説明

機器収容機構及び画像形成装置

【課題】電子機器を収容する機器収容機構をその電子機器を用いる本体装置に取り付けるとともに、その電子機器の接地を行う。
【解決手段】導通部材408は、収納部52において接地された接地部位に接触して、そのX軸正方向の先端が予め決められた角度よりも大きな角度でY軸正方向へと折り曲げられる。このとき導通部材408は、自身の板バネとしての作用により、Y軸負方向に反発してより広い面積で収納部52と接触する。収納部52は導線521によって接地されているから、収容された電子機器は、十分な接触面積により接地されることになる。また、導通部材408は、接地部位を押したときの反力で、機器収容機構40を収納部52の位置決め孔412から分離させる方向に押す。このとき、噛み合い部404は噛み合い孔413に引っかけられているので、導通部材408が機器収容機構40を押す力による、その機器収容機構40の移動を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機器収容機構及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては、駆動回路を構成する素子が、静電気により瞬間的に発生した過電流によって静電破壊されることがある。例えば特許文献1には、電子機器を収容する金属性筐体の一部を切り起こして接地部材として用いることで、過電流の発生を防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−117602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子機器を収容する機器収容機構を、その電子機器を用いる本体装置に取り付けるとともに、その電子機器の接地を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、電子機器を用いる本体装置に取り付けられ、当該電子機器を収容する収容体と、前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに、前記本体装置において接地された接地部位に接触して当該接地部位と導通する導通部材であって、前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに前記接地部位を押し、その反力で、前記収容体を前記本体装置から分離させる方向に押す導通部材と、前記導通部材が前記収容体を押す力による当該収容体の移動を抑制する抑制手段と、前記電子機器を前記収容体に固定する固定具であって、前記本体装置に取り付けられたときに当該導通部材及び前記接地部位を介して前記電子機器を接地する固定具とを備えることを特徴とする機器収容機構である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成において、前記収容体から突出した部材であって、前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに、前記本体装置に設けられた孔に挿入されて、前記本体装置に対する前記収容体の位置を決める位置決め部材を備え、前記導通部材には孔が設けられており、当該孔に前記位置決め部材が挿入されていることを特徴とする機器収容機構である。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の構成において、前記導通部材は板状の部材であり、板バネとしての作用によって前記接地部位を押し、その反力で、前記収容体を前記本体装置から分離させる方向に押すことを特徴とする機器収容機構である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の構成において、前記導通部材の縁が、当該導通部材よりも電気伝導率が小さく且つ当該導通部材よりも軟らかい材料によって覆われていることを特徴とする機器収容機構である。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の構成において、前記収容体から突出した部材であって、前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに、前記本体装置に設けられた孔に挿入されて、前記本体装置に対する前記収容体の位置を決める位置決め部材を備え、前記導通部材は、前記収容体が有する複数の面のうちのいずれかに設けられた板状の部材であり、板バネとしての作用によって前記接地部位を押し、その反力で、前記収容体を前記本体装置から分離させる方向に押し、前記抑制手段は、前記位置決め部材が突出する方向と直交する方向を方向成分として持つ法線を有する面であって、前記板状部材が設けられた面に隣り合う面に設けられていることを特徴とする機器収容機構である。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の機器収容機構と、前記機器収容機構に収容された電子機器を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成手段を有する本体装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、電子機器を収容する機器収容機構を、その電子機器を用いる本体装置に取り付けるとともに、その電子機器の接地を行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、導電部材が固定具を中心にして回転しないようにすることができる。
