説明

機能制御装置、電子機器及び機能設定方法

【課題】
本発明は、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく所望の機能を容易に設定することができる機能制御装置であって、取り扱い性が良く、且つ、小型化が可能であると共に設定できる機能の数を大きくすることが可能な機能制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る機能制御装置は、機能実行体に所望の機能を設定する機能制御装置であって、機能実行体に対して所定の位置に配置され磁力を発する少なくとも1つの磁力発生体と、磁力による磁束密度に基づき位置を特定する座標特定手段と、位置に対応する、機能実行体の所定の機能を設定する機能制御手段とを備えていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機を代表とする機能制御装置において、機能実行体に位置決めして動作させる機能設定部品を用いて機能制御装置に機能を設定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能制御装置の一つに携帯電話機がある。携帯電話機が様々な年齢層に普及したのに伴って、様々な機能が要求されるようになってきている。必要な機能は、携帯電話機を使用する者の年齢層、性別等で異なるのに加え、同一人物による使用においても、使用する環境、目的等に応じて異なっている。
【0003】
携帯電話機において選択できる機能が膨大になるのに伴って、所望の機能を設定することが難しくなってきている。例えば、所望の機能を表示するまでに幾つもの操作が必要であったり、そもそも所望の機能が存在しているか否かを判断することが難しい。そこで特許文献1では、携帯電話機に所望の機能を設定する方法として、所望の機能を指定する外装パネルを携帯電話機に装着させた時に、携帯電話機が外装パネルを識別して、外装パネルによって指定された機能を自動で設定するようにした携帯電話機が提案されている。使用者は外装パネルを選択して携帯電話機に装着しさえすれば、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく、携帯電話機に所望の機能を簡単に設定することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−221860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では外装パネルを識別する方法として、抵抗素子、メカニカルスイッチ、バーコード及びICタグを用いる方法が提案されている。しかし、外装パネルの識別に抵抗素子を用いる場合には、抵抗素子と測定端子とを物理的に接触させなければならない。従って、抵抗素子及び端子を外装パネル及び携帯電話機の表面に露出させる必要があり、取り扱い性が悪くなると共に破損する可能性が高い。また、メカニカルスイッチを用いる場合は識別できるパネルの数を大きくできない。また、バーコードやICタグを用いる場合はバーコードやICタグの情報を読み取る機構が必要となり、構成が複雑になる。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく所望の機能を容易に設定することができる機能制御装置であって、取り扱い性が良く、且つ、小型化が可能であると共に設定できる機能の数を大きくすることが可能な機能制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく本発明に係る機能制御装置は、機能実行体に所望の機能を設定する機能制御装置であって、機能実行体と機能実行体に対して所定の位置に配置され磁力を発する少なくとも1つの磁力発生体とから成るものである。更に、機能制御装置は磁力発生体から発せられた磁力による磁束密度に基づいて磁力発生体の位置を特定する座標特定手段と、特定された位置に対応する機能実行体の所定の機能を設定する機能制御手段とを備えるものである。
【0008】
上記の機能制御装置は、磁力発生体を機能実行体の所定の位置に配置することにより、機能実行体の座標特定手段が磁力発生体の位置を特定し、機能制御手段が特定した位置に対応する機能を設定する。つまり、磁力発生体を所望の機能を指定可能な位置に配置しさえすれば機能制御装置に機能が設定されるものであり、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく、所望の機能を容易に設定することができるものである。
【0009】
また、磁力発生体の位置の特定は非接触で行うことができることから、磁力発生体と機能実行体とを接触させる必要がなく、従って取り扱い性が良い。更に、磁力発生体と座標特定手段による単純な構成で且つ精度良い識別を行うことができ、従って小型化が可能であると共に機能の設定数を大きくすることができる。
