説明

橋桁送出し工法、及び橋桁横取り工法

【課題】必要最小限のベントを組み立てるだけで橋桁を架設できる、橋桁送出し工法、及び橋桁横取り工法を提供すること。
【解決手段】橋桁部材1の端部に、工事桁11が設置されていること、橋桁部材1の上に、橋桁部材を降下させるための降下用ベントBに対応する位置に工事塔12が設置され、工事塔12と工事桁11とを繋ぐ第1斜吊ワイヤ13と、工事塔12と橋桁部材1の中間部とを繋ぐ第2斜吊ワイヤ14とが設置された状態で橋桁降下工程を行うこと、橋桁降下工程終了後、工事桁11、工事塔12、第1斜吊ワイヤ13、及び第2斜吊ワイヤ14を撤去すること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁部材を載置した送出し台車を走行させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁送出し工法、及び橋桁部材を載置した横取り載置台を横方向に移動させることにより、該橋桁部材を第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁横取り工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路上や高速道路上に橋梁を架設する場合に、架設地点の後方延長線上に地組ヤードを設置して、地組ヤード上で橋桁部材を組立て、組立てた橋桁部材を、地組ヤード上に設置した軌道上を移動可能な送出し台車に載置し、第1橋脚から第2橋脚に向けて橋桁部材を送出す橋桁送出し工法が行われている。
送出された橋桁部材は、降下用ベントに設置された降下装置により、第1橋脚と第2橋脚上に降下され、設置される。
橋桁が長い場合には、橋桁は両端で、第1橋脚と第2橋脚で支持されると共に、中間点においても、例えば、第3橋脚、第4橋脚で支持される。
そして、このように、4個の橋脚で支持される橋桁部材を、降下時間短縮のため、降下装置で降下させる場合には、当然橋脚の近くに降下用ベントを組み立て、4個の降下装置を用いて、橋桁部材を降下させることとなる。すなわち、降下用ベントは、橋脚の数だけ必要とされるのである。
【0003】
一方、橋桁部材の架設方法としては、設置する橋脚の横に横取り用ベントを組み立て、横取り用ベント上で、橋桁部材を組み立て、組み立てた橋桁部材を横取り装置で横移動する方法が行われている。
このときでも、4個の橋脚で支持される橋桁部材の場合には、4個の橋脚の上に、4個の横取り装置を設置する必要がある。
【0004】
一方、特許文献1には、ガータから橋脚に、鋼コンクリート合成桁を横取り移動させる架設方法において、ワイヤを用いて、横取り装置の支柱を直立状態に維持することが開示されている。
また、特許文献2には、橋梁の架設工事において、回転中心の上に配設した鉄塔からワイヤを橋桁部材に連結し、ワイヤで斜吊することにより、橋桁部材を回転させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-284931号公報
【特許文献2】特開2005-090108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術には、次のような問題があった。
(1)従来の送出し・降下方法では、例えば、駅前交差点等の上空に橋梁を設置しようとする場合に、中間地点における橋脚である第3橋脚や第4橋脚は、どうにか場所を確保して建設できたとしても、降下用ベントを組み立てる場所を確保することが困難な場合がある。また、橋脚上で降下する場合はサンドルと鉛直ジャックの組合せにより、少しずつしか降下できず、降下作業に無駄な時間がかかる問題があった。例えば、降下に20時間かかる場合には、夜間4時間の交通遮断を5日間続けて行う必要があり、経済社会に対して迷惑をかける問題があった。
【0007】
(2)また、従来の横取り方法では、4組の横取り設備を組み立てなければない。例えば、駅前交差点等の上空に橋梁を設置しようとする場合に、中間地点における橋脚である第3橋脚や第4橋脚の上に、横取り設備を設置することは、クレーン据付場所を確保することは困難である問題があった。
一方、特許文献1の技術は、本発明と同じ様に、ワイヤを用いているが、ワイヤを用いる目的は、横取り装置の支柱部を直立状態に保つためである。
また、特許文献2の技術は、本発明と同じ様に、ワイヤを用いているが、橋桁部材の架け渡しは、回転手段により行っており、降下方法や、横取り方法を用いていない点で、本発明と異なっている。
【0008】
本発明は、上記問題を解決して、必要最小限の降下用ベント、横取り設備を組み立てるだけで橋桁を架設できる、橋桁送出し工法、及び橋桁横取り工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る橋桁送出し工法、及び橋桁横取り工法は、次の構成を有している。
