説明

橋梁架設方法

【課題】張出し架設工法を用いた橋梁架設方法において、架設現場が急峻な地形であっても、橋桁の側径間部の架設を短い工期で経済的に行えるようにする。
【解決手段】側径間部10Bを架設する際、移動作業車50による張出し施工と並行して、側径間部10Bにおける橋台14側の端面から所定長にわたる部分を、ブラケット式支保工を用いて先行施工する。そして、この先行施工部分10B2の上面に連結梁70を設置し、その基端部に転倒防止構造72を設けた後、この連結梁70により先行施工部分10B2を吊り支持し、この状態で上記ブラケット式支保工を撤去する。その後、移動作業車50を、張出し施工部分10B1と先行施工部分10B2との間の未施工連結部分10B3を施工可能な位置まで前進させた後、この移動作業車50に吊り支持された型枠52を連結梁70に吊り換え、この状態で未施工連結部分10B3の施工を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、多径間連続コンクリート橋における橋桁の側径間部を、張出し架設工法を用いて架設する橋梁架設方法において、
【背景技術】
【0002】
従来より、多径間連続コンクリート橋の架設工法の1つとして、張出し施工により橋桁を架設する張出し架設工法が知られている。
【0003】
この張出し架設工法においては、型枠および足場を吊り支持した移動作業車を用いて、橋脚の柱頭部から橋軸方向両側へ向けて所定の施工ブロック毎にコンクリート打設を行う張出し施工により、各径間部の架設が行われるようになっている。
【0004】
その際、橋桁の側径間部を、その橋脚の柱頭部から橋台側の端面までの全領域にわたって張出し施工により架設することは、移動作業車に吊り支持された型枠や足場が橋台や支承と干渉してしまうので不可能である。
【0005】
このため、従来、図6(a)に示すように、側径間部110Bの張出し施工は橋台114からある程度離れた手前側の位置で完了させて、この張出し施工部分110B1と橋台114との間に支柱式支保工160を設置し、この支柱式支保工160を利用して側径間部110Bの未施工部分110B2の施工を行う工夫がなされている。このとき用いられる支柱式支保工160は、支保工162が設置された支保工梁164の先端部を、支柱166の上端部において支持する構成となっている。
【0006】
あるいは、従来、同図(b)に示すように(また例えば「特許文献1」に記載されているように)、側径間部110Bの張出し施工部分110B1と橋台114との間に吊り支保工170を設置し、この吊り支保工170を利用して側径間部110Bの未施工部分110B2の施工を行う工夫がなされている。このとき用いられる吊り支保工170は、支保工172が設置された支保工梁174の先端部を、張出し施工部分110B1の先端部に設置された吊り材176によって吊り支持する構成となっている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−171638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6(a)に示すように、架設現場が、側径間における橋台114寄りの地盤2に、支柱166および支柱基礎168を設置し得る地形であれば、支柱式支保工160を設置して未施工部分110B2の施工を行うことが、この未施工部分110B2の施工を張出し施工部分110B1の施工と並行して行えることから経済的であるが、同図(b)に示すように、架設現場が急峻な地形で、支柱式支保工160を設置し得ないような場合には、吊り支保工170を設置して未施工部分110B2の施工を行わざるを得ない。
【0009】
しかしながら、この吊り支保工170は、その吊り材176が張出し施工部分110B1の先端部に設置された構成となっているので、張出し施工部分110B1の施工が完了した後でなければ、これを設置することができず、このため工期が長くかかってしまう、という問題がある。
【0010】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、多径間連続コンクリート橋における橋桁の側径間部を、張出し架設工法を用いて架設する橋梁架設方法において、架設現場が急峻な地形であっても、側径間部の架設を短い工期で経済的に行うことができる橋梁架設方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、所定の連結梁を用いるとともに移動作業車を活用することにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0012】