【0010】
また上記課題を解決すべく本発明に係る機能制御装置は、少なくとも1個の磁気センサを備えるものであり、望ましくは、三角形を形成するように配設された3個を少なくとも含む3個以上の磁気センサを備えているものである。磁気センサで測定した磁束密度から磁気センサと磁力発生体との距離rを求めることで磁力発生体の位置を特定するものであり、3個の磁気センサを用いる場合には、各磁気センサを中心とする半径rの3つの円の交点を磁力発生体の位置とすれば良い。3個の磁気センサを用いることで、非接触にて精度良い検出を行うことができる。
【0011】
また上記課題を解決すべく本発明に係る機能制御装置は、磁力発生体は機能設定部品に配設されており、機能設定部品を機能実行体に位置決めすることで磁力発生体が機能実行体の所定の位置に配置されることを特徴とするものである。ここで、機能設定部品は機能実行体の所定の位置に正確に位置決めすることができるものである。磁力発生体が配設された機能設定部品を機能実行体に位置決めする場合には、磁力発生体単体を機能実行体に位置決めする場合よりも、磁力発生体を所定の位置に正確に且つ容易に配置することができる。
【0012】
また、上記課題を解決すべく本発明に係る機能制御装置は、機能設定部品は識別番号を有しており、機能制御手段は磁力発生体の位置から機能設定部品の識別番号を認識する座標対応マップを備えているものである。座標特定手段の性能に応じて最適に設計された座標マップを用いることにより、磁力発生体の位置と機能実行体の機能とを最適に対応させることが可能となり、従って設定できる機能の数を大きくすることができる。
【0013】
ここで座標対応マップは、座標特定手段にて特定された磁力発生体の位置を包含する出力範囲を形成し、各出力範囲を互いに重ならないように配置すると共に各出力範囲について1つの識別番号を付与したものである。座標特定手段の性能に応じて座標対応マップを作成することで、効率よく機能を設定できる。
更に上記課題を解決すべく本発明に係る機能制御装置は、機能制御手段は、機能設定部品の識別番号から機能実行体に設定する機能を判別する判別テーブルを備えていることを特徴とするものである。識別番号と機能とを対応づけた判別テーブルを用意しておくことで、機能制御手段は判別テーブルのみを参照すれば的確に機能を設定できる。
【0014】
更に上記課題を解決すべく本発明に係る機能制御装置は、機能設定部品は所定の所属群に属しており、機能制御手段は磁力発生体の位置と機能設定部品の所属群とに対応する機能を設定することを特徴とするものである。 磁力発生体の位置に加えて機能設定部品の所属群を機能の設定に用いることで、例えばXY座標で表された2つの座標に加えて第3の座標を設定することができ、従って機能の設定数を更に大きくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記のように本発明に係る機能制御装置は、磁力発生体を機能実行体の所定の位置に配置することにより、機能実行体の座標特定手段が磁力発生体の位置を特定し、機能制御手段が特定した位置に対応する機能を設定する。つまり、磁力発生体を所望の機能を指定可能な位置に配置しさえすれば、機能制御装置に所望の機能が設定されるものであり、機能制御装置の使用者は、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく、所望の機能を容易に設定することができる。
【0016】
また、磁力発生体の位置の特定は非接触で行うことができることから、磁力発生体と機能実行体とを接触させる必要がなく、従って取り扱い性が良い。更に、磁力発生体と座標特定手段による単純な構成で且つ精度良い識別を行うことができ、従って小型化が可能であると共に機能の設定数を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。先ず、本発明に係る第1の実施の形態について図1〜図8を用いて説明する。本実施形態は、機能制御装置として折り畳み式携帯電話機を、機能設定部品として折り畳み式携帯電話機の機能実行体に装着される外装パネルを、磁力発生体としてマグネットを適用したものである。また、マグネットから発せられる磁力による磁束密度を検出してマグネットの位置を特定する座標特定手段としては、3個の磁気センサを用いた。先ず、図1を用いて折り畳み式携帯電話機の全体構成について説明する。図1に示すように、折り畳み式携帯電話機1aは機能実行体2と外装パネル3aとで構成されている。図1(a)は折り畳み式携帯電話機1aを開いた時の正面図であり、図1(b)は折り畳み式携帯電話機1aを折り畳み、外側表面に外装パネル3aを装着した時の正面図である。図1(a)に示した機能実行体2は、ヒンジ部34と、このヒンジ部34で開閉可能に連結された上側筐体31および下側筐体32を有している。機能実行体2の上側筐体31の内側の主要面には表示部33及びスピーカ37が配置されている。また、下側筐体32の内側の主要面には複数の押ボタン等からなる操作部35とマイク38が配置されている。