(1)橋桁部材を載置した送出し台車を走行させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁送出し工法において、橋桁部材の端部に、工事桁が設置されていること、橋桁部材の上に、橋桁部材を降下させるための降下用ベントに対応する位置に工事塔が設置され、工事塔と工事桁とを繋ぐ第1斜吊ワイヤと、工事塔と橋桁部材の中間点とを繋ぐ第2斜吊ワイヤとが設置された状態で橋桁降下工程を行うこと、橋桁降下工程終了後、工事桁、工事塔、第1斜吊ワイヤ、及び第2斜吊ワイヤを撤去すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する橋桁送出し工法において、工事桁が橋桁部材の両端部に設置されていること、降下用ベントが橋桁部材の両端部に設置され、各々の降下用ベントに対応する位置に工事塔が設置され、各々の工事塔に第1斜吊ワイヤ及び第2斜吊ワイヤが設置されること、を特徴とする。
(3)(2)に記載する橋桁送出し工法において、前記橋桁部材に、前記降下用ベントと降下装置を使用せず、前記第1橋脚及び前記第2橋脚の上で、サンドルと鉛直ジャッキの組合せで施工すること、を特徴とする。
【0010】
(4)橋桁部材を載置した横取り載置台を横方向に移動させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁横取り工法において、橋桁部材の端部に、工事桁が設置されていること、橋桁部材の上に、橋桁部材を横取りさせるための横取り設備に対応する位置に工事塔が設置され、工事塔と工事桁とを繋ぐ第1斜吊ワイヤと、工事塔と橋桁部材の中間点とを繋ぐ第2斜吊ワイヤとが設置された状態で横取り工程を行うこと、横取り工程終了後、工事桁、工事塔、第1斜吊ワイヤ、及び第2斜吊ワイヤを撤去すること、を特徴とする。
(5)(4)に記載する橋桁横取り工法において、工事桁が橋桁部材の両端部に設置されていること、横取り設備が橋桁部材の両端部に設置され、各々の横取り設備に対応する位置に工事塔が設置され、各々の工事塔に第1斜吊ワイヤ及び第2斜吊ワイヤが設置されること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
次に、上記構成を有する橋桁送出し工法、及び橋桁横取り工法の作用、及び効果について説明する。
(1)橋桁部材を載置した送出し台車を走行させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁送出し工法において、橋桁部材の端部に、工事桁が設置されていること、橋桁部材の上に、橋桁部材を降下させるための降下用ベントに対応する位置に工事塔が設置され、工事塔と工事桁とを繋ぐ第1斜吊ワイヤと、工事塔と橋桁部材の中間点とを繋ぐ第2斜吊ワイヤとが設置された状態で桁降下工程を行うこと、桁降下工程終了後、工事桁、工事塔、第1斜吊ワイヤ、及び第2斜吊ワイヤを撤去すること、を特徴とするので、橋桁部材の中間地点における荷重やモーメントをワイヤで支持できるため、例えば、駅前交差点等の上空に橋梁を設置しようとする場合に、中間地点における橋脚である第3橋脚や第4橋脚に降下設備を組み立てなくても、第1橋脚と第2橋脚近くの2個の降下用ベントだけで、橋桁部材を降下させ、第1橋脚、第2橋脚、第3橋脚、及び第4橋脚上に載置することができる。
このとき、第1橋脚近くに組み立てる第1降下用ベント、及び第2橋脚近くに組み立てる第2降下用ベントは、大型にできるため、降下用に大型ジャッキを使用でき、作業時間を30分程度まで短縮することができる。
【0012】
(2)また、(1)に記載する橋桁送出し工法において、工事桁が橋桁部材の両端部に設置されていること、降下用ベントが橋桁部材の両端部に設置され、各々の降下用ベントに対応する位置に工事塔が設置され、各々の工事塔に第1斜吊ワイヤ及び第2斜吊ワイヤが設置されること、を特徴とするので、片側だけで実施した場合と比較して、降下設備の数を減らすことができる。
(3)また、(2)に記載する橋桁送出し工法において、橋桁部材に、降下用ベントと降下装置を使用せず、第1橋脚及び第2橋脚の上で、サンドルと鉛直ジャッキの組合せで施工すること、を特徴とするので、第1橋脚及び第2橋脚の上でサンドルと鉛直ジャッキの組合せで施工することにより、降下用ベントと降下装置を組み立てなくても、橋桁部材を降下させる作業時間を短縮することができる。
【0013】
(4)橋桁部材を載置した横取り載置台を横方向に移動させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁横取り工法において、橋桁部材の端部に、工事桁が設置されていること、橋桁部材の上に、橋桁部材を横取りさせるための横取り設備に対応する位置に工事塔が設置され、工事塔と工事桁とを繋ぐ第1斜吊ワイヤと、工事塔と橋桁部材の中間点とを繋ぐ第2斜吊ワイヤとが設置された状態で横取り工程を行うこと、横取り工程終了後、工事桁、工事塔、第1斜吊ワイヤ、及び第2斜吊ワイヤを撤去すること、を特徴とするので、橋桁部材の中間地点における荷重やモーメントをワイヤで支持できるため、例えば、駅前交差点等の上空に橋梁を設置しようとする場合に、中間地点における橋脚である第3橋脚や第4橋脚上に横取り設備を組み立てなくても、第1橋脚と第2橋脚近くの2個の横取り用ベントだけで、橋桁部材を横取りさせ、第1橋脚、第2橋脚、第3橋脚、及び第4橋脚上に載置することができる。
【0014】
