14を橋桁Gの高さ分だけ伸ばしてセットする。これにより、縦梁部材10を橋桁Gを介さず運搬台車40に載せた際、縦梁部材10の前後両端部にある横取装置20を吊り下げ可能な高さが確保されるようになっている。次いで、横取装置20を横梁部材30に添って横方(下り線側から上り線側)へ移動させると、これに伴って縦梁部材10も下り線側から上り線側へ移動する。伸縮式ベンド14が上り線上に留め置かれた運搬台車40上に至ったところで横取装置20の移動を停止させる。なお、縦梁受け部24の上昇と伸縮式ベンド14の高さ調整とは同時に行ってもよい。
【0043】
(6)撤収工程
次に、縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する。図16には、縦梁部材10が運搬台車40上に支持された状態を示す側面図を、図17には、横梁部材30を運搬台車40の走行方向に沿った向きに旋回した様子を示す平面図を、図18には、撤収工程の様子を示す側面図を示した。
まず、前後両縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させ、伸縮式ベンド14を運搬台車40上に載せた状態にする。こうして、縦梁部材10を運搬台車40で支持可能な状態にした後、前後両横取装置20の支柱21をその下端の横梁部材30が受け梁35上から浮く位置まで上昇させる。すると、縦梁部材10は前後2台の運搬台車40において支持された状態になる(図16参照)。そして、横方向(縦梁部材10の軸線方向に対し略直角方向)に向いている横梁部材30を、縦梁部材10の軸線方向、つまり運搬台車40の走行方向に沿った向きに旋回させる(図17参照)。この後、本線レールR脇に設置されている受け梁35を取り除くとともに前側の運搬台車40に軌道モーターカー44を連結させ、この軌道モーターカー44を本線レールRに沿って前進させることにより、縦梁部材10および横梁部材30を側方スペースSから撤去させ、さらに基地まで搬送する。
【0044】
B.橋桁Gの撤去方法
次に、前述の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの撤去方法について述べる。
この橋桁Gの撤去方法は、基本的に前述した架設方法の逆のプロセスを辿ることになる。
この撤去方法は、橋桁工事用装置1を使用し、縦梁部材10を撤去区間Dの側方スペースSに搬入する縦梁搬入工程と、横梁部材30を撤去区間Dを跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、縦梁部材10を撤去区間D上に送る縦梁送り工程と、橋桁Gを縦梁部材10に吊り下げ可能に取り付ける橋桁取付工程と、縦梁部材10に橋桁Gを吊り下げた状態として撤去区間D上から側方スペースSに横送りする橋桁横送り工程と、縦梁部材10を横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する撤収工程と、を行うことにより、橋桁Gを撤去区間Dから撤去する橋桁Gの撤去方法である。
【0045】
以下、この工程を順を追って説明する。なお、架設方法の説明に用いた図面を使って説明し、架設方法と重複する部分については説明を省略する。
(1)縦梁部材10の搬入工程
基地において、引き込み線のレール上に橋桁工事用装置1を設置する。
まず、伸縮式ベンド14と運搬台車40とを上下軸線上に位置あわせしつつ、縦梁部材10を2台の運搬台車40で支持した状態にする。このとき、図18に示すのと同様に、横梁部材30を縦梁部材10の両端に吊り下げた状態とする。
そして、前側の運搬台車40を連結ロッド45によって軌道モーターカー44に連結し、前後両横梁部材30をそれぞれ運搬台車40の走行方向に沿った向きにして、縦梁部材10を載せた運搬台車40を軌道モーターカー44で牽引することにより、引き込み線のレールから上り線側の本線レールRに沿って走行させる。こうして縦梁部材10を撤去区間Cの側方スペースS上に至るまで前進させ、撤去区間Cの側方スペースSに搬入する。
【0046】
(2)横梁部材30の設置工程
次に、横梁部材30を撤去区間Dを跨いだ状態に設置する。
上記した架設の場合と同様に、縦梁部材10の部材軸方向に沿った向きになっている横梁部材30を旋回させて上下線間に架け渡される向きにし、予め設置した受け梁35上に横梁部材30を降ろして支持させ、縦梁受け部24を上下動不能に固定する(図14および図15参照)。これにより、前後両横梁部材30は、下り線における撤去区間Dを跨いだ状態で設置されるとともに、縦梁部材10は前後両横取装置20によって支持された状態になる。
【0047】
(3)縦梁部材10の送り工程
次に、縦梁部材10を撤去区間D上に横送りする。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を上昇させることにより、運搬台車40の上面に載っていた伸縮式ベンド14を、縦梁部材10から吊り下げた状態にする。そして、前後両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、伸縮式ベンド14を橋桁Gの高さ分だけ縮めてセットする(図12参照)。これにより、縦梁部材10を橋桁Gを介して運搬台車40に載せた際、その全高が横取装置20を吊り下げ可能な高さを確保しつつできるだけ低くなるようにされている。
