説明

橋絡水トリー位置標定方法及び橋絡水トリー位置標定装置

【課題】橋絡水トリーの位置を標定することにより、劣化部分のみの張替えができ、停電時間・張替え作業工程の軽減を図った橋絡水トリー位置標定方法及び橋絡水トリー位置標定装置を提供する。
【解決手段】直流電源21を用いてCVケーブル10の芯線11と銅テープ13との間に直流電圧を印加する。銅テープ13の一端と直流電源21の+側との間に設けられた第1電流検出回路22、及び、銅テープ13の他端と直流電源21の+側との間に設けられた第2電流検出手段23、の両者を用いて、直流電圧の印加によって橋絡水トリー位置で発生した放電電流I1が第1電流検出回路22に到達するまでの第1到達時間と、放電電流I2が第2電流検出回路23に到達するまでの第2到達時間と、の差分である遅延時間を求める。そして、求めた遅延時間から橋絡水トリーの位置を標定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋絡水トリー位置標定方法及び橋絡水トリー位置標定装置に係り、特に、導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体から構成された電線に発生した橋絡水トリーの位置を標定する橋絡水トリー位置標定方法及び橋絡水トリー位置標定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した電線として、例えば、図1に示すような、高圧電力を供給するためのCVケーブル10が知られている。同図に示すように、CVケーブル10は、芯線11と、内部絶縁体としての絶縁体12と、シールド部材としての銅テープ13と、外部絶縁体としてのシース14と、を備えている。
【0003】
上記CVケーブル10は、布設及び保安管理が容易という特徴があることから、電力ケーブルの主流になっている。しかし、CVケーブル10には、水トリー(tree)と呼ばれる特有の劣化形態が存在する。この水トリーとは、CVケーブル10の絶縁体12に付着した微量の水分が経時変化により絶縁体12内に浸透し、絶縁劣化を経て絶縁破壊する現象である。経年劣化によるCVケーブル10の絶縁破壊事故を未然に防止するためには、劣化診断が不可欠である。
【0004】
従来、CVケーブル10の劣化診断方法として、絶縁体12に流れる損失電流を測定し、その測定値が基準外であるときに絶縁劣化が生じていると判断するものが知られている(例えば特許文献1に記載)。しかしながら、この劣化診断方法では、「劣化」を判断することはできるが、水トリーの位置を標定することができない。このため、「劣化」と判断されたCVケーブル10は、全亘長に亘ってCVケーブル10を引き出し、張替え作業を実施している。そのため、長時間の停電・張替え作業がかかっている、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−345450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、橋絡水トリーの位置を標定することにより、劣化部分のみの張替えができ、停電時間・張替え作業工程の軽減を図った橋絡水トリー位置標定方法及び橋絡水トリー位置標定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体から構成された電線に発生した橋絡水トリーの位置を標定する橋絡水トリー位置標定方法であって、直流電源を用いて前記電線の芯線とシールド部材との間に直流電圧を印加する工程と、前記シールド部材の一端と前記直流電源の+側との間に設けられた第1電流検出手段、及び、前記シールド部材の他端と前記直流電源の+側との間に設けられた第2電流検出手段、の両者を用いて、前記直流電圧の印加によって前記橋絡水トリー位置で発生した放電電流が前記第1電流検出手段に到達するまでの第1到達時間と、前記放電電流が前記第2電流検出手段に到達するまでの第2到達時間と、の差分である遅延時間を求める工程と、前記遅延時間から前記橋絡水トリーの位置を標定する工程と、を順次行うことを特徴とする橋絡水トリー位置標定方法に存する。
【0008】