【0018】
また図1(b)において、36はアンテナである。外装パネル3aは上側筐体31の外側表面に着脱可能に装着されており、外装パネル3aの外側表面には外装パネル3aに割り当てられた機能実行体2の特定の機能23の種類が表示されている。図1(b)に示した外装パネル3aを機能実行体2の上側筐体31の外側面に装着することで、折り畳み式携帯電話機1aの着信メロディーに着メロNo.3が設定される。すなわち、個々に異なる機能23を割り当てた複数の外装パネル3aを用意しておき、所望の機能23を割り当てられた外装パネル3aを機能実行体2の上側筐体31の外側面に装着することで、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく、容易に折り畳み式携帯電話機1aに所望の機能23を設定することができるものである。
【0019】
図2は折り畳み式携帯電話機1aの機能実行体2の機能構成図を示したものである。機能実行体2は、一般的な携帯電話機と同様に、アンテナ36、スピーカ37、マイク38、表示部33、操作部35等のハードウェアーを有している。更に、送受信処理部51、データ処理部52、D/A変換器53、A/D変換器54、座標特定部55、機能制御部56及びこれらを制御するCPUを含んだ主制御部57等を有している。ここで、座標特定部55は外装パネル3aに内蔵されているマグネットの位置を特定する手段であり、本実施形態では磁気センサを含むものである。また、機能制御部56は外装パネル3aに割り当てられた機能23を機能実行体2に設定する手段であり、座標対応マップ及び判別テーブルを含むものである。各手段については後述する。
【0020】
本実施形態に係る折り畳み式携帯電話機1aの機能実行体2へ機能23を設定する手順について図3及び図4を用いて説明する。図3(a)は、本実施形態に係る折り畳み式携帯電話機1aの機能実行体2に内蔵された磁気センサ5を拡大して表示した透視図、図3(b)は外装パネル3aに内蔵したマグネット6aを拡大して表示した透視図である。図3(a)に示すように、3個の磁気センサ5は外装パネル3aの平面方向と平行な面上に三角形を形成するようにして機能実行体2に内蔵されている。一方、図3(b)に示すように、外装パネル3aには、外装パネル3aを機能実行体2に装着した時に磁気センサ5の上方となる位置に1つのマグネット6aが内蔵されている。ここで、磁気センサ5には、検出した磁束密度の大きさに比例して電圧を出力するホール素子5aを用いた。また、マグネット6aにはΦ0.6mmの断面円形の永久磁石を用いた。
【0021】
図4は外装パネル3aを機能実行体2に装着した時に折り畳み式携帯電話機1aにより実行される処理フローを示すものである。先ず、所望の機能23が割り当てられた外装パネル3aを機能実行体2に装着させる。外装パネル3aを装着することによって3個のホール素子5a1、5a2、5a3が外装パネル3aが有するマグネットの位置21を特定して出力する(ステップ101)。次に、機能実行体2は座標対応マップ14を参照して、マグネットの位置21から外装パネル3aの識別番号(本実施形態ではパネルID24a)を認識する(ステップ102)。更に、判別テーブル15を参照して認識されたパネルID24aに対応する機能23を判別する(ステップ103)。そして、機能制御手段が判別した機能23を機能実行体2に設定する(ステップ104)。以下に、各ステップについて詳細を説明する。
【0022】
先ず、3個のホール素子5a1、5a2、5a3を用いて外装パネル3aに内蔵されたマグネット6aの位置21を出力する方法(ステップ101)について説明する。先ず、マグネット6aから発せられる磁力による磁束密度の大きさは、マグネット6aから離れるほど小さくなる。一方、既に説明したようにホール素子5aは検出した磁束密度の大きさに比例して電圧を出力するものである。つまり、ホール素子5aがマグネット6aから離れるほど(距離rが大きくなるほど)ホール素子5aで検出される磁束密度が小さくなり、従って、ホール素子5aからの出力電圧が小さくなる。ここで、図5に本実施形態で用いたマグネット6a及びホール素子5aにおいて、マグネット6aとホール素子5aとの距離rを変化させた時のホール素子5aからの出力電圧Vの変化を示す。図5からもわかるように距離rと出力電圧Vとは1対1に対応するものであり、ホール素子5aからの出力電圧Vを測定することにより、マグネット6aとホール素子5aとの距離rが求まる。更に、三角形を形成するようにして配設された3個のホール素子5a1、5a2、5a3とマグネット6aとのそれぞれの距離r1,r2,r3を求め、ホール素子5a1、5a2、5a3の位置を中心とした半径r1,r2,r3の円をそれぞれ描き、これら3つの円の交点を求めれば、この交点がすなわちマグネット6aの位置21である。