請求項3記載の発明によれば、導通部材として板バネ以外のもの、例えば弦巻バネを用いる場合と比較して、導通部材と接地部位との接触面積を広くとることができる。
請求項4記載の発明によれば、導通部材の縁を、当該導通部材よりも電気伝導率が小さく且つ当該導通部材よりも軟らかい材料によって覆わない場合に比べて、導通部材に触れることによって作業者が怪我をするような事態の発生を抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、抑制手段を板状の部材の側部に設けない場合と比して、板状の部材に触れ難くすることができる。
請求項6記載の発明によれば、電子機器を収容する機器収容機構をその電子機器を用いる画像形成装置に取り付けるとともに、その電子機器の接地を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置1の斜視図である。
【図2】同実施形態に係る画像形成装置1を正面側から見たときの内部構造を示す図である。
【図3】同実施形態に係る機器収容機構40の構造を示す斜視図である。
【図4】同実施形態に係る機器収容機構40の要部を拡大した図である。
【図5】同実施形態に係る導通部材408が導通してハードディスク401が接地された状態を説明する図である。
【図6】同実施形態の変形例に係る導通部材408hを適用した画像形成装置1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<1.実施形態>
例えばプリンタやコピー機などの画像形成装置においては、処理対象となる情報の大量化などに伴い、予め設けられているRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体の他に、ハードディスクなどの記憶媒体が増設されることがある。以下の実施形態においては、電子機器の一例としてのハードディスクを収容した機器収容機構が、電子機器を用いる本体装置の一例としての画像形成装置に設置される例を挙げて説明する。また、画像形成装置は、ハードディスクに記憶された画像データに応じた画像を、記録媒体の一例である記録用紙に形成するものとする。
【0014】
<画像形成装置の構成>
図1は、画像形成装置1の斜視図である。
図1においては、説明の便宜上、画像形成装置1の背面を前にした状態が図示されている。画像形成装置1は、ボックス状の筐体51によって外形が構成される。筐体51の背面には、機器収容機構40を収納する空間である収納部52が設けられている。収納部52の開口部は、カバー部材53によって覆われるようになっている。なお、図1は、カバー部材53を取り外した場合について例示されている。このカバー部材53は、収納部52の開口部を覆い尽くす板状の部材である。カバー部材53及び筐体51には、カバー部材53を筐体51にねじ54で固定するためのねじ孔55が予め決められた数だけ設けられている。
【0015】
ここで、画像形成装置1を正面側から見たときの内部構造を示した図2を参照しつつ、画像形成装置1の内部構成および動作の一例について説明する。画像形成装置1はタンデム型のフルカラープリンターを構成するものであり、この内部には、図示しないスキャナーやパーソナルコンピュータ、或いは電話回線等から送られてくる画像データに対して画像処理を行なう画像処理装置(図示せず)が設けられている。この画像形成装置1の内部には、画像形成手段の一例として機能するイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kが設けられる。画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、第1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット2Yが相対的に高く、最終色の黒(K)の画像形成ユニット2Kが相対的に低くなるように、水平方向に対してある角度(例えば、10度)だけ傾斜した状態である間隔を隔てて並列的に配置されている。このように、4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを、ある角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを水平に配置した場合に比較して、幅方向の距離が短くなる。
【0016】
これらの4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、基本的に同様に構成されており、駆動手段(図示せず)によってある速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム3と、この感光体ドラム3の表面を帯電する一次帯電用の帯電ロール4と、後述する画像露光装置5による画像露光によって感光体ドラム3上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像器6と、感光体ドラム3の表面を清掃するクリーニング装置7と、を具備している。感光体ドラム3は、例えば、直径30mmのドラム状に形成され、表面にオーバーコート層を有する有機感光体であり、駆動モーター(図示せず)によって回転駆動される。帯電ロール4は、例えば、芯金の表面に合成樹脂やゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器であり、この帯電ロール4の芯金には、帯電バイアスが印加されるものが用いられている。さらに、この帯電ロール4の表面には、この帯電ロール4の表面に付着したトナー等の異物を除去するためのクリーニングロール4aが接触するように配置されている。
