説明

機能性ポリペプチド

本発明は、機能性ポリペプチド、特に、治療用ポリペプチド(例えば、scFv)を提供し、これらのポリペプチドは、1つまたは複数の機能性部分(例えば、PEG)または結合特異性(例えば、特定の結合特異性を示すアミノ酸配列)を付加することによって、迅速かつ特異的に機能性を付与され得るリンカー配列を含む。そのような機能性ポリペプチドは、非機能性ポリペプチドと比べて、薬物動態特性の改善(例えば、インビボにおける半減期、組織浸透および組織滞留時間の改善)を示すという点で好都合である。また、機能性ポリペプチドの迅速でかつ再現性のある生成のための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2008年6月30日に出願された米国仮特許出願番号第61/076,775号(名称「Methods And Compositions For Modifying Immunobinders」)への優先権を主張し、上記米国仮特許出願の内容は、その全容が参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
治療用ポリペプチドの効能はしばしば、それらに固有の薬物動態特性によって大きく制限される。例えば、治療用抗体の場合、組織浸透、組織滞留(residency)および血清半減期に関する問題が頻繁に報告されている。治療用ポリペプチドの薬物動態特性を改善して、効能の改善および投与レジメンの低量化をもたらすことができる。治療用ポリペプチドの薬物動態特性を調節する現在の方法は典型的には、血清半減期の問題に対処することに制限されている。さらに、これらの方法には典型的に、既存のポリペプチドの、時間を要するかまたは非特異的な化学的変化が関与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当該分野では、アミノ酸を改変する迅速かつ特異的な手段を提供し、半減期に加えて、薬物動態パラメータにも対処する、治療用ポリペプチドの薬物動態特性を調節する改良された方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の概要)
本発明は、機能性ポリペプチド、特に、治療用ポリペプチド(例えば、scFv)を提供する。本発明のポリペプチドは、1つまたは複数の機能性部分(例えば、PEG)および/または結合特異性(例えば、特定の結合特異性を示すアミノ酸配列)を付加することによって、迅速かつ特異的に機能性を付与され得るリンカー配列を含む。そのような機能性ポリペプチドは、非機能性ポリペプチドと比べて、薬物動態特性の改善(例えば、インビボにおける半減期、組織浸透および組織滞留時間の改善)を示すという点で好都合である。また、機能性ポリペプチドの迅速でかつ再現性のある生成のための方法も提供する。
【0005】
したがって、1つの態様では、本発明は、イムノバインダー(immunobinder)(例えば、scFv)等、アミノ酸リンカーによって接続されている2つのドメインを含むポリペプチドを提供する。このリンカーは一般に、鎖内ジスルフィド結合を形成することができる2つのシステインを含み、これら2つのシステインが相互にジスルフィド結合すると、リンカー配列中のこれら2つのシステイン間のアミノ酸がループを形成する。特定の実施形態では、このリンカーは、配列番号1または2に記載の配列を含む。
【0006】
特定の実施形態では、このリンカーは、PK変更因子(PK modifier)(例えば、ヒアルロン酸および血清アルブミン)等の標的分子に結合するループを含有する。標的分子に結合することによって、リンカーを含むポリペプチドの血清半減期、および/または組織内への浸透効能および/または特定の結合特異性が増強される。特定の実施形態では、このリンカーは、配列番号3または4に記載のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、このポリペプチドは、配列番号6または8に記載のアミノ酸配列を含む。
【0007】
特定の実施形態では、このリンカー中の少なくとも1つのシステイン残基が機能性部分に共有結合している。特定の実施形態では、リンカー中の2つのシステイン残基が、同じ機能性部分に共有結合している。適切な機能性部分としては、例えば、PEG、炭水化物分子およびヒドロキシエチルデンプン(HES)が挙げられる。PEGまたはHES等の機能性部分がポリペプチドに共有結合すると、被験体内部においてそのようなポリペプチドの半減期が延長される。
【0008】
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の本発明のポリペプチドおよび薬学的に許容できる担体を含む組成物を提供する。
【0009】