(5)また、(4)に記載する橋桁横取り工法において、工事桁が橋桁部材の両端部に設置されていること、横取り設備が橋桁部材の両端部に設置され、各々の横取り設備に対応する位置に工事塔が設置され、各々の工事塔に第1斜吊ワイヤ及び第2斜吊ワイヤが設置されること、を特徴とするので、片側だけで実施した場合と比較して、横取り設備の数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】送出し工法で使用する装置の構成を示す図である。
【図2】送出し工法において、橋桁部材1を送出した後の状態を示している図である。
【図3】送出し工法において、橋桁部材1の準備工程における状態を示す側面図である。
【図4】送出し工法において、橋桁部材1が降下される前の状態を示す側面図である。
【図5】送出し工法において、橋桁部材1が降下された後の状態を示す側面図である。
【図6】工事塔及び斜吊ワイヤの拡大図である。
【図7】工事塔の図6におけるX方向視図である。
【図8】工事塔の頭部の拡大図である。
【図9】連結部の拡大図である。
【図10】連結部の断面図である。
【図11】引き込み設備の拡大図である。
【図12】横取り工法において、橋桁部材1が横取りされる前の状態を示す側面図である。
【図13】横取り工程を示す平面図である。
【図14】横取り工法において、橋桁部材1が準備工程における状態を示す側面図である。
【図15】横取り工法において、橋桁部材1が横取り降下した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施例である橋桁送出し工法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に、送出し工法で使用する装置の構成を示す。図1は、橋桁部材1を送出す前の状態を示している。
図1に示しているように、橋脚K1(請求項1の第2橋脚に相当する。)、K2、K3及びK4(請求項1の第1橋脚に相当する。)は、左側から配置されている。橋脚K1の右側の近傍には、仮組脚であり、完成後撤去する降下用ベントB1が組み立てられている。同じく、橋脚K4の左側の近傍には、降下用ベントB2が組み立てられている。降下用ベントBは、大型ベント31、降下用ジャッキ32及び送出し装置33により構成される。大型ベント31が地面に組み立てられ、大型ベント31の上部には、大ストローク降下用ジャッキ32が設けられ、降下用ジャッキ32の上には、載置された橋桁部材1を移動可能な送出し装置33が設けられている。降下用ジャッキ32の高さを調節することにより、降下用ベントBの高さを調節することができる。橋脚K2及び橋脚K3の上部には、それぞれ送出し装置33が設けられている。
また、橋脚K4の右側の近傍には、左から複数の支持用ベントB3〜B9が、ほぼ等間隔で組み立てられている。支持用ベントB3〜B9の上面が同じ高さであり、直線軌道2は、水平状態で支持用ベントB3〜B9の上面に置かれ、支持用ベントB3〜B9により支持されている。直線軌道2には、自走式の前方台車21と、2台の後方台車22が移動可能に設置されている。前方台車21と2台の後方台車22とが、請求項1の送出し台車に相当する。
前方台車21と後方台車22には、橋桁部材1が載置されている。橋桁部材1の前方が前方台車21により支持され、中央部及び後端部が2台の後方台車22により支持されている。
橋桁部材1の前方側には、手延機16が連結されている。手延機16が降下用ベントB2により支持されている。
【0017】
次に、本発明の一実施例である橋桁送出し工法について説明する。
[送出し工程]
図1に示すように、送出される前に、橋桁部材1は、降下用ベントB2の上に設けられている送出し装置33、直線軌道2の上に設けられている前方台車21及び2台の後方台車22により支持されている。図2は、橋桁部材1を送出した後の状態を示している。橋桁部材1を送出す時、前方台車21及び後方台車22が直線軌道2に沿って、左側に走行することにより、橋桁部材1は橋脚K1から橋脚K4の間に送出される。
前方台車21は、駆動機構を有しているため、直線軌道2に沿って自走する。橋桁部材1は前方台車21の自走により搬送される。2台の後方台車22は、駆動機構を有しておらず、自走できないため、橋桁部材1の重量を受け、橋桁部材1の移動に従って、走行する。
【0018】
前方台車21が、直線軌道2の先端部まで走行することにより、橋桁部材1は降下用ベントB2の付近に送出される。これにより、橋桁部材1の前方に取り付けた手延機16は橋脚K3に到達する。橋脚K3の上部に設けられた送出し装置33が、手延機16の下面に当接して、手延機16を支持する。橋桁部材1の中央及び後端部は、2台の後方台車22により支えられる。橋桁部材1は、降下用ベントB2の上にある送出し装置33と2台の後方台車22との3箇所に支えられるため、前方台車21による支えを外しても、問題はない。したがって、前方台車21が、ジャッキを降下させて、橋桁部材1の下面から外して、駆動機構により10m程度戻り、再びにジャッキを上昇させて、橋桁部材1の下面を支える。
降下用ベントB2上の送出し装置33と前方台車21、及び2台の後方台車22により、10mほどの送出しを行う。
【0019】
同様にして、橋桁部材1を橋脚K3上送出し装置33、橋脚K2上送出し装置33、橋脚K1送出し装置33、前方台車21、2台の後方台車22により、橋脚K1から橋脚K4の上空に送出す。この際、不要になった後方台車22は順次に撤去する。
