説明

機密情報媒体処分システム及び機密情報媒体処分方法

【課題】
機密情報媒体の処分の確実を期すための機密情報媒体処分システム及び機密情報媒体処分方法を提供することにある。
【解決手段】
書類や電子媒体等の機密情報を含む機密情報媒体を収納する処分箱と、処分箱に収められ、個々の処分箱を特定する処分箱識別情報を記録し、処分箱の外部から認識可能な処分箱識別手段と、処分箱の処分を依頼する個々の処分依頼者を特定する処分依頼者識別情報を記録する処分依頼者識別手段と、処分箱を回収する個々の回収者を特定する回収者識別情報を記録する回収者識別手段と、各種の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、識別情報読取手段と電気通信回線で接続され、識別情報読取手段で読み取った識別情報を管理する識別情報管理手段とを備え、機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を管理することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類や電子媒体等の機密情報を含む機密情報媒体を処分するための機密情報媒体処分システム及び機密情報媒体処分方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機密書類や機密情報が記録されたCD、DVD等の電子媒体等は、機密情報媒体として不要になった後は破砕や熔解等の処分をすることにより、機密情報の漏洩が起きないようにしている。
【0003】
機密情報媒体の処分にあたっては、処分すべき機密情報媒体をオフィスで回収するところから始まる。具体的には、回収箱がオフィス内に置かれ、処分すべき機密情報媒体の所持者が、その機密情報媒体を回収箱に投函するようにする。回収箱内に所定量の処分すべき機密情報媒体が集まったところで、回収箱内の機密情報記録媒体が、処分業者に引き渡され、その処分業者により処分施設まで輸送され、処分施設で処分が行われる。
尚、この先行技術は、文献公知に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の処分では、回収箱内の機密情報媒体を、だれがいつ処分業者に引き渡したのか、実際に引き取った処分業者がだれなのか、いつ処分されたのか等の把握が正確に行えず、実際に機密情報媒体が処理されたか否かすら疑われるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を正確に把握して管理することにより、機密情報媒体の処分の確実を期すための機密情報媒体処分システム及び機密情報媒体処分方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の機密情報媒体処分システムは、書類や電子媒体等の機密情報を含む機密情報媒体を収納する処分箱と、処分箱に収められ、個々の処分箱を特定する処分箱識別情報を記録し、処分箱の外部から認識可能な処分箱識別手段と、処分箱の処分を依頼する個々の処分依頼者を特定する処分依頼者識別情報を記録する処分依頼者識別手段と、処分箱を回収する個々の回収者を特定する回収者識別情報を記録する回収者識別手段と、機密情報媒体の箱詰、回収、輸送、処分等の処置の都度、処分箱識別情報、処分依頼者識別情報又は回収者識別情報の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、識別情報読取手段と電気通信回線で接続され、識別情報読取手段で読み取った識別情報を管理する識別情報管理手段とを備え、機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を、処分箱識別情報、処分依頼者識別情報、回収者識別情報を用いて管理することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の機密情報媒体処分システムは、処分箱を回収者が回収する際、識別情報読取手段を用いて、処分箱識別情報、処分依頼者識別情報及び回収者識別情報を読み取り、回収した処分箱、回収した処分箱の処分依頼者及び回収した処分箱の回収者を識別情報管理手段で管理することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の機密情報媒体処分システムは、回収された処分箱を荷下ろしする際、識別情報読取手段を用いて、処分箱識別情報及び回収者識別情報を読み取り、荷下ろしした処分箱、荷下ろし処分箱の回収者を識別情報管理手段で管理することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の機密情報媒体処分システムは、荷下ろしされた処分箱の機密情報媒体を処分する際、識別情報読取手段を用いて、処分箱識別情報を読み取り、処分した処分箱を識別情報管理手段で管理することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の機密情報媒体処分システムは、識別情報管理手段が、機密情報媒体を処分したことを、処分依頼者に通知することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