【0023】
次にマグネット6aの位置21からパネルID24aを認識する方法(ステップ102)について図6及び図7を用いて説明する。図6はマグネット6aとして円柱形状の永久磁石を用いた場合のマグネット6aの位置21の出力範囲25を示したものである。内側の円(黒丸)は実際のマグネット6aの位置21であり、外側の円(以下、出力範囲25と記す)は3個のホール素子5aの出力から得られるマグネット6の位置21である。すなわち、白色部が出力誤差範囲であり、外側の円と内側の円が一致するほど、マグネット6aの位置21を正確に出力できることを示している。出力範囲25は、マグネット6aの形状やマグネット6aの設置範囲、ホール素子5aの感度や配置及び装置の組み立て公差等により決まるものであり、実験や具体的な数値を入れたシミュレーション等から求められる。図6(b)の出力範囲25を用いた座標特定手段は図6(a)の出力範囲25を用いた座標特定手段と比較してマグネット6aの位置21の出力誤差が小さく、高精度な座標特定手段であると言える。
【0024】
図7はマグネット6aの位置21からパネルID24aへの変換を行うために設計した座標対応マップ14の具体例を示した図である。 図7(a)において、数字が付された円の一つが図6で示した出力範囲25に対応する。また、数字は外装パネル3aのパネルID24aである。座標対応マップ14を設計するには、XY平面上の任意の位置に出力範囲25を出力範囲25同士が重ならないようにして配置する。図7(a)では、図6(a)に示した出力範囲25を用いて、中心に1個、第1の距離に4個、第2の距離に8個の出力範囲25を配置した。ここで、位置21の表示形式としてはXY座標を用いた。所望の位置に所望の数の出力範囲25を設定したら、更に各出力範囲25について1つのパネルID24aを付与する。図7(a)では、13個の各出力範囲25についてパネルID24aの“000”から“012”を付与した。
【0025】
一方、外装パネル3aには座標対応マップ14に基づいてマグネット6aを内蔵させる。例えば図7(a)の座標対応マップ14を用いる場合には、パネルID24aに“006”を有する外装パネル3aには、外装パネル3aを機能実行体2に装着した時にホール素子5aが配置されているXY平面の座標(X6,Y6)の上方となる位置にマグネット6aを内蔵させる。座標(X6,Y6)に対応する位置にマグネット6aを内蔵した外装パネル3aを機能実行体2に装着することにより、機能実行体2のホール素子5aは外装パネル3aのマグネット6aの位置21:(X6,Y6)を出力し、更に座標対応マップ14からその位置21が含まれている出力範囲25及びパネルID24a:006を認識する。
【0026】
一方、図7(a)において、外装パネル3aの機能実行体2への装着が少しズレてしまった場合には、ホール素子5aから求めた位置21が出力範囲25から外れてしまい、出力範囲25を特定することができず、従って機能実行体2に所望の機能を設定できない。この場合はエラー表示等を行い、再度外装パネル3aを装着し直す必要がある。そこで図7(b)では、出力範囲25を設定したら、更にXY平面を網羅するように各出力範囲25を広げた(以下、拡大された出力範囲26と記す)。座標対応マップ14を図7(b)のように設計した場合には、拡大された出力範囲26がXY平面をほぼ網羅しているため、外装パネル3aの機能実行体2への装着が少しズレた場合であっても、位置21からほぼ確実に拡大された出力範囲26を特定することができ、従ってほぼ確実に機能実行体2に所望の機能を設定することができる。
【0027】
更に、図7(c)及び図7(d)はマグネット6aの位置21の表示方法に極座標を用いたものである。ここで、図7(c)では13個の拡大された出力範囲26が、図7(d)では25個の拡大された出力範囲26が設定されているが、これは図7(c)では図6(a)に示した出力範囲25にて座標対応マップ14を設計したのに対して、図7(d)では図6(b)に示した出力範囲25にて座標対応マップ14を設計したことによる。尚、ホール素子5aを交換する等の場合にはそれに合わせて座標対応マップ14を変更することで、引き続き的確なパネルID24aの認識を維持することができる。
【0028】