橋桁部材1は適正に橋脚K1から橋脚K4の間に配置された後、手延機16の先端部分を撤去する。
【0020】
図2に示しているように、送出し工程が終了した後、橋桁部材1は、降下用ベントB1の上に設けられた送出し装置33、橋脚K2の上部に設けられた送出し装置33、橋脚K3の上部に設けられた送出し装置33、及び降下用ベントB2の上に設けられた送出し装置33により支えられている。橋桁部材1は、橋脚K1及び橋脚K4との間には、空間が存在する。
【0021】
橋桁部材1は橋脚K1から橋脚K4の間の上空に送出された後、橋脚K1から橋脚K4に配置されるため、橋桁部材1を降下させる降下工程が必要となる。
図2に示しているように、橋桁部材1の中間部が橋脚K2及び橋脚K3の上部に設けられた送出し装置33により支えられているため、降下用ベントB1、B2が有する降下用ジャッキ32により、橋桁部材1を橋脚K1から橋脚K4に降下させるために、橋脚K2及び橋脚K3の上部に設けられたサンドル、送出し装置33を撤去し、橋桁部材1の中間部における支えをなくさなければならない。
しかしながら、橋桁部材1は長くて、重量も大きいため、橋桁部材1の中間部における支えをなくすと、橋桁部材1は両端部でしか支えられていないため、橋桁部材1の中間部における曲げモーメントは非常に大きい。したがって、中間部における支えがなくて、橋桁部材1を降下させると、橋桁部材1の中間部は、曲げモーメントが大きいため、橋桁部材1が座屈する。
【0022】
[準備工程]
したがって、橋桁部材1を降下させる降下工程において、橋桁部材1の中間部における支えがなくても、モーメントの大きい部分における座屈を防止するため、橋桁部材1を降下させる降下工程の前に、準備工程が必要となる。
図3は、送出し工法において、橋桁部材1の準備工程における状態を示す側面図である。まず、図3を参照しながら、準備工程における各部分の構成について説明する。
図3に示しているように、準備工程において、橋桁部材1の両端部にそれぞれ工事桁11A及び工事桁11Bが設置され、橋桁部材1の上に、降下用ベントB1及びB2に対応する位置に、それぞれ工事塔12A及び工事塔12Bを設置されている。工事桁11Aと工事塔12Aの頂部とは、第1斜吊ワイヤ13Aにより繋がれ、工事塔12Aの頂部と橋桁部材1の中間部とは、第2斜吊ワイヤ14Aにより繋がれている。同様に、橋桁部材1の反対側において、工事桁11Bと工事塔12Bの頂部とは、第1斜吊ワイヤ13Bにより繋がれ、工事塔12Bの頂部と橋桁部材1の中間部とは、第2斜吊ワイヤ14Bにより繋がれている。
【0023】
工事桁11は、橋桁部材1の両端部に連結して設置するものである。工事桁11Aは、最初から橋桁部材1の先端部に設置され、手延機16の一部として設けられる。このような構成により、送出し工程が終了した後、手延機16の全部を撤去することではなく、工事桁11Aを残して、手延機16の先端部分のみ撤去する。
また、橋桁部材1の後端部について、工事桁11Bを、送出し工程の前に設置してもいいし、準備工程で設置してもいい。
【0024】
また、工事塔12は、橋桁部材1の上に、降下用ベントB1及びB2の直上位置に、設置される。
図6に、工事塔12、第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14の拡大図を示す。図7に、工事塔12の側面図を示す。また、図8に、工事塔12の頭部の拡大図を示す。
図6に示しているように、橋桁部材1には、降下用ベントB1及びB2の直上位置に補強部材53が取り付けられ、補強部材53に対して、工事塔12が、回転可能に回転軸46で支持されている。図7に示すように、橋桁部材1の一対の主桁1A、1Bの上に、各々工事塔部材40A、40Bが立てられている。工事塔部材40A、40Bは、上部連結部材45により連結され一体となっている。上部連結部材45の上には、工事塔部材40Aに対応して、工事塔頭部金具41Aが固設され、工事塔部材40Bに対応して、工事塔頭部金具41Bが固設されている。図8に示すように、工事塔頭部金具41A、41Bの両側には、各々回転軸42により、一対の連結板43の一端部が回転可能に支持されている。連結板43の他端部には、シーブ44が回転可能に支持されている。
すなわち、工事塔頭部金具41Aの両側には、各々2組の連結板43、シーブ44が付設されている。また、工事塔頭部金具41Bの両側には、各々2組の連結板43、シーブ44が付設されている。シーブ44には、第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14がそれぞれ巻回されている。
【0025】
これにより、橋桁部材1の一方側において、4本の第1斜吊ワイヤ13が折り返された状態で、計8本の第1斜吊ワイヤ13で、工事塔12と橋桁部材1の端部にある工事桁11と連結される。また、4本の第2斜吊ワイヤ14が折り返された状態で、計8本の第2斜吊ワイヤ14で、工事塔12と橋桁部材1の中間部と連結される。