すなわち、本願発明に係る橋梁架設方法は、
多径間連続コンクリート橋における橋桁の側径間部を、張出し架設工法を用いて架設する橋梁架設方法において、
上記側径間部における橋脚の柱頭部から橋台の手前側の所定位置までの部分を、型枠および足場を吊り支持した移動作業車を用いて張出し施工するとともに、この張出し施工が完了する前に、上記側径間部における上記橋台側の端面から所定長にわたる部分を、所定の支保工を用いて先行施工し、
この先行施工により形成された先行施工部分の上面に、上記橋台の背後から上記張出し施工により形成された張出し施工部分の先端面近傍まで橋軸方向に延びる連結梁を設置するとともに、この連結梁の基端部に所定の転倒防止構造を設けた後、この連結梁により上記先行施工部分を吊り支持し、この状態で上記支保工を撤去し、
その後、上記移動作業車を、上記張出し施工部分と上記先行施工部分との間の未施工連結部分を施工可能な位置まで前進させた後、この移動作業車に吊り支持された型枠を上記連結梁に吊り換え、この状態で上記未施工連結部分の施工を行う、ことを特徴とするものである。
【0013】
上記「橋台の手前側の所定位置」は、張出し施工完了後の移動作業車を、未施工連結部分を施工可能な位置までさらに前進させる余地がある位置であれば、その具体的な位置は特に限定されるものではない。
【0014】
上記「先行施工部分」は、側径間部における橋台側の端面から所定長にわたる部分として形成されるが、この「所定長」の具体的な値は、支保工を用いた先行施工を行い得る長さで、かつ、張出し施工部分の先端面と先行施工部分の先端面との間に未施工連結部分を施工するためのスペースを確保可能な長さであれば、特に限定されるものではない。
【0015】
上記「連結梁」は、先行施工部分の重量および未施工連結部分の施工時に打設されるコンクリートの重量に耐え得るものであれば、その材質や具体的な形状等は特に限定されるものではない。
【0016】
上記「所定の転倒防止構造」は、先行施工部分の重量および未施工連結部分の施工時に打設されるコンクリートの重量により連結梁が転倒するのを未然に防止することができる構造を有するものであれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
上記構成に示すように、本願発明においては、多径間連続コンクリート橋における橋桁の側径間部を、張出し架設工法を用いて架設するようになっているが、この側径間部における橋脚の柱頭部から橋台の手前側の所定位置までの部分を、型枠および足場を吊り支持した移動作業車を用いて張出し施工するとともに、この張出し施工が完了する前に、側径間部における橋台側の端面から所定長にわたる部分を、所定の支保工を用いて先行施工し、この先行施工により形成された先行施工部分の上面に、橋台の背後から張出し施工により形成された張出し施工部分の先端面近傍まで橋軸方向に延びる連結梁を設置するとともに、この連結梁の基端部に所定の転倒防止構造を設けた後、この連結梁により先行施工部分を吊り支持し、この状態で支保工を撤去し、その後、移動作業車を、張出し施工部分と先行施工部分との間の未施工連結部分を施工可能な位置まで前進させた後、この移動作業車に吊り支持された型枠を連結梁に吊り換え、この状態で未施工連結部分の施工を行うようになっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、張出し施工部分の施工完了前に先行施工部分を施工しておくことにより、張出し施工部分の施工完了後に施工する対象を未施工連結部分のみとすることができ、しかも、この未施工連結部分の施工を、移動作業車に吊り支持された足場と連結梁に吊り換えられた型枠とを用いて行うことができる。したがって、従来のように張出し施工部分の施工完了後に吊り支保工を設置して張出し施工部分以外の部分を施工するのに比して、工期を大幅に短縮することができる。
【0019】
また、この未施工連結部分の施工を行う際、型枠は連結梁に吊り支持された状態にあるので、次のような作用効果を得ることができる。
【0020】