次に、判別テーブル15を参照して認識したパネルID24aから機能23を判別する方法(ステップ103)について説明する。図8は判別テーブル15の一例を示したものである。判別テーブル15は、機能23を割り当てるパネルID24aを選択し、機能設定画面で表示された機能23(後述)の中から所望の機能23を一つ選択して設定することにより作成される。判別テーブル15は予めメーカーで設定されたものを使用することでも良いし、折り畳み式携帯電話機1aの使用者が目的に応じて設定したものでも良い。使用者が目的に応じて設定できる場合には、判別テーブル15を用いて任意のパネルID24aの既に割り当てた機能23に新たな指定情報22を上書きすれば、既存の外装パネル3aに新たな機能23を指定させることができる。
【0029】
ここで、「機能設定画面に表示された機能23」とは、予めメーカーにて機能制御部56に保存された機能23である。機能制御部56には判別テーブル15に設定できる機能23と併せて、それら機能23の設定手順が保存されている。例えば、「自宅へ発呼する」と言う機能23が機能制御部56に保存されている場合、その機能23に併せて「使用者が自宅として登録した電話番号をメモリから読み出し、読み出した電話番号に対して発呼を行う」ことが保存されている。つまり、ステップ103で判別された機能23を機能制御手段が認識することで、機能制御手段は認識した機能23に対応する設定手順を機能制御部56から読み出して実行する(ステップ104)。尚、折り畳み式携帯電話機1aの使用者が、登録する機能23を通常のボタン操作により絞り込んだ後で任意のボタンを押圧等することにより機能設定画面に表示するための機能23を登録できるようにする場合には、折り畳み式携帯電話機1aの使用者の所望の機能23のみを登録することが可能となり、更に望ましい。
【0030】
以上のように、本実施形態における折り畳み式携帯電話機1aは、3個のホール素子5aにより外装パネル3aに内蔵されたマグネット6aの位置21を特定し、座標対応マップ14と照らし合わせることで位置21からパネルID24aを認識する。更に判別テーブル15を参照して認識したパネルID24aから所望の機能23を判別することで、判別した所望の機能23を折り畳み式携帯電話機1aに設定する。すなわち、折り畳み式携帯電話機1aの使用者は、外装パネル3aを選択して機能実行体2に位置決めしさえすれば、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく、折り畳み式携帯電話機2aに所望の機能23を容易に設定することができる。
【0031】
また、本実施形態における折り畳み式携帯電話機1aは、パネルID24aの認識を磁力を用いて非接触で行っている。つまり、3個のホール素子5aとマグネット6aとをそれぞれ機能実行体2及び外装パネル3aに内蔵させることができ、取り扱い性が良い。更に少量の部品から成る比較的単純な構成で外装パネル3aを認識できることで、小型化が可能である。また、適切な設計を行うことで出力範囲25を小さくすることにより、外装パネル3aの識別数を大きくすることが可能となる。
【0032】
次に、本発明に係る第2の実施の形態について図9を用いて説明する。第1の実施の形態と異なる点は機能設定部品に、機能実行体2から着脱可能な外装パネル3aではなく機能実行体2に固定された回転板3bを適用したことである。図9(a)は、本実施形態に係る回転板付携帯電話機1bの外観を示したものであり、機能実行体2の下側筐体32の操作領域内には回転板3bが配設されている。ここで、回転板3bの下層部には図示しない3個のホール素子5a内蔵されている。また、図9(b)は回転板3bの拡大図である。回転板3bは、中心から離れた位置にマグネット6aが1つ配設されていると共に、外縁は回転板3bを指で回転しやすいようにギザギザに形成されている。
【0033】
更に、回転板3bには所定の回数の回転操作で1回転するようにラッチ溝が切られている。回転板3bを回転させて所定の位置にマグネット6aが来た場合にその位置21に対応した機能23が機能実行体2に設定される。本実施形態では、図9(b)に示すように、回転板3bは8回の回転操作で1回転するようにラッチ溝が切られており、図9(b)では回転操作によりパネルID24aとして“003”が選択された状態を示している。すなわち、図8の判別テーブル15を適用した場合には、回転板付携帯電話機1bはNo.9として指定されたWebへアクセスする。以上のように、本実施形態においては外装パネル3aのような機能実行体2とは別の部材を用いることなしに所望の機能23を容易に回転板付携帯電話機2bに設定させることができる。
【0034】