の機密情報媒体処分システムは、識別情報管理手段で管理されている情報を、電気通信回線を介して処分依頼者が閲覧可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の機密情報媒体処分システムは、処分箱が、機密情報媒体を収納する収納箱と、収納箱を覆うと共に処分箱識別手段を収納する外箱とからなり、収納箱さら機密情報媒体を処分することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の機密情報媒体処分システムは、処分箱識別手段、処分依頼者識別手段及び回収者識別手段のいずれか又はすべてと識別情報読取手段との間の通信プロトコル及び情報の符号化が、識別情報管理手段の管理者単位で異なることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の機密情報媒体処分システムは、処分箱識別手段が、処分依頼者識別手段及び回収者識別手段のいずれか又はすべてが、識別情報読取手段を用いて非接触で読み取り可能なカードであることを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の機密情報媒体処分システムは、カードがRFIDタグであることを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の機密情報媒体処分方法は、書類や電子媒体等の機密情報を含む機密情報媒体を処分するために回収者が回収する際、機密情報媒体が収められた処分箱を特定する処分箱識別情報と、処分箱の処分を依頼する処分依頼者を特定する処分依頼者識別情報と、処分箱を回収する回収者を特定する回収者識別情報とを識別情報読取手段で読み取り、読み取った処分箱識別情報、処分依頼者識別情報及び回収者識別情報を電気通信回線を用いて識別情報管理手段に送信し、回収者が処分箱を輸送して荷下ろしした際、荷下ろしした処分箱の処分箱識別情報を識別情報読取手段で読み取り、読み取った処分箱識別情報を電気通信回線を用いて識別情報管理手段に送信し、荷下ろしされた機密情報媒体を処分する際、処分した機密情報媒体が収められた処分箱の処分箱識別情報を識別情報読取手段で読み取り、読み取った処分箱識別情報を電気通信回線を用いて識別情報管理手段に送信し、機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を識別情報管理手段で管理することを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の機密情報媒体処分方法は、識別情報管理手段が、機密情報媒体を処分したことを、処分依頼者に通知することを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の機密情報媒体処分方法は、識別情報管理手段で管理されている情報を、電気通信回線を介して処分依頼者が閲覧可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1又は請求項11の発明によれば、機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を、処分箱識別情報、処分依頼者識別情報、回収者識別情報を用いて管理することから、機密情報媒体の流れを正確に把握可能で、機密情報媒体の処分の確実を期すことができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、回収した処分箱、回収した処分箱の処分依頼者及び回収した処分箱の回収者を識別情報管理手段で管理することから、処分依頼者や回収者の個人を把握可能で、処分の依頼や回収の段階での不正を防止できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、荷下ろしした処分箱、荷下ろし処分箱の回収者を識別情報管理手段で管理することから、処分箱の輸送段階での不正を防止できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、荷下ろしされた処分箱の機密情報媒体を処分する際、識別情報読取手段を用いて、処分箱識別情報を読み取り、処分した処分箱を識別情報管理手段で管理することから、処分箱の処分の段階での不正を防止できる。
【0023】
請求項5又は請求項12の発明によれば、識別情報管理手段が、機密情報媒体を処分したことを、処分依頼者に通知することで、機密情報媒体処分システムの信頼性を向上させることができる。
【0024】
請求項6又は請求項13の発明によれば、識別情報管理手段で管理されている情報を、電気通信回線を介して処分依頼者が閲覧可能であることから、処分依頼者が処分の状況を把握でき、機密情報媒体処分システムの信頼性を向上させることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、処分箱が、機密情報媒体を収納する収納箱と、収納箱を覆うと共に処分箱識別手段を収納する外箱とからなり、収納箱さら機密情報媒体を処分することから、機密情報媒体の飛散等による機密情報の漏洩を防止することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、処分箱識別手段、処分依頼者識別手段及び回収者識別手段のいずれか又はすべてと識別情報読取手段との間の通信プロトコル及び情報の符号化が、識別情報管理手段の管理者単位で異なることから、第三者による盗聴や改ざんが困難で、機密情報の安全性が向上することになる。
