説明

機器開閉機構および情報機器

【課題】スライド機構およびヒンジ機構を併用し、操作性を高めた機器開閉機構を提供する。
【解決手段】本発明の機器開閉機構は、第1の筐体と第2の筐体とをスライド可能に接続し、閉状態と開状態との間で第1の筐体および第2の筐体の位置状態を遷移させるスライド機構と、第1の筐体と第2の筐体とを回転可能に接続するヒンジ機構と、を備える。スライド機構は、第1の筐体に固定された第1のホルダーと、第2の筐体に固定され、第1のホルダーをスライド方向に移動可能に支持する第2のホルダーと、一端が第1のホルダーに固定され、他端が第2のホルダーに固定され、スライド時の動きに応じて伸縮する弾性部材と、からなる。弾性部材は、第1の筐体および第2の筐体のスライド途中状態において最も縮み、閉状態での伸び量が開状態での伸び量より小さくなる。ヒンジ機構は、第1の筐体および第2の筐体が開状態となったとき機能可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器開閉機構および情報機器に関し、より詳細には、第1の筐体および第2の筐体を備える情報機器の開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話機やPDA等の携帯情報端末や、モバイルパソコン等の情報機器において、情報を表示する表示部を備える第1の筐体と、入力キーやボタンからなるキーボードを備える第2の筐体とを連結した構成の機器が一般的に用いられている。かかる情報機器では、使用形態に応じて、第1の筐体と第2の筐体とをスライドさせたり回転させたりすることで、表示部に表示された情報を見易くしたり、入力キー等からの情報の入力を容易に行うことができるようにする。
【0003】
例えば、特許文献1には、ディスプレイを有する第1のコンポーネントと、キーボードを有する第2のコンポーネントと、第1および第2の電子コンポーネントをスライド可能にかつ回動可能に接続するカップリングとからなる電子デバイスが開示されている。また、特許文献2には、第1筐体と第2筐体とを前後方向へスライドさせて開閉でき、開成状態で第2筐体を第1筐体に対して起き上がらせることの可能な開閉装置を備えた携帯情報機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−113067号公報
【特許文献2】特開2010−87991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の情報機器において、第1の筐体と第2の筐体とをスライド可能に接続するスライド機構をユーザに見えないようにすると、第1の筐体と第2の筐体とを最大限ずらした最大スライド量を大きくすることができないという問題があった。例えば、第1の筐体を第2の筐体に対してスライドさせることによって露出する第2の筐体の一部にキーボードを設けた場合、当該キーボードのサイズは最大スライド量に制約される。このため、キー入力し易くするためにキーボードのサイズを大きくしようとしても最大スライド量の制約を受けてしまい、キーボードのサイズを小さくしなければならなかった。
【0006】
また、卓上に情報機器を置いて使用する場合には、従来のクラムシェル型のパーソナルコンピュータのように、第1の筐体に設けられた表示部と第2の筐体に設けられたキーボードとに角度をつけることができると使用し易くなる。しかし、第1の筐体と第2の筐体とを回転可能にするヒンジ機構を上記のスライド機構とともに設けた場合には、ヒンジ機構の設置位置による問題が生じる。第1の筐体と第2の筐体とをスライドさせ、それぞれの端部(セット端)が重なった位置で第1の筐体および第2の筐体が回転可能となる位置にヒンジ機構を設けると、スライド機構を隠すことができなくなる。一方、セット端以外の位置にヒンジ機構を設けると、ヒンジ機構を設置するために筐体の一部を切り欠く必要があり、情報機器のデザインを害してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、スライド機構およびヒンジ機構を併用し、かつ操作性を高めることが可能な、新規かつ改良された機器開閉機構および情報機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の筐体と第2の筐体とをスライド可能に接続し、第1の筐体と第2の筐体との重なる領域が最大となる閉状態と、第1の筐体と第2の筐体との重なる領域が最小となる開状態との間で第1の筐体および第2の筐体の位置状態を遷移させるスライド機構と、第1の筐体と第2の筐体とを回転可能に接続するヒンジ機構と、を備え、スライド機構は、第1の筐体に固定された第1のホルダーと、第2の筐体に固定され、第1のホルダーをスライド方向に移動可能に支持する第2のホルダーと、一端が第1のホルダーに固定され、他端が第2のホルダーに固定されており、第1の筐体および第2の筐体のスライド時の動きに応じて伸縮する弾性部材と、からなり、弾性部材は、第1の筐体および第2の筐体のスライド途中状態において最も縮み、閉状態での伸び量が開状態での伸び量より小さくなるように設けられ、ヒンジ機構は、第1の筐体および第2の筐体が開状態となったとき機能可能となる、機器開閉機構が提供される。
【0009】
