説明

機能性チタンインプラントおよびそれに類する再生可能材料

【課題】タンパク質吸収の増加、骨芽細胞移動の促進、骨芽細胞接着の促進、骨芽細胞拡散の促進、骨芽細胞増殖の促進、および骨芽細胞分化の促進を可能にする表面が処理されたインプラント。
【課題を解決するための手段】インプラントに機能性を付与する方法であって、インプラント表面を処理して、正の電荷を帯びさせる方法である。インプラントは、向上した組織−インプラント一体化および/または骨−インプラント一体化を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年11月25日に提出された米国特許出願第61/117,831に基づく優先権を主張し、その内容を参考としてすべて組み込んでいる。
本願発明は、バイオメディカルに利用される医療用インプラントに関する。
【0002】
骨粗鬆症による大腿骨頸部骨折と、膝関節および股関節の退行性変化は、よくある問題である。米国では、年間500,000件を超える股関節および膝関節の再構築手術が行われており、この手術には、アンカーとしてのチタンインプラントが重要な治療手段となっている。これらの領域での骨折は、本質的に骨を固定すること(例えば、固定支持など)が許容されず、通常、インプラントは、手術の直後から重力や歩行などの日常生活の活動による恒常的および/または周期的な衝撃にさらされる。このような手術における結果の問題点としては、憂慮すべき程度の障害、長期における介助、死亡率、比較的高い割合5〜50%の割合で起きる修正手術、実施的な生活の質の低下などが挙げられる。
【0003】
他の決定要因として、これらの目的で使用されるインプラントの設置は、骨の再生能力を阻害し、また骨粗鬆症などの代謝活動およびインプラントの周囲での骨の修復を遅らせる老化などを引き起こす。したがって、罹患率を最小限にし、機能的な回復および長期的な予後を最大にするために、骨内インプラントを使用した迅速かつしっかりとした骨および関節アンカーの確立に未だかつてないほど尽力している。
【0004】
一方で、欠損歯の再生手術として、歯科用チタンインプラントを使用することは広く認知されている。しかしながら、患者の歯の質や大きさ、全体的な状態、および年齢などを含む様々なリスクが歯科におけるインプラント治療には存在する。さらには、チタンインプラントが骨と一体化されて咬合荷重に耐えられるようになるには長い時間が必要であり(4〜6ヶ月)ため、これらの有益な治療を実質的に制限してしまう。向上された骨形成(骨伝導性)能力を有するインプラントは、患者および歯科医に非常に有益である。
【0005】
骨に加えて、骨、関節および歯の再構築治療以外の組織再生治療は、多くの問題と直面している。例えば、怪我および退行性変化後の骨の以上のための現在行われている治療は、組織再生のために成長因子などの生体分子を使用する必要がある。しかし、それでも生体分子の効果および再生可能な骨の量には限界がある。生体分子による副作用および治療に必要なコストも顕著である。
【0006】
担体バイオ材料と共に供給することで生理活性が向上したインプラントは、組織再生に必要な生体反応を促進するのに使用できる可能性を有している。
【発明の概要】
【0007】
ここで記載するのは、金属表面を有する医療用インプラントであって、該金属表面は、正の電荷を帯びた金属酸化物を有するインプラントを記載する。金属は、チタン、金、プラチナ、タンタラム、ニオビウム、ニッケル、鉄、クロム、コバルト、ジルコニウム、アルミニウム、およびパラジウムであってもよい。一実施形態では、該インプラントは、金属もしくは非金属の担体材料を有していてもよい。
【0008】
一実施形態では、医療用インプラントは、チタン表面を有する。チタン表面は、TiOを有する。一実施形態では、チタン表面は実質的に炭化水素を含まない。
【0009】
インプラント表面は、タンパク質および/または細胞を促進された割合で引き寄せることができる。タンパク質は、ウシ血清アルブミン、フラクションV、およびウシ血漿フィブロネクチンを使用してもよい。細胞は、ヒト間葉幹細胞、および骨芽細胞を使用してもよい。タンパク質もしくは細胞は、処理済みインプラント表面に、例えば架橋用二価陽イオンなどを用いないで直接、接着させてもよい。
【0010】
インプラント表面は、組織−インプラントの一体化および/または骨−インプラント一体化を引き起こすもしくは向上することができる。インプラント表面は、以下もしくは以下の組み合わせが可能である:タンパク質吸収の増加、骨芽細胞移動の促進、骨芽細胞接着の促進、骨芽細胞拡散の促進、骨芽細胞増殖の促進、および骨芽細胞分化の促進。
【0011】
ここでは、医療用インプラントに機能性を付与する方法を記載し、該方法は、(1)金属インプラント表面を提供する工程と(2)該インプラント表面を処理し正の電荷を帯びた表面にする、もしくは表面の正の電荷を強める工程と、を有する。いくつかの実施形態では、該方法は、生理学的環境において正の電荷を帯びさせる。生理学的環境は、pHが約7であってもよい。いくつかの実施形態では、該方法は、pHが7未満もしくは7より大きくても該表面に正の電荷を帯びさせることができる。
【0012】
一実施形態では、処理された表面は、未処理の表面と比較してタンパク質および/または細胞を向上した割合で吸着することができる。
【0013】
一実施形態では、インプラントは、チタン表面を有する。一実施形態では、チタン表面は、二酸化チタンを有する。
【0014】
一実施形態では、該インプラント表面は、紫外線(UV線)を照射することにより処理される。UV線は、UVランプを使って照射できる。UV線は、約10nm〜400nmの波長であってもよい。いくつかの実施形態では、UV線は、約170nm〜約270nmもしくは約340nm〜380nmの波長であってもよい。いくつかの実施形態では、該表面は、約170nm〜約270nmの波長のUV線と約340nm〜約380nmのUV線を組み合わせて照射して処理される。
【0015】
UV線の強度は、広範囲であってもよい。例えば、UV線強度は、0.001mW/cm〜100mW/cmの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、UV線は、約0.1mW/cmの強度であってもよく、もしくは約2mW/cmであってもよい。UV線による処理は、48時間以内であればよく、例えば、30秒、1分、5分、15分、30分、1時間、5時間、10時間、24時間、36時間、および48時間である。
【0016】
一実施形態では、該方法は、さらに、インプラント表面に処理を施す前に、インプラント表面を加工する工程を有する。インプラント表面は、物理的な加工もしくは化学的な加工を施してもよい。物理的な加工としては、機械加工もしくはサンドブラストなどであってもよい。化学的な加工は、酸もしくはアルカリによるエッチングであってもよい。酸としては、硫酸でもよい。加工表面は、正の電荷を帯びてもよい。UV線処理は、加工された表面に正の電荷を帯びさせるのを促進する。
【0017】
いくつかの実施形態では、処理された表面は、酸化金属陽イオンを有する。酸化金属陽イオンは、酸化チタン陽イオンであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、処理されたインプラント表面は、ウシ血清アルブミン、フラクションV、ウシ血漿フィブロネクチンなどを吸着できる。一実施形態においては、処理されたインプラント表面は、ヒト間葉幹細胞および骨芽細胞を引き寄せることができる。タンパク質もしくは細胞は、例えば、架橋用二価陽イオンなどを用いずに処理されたインプラント表面に直接に接着してもよい。一実施形態では、処理されたチタン表面は、Ca2+、Mg2+、Zn2+などの2価陽イオンを有さない。
【0019】
処理されたインプラント表面は、インプラント部位での組織−インプラントの一体化および/または骨−インプラントの一体化を向上できる。処理されたインプラント表面は、未処理のインプラント表面と比べて骨形成能力に優れている。インプラント表面は、以下もしくは以下の組み合わせが可能である:タンパク質吸収増加、骨芽細胞移動の促進、骨芽細胞接着の促進、骨芽細胞拡散の促進、骨芽細胞増殖の促進、および骨芽細胞分化の誘導。
【0020】
上述の方法は、インプラントの骨形成活性を増加、インプラントの骨伝導性能力の増加、および組織−インプラントおよび/または骨−インプラントの一体化の向上などに使用できる。
【0021】
ここに記載するのは、上述の方法により表面に機能性を有する医療用インプラントである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、異なる時期および紫外線照射をした場合としなかった場合における酸によりエッチングしたチタン表面の初期の生体活性を示している。 図1Aは、チタンディスクを新しく加工した直後に使用した場合と、4週間後の場合(室温環境の暗室にて保存)と、4週間後にUVで処理された場合とにおける2時間、24時間、72時間の培養後のウシ血清アルブミン吸収率平均値±SD(標準偏差)を示す。 図1Bは、異なる状況下で酸によりエッチングされたチタンディスクに3時間の培養中に8μmの孔を通って移動したヒト間葉幹細胞(MSCs)の量を示す。 図1Cは、接種してから3時間および24時間後において、WST−1検知により評価されたチタンディスクに接着したヒトMSCsを示す。全てのパネルにおいて、データは平均値±SDで示す(n=3)。
【図2】図2は、異なる条件で酸によりエッチングしたチタン表面に接種して3時間後のヒト間葉幹細胞の初期の分散および細胞骨格の変化を示す。異なる条件:新しく加工した表面、4週間後の表面、4週間後の表面をUV線で処理。 図2Aは、アクチンフィラメント(赤)、アンチ−パキシリン(緑)、もしくはこれらの組み合わせをローダミンファロイジンで染色した細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。 図2Bは、これらの画像を使って行った細胞形態計測の評価である。データは、標準値±SD(n=10)で示す。
【図3】図3は、生体力学プッシュインテストの評価を行った結果、新しく加工されたチタン表面とUV線処理した酸によりエッチングしたチタン表面の骨−チタンの一体化が、4週間後の表面に比べて促進されていることを示す。機械加工および酸によるエッチングのインプラントのプッシュイン値は、UV線処理をした場合としなかった場合を記載している。データは平均値±SD(n=5)で示されている。
【図4】図4は、正の電荷を帯びたチタン表面のアルブミン吸収Aおよび細胞接着Bの向上を示す。 図4Aは、アルブミン培養前に24時間イオン処理した場合としなかった場合の種々のチタン表面(新しく加工されたチタン表面、4週間後のチタン表面、4週間後にUV線処理されたチタン表面)を3時間培養している間のアルブミンの吸収を示す。アルブミン培養の培地は、pH7もしくは3に調節された。 図4Bは、24時間の培養において、種々のチタン表面に接着したヒトMSCsの量を示す。チタン表面は図4Aと同様にして、準備した。培地は、pH7に調節した。データは、平均値±SD(n=3)で示す。
【図5】図5は、新たに解明された、チタン表面にタンパク質および細胞が静電気的に接着する様子を簡略化して示したものである。左側(古いチタン)および右側(新しいチタンもしくはUV線処理されたチタン)は、それぞれ細胞を引き寄せず、もう一方は細胞を引き寄せる。
【図6】図6は、新しく加工されたチタン表面およびUV線処理されたチタン表面向上進された生体活性を汎化したものである。 図6Aは、新しく加工された、4週間後、4週間後にUV線処理した機械加工およびサンドブラストされたチタンディスクに対して6時間のアルブミン吸収培養を行った図である。データは、平均値±SD(n=3)で示す。 図6Bは、新しく加工された、4週間後、4週間後にUV線処理した機械加工およびサンドブラストされたチタンディスクに対して6時間のフィブロネクチンン吸収培養を行った図である。データは、平均値±SD(n=3)で示す。 図6Cは、UV線処理した場合としなかった場合の機械加工されたインプラントのプッシュインテストにより骨−チタンの一体化を計測したものを示す。データは、平均値±SD(n=5)で示す。
【図7A】図7A〜Gは、紫外線(UV線)に誘導されたチタン表面に対する骨芽細胞親和性を示す。機械加工された表面および酸によりエッチングされた表面の二つの異なる形態の表面を用意した。図7Aは、48時間のUV線処理後に得られた超親水性のチタン表面を示す(左図)。種々の時間UV線処理をした後のHOの接触角度により親水性の変化を評価した(線グラフ)。