【0027】
請求項9の発明によれば、処分箱識別手段が、処分依頼者識別手段及び回収者識別手段のいずれか又はすべてが、識別情報読取手段を用いて非接触で読み取り可能なカードであることから、処分箱識別手段、処分依頼者識別手段及び回収者識別手段の取り扱いが容易である。
【0028】
請求項10の発明によれば、カードがRFIDタグであることから、各種の識別情報を外部から目視で確認することができず、識別情報の安全管理が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明に係る機密情報媒体処分システムの一例を示す構成図である。図2は、同機密情報媒体処分システムの流れを示すタイミングチャートである。図3は、同機密情報媒体処分システムの流れを示すタイミングチャートである。図4は、同機密情報媒体処分システムで用いる処分箱の一例を示す説明図である。
【0030】
本発明の形態における機密情報媒体処分システム1は、機密書類41や、機密情報が記録されたCD、DVD等の機密電子媒体42等の機密情報媒体を、機密が漏洩することなく処分するためのものである。
【0031】
機密情報媒体処分システム1は、管理サーバ10、回収者カード23、処分箱25、処分箱カード26、顧客カード30、図示しない識別情報読取手段等で構成されている。また、機密情報媒体を輸送する輸送手段6としてトラック20等があり、実際の処分は処分施設15で行われることになる。さらに、インターネットや公衆回線網等の電気通信回線である通信回線3が用いられる。
【0032】
管理サーバ10は、後述する各種の識別情報から、機密書類41や機密電子媒体42の回収・輸送・処分等の流れを把握し管理するためのものである。この管理サーバ10は、処分業者5の管理下に置かれ、通信回線3を用いて識別情報読取手段や顧客端末35と接続されている。
【0033】
輸送手段6を構成するものとしては、トラック20の他に機密情報媒体を回収する回収者の携行する回収者カード23がある。この回収者カード23は、後述する処分箱25を回収する回収者を特定する回収者識別情報が登録された回収者識別手段で、電子媒体である。回収者カード23は、無線等の手段を介して非接触で処分依頼者識別情報の読み書きが可能なもので、例えば無線ICタグで具体的にはRFIDタグ(Radio Frequency Identification)等である。尚、回収者カード23は、RFIDタグのような無線を用いた電子媒体に限られるものではなく、バーコード等の後述する識別情報読取手段が読み取り可能なものであればよい。
【0034】
処分業者5の顧客であり処分の依頼者7側で用いられるものは、顧客カード30、処分箱25、顧客端末35等である。顧客カード30は、後述する処分箱25の処分を依頼する処分依頼者である顧客を特定する処分依頼者識別情報が登録された処分依頼者識別手段で、電子媒体である。顧客カード30は、無線等の手段を介して非接触で処分依頼者識別情報の読み書きが可能なもので、例えば無線ICタグで具体的にはRFIDタグ(Radio Frequency Identification)等である。尚、顧客カード30は、RFIDタグのような無線を用いた電子媒体に限られるものではなく、バーコード等の後述する識別情報読取手段が読み取り可能なものであればよい。顧客端末35は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA等のインターネット等の通信回線3を介して管理サーバ10にアクセス可能な端末である。
【0035】
処分箱25は、機密書類41や機密電子媒体42等の機密情報媒体を収納する箱で、処分箱カード26を備えている。処分箱カード26は、個々の処分箱25特定する処分箱識別情報が登録された処分箱識別手段で、電子媒体である。処分箱カード26は、無線等の手段を介して非接触で処分依頼者識別情報の読み書きが可能なもので、例えば無線ICタグで具体的にはRFIDタグ(Radio Frequency Identification)等である。尚、処分箱カード26は、RFIDタグのような無線を用いた電子媒体に限られるものではなく、バーコード等の後述する識別情報読取手段が読み取り可能なものであればよい。
【0036】
また、図示しない識別情報読取手段は、上述した回収者カード23、処分箱カード26及び顧客カード30の回収者識別情報、処分箱識別情報及び処分依頼者識別情報を読み取るものである。また、識別情報読取手段は、読み取った各種の識別情報を、通信回線3を介して管理サーバ10に送る機能を有している。識別情報読取手段は、具体的には例えばRFIDタグから無線を用いて各種の識別情報を読み取る装置であり、携帯電話機能と一体で、携帯電話の機能として各種の識別情報を管理サーバ10に送る。尚、識別情報読取手段は、無線を用いたものに限らず、カードがバーコードのような場合には、光を用いたものになる。また、通信回線3との接続に関しても携帯電話に限られず、その他の通信回線3に接続可能な通信手段であればよい。