ここで、第1のホルダーと第2のホルダーとのスライド方向における幅の差分は、1/3より小さくしてもよい。
【0010】
また、ヒンジ機構は、第1の筐体と第2の筐体との回転中心となる回転軸と、一方が回転軸に回転可能に設けられ、他方が回転軸に固定される、第1のホルダーに固定された第1の固定部および第2のホルダーに固定された第2の固定部と、一端が第1の固定部に固定され、他端が第2の固定部に固定されており、第1の筐体および第2の筐体の回転方向にトルクを発生するトルク部材と、第1の筐体および第2の筐体の回転方向への移動を妨げる摩擦力を発生させる摩擦部材と、からなり、摩擦部材により発生される摩擦力は、第1の筐体と第2の筐体とのなす角である開閉角が所定の角度以下はトルク部材により発生されるトルク以下であり、開閉角が所定の角度より大きくなったとき、トルク部材により発生されるトルクより大きくなるようにしてもよい。
【0011】
このとき、トルク部材は、トーションばねからなり、摩擦部材は、回転軸方向に併設して設けられた2つのカムと、2つのカムを押圧する摩擦弾性部材とからなるようにしてもよい。
【0012】
また、開状態では、閉状態から開状態へと遷移させる際に押し込まれて第1の筐体上をスライドする第1の筐体の端部である後端部を、スライド方向におけるヒンジ機構の回転軸の位置より、押し込み方向に位置させるようにしてもよい。
【0013】
さらに、第1のホルダーは、第1の筐体および第2の筐体のスライド時に、第1の筐体と対向する第2の筐体の面上を回転するローラを備えるようにしてもよい。ローラは、例えば弾性部材から構成することができる。
【0014】
また、ヒンジ機構は、第1の筐体と第2の筐体との回転中心となる回転軸と、一方が回転軸に回転可能に設けられ、他方が回転軸に固定される、第1のホルダーに固定された第1の固定部および第2のホルダーに固定された第2の固定部と、第1の筐体および第2の筐体の回転方向への移動を妨げる摩擦力を発生させる摩擦部材と、からなるようにしてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報を表示する表示部を備える第1の筐体と、第1の筐体と重ね合わせて設けられ、操作入力が行われる入力部を備える第2の筐体と、第1の筐体と第2の筐体とをスライド可能に接続し、第1の筐体と第2の筐体との重なる領域が最大となる閉状態と、第1の筐体と第2の筐体との重なる領域が最小となる開状態との間で第1の筐体および第2の筐体の位置状態を遷移させるスライド機構と、第1の筐体と第2の筐体とを回転可能に接続するヒンジ機構とからなる機器開閉機構と、を備え、機器開閉機構のスライド機構は、第1の筐体に固定された第1のホルダーと、第2の筐体に固定され、第1のホルダーをスライド方向に移動可能に支持する第2のホルダーと、一端が第1のホルダーに固定され、他端が第2のホルダーに固定されており、第1の筐体および第2の筐体のスライド時の動きに応じて伸縮する弾性部材と、からなり、弾性部材は、第1の筐体および第2の筐体のスライド途中状態において最も縮み、閉状態での伸び量が開状態での伸び量より小さくなるように設けられ、ヒンジ機構は、第1の筐体および第2の筐体が開状態となったとき機能可能となる、情報機器が提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、スライド機構およびヒンジ機構を併用し、かつ操作性を高めることが可能な機器開閉機構および情報機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る情報機器のデフォルト状態を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態に係る情報機器のスライド途中状態を示す概略斜視図である。
【図3】同実施形態に係る情報機器のスライド完了状態を示す概略斜視図である。
【図4】同実施形態に係る情報機器のチルト状態を示す概略斜視図である。
【図5】図1〜4に示した情報機器の第1の筐体を取り除いた状態を示す概略斜視図であって、デフォルト状態を示す概略斜視図である。
【図6】図1〜4に示した情報機器の第1の筐体を取り除いた状態を示す概略斜視図であって、スライド途中状態を示す概略斜視図である。
【図7】図1〜4に示した情報機器の第1の筐体を取り除いた状態を示す概略斜視図であって、スライド完了状態を示す概略斜視図である。
【図8】図1〜4に示した情報機器の第1の筐体を取り除いた状態を示す概略斜視図であって、チルト状態を示す概略斜視図である。
【図9】ディスプレイホルダーとベースホルダーとのサイズを示す説明図である。
【図10】ベースホルダーに対するディスプレイホルダーの可動範囲を示す説明図である。
【図11】デフォルト状態、スライド途中状態、およびスライド完了状態におけるローラの状態を示す説明図である。
【図12】デフォルト状態、スライド完了状態、およびチルト状態におけるヒンジ機構の状態を示す説明図である。
【図13】ヒンジ機構を示す平面図および側面図である。
【図14】デフォルト状態、スライド完了状態、ポップアップ状態およびチルト状態におけるヒンジ機構の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.情報機器の概略構成