請求項2記載の発明は、導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体から構成された電線に発生した橋絡水トリーの位置を標定する橋絡水トリー位置標定装置であって、前記電線の芯線とシールド部材との間に直流電圧を印加する直流電源と、前記シールド部材の一端と前記直流電源の+側との間に設けられ、前記直流電圧の印加によって前記橋絡水トリー位置で発生した放電電流を検出する第1電流検出手段と、前記シールド部材の他端と前記直流電源の+側との間に設けられ、前記直流電圧の印加によって前記橋絡水トリー位置で発生した放電電流を検出する第2電流検出手段と、を備えたことを特徴とする橋絡水トリー位置標定装置に存する。
【0009】
請求項3記載の発明は、標定対象電線のシールド部材の他端と、前記標定対象電線に沿って配索された他の電線の芯線の他端と、を接続する接続部をさらに備え、前記第2電流検出手段が、前記他の電線の芯線の一端と前記直流電源の+側との間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の橋絡水トリー位置標定装置に存する。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記第1電流検出手段により検出された放電電流の波形及び前記第2電流検出手段により検出された放電電流の波形を表示するオシロスコープをさらに備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の橋絡水トリー位置標定装置に存する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、電線の芯線とシールド部材との間に直流電圧を印加すると橋絡水トリーから高い頻度で「キック現象」と呼ばれる放電が発生し、その放電電流が橋絡水トリー位置からシールド部材の一端及び他端に向かってそれぞれ流れる。このことに着目し、上記放電電流が第1電流検出手段に到達するまでの第1到達時間と、放電電流が第2電流検出手段に到達するまでの第2到達時間と、の差分である遅延時間を求める。そして、この遅延時間が橋絡水トリー位置から第1電流検出手段までの経路長と橋絡水トリー位置から第2電流検出手段までの経路長との差に応じているため、この求めた遅延時間から橋絡水トリーの位置を標定することができる。これにより、劣化部分のみの張替えができ、停電時間・張替え作業工程の軽減を図ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、第1電流検出手段が、シールド部材の一端と直流電源の+側との間に設けられ、直流電圧の印加によって橋絡水トリー位置で発生した放電電流を検出し、第2電流検出手段が、シールド部材の他端と直流電源の+側との間に設けられ、直流電圧の印加によって橋絡水トリー位置で発生した放電電流を検出するので、第1電流検出手段及び第2電流検出手段の両者を用いて、橋絡水トリー位置で発生した放電電流が第1電流検出手段に到達するまでの第1到達時間と第2電流検出手段に到達するまでの第2到達時間との差分である遅延時間を求めることができる。そして、この遅延時間から橋絡水トリー位置を標定できる。これにより、劣化部分のみの張替えができ、停電時間・張替え作業工程の軽減を図ることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、標定対象電線のシールド部材の他端と、標定対象電線に沿って配索される他の電線の芯線の他端と、を接続する接続部をさらに備え、第2電流検出手段が、他の電線の芯線の一端と直流電源の+側との間に設けられているので、第1電流検出手段及び第2電流検出手段の両者を標定対象電線の一端側に設けることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、オシロスコープを設けることにより、簡単に橋絡水トリー位置で発生した放電電流が第1電流検出手段及び第2電流検出手段に到達する第1到達時間及び第2到達時間の差分を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の橋絡水トリー位置標定方法により橋絡水トリー位置の標定が行われるCVケーブルの断面図を示す。
【図2】第1実施形態における本発明の橋絡水トリー位置標定装置を示す図である。
【図3】第2実施形態における本発明の橋絡水トリー位置標定装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1実施形態