【0037】
次に、本実施例の機密情報媒体処分システム1の動作を図2及び図3を用いて説明する。まず、処分業者5は、管理サーバ10に回収者の情報を入力して個々の回収者を識別するための回収者識別情報を取得し、回収者カード23に取得した回収者識別情報を書き込む。そして、回収者識別情報を書き込んだ回収者カード23を、トラック20の運転手に渡すようにする。
【0038】
次に、処分業者5は、管理サーバ10に、あらかじめ申し込みがあった顧客である処分の依頼者7の情報を入力して個々の依頼者7を識別するための処分依頼者識別情報を取得し、顧客カード30に取得した処分依頼者識別情報を書き込む。そして、処分依頼者識別情報を書き込んだ顧客カード30を、依頼者7に渡す。尚、顧客カード30に書き込む処分依頼者識別情報は、顧客が会社等の組織に対して付与する場合も考えられるが、組織の中で実際に処分を依頼して処理箱25を回収者に直接引き渡す真の担当者個人を識別する処分依頼者識別情報である方が好ましい。
【0039】
次に、処分業者5は、管理サーバ10に、処理箱25の情報を入力し個々の処分箱25を識別するための処分箱識別情報を取得し、処分箱カード26に取得した処分箱識別情報を書き込む。そして、処分箱識別情報を書き込んだ処分箱カード26をセットした処分箱25を依頼者7に渡す。尚、管理サーバ10で、どの処分箱25をどの依頼者7に渡したのかも管理も行うようにする。
【0040】
処分箱25を受け取った依頼者7は、処分が必要な機密書類41や機密電子媒体42等の機密情報媒体を順次処分箱25の中に投函していく。そして、処分箱25がいっぱいになった時点で依頼者7が処分業者5に、処分箱25の回収を依頼する。回収者が回収にあたるタイミングは、このような依頼者7からの依頼があった場合であってもよいし、定期的に回収者が依頼者7先を訪問するようにしてもよく、その形態により限定されるものではない。
【0041】
依頼者7先を訪れた回収者(トラック20)は、識別情報読取手段を用いて、回収者カード23の回収者識別情報を読み取る。また、回収者は、処分を依頼した人の顧客カード30の処分依頼者識別情報と実際に回収する回収箱25の処分箱カード26の処分箱識別情報を読み取る。読み取った回収者識別情報、処分依頼者識別情報及び処分箱識別情報が、識別情報読取手段により通信回線3を介して管理サーバ10に送られる。このことにより、管理サーバ10では、いつ、どの回収者が、誰(依頼者7)から、どの処分箱25を回収したのか把握することができる。
【0042】
処分箱25を受け取った回収者は、処分箱25をトラック20に積み込んで処分施設15に処分箱25を輸送する。そして、回収者は、処分施設15で処分箱25をトラック20から荷下ろしする際、識別情報読取手段により処分箱25の処分箱カード26の処分箱識別情報を読み取り、通信回線3を介して処分箱識別情報を管理サーバ10に送る。このことにより、管理サーバ10は、いつ、その処分箱25が荷下ろしされたかを把握することができる。
【0043】
次に、処分施設15に荷下ろしされた処分箱25が、処分されることになる。このとき、処分施設15で、識別情報読取手段により処分箱25の処分箱カード26の処分箱識別情報を読み取り、通信回線3を介して処分箱識別情報を管理サーバ10に送る。このことにより、管理サーバ10は、いつ、その処分箱25が処分されたかを把握することができる。
【0044】
以上のように、管理サーバ10が、処分箱25の回収、輸送、処分等を把握し管理していることから、例えば図3に示すように、依頼者7が顧客端末35を用いてインターネット等の通信回線3を介して管理サーバ10に、処分箱25の処理の経過を問い合わせることができる。その依頼者7の問い合わせに対し、管理サーバ10は、処分箱25の処理の経過を通知することになる。尚、処分箱25の中身が機密情報媒体であることから、問い合わせにあたり、処分依頼者識別情報やその他のIDやパスワードを用いないと管理サーバ10への問い合わせができない構造にしておくことで、情報の安全性を確保することができる。また、依頼者7の問い合わせにより、管理サーバ10は、オンラインで処分箱25の受領書や処分証明書等を発行することも可能である。
【0045】
また、処分業者5は、管理サーバ10に処分の依頼者7である顧客の情報を問い合わせ、その顧客の情報と処分の依頼状況や実際に処分を行った処分箱25の情報の通知を得ることで、顧客ごとの請求書等を作成し、依頼者7である顧客に送付することも可能である。
【0046】
以上のように、本実施例の機密情報媒体処分システムによれば、機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を、処分箱識別情報、処分依頼者識別情報、回収者識別情報を用いて管理することから、機密情報媒体の流れを正確に把握可能で、機密情報媒体の処分の確実を期すことができる。
【0047】