2.スライド機構
3.ヒンジ機構
【0020】
<1.情報機器の概略構成>
まず、図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る情報機器100の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る情報機器100のデフォルト状態を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る情報機器100のスライド途中状態を示す概略斜視図である。図3は、本実施形態に係る情報機器100のスライド完了状態を示す概略斜視図である。図4は、本実施形態に係る情報機器100のチルト状態を示す概略斜視図である。
【0021】
本実施形態に係る情報機器100は、表示部112を備える第1の筐体110と、キーボード122を備える第2の筐体120とが移動可能に接続されている。第1の筐体110および第2の筐体120は、例えばそれぞれ平板形状となっており、同一サイズに形成されている。
【0022】
第1の筐体110および第2の筐体120は、情報機器100を閉じた状態では、図1に示すように、第2の筐体120の上に第1の筐体110が位置するように設けられる。すなわち、第1の筐体110と第2の筐体120とはz方向に積層された状態となっている。このとき、第1の筐体110に設けられた表示部112が機器外部側にあるように(すなわち、第2の筐体120と対向する面と反対側の面にあるように)、第1の筐体110は第2の筐体に対して設けられる。したがって、ユーザは、情報機器100が閉じているデフォルト状態においても、表示面112に表示されるコンテンツ等の情報を視認することができる。
【0023】
第1の筐体110と第2の筐体120とは、スライド機構(図6の符号160参照)によって所定のスライド方向に移動可能に接続されている。図2に示すように、本実施形態では、第1の筐体110は、スライド機構により、第2の筐体120に対してスライド方向であるy方向にスライドすることができる。第1の筐体110をy軸正方向にスライドさせると、第2の筐体120の一部が露出される。第1の筐体110がスライドすることによって露出される第2の筐体120の領域には、図2および図3に示すように、キーボード122が設けられている。第1の筐体110を最大限に移動可能な位置までスライドさせると、図3に示すように、第2の筐体120に設けられたキーボード122がすべて現われ、キーボード122を使用可能な状態となる。
【0024】
さらに、本実施形態に係る情報機器100は、第1の筐体110と第2の筐体120とを回転可能にするヒンジ機構を備えている。ヒンジ機構は、図3に示すスライド完了状態となると、図4に示すように、ヒンジ機構によって第1の筐体110を第2の筐体120に対して回転させることが可能となる。ユーザは、第1の筐体110を回転させて表示部112が見易くなるように調整して、クラムシェル型のパーソナルコンピュータのように使用することができる。
【0025】
本実施形態に係る情報機器100は、第1の筐体110の表示部112と対応する領域にタッチセンサ(図示せず。)を備えている場合には、図1に示すデフォルト状態で指等の操作体を表示部112に接触させることで操作入力を行うことができる。また、テキスト入力等のようにキーボード122を使用した方が情報を入力し易い場合には、図2〜図4に示すように、第1の筐体110を第2の筐体120に対してスライドさせることでキーボード122から操作入力を行うことができる。この際、第1の筐体110を回転させることで、より操作入力を行い易くすることができる。
【0026】
このように本実施形態に係る情報機器100はスライド機構およびヒンジ機構によってその形態を変化させることができるが、これらの機構は、容易に形態変更できるとともに、機器の使用感や操作性を高めるように構成されている。以下、本実施形態に係る情報機器100の構成についてより詳細に説明していく。
【0027】
<2.スライド機構>
まず、図5〜図10に基づいて、本実施形態に係る情報機器100のスライド機構160について説明する。なお、図5〜図8は、図1〜4に示した情報機器100の第1の筐体110を取り除いた状態を示す概略斜視図であって、図5はデフォルト状態、図6はスライド途中状態、図7はスライド完了状態、図8はチルト状態を示す。図9は、ディスプレイホルダー130とベースホルダー140とのサイズを示す説明図である。図10は、ベースホルダー140に対するディスプレイホルダー130の可動範囲を示す説明図である。
【0028】
図1に示す情報機器100のデフォルト状態において第1の筐体110を取り除くと、図5に示すように、第1の筐体110に固定されている第1のホルダーであるディスプレイホルダー130と、第2の筐体120に固定されている第2のホルダーであるベースホルダー140とを確認できる。スライド機構160は、ディスプレイホルダー130と、ベースホルダー140と、これらに連結されたアクチュエータばね150とを含んで構成される。
【0029】