【図7B】図7Bは、48時間のUV線処理後がストップしてからの暗下においてチタン表面の親水性の低下を示す。
【図7C】図7CおよびDは、UV線による前処理をした場合としなかった場合でのチタン表面へのタンパク質の吸収率を示す。アルブミン(C)およびフィブロネクチン(D)は、チタン表面で2時間、6時間、24時間培養した。
【図7D】図7CおよびDは、UV線による前処理をした場合としなかった場合でのチタン表面へのタンパク質の吸収率を示す。アルブミン(C)およびフィブロネクチン(D)は、チタン表面で2時間、6時間、24時間培養した。
【図7E】図7Eは、3時間および24時間の培養後にUV線処理をした場合としなかった場合のチタン表面に接着した骨芽細胞の相対的な数のWST−1色彩測定による評価を示す。
【図7F】図7FおよびGは、タンパク質および骨芽細胞に対するチタン親和性のUV線処理の時間依存変化率を示す。UV線による前処理の時間に対してのチタン表面のアルブミン吸収率(F)および骨芽細胞接着率(G)をプロットしている。図7C〜7Gまでのデータは、平均値±SD(n=3)で示されており、UV線処理を行った表面と未処理のコントロール表面では、それぞれ**p値<.01およびp値<.05で、有意な差があった。
【図7G】図7FおよびGは、タンパク質および骨芽細胞に対するチタン親和性のUV線処理の時間依存変化率を示す。UV線による前処理の時間に対してのチタン表面のアルブミン吸収率(F)および骨芽細胞接着率(G)をプロットしている。図7C〜7Gまでのデータは、平均値±SD(n=3)で示されており、UV線処理を行った表面と未処理のコントロール表面では、それぞれ**p値<.01およびp値<.05で、有意な差があった。
【図8A】図8A〜Cは、UV線処理されたチタン上での骨芽細胞の初期の態様を示す。図8Aは、UV線による前処理した場合としなかった場合でのチタン表面上の初期の骨芽細胞の分散および細胞骨格の構成を示す。接種後3時間の骨芽細胞の核(青)をDAPIで、アクチンフィラメント(赤)をローダミンファロイジンにより二重染色しものの共焦点顕微鏡画像である。バーは、10μmである。該画像を使って細胞形態計測の評価を行なった(ヒストグラムを下に示す)。データは、平均値±SD(n=6)で示しており、p値<0.05で、UV照射処理した表面と未処理のコントロール表面では有意な差があった。
【図8B】図8Bは、UV線処理したチタン表面としなかったチタン表面で培養2日目と5日目の骨芽細胞の密度を示す(下記のヒストグラム)。2日目に得られた細胞の蛍光画像は、細胞密度が確認できるように上部に示している。
【図8C】図8Cは、チタン基材上での骨芽細胞の増殖活動を2日目の培養の各細胞にBrdUを取り込ませて評価した。図8BおよびCのデータは、平均値±SD(n=3)で示しており、UV線処理を行った表面と未処理のコントロール表面では、それぞれ**p値<.01およびp値<.05で、有意な差があった。
【図9A】図9A〜Dは、UV線処理したチタン表面における向上された骨芽細胞の表現形質および促進された分化を示す。図9Aは、骨芽細胞の初期の段階のマーカーであるアルカリホスホターゼ(ALP)のUV線により促進された活性を示す。上図では、チタン基質の上で10日ほど培養された骨芽細胞のALP染色を示す。培養領域においてALP陽性領域をパーセンテージで示す(左下ヒストグラム)。細胞ごとに標準化されたALP活性の色彩測定による定量化も示す(右下ヒストグラム)。
【図9B】図9Bは、骨芽細胞のミネラリゼーション能力(後期段階のマーカー)を示す。上図は、14日間の培養後の骨芽細胞をフォンコッサ染色した図である。培養領域においてフォンコッサ陽性領域をパーセンテージで示す(左下ヒストグラム)。カルシウムの総堆積量を色彩測定により計測したものも示す(右下ヒストグラム)。
【図9C】図9CおよびDは、機械加工されたチタン表面(C)と酸によりエッチングしたチタン表面(D)の上で培養した骨芽細胞における骨関連遺伝子の発現を示す。骨芽細胞は、UV線処理したチタンとUV線処理しなかったチタンの上で培養し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により遺伝子の発現を半定量化して評価した。電気泳動の画像を上図に示す。GAPDHmRNAの発現レベルに対する遺伝子発現の定量レベルを下に示す。C:未処理のコントロール。UV:UV線照射処理。図9A〜9Dまでのデータは、平均値±SD(n=3)で示されており、UV線処理を行った表面と未処理のコントロール表面では、それぞれ**p値<.01およびp値<.05で、有意な差があった。
【図9D】図9CおよびDは、機械加工されたチタン表面(C)と酸によりエッチングしたチタン表面(D)の上で培養した骨芽細胞における骨関連遺伝子の発現を示す。骨芽細胞は、UV線処理したチタンとUV線処理しなかったチタンの上で培養し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により遺伝子の発現を半定量化して評価した。電気泳動の画像を上図に示す。GAPDHmRNAの発現レベルに対する遺伝子発現の定量レベルを下に示す。C:未処理のコントロール。UV:UV線照射処理。図9A〜9Dまでのデータは、平均値±SD(n=3)で示されており、UV線処理を行った表面と未処理のコントロール表面では、それぞれ**p値<.01およびp値<.05で、有意な差があった。
【図10】図10は、生体力学的プッシュインテストにより評価したUV線処理により向上した骨−チタンの一体化を示す。機械加工および酸によるエッチングのインプラントのプッシュイン値は、UV線処理した場合としなかった場合を記載している。データは平均値±SD(n=5)で示されている。UV線処理を行った表面と未処理のコントロール表面では、それぞれ**p値<.01およびp値<.05で、有意な差があった。
【図11A】図11は、UV線により促進されたインプラント周縁の骨形成を示す。図11A〜Dは、オリジナル倍率である40倍で、図11E〜Hは、200倍で、図11I〜Lは400倍で、ゴールドナートリクロム染色した酸によるエッチング処理したチタンインプラントの細胞画像を示す。なお、2週目のUV線処理したインプラントは、骨とインプラントの間で軟組織が形成されるのを防ぐ激しい骨形成が行なわれおり(図11Fの矢印)、これはインプラント表面に直接骨が堆積することにつながる(図11J矢印)。これに対して、未処理のコントロールの周りの骨は分断されており(図11E)、骨とインプラント表面の間に移動してくる軟組織を含んでおり、これは骨−インプラント表面の直接の接触を阻害している(図11Iの矢印)。このようなインプラントおよび骨境界面での形態の違いは、4週目でも明らかである(図11GおよびH)。軟組織に阻害されずにインプラント表面に沿った広範囲な骨分散は、UV線処理したインプラントの周りで確認されている(図11HおよびL)、一方で未処理のインプラントの周りの骨の多くは、軟組織によりインプラント表面から離されている(図11Gおよび図11Kの矢印)。骨−インプラント接触の平均的な細胞形態計測値(図11M)、近位領域での骨量(図11N)、遠位領域での骨量(図11O)および軟組織の阻害(図11P)を示す。UV線処理を行った表面と未処理のコントロール表面では、それぞれ**p値<.01およびp値<.05で、有意な差があった。
【図11B】UV線処理したインプラント周縁の2週目(W2)の骨形成の40倍率での画像。
【図11C】未処理のコントロールインプラント表面での4週目(W4)の骨形成の40倍率での画像。
【図11D】UV線処理したインプラント周縁の4週目(W4)の骨形成の40倍率での画像。
【図11E】未処理コントロールの周縁での骨形成の200倍率での画像。
【図11F】UV線処理したインプラント周縁の2週目の骨形成の200倍率での画像。
【図11G】未処理コントロールインプラントの周縁の骨形成の4週目の200倍率での画像。
【図11H】UV線処理したインプラント周縁の4週目の骨形成の200倍率での画像。
【図11I】未処理コントロールインプラントの周縁での軟組織による阻害の400倍率での画像。
【図11J】UV線処理したインプラントの骨の直接の堆積の400倍率での画像。
【図11K】未処理コントロールインプラントの骨が軟組織によりインプラント表面から離されている400倍率での画像。
【図11L】UV線処理したインプラントの広範囲な骨分散の400倍率での画像。
【図11M】骨−インプラント接触の平均的な細胞形態計測値。
【図11N】近位領域での骨量。
【図11O】遠位領域での骨量。
【図11P】軟組織による阻害。
【図12A】図12A〜Mは、UV線に誘導された、生物学的効果を伴うチタン表面の特性の変化を示す。図12Aは、機械加工されたチタン表面と酸によりエッチング処理されたチタン表面のX線回析(XRD)スペクトルと、923Kおよび673Kで加熱して生成されたTiO純粋なルチル構造、およびルチルとアナターゼの混合構造を示す。
【図12B】図12Bは、機械加工されたチタン表面と酸によるエッチング処理されたチタン表面の光吸収スペクトラムを示す。
【図12C】図12Cは、機械加工されたチタン表面と酸によりエッチング処理されたチタン表面のX線光電子分光(XPS)を示す。
【図12D】図12Dは、図12CのXPSTi2pピークの拡大図である。
【図12E】図12E〜図12Gは、UV線を様々な時間照射したあとの酸によりエッチングしたチタン表面のTi2p(図12E)、Ols(図12F)およびCls(図12G)のXPSの状態の変化を示す。
【図12F】図12E〜図12Gは、UV線を様々な時間照射したあとの酸によりエッチングしたチタン表面のTi2p(図12E)、Ols(図12F)およびCls(図12G)のXPSの状態の変化を示す。
【図12G】図12E〜図12Gは、UV線を様々な時間照射したあとの酸によりエッチングしたチタン表面のTi2p(図12E)、Ols(図12F)およびCls(図12G)のXPSの状態の変化を示す。
【図12H】図12Hは、異なる時間UV線処理した酸によりエッチングしたチタン表面の原子の変化をパーセンテージで示したものである。
【図12I】図12Iは、3時間の培養後のアルブミン吸収率を酸によりエッチングされたチタン表面炭素原子に対してプロットしたものであり、これは、顕著な逆相関の関係を示している。
【図12J】図12Jは、3時間の培養後の骨芽細胞の接着率を酸によりエッチングしたチタン表面炭素原子に対してプロットしたものであり、これは、顕著な指数関数的な関係を示している。
【図12K】図12Kおよび図12Lは、アルブミン吸収率(図12K)および骨芽細胞接着率(図12L)を酸によりエッチングしたチタン表面上のHOの接触角度に対してプロットしたものであり、これは特に目立った関連性がないことを示している。
【図12L】図12Kおよび図12Lは、アルブミン吸収率(図12K)および骨芽細胞接着率(図12L)を酸によりエッチングしたチタン表面上のHOの接触角度に対してプロットしたものであり、これは特に目立った関連性がないことを示している。
【図12M】図12Mは、タンパク質吸収および骨芽細胞の接着と分散を加速および向上させる光形成による生体親和性TiOのTiO光機能性付与の概略図を示す。
【図13】図13は、UV線で様々に処理されたチタン表面に接着した細胞の数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
金属表面を有する医療用インプラント
ここに記載するのは、金属表面を有する医療用インプラントであって、前記金属表面は正の電荷を帯びた酸化金属を有する。前記金属は、チタン、金、プラチナ、タンタラム、ニオビウム、ニッケル、鉄、クロム、コバルト、ジルコニウム、アルミニウム、およびパラジウムであってもよい。いくつかの実施形態では、前記金属表面は、酸化金属陽イオンを有する。
【0024】
チタン表面
チタン表面は、負の電荷を帯びていると考えられるため、陽イオンが、例えばCa2+など、チタン表面と反応する。一方で、多くのタンパク質および生物の細胞は、生理学的条件下では、負の電荷を帯びているため、チタン表面と反発する可能性がある。
【0025】