具体的には、回収した処分箱25、回収した処分箱25の依頼者7及び回収した処分箱25の回収者を識別情報管理手段である管理サーバ10で管理することから、依頼者7や回収者の個人を把握可能で、処分の依頼や回収の段階での不正を防止できる。また、荷下ろしした処分箱25、荷下ろし処分箱25の回収者を識別情報管理手段である管理サーバ10で管理することから、処分箱25の輸送段階での不正を防止できる。さらに、荷下ろしされた処分箱25の機密情報媒体を処分する際、処分した処分箱25を識別情報管理手段である管理サーバ10で管理することから、処分箱25の処分の段階での不正を防止できる。このように、機密情報媒体の処分に介在する人とその時間を、管理サーバ10で把握することにより、機密情報媒体の処分の流れの中で不正をはたらくのが、困難になる。
【0048】
また、処分箱識別手段、処分依頼者識別手段及び回収者識別手段のいずれか又はすべてが、識別情報読取手段を用いて非接触で読み取り可能なカードにすることで、処分箱識別手段、処分依頼者識別手段及び回収者識別手段の取り扱いが容易である。さらに、本実施例では、回収者カード23、処分箱カード26及び顧客カード30をRFIDタグにすることで、取り扱いが容易となると共に、各種の識別情報を外部から目視で確認することができず、識別情報の安全管理が容易である。
【0049】
また、識別情報管理手段である管理サーバ10が、通信回線3を介して処分の依頼者7に(依頼者7の顧客端末35に)、機密情報媒体を処分したことを通知することもできる。このように、機密情報媒体が処分されたことを通知することで、機密情報媒体処分システム1の信頼性を向上させることができる。尚、通知の方法としては電子メールその他の電子的な通知の方法や郵便による方法であってもよい。また、いつ処分されたかの情報も通知することで、処分までに要した時間を依頼者7が容易に把握でき、機密情報媒体処分システム1の信頼性をより一層向上させることができる。
【0050】
また、処分箱25の構造であるが、例えば図4に示すような構造を用いることもできる。図4に示す処分箱25は、機密情報媒体を収納する収納箱28と、収納箱28を覆うと共に処分箱識別手段である処分箱カード26を収納する外箱27とからなる。そして、依頼者7は、まず、収納箱28に機密書類41や機密電子媒体42等の機密情報媒体を入れるようにする。そして、回収者に渡すまでに、収納箱28を外箱27に収めるようにする。処分施設15に輸送された後は、収納箱28を外箱27から取り出して、収納箱28さら機密情報媒体を処分するようにする。そして、使用済みの収納箱28は、処分箱カード26の処分箱識別情報を書き換える等して、再び使用する。
【0051】
このように、処分箱25が、機密情報媒体を収納する収納箱28と、収納箱28を覆うと共に処分箱識別手段を収納する外箱27とからなり、収納箱28さら機密情報媒体を処分することから、機密情報媒体の飛散等による機密情報の漏洩を防止することができる。
【0052】
また、回収者カード23,処分箱カード26及び顧客カード30の各種の識別情報を、第三者に読み込まれないようにすることによって、より一層機密情報の漏洩の防止に寄与することになる。具体的には、各種の識別情報を符号化したり、暗号化することにより、機密情報の安全性が向上することになる。また、回収者カード23,処分箱カード26及び顧客カード30と識別情報読取手段との間の通信においては、通信プロトコル及び情報の符号化において、識別情報管理手段の管理者単位で異なる形式にするようにする。このようにすることで、第三者による盗聴や改ざんが困難で、機密情報の安全性が向上することになる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明によれば、機密情報媒体の処分の確実を期すための機密情報媒体処分システム及び機密情報媒体処分方法を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る機密情報媒体処分システムの一例を示す構成図である。
【図2】同機密情報媒体処分システムの流れを示すタイミングチャートである。
【図3】同機密情報媒体処分システムの流れを示すタイミングチャートである。
【図4】同機密情報媒体処分システムで用いる処分箱の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1・・・・機密情報媒体処分システム
3・・・・通信回線
5・・・・処分業者
6・・・・輸送手段
7・・・・依頼者
10・・・管理サーバ
15・・・処分施設
20・・・トラック
23・・・回収者カード
25・・・処分箱
26・・・処分箱カード
27・・・外箱
28・・・収納箱
30・・・顧客カード
35・・・顧客端末
41・・・機密書類
42・・・機密電子媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類や電子媒体等の機密情報を含む機密情報媒体を収納する処分箱と、
該処分箱に収められ、個々の該処分箱を特定する処分箱識別情報を記録し、該処分箱の外部から認識可能な処分箱識別手段と、
該処分箱の処分を依頼する個々の処分依頼者を特定する処分依頼者識別情報を記録する処分依頼者識別手段と、
該処分箱を回収する個々の回収者を特定する回収者識別情報を記録する回収者識別手段と、