そして、横取装置20を横梁部材30上の横取レール33に沿って横方(上り線側から下り線側)へ移動させると、縦梁部材10も、この横取装置20に伴って上り線側から下り線側へ移動する。この縦梁部材10の送り出しの際、運搬台車40は側方スペースS(上り線上)に留め置かれ、縦梁部材10は、撤去区間D上(下り線上)に送り出される(図9参照)。
そして、前後両横取装置20が下り線側の所定位置に達したところで、横取装置20を停止させる。これにより、縦梁部材10は、撤去区間D上において撤去する橋桁Gの上方位置に至った状態となる。なお、縦梁受け部24の上昇と伸縮式ベンド14の高さ調整とは同時に行ってもよい。
【0048】
(4)撤去する橋桁Gの取付工程
次に、この縦梁部材10に撤去する橋桁Gを取り付ける。
まず、前後両横取装置20において縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させる。そして、縦梁部材10が、橋桁Gの吊り下げ作業が可能な高さに達したところで両縦梁受け部24を上下動不能に固定し、伸縮式ベンド14の下面を橋桁Gの上面に接触させた状態で、縦梁部材10の桁吊り部11と橋桁Gとをチェーンブロック12により連結する。
【0049】
(5)撤去する橋桁Gの横送り工程
次に、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gを撤去区間D上から側方スペースSに横送りする。
まず、横取装置20の縦梁受け部24を上昇させるととともに横取装置20を横梁部材30上の横取レール33に沿って横方(下り線側から上り線側)へ移動させると、縦梁部材10に吊り下げられた橋桁Gも、この横取装置20に伴って下り線側から上り線側へ移動する。そして、縦梁部材10の伸縮式ベンド14が上り線上に留め置かれた運搬台車40上に至ったところで横取装置20の移動を停止させる(図6参照)。
【0050】
(6)撤収工程
次に、縦梁部材10および橋桁Gを横梁部材30と共に側方スペースSから撤収する。
まず、前後両縦梁受け部24を下降させることにより縦梁部材10を下降させ、橋桁Gを運搬台車20上に載せた状態にする(図7参照)。そして、横梁部材30を、受け梁35上から浮く位置まで上昇させると、縦梁部材10および橋桁Gは前後2台の運搬台車40において支持された状態になる(図1参照)。そして、横梁部材30を運搬台車40の走行方向に沿った向きに旋回させ、軌道モーターカー44を本線レールRに沿って前進させることにより、縦梁部材10および橋桁Gを横梁部材30とともに側方スペースSから撤去させ、さらに基地まで搬送する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る橋桁工事用装置1を用いて橋桁Gの架設もしくは撤去工事を行えば、横取装置20によって縦梁部材10を所定の高さで支持し、横梁部材30を下降させることによりその横梁部材30を架設区間Cまたは撤去区間Dを跨いだ状態に設置することができ、縦梁部材10に橋桁Gを吊り下げた状態とした後、この縦梁部材10を横取装置20により横梁部材30に沿って移動させることにより、架設区間C上に橋桁Gを横送り(撤去の際には撤去区間Dから橋桁Gを横送り)することができる。これにより、横梁部材の設置において、橋桁Gを所定の高さ位置で横送りするために、この横梁部材の設置高さを調節する架台等の設備を設置しなくてもよいから、従来に比べ横梁部材を設置する作業が短時間で済む。また、橋桁Gを設置もしくは撤去した後、横梁部材30および縦梁部材10をすみやかに側方スペースSから撤収できるから、従来のように横梁部材およびそれに係る架台等の設備の解体作業を現場で行わなくてもよく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0052】
また、橋桁Gを縦梁部材10に一体化して架設区間Cの側方スペースSに搬入、または撤去区間Dの側方スペースSから撤収することができる。これにより、橋桁Gの取り付けまたは取り外しを現場以外の場所で行うことができるから、その分現場での作業時間を減らすことができ、また、現場にこの作業のためのスペースを確保しなくてもよい。さらに、トレーラー等の橋桁運搬手段を別途手配しなくてもよい。
【0053】
加えて、横取装置20は横梁部材30の上面に備えられた横取レール33に沿って横梁部材30の部材軸方向に走行可能とされているから、横取装置20の移動は規定の範囲内に限られる。これにより、横取装置20の移動に係る制御が容易となり、スムーズに横取装置20を移動することができる。
【0054】
また、運搬台車40は、レール上を走行可能な軌条走行車輪41を備えているので、架設区間Cの側方スペースS(撤去の際は撤去区間Dの側方スペースS)に敷設された本線レールRまたは本線レールRから分岐する引き込み線のレール上を走行可能とされている。これにより、運搬台車40は既設の本線レールRを使用してスムーズに側方スペースSに搬入、もしくは側方スペースSから搬出される。
【0055】