【0017】
画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部には、画像露光装置5が設けられる。この画像露光装置5は、画像データに応じて変調されたレーザービームを射出する半導体レーザー(いずれも図示せず)を4つ備えている。これらの半導体レーザーから射出された4本のレーザービームは、ポリゴンミラーによって偏向走査されるとともに、レンズやミラー(いずれも図示せず)を介して、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に走査露光される。この実施の形態では、画像露光装置5が4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部に沿って配設されており、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、水平方向に対して傾斜した状態で設けられている。このため、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に走査露光する各レーザービームの光路長は、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kで等しくなる。
【0018】
画像処理装置からは、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kに共通して設けられた画像露光装置5に、各色の画像データが順次出力される。この画像露光装置5から画像データに応じて射出されたレーザービームは、対応する感光体ドラム3の表面に走査露光させ、静電潜像を形成させる。上記感光体ドラム3上に形成された静電潜像は、現像器6Y,6M,6C,6Kによって、各色のトナー像として現像される。上記各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3上に順次形成された各色のトナー像は、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの上方にわたって傾斜した状態で配置された中間転写体としての中間転写ベルト10上に、一次転写ロール11によって多重に転写される。
【0019】
この中間転写ベルト10は、複数のロールによって張架されたベルト状部材であって、このベルト状部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が低く、且つ上流側が高くなるように、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。即ち、中間転写ベルト10は、ドライブロール13と、バックアップロール14と、テンションロール12と、第1のアイドラーロール15と、第2のアイドラーロール16と間にテンションで掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モーター(図示せず)によって回転駆動されるドライブロール13により、矢印方向に循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト10としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フイルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フイルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。上記中間転写ベルト10は、その下辺走行領域において、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kに接触するように配置されている。
【0020】
中間転写ベルト10を挟んでバックアップロール14と対向する位置には、中間転写ベルト10の表面に突き当たった状態で接触するように二次転写ロール17が配置される。この二次転写ロール17は、中間転写ベルト10上に一次転写されたトナー像を記録用紙18上に二次転写する。中間転写ベルト10上に多重に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像は、バックアップロール14に圧接する二次転写ロール17によって、圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙18上に二次転写される。これらの各色のトナー像が転写された記録用紙18は、上方に位置する定着器19へと搬送される。そして、各色のトナー像が転写された記録用紙18は、定着器19によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、定着器19の出口ロール20及び用紙排出経路21を介して排出ロール22によって画像形成装置1の上部に設けられた用紙受部23上に排出される。
【0021】
記録媒体の一例である記録用紙18は、画像形成装置1の内部に配置された用紙収納部24から規定のサイズ及び材質のものが、給紙ローラ25及び用紙分離搬送用のローラ対26により1枚ずつ分離された状態でレジストロール28まで一旦搬送され、停止される。上記用紙収納部24から給紙された記録用紙18は、予め決まったタイミングで回転駆動されるレジストロール28によって中間転写ベルト10の二次転写位置へ送出される。
【0022】
