説明

橋梁用排水装置

【課題】 被処理水の円滑な流下を確保することができる橋梁用排水装置を提供することである。
【解決手段】 床版間の遊間に直交方向に延びるように配置され、透水性かつ弾力性を有する材料で形成された防塵材(12)と、遊間を橋渡しするように垂下した状態で防塵材の下方に配置され、不透水性かつ弾力性を有する止水体(14)と、止水体の端部に隣接した個所に、下方に延びるように取り付けられた排水管(18)とを備え、防塵材を透過して止水体に収容された雨水を排水管を通して排水するように構成されていることを特徴とする橋梁用排水装置(10)が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、橋梁用排水装置に関する。より詳細には、本発明は、被処理水の円滑な流下を確保することができる橋梁用排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁における排水処理は、伸縮装置の下方に樋を配置し、下方に延びた垂直管を樋に取り付けることにより、伸縮装置から樋及び垂直管を介して雨水等の被処理水を流すようになっているのが通常である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、雨水等の被処理水に混じって土砂も一緒に流下するため、樋に土砂が堆積して詰まってしまい、被処理水が円滑に流下しないという課題がある。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、被処理水の円滑な流下を確保することができる橋梁用排水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載の橋梁用排水装置は、床版間の遊間に直角方向に延びるように配置され、透水性かつ弾力性を有する材料で形成された防塵材と、前記遊間を橋渡しするように垂下した状態で前記防塵材の下方に配置され、不透水性かつ弾力性を有する止水体と、前記止水体の端部に隣接した個所に、下方に延びるように取り付けられた排水管とを備え、前記防塵材を透過して前記止水体に収容された雨水を前記排水管を通して排水するように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本願請求項2に記載の橋梁用排水装置は、橋台パラペットと床版との間の遊間に直角方向に延びるように配置され、透水性かつ弾力性を有する材料で形成された防塵材と、前記遊間を橋渡しするように垂下した状態で前記防塵材の下方に配置され、不透水性かつ弾力性を有する止水体と、前記止水体の端部に隣接した個所に、下方に延びるように取り付けられた排水管とを備え、前記防塵材を透過して前記止水体に収容された雨水を前記排水管を通して排水するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項3に記載の橋梁用排水装置は、前記請求項1又は2の装置において、前記防塵材がウレタンフォームで形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項4に記載の橋梁用排水装置は、前記請求項1から請求項3までのいずれか1項の装置において、前記止水体がゴムで形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項5に記載の橋梁用排水装置は、前記請求項1から請求項4までのいずれか1項の装置において、前記止水体が、取り付け金具を介して、ボルト又は溶接によって床版に取り付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、橋梁の伸縮性を確保しつつ、雨水等の被処理水を円滑に排水させることが可能になる。本発明の装置は、構造が簡単であるため、故障が少なく、メインテナンスが容易であるとともに、低コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る橋梁用排水装置について詳細に説明する。本発明の好ましい実施の形態に係る橋梁用排水装置は、橋脚部Aに設置される装置(第1の実施の形態)と、橋台部Bに設置される装置(第2の実施の形態)に大別される(図2参照)。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る橋梁用排水装置を示した斜視図、図3(a)は、図1の橋梁用排水装置の平面図、図3(b)は、図3(a)の線3b−3bに沿った断面図、図3(c)は、図3(a)の線3c−3cに沿った断面図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の第1の実施の形態に係る橋梁用排水装置は、前後の床版の遊間に直角方向に延びるように配置された防塵材12を備えている。
【0013】
防塵材12は、透水性かつ弾力性を有する材料で形成されている。防塵材12としては、例えばウレタンフォームが使用される。防塵材12を透水性材料で形成することにより、雨水のみを通過させ、土砂などの固形物を通過させないようにすることができる。また、防塵材12を弾力性のある材料で形成することにより、遊間に隙間ができないように、遊間の伸縮に追従することができる。
【0014】
橋梁用排水装置10は又、前後の床版の遊間を橋渡しするように垂下した状態で、防塵材12の下方に配置された止水体14を備えている。
【0015】
止水体14は、不透水性かつ弾力性を有する材料で形成されている。止水体14としては、例えばゴムが使用される。止水体14を不透水性材料で形成することにより、防塵材12を経て滴下した雨水を収容することができる。また、止水体14を弾力性のある材料で形成することにより、遊間の伸縮に追従することができる。
【0016】
止水体14は、取付金具16a及びボルト16bを用いて前後の床版に堅固に固定されている。
【0017】
止水体14の端部には、遊間の伸縮(従って、止水体14の伸縮)に追従することができるように、蛇腹状の蓋14aが取り付けられている。また、止水体14には、端部に隣接した個所に、下方に延びた排水管18が取り付けられている(図4参照)。これにより、止水体14に収容された雨水が、排水管18を通して排水されるようになっている。