同様に、橋桁部材1の他方側において、4本の第1斜吊ワイヤ13が折り返された状態で、計8本の第1斜吊ワイヤ13で、工事塔12と橋桁部材1の端部にある工事桁11と連結される。また、4本の第2斜吊ワイヤ14が折り返された状態で、計8本の第2斜吊ワイヤ14で、工事塔12と橋桁部材1の中間部と連結される。
【0026】
図9に、工事桁11または橋桁部材1における第1斜吊ワイヤ13または第2斜吊ワイヤ14の連結部51の構造を示す。図10は、図9の断面図である。工事桁11には、第1斜吊ワイヤ13、橋桁部材1には、第2斜吊ワイヤ14を連結するための山状の連結部51が固設されており、連結部51には、第1斜吊ワイヤ13または第2斜吊ワイヤ14が有するフックをかけるための孔51aが形成され、孔51aの周りに厚くした補強部51bが設けられている。
また、第1斜吊ワイヤ13または第2斜吊ワイヤ14は、ワイヤ一本体61、ワイヤ取り付け部材62、及び引き込み設備63から構成される。
引き込み設備63は、テンションロッド81、引き込みナット82、油圧ジャッキ83、及びロードセル84から構成される。テンションロッド81は、一端が外周に雄ネジを形成して、引き込みナット82が螺合され、他端がフックを介して、工事桁11または橋桁部材1における補強部材51の孔にかけ中部が油圧ジャッキ83、ロードセル84、及び引き込み設備63と隣接するワイヤ取り付け部材62を貫通する。
【0027】
また、シーブ44に巻回された一対のワイヤ本体61の端部は、図11に示すように、ワイヤ取り付け部材62に固設されている。ワイヤ取り付け部材62には、ロードセル84、油圧ジャッキ83が固設されている。テンションロッド81は、油圧ジャッキ83のロッドであるため、油圧ジャッキ83に油圧が供給され、油圧ジャッキ83が駆動されると、テンションロッド81は、油圧ジャッキ83に対して、相対的に移動する。
【0028】
次に、準備工程における各構成部分の作用及び効果について説明する。
図3に示すように、橋桁部材1の中間部は、橋脚K2の上部にある送出し装置33及び橋脚K3の上部にある送出し装置33により、2箇所で支えられている。橋脚K2及び橋脚K3の上部にある送出し装置33を撤去すると、橋桁部材1の中間部における支えがなくなり、橋桁部材1の中間部におけるモーメントが非常に大きいため、中間部において座屈する。
したがって、橋脚K2及び橋脚K3の上部にある送出し装置33を撤去する前に、橋桁部材1の両端部にそれぞれ工事桁11A及び工事桁11Bが設置され、橋桁部材1の上に、降下用ベントB1及びB2の直上位置に、それぞれ工事塔12A及び工事塔12Bが設置されている。工事桁11Aと工事塔12Aの頂部とは、第1斜吊ワイヤ13Aにより繋がれ、工事塔12Aの頂部と橋桁部材1の中間点とは、第2斜吊ワイヤ14Aにより繋がれている。同様に、橋桁部材1の反対側において、工事桁11Bと工事塔12Bの頂部とは、第1斜吊ワイヤ13Bにより繋がれ、工事塔12Bの頂部と橋桁部材1の中間点とは、第2斜吊ワイヤ14Bにより繋がれている構成をとっている。
【0029】
図3に示しているように、第2斜吊ワイヤ14Bにより、第2斜吊ワイヤ14Bの張力Fを調節し、橋桁部材1に対して、張力Fの垂直方向における垂直分力F1を、橋脚K3の上部にある送出し装置33による支持力Tに相等させる。したがって、橋脚K3の上部にある送出し装置33を撤去しても、橋桁部材1の中間部は、垂直分力F1を受け、大きなモーメントをかけることはない。また、工事塔12Bの頂部は、第2斜吊ワイヤ14Bの張力Fが水平方向における水平分力F2を受けているため、工事塔12Bは転倒するおそれがある。したがって、橋桁部材1の端部に、工事桁11Bを設置し、工事桁11Bと工事塔12Bの頂部とは、第1斜吊ワイヤ13Bにより繋ぐことにより、第1斜吊ワイヤ13Bの張力Pを調節し、工事塔12Bに対して、張力Pの水平方向における水平分力P2を、第2斜吊ワイヤ14Bによる水平分力F2に大きさに相等し、方向は反対にさせる。したがって、工事塔12Bの頭部が受ける左側の水平分力F2と、右側の水平分力P2とはバランスを取っており、工事塔12Bが倒れる恐れがない。
また、工事桁11は、大きな力を受けるため、一定の剛性が必要となる。
【0030】
また、工事塔12は、第2斜吊ワイヤ14の張力F及び第1斜吊ワイヤ13の張力Pを受けるため、橋桁部材1は、工事塔12の根部からの大きな垂直分力を受けて、橋桁部材1が曲折するおそれがある。しかしながら、工事塔12は、降下用ベントBに対応する位置に設置されていることにより、橋桁部材1は、下から降下用ベントBに支えられ、支持力を受けているため、中間部においての座屈する恐れがない。
【0031】
また、第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14に、引き込み設備63を設けている。引き込み設備63により、第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14による水平力は適合にすることができる。
図11は、引き込み設備63を示している。テンションロッド81に、ロードセル84ジャッキ83が有する入口から油圧をかけると、テンションロッド81がジャッキ83に対して後退する。すなわち、図11において、テンションロッド81がジャッキ83に対して左方向に移動する。