その他の態様では、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子(例えば、ベクター)、およびそのような核酸分子を含有する宿主細胞を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、機能性ポリペプチドを製造する方法を提供する。そのような方法は一般に、ペプチド配列のライブラリーを提供するステップと、そのライブラリーから、標的分子に結合する少なくとも1つのペプチド配列を同定するステップと、同定した少なくとも1つのペプチド配列を含むように、リンカー含有ポリペプチドのループ領域を改変するステップとを含む。所望のペプチド配列を、例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイまたはmRNAディスプレイを含めた、任意の当該分野で認識されている手段によって同定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、種々に処理したESBA105分子(レーン3〜10)のSDS pageである。レーン1:マーカー;レーン2:特定せず;レーン3:DTTを用いて還元したESBA105分子;レーン4:還元し、透析したESBA105分子;レーン5:還元し、システインをペグ化したESBA105分子;レーン6:システインをペグ化し、透析したESBA105分子;レーン7:対照;レーン8:リジンをペグ化したESBA105分子;レーン9:リジン(Laysine)をペグ化し、透析したESBA105分子;レーン10:対照。PEGの分子サイズは、およそ0.7kDa/PEGであった。
【図2】図2は、(A)システインをペグ化したESBA105および(B)リジンをペグ化したESBA105のTNFアルファ結合活性のELISA分析を示すグラフである。A:EC50は、ESBA105については、0.9833であり、還元したESBA105については、1.291であり、Cysペグ化ESBA105については、1.164であった。Rは、ESBA105については、0.9814であり、還元したESBA105については、0.9891であり、Cysペグ化ESBA105については、0.9857であった。B:EC50は、ESBA105については、0.8073であり、Lysペグ化ESBA105については、1.326であった。Rは、ESBA105については、0.9870であり、ペグ化ESBA105については、0.9640であった。
【図3】図3は、(a)未改変、酸化状態のESBA105−SS−リンカー、(b)単官能性のペグ化試薬1を使用して、ペグ化したESBA105−SS−リンカー(ESBA105−S−PEG)、および(c)二官能性ペグ化試薬2を使用して、ペグ化したESBA105−SS−リンカー(ESBA105−S−PEG)を示す模式図である。
【図4】図4は、(A)ESBA105およびESBA105−SS−リンカーのTNFアルファ結合活性のELISA分析を示すグラフ、(B)種々の処理に供したESBA105のSDS−PAGEゲル、ならびに(C)ESBA105およびESBA105−SS−リンカーのペグ化の程度を、ウサギ抗PEG抗体を使用して評価したウエスタンブロットである。図4(B):レーン1:還元+透析+濃縮を行ったESBA105 SSリンカー;レーン2:還元+透析を行ったESBA105 SSリンカー;レーン3:還元+ペグ化を行ったESBA105 SSリンカー;レーン4:還元+ペグ化+透析を行ったESBA105 SSリンカー;レーン5:ESBA105 SSリンカー。
【図5】図5は、ファージディスプレイのための、バクテリオファージ2の表面上におけるscFv分子1のペプチドループの提示を示す模式図である(scFv分子およびファージは、原寸に比例しない)。表示の場合では、ループが、標的分子3、例として、血清アルブミン(半減期の延長)、FcRx(胎盤への輸送)、ムチン(上皮滞留時間の延長)、インテグリン(RGDペプチド)、補体、接着結合タンパク質等と相互作用することができるか多量体化できる7つのアミノ酸を含む。
【図6】図6は、ESBA105およびシステインをペグ化したESBA105−SS−リンカーのTNFアルファ結合活性のELISA分析を示すグラフである。EC50は、ESBA105については、0.9980であり、ペグ化SSリンカーを有するESBA105については、1.181であった。Rは、ESBA105については、0.9397であり、ペグ化SSリンカーを有するESBA105については、0.9851であった。
【図7】図7aは、ESBA903のVEGFの結合動態を示すグラフである。フィット:1:1の結合;ka(1/M秒):7.68E+5;kd(1/秒):4.310E−5;KD(M):5.608E−11。図7bは、ESBA903−Pep1の結合動態を示すグラフである。フィット:1:1の結合;ka(1/M秒):1.133E+6;kd(1/秒):5.026E−5。7aおよび7bの両方について、X軸の値は秒であり、Y軸の値は共鳴単位(RU)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
(定義)
ポリペプチドに関する「ドメイン」という用語は、当該分野で認識されている意味をとり、個別の単位の三次構造を指す。ドメインの例としては、これらに限定されないが、抗体のVHドメインまたはVLドメイン、フィブロネクチンのドメインおよびアンキリン反復ドメインが挙げられる。
【0013】
「リンカー」という用語は、2つのドメインを連結する直鎖のアミノ酸配列を指す。本発明のリンカーを、ドメインに遺伝子的および/または化学的に融合させることができる。特定の実施形態では、リンカーはループを含有する。
【0014】
「ループ」という用語は、リンカー内部の鎖内ジスルフィド結合によって形成される環状のアミノ酸配列を指す。
【0015】