そして、運搬台車40は縦梁部材10の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、横梁部材30はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされているので、縦梁部材10を横梁部材30と共に運搬する際には、横梁部材30を旋回させて運搬台車40の走行方向に沿う方向にしておくことができる。これにより、運搬する際に、運搬経路の沿道に設置されている既設構造物(例えば電柱や各種建物等)に横梁部材30が接触してしまうことを回避できる。
【0056】
また、縦梁部材10の下面には伸縮式ベンド14が設けられ、この縦梁部材10は、運搬台車40上に載置された橋桁G上に伸縮式ベンド14の下面を接触させることで橋桁Gを介して運搬台車40に支持される。これにより、縦梁部材10の下面において橋桁Gを避ける位置に伸縮式ベンド14を配さなくてもよいから、伸縮式ベンド14と橋桁Gとを縦梁部材10の部材軸方向に離間させて配するのに比べ、縦梁部材10の長さを短くすることができる。したがって、橋桁工事用装置1をコンパクトなものにすることができ、運搬が容易となる。
【0057】
加えて、伸縮式ベンド14は上下に伸縮可能であるので、橋桁Gを介して縦梁部材10を運搬台車40に支持するときは、橋桁Gの高さ分だけ伸縮式ベンド14を縮めることにより全体の高さをできるだけ低く抑えることができ、橋桁Gを介さずに縦梁部材10を支持するときは、伸縮式ベンド14を伸ばすことにより縦梁部材10を運搬するのに必要な高さを確保することができる。このように、伸縮式ベンド14を上下に伸縮することにより運搬に必要な所定の高さを確保しつつできるだけ全体の高さを低く抑えることができるから、橋桁工事用装置1をよりコンパクトなものにすることができる。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0059】
(1)上記実施形態では、橋桁Gの架設および撤去方法についてそれぞれ説明したが、架設方法および撤去方法を併用することにより橋桁の架け替えにも対応できる。
【0060】
(2)上記実施形態に係る橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設および撤去においては、鋼製桁、RC桁、PC桁等さまざまな橋桁の架設および撤去に対応できる。
【0061】
(3)上記実施形態では、各径間毎に1本ずつの橋桁Gを架設もしくは撤去する方法について説明したが、これに限らず、各径間毎に複数本の橋桁を並べて架設する、もしくは複数本並んだ既設の橋桁を撤去する場合にも適用できる。
【0062】
(4)上記実施形態の架設方法では、橋桁Gを取り付けてから架設区間Cの側方スペースSに搬入したが、これに限らず、縦梁部材10を側方スペースSに搬入した後、その側方スペースSにおいて橋桁Gの取り付けを行ってもよい。
【0063】
(5)上記実施形態の撤去方法では、橋桁Gを取り付けた状態で撤去区間Dの側方スペースSから搬出したが、これに限らず、その側方スペースSにおいて橋桁Gの取り外しを行ってもよい。
【0064】
(6)上記実施形態においては、受け梁35上に横梁部材30を降ろして支持させるようにしているが、横梁部材は必ずしも受け梁上に支持させなくてもよく、例えば、緩衝部材を介して本線レール上に支持させるようにしてもよい。
【0065】
(7)上記実施形態においては、搬送時に前後両横梁部材30を本線レールRから浮かせた状態で搬送したが、これに限らず、例えば前後両横梁部材の下面に車を設けレール上を走行させるようにしてもよい。
【0066】
(8)上記実施形態においては、横梁部材30は2本のH型鋼31よりなるとされているが、これに限らず、例えば、各種鋼製の板材を組み合わせてなるものであってもよい。
【0067】
(9)上記実施形態においては、横梁部材30の上面には、横取装置20の下端に備えられた車輪23が走行可能な横取レール33が備えられているが、この横取レール33は備えられていなくても構わず、例えば、横取装置の下端に平面を走行可能なタイヤを設け、横梁部材の上面を移動するようにしてもよい。このとき、横梁部材の周縁に側壁等を設けてタイヤが横梁部材上から脱輪しないようにしてもよい。
【0068】
(10)上記実施形態では、運搬台車40はレール上を走行可能な軌条走行車輪41を備えているが、これに限らず、例えばレールのない路面を走行可能なタイヤを備えていてもよい。
【0069】
(11)上記実施形態では、横梁部材30は、縦梁部材10の軸線方向に沿った向きと縦梁部材10の軸線方向に対し略直角方向となる向きとの間で旋回されるようになっているが、横梁部材は旋回できなくても構わず、例えば、縦梁部材および横梁部材を運搬する運搬経路の幅が十分広い場合などにおいては、必ずしも横梁部材を縦梁部材の軸線方向、つまり運搬台車の走行方向に沿った向きにして走行させなくてもよい。
【0070】
(12)上記実施形態では、縦梁部材10は伸縮式ベンド14を介して運搬台車40に支持されるようになっているが、縦梁部材は必ずしも伸縮式ベンドを介して運搬台車に支持されていなくてもよく、例えば、運搬台車に柱状の支持部材を設けることにより、この支持部材に縦梁部材を支持させるようにしてもよい。