該機密情報媒体の箱詰、回収、輸送、処分等の処置の都度、該処分箱識別情報、該処分依頼者識別情報又は該回収者識別情報の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
該識別情報読取手段と電気通信回線で接続され、該識別情報読取手段で読み取った該識別情報を管理する識別情報管理手段とを備え、
該機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を、該処分箱識別情報、該処分依頼者識別情報、該回収者識別情報を用いて管理することを特徴とする機密情報媒体処分システム。
【請求項2】
前記処分箱を前記回収者が回収する際、前記識別情報読取手段を用いて、前記処分箱識別情報、前記処分依頼者識別情報及び前記回収者識別情報を読み取り、回収した該処分箱、該回収した処分箱の処分依頼者及び該回収した処分箱の回収者を前記識別情報管理手段で管理することを特徴とする請求項1記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項3】
回収された前記処分箱を荷下ろしする際、前記識別情報読取手段を用いて、前記処分箱識別情報及び前記回収者識別情報を読み取り、荷下ろしした該処分箱、該荷下ろし処分箱の回収者を前記識別情報管理手段で管理することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項4】
荷下ろしされた前記処分箱の機密情報媒体を処分する際、前記識別情報読取手段を用いて、前記処分箱識別情報を読み取り、処分した該処分箱を前記識別情報管理手段で管理することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項5】
前記識別情報管理手段が、前記機密情報媒体を処分したことを、前記処分依頼者に通知することを特徴とする請求項4記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項6】
前記識別情報管理手段で管理されている情報を、電気通信回線を介して前記処分依頼者が閲覧可能であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項7】
前記処分箱が、前記機密情報媒体を収納する収納箱と、該収納箱を覆うと共に前記処分箱識別手段を収納する外箱とからなり、
該収納箱さら該機密情報媒体を処分することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項8】
前記処分箱識別手段、前記処分依頼者識別手段及び前記回収者識別手段のいずれか又はすべてと前記識別情報読取手段との間の通信プロトコル及び情報の符号化が、前記識別情報管理手段の管理者単位で異なることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項9】
前記処分箱識別手段が、前記処分依頼者識別手段及び前記回収者識別手段のいずれか又はすべてが、前記識別情報読取手段を用いて非接触で読み取り可能なカードであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項10】
前記カードがRFIDタグであることを特徴とする請求項9記載の機密情報媒体処分システム。
【請求項11】
書類や電子媒体等の機密情報を含む機密情報媒体を処分するために回収者が回収する際、該機密情報媒体が収められた処分箱を特定する処分箱識別情報と、該処分箱の処分を依頼する処分依頼者を特定する処分依頼者識別情報と、該処分箱を回収する該回収者を特定する回収者識別情報とを識別情報読取手段で読み取り、読み取った該処分箱識別情報、該処分依頼者識別情報及び該回収者識別情報を電気通信回線を用いて識別情報管理手段に送信し、
該回収者が該処分箱を輸送して荷下ろしした際、荷下ろしした該処分箱の処分箱識別情報を識別情報読取手段で読み取り、読み取った該処分箱識別情報を電気通信回線を用いて該識別情報管理手段に送信し、
荷下ろしされた該機密情報媒体を処分する際、処分した該機密情報媒体が収められた処分箱の該処分箱識別情報を該識別情報読取手段で読み取り、読み取った該処分箱識別情報を電気通信回線を用いて該識別情報管理手段に送信し、
該機密情報媒体の回収、輸送、処分等の処置を該識別情報管理手段で管理することを特徴とする機密情報媒体処分方法。
【請求項12】
前記識別情報管理手段が、前記機密情報媒体を処分したことを、前記処分依頼者に通知することを特徴とする請求項11記載の機密情報媒体処分方法。
【請求項13】
前記識別情報管理手段で管理されている情報を、電気通信回線を介して前記処分依頼者が閲覧可能であることを特徴とする請求項11又は請求項12記載の機密情報媒体処分方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−249289(P2007−249289A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68181(P2006−68181)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(597061653)株式会社ディーエス・マルマン (2)
【Fターム(参考)】