しかしながら、テンションロッド81の他端に有するフックが橋桁部材1に固定した補強用板51にかけているため、実際にテンションロッド81が移動することができなく、ジャッキ83がテンションロッド81に対して後退する。すなわち、図11において、ジャッキ83がテンションロッド81に対して右方向に移動する。
ジャッキ83がテンションロッド81に対して右に移動することにより、テンションロッド81に絞められた引き込みナット82はジャッキ83との間に隙間が出てくる。このとき、引き込みナット82を締めることにより、引き込みナット82がジャッキ83に向かって進行し、引き込みナット82とジャッキ83との間の隙間を詰める。したがって、ジャッキ83、ロードセル84及びワイヤ取り付け部材62は、テンションロッド81に対して、右に移動した位置に固定され、ワイヤ取り付け部材62とフックとの距離が小さくなる。
したがって、ワイヤ取り付け部材62がフックとの距離は小さくなることにより、第2斜吊ワイヤ14の第2ワイヤ本体61が引張られ、第2斜吊ワイヤ14の張力Fは大きくなる。すなわち、油圧をかけることにより、第2斜吊ワイヤ14の張力Fは大きくすることができ、逆に油圧を下げると、第2斜吊ワイヤ14の張力Fは小さくすることができる。
【0032】
第2斜吊ワイヤ14の張力Fは大き過ぎると、ワイヤ本体61又は工事塔12等を強くしなければならないため、コストがアップしてしまう。また、第2斜吊ワイヤ14の張力Fは小さ過ぎると、張力Fの垂直分力F1は、橋桁部材1の中間部における支持力を替わることができなく、橋桁部材1の中間部における座屈を防ぐ効果を奏することができない。
したがって、第2斜吊ワイヤ14の張力Fを適合にするため、ロードセル84を設けている。ロードセル84により、第2斜吊ワイヤ14の張力Fを測定し、調整することができる。
【0033】
また、工事塔12の頂部にある工事塔頭部金具41の両側部が、各々回転軸42により、一対の連結板43の一端部と、回転自由に連結しているため、第1斜吊ワイヤ13又は第2斜吊ワイヤ14が工事塔12となる角度に応じて、連結板43が回転することにより、第1斜吊ワイヤ13又は第2斜吊ワイヤ14と、連結板43とは、ワイヤの引張り方向に一直線になり、不要な分力をなることがない。
第1斜吊ワイヤ13または第2斜吊ワイヤ14は、一本のみのワイヤにより形成すると、十分な引張り力が必要となり、ワイヤを太くしなければならない。そうすると、ワイヤの運搬や設置するには、手間がかかる。また、大きな力がテンションロッド81、ジャッキ83、引き込みナット82、ロードセル84、ワイヤ取り付け部材62に作用し、汎用機械での対応が不可能となり、不経済である。したがって、第1斜吊ワイヤ13または第2斜吊ワイヤ14は、複数の細いワイヤに構成されることにより、引張り力を分散することができ、汎用機械の使用が可能となる。本発明において、第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14は、8本ずつのワイヤを使用している。
【0034】
[降下工程]
準備工程が終了した後、橋桁部材1の中間部が、第2斜吊ワイヤ14により引張られ、橋脚K2及びK3の上部にある送出し装置33に支えられなくても、座屈の恐れがないため、橋脚K2及びK3の上部にある送出し装置33を撤去する。
橋脚K2及びK3の上部にある送出し装置33を撤去した後、降下用ベントB1及びB2が有する降下用ジャッキ32を降下させることにより、橋桁部材1は降下する。
図5は、送出し工法において、橋桁部材1が降下された後の状態を示す側面図である。橋桁部材1は、両端部が橋脚K1、K4に当接し、中間部が橋脚K2、K3に当接して、降下工程が終了する。
降下工程が終了した後、工事桁11、工事塔12、第1斜吊ワイヤ13、及び第2斜吊ワイヤ14を撤去する。
【0035】
以上詳細に説明したように、本実施例の橋桁送出し工法によれば、橋桁部材1の端部に、工事桁11が設置されていること、橋桁部材1の上に、橋桁部材を降下させるための降下用ベントBの直上位置に工事塔12が設置され、工事塔12と工事桁11とを繋ぐ第1斜吊ワイヤ13と、工事塔12と橋桁部材1の中間部とを繋ぐ第2斜吊ワイヤ14とが設置された状態で橋桁降下工程を行うこと、橋桁降下工程終了後、工事桁11、工事塔12、第1斜吊ワイヤ13、及び第2斜吊ワイヤ14を撤去すること、を特徴とするので、降下用ベントBが有する降下用ジャッキ32の縮小により、橋桁部材1を降下させるとき、橋桁部材1の中間部における荷重やモーメントを、第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14で支持できるため、橋桁部材1の中間部における支えがなくても、モーメントの大きい部分における座屈を防止することができる。例えば、駅前交差点等の上空に橋梁を設置しようとする場合に、中間地点における橋脚K2、K3に対応する降下用ベントBを組み立てる場所を確保しにくいため、本実施例の構成及び工法をとれば、降下用ベントBを組み立てなくても、橋脚K1と橋脚K4近くの2個の降下用ベントB1とB2だけで、橋桁部材を降下させ、橋脚K1、橋脚K2、橋脚K3、及び橋脚K4の上に載置することができる。