【0071】
(13)上記実施形態では、伸縮式ベンド14は上下方向に伸縮可能な伸縮機能を備えているが、例えば、運搬経路や側方スペース等において、その上方空間に高架橋が架渡されていたり電車架空線等が配されている等の制約がない場合等には、この伸縮式ベンドの替わりに伸縮機能を備えていないベンドを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】架設時において本実施形態の橋桁工事用装置が架設区間の側方スペースに搬入された状態を表す側面図
【図2】図1の状態における橋桁工事用装置の正面図
【図3】図1のA−A断面図
【図4】図1のB−B断面図
【図5】図1の平面図
【図6】横梁設置工程の様子を示す平面図
【図7】図6の側面図
【図8】図6のC−C断面図
【図9】橋桁横送り工程の様子を示す平面図
【図10】図9の側面図
【図11】図9のD−D断面図
【図12】橋桁設置工程の様子を示す側面図
【図13】図12のE−E断面図
【図14】縦梁戻し工程の様子を示す平面図
【図15】図14の側面図
【図16】縦梁部材が運搬台車上に支持された状態を示す側面図
【図17】横梁部材を運搬台車の走行方向に沿った向きに旋回した様子を示す平面図
【図18】撤収工程の様子を示す側面図
【符号の説明】
【0073】
1…橋桁工事用装置
10…縦梁部材
14…伸縮式ベンド(支持機構)
20…横取装置(移動支持機構)
30…横梁部材
33…横取レール(軌道部)
40…運搬台車(運搬機構)
41…軌条走行車輪
A…橋座(桁座部)
C…架設区間
D…撤去区間
G…橋桁
R…本線レール(レール)
S…側方スペース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋桁の架設区間の側方スペースから橋桁を横送りして架設する橋桁の架設方法であって、
前記架設区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、
この縦梁部材の両端において前記架設区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、
前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、
前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、
前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記架設区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、
前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記架設区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、
前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記横梁部材に沿ってこの縦梁部材を移動させて前記架設区間上に前記橋桁を横送りする橋桁横送り工程と、
前記縦梁部材に吊り下げられている前記橋桁を下降させて前記架設区間内に設けられた桁座部上に設置する橋桁設置工程と、
前記橋桁を離した前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記架設区間上から前記側方スペースに戻す縦梁戻し工程と、
前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うことを特徴とする橋桁の架設方法。
【請求項2】
前記縦梁搬入工程では、予め前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げ可能な状態に一体化して前記運搬機構により前記架設区間の側方スペースに搬入することを特徴とする請求項1に記載の橋桁の架設方法。
【請求項3】
橋桁の撤去区間からこの撤去区間の側方スペースへ橋桁を横送りして撤去する橋桁の撤去方法であって、
前記撤去区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、
この縦梁部材の両端において前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、
前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、
前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、
前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記撤去区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、
前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記撤去区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、