用紙受部23と中間転写ベルト10と間には、トナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kが設けられ、このトナーカートリッジ29Y,29M,29C,29Kは、現像器6Y,6M,6C,6Kにトナーを供給する。黒(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ29Kは、使用頻度が多いため、他のカラーのトナーカートリッジと比較して大型に形成されている。また、筐体51の側面には手差し給紙部30が設けられ、この手差し給紙部30からは、規定の材質及び規定のサイズの記録用紙18が、給紙ローラ31及び用紙分離搬送用のローラ32を介してレジストロール28へと搬送される。
【0023】
<機器収容機構40の構成>
次に、機器収容機構40の構造について、図3,図4,図5を参照しつつ説明する。
機器収容機構40は、蓋のない箱形形状の収容体400を備えており、この収容体400に、電子機器としてのハードディスクが収容される。図3,図4,図5においては、作業者が機器収容機構40のハードディスクが収容される面とは反対側の面に正対して機器収容機構40を見たときの左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。そして、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、X軸正方向、X軸負方向、Y軸正方向、Y軸負方向、Z軸正方向、Z軸負方向、という。また、X軸正方向の面とは、機器収容機構40が有する外側の面のうち、X軸正方向が法線となる面のことである。X軸負方向、Y軸正方向、Y軸負方向、Z軸正方向、Z軸負方向についても同様である。以下では、X軸正方向の面を面100、X軸負方向の面を面101、Y軸負方向の面を面102、Z軸正方向の面を面103、Z軸負方向の面を面104とする。
【0024】
図3は機器収容機構40の構造を示す斜視図である。
機器収容機構40の収容体400には、例えばプラスチックなどの樹脂によって掴み部402、挟み部403a,403b(以下、挟み部403という)、噛み合い部404a,404b(以下、噛み合い部404という)、位置決め部405a,405b(以下、位置決め部405という)、及びねじ孔406a,406b,406c,406d(以下、ねじ孔406という)が形成されている。機器収容機構40は、例えば金属などの導電性を有する部材によって形成されたねじ407a,407b,407c,407d(以下、ねじ407という)及び導通部材408a,408b(以下、導通部材408という)を備えている。
【0025】
掴み部402は、収容体400の面102からY軸負方向に突出した部材であり、作業者が機器収容機構40を持ちやすくするために設けられている。例えば、作業者が収容体400のX軸正方向及び負方向の2つの面100,101を持って、機器収容機構40を画像形成装置1の収納部52に備え付ける作業を行った場合を想定すると、手で持っていない収納部52のZ軸方向に、作業者の指が作業を行うのに十分な空間が無いことがある。また、収納部52に電子回路基板が設けられている場合、作業者の指(身体)と電子回路基板との間において静電気により瞬間的に発生した過電流が、電子回路基板を構成する素子を静電破壊することがある。このような場合と比較して、利用者が掴み部402を持って機器収容機構40を収納部52に備え付ける作業を行うようにすると、上記のような問題が発生しづらい。
【0026】
挟み部403は、収容体400の面102からY軸負方向に突出し、さらにZ軸正の方向またはZ軸負の方向に屈曲した部材である。この挟み部403は、ハードディスク401に電力や記憶データなどを伝送するためのケーブル4011を束ねて挟み込むために設けられている。例えば、挟み部403が、ハードディスク401に備えられたケーブル4011を挟み込めば、ケーブル4011によって収納部52が乱雑になりにくい。
【0027】
噛み合い部404は、収容体400のZ軸正方向及び負方向の面103,104にそれぞれ設けられたスナップフィットである。噛み合い部404aは、面103からZ軸正方向に突出し、さらにX軸正方向に屈曲しており、また、噛み合い部404bは、面103からZ軸負方向に突出し、さらにX軸正方向に屈曲している。この噛み合い部404は、機器収容機構40が収納部52に挿入された状態で、収納部52に設けられた孔の縁に噛み合って、機器収容機構40を収納部52に固定する。噛み合い部404は、片持ち梁部と、収納部52に設けられた孔の縁に噛み合う為に片持ち梁部の先端に設けられた突起部とを有している。片持ち梁部は、面103、104からZ軸正または負方向に突出してから、さらにX軸正方向に屈曲し、収容体400のX軸方向の先端から予め決められた距離だけ突出している。噛み合い部404aに設けられた突起部は、片持ち梁部からZ軸正方向に予め決められた量だけ突出しており、噛み合い部404bに設けられた突起部は、片持ち梁部からZ軸負方向に予め決められた量だけ突出している。この突起部が、図示せぬ収納部52に設けられた孔の縁に引っ掛かることによって、噛み合い部404と収納部52とが噛み合った状態となる。
【0028】