すなわち、仮に、型枠が移動作業車に吊り支持されたままの状態で未施工連結部分の施工を行うようにした場合には、この未施工連結部分に打設されるコンクリートの重量により張出し施工部分が撓んでしまい、その先端面が下方へ変位してしまうこととなる。これに対し、本願発明のように、型枠を連結梁に吊り換えた状態で未施工連結部分の施工を行うようにすれば、コンクリートの重量を連結梁に受け持たせて、張出し施工部分には負荷がかからないようにすることができる。したがって、張出し施工部分の先端面が下方へ変位してしまうのを未然に防止することができ、これにより未施工連結部分の施工を適正に行うことができる。
【0021】
さらに、先行施工部分の橋軸方向の長さについては、その上面に連結梁を設置し得る程度の長さが確保されるとともに、未施工連結部分を施工可能な位置まで前進した移動作業車に吊り下げ支持された足場が橋台と干渉しない程度の長さが確保されていれば足りるので、この先行施工部分を施工するために設置される支保工を簡易なものとすることができ、その設置についても容易に行うことが可能となる。
【0022】
このように本願発明によれば、多径間連続コンクリート橋における橋桁の側径間部を、張出し架設工法を用いて架設する橋梁架設方法において、架設現場が急峻な地形であっても、側径間部の架設を短い工期で経済的に行うことができる。
【0023】
上記構成において、先行施工部分を施工する際の支保工として、ブラケット式支保工を用いるようにすれば、橋台近傍の地形が急峻であっても、橋台等を利用して支保工の設置を容易に行うことができる。
【0024】
上記構成において、連結梁の転倒防止構造を、橋台が設置された地盤に打ち込まれたアースアンカから上方へ延びる鋼材の上端部を連結梁の基端部に連結した構造とすれば、簡易な構成により連結梁の転倒防止を確実に図ることができる。
【0025】
あるいは、このようにする代わりに、連結梁の転倒防止構造を、連結梁の基端部にカウンタウェイトを取り付けた構造とした場合においても、簡易な構成により連結梁の転倒防止を確実に図ることができる。その際、このカウンタウェイトを橋台近傍の地盤に埋設された構成とすれば、このカウンタウェイトの撤去を不要とすることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本願発明の一実施形態に係る橋梁架設方法の概要を示す側面図である。
【0028】
同図に示すように、本実施形態に係る橋梁架設方法の適用対象は多径間連続コンクリート橋であって、その橋桁10を張出し架設工法により架設するようになっている。
【0029】
すなわち、この張出し架設工法においては、型枠52および足場54を吊り支持した移動作業車50を用いて、橋脚12の柱頭部10aから橋軸方向両側へ向けて所定の施工ブロック10b毎にコンクリート打設を行う張出し施工により、橋桁10を架設するようになっている。
【0030】
図中、橋脚12の左側に位置する径間が側径間であり、その右側に位置する径間は中央径間である。
【0031】
橋桁10における中央径間部10Aの架設は、中央径間の橋軸方向両側から張出し施工し、その橋軸方向中央において閉合することにより行い、一方、橋桁10における側径間部10Bの架設は、次のようにして行うようになっている。
【0032】
すなわち、移動作業車50により側径間部10Bにおける橋脚12の柱頭部10aから橋台14の手前側の所定位置Aまでの部分を張出し施工するとともに、この張出し施工が完了する前に、側径間部10Aにおける橋台14側の端面から所定長にわたる部分を先行施工する。その後、この先行施工により形成された先行施工部分10B2と、張出し施工により所定位置Aまで延びるように形成された張出し施工部分10B1との間の未施工連結部分10B3を施工することにより、側径間部10Bの架設を完了させるようになっている。
【0033】
なお、同図において網線で示す部分は施工中のブロックである。以下の各図においても同様である。
【0034】
図2は、図1のII部詳細図である。また、図3および4は、側径間部10Bにおける橋台14寄りの部分のその後の架設工程を示す、図2と同様の図である。
【0035】
図2に示すように、先行施工部分10B2の施工は、ブラケット式支保工60を用いて行う。このブラケット式支保工60は、橋台14における側径間側の壁面14aに基端部が固定された状態で側径間側へ張り出すブラケット60Aと、このブラケット60Aに載置された支保工60Bとからなっている。
【0036】