また、狭いスペースを確保できた場合には、橋脚上で降下する場合は、サンドルと鉛直ジャッキの組合せとなり、少しずつしか降下できず、降下作業に無駄な時間がかかる。例えば、降下に20時間かかる場合には、夜間4時間の交通遮断を5日間続けて行う必要があり、経済社会に対して迷惑をかける。本実施例の橋桁送出し工法は、橋脚K4近くに組み立てる降下用ベントB2、及び橋脚K1近くに組み立てる降下用ベントB1が、大型にできるため、大型の降下用ジャッキ32を使用でき、作業時間を30分程度まで短縮することができる。
【0036】
次に、本発明の他の実施例である橋桁横取り工法で使われる構成要素について説明する。
図12は、横取り工法において、橋桁部材1が横取りされる前の状態を示す側面図である。
図12に示しているように、橋桁部材1が横取りされる前に、橋桁部材1は、一直線に配置する横取り用ベントC1、ベントC2、ベントC3及び横取り用ベントC4に配置されている。橋桁部材1の両端部が、横取り用ベントC1及び横取り用ベントC4に支えられ、橋桁部材1の中間部が、ベントC2及びベントC3に支えられている。横取り用ベントCは、ベント31、及び横取りレール35により構成される。横取り用ベントCが、請求項4の横取り設備に相当する。ベント31が地面に置かれ、ベント31上に横取りレール35が設けられている。横取りレール35の上に、自走式の可動台車36が設けられている。可動台車36が、請求項4の横取り載置台に相当する。自走式の可動台車36が、レール35に沿って、一方の端部から、他方の端部に走行することができる。
【0037】
図13は、横取り工法において、橋桁部材1が横取りされる過程を示す平面図である。一直線となる横取り用ベントC1、ベントC2、ベントC3及び横取り用ベントC4の近傍に、橋脚K1(請求項3の第2橋脚に相当する。)、K2、K3及びK4(請求項3の第1橋脚に相当する。)は、一直線に配置されている。横取り用ベントCは、横取り方向における幅が広いため、橋脚K1の横に、横取り用ベントC1が配置され、橋脚K4の横に、横取り用ベントC2が配置されている。
横取り用ベントCの上には、横取り方向において、横取りレール35が設けられ、横取りレール35に上に可動台車36が設けられているため、橋桁部材1は、可動台車36により支えられ、可動台車36の移動と伴い、横取りレール35に沿って、ベントCの上から、橋脚Kの上空に横に移動することができる。
【0038】
次に、本発明の他の実施例である橋桁横取り工法について説明する。
横取り用ベントCは、横取り方向における幅が広く、横取り方向に長い横取りレール35が設けられているため、橋桁部材1はY方向に横取りされる過程に、橋桁部材1の両端部が、ずっと横取り用ベントCの上に設けられた横取りレール35にある可動台車36により支えられ、横取りレール35に沿って、移動する。橋桁部材1の中間部が、ベントC2及びベントC3から離れた後、支えがなくなる。
しかしながら、橋桁部材1は長くて、重量も大きいため、橋桁部材1の中間部における支えがないと、橋桁部材1の両端部でしか支えられていないため、橋桁部材1の中間部におけるモーメントは非常に大きくて、中間部おいて、座屈する。
したがって、橋桁部材1を横取りするとき、橋桁部材1の中間部における支えがなくても、モーメントの大きい部分における座屈を防止するため、橋桁部材1を横取りする前に準備工程が必要となる。
【0039】
[準備工程]
図14は、横取り工法において、橋桁部材1が準備工程における状態を示す側面図である。
図14に示しているように、準備工程において、橋桁部材1の両端部にそれぞれ工事桁11A及び工事桁11Bが設置され、橋桁部材1の上に、横取り用ベントC1及びC4に対応する位置に、それぞれ工事塔12A及び工事塔12Bを設置されている。工事桁11Aと工事塔12Aの頂部とは、第1斜吊ワイヤ13Aにより繋がれ、工事塔12Aの頂部と橋桁部材1の中間部とは、第2斜吊ワイヤ14Aにより繋がれている。同様に、橋桁部材1の反対側において、工事桁11Bと工事塔12Bの頂部とは、第1斜吊ワイヤ13Bにより繋がれ、工事塔12Bの頂部と橋桁部材1の中間部とは、第2斜吊ワイヤ14Bにより繋がれている。
準備工程における各部分の作用及び効果は、送出し工程において、すでに説明したため、ここは省略する。
【0040】
[横取り工程]
準備工程が終了した後、橋桁部材1の中間部が、第2斜吊ワイヤ14により引張られ、ベントC2、C3に支えられなくても、座屈の恐れがないため、橋桁部材1は、横取り用ベントC1、C4の上にある可動台車36により支えられ、可動台車36の移動と伴い、横取りレール35に沿って、Y方向に移動することにより、ベントCの上から、橋脚Kの上空に横に移動される。
【0041】