位置決め部405は、収容体400のX軸正方向の面100からX軸正方向に突出した一対のボスである。この位置決め部405は、機器収容機構40を収納部52に収容する際に、収納部52に対する機器収容機構40の位置を決める位置決め部材の一例として機能する。これらの噛み合い部404や位置決め部405を用いて機器収容機構40を収納部52に収納して固定するので、例えばねじなどの部材を用いて固定する必要が無い。ねじ407は、ハードディスク401に設けられたねじ孔及びハードディスク内の接地点となる孔に挿入されることで、ハードディスク401を収容体400に固定する固定具として機能するとともに、ハードディスク401の接地点と導通する。特にX軸正方向側に位置するねじ407c,407dは、導通部材408を収容体400に固定するとともに、ハードディスク401の接地点と導通部材408とを導通させる。この導通部材408は、収納部52に設けられた接地部位に接触してその接地部位と導通することで、ハードディスク401を接地させる。したがって、ねじ407が収容体400とハードディスク401とを固定させるだけでなく、ハードディスク401と導通部材408とを導通させることにより、ハードディスク401を導通させるための例えばアース線などの部材が不要となる。
【0029】
図4は、機器収容機構40の要部を拡大した図である。
図4(a)は、導通部材408を示す図である。導通部材408は、導電性を有する金属板であり、導通部材408を貫通する孔であるねじ孔4081とボス孔4082とが形成されている。この導通部材408の縁を覆うように、フィルム状の樹脂からなる保護部材4083が貼り付けられている。保護部材4083は、導通部材408よりも電気伝導率が小さく且つ導通部材408よりも軟らかい材料(例えばビッカース硬さやヤング率等、硬さの指標となる値が小さい材料)である。したがって、保護部材4083は、導通部材408の縁や高電圧で作業者が怪我することの無いようにする目的で設けられている。
【0030】
図4(b)は導通部材408が収容体400に固定されている状態を説明する正面図であり、図4(c)は、図4(b)をIVの方向に矢視した断面図である。導通部材
408におけるX軸正方向の先端は、予め決められた角度(例えば60°)でY軸正方向へと折り曲げられている。収容体400に導通部材408を取り付ける際には、導通部材408は、ボス孔4082に位置決め部405が挿入され、更に、ねじ孔4081とねじ孔406との位置が合わせられる。その上で、ねじ407が、Y軸正方向に向かってねじ孔4081と、ねじ孔406と、金属板409のねじ孔4091と、ハードディスク401のねじ孔兼接地点4012とに挿入されることにより、導通部材408が収容体400に固定させられる。位置決め部405は、導通部材408のボス孔4082に挿入されていることで、導通部材408がねじ孔4081に挿入されたねじ407を中心として回転するのを規制する。なお、ハードディスク401のねじ孔兼接地点4012は、ねじ407のねじ受けとして機能するとともに、ねじ407と導通することでハードディスク401の接地点とて機能する。また、金属板409は、ねじ孔4091を有する板状の静電シールドであり、外部の電界を遮ることによりハードディスク401の回路が誤作動を起こすような影響を低減させる。
【0031】
図5は、導通部材408が導通してハードディスク401が接地された状態を説明する図である。
図5(a)は導通部材408が導通する状態を説明する正面図であり、図5(b)は、図5(a)をVの方向に矢視した断面図である。図5(a)(b)に示すように
、位置決め部405と噛み合い部404が、収納部52に設けられた位置決め孔412と噛み合い孔413にそれぞれX軸正方向に向かって挿入される。このとき、位置決め部405は、位置決めの際のガイドとなる。また、噛み合い部404の突起部が噛み合い孔413に引っ掛けられることによって、機器収容機構40が収納部52から離脱するのを防止する。導通部材408は、収納部52において接地された接地部位に接触して、そのX軸正方向の先端が予め決められた角度(例えば60°)よりも大きな角度(例えば80°)でY軸正方向へと折り曲げられる。このとき、折り曲げられた導通部材408は、自身の板バネとしての作用により、Y軸負方向に反発し、より広い面積で収納部52と接触することになる。収納部52は導線521によって接地されているから、ハードディスク401は、十分な接触面積により接地されることになる。これにより、静電気により瞬間的に発生した過電流によってハードディスク401が静電破壊されにくくなる。また、これと同時に、導通部材408は、接地部位を押したときの反力で、機器収容機構40を収納部52の位置決め孔412から分離させる方向に押す。このとき、噛み合い部404は噛み合い孔413に引っかけられているので、導通部材408が機器収容機構40を押す力による、その機器収容機構40の移動を抑制する抑制手段の一例として機能する。
【0032】
なお、図3に示すように、噛み合い部404、位置決め部405、及び導通部材408は、収容体400にそれぞれ2箇所設けられているが、いずれも同じ構成,機能となるため、一方のみを説明して他方についての説明は省略するものとする。
【0033】
<2.変形例>
(2−1)変形例1
上記実施形態において、導通部材408の形状は実施形態の内容に限らない。例えば、図6に示すように、導通部材408hは、円筒状静電破壊に形成されたバネであってもよい。より具体的には、導通部材408hは、一端をねじ407によって収容体400に固定され、更に収容された電子機器と導通される。また、位置決め部405が、導通部材408hの円筒の中に挿入されていることで、導通部材408hの一端を固定したねじ407を中心として回転するのを規制する。したがって導通部材408hは、収容体400に収容された電子機器を接地させるような部材であり、ねじ407及び位置決め部405によって固定されていればよい。
(2−2)変形例2