ディスプレイホルダー130は、第1の筐体110と第2の筐体120との間に設けられた板状部材であって、第1の筐体110と一体となって第2の筐体120に対してスライド可能に設けられる。ディスプレイホルダー130のスライド方向(y方向)に平行な2辺は、第2の筐体120に固定されたベースホルダー140の支持部142によって支持されている。
【0030】
ベースホルダー140は、第2の筐体120の第1の筐体110と対向する面の一部に設けられる。具体的には、図5に示すように、ベースホルダー140は、スライド方向においてキーボード122の設置領域と反対側の領域に設けられている。また、ベースホルダー140には、ディスプレイホルダー130のスライド方向の2辺をスライド可能に支持する支持部142が設けられている。支持部142はベースホルダー140を構成する構成要素であり、ベースホルダー140と一体に形成されていてもよく、ベースホルダー140と別体に設けてもよい。
【0031】
ディスプレイホルダー130とベースホルダー140とは、図5に示すように、一端がディスプレイホルダー130に固定され、他端がベースホルダー140に固定されたアクチュエータばね150によって接続されている。図5に示すデフォルト状態から、第1の筐体110に対してy軸正方向に押し出す力が加えられると、第1の筐体110は、図6に示すようにy軸方向にスライドする。そして、図7に示すようにベースホルダー140のキーボード122側の端部に第1の筐体110のy軸負方向側の端部が位置したときに停止する。この第1の筐体110の停止位置を最大スライド位置ともいう。図7に示す最大スライド位置まで第1の筐体110がスライドされると、ヒンジ機構を機能させることができ、図8に示すようにディスプレイホルダー130を回転することで第1の筐体110を回転させることができる。
【0032】
ここで、本実施形態に係る情報機器100は、第1の筐体110を少ない押し込み量で最大スライド位置までスライドさせることができるように構成されている。また、情報機器100は、機器全体のサイズを大きくすることなくキーボード122の設置領域を十分に確保するために、第1の筐体110のデフォルト状態から最大スライド位置までのスライド量を大きくできるように構成されている。
【0033】
[スライド量について]
第2の筐体120に対して第1の筐体110がスライド可能なスライド量(「最大スライド量」ともいう。)は、図9に示すように、スライド方向におけるディスプレイホルダー130の幅W1とベースホルダー140の幅W2との差分である。ここで、ベースホルダー140は、ディスプレイホルダー130を包囲するように構成されている。このため、ベースホルダー140が大きくなるほどスライド時にディスプレイホルダー130に固定された第1の筐体110を押し込む力が増大し、スライド時の回転方向におけるガタつきを低減できる。また、ベースホルダー140の幅W2が増加することで、後述するヒンジ機構の抑え部が増加し、チルト方向におけるトルク(ねじりトルク)に対する強度を増大させることができる。
【0034】
通常、上述の特性より、スライド方向におけるベースホルダー140の幅W2は、ディスプレイホルダー130の幅W1の約1/3以上とすることが望ましい。しかし、機器全体のサイズを大きくできないという制約がある場合には、かかるベースホルダー140とディスプレイホルダー130との幅関係を保持しようとすると、操作し易いサイズのキーボード122を設置できるだけの領域を確保することができない。また、スライド時の情報機器100のガタつきも生じることになる。
【0035】
そこで、本実施形態に係る情報機器100は、スライド方向におけるベースホルダー140の幅W2をディスプレイホルダー130の幅W1の約1/3より小さくし、最大スライド量を大きくしている。この際、スライド時のガタつきを防止するため、例えば、第1の筐体110のスライド方向に平行な2辺に、第2の筐体120に沿って移動させるためのガイド部材(図示せず。)を設ける。ガイド部材は、例えば、第1の筐体110から第2の筐体120側へ突出する壁部によって構成することができる。
【0036】
[アクチュエータばねについて]
本実施形態に係る情報機器100のスライド機構160は、第1の筐体110を少ない押し込み量で最大スライド位置までスライドさせることができるように、アクチュエータばね150を設けている。アクチュエータばね150は、上述したように、一端が第1の固定部144にてディスプレイホルダー130に固定され、他端が第2の固定部132にてベースホルダー140に固定されている。情報機器100には、2つのアクチュエータばね150が、情報機器100のx方向の中心を通るy方向に平行な中心線について対称となるように設けられている。
【0037】
アクチュエータばね150の設置の仕方について、図10を参照してより詳細に説明する。図10は、閉状態であるデフォルト状態(実線)、スライド途中状態でかつアクチュエータばね150が最も縮んでいるときの状態(二点鎖線)、開状態であるスライド完了状態(細線)におけるディスプレイホルダー130のベースホルダー140に対する位置を示している。図10では、デフォルト状態にある構成要素の符号には「A」を、スライド途中状態でかつアクチュエータばね150が最も縮んでいるときの状態にある構成要素の符号には「B」を、スライド完了状態にある構成要素の符号には「C」を付している。また、図10のデフォルト状態は図5に対応し、スライド途中状態でかつアクチュエータばね150が最も縮んでいるときの状態は図6に対応し、スライド完了状態は図7に対応する。