更に、本発明に係る第3の実施の形態について、図10及び図11を用いて説明する。本実施形態は、第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機1aに群特定手段を設けたものである。図10において、群特定手段として機能実行体2の上側筐体31の外側面に3つのメカニカルスイッチ7a〜7cを、外装パネル3aに突起部8cを設けた。これらのメカニカルスイッチ7a〜7cは、外装パネル3aを装着した時に、突起部8a〜8cに押されることで「ON」の状態になる。突起部8が存在しない部分のメカニカルスイッチ7は「OFF」の状態のままである。尚、突起部8に押されて「ON」の状態になったメカニカルスイッチ7は、外装パネル3aを取り外すことで突起部8から開放されて元の位置に戻る。すなわち「OFF」に戻る。以下、「OFF」の状態を「0」、「ON」の状態を「1」としてメカニカルスイッチ7の状態を座標表記(以下、所属群27と記す)する。
【0035】
本実施形態において、図10(b)では外装パネル3aにはメカニカルスイッチ7cに対応する位置に突起部8cが1つ設けられている。すなわち、図10(b)の外装パネル3aを機能実行体2に装着した場合は、メカニカルスイッチ7cが「ON」の状態になり、メカニカルスイッチ7a及び7bは「OFF」の状態のままである。すなわち所属群27は(0,0,1)である。以上のように、3つのメカニカルスイッチ7を用いることにより、(0,0,0)(0,0,1)…(1,1,1)の8つの所属群27を構成することが可能となる。
【0036】
本実施形態において、折り畳み式携帯電話機1aは第1の実施の形態と同様に機能実行体2に3個のホール素子5aと、外装パネル3aにマグネット6aが1個内蔵されており、13個の出力範囲25が設定されている。ここで、機能実行体2はマグネット6aの位置21から認識した出力範囲25とメカニカルスイッチ7で指定した所属群27とを組み合わせて1つのパネルID24aを特定する。すなわち、13個の出力範囲25と8つの所属群27とを組み合わせることにより104枚の外装パネル3aを識別することが可能となる。図11に外装パネル3aのパネルID24aの設定例を示す。以下、パネルID24aから機能23を設定する方法については第1の実施の形態で説明した通りである。
【0037】
更に本発明に係る別の実施の形態を図12と図13に示す。図12は第3の実施の形態において、群特定手段として、メカニカルスイッチ7の代わりに光学センサ9を、突起部8の代わりにバーコード10を設けたものである。バーコード10の情報と出力範囲25とを組み合わせることで、更に外装パネル3aの識別数を大きくすることができる。
【0038】
また、図13は、第2の実施の形態において説明した回転板3bの応用例を示したものであり、回転板3bを機能実行体2ではなく、外装パネル3aに設けたものである。本実施形態では、機能実行体2の上側筐体31の回転板3bに対応する位置に3個のホール素子5aが内蔵されている。図13(a)では1つの回転板3bを、図13(b)では2つの回転板3bをそれぞれ外装パネル3aに設けた。尚、図13(b)の場合には2つのマグネット6aから発せられる磁力が干渉を起こさないようにマグネット6aを配置するか、干渉を考慮に入れて座標対応マップ14を設計する等が必要である。
【0039】
ここで、本発明の実施の形態では機能制御装置としていずれも携帯電話機について説明したが、機能を選択して実行することが可能な装置であれば携帯電話機に限定される必要はない。例えば機能実行体2としてカメラ、機能制御装置としてレンズを用いる場合には、所定の位置にマグネット6aを配設させたレンズをカメラに装着することで、カメラはレンズの識別番号を認識して所望のモードにて撮影を行う。また、機能実行体2と機能制御装置とを備えた電子機器としては、所定の磁力発生装置(機能制御装置)をカメラ部(機能実行体)に着脱することによりカメラ部に所定の動きを行わせる内視鏡等がある。
【0040】
また、本発明の実施の形態では機能設定部品として外装パネル3a及び回転板3bについて説明したが、機能設定部品は磁力発生体を備えることが可能であり、且つ、機能実行体2に位置決めできるものであれば外装パネル3a及び回転板3bに限定されず、例えば細い棒状の鍵の長手方向の一部にマグネット6aを付加し、携帯電話機に形成した磁気センサを配した鍵穴に挿入させることでマグネット6aの位置21を特定することでも良い。更に、機能設定部品としてホルダを用いて、ホルダが装着されている場合に機能実行体にセキュリティー機能を働かせるようにすることもできる。
【0041】