本発明の第1実施形態における橋絡水トリー位置標定方法及び橋絡水トリー位置標定装置を図1及び図2を参照して以下説明する。図1は、本発明の橋絡水トリー位置標定方法により橋絡水トリー位置の標定が行われるCVケーブルの断面図を示す。図2は、第1実施形態における本発明の橋絡水トリー位置標定装置の一実施形態を示す図である。なお、図2においては、CVケーブル10のシース14については省略してある。
【0017】
本発明の橋絡水トリー位置標定方法及び橋絡水トリー位置標定装置は、図1に示すCVケーブル10に発生した橋絡水トリー位置を標定するための方法及び装置である。上記CVケーブル10は、背景技術でも説明したように、図1に示すように、芯線11と、内部絶縁体としての絶縁体12と、シールド部材としての銅テープ13と、外部絶縁体としてのシース14と、を備えている。
【0018】
上記芯線11は、導電性を有する導体から成る。絶縁体12は、架橋ポリエチレンなどから成り、芯線11を被覆する。銅テープ13は、テープ状に設けられており、絶縁体12の外周に巻き付けられる。シース14は、ポリエチレンなどから成り、銅テープ13を被覆する。
【0019】
上記橋絡水トリー位置標定装置20は、図2に示すように、直流電源21と、第1電流検出手段としての第1電流検出回路22と、第2電流検出手段としての第2電流検出回路23と、測定器24と、を備えている。上記直流電源21の−側は、CVケーブル10の芯線11の近端(一端)に接続されている。直流電源21の+側は、後述する第1電流検出回路22を介してCVケーブル10の銅テープ13近端に接続されると共に、後述する第2電流検出回路23を介してCVケーブル10の銅テープ13遠端(他端)に接続されている。即ち、直流電源21は、CVケーブル10の芯線11と銅テープ13との間に直流電圧を印加する。
【0020】
上記第1電流検出回路22は、銅テープ13の近端と直流電源21の+側との間に設けられた検出抵抗R1と、検出抵抗R1の両端に設けられたバンドパスフィルタ(以下BPF)22aと、差動増幅回路22bと、から構成されている。上記第2電流検出回路23は、銅テープ13の遠端と直流電源21の+側との間に設けられた検出抵抗R2と、検出抵抗R2の両端に設けられたBPF23aと、差動増幅回路23bと、から構成されている。
【0021】
上述したようにCVケーブル10の芯線11と銅テープ13との間に直流電圧を印加すると、橋絡水トリーから高い頻度で「キック現象」と呼ばれる放電が発生し、その放電電流I1、I2が橋絡水トリー位置から銅テープ13の近端及び遠端に向かってそれぞれ流れる。従って、上記検出抵抗R1には、上記放電電流I1が流れ、その両端に放電電流I1に応じた電圧が生じる。また、上記検出抵抗R2には、上記放電電流I2が流れ、その両端に放電電流I2に応じた電圧が流れる。
【0022】
BPF22a、23aは、ノイズ除去及び波形成形を行うために検出抵抗R1、R2の一端側及び他端側の電圧から所定の通過周波数帯以外の周波数成分を除去する。上記放電電流I1、I2の放電周波数は、約200kHz〜約10MHzであることから、BPF22a、23aの通過周波数帯は、その帯域となるように設定されている。
【0023】
差動増幅回路22b、23bは各々、アンプAmpと、このアンプAmpの−入力、+入力とBFP22a、23aとの間に設けられた抵抗R3、R4と、アンプAmpの−入力と出力との間に設けられた抵抗R5と、アンプAmpの+入力と接地との間に設けられた抵抗R6と、から構成されている。差動増幅回路22b、23bは検出抵抗R1、R2の放電電流I1、I2に応じた両端電圧を増幅して後述する測定器24に出力する。
【0024】
以上のことから明らかなように第1、第2電流検出回路22、23は、直流電圧の印加によって橋絡水トリー位置で発生した放電電流I1、I2を検出して、測定器24に対して出力する。なお、検出抵抗R1、R2の両端電圧は、測定器24に供給されている。このため、検出抵抗R1、R2と測定器24との間に差動増幅回路22b、23bを設けることで放電電流I1が第2電流検出回路23に、放電電流I2が第1電流検出回路22にそれぞれ回り込まないように構成している。
【0025】
上記測定器24は、オシロスコープから構成され、第1電流検出回路22により検出された放電電流I1の波形及び第2電流検出回路23により検出された放電電流I2の波形を表示する。
【0026】