以上詳細に説明したように、本実施例の橋桁横取り工法によれば、橋桁部材1の端部に、工事桁11が設置されていること、橋桁部材1の上に、橋桁部材1を横取りさせるための横取り用ベントCに対応する位置に工事塔12が設置され、工事塔12と工事桁11とを繋ぐ第1斜吊ワイヤ13と、工事塔12と橋桁部材1の中間部とを繋ぐ第2斜吊ワイヤ14とが設置された状態で横取り工程を行うこと、横取り工程終了後、工事桁11、工事塔12、第1斜吊ワイヤ13、及び第2斜吊ワイヤ14を撤去すること、を特徴とするので、橋桁部材1が、可動台車36により支えられ、可動台車36の移動と伴い、横取りレール35に沿ってY方向に移動するとき、橋桁部材1の中間部におけるモーメントを、第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14で支持できるため、橋桁部材1の中間部における支えがなくても、モーメントの大きい部分における座屈を防止することができる。例えば、駅前交差点等の上空に橋梁を設置しようとする場合に、中間地点における橋脚K2、K3上に横取り設備組立用クレーン据付場所を確保することが困難である。本実施例の構成及び工法をとれば、橋脚上に横取り設備を組み立てなくても、橋脚K1と橋脚K4近くの2個の横取り用ベントC1とC4だけで、橋桁部材を横取り、降下させ、橋脚K1、橋脚K2、橋脚K3、及び橋脚K4の上に載置することができる。
また、橋桁横取り工法において、工事桁11が橋桁部材1の両端部に設置されていること、横取り用ベントCが橋桁部材1の両端部に設置され、各々の横取り用ベントC1、C2に対応する位置に工事塔12が設置され、各々の12工事塔に第1斜吊ワイヤ13及び第2斜吊ワイヤ14が設置されること、を特徴とするので、片側だけで実施した場合と比較して、橋桁部材1の中間部における引張り力が大きくて、横取り設備の数を減らすことができる。
また、橋桁部材1の両端部に実施すると、橋桁部材1に対するバランスが良くて、片側の工事塔12等にかかる力が大き過ぎる恐れがない。
【0042】
以上、本発明に係る橋桁送出し工法及び橋桁横取り工法について実施例を示したが、本発明はこの実施例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、橋桁送出し工法において、橋桁部材を降下させるために、降下用ベントと降下装置を使用せず、第1橋脚及び第2橋脚の上で、サンドルと鉛直ジャッキの組合せを設置し、施工する場合でも、橋桁部材を降下させる作業時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 橋桁部材
11 工事桁
12 工事塔
13 第1斜吊ワイヤ
14 第2斜吊ワイヤ
16 手延機
21 前方台車
22 後方台車
36 可動台車
B 降下用ベント
C 横取り用ベント
K1 第2橋脚
K4 第1橋脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋桁部材を載置した送出し台車を走行させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁送出し工法において、
前記橋桁部材の端部に、工事桁が設置されていること、
前記橋桁部材の上に、前記橋桁部材を降下させるための降下用ベントに対応する位置に工事塔が設置され、前記工事塔と前記工事桁とを繋ぐ第1斜吊ワイヤと、前記工事塔と前記橋桁部材の中間点とを繋ぐ第2斜吊ワイヤとが設置された状態で桁降下工程を行うこと、
前記桁降下工程終了後、前記工事桁、前記工事塔、前記第1斜吊ワイヤ、及び前記第2斜吊ワイヤを撤去すること、
を特徴とする橋桁送出し工法。
【請求項2】
請求項1に記載する橋桁送出し工法において、
前記工事桁が前記橋桁部材の両端部に設置されていること、
前記降下用ベントが前記橋桁部材の両端部に設置され、各々の前記降下用ベントに対応する位置に工事塔が設置され、各々の前記工事塔に前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが設置されること、
を特徴とする橋桁送出し工法。
【請求項3】
請求項2に記載する橋桁送出し工法において、
前記橋桁部材に、前記降下用ベントと降下装置を使用せず、前記第1橋脚及び前記第2橋脚の上で、サンドルと鉛直ジャッキの組合せで施工することを特徴とする橋桁送出し工法。
【請求項4】
橋桁部材を載置した横取り載置台を横方向に移動させることにより、第1橋脚から第2橋脚へ架け渡す橋桁横取り工法において、
前記橋桁部材の端部に、工事桁が設置されていること、
前記橋桁部材の上に、前記橋桁部材を横取りさせるための横取り設備に対応する位置に工事塔が設置され、前記工事塔と前記工事桁とを繋ぐ第1斜吊ワイヤと、前記工事塔と前記橋桁部材の中間点とを繋ぐ第2斜吊ワイヤとが設置された状態で横取り工程を行うこと、
前記横取り工程終了後、前記工事桁、前記工事塔、前記第1斜吊ワイヤ、及び前記第2斜吊ワイヤを撤去すること、
を特徴とする橋桁横取り工法。
【請求項5】
請求項4に記載する橋桁横取り工法において、
前記工事桁が前記橋桁部材の両端部に設置されていること、
前記横取り設備が前記橋桁部材の両端部に設置され、各々の前記横取り設備に対応する位置に工事塔が設置され、各々の前記工事塔に前記第1斜吊ワイヤ及び前記第2斜吊ワイヤが設置されること、
を特徴とする橋桁横取り工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−69168(P2011−69168A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223090(P2009−223090)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】