チタンインプラントは、整形外科および歯科の病気および問題において再構築アンカーとして使われている。インプラントアンカーの成功には、軟組織/結合組織に阻害されずにチタン表面に骨が直接堆積する規模が関係する。これを「骨−インプラント一体化」もしくは「オッセオインテグレーション」と言う。現在の整形外科および歯科のチタンインプラントは、この考え方に基づいて開発されており、「オッセオインテグレーテッド・インプラント」と呼ばれている。しかしながら、骨によりカバーされる全インプラント領域は、45±16%もしくは50〜75%に留まっており、理想とする100%を大きく下回っている。多くのインプラントは、不完全な設置もしくは骨−インプラント境界面での初期もしくは後期の破壊的変化により失敗している。インプラントの周りの全てに骨組織が形成されない理由についてはわかっていない。
【0026】
酸化チタン(TiO)紫外線(UV線)誘導型超親水性は、1997年に発見された。半導体酸化物の光化学反応(超親水性の生成も含む)は、環境およびクリーンエネルギー科学から多くのまた幅広い注目を集めた。非常に親水性の高いチタン表面の光による形成は、光処理により形成された親水相の表面構造の変化に起因している。このモデルでは、光処理は、架橋部位において表面の酸素欠乏をつくり、これによりTi4+部位をTi3+部位に変化させることで解離性水吸収に好ましい状態となる。
【0027】
本発明者らは、1)新しく加工されたチタン表面もしくは修飾されたチタン表面は、正の電荷を帯びている;2)古いチタン表面をUV線で処理することで表面が正の電荷を帯び、新しく加工されたチタン表面をUV線で処理するとその正電荷をより強化する;3)これらの正の電荷を帯びた表面は、タンパク質および細胞親和性を示し、UV線処理されていない古いチタン表面と比較してタンパク質および細胞親和性が実質的に増加している;4)タンパク質および細胞接着に関するこれらの新規に見出されおよび形成されたメカニズムは、タンパク質および/または細胞とチタン表面の直接の相互作用を可能にし、これには架橋用の2価陽イオン、例えばCa2+などを必要としない、ということを見出した。新しい表面および生体的メカニズムは、チタンインプラントの分野において認識されてきた生体プロセスと区別できる。なぜなら、タンパク質の吸収および細胞の接着、最終的なチタン表面が、組織との一体化および再生能力において実質的に増加しているからである。
【0028】
UV線処理は、通常の空気雰囲気条件において、例えば、真空状態や不活性ガスの注入などの他の雰囲気の設定はいらない条件において行なうことができる。チタンもしくはチタン混合金属をUV線処理すると、チタン原子の価電子バンドから伝導性バンドへと電子を活性化させ、これによりチタンの表面層に陽性の孔を形成して正の電荷を表面に形成する。電子を活性化するには、3.2eVのUV線エネルギーが必要であり、これはUVAと呼ばれるおおよそ365nmの波長に該当する。これに対し、ピークの波長が260nmより短いUVCでは、炭化水素の直接の分解が行なわれる。この炭素除去メカニズムは、チタン表面にUVAが貫通するのに役立ち、正電荷を形成する効率を上げ、結果的に形成された正電荷を露出するのを促進および向上する。
【0029】
いかなる理論に制限されることなく、UVA(約340nm〜約380nm)およびUVC(約170nm〜約270nm)の組み合わせが使用された。
【0030】
UV線処理されたチタンに仲介された骨−チタン一体化の向上は実質的であることが証明された。例えば、酸によりエッチングしたインプラントの生体医療アンカーは、2週目における治癒の初期の回復において3倍以上増加された。プッシュイン値のこの3倍増の値は、同じ動物モデルの8週目でも得られた。換言すると、UV線処理され酸によりエッチングされたインプラントで得られたプッシュイン値は、UV線未処理で酸によるエッチングがされたインプラントの8週目と同等であり、すなわちUV線処理された表面は4倍の早さで骨−インプラント一体化を達成したことを示している。UV促進されたチタンは、軟組織にほぼ邪魔されることなく骨−チタンの直接の接触の最適なレベル(実質的に100%)を達成可能にしている。これらのin vivoでの達成は、UV線処理したチタン表面上での以下の生物学的にプロセスによる(1)タンパク質吸収の増加;(2)骨芽細胞移動の増加;(3)骨芽細胞接着の増加;(4)骨芽細胞分散の促進;(5)骨芽細胞の増殖増加;(6)骨芽細胞分化の促進。
【0031】
これらのプロセスは、独立でも独立でなくてもよい。例えば、タンパク質吸収の増加が、タンパク質および細胞インテグリンの相互作用の促進を介して骨芽細胞接着を向上することができる。骨芽細胞増殖の増加は細胞−細胞の相互作用の増加により分化の向上を引き起こすこともできる。
【0032】
UV線処理された表面はフィブロネクチンの吸収が増加しているため、RGD接着インテグリンを持つ他の細胞も表面に引き寄せられる。興味深いことに、軟組織による阻害は、UV線処理されたチタンの周囲で実質的に減少していた。
【0033】
より多くの骨をより早く形成するためには、骨芽細胞の増殖と分化の割合の逆相関の関係を克服する必要がある。これは、チタンインプラントの周囲で骨を形成する際にも該当する。例えば、機械加工された滑らかな表面に比べてミクロ−ラフニングされたチタン表面が有利であり、これは、組織−チタンの機械的な相互嵌合(interlock)を増加するからだけでなく、骨芽細胞分化も促進し、結果的に骨形成をより早くする。しかしながら、骨質量は、機械加工された表面の周りよりも小さく、これは骨芽細胞増殖が減少しているからである。より粗化している酸によりエッチングした表面は、滑らかな機械加工された表面に比べて相対的に細胞密度および増殖活動が減少している。より粗化した表面を有する基材材料は、一般的に細胞増殖を減少させ、ここでは、細胞内の状態は、細胞サイクルのG1期の進行を遅らせるもしくは制限していることに関連している可能性がある。UV線処理された表面で細胞分散が促進されているということは、細胞内の状態が解消されたことをしていている可能性がある。細胞増殖は、細胞サイクルのS期をターゲットにするBrdUアッセイでのみ評価している。
【0034】
細胞サイクルの様々な周期における細胞を識別するための解析と、さらにそれらの形と細胞内の状態を解析することは、骨芽細胞増殖の調整にUV線処理がどのように働くかをみるために役立つ。ALP活性および遺伝子発現が若干上がっている結果に示すように、骨芽細胞の増殖割合および骨芽細胞分化割合が上がっていることがわかる。これは、UV線処理された表面が分化を犠牲にすることなく、骨芽細胞の増殖を増加させることを可能にする。この生物学的利点は、UV線処理された表面の周囲の骨質量が約2倍に増えていることを示す細胞形態計測結果でも明らかである。
【0035】
UV線により向上された細胞の接着および増殖と骨−インプラント接着割合は、アナターゼTiO結晶を作るための熱処理を伴うチタンテトライソパーオキシドの堆積でも示されている。本願発明では、光誘導型生物学的効果が、酸化チタンを堆積することなく、また焼結せずにチタンバルクの表面でも得られることを明らかにした。
【0036】
その他に見出された顕著なものとしては、24時間のUV線処理されたインプラントの骨−インプラント接触が28%で、UV未処理に関しては17%であるアナターゼTiO結晶に比べて本願発明は、骨−インプラントの接触に著しい増加が見られた。48時間のUV線処理は、本研究の2週目の初期治癒段階で、骨−インプラント接触を2.5倍に増加させた。UV線処理の強度、波長および時間、さらに使用したチタンの表面化学の違いなどが、異なる生物学的効果に影響を与えた。in vivoの研究に先立ち、機械加工されたおよび酸によりエッチングされた表面に超親水性を発生させるには、48時間のUV線処理が必要であることが確認されており、24時間から48時間のUV線処理の間において生物学的効果が、例えば細胞接着能力など、増加した。
【0037】
促進および向上されたタンパク質吸収および細胞接着などが表しているように、光により発生する生物学的効果は、超親水性の発生と関連しており、さらに原子炭素の割合の低下とも関連している。これらの物理化学的変化がTiOの光触媒現象によるものかどうかを確認するために、本研究で使用されたチタン表面を入念に調べた。300〜350nmでの吸収バンドは、使用したチタンサンプルでも確認され、これはTiO半導体に典型的である。XPSスペクトラムは、2p3/2のピークをおおよそ458.5eVにおいて示したが、453.8eVについては、機械加工および酸によりエッチングした表面の双方において示されなかった(図6D);TiおよびTiOの2p3/2のピークはそれぞれ453.8eVと458.5eVであることが知られている。さらには、Ti3+および/またはTiなどの還元された種類に使われるショルダーピークは、いずれのチタンディスクにおいても低エネルギー領域では見られなかった。これらのデータは、これらの基材の表面付近は完全に酸化して化学量論的なTiOの薄い層を形成していることを示し、またUV線量の増加とともに減少する炭素割合は、炭化水素の光触媒除去によるものであることを示している。さらには、機械加工された表面に比べて、酸によりエッチングされた表面で2p3/2のピークが、やや高いエネルギーの方へシフトしているデータは、酸によりエッチングされた表面では酸化層がより厚い可能性を示している。これにより、酸によりエッチングされた表面の方がUV線に対する反応の顕著な物理化学的変化に説明できる。
【0038】
親水性のレベルではなく、炭化水素のレベルは、タンパク質吸収および細胞接着の割合と強く関係していた。この発見から、インプラント時のTiOに吸収される炭化水素の量は、骨芽細胞の初期の親和性を決定するのに重要であり、さらに結果的にはin vivoでの骨の形態を識別するのを可能にし、さらに骨−インプラント一体化を決定するのに重要であると考えられる。コントロールのチタン表面ではタンパク質吸収のレベルおよび細胞接着の数は、UV線処理された表面のそれと比べて低く、培養を延長した後でも低く、これは、初期の生物学的環境に起因する著しい長期的効果を示している。現在、医療目的および研究目的で使用されているチタンインプラントは、炭化水素のコンタミが確認されている。チタン表面への有機分子の蓄積は、特にカルボニル部位を持つものは、通常の環境では避けられないと考えられる。これは、前述したように比較的低い骨−チタンの接触(45〜75%)について説明ができる。本願発明は、骨−チタンの接触を、チタンインプラントをUV線で処理することにより、100%近くまで上げられることを示している。
【0039】
テストされたタンパク質および骨芽細胞は負の電荷を帯びている。TiO表面を覆う酸素含有炭化水素が、UV線処理により取り除かれると、Ti4+が露出する。これにより、タンパク質および細胞と、このような陽イオンなどの間の相互反応を促進することが出来る。炭化水素の光分解と関連するTiO表面の生体親和性の形成を、模式図で図6Mに示す。
【0040】
失敗率を最小にし、罹患率を小さくし、手術後の機能性を最大にするために、歯科および整形外科の双方の分野において、オッセオインプラント治療に関して様々な努力が行われている。一つの問題として、リハビリテーションのためのインプラントの設置では、再生能力および代謝活動が壊れている骨という問題があり、特にこれらは、骨−チタン一体化を遅らせ、さらに妨げることになる。他の問題として、いくつかのインプラント処置におけるアクリル系骨セメントの使用は、インプラントの生体適合性および長期の予測を本質的に制限してしまうということがある。骨−セメントの合併症を避けるために、セメントフリーなインプラントを使う傾向がある。これらの疫学的、外科的、および社会的問題から、より多能的で、さらによりよい生涯の予測ができる新たなインプラント治療を開発しようとすることは十分理解できることである。本願発明に示すUV線を使用したチタンの物理化学的変化から得られる最大の利点は、骨−チタン一体化の確立において4倍の速さに相当する初期治癒段階においてのインプラントの3倍の強さでの固定である。オッセオインテグレーション能力の向上が、機械加工された表面および酸によりエッチングされた表面の双方で確認されたことから、この技術は、現在可能なチタンインプラントの主なものを有する他の表面タイプにも広げて使えることが予想できる。この技術は、簡単、高効率、および低コストであることから、歯、顔面、および整形外科のインプラント治療で、すぐにそして広い範囲で使うことが出来る。
【0041】
ここに記載するのは、インプラントに機能性を付与する方法であって(1)インプラント表面を提供する工程と、(2)該インプラント表面を処理することにより、表面に正の電荷を帯びさせるもしくは表面の正の電荷を増強する工程と、を有する。いくつかの実施形態では、該方法は、生理的条件下で正の電荷を帯びさせ、もしくは増強する。生理的条件は、pHが約7であってもよい。いくつかの実施形態では、該方法は、pH7未満もしくはpH7より高くても正電荷を帯びさせるもしくは増強する。