次に、上述した橋絡水トリー位置標定装置20を用いた橋絡水トリー位置標定方法について説明する。直流電源21によりCVケーブル10の芯線11及び銅テープ13間に直流電圧を印加する。これにより、上述したように橋絡水トリーから「キック現象」と呼ばれる放電が発生し、その放電電流I1、I2が橋絡水トリー位置から銅テープ13の近端及び遠端に向かってそれぞれ流れる。
【0027】
この放電電流I1が検出抵抗R1に到達するまでの第1到達時間と放電電流I2が検出抵抗R1に到達するまでの第2到達時間との差分である遅延時間Δtは、下記の式(1)に示すように、橋絡水トリー位置から銅テープ13の近端側の検出抵抗R1までの距離Xと、橋絡水トリー位置から銅テープ13の遠端側の検出抵抗R2までの距離(L−X)と、の差分に、放電電流I1、I2の伝播速度v(既知)を除した値に等しい。なお、LはCVケーブル10の条長であり、既知の値である。また、銅テープ13から検出抵抗R1、R2までの経路長、BPF22a及び23a、差動増幅回路22b及び23bの経路長は、第1電流検出回路22と第2電流検出回路23とで同程度とし、その経路長の差による第1到達時間と第2到達時間との差は数nsのため無視できるものとする。
Δt={(L−X)−X}/v …(1)
そして、これを変形して式(2)を得ることができる。
X=(L−v×Δt)/2 …(2)
【0028】
従って、標定を行う者が測定器24で表示された放電電流I1、I2の波形から遅延時間Δtを求めて、式(2)に求めた遅延時間Δt、既知のL、vを代入すれば距離Xを求めることができ、橋絡水トリー位置を標定することができる。
【0029】
上述した実施形態によれば、橋絡水トリーで発生した放電電流I1が第1電流検出回路22に到達するまでの第1到達時間と、放電電流I2が第2電流検出回路23に到達するまでの第2到達時間と、の差分である遅延時間Δtを求める。そして、この遅延時間Δtが橋絡水トリー位置から第1電流検出回路22までの経路長と橋絡水トリー位置から第2電流検出回路23までの経路長との差に応じているため、この求めた遅延時間Δtから橋絡水トリーの位置を標定することができる。これにより、劣化部分のみの張替えができ、停電時間・張替え作業工程の軽減を図ることができる。
【0030】
また、上述した実施形態によれば、測定器24としてオシロスコープを設けることにより、簡単に橋絡水トリー位置で発生した放電電流I1、I2が第1電流検出回路22及び第2電流検出回路23に到達する第1到達時間及び第2到達時間の差分である遅延時間Δtを求めることができる。
【0031】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について図3を参照して説明する。図3は、第2実施形態における本発明の橋絡水トリー位置標定装置を示す図である。同図において、図2について上述した第1実施形態で既に説明した部分と同等の部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
第1実施形態と第2実施形態とで大きく異なる点は、第2電流検出回路23の接続位置である。第1実施形態では、第2電流検出回路23の検出抵抗R2の一端は直流電源21の+側に接続され、他端は直接銅テープ13の遠端に接続されていた。また、上記CVケーブル10は、3相交流電流を供給するために3本を互いに沿わせてまとめて配索されている。
【0033】
そこで、図3に示すように、標定対象のCVケーブル10を赤相のCVケーブル10(標定対象電線)としたとき、例えば、赤相のCVケーブル10の銅テープ13遠端と白相のCVケーブル10(他の電線)の芯線11遠端とを接続線J(接続部)により接続する。そして、第2実施形態では、第2電流検出回路23の検出抵抗R2の他端は白相のCVケーブル10の芯線11近端に接続されている。即ち、第2電流検出回路23の検出抵抗R2の他端は白相のCVケーブル10の芯線11を介して銅テープ13の遠端に接続されている。
【0034】
この場合、赤相のCVケーブル10の条長をL1、白相のCVケーブル10の条長をL2としたとき、橋絡水トリー位置から銅テープ13の近端側の検出抵抗R1までの距離Xは下記の式(3)で表される。
X=(L1+L2−Δt×v)/2 …(3)
【0035】