【0018】
図1及び図3は、遊間が小さく、かつ、止水体14をボルト16bで取り付けることができる場合を示したものである。図5は、図1及び図3に示された以外の場合における橋梁用排水装置10を示した図である。すなわち、図5(a)は、遊間が小さく、かつ、止水体14が溶接によって取り付けられる場合、図5(b)は、遊間が大きく、かつ、止水体14がボルト16bによって取り付けられる場合、図5(c)は、遊間が大きく、かつ、止水体14が溶接によって取り付けられる場合をそれぞれ示した図である。
【0019】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る橋梁用排水装置を示した斜視図、図7(a)は、図6の橋梁用排水装置の平面図、図7(b)は、図7(a)の線7b−7bに沿った断面図、図7(c)は、図7(a)の線7c−7cに沿った断面図、図8は、図6の橋梁用排水装置の分解斜視図である。図6において全体として参照符号20で示される本発明の第2の実施の形態に係る橋梁用排水装置は、止水体の取付形状がほぼU字形に取り付けられる止水体14と相違している点を除いて、橋梁用排水装置10と実質的に同一の構成を有している。
【0020】
より詳細に説明すると、橋梁用排水装置20は、橋台パラペットと床版との間の遊間に直角方向に延びるように配置された防塵材22と、遊間を橋渡しするように垂下した状態で、防塵材22の下方に配置された止水体24とを備えている。防塵材22としては、ウレタンフォームのような透水性かつ弾力性を有する材料で形成されている。また、止水体24としては、ゴムのような不透水性かつ弾力性を有する材料で形成されている。このように構成することにより、伸縮性を確保した状態で、円滑に排水することが可能になる。
【0021】
図6及び図7は、遊間が小さく、かつ、止水体24をボルト26bで取り付けることができる場合を示したものである。図9は、図6及び図7に示された以外の場合における橋梁用排水装置20を示した図である。すなわち、図9(a)は、遊間が小さく、かつ、止水体24が溶接によって取り付けられる場合、図9(b)は、遊間が大きく、かつ、止水体24がボルト26bによって取り付けられる場合、図9(c)は、遊間が大きく、かつ、止水体24が溶接によって取り付けられる場合をそれぞれ示した図である。
【0022】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0023】
たとえば、前記実施の形態において示されている止水体14、24の形状(特に垂下した状態)や取り付け金具の個数や形状等は、単なる例示的なものであり、図示されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る橋梁用排水装置の斜視図である。
【図2】橋梁の一般的な形態を示した模式図であって、本発明の橋梁用装置の概略的な設置個所を説明するための図である。
【図3】図3(a)は、図1の橋梁用排水装置の平面図、図3(b)は、図3(a)の線3b−3bに沿った断面図、図3(c)は、図3(a)の線3c−3cに沿った断面図である。
【図4】図1の橋梁用排水装置の分解斜視図である。
【図5】図1の橋梁用排水装置の変形形態を示した図3(b)と同様な図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る橋梁用排水装置の斜視図である。
【図7】図7(a)は、図6の橋梁用排水装置の平面図、図7(b)は、図7(a)の線7b−7bに沿った断面図、図7(c)は、図7(a)の線7c−7cに沿った断面図である。
【図8】図6の橋梁用排水装置の分解斜視図である。
【図9】図6の橋梁用排水装置の変形形態を示した図7(b)と同様な図である。
【符号の説明】
【0025】
10、20 橋梁用排水装置
12、22 防塵材
14、24 止水体
14a、24a 蛇腹状の蓋
16a、26a 取り付け金具
16b、26b ボルト
18、28 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁用排水装置であって、
床版間の遊間に直角方向に延びるように配置され、透水性かつ弾力性を有する材料で形成された防塵材と、
前記遊間を橋渡しするように垂下した状態で前記防塵材の下方に配置され、不透水性かつ弾力性を有する止水体と、
前記止水体の端部に隣接した個所に、下方に延びるように取り付けられた排水管とを備え、
前記防塵材を透過して前記止水体に収容された雨水を前記排水管を通して排水するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
橋梁用排水装置であって、
床版と橋台パラペットとの間の遊間に直角方向に延びるように配置され、透水性かつ弾力性を有する材料で形成された防塵材と、
前記遊間を橋渡しするように垂下した状態で前記防塵材の下方に配置され、不透水性かつ弾力性を有する止水体と、
前記止水体の端部に隣接した個所に、下方に延びるように取り付けられた排水管とを備え、
前記防塵材を透過して前記止水体に収容された雨水を前記排水管を通して排水するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
前記防塵材がウレタンフォームで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された装置。
【請求項4】
前記止水体がゴムで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された装置。
【請求項5】
前記止水体が、取り付け金具を介して、ボルト又は溶接によって床版に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−127297(P2011−127297A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284819(P2009−284819)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(598077554)ダイチ工営株式会社 (10)
【Fターム(参考)】