【0038】
アクチュエータばね150は、スライド途中状態の所定の位置において最も縮むように設けられる(符号150B)。したがって、デフォルト状態およびスライド完了状態においては、アクチュエータばねは伸びていることになる(符号150A、150C)。デフォルト状態において伸びているアクチュエータばね150は、第1の筐体110がy軸正方向側へ押し出されると、徐々に縮んでいき、最も縮んだ状態となる。この位置を「反転ポイント」ともいう。反転ポイントを通過すると、アクチュエータばね150はその伸長する特性から、外部からy軸正方向側へ第1の筐体110を押し出す力をさらに加えることなくy軸正方向側へ伸びる。そして、アクチュエータばね150が最大に伸びた状態でディスプレイホルダー130の移動は停止し、スライド完了状態となる。
【0039】
反転ポイントを境に、デフォルト状態とスライド完了状態とにおけるアクチュエータばね150の伸びが同一となるようにアクチュエータばね150を設けると、最大スライド量を最も大きくすることができる。しかし、この場合、第1の筐体110のy方向の中心位置に反転ポイントが存在することになり、第1の筐体110をデフォルト状態から自動的にスライドするようになる反転ポイントまで移動させるまでの押し込み量も大きくなり、操作感が悪化してしまう。
【0040】
そこで、本実施形態では、図10に示すように、デフォルト状態におけるアクチュエータばね150Aの伸びをスライド完了状態におけるアクチュエータばね150Cの伸びよりも小さくする。これにより、アクチュエータばね150の反転ポイントをy方向の中心位置よりもy軸正方向側にすることができ、デフォルト状態から反転ポイントまでの第1の筐体110の移動量を小さくすることができる。しがたって、第1の筐体110を少ない押し込み量で最大スライド位置までスライドできるようになり、快適な操作感を提供することが可能となる。
【0041】
なお、アクチュエータばね150は、スライド完了状態において必要な当該ばねの長さと、FPC(Flexible Printed Circuits)との干渉の回避を考慮して、情報機器100に配置される。
【0042】
[ローラについて]
第1の筐体110が第2の筐体120に対してスライドする過程において、第1の筐体110に固定されたディスプレイホルダー130は、第2の筐体120に設けられたキーボード122およびパームレスト126と対向しながらスライド方向に移動する。このとき、第1の筐体110が第2の筐体120に向かって押されると、ディスプレイホルダー130がキーボード122やパームレスト126と干渉し、これらを傷付ける恐れがある。
【0043】
そこで、本実施形態に係る情報機器100は、図11に示すように、第1の筐体110のスライド方向に回転するローラ170を第2の筐体120と対向する位置に設けている。ローラ170は、例えば、第1の筐体110のy軸負方向側の端部に設けることができる。ローラ170は、弾性のある材質、例えばゴム等から形成されている。ローラ170は、少なくとも1つ設けられ、例えば図5に示すように、x方向に2つ並べて設けてもよい。
【0044】
図11に示すように、デフォルト状態では、ローラ170は第2の筐体120上に載置された状態となっている。このとき、ディスプレイホルダー130と、キーボード122およびパームレスト126との間には隙間が存在する。第1の筐体110がデフォルト状態からy軸正方向に押し出されると、ローラ170が第2の筐体120のキーボード122およびパームレスト126上を転がりながら、第1の筐体110はy軸正方向へ移動し、スライド完了状態に位置する。
【0045】
このようなローラ170を設けることにより、スライド時におけるキーボード122およびパームレスト126と、ディスプレイホルダー130との接触を防止することができ、キーボード122およびパームレスト126を保護することができる。
【0046】
<3.ヒンジ機構>
第1の筐体110がデフォルト状態からスライドされ、スライド完了状態となると、第1の筐体110を第2の筐体120に対して回転させるヒンジ機構が機能できるようになる。ヒンジ機構によって第1の筐体110を回転させることで、情報機器100をクラムシェル型のパーソナルコンピュータのように使用することができ、操作性を高めることができる。以下、図12〜図14に基づいて、本実施形態に係る情報機器100のヒンジ機構について詳細に説明する。なお、図12は、デフォルト状態、スライド完了状態、およびチルト状態におけるヒンジ機構190の状態を示す説明図である。図13は、ヒンジ機構190を示す平面図および側面図である。図14は、デフォルト状態、スライド完了状態、ポップアップ状態およびチルト状態におけるヒンジ機構190の状態を示す説明図である。
【0047】
[ヒンジ機構の概略構成]
ヒンジ機構190は、図12に示すように、デフォルト状態において、y軸正方向側端部の、第1の筐体110と第2の筐体120との間に設けられる。ヒンジ機構190は、情報機器100がスライド完了状態となるまでは機能できず、スライド完了状態となって第1の筐体110の表示面112をキーボード122側に近づけるように回転できるようになる。第1の筐体110を回転可能な状態をチルト状態ともいう。