更に、本発明の実施の形態では座標特定手段として、3個のホール素子5aを用いたが、これに限定される必要はない。同一直線上にない少なくとも3個のホール素子5aを含んでいれば、例えば4個、またはそれ以上のホール素子5aを用いても良い。4個以上用いる場合において、4個のホール素子5aが同一平面上に配置されないように配置した場合には、マグネット6aとその平面との距離を求めることができる。つまり、外装パネル3aを用いる場合において、マグネット6aの配置を外装パネル3aの厚さ方向の位置を変えることでも外装パネル3aを識別することが可能となり、更に識別数を大きくすることができる。一方、ホール素子5aを中心とした複数の半径rの円において、1つの円周に対しては1つのマグネット6aしか配置しないように限定した場合にはホール素子5aを1個にすることができる。また、ホール素子5aを2個用いる場合には、マグネット6aの配置を、2個のホール素子5aを通る直線について対称となる2点のいずれか一方のみに配置することとすれば良い。
【0042】
更に、磁気センサ5としてホール素子5aではなく磁気抵抗効果素子(MR素子)、磁気抵抗効果IC(MRIC)、リードスイッチなどを用いても良い。すなわち、座標特定手段としてN個の磁気抵抗効果素子を平面座標の原点対称に放射線状に配置してマグネット6aの磁力による磁束密度を検出することでも良いし、一般的に市販されている平面上で直交する2軸であるX軸及びY軸に沿って2個ずつ原点対称に配置された4個のホール素子5aを有するポインティングデバイスを用いてマグネット6aの磁力による磁束密度を検出することでも良い。ここで、市販のポインティングデバイスとしては、例えば旭化成電子製のマルチチップホールIC EQ−8211がある。また、磁力発生体としてマグネット6aを用いたが、一定の磁力を発するものであれば良く、例えば磁気コイル等でも良い。すなわち、座標特定手段として、磁力発生体とその磁力による磁束密度を検出できるデバイスであれば良い。
【0043】
以上のように、本発明に係る機能制御装置は、磁力発生体を機能実行体2の所定の位置に配置することにより、機能実行体2の座標特定手段が磁力発生体の位置21を特定し、機能制御手段が特定した位置21に対応する機能23を設定する。従って、使用者は機能設定部品を選択して機能実行体2に位置決めしさえすれば、煩雑なメニューやボタン操作を必要とすることなく、機能制御装置に所望の機能23を容易に設定することができる。
【0044】
また、機能設定部品の識別に磁力を用いているので、識別を非接触で行うことができ、従って磁力発生体と座標特定手段とを機能設定部品及び機能実行体2に内蔵させることができて取り扱い性が良い機能制御装置とすることができる。更に、磁力発生体と座標特定手段による単純な構成で且つ精度良い識別を行うことができ、従って小型化が可能であると共に機能設定部品の識別数を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の外観図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の機能構成図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の座標特定手段の説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機のホール素子の出力特性を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の出力範囲の具体例。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の座標対応マップの具体例。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の判別テーブルの具体例。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る回転板付携帯電話機の外観図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の外観図。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機におけるパネルIDの設定例。
【図12】本発明の別の実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機の外観図。
【図13】本発明の別の実施の形態に係る外装パネルの外観図。
【符号の説明】
【0046】
1a 折り畳み式携帯電話機
1b 回転板付携帯電話機
2 機能実行体
3a 外装パネル
3b 回転板
5 磁気センサ
5a ホール素子
6a マグネット
7 メカニカルスイッチ
8 突起部
9 光学センサ
10 バーコード
14 座標対応マップ
15 判別テーブル
21 位置
23 機能
24a パネルID
25 出力範囲
26 拡大された出力範囲
27 所属群
31 上側筐体
32 下側筐体
33 表示部
34 ヒンジ部
35 操作部
36 アンテナ
37 スピーカ
38 マイク
51 送受信処理部
52 データ処理部
53 D/A変換器