上述した実施形態によれば、赤相CVケーブル10の銅テープ13の遠端と、この赤相CVケーブル10に沿って配索される白相CVケーブル10の芯線11の遠端と、接続線Jにより接続し、第2電流検出回路23を、白相CVケーブル10の芯線11の近端と直流電源21の+側との間に設けている。このため、第1電流検出回路22及び第2電流検出回路23の両者を赤相CVケーブル10の近端側に設けることができる。これにより、図2に示す第1実施形態で説明したように、CVケーブル10の近端側からと遠端側からとで配線を取り回して第1電流検出回路22及び第2電流検出回路23を測定器24に接続する必要がない。即ち、無駄な配線をすることなく、効率的に橋絡水トリー位置の標定ができる。
【0036】
なお、上述した実施形態では、測定器24としてオシロスコープを用い、オシロスコープの表示を見て標定者が遅延時間Δtを求めていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、測定器24としてマイクロコンピュータを用いて、第1電流検出回路22により検出された電流値が閾値以上になった時点と、第2電流検出回路23により検出された電流値が閾値以上になった時点と、の差を遅延時間Δtとして求めて、表示部に表示するようにしてもよい。また、マイクロコンピュータが、この求めた遅延時間Δtから式(2)を用いて橋絡水トリー位置を標定し、標定した結果を表示部に表示するようにしてもよい。
【0037】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 CVケーブル
11 芯線
12 絶縁体(内部絶縁体)
13 銅テープ(シールド部材)
14 シース(外部絶縁体)
21 直流電源
22 第1電流検出回路(第1電流検出手段)
23 第2電流検出回路(第2電流検出手段)
24 測定器(オシロスコープ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体から構成された電線に発生した橋絡水トリーの位置を標定する橋絡水トリー位置標定方法であって、
直流電源を用いて前記電線の芯線とシールド部材との間に直流電圧を印加する工程と、
前記シールド部材の一端と前記直流電源の+側との間に設けられた第1電流検出手段、及び、前記シールド部材の他端と前記直流電源の+側との間に設けられた第2電流検出手段、の両者を用いて、前記直流電圧の印加によって前記橋絡水トリー位置で発生した放電電流が前記第1電流検出手段に到達するまでの第1到達時間と、前記放電電流が前記第2電流検出手段に到達するまでの第2到達時間と、の差分である遅延時間を求める工程と、
前記遅延時間から前記橋絡水トリーの位置を標定する工程と、
を順次行うことを特徴とする橋絡水トリー位置標定方法。
【請求項2】
導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体から構成された電線に発生した橋絡水トリーの位置を標定する橋絡水トリー位置標定装置であって、
前記電線の芯線とシールド部材との間に直流電圧を印加する直流電源と、
前記シールド部材の一端と前記直流電源の+側との間に設けられ、前記直流電圧の印加によって前記橋絡水トリー位置で発生した放電電流を検出する第1電流検出手段と、
前記シールド部材の他端と前記直流電源の+側との間に設けられ、前記直流電圧の印加によって前記橋絡水トリー位置で発生した放電電流を検出する第2電流検出手段と、
を備えたことを特徴とする橋絡水トリー位置標定装置。
【請求項3】
標定対象電線のシールド部材の他端と、前記標定対象電線に沿って配索された他の電線の芯線の他端と、を接続する接続部をさらに備え、
前記第2電流検出手段が、前記他の電線の芯線の一端と前記直流電源の+側との間に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の橋絡水トリー位置標定装置。
【請求項4】
前記第1電流検出手段により検出された放電電流の波形及び前記第2電流検出手段により検出された放電電流の波形を表示するオシロスコープを
さらに備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の橋絡水トリー位置標定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−36839(P2013−36839A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172807(P2011−172807)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】