【0048】
ヒンジ機構190は、図13に示すように、第1の筐体110側のディスプレイホルダー130に固定される第1のヒンジブラケット191と、第2の筐体120側のベースホルダー140に固定される第2のヒンジブラケット195とを備える。
【0049】
第1のヒンジブラケット191および第2のヒンジブラケット195のうちいずれか一方は回転軸193に対して回転可能に設けられ、他方は回転軸193に固定されている。本実施形態では、第1のヒンジブラケット191が回転軸193に対して回転可能に設けられており、第2のヒンジブラケット195が回転軸193に固定されている。もちろん、第1のヒンジブラケット191を回転軸193に固定して、第2のヒンジブラケット195を回転軸193に対して回転可能に設けてもよい。また、回転軸193には、第2のヒンジブラケット195よりさらにx軸正方向側に第1のカム196と第2のカム197が皿ばね198で押さえ付けられるように設けられている。このように設けられた2つのカム196、197間には摩擦力が発生している。この摩擦力によって、回転させた第1の筐体110と第2の筐体120とを所定のチルト位置で固定させることができる。
【0050】
なお、図13に示すヒンジ機構190は、回転軸193の、第1のヒンジブラケット191と第2のヒンジブラケット195との間に位置する部分に、トーションばね194を備えている。トーションばね194は、後述するように、ヒンジ機構190にポップアップ機能を持たせるために必要な構成要素である。したがって、第1の筐体110と第2の筐体120とを回転可能にし、所定の回転位置で固定させる機能を実現するためには、トーションばね194を設ける必要はない。
【0051】
ユーザは、第1の筐体110および第2の筐体120の状態がスライド完了状態となったとき、ヒンジ機構190の回転軸193を回転中心として、第1の筐体110を第2の筐体120に対して回転させることができる。ユーザが第1の筐体110の表示部112を第2の筐体120のキーボード122に近づけるように回転させる力が、皿ばね198により2つのカム196、197の間に発生している摩擦力より大きいとき、第1の筐体110は回転する。そして、第1の筐体110と第2の筐体120とが所望の角度となったとき、ユーザが第1の筐体110を回転させるのを止めると(すなわち、第1の筐体110を回転させる力がなくなると)、皿ばね198によって2つのカム196、197の間に摩擦力が発生する。これにより、第1の筐体110と第2の筐体120とが所望の角度を保持することができる。
【0052】
なお、スライド完了状態となると、図12に示すように、回転軸193と第1の筐体110との間に隙間d1が生じ、表示部112がキーボード122に近づくように第1の筐体110を回転させても、第1の筐体110と第2の筐体120とが干渉しなくなる。このような状態となることで、ユーザは、手で第1の筐体110を回転させることが可能となる。なお、隙間d1を調整することで、チルト状態において第1の筐体110と第2の筐体のパームレスト126との隙間d2を調節することができ、第1の筐体110とパームレスト126との干渉を回避させることができる。これにより、筐体を切り欠くことなく第1の筐体110に設けられた表示部112を立ち上げることができ、機器のデザイン性を維持することができる。
【0053】
[ポップアップ機能を備えるヒンジ機構]
通常、情報機器100をクラムシェル型のパーソナルコンピュータの形態として使用するために第1の筐体110をスライドさせる場合には、第1の筐体110のスライドが完了したときに、自動で第1の筐体110が回転するとユーザの操作負荷を軽減できる。そこで、ヒンジ機構190にトーションばね194を設けて、スライド完了状態となったときに第1の筐体110が自動で回転するポップアップ機能を実現してもよい。ポップアップ機能は、例えばヒンジ機構190のカム196、197間の摩擦力とトーションばね194のねじりトルクとの大きさを調整することで実現することができる。
【0054】
ヒンジ機構190にトーションばね194を設ける構成としては、例えば図13に示すように、回転軸193の、第1のヒンジブラケット191と第2のヒンジブラケット195との間に位置する部分に、トーションばね194が巻回させることが考えられる。トーションばね194の一端は第1のヒンジブラケット191に固定され、他端は第2のヒンジブラケット195に固定されている。したがって、第1のヒンジブラケット191と第2のヒンジブラケット195との角度、すなわち、第1の筐体110と第2の筐体120との角度に応じて、トーションばね194のねじりトルクの大きさが変化する。
【0055】
トーションばね194は、90°開いた状態を基準状態とし、第1の筐体110の表示部112と第2の筐体120のキーボード122とのなす角が90°であるとき、トーションばね194は基準状態となるように情報機器100に設けられる。すなわち、情報機器100がスライド完了状態にあるとき、トーションばね194のねじりトルクは最大となり、表示部112とキーボード122とのなす角が90°となったとき、トーションばね194のねじりトルクはゼロとなる。したがって、第1の筐体110が第2の筐体120に対して回転されていないときには、トーションばね194は、第1の筐体110の表示部112が第2の筐体120のキーボード122に近づく方向に働くねじりトルクを発生させている。