54 A/D変換器
55 座標特定部
56 機能制御部
57 主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能実行体に所望の機能を設定する機能制御装置であって、
前記機能実行体に対して所定の位置に配置され磁力を発する少なくとも1つの磁力発生体と、
前記磁力による磁束密度に基づき前記位置を特定する座標特定手段と、
前記位置に対応する、前記機能実行体の所定の前記機能を設定する機能制御手段と
を備えていることを特徴とする機能制御装置。
【請求項2】
前記座標特定手段は少なくとも1個の磁気センサを備えており、前記磁気センサで測定した前記磁束密度から前記磁気センサと前記磁力発生体との距離を求めることで前記位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の機能制御装置。
【請求項3】
前記座標特定手段は、三角形を形成するように配設された3個を少なくとも含む3個以上の前記磁気センサを備えており、1つの前記磁力発生体に対して三角形を形成するように配設された3個の前記磁気センサで測定した前記磁束密度から、前記磁力発生体と3個の前記磁気センサとの前記距離を求め、各前記磁気センサの配設位置を中心に、各前記距離を半径とする円を描き、3つの前記円の交点を前記磁力発生体の前記位置とすることを特徴とする請求項1または2項に記載の機能制御装置。
【請求項4】
前記磁力発生体は機能設定部品に配設されており、前記機能設定部品を前記機能実行体に位置決めすることで前記磁力発生体が前記機能実行体の所定の前記位置に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の機能制御装置。
【請求項5】
前記機能設定部品は識別番号を有しており、前記機能制御手段は前記位置から前記識別番号を認識する座標対応マップを備えていることを特徴とする請求項4に記載の機能制御装置。
【請求項6】
前記座標対応マップは、座標平面上に互いに重ならないように配置された領域の各々に前記識別番号を対応させたものであることを特徴とする請求項5に記載の機能制御装置。
【請求項7】
前記領域は前記座標平面を覆うようにして配置されていることを特徴とする請求項6に記載の機能制御装置。
【請求項8】
前記機能制御手段は、前記識別番号から前記機能を判別する判別テーブルを備えていることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の機能制御装置。
【請求項9】
前記機能設定部品は所定の所属群に属しており、前記機能制御手段は前記位置と前記所属群とに対応する前記機能を設定することを特徴とする請求項4から8のいずれか1項に記載の機能制御装置。
【請求項10】
前記所属群は、前記機能設定部品に付設された突起部と前記機能実行体に付設された前記突起部に対応するように配置したメカニカルスイッチとで特定されることを特徴とする請求項9に記載の機能制御装置。
【請求項11】
前記所属群は、前記機能設定部品に付設された光学的に認識可能なコードと前記機能実行体に付設された前記コードを読み取る光学センサとで特定されることを特徴とする請求項9に記載の機能制御装置。
【請求項12】
前記機能制御装置は携帯電話機であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の機能制御装置。
【請求項13】
前記磁力発生体はマグネットであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の機能制御装置。
【請求項14】
前記機能設定部品は外装パネルであることを特徴とする請求項4から13のいずれか1項に記載の機能制御装置。
【請求項15】
前記機能設定部品は回転板であることを特徴とする請求項4から13のいずれか1項に記載の機能制御装置。
【請求項16】
機能実行体と、機能実行体に所望の機能を設定する機能制御装置とを備えた電子機器であって、前記機能制御装置は請求項1から15のいずれか1項に記載された機能制御装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項17】
機能実行体に所望の機能を設定する機能設定方法であって、
前記機能実行体の所定の位置に磁力を発する少なくとも1つの磁力発生体を配置する工程と、
前記磁力による磁束密度に基づいて前記位置を特定する工程と、
前記位置に対応する前記機能実行体の所定の前記機能を設定する工程と
から成ることを特徴とする機能設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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