前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記横梁部材に沿って移動させて前記撤去区間上に送る縦梁送り工程と、
前記縦梁部材を下降させて前記撤去区間の前記橋桁をこの縦梁部材に吊り下げ可能に取り付ける橋桁取付工程と、
前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記撤去区間上から前記側方スペースに横送りする橋桁横送り工程と、
前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うことを特徴とする橋桁の撤去方法。
【請求項4】
前記撤収工程では、前記縦梁部材に吊り下げられた前記橋桁を前記縦梁部材に一体化して前記運搬機構により前記撤去区間の側方スペースから撤収することを特徴とする請求項3に記載の橋桁の撤去方法。
【請求項5】
架設区間への橋桁の架設または撤去区間からの橋桁の撤去を行う橋桁工事用装置であって、
前記架設区間または前記撤去区間よりも全長が長くかつ前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、
この縦梁部材の両端において前記架設区間または前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、
前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、
前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構と、を備える橋桁工事用装置。
【請求項6】
前記横梁部材の上面にはこの横梁部材の部材軸方向に沿って延びる軌道部が備えられ、前記移動支持機構がこの軌道部に沿って走行可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の橋桁工事用装置。
【請求項7】
前記運搬機構は、前記架設区間の側方スペースまたは前記撤去区間の側方スペースに敷設されたレール上を走行可能な軌条走行車輪を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の橋桁工事用装置。
【請求項8】
前記運搬機構は、前記縦梁部材の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、前記横梁部材はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされていることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の橋桁工事用装置。
【請求項9】
前記運搬機構は、前記橋桁と一体化された前記縦梁部材を支持して運搬可能とされていることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれかに記載の橋桁工事用装置。
【請求項10】
前記縦梁部材の下面には支持機構が設けられ、この縦梁部材は、前記運搬機構上に載置された前記橋桁上に前記支持機構の下面を接触させることで前記橋桁を介して前記運搬機構に支持されることを特徴とする請求項9に記載の橋桁工事用装置。
【請求項11】
前記支持機構は、上下に伸縮可能であることを特徴とする請求項10に記載の橋桁工事用装置。
【請求項1】
橋桁の架設区間の側方スペースから橋桁を横送りして架設する橋桁の架設方法であって、
前記架設区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、
この縦梁部材の両端において前記架設区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、
前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、
前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、
前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記架設区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、
前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記架設区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、
前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記横梁部材に沿ってこの縦梁部材を移動させて前記架設区間上に前記橋桁を横送りする橋桁横送り工程と、
前記縦梁部材に吊り下げられている前記橋桁を下降させて前記架設区間内に設けられた桁座部上に設置する橋桁設置工程と、
前記橋桁を離した前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記架設区間上から前記側方スペースに戻す縦梁戻し工程と、
前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うことを特徴とする橋桁の架設方法。