そして、橋台14に支承16を設置した後、ブラケット式支保工60を用いて型枠(図示せず)を設置し、この型枠内にコンクリートを打設することにより、先行施工部分10B2の施工を行う。
【0037】
一方、橋台14の背後に位置する地盤2の表面に平坦面2aを形成しておく。
【0038】
次に、図3に示すように、先行施工部分10B2の上面に、橋台14の背後から張出し施工部分10B1の先端面10B1a近傍まで橋軸方向に延びる鋼製の連結梁70を設置するとともに、この連結梁70の基端部に転倒防止構造72を設ける。
【0039】
その際、先行施工部分10B2の上面における支承16の真上の位置と先行施工部分10B2の先端面10B2aの近傍の位置との2箇所にスペーサ74をそれぞれ設置するとともに、橋台14の背後の平坦面2aに所定の高さを有する受け台84を設置し、これらスペーサ74および受け台84に連結梁70を載置することにより、連結梁70が水平に配置されるようにする。
【0040】
この連結梁70の長さは、その基端部を受け台84に載置した状態で、その先端面70aが張出し施工部分10B1の先端面10B1aと略面一となる位置まで延びるような長さに設定しておく。
【0041】
転倒防止構造72は、橋台14の背後の平坦面2aにおける受け台84の略中心位置において、地盤2にアースアンカ78を打ち込み、このアースアンカ78から上方へ延びる棒状の鋼材80の上端部を連結梁70の基端部に連結することにより、構成されるようにする。
【0042】
そして、連結梁70と先行施工部分10B2とを、スペーサ74が設置されている橋軸方向の2箇所において、鉛直方向に延びる棒状の鋼材76により連結し、これにより連結梁70による先行施工部分10B2の吊り支持を行う。その後、不要となったブラケット式支保工60を撤去する。このブラケット式支保工60の撤去により、連結梁70には、先行施工部分10B2を構成するコンクリートの重量による谷側への転倒モーメントが作用するが、その基端部に設けられた転倒防止構造72がこの転倒モーメントに抵抗する。
【0043】
次に、図4に示すように、移動作業車50を、該移動作業車50による張出し施工が完了した張出し施工部分10B1と先行施工部分10B2との間の未施工連結部分10B3を施工可能な位置まで前進させ、この移動作業車50に吊り支持された型枠52を未施工連結部分10B3に位置させる。このとき、移動作業車50に吊り支持された足場54は、その先端部が先行施工部分10B2の下方において橋台14の壁面14a近傍まで延びるように配置されることとなるが、この時点では、すでにブラケット式支保工60が撤去されているので、このブラケット式支保工60と足場54との干渉が生じることはない。
【0044】
その後、連結梁70における先端面70aの近傍において、鉛直方向に延びる棒状の鋼材82の上端部を連結梁70に連結するとともに、この鋼材82の下端部を型枠52に連結し、これにより移動作業車50に吊り支持された型枠52を連結梁70に吊り換える。
【0045】
そして、この状態で、未施工連結部分10B3の位置に設置された型枠52内にコンクリートを打設することにより、未施工連結部分10B3の施工を行う。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態においては、多径間連続コンクリート橋における橋桁10の側径間部10Bを、張出し架設工法を用いて架設するようになっているが、この側径間部10Bにおける橋脚12の柱頭部10aから橋台14の手前側の所定位置Aまでの部分を、型枠52および足場54を吊り支持した移動作業車50を用いて張出し施工するとともに、この張出し施工が完了する前に、側径間部10Bにおける橋台14側の端面から所定長にわたる部分を、ブラケット式支保工60を用いて先行施工し、この先行施工により形成された先行施工部分10B2の上面に、橋台14の背後から張出し施工により形成された張出し施工部分10B1の先端面10B1a近傍まで橋軸方向に延びる連結梁70を設置するとともに、この連結梁70の基端部に転倒防止構造72を設けた後、この連結梁70により先行施工部分10B2を吊り支持し、この状態でブラケット式支保工60を撤去し、その後、移動作業車50を、張出し施工部分10B1と先行施工部分10B2との間の未施工連結部分10B3を施工可能な位置まで前進させた後、この移動作業車50に吊り支持された型枠52を連結梁70に吊り換え、この状態で未施工連結部分10B3の施工を行うようになっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0047】