【0042】
一実施形態について、前記インプラントはチタン表面を有する。一実施形態において、前記インプラントは、金属もしくは非金属の担体材料を有する。チタン表面は、TiOを有する。いくつかの実施形態において、処理された表面は、実質的に炭化水素を含まない。いくつかの実施形態において、処理された表面は、酸化チタン陽イオンを有する。
【0043】
チタン表面における炭素の原子割合は、未処理もしくは古いチタン表面が50%より多いのに対して、20%未満に抑えることができる。
【0044】
インプラント表面は、紫外線(UV線)を当てることにより処理される。UV線は、UVランプを使って照射出来る。UV線は、約10nm〜約400nmの波長であってもよい。いくつかの実施形態では、UV線は、約170nm〜約270nmの波長でもよく、もしくは約340nm〜約380nmの波長であってもよい。いくつかの実施形態では、該表面は、約170nm〜約270nmの波長のUV線と、約340nm〜約380nmの波長のUV線を組み合わせて処理されてもよい。
【0045】
UV線の強度は、広範囲であってよい。例えば、UV線の強度は、0.001mW/cmと100mW/cmの間であってもよい。いくつかの実施形態では、UV線の強度は、約0.1mW/cmもしくは約2mW/cmであってよい。
【0046】
UV線での処理は、48時間以内でもよく、例えば、30秒、1分、5分、15分、30分、1時間、5時間、10時間、24時間、36時間および48時間などでもよい。
【0047】
一実施形態では、該方法は、インプラント表面を処理する前にインプラント表面を加工する工程をさらに含む。インプラント表面は、物理的に加工されてもよく、または化学的に加工されてもよい。物理的加工としては、機械加工もしくはサンドブラストなどがある。化学的加工としては、酸もしくは塩基によるエッチングなどがある。酸は、硫酸であってもよい。新たに加工された表面は、正電荷を帯びていてもよい。UV線処理は、加工された表面の正電荷を増強する。
【0048】
一実施形態では、処理された表面は、向上された割合でタンパク質および細胞を引き寄せることができる。ここで言う「向上された割合」とは、処理されたインプラント表面は、対応する未処理のインプラント表面と比較して細胞もしくはタンパク質を引き寄せる割合が高いことを言う。未処理のインプラント表面は、新たに加工された表面を含み、「古い表面」は、例えば、1日、3日、1週間、2週間、3週間、4週間など加工されてから時間経過したものをいう。向上された割合は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%などの、対応する未処理の表面に引き寄せられるタンパク質もしくは細胞の割合より高いものをいう。
【0049】
ここで使われているように、「向上した」とは、「改善された」や「増加」したなどと同じように使われてよい。向上したとは、数値において、より速くなった、より強化した、より高くなったという意味である。
【0050】
タンパク質は、ウシ血清アルブミン、フラクションV、およびウシ血漿フィブロネクチンであってもよい。細胞は、ヒト間葉幹細胞および骨芽細胞であってもよい。タンパク質および細胞は、例えば架橋用2価陽イオンなどなしに、処理された表面に直接に接着してもよい。一実施形態では、処理された表面は、Ca2+、Mg2+、Zn2+等を含まない。
【0051】
処理されたインプラント表面は、インプラント部位において、組織−インプラント一体化および/または骨−インプラント一体化を向上することができる。処理された表面は、未処理のインプラント表面よりも向上した骨形成能力を有する。処理された表面は、対応する未処理の表面と比較して、組織−インプラント一体化、骨−インプラント一体化、もしくは骨形成能力を例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%などの割合で向上することができる。
【0052】
処理されたインプラント表面は、以下が可能である:未処理の表面と比較して、タンパク質吸収の増加、骨芽細胞移動の増加、骨芽細胞接着の増加、骨芽細胞分散の促進、骨芽細胞増殖の増加、および骨芽細胞分化の促進。各活性は、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%などの割合で向上することができる。
【0053】
ここに記載するのは、前述した方法により機能性が付与された表面を有するインプラントである。一実施形態では、医療用インプラントは、チタン表面を有する。チタン表面は、正電荷を帯びたTiOを有する。一実施形態では、チタン表面は、実質的に炭化水素を含まない。
【0054】
インプラントは、さらに担体材料を有する。一実施形態では、該担体材料は、金属である。一実施形態では、該担体材料は、非金属である。
【0055】
インプラント表面は、タンパク質もしくは細胞を向上された割合で引き寄せることができる。ここで言う「向上された割合」とは、正電荷を帯びていない、もしくは正電荷が弱い表面に比べてインプラント表面が細胞もしくはタンパク質を引き寄せる割合が高いことを言う。向上された割合は、対応する正電荷を帯びていない、もしくは正電荷が弱い表面に比べて5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%などの割合で高いことをいう。
【0056】
該インプラント表面は、ウシ血清アルブミン、フラクションV、およびウシ血漿フィブロネクチンなどのタンパク質を引き寄せることが出来る。インプラント表面は、ヒト間葉幹細胞および骨芽細胞などの細胞を引き寄せることができる。
【0057】
インプラント表面は、組織−インプラント一体化および/または骨−インプラント一体化を可能にする。インプラント表面は、正電荷を帯びていないもしくは正電荷が弱い表面に比べて5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%などの割合で、骨−インプラント一体化、組織−インプラント一体化、もしくは骨形成活性を向上することができる。
【0058】
インプラント表面は、以下が可能である:正電荷を帯びていないもしくは正電荷が弱い表面と比較して、タンパク質吸収の増加、骨芽細胞移動の増加、骨芽細胞接着の増加、骨芽細胞分散の促進、骨芽細胞増殖の増加、および骨芽細胞分化の促進。各活性は、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%などの割合で向上することができる。
【0059】
ここに記載するのは、向上した生体活性、タンパク質および生物学的細胞の吸着を示す新規なチタン表面である。チタン表面は、正電荷を帯びており、新しい層のチタンにUV線処理するおよび/または表面をUV線で処理することで形成される。新しいチタン層の照射には、新たに表面を加工する、例えば機械加工、エッチング、サンドブラストおよびそれらの組み合わせなどを含み、さらに古い表面を再加工することも含む。本願発明は、歯科および整形外科的なインプラントにおいてすぐにおよび広い範囲で使用でき、さらには簡単で、高効果的、および低コストなことから、骨再生治療および骨工学の分野にも使用できる。
【0060】
チタンのUV線処理は、骨伝導性能力を向上することがわかっている。チタン基材上の骨芽細胞のin vitroの様々な行動および機能におけるチタンへのUV線処理の効果と、in vivoでの骨−チタン一体化の可能性および骨伝導性の向上の原因であるUV線処理チタン表面の要因について検討した。
【0061】
ここで記載するのは、チタンの骨伝導性能力を向上する方法と、該方法を使って、骨伝導性能力が向上したチタン表面についてである。機械加工されたチタンサンプルおよび酸によりエッチングされたチタンサンプルを48時間以内の種々の時間でUV線により処理した。どちらの表面についても、UV線処理は、ラットの骨髄由来の骨芽細胞の接着、分散、増殖、および分化の割合を増加させており、さらにタンパク質吸収能力も3倍増加していた。ラットモデルのin vivoの細胞形態計測では、UV線処理されたインプラントでは、軟組織に邪魔されることなく広い範囲で骨形成が起きている明かになっており、これは、4週目の治癒段階において100%近くまで骨−インプラント接触を最大にしている。
【0062】
インプラントの生体工学テストは、UV線処理がインプラントの固定を4倍早めたことを明かにした。タンパク質吸収および細胞接着の割合は、TiO上における炭素のUV線量対応原子割合と強く関連していたが、炭化水素の状態とは関連していなかった。UV線でのチタンの前処理は、TiO表面から炭化水素を取り除くUV触媒進行性除去と関連して、骨伝導性能力を実質的に向上しており、これは、より速いおよびより完全な骨−インプラント一体化を可能にするチタンの光による機能性付与を示唆している。
【0063】
チタン表面のUV線処理は、チタン表面の骨伝導性能力を著しく増加させた。新しい骨形成は、実質的に軟組織の妨害を受けずに、UV線処理されたインプラントにおいて広範囲で起き、これは4週目の治癒段階で100%近くまで骨−インプラント接触を最大にしているが、反対に未処理のインプラントでは、骨−インプラントの接触は、約50%だった。UV線処理は、骨−チタン一体化の強度を2週目の治癒段階において3倍強めた。UV線処理された表面は、骨芽細胞の接着、分散、増殖および分化の向上と、さらにタンパク質吸収の増加に示されるように、骨芽細胞親和的環境を作った。タンパク質吸収および細胞接着の割合は、TiO上における炭素のUV線量対応原子割合と強く関連していたが、炭化水素の状態とは関連していなかった。このチタン生体活性のUV介在型の向上は、機械加工されたインプラント表面および酸によりエッチングされた表面の異なる形態の表面でも示された。したがって、ここでは、より速くまた完璧な骨−チタン一体化を可能にするチタンの光による機能性付与の方法を提供する。
【0064】
医療用インプラント
医療用インプラントは、金属インプラントでも非金属インプラントでもよい。いくつかの実施形態では、医療用インプラントは、チタンインプラントなどの金属インプラントであり、例えば、欠損歯と置換する(歯科インプラント)ものや、または病気、骨折もしくは移植した骨などに使われるチタンインプラントである。他の金属インプラントの例として、チタン合金インプラント、クロム−コバルト合金インプラント、プラチナおよびプラチナ合金インプラント、ニッケルおよびニッケル合金インプラント、ステンレス鋼インプラント、ジルコニウム、クロム−コバルト合金、金もしくは金合金インプラントおよびアルミもしくはアルミ合金インプラントを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0065】
ここに記載する金属インプラントは、チタンインプラントおよび非チタンインプラントを含む。チタンインプラントは、チタンおよびチタンを含む合金から作られた歯もしくは骨の代替物を含む。チタン骨代替物としては、例えば、膝関節および股関節補綴物、大腿骨頸部の代替物、背骨の代替物および修復、首骨の代替物および修復、顎骨の修復、固定、および増強、移植した骨の固定、およびその他の四肢の補綴物などを含む。非チタン金属インプラントは、金、プラチナ、タンタラム、ニオビウム、ニッケル、鉄、クロム、チタン、チタン合金、酸化チタン、コバルト、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、パラジウム、および例えばステンレス鋼やそれらの組み合わせなどのこれらの合金などから形成される歯もしくは骨のインプラントを含む。他の合金の例として、チタン−ニッケル合金、ニチノール、クロム−コバルト合金、ステンレス鋼もしくはこれらの組み合わせ等がある。いくつかの実施形態では、金属インプラントは、上述の金属を特定的に除外できる。
【0066】