【0056】
このようなトーションばね194を用いてポップアップ機能を実現するため、本実施形態のヒンジ機構190は、開閉角が0°から所定の角度(ポップアップ角度)θの間はカム196、197間の摩擦力よりトーションばね194のねじりトルクが大きくなるように設定されている。ここで、開閉角とは、第1の筐体110と第2の筐体120とのなす角をいい、スライド完了状態の開閉角を0°とする。例えば、θ=10°としたとき、開閉角が0°〜10°までの間は、カム196、197間の摩擦力がトーションばね194のねじりトルクより小さいため、第1の筐体110はねじりトルクの作用を受けて自動的に回転する。
【0057】
一方、開閉角が10°を超えると、カム196、197間の摩擦力がトーションばね194のねじりトルクより大きくなるようにする。このため、第1の筐体110が第2の筐体120に対して10°以上回転すると、カム196、197間の摩擦力によって第1の筐体110の回転は停止し、その開閉角を保持する。さらに開閉角を大きくする場合には、ユーザは、手で表示部112がキーボード122に近づくように第1の筐体110を回転させればよい。なお、トーションばね194のねじりトルクは、開閉角が90°に近づくにつれて徐々に弱くなる。すなわち、所定の角度θ以降は開閉角が90°に近づくにつれて、カム196、197の摩擦力だけで第1の筐体110を動かす通常のヒンジ機構にねじりトルクが近づくため、ユーザが手動で第1の筐体110を回転してフリーストップさせることができる。
【0058】
このように、ヒンジ機構190のカム196、197間の摩擦力とトーションばね194のねじりトルクとの大きさを調整して、スライド完了状態となったときに第1の筐体110をポップアップさせることができる。なお、情報機器100がデフォルト状態からスライド完了状態となるまでの間は、トーションばね194のねじりトルクによって表示部112がキーボード122に近づくように第1の筐体110が移動使用とする。しかし、第1の筐体110のy軸負方向側の端部が第2の筐体120に接触するため、第1の筐体110は回転しない。かかる状態では、第1の筐体110の端部が第2の筐体120を押しているが、カム196、197間の摩擦力を調整したり、ローラ170の弾性を強くしたりして、キーボード122およびパームレスト126に損傷を与えないようにすることもできる。
【0059】
以上、本発明の実施形態に係る情報機器100のスライド機構160およびヒンジ機構について説明した。本実施形態に係る情報機器100の構成によれば、第1の筐体110を少ない押し込み量で最大スライド位置までスライドできるようになり、快適な操作感を提供することができる。また、第1の筐体110のスライドが完了したときにヒンジ機構を機能させ、第1の筐体110の表示部112を第2の筐体120のキーボード122に近づけるように回転させることができる。さらに、ヒンジ機構190のカム196、197間の摩擦力とトーションばね194のねじりトルクとの大きさを調整することで、第1の筐体110を自動的に回転させることもできる。本実施形態に係る情報機器100は、このようなスライド機構160およびヒンジ機構を併用することで、高い操作性を実現することができる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上記実施形態ではトーションばね194の基準状態を90°としたが、本発明はかかる例に限定されず、ヒンジ機構190の構成によってトーションばね194の基準状態とする角度は適宜変更可能である。また、ヒンジ機構190がポップアップ機構を備える場合のポップアップ角度θも、上記実施形態では10°としたが、本発明はかかる例に限定されない。ポップアップ角度θは、例えば表示部112をキーボード122に近づけて使用する際にユーザにとって表示部112を見やすい角度に設定することができる。そして、スライド完了状態から設定された角度θに第1の筐体110をポップアップさせるには、トーションばね194の径や2つのカム196、197および皿ばね198からなる摩擦部材の特性を適宜変更することで実現できる。
【符号の説明】
【0062】
100 情報機器
110 第1の筐体
112 表示部
120 第2の筐体
122 キーボード
126 パームレスト
130 ディスプレイホルダー
140 ベースホルダー
150 アクチュエータばね
160 スライド機構
170 ローラ
180 バッテリー
190 ヒンジ機構
191 第1のヒンジブラケット
193 回転軸
194 トーションばね
195 第2のヒンジブラケット
196 第1のカム
197 第2のカム
198 皿ばね