「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、化学式HO−(CHCHO)−Hを有する直鎖または分枝の中性ポリエーテル、およびその反応性誘導体を指す。反応性のPEG誘導体は、当該分野では周知であり、それらとしては、限定されないが、メチル−PEO12−マレイミド結合PEG、N−ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート結合PEG、N−ヒドロキシスクシンイミジルプロピオネート結合PEG、p−ニトロフェニル−カーボネート結合PEG、ベンゾトリアゾール−カーボネート結合PEG、およびアルデヒド結合PEGが挙げられる。特定の実施形態では、アミノ反応性のPEG誘導体は、ジスルフィド結合と特異的に反応することができるビス−スルホン結合PEGである(例えば、Brocchiniら、Nature Protocols、2006年:1巻(5号)、241頁を参照されたい)。適切なPEG分子は、0.5kDa〜50kDaの間の分子サイズの分子である。
【0016】
「標的分子」という用語は、本発明のポリペプチドのループ領域が特異的に結合する任意の分子を指す。標的分子として、例えば、糖、タンパク質および脂質が挙げられる。
【0017】
「機能性部分」という用語は、追加の機能性を、それが結合する分子に付与する生物学的または化学的な実体(例えば、PEG分子、1つまたは複数の炭水化物分子またはヒドロキシエチルデンプン(HES))を指す。
【0018】
「PK変更因子」という用語は、タンパク質の薬物動態プロファイルを、そのタンパク質に結合して変化させる任意の分子を指す。PK変更因子は典型的には、被験体(例えば、患者)内に存在する、天然の内在性分子であるが、必ずしもそうであるとは限らない。被験体内部のそのようなPK変更因子の局在および存在量は、生理的な場合もあれば、または病的な場合もある(例えば、がん細胞表面上または炎症部位における過剰発現)。適切なPK変更因子としては、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲンII型、血清アルブミン、抗体のFc受容体(例えば、FcRx)、抗体のFc領域、ムチン、インテグリン、接着結合タンパク質、トランスフェリンおよび補体因子が挙げられる。
【0019】
ポリペプチドのアミノ酸配列に関する「改変」または「改変する」という用語は、ポリペプチド配列内へのアミノ酸の付加、またはポリペプチド配列中の既存のアミノ酸の置換の両方を指す。ポリペプチドを改変するのに適したアミノ酸は、すべての公知の天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびそれらの機能性誘導体を含む(例えば、全容が参照により本明細書に援用される米国特許第7,045,337号および同第7,083,970号を参照されたい)。
【0020】
「イムノバインダー」という用語は、抗体の抗原結合部位の全部または一部、例えば、重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインの全部または一部を含有する分子を指し、したがって、イムノバインダーは、標的抗原を特異的に認識する。イムノバインダーの非限定的な例としては、完全長の免疫グロブリン分子およびscFv、さらに、これらに限定されないが、(i)Fab断片、すなわち、Vドメイン、Vドメイン、CドメインおよびC1ドメインからなる一価の断片;(ii)F(ab’)断片、すなわち、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結されている2つのFab断片を含む二価の断片;(iii)本質的には、ヒンジ領域の一部を有するFabであるFab’断片(Fundamental Immunology(Paul編、第3版、1993年)を参照されたい);(iv)VドメインおよびC1ドメインからなるFd断片;(v)抗体の単腕(single arm)のVドメインおよびVドメインからなるFv断片;ならびに(vii)単一の可変ドメインを含有する重鎖可変領域および2つの定常ドメインであるナノボディを含めた、抗体断片が挙げられる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、「免疫グロブリン」の同義語である。本発明による抗体は、免疫グロブリン全体であってもよく、または免疫グロブリンの少なくとも1つの可変ドメインを含むそれらの断片、例として、単一の可変ドメイン、Fv(Skerra A.およびPluckthun, A.(1988年)Science 240巻:1038〜41頁)、scFv(Bird, R.E. ら(1988年)Science 242巻:423〜26頁;Huston, J.S.ら(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85巻:5879〜83頁)、Fab、(Fab’)2、もしくは当業者に周知のその他の断片であってもよい。
【0022】
「単鎖抗体」または「scFv」という用語は、リンカーによって接続されている抗体の重鎖可変領域(V)および抗体の軽鎖可変領域(V)を含む分子を指す。そのようなscFv分子は、一般的な構造:NH−V−リンカー−V−COOHまたはNH−V−リンカー−V−COOHを有し得る。
【0023】
本明細書で使用する場合、「機能特性」という用語は、ポリペプチド(例えば、イムノバインダー)の特性であり、それらとして、限定されないが、安定性(例えば、熱安定性)、溶解性(例えば、インビボおよび細胞培養における溶解性)、ならびに抗原結合親和性が挙げられる。
【0024】
「特異的結合」、「選択的結合」、「選択的に結合する」および「特異的に結合する」という用語は、抗体が所定の抗原上のエピトープに結合することを指す。典型的には抗体は、約10−7M未満、例として、約10−8M未満、10−9M未満または10−10M未満の親和性(K)で結合する。