非金属インプラントは、例えば、セラミックインプラント、リン酸カルシウムもしくはポリマーインプラントを含む。使用可能なポリマーインプラントは、たとえば生分解性ポリマーインプラントなどの生体適合インプラントのいずれであってもよい。セラミックインプラントとしては、例えば、バイオガラスおよび二酸化ケイ素ガラスなどを含む。リン酸カルシウムガラスは、例えば、ヒドロキシアパタイト、トリカルシウムホスフェート(TCP)などを含む。ポリマーインプラントの例としては、例えばポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)、ポリメタクリレートおよびポリアクリレートなどのポリアクリル酸塩、およびポリ乳酸(PLA)インプラントなどを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、該インプラントは、金属インプラントおよび骨−セメント材料を有する。骨セメント材料は、当該技術分野において知られた骨セメント材料であればなんでもよい。骨セメント材料のいくつかの例としては、ポリアクリル酸塩、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)/メチルメタクリレート(MMA)などのポリメタクリル酸系材料、PLAもしくはPLGAなどのポリエステル系材料、バイオガラス、セラミックス、リン酸カルシウム系材料、カルシウム系材料、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されるわけではない。いくつかの実施形態では、医療用インプラントは、以下に記載するいずれのポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、医療用インプラントの前述の材料を特定的に除外してもよい。
【0068】
「骨伝導性能力」もしくは「骨伝導性」とは、骨形成能力のことを言う。また、インプラントにより医療用インプラントに対する向上された骨一体化能力のことも言う。骨一体化能力とは、医療用インプラントが生体の骨に一体化していく能力を言う。組織一体化能力とは、医療用インプラントが生体組織に一体化していく能力を言う。
【0069】
UV線照射
ここで言う「UV線を照射する」とは、「光活性化」、「光放射」、「光照射」、「UV線活性化」、「UV線放射」、もしくは「UV線照射」と同じように使うことができる。400nmから10nmの波長を持つ放射線をUV線と一般的に呼ぶ。
【0070】
医療用インプラントは、滅菌の有無にかかわらず放射してもよい。通常の技術常識を有する者であれば、UV放射中に医療用インプラントを滅菌できる。
【0071】
本願発明の一概念において、医療用インプラントに放射するための施設もしくは装置が提供された。一実施形態では、該施設もしくは装置は、医療用インプラントを置くチャンバーと、高エネルギー線の光源と、および放射をオンもしくはオフにするスイッチと、を含む。該施設もしくは装置は、さらにタイマーをふくんでもよい。いくつかの実施形態では、該施設もしくは装置は、医療用インプラントもしくはUV線源を回転もしくはスピンさせてインプラントに完全に放射するメカニズムをさらに含む。もしくは、医療用インプラントを置くチャンバーは、医療用インプラントに異なる角度、例えば360度のどの角度でもよい、から放射できるようにする反射面を有していてもよい。いくつかの実施形態では、該施設もしくは装置は、向上された骨一体化能力を保存するメカニズム、例えば、光の複数照射、放射透過性のインプラントパッケージ、パッキング、および船舶を含んでもよい。
【0072】
医療用途
ここに記載する医療用インプラントは、哺乳類の被験対象に医療用インプラントを移植したことによる医学的症状を処理、予防、改善、もしくは軽減することに使うことができる。哺乳類の被験対象は、ヒトまたは、犬、猫、馬、牝牛、牡牛、もしくはサルなどの脊椎動物であってもよい。
【0073】
ここで提供するインプラントを使って処理もしくは予防出来る医学的症状の典型例は、欠損歯または、大腿骨頚部骨折、欠損歯などの骨関連症状、大腿骨頚部骨折、首の骨の骨折、手首関節骨折、脊椎骨折/障害もしくは椎間板ヘルニア、膝関節リュウマチなどの関節の骨折および退行性変化、例えばガン、怪我、全身性代謝異常、感染症もしくは老化およびこれらの組み合わせになどの障害または症状より引き起こされる骨およびその他の組織の異常もしくは欠損などの整形外科的固定の必要があるものや骨関連症状などを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、ここで提供する医療用インプラントは、欠損歯または、大腿骨頚部骨折、欠損歯などの骨関連症状、大腿骨頚部骨折、首の骨の骨折、手首関節骨折、脊椎骨折/障害もしくは椎間板ヘルニア、膝関節リュウマチなどの関節の骨折および退行性変化、例えばガン、怪我、全身性代謝異常、感染症、老化および四肢切断などの障害または症状とこれらの組み合わせより引き起こされる骨およびその他の組織の異常もしくは欠損などの整形外科的固定の必要があるものや骨関連症状などの医学的症状の処理、予防、改善、軽減するのに使うことができる。
【0075】
本願発明の特定の実施形態について説明してきたが、本願発明の技術的範囲を超えない範囲において、種々の変更および変形が可能である。したがって、添付の請求の範囲は、本願発明の範囲および精神の範囲において、これらの変更および変形を含むものである。
【実施例】
【0076】
チタンサンプル、表面解析およびUV線処理
円柱型インプラント(直径1mm、長さ2mm)とディスク(直径20mm、厚さ1.5mm)について、商業的に純粋なチタンで2種類の表面を用意した。一つは、ろくろで回転し機械加工された表面を有し、もう一方は、67%HSOを120℃で75秒かけ酸によりエッチングした。さらに、機械加工された表面とサンドブラストされた表面を用意した。すべての表面を分光光度計(UV−2200A、島津社製、東京、日本)、およびX線回析(XRD)(XRD−6100、島津社製、東京、日本)を使ってそれぞれ光学的特性および結晶構造を調べた。チタン表面の親水性状態は、1μlの水滴の接触角度を接触角計(CA−X、協和界面科学、東京、日本)を使って調べた。全ての作業は、20℃、湿度46%に管理された環境下のクラス10クリーンルームで行なわれた。
【0077】
チタン表面の化学組成は、光電子分光(ESCA)により評価した。ESCAは、高減圧化(6x10−7Pa)X線光電子分光(XPS)(ESCA3200、島津社製、東京、日本)を使って行なわれた。最大で48時間の種々の時間UV線で処理されたチタンディスクおよび円柱型インプラントは、表面の特性および生物学的可能性について未処理のコントロールと比較した。UV線処理は、15Wの殺菌ランプ(Toshiba、東京、日本);強度;ca.0.1mW/cm(UVA:λ=360±20nm)および2mW/cm(UVC:λ=250±20nm)を使って行なわれた。
【0078】
UVAおよびUVCを個別に使ってチタン表面の活性能力もテストした。
【0079】
UV線処理は、例えば減圧もしくは不活性ガスの注入などのいかなる雰囲気設定を行なわずに通常の空気状態において行なえる。チタンもしくはチタン含有金属をUV線処理すると、チタン原子の価電子バンドの電子を伝道バンドへと蜂起させ、これによりチタンの表面層に陽性の穴を形成し、そして表面に正電荷を帯びさせる。この電子の蜂起を起こすためには、3.2eVのUV線エネルギーが必要であり、これは365nmの波長に相当し、UVAと呼ばれる。反対に、炭化水素の直接的な分解は、UVCにより行なわれ、このピーク波長は260nmである。この炭素除去は、チタン表面にUVAが通過するのを助長し、正電荷の形成の効率を上げ、結果的に形成された正電荷を露出するのを早める。
【0080】
いかなる理論に限定されることなく、UVA(約340nm〜約380nm)およびUVC(約170nm〜約270nm)の組み合わせが使われた。
【0081】
タンパク質吸収の計測
ウシ血清アルブミン、フラクションV(Pierce Biotechnology,Inc、ロックフォード、イリノイ州)およびウシ血漿フィブロネクチン(シグマ−アルドリッチ、セントルイス、ミズーリ州)がモデルタンパク質として使われた。300mlのタンパク質溶液(1mg/ml タンパク質/生理食塩水)をTiディスクの上にピペットを使って広げた。37℃の滅菌加湿された条件において複数の異なる時間培養した後(例えば、2、6、24もしくは72時間の培養)、非接着タンパク質を除去し、0.9%塩化ナトリウムを含む生理食塩水を使って2回洗浄した。最初の培養液(200μl)と除去された溶液を200μlのマイクロビシンコニン酸(microbicinchoninic acid)(Pierce Biotechnology,Inc、ロックフォード、イリノイ州)と混ぜ、37℃で60分培養した。562nmでマイクロプレートリーダーを使ってタンパク質の定量化を行なった。
【0082】
ヒト間葉幹細胞
ヒト間葉幹細胞(MSCs)(Poietics細胞、Cambrex Bio Science社、ウォーカーズビル、イーストルサーフォード、ニュージャージー州)は、MSC基礎培地および成長サプリメント(SingleQuots)から成るMSC成長培地で培養した。成長サプリメントは、ウシ胎仔血清(FBS)、L−グルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含む。細胞は、加湿雰囲気、95%空気、5%CO、37℃において培養した。80%の細胞飽和度の最終パッセージにおいて、細胞は、0.25%トリプシン−1mMEDTA−4Naを使って剥離し、Tiディスクの上に3x10セル/cmの密度で植種した。培地は、3日ごとに新しくした。
【0083】
骨芽細胞培養
Sprague−Dawley系ラットの大腿骨から分離した骨髄細胞を、15%のウシ胎仔血清、50μg/mlのアスコルビン酸、10mMのNa−β−グリセロリン酸、10−8Mのデキサメタゾン、および抗生物質−抗カビ性溶液を添加したアルファー−modified Eagle’s培地に入れた。細胞は、加湿された95%空気、5%CO、において37℃で培養された。80%細胞飽和度において、0.25%トリプシン−1mMEDTA−4Naを使って細胞を剥離し、細胞密度3x10セル/cmにおいて、機械加工もしくは酸によりエッチングされたチタンディスクの上にUV線未処理およびUV線処理を施して乗せた。培養培地は、3日ごとに新しくした。
【0084】
移動アッセイ
ヒトMSCsのチタン表面への移動は、デュアルチャンバー移動アッセイ(345−024K、Trevigen、ゲチスバーグ、メリーランド州)を使って試験した。細胞は、上段のチャンバーに入れた。Tiディスクは、下段のチャンバーの底に置いた。37℃において3時間培養した後8μmの直径を有するポリエステル膜を通過して下段のチャンバーへ移動した細胞の割合をカルセイン−AMにより染色した後プレートリーダーで分析した。
【0085】
細胞接着、密度、増殖アッセイ
細胞の最初の接着は、3時間および24時間培養後にチタン表面に接着した細胞の数を測定して評価した。さらに、増殖した細胞は、培養2日目および5日目に細胞密度として定量化した。これらの定量化は、WST−1系の吸光光度分析機(WST−1、ロッシュアプライドサイエンス社製、マンハイム、ドイツ)を使って行われた。培地ウェルは、100μlテトラゾリウム塩(WST−1)試薬と共に4時間37℃で培養した。ホルマザン産物は、420nmでELISAリーダーを使って計測した。さらに、細胞はカルセイン−AMで染色し、蛍光顕微鏡のもとで観察して細胞密度を確認した。
【0086】
細胞の増殖活動は、DNA合成時におけるBrdUの取り込み量により計測した。培養2日目に、100μlの100mMBrdU溶液(ロッシュアプライドサイエンス社製、マンハイム、ドイツ)を培地ウェルに添加し、10時間培養した。細胞をトリプトシン処理し、DNA変性後、培地は、ペルオキシターゼを共役した抗BrdUで90分間培養され、発色のためにテトラメチルベンジンと反応させた。ELISAリーダー(Synergy HT、BioTek Instruments,ウィノースキ、バーモント州)を使って、370nmでの吸収を計測した。
【0087】
細胞形態および形態計測
共焦点レーザー走査顕微鏡を使って、ヒトMSCsの形態および細胞骨格構造を確かめた。培養してから3時間後、細胞は、10%ホルマリンに固定され、さらに蛍光色素、ローダミンファロイジン(アクチンフィラメントは赤、Molecular Probe、OR)を使って染色した。培地は、マウス抗パキシリンモノクローナル抗体(Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)で抗体染色し、FITC共役抗マウス二次抗体(Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を添加した。細胞の面積、周縁、およびフェレ径は、画像分析器により定量化して解析した(ImageJ、NIH、ベセスダ、メリーランド州)。
【0088】