すなわち、張出し施工部分10B1の施工完了前に先行施工部分10B2を施工しておくことにより、張出し施工部分10B1の施工完了後に施工する対象を未施工連結部分10B3のみとすることができ、しかも、この未施工連結部分10B3の施工を、移動作業車50に吊り支持された足場54と連結梁70に吊り換えられた型枠52とを用いて行うことができる。したがって、図6(b)に示す従来例のように、張出し施工部分110B1の施工完了後に吊り支保工170を設置して、張出し施工部分110B1以外の未施工部分110B2を施工するようにした場合に比して、工期を大幅に短縮することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、未施工連結部分10B3の施工を行う際、型枠52は連結梁70に吊り支持された状態にあるので、次のような作用効果を得ることができる。
【0049】
すなわち、仮に、型枠52が移動作業車50に吊り支持されたままの状態で未施工連結部分10B3の施工を行うようにした場合には、この未施工連結部分10B3に打設されるコンクリートの重量により張出し施工部分10B1が撓んでしまい、その先端面10B1aが下方へ変位してしまうこととなる。これに対し、本実施形態のように、型枠52を連結梁70に吊り換えた状態で未施工連結部分10B3の施工を行うようにすれば、コンクリートの重量を連結梁70に受け持たせて、張出し施工部分10B1には負荷がかからないようにすることができる。したがって、張出し施工部分10B1の先端面10B1aが下方へ変位してしまうのを未然に防止することができ、これにより未施工連結部分10B3の施工を適正に行うことができる。
【0050】
さらに、先行施工部分10B2の橋軸方向の長さについては、その上面に連結梁70を設置し得る程度の長さが確保されるとともに、未施工連結部分10B3を施工可能な位置まで前進した移動作業車50に吊り下げ支持された足場54が橋台14と干渉しない程度の長さが確保されていれば足りるので、この先行施工部分10B2を施工するために設置される支保工として、簡易なブラケット式支保工60を用いることができ、その設置についても容易に行うことが可能となる。
【0051】
このように本実施形態によれば、多径間連続コンクリート橋における橋桁10の側径間部10Bを、張出し架設工法を用いて架設する橋梁架設方法において、架設現場が急峻な地形であっても、側径間部10Bの架設を短い工期で経済的に行うことができる。
【0052】
しかも本実施形態においては、先行施工部分10B2を施工する際の支保工としてブラケット式支保工60を用いるようになっているので、橋台14近傍の地盤2の表面の傾斜が急峻であっても、橋台14の壁面14aを利用して支保工の設置を容易に行うことができる。
【0053】
また本実施形態においては、連結梁70の転倒防止構造72が、橋台14の背後の平坦面2aにおいて地盤2に打ち込まれたアースアンカ78から上方へ延びる鋼材80の上端部を連結梁70の基端部に連結した構造となっているので、簡易な構成により連結梁70の転倒防止を確実に図ることができる。
【0054】
ところで、未施工連結部分10B3の施工をできるたけ短時間で完了させるためには、その橋軸方向の長さをできるだけ短い値に設定しておくことが好ましい。本実施形態においては、この未施工連結部分10B3の橋軸方向の長さが、その両側に位置する先行施工部分10B2および張出し施工部分10B1の先端部に位置する施工ブロック10bの橋軸方向の長さの半分程度の値に設定されているので、未施工連結部分10B3の施工を短時間で行うことができる。
【0055】
なお、上記実施形態においては、先行施工部分10B2を施工する際の支保工としてブラケット式支保工60を用いているが、橋台14の側径間側の地盤2にある程度の広さの平坦面を確保することが可能であれば、この平坦面に支保工を設置することも可能である。
【0056】
次に上記実施形態の変形例について説明する。
【0057】
図5は、本変形例に係る橋梁架設方法を示す、図4と同様の図である。
【0058】
同図に示すように、本変形例においても、側径間部10Bの架設方法の概要は上記実施形態の場合と同様であるが、本変形例においては、連結梁70の転倒防止構造72として、アースアンカ78の代わりに、連結梁70の基端部にカウンタウェイト90を取り付けた構造となっている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