導通部材408の縁には、樹脂をフィルム状に形成し自在に折り曲げ可能とした保護部材4083が貼り付けられているものとした。しかし、作業者が怪我することの無いようにする目的で設けられていれば、これに限らない。例えば、導通部材408の縁をコの字に加工することで、作業者が怪我することの無いようにしてもよい。
(2−3)変形例3
収容体400に収容される電子機器は、ハードディスクとは限らない。例えば、電子機器は、本体装置に装着され、静電気による影響を受けにくくするために接地を要する機器であれば良い。また、電子機器を用いる本体装置は、画像形成装置とは限らない。例えば、本体装置としては、少なくとも電子機器を用いて処理を実施するような装置であればよい。
【符号の説明】
【0034】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…画像形成ユニット、3Y,3M,3C,3K…感光体ドラム、4…帯電ロール、4a…クリーニングロール、5…画像露光装置、6Y,6M,6C,6K…現像器、7…クリーニング装置、10…中間転写ベルト、11…一次転写ロール、13…ドライブロール、14…バックアップロール、12…テンションロール、15…第1のアイドラーロール、16…第2のアイドラーロール、17…二次転写ロール、18…記録用紙、19…定着器、20…出口ロール、21…用紙排出経路、22…排出ロール、23…用紙受部、24…用紙収納部、25…給紙ローラ、26…ローラ対、28…レジストロール、29Y,29M,29C,29K…トナーカートリッジ、30…給紙部、31…給紙ローラ、32…ローラ、51…筐体、52…収納部、521…導線、53…カバー部材、54…ねじ、55…ねじ孔、40…機器収容機構、400…収容体、401…ハードディスク、4011…ケーブル、4012…ねじ孔兼接地点、402…掴み部、403…挟み部、404…噛み合い部、405…位置決め部、406…ねじ孔、407…ねじ、408,408h…導通部材、4081…ねじ孔、4082…ボス孔、4083…保護部材、409…金属板、4091…ねじ孔、412…位置決め孔、413…噛み合い孔、100,101,102,103,104…面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を用いる本体装置に取り付けられ、当該電子機器を収容する収容体と、
前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに、前記本体装置において接地された接地部位に接触して当該接地部位と導通する導通部材であって、前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに前記接地部位を押し、その反力で、前記収容体を前記本体装置から分離させる方向に押す前記導通部材と、
前記導通部材が前記収容体を押す力による当該収容体の移動を抑制する抑制手段と、
前記電子機器を前記収容体に固定する固定具であって、前記本体装置に取り付けられたときに当該導通部材及び前記接地部位を介して前記電子機器を接地する前記固定具と、
を備えることを特徴とする機器収容機構。
【請求項2】
前記収容体から突出した部材であって、前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに、前記本体装置に設けられた孔に挿入されて、前記本体装置に対する前記収容体の位置を決める位置決め部材を備え、
前記導通部材には孔が設けられており、当該孔に前記位置決め部材が挿入されている
ことを特徴とする請求項1に記載の機器収容機構。
【請求項3】
前記導通部材は板状の部材であり、板バネとしての作用によって前記接地部位を押し、その反力で、前記収容体を前記本体装置から分離させる方向に押す
ことを特徴とする請求項1または2に記載の機器収容機構。
【請求項4】
前記導通部材の縁は、当該導通部材よりも電気伝導率が小さく且つ当該導通部材よりも軟らかい材料によって覆われている
ことを特徴とする請求項3に記載の機器収容機構。
【請求項5】
前記収容体から突出した部材であって、前記収容体が前記本体装置に取り付けられたときに、前記本体装置に設けられた孔に挿入されて、前記本体装置に対する前記収容体の位置を決める位置決め部材を備え、
前記導通部材は、前記収容体が有する複数の面のうちのいずれかに設けられた板状の部材であり、板バネとしての作用によって前記接地部位を押し、その反力で、前記収容体を前記本体装置から分離させる方向に押し、
前記抑制手段は、前記位置決め部材が突出する方向と直交する方向を方向成分として持つ法線を有する面であって、前記板状部材が設けられた面に隣り合う面に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の機器収容機構。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の機器収容機構と、
前記機器収容機構に収容された電子機器を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成手段を有する本体装置と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−64810(P2011−64810A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213627(P2009−213627)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】