3時間の培養後、骨芽細胞を10%ホルマリンで固定し、蛍光色素、DAPI(細胞核が青、ヴェクター、カリフォルニア州)とローダミンファロイジン(アクチンフィラメントは赤、MicroProbe、OR)で染色した。共焦点レーザー走査顕微鏡を使って、細胞の形態および細胞骨格構造を確かめた。細胞の面積、周縁、およびフェレ径は、画像分析器により定量化して解析した(ImageJ、NIH、ベセスダ、メリーランド州)。
【0089】
アルカリホスホターゼ(ALP)活性
培養した骨芽細胞のALP活性を培地面積および吸光光度分析アッセイにより確かめた。培養された骨芽細胞は、ハンクス溶液により2回洗浄され、0.9mMナフトールAS−MXリン酸塩と1.8mMファストレッドTRを含んだ120mMトリスバッファー(pH8.4)で37℃で30分間培養した。染色された画像におけるALP陽性領域は、画像分析ソフトウェア(Image Pro−plus、Media Cybernetics、シルバースプリングス、メリーランド州、アメリカ合衆国)を使い、[(染色面積/全培養器面積)x100](%)として計算された。吸光光度分析のために、培地は、ddHOで洗浄し、250μlのp−ニトロフェニルリン酸塩(LabAssay ATP、和光純薬工業株式会社、リッチモンド、ヴァージニア州)を加えて3TCで15分培養した。ALP活性は、酵素反応を介して放出されたニトロフェノールの量により評価し、ELISAリーダー(Synergy HT、BioTek Instruments,ウィノースキ、バーモント州)を使って405nmの波長で計測した。
【0090】
ミネラリゼーションアッセイ
培養した骨芽細胞のミネラリゼーション能力は、ミネラル化された塊領域を吸光光度分析アッセイを使い確かめた。骨芽細胞のミネラル化した塊は、フォンコッサ染色により可視化した。培養物は、50%エタノール/18%ホルムアルデヒド溶液で30分固定した。培養物は、5%硝酸銀と共にUV線下で30分培養した。培養物は、ddHOで2回洗浄し、5%チオ硫酸ナトリウム溶液で2〜5培養した。ミネラル化された塊領域は、画像分析ソフトウェア(Image Pro−plus、Media Cybernetics、シルバースプリングス、メリーランド州、アメリカ合衆国)を使い、[(染色面積/全培養器面積)x100](%)として計算された。カルシウム堆積の吸光光度検出には、培養物をPBSで洗浄し、1mlの0.5MHCl溶液で緩やかに振りながら一晩培養した。アルカリ性の溶媒(カルシウム結合と緩衝試薬、シグマ、セントルイス、ミズーリ州)の中で、該溶液をオルト−クレゾールフタレインコンプレキソンと混ぜ、赤いカルシウム−クレゾールフタレインコンプレキソン複合体を形成した。発色強度は、ELISAリーダー(Synergy HT、BioTek Instruments,ウィノースキ、バーモント州)により575nmでの吸収を計測した。
【0091】
遺伝子発現解析
遺伝子発現は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使って半定量化した。トリゾール(インビトロジェン、カールスバッド、カルフォルニア州)と精製コラム(RNeasy、キアゲン、バレンシア、カルフォルニア州)を使って、トータルRNAを培養物の中から抽出した。DNAseI処理の後、0.5μgのトータルRNAの逆転写をオリゴ(dT)プライマー(クロンテック、カールスバッド、カルフォルニア州)の存在下で、MMLV逆転写酵素(クロンテック、カールスバッド、カルフォルニア州)を使って行った。PCR反応は、TaqDNAポリメラーゼ(EX Taq、タカラバイオ、マディソン、ワシントン州)を使用して行い、プライマーデザインおよび前述したPCR条件において、コラーゲンI、オステオポンチンおよびオステオカルシンmRNAを検出した。PCR産物は、エチレンブロマイド染色した1.5%アガロースゲルで可視化した。バンドの強度は、UV線の下で定量化され、GAPDHmRNAに対して標準化した。
【0092】
手術
8週目のオスのSprague−Dawleyラットを1〜2%イソフルラン吸引により麻酔した。足を剃り、10%プロビドン−ヨウ素溶液でこすり洗った後、大腿骨の皮膚の切開および筋肉の切断を介して遠位領域を注意深く露出した。大腿骨の遠位領域として、インプラントの設置に平らな表面を選択した。大腿骨の遠位先端から9mmのところに、0.8mmラウンドバーを使ってドリルし、リーマー(#ISO 090および100)を使って拡張してインプラント部位を用意した。滅菌された等張塩溶液による大量の灌水は、冷却と洗浄に使われた。大腿骨の各側に一つの円柱型のインプラントを入れた。そして、手術部位を、層状に閉じた。筋肉と皮膚は、再吸収可能な糸により別々に縫い合わされた。カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の動物実験委員会の委員長によりこのプロトコルは認証されており、すべての実験は、アメリカ合衆国農務省の動物実験ガイドラインに従って行われた。
【0093】
インプラントの生体力学的プッシュインテスト
インプラントの生体力学的プッシュインテストは、骨−インプラント一体化の生体力学的強度を評価するために使われた。円柱型インプラントを含んだ大腿骨を採取し、インプラントレベルの上面とともに自家重合樹脂に埋め込んだ。インプラントがインプラント側面および底部からの骨皮質サポートを受けてないことを確かめるためにMicroCTを使用した。2000Nのロードセルとプッシングロッド(直径=0.8mm)を備えた試験機(インストロン 5544 電気機械的万能試験機、インストロン、カントン、マサチューセッツ州)を使い、先端速度1mm/分でインプラントに垂直で下向きに負荷をかけた。プッシュインテストは、荷重変位曲線のピークを計測することに決定された。
【0094】
細胞の準備
酸によりエッチングされたインプラントを有する大腿骨を採取し、10%緩衝ホルマリンに4℃で2週間固定した。試験片は、段階的に上がるアルコールによる洗浄で脱水され、光硬化形エポキシ樹脂(テクノビット7200VLC、ヘレウスクルツァー、ウェルヘイム、ドイツ)に脱カルシウム処理なしで埋めこまれた。埋め込まれた試験片は、インプラントの先端部から0.5mmのところで、円柱型インプラントの長軸に対して垂直にのこ引きされた。試験片は、30μmの厚さに研削システム(Exakt Apparatebau、Norderstedt、ドイツ)を使って研削された。研削片は、ゴールドナートリクロム染色により染色し、光学顕微鏡で観察した。
【0095】
細胞形態計測
40倍率のレンズと4倍ズームのコンピューターのスクリーンは画像を使って、コンピューターによる細胞形態計測をした(Image Pro−plus、Media Cybernetics、シルバースプリングス、メリーランド州)。細胞構造を詳細に特定するために、最高で400倍率の電子顕微鏡を使用した。インプラント関連骨と非インプラント関連骨の区別についてはすでに述べた。この方法に従い、インプラントを囲む組織を以下に記載のように2つのゾーンに分けた:(i)インプラント表面から50μm以内の近位領域および周縁部(ii)インプラント表面から50μmから200μm以内の遠位領域および周縁部。以下の変数について解析した:
骨−インプラント接触率(%)=(骨−インプラント接触の長さの合計)/(インプラントの円周)x100、ここでの骨−インプラント接触は、軟組織に邪魔されることなくインプラント表面から20μm以内の領域にある骨組織との境界面を言う。
近位領域での骨量(%)=(近位領域での骨面積)/(近位領域の面積)x100
遠位領域での骨量(%)=(遠位領域での骨面積)/(遠位領域の面積)x100
軟組織の干渉(%)=(骨とインプラントの間に干渉する軟組織の長さの合計)/(インプラントを囲む骨の長さの合計)x100
【0096】
統計解析
10個のセルサンプルが必要な細胞形態計測以外は、3つのサンプルを細胞培養観察に使った。培養時間と異なる年齢のチタン表面のUV線処理の有りと無しでの効果をTwo−way ANOVAを行なって確認した。必要であれば、post hoc Bonferoni試験を行い、新しい加工表面、4週目の表面、UV線処理された4週目の表面の差を調べてもよく、p値<0.05であれば統計的に有意な差があると考えられる。データが、1時点のみであったら、Oone way ANOVAを使い、試験グループの差を確かめた。未処理のコントロールとUV線処理されたグループの差を調べるためにT−テストも行なわれた。アルブミン吸収と細胞接着、炭素の原子割合とHOの接触角度での相互関係を調べ、最小二乗平均近似により回帰曲線式をもとめた。
【0097】
結果
1. 新しく加工されたチタン表面およびUV線処理されたチタン表面における促進および向上されたタンパク質吸収
Two−way ANOVAは、試験グループ間においてアルブミン吸収は、著しく差が出たことを示した(p値<0.01;図1A):新たに酸によるエッチングで加工された表面(加工直後)、4週目の表面(つまり、4週間保管)、UV線処理した4週目の表面。2時間の培養後、4週目のチタン表面では、培養したアルブミンのうち、おおよそ10%のアルブミンだけが吸収されたが、新たに加工された表面では、おおよそ60%のアルブミンが吸収された(p値<0.01;Bonferoni法)。アルブミン吸収の量は、72時間の培養後でも4週目の表面では、新たに加工された表面と比較して40%以下だった(p値<0.01)。UV線処理した4週目の表面は、培養2時間後および24時間後でも新たに加工した表面と同等のアルブミン吸収量を示し、72時間後では、より優れた水準を示した(p値<0.05)。
【0098】
2.新しく加工されたチタン表面とUV線処理したチタン表面における向上された幹細胞の移動および接着
8μmの孔を通過して移動したヒト間葉幹細胞(MSCs)の数は、培養条件により著しい差が出た(p値<0.01、1−way ANOVA;図1B)。3時間の培養後の4週目の表面に移動した細胞の数は、新しく加工した表面で観察された数の50%であり、UV線処理された4週目の表面で観察された数の25%だった(p値<0.01)。UV線処理された4週目の表面では、新しく加工した表面の2倍の細胞移動を示した(p値<0.01)。
【0099】
Ti表面に接着したヒトMSCs細胞の数は、以下の順番に多くなっていた:UV線処理した4週目の表面>新しく加工された表面>4週目の表面(p値<0.01;2−way ANOVA;図1C)。4週目の表面に接着した細胞の数は、新しく加工した表面の50%以下だった。UV線処理した4週目の表面は、24時間後で、新しく加工した表面よりも実質的に高い細胞接着を示した(120%以上)(p値<0.01)。
【0100】
3.新しく加工した表面とUV線処理したTi表面の加速した細胞分散および細胞骨格の発達
アクチンフィラメント染色(ローダミンファロイジン)したヒトMSCsの3時間の培養後の低倍率の画像では、UV線処理した4週目の表面で細胞の数が一番多く、4週目の表面で一番少なかったことを示しており、これは細胞接着アッセイの結果と同じである(図2A)。アクチン染色した高倍率の画像では、新しく加工した表面とUV線処理した4週目の表面の細胞では、複数の方向に伸びる突起が明らかに大きく、それに対して4週目の表面の細胞は、丸いままで細胞骨格の発達も少しであった。新しく加工された表面およびUV線処理された4週目の表面の細胞では、細胞接着および癒着を調節するタンパク質であるパキシリンが細胞の形に沿って強く局地的にあることが観察された。特に、UV線処理した4週目の表面の細胞では、濃い細胞原形質の陽性染色が見られた。
【0101】
細胞形態計測の評価の面積、周縁、およびフェレ直径は、3つのTi基材においてこれらのパラメーターについ著しく有意な差を示した(ANOVA、p値<0.01;図2B)。これらのパラメーターは、新しく加工された表面およびUV線処理した表面では、4週目の表面と比べて5〜8倍大きかった(Bonferoni法;p値<0.01)。新しく加工された表面とUV線処理した表面とでは、目立った差はなかった。
【0102】
4.新しく加工した表面とUV線処理したTi表面での向上したin vivoの骨−チタン一体化
in vivoでのインプラント固定は、耐負荷装置としてのチタンインプラントの医療用能力としてもっとも重要な要因である。チタンインプラントのin vivoでの安定性は、ラットモデルでの生体力学的プッシュインテストで調べた。円柱型インプラントをラットの大腿骨に入れた。ラットin vivoモデルでのプッシュインテストで計測した骨−チタン一体化の強度は、4週目の表面に比べて、新しく加工された表面とUV線処理した表面とでは、2週目の初期の治癒段階で、それぞれ2.8倍および3.1倍であった。