【請求項2】
前記縦梁搬入工程では、予め前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げ可能な状態に一体化して前記運搬機構により前記架設区間の側方スペースに搬入することを特徴とする請求項1に記載の橋桁の架設方法。
【請求項3】
橋桁の撤去区間からこの撤去区間の側方スペースへ橋桁を横送りして撤去する橋桁の撤去方法であって、
前記撤去区間よりも全長が長く前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、
この縦梁部材の両端において前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、
前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、
前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構とを備える橋桁工事用装置を使用し、
前記運搬機構によって前記縦梁部材を前記撤去区間の側方スペースに搬入する縦梁搬入工程と、
前記運搬機構に前記縦梁部材が支持された状態で前記移動支持機構によって前記横梁部材を下降させることによりその横梁部材を前記撤去区間を跨いだ状態に設置する横梁設置工程と、
前記縦梁部材を前記移動支持機構により前記横梁部材に沿って移動させて前記撤去区間上に送る縦梁送り工程と、
前記縦梁部材を下降させて前記撤去区間の前記橋桁をこの縦梁部材に吊り下げ可能に取り付ける橋桁取付工程と、
前記縦梁部材に前記橋桁を吊り下げた状態として前記移動支持機構により前記撤去区間上から前記側方スペースに横送りする橋桁横送り工程と、
前記縦梁部材を前記運搬機構上に支持させ前記横梁部材と共に前記側方スペースから撤収する撤収工程と、を行うことを特徴とする橋桁の撤去方法。
【請求項4】
前記撤収工程では、前記縦梁部材に吊り下げられた前記橋桁を前記縦梁部材に一体化して前記運搬機構により前記撤去区間の側方スペースから撤収することを特徴とする請求項3に記載の橋桁の撤去方法。
【請求項5】
架設区間への橋桁の架設または撤去区間からの橋桁の撤去を行う橋桁工事用装置であって、
前記架設区間または前記撤去区間よりも全長が長くかつ前記橋桁を吊り下げ可能な縦梁部材と、
この縦梁部材の両端において前記架設区間または前記撤去区間の距離よりも遠く離して設けられる一対の横梁部材と、
前記縦梁部材と前記横梁部材との間に設けられ、前記横梁部材を前記縦梁部材に対して上下に移動させることが可能であって、かつ、前記縦梁部材を前記横梁部材に沿って移動させることが可能な移動支持機構と、
前記縦梁部材を支持してこれを前記横梁部材と共に運搬可能な運搬機構と、を備える橋桁工事用装置。
【請求項6】
前記横梁部材の上面にはこの横梁部材の部材軸方向に沿って延びる軌道部が備えられ、前記移動支持機構がこの軌道部に沿って走行可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の橋桁工事用装置。
【請求項7】
前記運搬機構は、前記架設区間の側方スペースまたは前記撤去区間の側方スペースに敷設されたレール上を走行可能な軌条走行車輪を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の橋桁工事用装置。
【請求項8】
前記運搬機構は、前記縦梁部材の部材軸方向に沿った方向に走行可能であって、かつ、前記横梁部材はその走行方向に沿った向きに旋回可能とされていることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の橋桁工事用装置。
【請求項9】
前記運搬機構は、前記橋桁と一体化された前記縦梁部材を支持して運搬可能とされていることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれかに記載の橋桁工事用装置。
【請求項10】
前記縦梁部材の下面には支持機構が設けられ、この縦梁部材は、前記運搬機構上に載置された前記橋桁上に前記支持機構の下面を接触させることで前記橋桁を介して前記運搬機構に支持されることを特徴とする請求項9に記載の橋桁工事用装置。
【請求項11】
前記支持機構は、上下に伸縮可能であることを特徴とする請求項10に記載の橋桁工事用装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−146443(P2007−146443A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340883(P2005−340883)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(592178598)株式会社野田自動車工業所 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(592178598)株式会社野田自動車工業所 (4)
【Fターム(参考)】
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