【0059】
このカウンタウェイト90は、コンクリートブロックとして橋台14の背後の地盤2に埋設されている。そして、このカウンタウェイト90に下端部が固定された棒状の鋼材92の上端部を連結梁70の基端部に連結することにより、転倒防止構造72を構成するようになっている。
【0060】
本変形例の構成を採用した場合においても、簡易な構成により連結梁70の転倒防止を確実に図ることができる。しかも本変形例においては、カウンタウェイト90が地盤2に埋設されているので、このカウンタウェイト90の撤去を不要とすることができる。
【0061】
なお、このカウンタウェイト90の代わりに、橋台14の背後の地盤2の表面にコンクリートブロック等を載置し、これをカウンタウェイトとして用いた転倒防止構造を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本願発明の一実施形態に係る橋梁架設方法の概要を示す側面図
【図2】上記実施形態において、橋桁の側径間部における橋台寄りの部分の架設工程(その1)を示す、図1のII部詳細図
【図3】上記側径間部における橋台寄りの部分の架設工程(その2)を示す、図2と同様の図
【図4】上記側径間部における橋台寄りの部分の架設工程(その3)を示す、図2と同様の図
【図5】上記実施形態の変形例に係る橋梁架設方法を示す、図4と同様の図
【図6】従来例を示す、図4と略同様の図
【符号の説明】
【0063】
2 地盤
2a 平坦面
10 橋桁
10A 中央径間部
10B 側径間部
10B1 張出し施工部分
10B1a、10B2a、70a 先端面
10B2 先行施工部分
10B3 未施工連結部分
10a 柱頭部
10b 施工ブロック
12 橋脚
14 橋台
14a 壁面
16 支承
50 移動作業車
52 型枠
54 足場
60 ブラケット式支保工
60A ブラケット
60B 支保工
70 連結梁
72 転倒防止構造
74 スペーサ
76、80、82、92 鋼材
78 アースアンカ
84 受け台
90 カウンタウェイト
A 所定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多径間連続コンクリート橋における橋桁の側径間部を、張出し架設工法を用いて架設する橋梁架設方法において、
上記側径間部における橋脚の柱頭部から橋台の手前側の所定位置までの部分を、型枠および足場を吊り支持した移動作業車を用いて張出し施工するとともに、この張出し施工が完了する前に、上記側径間部における上記橋台側の端面から所定長にわたる部分を、所定の支保工を用いて先行施工し、
この先行施工により形成された先行施工部分の上面に、上記橋台の背後から上記張出し施工により形成された張出し施工部分の先端面近傍まで橋軸方向に延びる連結梁を設置するとともに、この連結梁の基端部に所定の転倒防止構造を設けた後、この連結梁により上記先行施工部分を吊り支持し、この状態で上記支保工を撤去し、
その後、上記移動作業車を、上記張出し施工部分と上記先行施工部分との間の未施工連結部分を施工可能な位置まで前進させた後、この移動作業車に吊り支持された型枠を上記連結梁に吊り換え、この状態で上記未施工連結部分の施工を行う、ことを特徴とする橋梁架設方法。
【請求項2】
上記支保工として、ブラケット式支保工を用いる、ことを特徴とする請求項1記載の橋梁架設方法。
【請求項3】
上記連結梁の転倒防止構造を、上記橋台が設置された地盤に打ち込まれたアースアンカから上方へ延びる鋼材の上端部を上記連結梁の基端部に連結した構造とする、ことを特徴とする請求項1または2記載の橋梁架設方法。
【請求項4】
上記連結梁の転倒防止構造を、上記連結梁の基端部にカウンタウェイトを取り付けた構造とする、ことを特徴とする請求項1または2記載の橋梁架設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−108635(P2009−108635A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283762(P2007−283762)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】