【0103】
図3は、生体力学的プッシュインテストにより評価された、4週目の表面と比べて、新しく加工された表面とUV線処理した表面とで向上した骨−チタン一体化を示している。
【0104】
5.新しく加工されたチタンとUV線処理したチタンの表面における正電荷を帯びた表面でのたんぱく質の引寄せ
図4Aは、培地のpHの条件が異なる種々のチタン表面に対するアルブミン吸収を示す。pH7の未処理の4週目のチタン表面での吸収は、10〜15%と限られていた。通常手に入るチタンの表面およびアルブミンは、生体的pHでは、双方ともに負の電荷を帯びており、これはチタン‐アルブミンの相互作用を阻害するため、この結果は予想できた。4週目の表面が、アルブミン吸収の前に、CaClなどの2価の陽イオンで処理されたときのみ、アルブミンの吸収は増加した。これは、一価の陰イオンであるチタン表面に堆積した二価の陽イオンが、陰性のアルブミン分子とチタン表面の間で架橋の役割を果たすことから説明ができる。
【0105】
反対に、前述したように、新しく加工した表面およびUV線処理した表面は、未処理の表面と比較して、高い吸収率を示しており、pH7においておれぞれ>35%もしくは>55%であった(p値<0.01;未処理のグループは、図4A)。しかしながら、pH3で用意した培地では、これらの表面でのたんぱく質吸収は、未処理の4週目と同程度に低かった。これは、アルブミンの等電位pHが、4.7〜4.9であるからであり、アルブミンは、中性‐塩基性転移をおこし、pH3のように低い値では、正の電荷を帯びる。一方で、アルブミンは、pH7のような高pH値では、中性‐酸性転移を起こし、負の電荷を帯びる。これらの結果は、新しく加工した表面およびUV線処理した表面は、正の電荷を帯びていることを示しており、さらにpHの値によって異なるタンパク質を引寄せる特性があることを示している。さらには、NaClおよびCaCl溶液などの一価の陰イオンでこれらの表面を処理し、これらの表面の正電荷を中和すると、未処理の4週目の表面の基準線と比較して、これらのアルブミン吸収は、増加しなかったことから、これらの表面の正電荷特性が確認された。
【0106】
新しく加工した表面およびUV線処理した表面は、これらのイオン処理の後、正の電荷を維持することができ、さらにpH3でも表面炭素を低レベルに維持することができる。これらの結果は、表面の正電荷は、タンパク質吸収、超親水性の効果および炭素レベルの無効化などのチタン表面の生体活性を主に調節することを示している。
【0107】
6.新しく加工したチタンおよびUV線処理したチタンの正電荷を帯びた表面の細胞の吸着
図4Bは、図4Aと同様にして用意された種々のチタン表面に接着したヒト間葉幹細胞(MSCs)の数を示す。
【0108】
この実験は、生体的pH7で行われた。チタン表面と細胞の反発力が双方ともに負の電荷を帯びているため4週目の表面に接着する細胞の数は限られていると予想された。反対に、4週目の表面と比較して、新しく加工された表面とUV線処理した表面では、接着した細胞は多いことが予想された。新しく加工された表面とUV線処理した表面に接着した細胞の数は、Clなどの陰イオンで処理すると、未処理の4週目の表面の基準線まで低下した。すでに公知のことを考慮すると、生物学的細胞は、負の電荷を帯びており、新しく加工された表面とUV線で処理された表面は、正の電荷を帯びていることから、細胞‐チタン一体化が向上した。
【0109】
新しく加工したチタン表面およびUV線処理したチタン表面は、これらのイオン処理の後、負の電荷を維持することができ、さらにpH3でも表面炭素を低レベルに維持することができる。これらの結果は、表面の正電荷は、タンパク質吸収、超親水性の効果および炭素レベルの無効化などのチタン表面の生体活性を主に調節することを示している。
【0110】
チタン表面へのタンパク質および細胞の接着のメカニズムは、図に記載している(図5)。左側の図(古いチタン)は、チタン表面の周りで起きているメカニズムを示している。該メカニズムでは、負のタンパク質を吸収し、そしてそれに続いてタンパク質のRGD配列を介して細胞を吸収するためには、細胞接着は、Ca2+などの二価の陽イオンに架橋されなければならない。また、NaおよびKなどの一価の陽イオンの競合結合は、Ca2+結合のためのチタン表面の陰イオン部位をブロックしてしまう。結果的に、チタン表面に結合できる細胞の数が減ってしまう。
【0111】
右側の図(新しい、もしくはUV線処理されたチタン)は、細胞反発性から細胞親和性に変化したチタン表面である本願テスト結果に基づく新規なメカニズムを表す。新しく加工した表面とUV線処理した表面の静電気的正電荷により、二価の陽イオンの助けなしに、負の電荷を帯びたタンパク質と細胞はチタン表面に直接に接着し、結果として表面に接着する細胞の数が増える。
【0112】
7.新しく加工したチタン表面およびUV線処理したチタン表面のタンパク質の一般化および細胞親和性
酸によりエッチングされたチタン表面に加えて、機械加工された表面およびサンドブラストされたチタン表面を試験し、新しく加工された表面およびUV線処理した表面の考えられる有利な点を検証した(図6A)。4週目の表面は、新しく用意された表面と比較して20〜45%のアルブミン吸収を示した。4週目のチタン表面のUV線処理は、機械加工により新しく加工された表面と同程度の吸収率まで増加し、または、サンドブラストにより新しく加工された表面より高かった。
【0113】
フィブロネクチン吸収の割合においても同様な傾向がみられた(図6B)。吸収率は、すべての表面の形態をテストし、UV線処理した4週目のTi、新しく加工されたTi、および4週目のTiの順に高かった(p値<0.01)。
【0114】
骨‐チタン一体化のin vivoでの達成を、機械加工されたチタンを使ってテストした。UV線処理した機械加工された表面では、骨‐チタン一体化の強度が、2週目および4週目の治癒段階において著しく増加した(p値<0.05;図6C)。
【0115】
これらの結果は、新しく加工チタン表面およびUV線処理した表面の生物学的利点は、異なる表面加工にも共通であり、さらに異なるタンパク質においても効果があることを示している。
【0116】
8.チタンの光誘導型超親水性
チタンディスクへの48時間のUV線処理の後、HO滴の接触角度は、機械加工および酸によるエッチングされた表面でそれぞれ53.5°と88.4°だったものが、0°まで下がった。これは、疎水性の表面から超親水性の表面へと変化したことを示唆している(図7A)。超親水性は、酸によりエッチングした表面ではさらに早く形成された。酸によりエッチングした表面では、1時間のUV線処理が必要であったが、機械加工された表面では48時間必要であった(図7A)。48時間のUV線照射後、超親水性状態は、酸によりエッチングした表面では、より長く持続し、さらにHO滴の接触角度が0°のまま暗下で7日間持続した(図7B)。反対に、機械加工した表面では、超親水性は、すぐに消え始めた。
【0117】
9.チタンのUV線により向上したタンパク質吸収
双方の表面タイプ(機械加工された表面および酸によりエッチングした表面)において、UV線処理は、アルブミンおよびフィブロネクチンの吸収を促進した(図7Cおよび7D)。例えば、アルブミン吸収率は、2時間の培養後<10%であったが、UV線処理した後は、48時間のUV線処理後のチタン表面では、50〜60%に増加した(p値<0.01)(図7C)。どちらのタンパク質についても、機械加工された表面よりも酸によりエッチングされた表面のほうが、UV線処理の効果が大きかった(p値<0.01)。未処理の表面でのこれらのタンパク質の量は、24時間の培養後であってもUV線処理した表面よりも少なく、UV線処理がタンパク質の吸収をほぼ100%で促進および増加させることを示している(図7CおよびD)。
【0118】
10.UV線処理したチタンにおける向上した骨芽細胞接着
3時間の培養後、機械加工された表面と酸によりエッチングされた表面の双方において、UV線処理した表面で接着した細胞の数は、未処理のコントロール表面と比較して、3倍から5倍多かった(図7E)。UV線に誘導された細胞接着の効果は、24時間経ってもあった。
【0119】
11.UV線量に依存する生物学的効果
UV線により促進されたタンパク質の吸収および骨芽細胞の接着を確認するために、UV線量に依存するタンパク質の吸収と骨芽細胞の接着をテストした。酸によりエッチングしたチタン表面を最高48時間までの種々の異なる時間UV線により処理した。UV線量は、タンパク質および細胞接着に異なる効果を与えた(図7Fおよび7G)。アルブミン吸収率の増加はすばやく起き、その後1時間のUV線処理で飽和した。細胞接着率は、48時間のUV線処理とともに著しく増加し続けた(p値<0.01)。
【0120】
12.UV線処理したチタンでの骨芽細胞の向上した増殖および促進された分散
機械加工されたコントロール表面での骨芽細胞の分散と細胞骨格の発達は、機械加工から3時間後のトレースに沿って等方的だった。これらの細胞では、細胞突起はあまり発達しなかった。反対に、UV線処理した機械加工された表面上の細胞は、側足状の細胞突起を複数の方角に発達させた(図8Aの画像)。UV線処理した酸によりエッチングされた表面は、未処理の酸によりエッチングされた表面と比べて、細胞が明らかに大きく、また細胞突起がより長く伸びていた。細胞の面積、周縁、およびフェレー直径の細胞形態計測の評価では、UV線処理したチタン表面にこれらのパラメーターがより優れた結果を示した(図8Aのヒストグラム)。
【0121】
細胞密度は、培養2日後および5日後において、UV線未処理の機械加工された表面および酸によりエッチングされた表面と比べて、UV線処理した表面で恒常的に大きく(図8Bのヒストグラム)、これはカルセイン染色後の細胞の蛍光画像の結果と一致している(図8Bの上図)。2日目の培養において細胞のBrdUの取り込み量は、UV線処理した表面でより多く、これは、骨芽細胞増殖の増加を示している(図8C)。
【0122】
13.UV線処理したチタン上での向上した骨芽細胞の表現型
10日目において、コントロール表面と比較して、UV線処理した機械加工された表面および酸によりエッチングされた表面では、ALP陽性領域は2倍以上であった(図9Aの上図と下段ヒストグラム)。加えて、細胞の数により光学的に定量化され標準化されたALP活性は、UV線処理した表面おいて、著しく高かった(図9Aの右下ヒストグラム)。
【0123】
培養14日目および28日目において、フォンコッサ染色により検知されたミネラル化された塊の領域も、UV線処理されたチタン表面においてより大きかった;これは、酸によりエッチングされた表面でより顕著であり、14日目で120%の増加を示した(図9Bの上段画像および左下ヒストグラム)。カルシウムの全堆積量は、フォンコッサ染色の結果と一致した(図9Bの右下ヒストグラム)。RT−PCR解析は、全培養期間を通して、コラーゲンI、オステオポンチン、およびオステオカルチンの発現に関し、UV線処理のした培養としなかった培養で同じ様な結果を出しており、もしくはある時点では、UV線処理した表面で<30%と発現量が増加していた(図9CおよびD)。
【0124】
14.UV線により向上したin vivoのインプラント固定
プッシュインテストにより計測された骨−チタン一体化の強度は、2週目の初期治癒段階において、UV線処理した機械加工された表面と酸によりエッチングされた表面とでそれぞれ1.8倍と3.1倍であった(図10)。後期治癒段階(4週目)において、UV線処理したインプラントのオッセオインテグレーションの強度は、UV線未処理のインプラントに対して、機械加工された表面および酸によりエッチングされた表面でそれぞれ50%および60%優れていた。
【0125】
15.UV線処理したインプラントの周りの骨形態
2週目において、コントロールとUV線処理した酸によりエッチングしたインプラントの双方で、インプラント表面から比較的離れたところに織られたような未熟な骨組織の形成が見られた(図11Aおよび11B)。インプラント表面の隣接する領域を観察したところ、二つのインプラントでは骨の形態に違いがあった。骨形成は、UV線処理したインプラントの周りでより著しく起きていた(図11Eおよび11F)。他の顕著な違いとして、軟組織による妨害の範囲がある。未処理のコントロールインプラントの周りの骨組織は、骨とインプラントの間に軟組織があり(図11I)、これは、UV線処理したインプラント周りではあまり観察されなかった(図11J)。4週目未処理のコントロールのいくつかの部位において、骨とインプラントの間に繊維性の結合組織による阻害が確認されたが(図11C、G、K)、反対に、UV線処理したインプラントは、骨が直接堆積していた(図11D、11H、11L)。