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とをスライド可能に接続し、前記第1の筐体と前記第2の筐体との重なる領域が最大となる閉状態と、前記第1の筐体と前記第2の筐体との重なる領域が最小となる開状態との間で前記第1の筐体および前記第2の筐体の位置状態を遷移させるスライド機構と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回転可能に接続するヒンジ機構と、
を備え、
前記スライド機構は、
前記第1の筐体に固定された第1のホルダーと、
前記第2の筐体に固定され、前記第1のホルダーをスライド方向に移動可能に支持する第2のホルダーと、
一端が前記第1のホルダーに固定され、他端が前記第2のホルダーに固定されており、前記第1の筐体および前記第2の筐体のスライド時の動きに応じて伸縮する弾性部材と、
からなり、
前記弾性部材は、前記第1の筐体および前記第2の筐体のスライド途中状態において最も縮み、前記閉状態での伸び量が前記開状態での伸び量より小さくなるように設けられ、
前記ヒンジ機構は、前記第1の筐体および前記第2の筐体が開状態となったとき機能可能となる、機器開閉機構。
【請求項2】
前記第1のホルダーと前記第2のホルダーとのスライド方向における幅の差分は、1/3より小さい、請求項1に記載の機器開閉装置。
【請求項3】
前記ヒンジ機構は、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との回転中心となる回転軸と、
一方が前記回転軸に回転可能に設けられ、他方が前記回転軸に固定される、前記第1のホルダーに固定された第1の固定部および前記第2のホルダーに固定された第2の固定部と、
一端が前記第1の固定部に固定され、他端が前記第2の固定部に固定されており、前記第1の筐体および前記第2の筐体の回転方向にトルクを発生するトルク部材と、
前記第1の筐体および前記第2の筐体の回転方向への移動を妨げる摩擦力を発生させる摩擦部材と、
からなり、
前記摩擦部材により発生される摩擦力は、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とのなす角である開閉角が所定の角度以下は前記トルク部材により発生されるトルク以下であり、
前記開閉角が所定の角度より大きくなったとき、前記トルク部材により発生されるトルクより大きくなる、請求項2に記載の機器開閉機構。
【請求項4】
前記トルク部材は、トーションばねからなり、
前記摩擦部材は、前記回転軸方向に併設して設けられた2つのカムと、前記2つのカムを押圧する摩擦弾性部材とからなる、請求項3に記載の機器開閉機構。
【請求項5】
前記開状態では、前記閉状態から前記開状態へと遷移させる際に押し込まれて前記第1の筐体上をスライドする前記第1の筐体の端部である後端部を、スライド方向における前記ヒンジ機構の回転軸の位置より、押し込み方向に位置させる、請求項4に記載の機器開閉機構。
【請求項6】
前記第1のホルダーは、前記第1の筐体および前記第2の筐体のスライド時に、前記第1の筐体と対向する前記第2の筐体の面上を回転するローラを備える、請求項5に記載の機器開閉機構。
【請求項7】
前記ローラは、弾性部材からなる、請求項6に記載の機器開閉機構。
【請求項8】
前記ヒンジ機構は、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との回転中心となる回転軸と、
一方が前記回転軸に回転可能に設けられ、他方が前記回転軸に固定される、前記第1のホルダーに固定された第1の固定部および前記第2のホルダーに固定された第2の固定部と、
前記第1の筐体および前記第2の筐体の回転方向への移動を妨げる摩擦力を発生させる摩擦部材と、
からなる、請求項1に記載の機器開閉機構。
【請求項9】
情報を表示する表示部を備える第1の筐体と、
前記第1の筐体と重ね合わせて設けられ、操作入力が行われる入力部を備える第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とをスライド可能に接続し、前記第1の筐体と前記第2の筐体との重なる領域が最大となる閉状態と、前記第1の筐体と前記第2の筐体との重なる領域が最小となる開状態との間で前記第1の筐体および前記第2の筐体の位置状態を遷移させるスライド機構と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回転可能に接続するヒンジ機構とからなる機器開閉機構と、
を備え、
前記機器開閉機構のスライド機構は、
前記第1の筐体に固定された第1のホルダーと、
前記第2の筐体に固定され、前記第1のホルダーをスライド方向に移動可能に支持する第2のホルダーと、
一端が前記第1のホルダーに固定され、他端が前記第2のホルダーに固定されており、前記第1の筐体および前記第2の筐体のスライド時の動きに応じて伸縮する弾性部材と、
からなり、
前記弾性部材は、前記第1の筐体および前記第2の筐体のスライド途中状態において最も縮み、前記閉状態での伸び量が前記開状態での伸び量より小さくなるように設けられ、
前記ヒンジ機構は、前記第1の筐体および前記第2の筐体が開状態となったとき機能可能となる、情報機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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