【0126】
骨の細胞形態では、UV線処理した酸によりエッチングされたインプラントの骨−インプラントの接触割合は、常にコントロールのそれよりも大きかった(2週目で2.5倍、4週目で1.9倍)(図)11M)。骨−インプラント接触領域の割合は、UV線処理した表面で98.2%であった。インプラント表面の近位領域での骨量は、UV線処理したインプラントは、常にコントロールインプラントより大きかった(図11N)。反対に遠位領域においては、UV線による骨量の違いはなかったことから、UV線により向上する骨形成は、インプラント表面に隣接部位に特異的であることを示している(図11O)。UV線処理により軟組織による阻害の著しい減少が確認された(図11P)。UV線処理した表面は、4週目において、骨―インプラント境界面での軟組織による阻害を完全にブロックしており、未処理の表面の骨の>20%では、2週目よ4週目においてチタンの境界面で軟組織による阻害があった。
【0127】
16.チタン上の炭素原子と骨芽細胞およびタンパク質の吸着との逆相関関係
XRD解析では、機械加工された表面および酸によりエッチングされた表面の双方において、25°および28°のピークを示さなかったことが分かり、これらのピークは、アナターゼおよびルチル型のTiO結晶に典型的に見られるものである。これらの表面では、Ti金属に由来する回析パターンしか示さなかった。しかしながら、双方のチタンディスクのUV−VIS吸収スペクトルでは、300〜350nmでの吸収バンドを示した(図12B)。酸によりエッチングした表面の吸収端部は、機械加工された表面よりも若干長い波長内にあった。
【0128】
X線光電子分光(XPS)スペクトルは、Ti2p、OIsおよびClsのピークを双方のチタン表面で示したものの、その他のピークはなかったことから、これは、これらの元素以外の分純物の汚染がないこと示している(図12C)Ti2pの細長いスペクトラルは、低エネルギー領域でのショルダーピークなしで2p3/2の明かなピークを約458.5eVで示している(図12D)。酸によりエッチングされた表面の2p3/2のピークは、機械加工された表面と比較して、若干高くなっている。
【0129】
酸によりエッチングした表面を化学分析し、その向上した生物学的活性の要因を特定した。XPSスペクトルは、ClsピークがUV線処理の時間と共に減少するが、反対にTi2PおよびOlsピークは増加することを明らかにしている(図12E、12F、12G)。特に、酸素含有炭化水素物に帰因する約288eVでのショルダーピークは、TiO表面で強く吸収され消滅した。炭素の原子割合は、48時間のUV線処理において>50%から<20%へと減少し続けた(図12H)。最小二乗平均近似は、高い決定係数と共に(R=0.930)炭素の原子割合とチタン表面へのアルブミン吸収量との間に負の直線的な相互関係を示した;チタン表面に炭素が少なければ少ないほど、表面にアルブミンが多く吸収された(図12I)。骨芽細胞の接着率は、異なる逆行パターンを示し;炭素の除去に伴い指数関数的に増加した(図12J)。接触角度は、アルブミン吸収の割合もしくは細胞接着の割合とは特に相互関係はなかった(図12Kよび12L)。
【0130】
17.表面に正電荷を帯びさせ、細胞を引き寄せるためのUVAおよびUVCの組み合わせの効果的な使い方
図13に示すように、UVA単独もしくはUVC単独の使用と比較して、UVAよびUVCの光源を組み合わせると細胞接着が、最も増加した。
【0131】
参考文献








【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面を有する医療用インプラントであって、前記金属表面は、正の電荷を帯びた金属酸化物を有する医療用インプラント。
【請求項2】
前記金属が、チタン、プラチナ、タンタラム、ニオビウム、ニッケル、鉄、クロム、コバルト、ジルコニウム、アルミニウムおよびパラジウムの一群から選択される請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項3】
前記金属表面が実質的に炭化水素を含まない請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項4】
前記インプラントが、担体材料を有する請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項5】
前記インプラント表面は、酸化金属の陽イオンを有する請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項6】
前記酸化金属の陽イオンが、酸化チタン陽イオンである請求項5に記載の医療用インプラント。
【請求項7】
前記インプラント表面は、タンパク質もしくは細胞を増進した割合で引き寄せることができる請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項8】
前記細胞は、ヒト間葉幹細胞および骨芽細胞からなる一群から選択され、前記タンパク質は、ウシ血漿アルブミン、フラクションV、およびウシ血清フィブロネクチンからなる一群から選択される請求項7に記載の医療用インプラント。
【請求項9】
前記タンパク質および細胞は、前記インプラント表面に直接に接着する請求項7に記載の医療用インプラント。
【請求項10】
前記インプラント表面は、組織−インプラント一体化および/または骨−インプラント一体化を向上することができる請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項11】
前記インプラント表面は、タンパク質吸収の増加、骨芽細胞の移動の増加、骨芽細胞の接着の増加、骨芽細胞分散の増加、骨芽細胞の増殖の増加、骨芽細胞の分化の増加のいずれか、もしくはそれらの組み合わせを可能にする請求項1に記載の医療用インプラント。
【請求項12】
医療用インプラントに機能性を付与する方法であって、(1)金属インプラント表面を提供する工程と、(2)前記表面に正の電荷を帯びさせるために前記インプラント表面を処理する工程と、を有する方法。
【請求項13】
処理された前記表面は、増進した割合で、タンパク質および/または細胞を引き寄せる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記表面は、チタン表面である請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記チタン表面は、TiOを有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
処理された前記表面は、実質的に炭化水素を含有しない請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記インプラントは、担体材料を有する請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記インプラントを処理する工程の前に、前記インプラントを加工する工程をさらに含み、前記インプラント表面は、化学エッチング、機械加工もしくはサンドブラストにより加工される請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記インプラント表面は、紫外(UV)線により処理される請求項12に記載の方法。
【請求項20】
加工された前記表面が、UV線により処理される請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記UV線は、約170nmから約270nmと約360nmから約380nmの一群から選択される波長である請求項19もしくは20に記載の方法。
【請求項22】
前記表面は、約170nmから約270nmの波長のUV線および約360nmから約380nmの波長のUV線の組み合わせにより処理される請求項19もしくは20に記載の方法。
【請求項23】
UV線による前記処理は、最長で48時間である請求項19もしくは20である方法。
【請求項24】
UV線による前記処理は、30秒、1分、5分、15分、30分、1時間、3時間、5時間、10時間、15時間、24時間、36時間および48時間の一群から選択される時間で行われる請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記処理された表面は、酸化金属陽イオンを有する請求項12に記載の方法。
【請求項26】
前記酸化金属陽イオンは、酸化チタン陽イオンである請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞は、ヒト間葉幹細胞および骨芽細胞からなる一群から選択され、前記タンパク質は、ウシ血漿アルブミン、フラクションV、およびウシ血清フィブロネクチンからなる一群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項28】
前記タンパク質および細胞は、前記インプラント表面に直接に接着する請求項13に記載の方法。
【請求項29】
前記処理されたインプラント表面は、未処理のインプラント表面と比較して、組織−インプラント一体化および/または骨−インプラント一体化を向上することができる請求項12に記載の方法。
【請求項30】
前記処理されたインプラント表面は、未処理のインプラント表面と比較して、骨形成能力が向上している請求項12に記載の方法。
【請求項31】
前記処理されたインプラント表面は、タンパク質吸収の増加、骨芽細胞の移動の増加、骨芽細胞の接着の増加、骨芽細胞分散の増加、骨芽細胞の増殖の増加、骨芽細胞の分化の増加のいずれか、もしくはそれらの組み合わせを可能にする請求項12に記載の方法。
【請求項32】
請求項11から13のいずれかに記載の方法を有する骨−インプラント一体化もしくは骨形成能力を向上する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図11K】
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【図11L】
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【図11M】
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【図11N】
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【図11O】
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【図11P】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図12I】
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【図12J】
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【図12K】
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【図12L】
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【図12M】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−509750(P2012−509750A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538681(P2011−538681)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065816
【国際公開番号】WO2010/068468
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508085729)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (6)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA
【住所又は居所原語表記】1111 Franklin Street, 12th Floor, Oakland, CA, 94607−5200, US
【Fターム(参考)】