【0025】
「核酸分子」という用語は、DNA分子およびRNA分子を指す。核酸分子は、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよいが、好ましくは、二本鎖DNAである。核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれた場合、「作動可能に連結」されている。例えば、プロモーターまたはエンハンサーが配列の転写に影響を及ぼす場合には、それはコード配列に作動可能に連結されている。
【0026】
「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つの型が「プラスミド」であり、これは、その中に追加のDNAセグメントをライゲーション(ligate)することができる環状の二本鎖DNAのループを指す。ベクターの別の型はウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノム内にライゲーションすることができる。特定のベクターは、それらのベクターが導入されている宿主細胞中で自律的に複製することができる(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクター、およびエピソーム性哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)を、宿主細胞中に導入して宿主細胞のゲノム内に組み込むことができ、それによって、それらのベクターは宿主ゲノムと一緒に複製される。
【0027】
「宿主細胞」という用語は、発現ベクターが導入されている細胞を指す。宿主細胞は、細菌、微生物、植物または動物の細胞を含み得る。細菌は、形質転換に対して感受性であり、これらとしては、腸内細菌科のメンバー、例として、Escherichia coilまたはSalmonellaの菌株;バチルス科、例として、Bacillus subtilis;肺炎球菌;連鎖球菌、およびHaemophilus influenzaeが挙げられる。適切な微生物としては、Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisが挙げられる。適切な動物宿主細胞系としては、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞系)およびNS0細胞が挙げられる。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、本発明が属する分野の一般的な業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載するものに類似のまたはそれらと同等な方法および材料を、本発明を実施または試験する際に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。対立が生じた場合には、定義を含めた、本明細書が優先する。さらに、材料、方法および実施例は、例証のためのものであり、本発明を限定するとは意図されない。
【0029】
本発明の種々の態様を、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載する。種々の実施形態を随意に組み合わせることができることを理解すべきである。
【0030】
(ポリペプチドリンカー)
1つの態様では、本発明は、2つのドメインを含むポリペプチドを提供し、これらのドメインは、アミノ酸リンカーによってつながれており、このリンカーは、鎖内ジスルフィド結合を形成することができる2つのシステイン残基を含有する。そのようなリンカーは、機能性部分(例えば、PEG)の部位特異的付加、および/またはこのポリペプチドへの、1つもしくは複数の結合親和性の付加を可能にする点で特に好都合である。本発明のリンカーを、好ましくは、遺伝子工学によって遺伝子的に、あるドメインにつなぎ、より好ましくは2つのドメイン間につなぎ、それによって、それらを連結して、単一のポリペプチドを形成する。あるいは、アミノ酸をつなぐための任意の当該分野で認識されている化学反応を使用して、本発明のリンカーをあるドメインに化学的につなぐこともできる。任意の当該分野で認識されている化学反応によって、機能性部分をこのリンカーに接続することができる。好ましくは、機能性部分は、このリンカー中に存在する1つまたは複数のシステインに接続されている。
【0031】
特定の実施形態では、このアミノ酸リンカーは、一般式:(X)−C−(X)−C−(X)[式中、Cは、システインであり;Xは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびそれらの化学的誘導体を含めた、任意のアミノ酸であり;かつa、bおよびcは、アミノ酸の数に対応し、任意の自然数であってよい]で示される。好ましくは、aおよびcは、1〜25の間の数であり、bは、3〜250の間の数である。より好ましくは、aおよびcは、1〜20の間の数であり、bは、3〜100の間の数である。
【0032】
1つの実施形態では、このリンカーは、ループ形成領域X中にペプチド配列を含む。前記の場合、bは、好ましくは、3〜30個のアミノ酸のうちの任意の数、すなわち、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30である。最も好ましくは、bは、7または12である。好ましくは、ループ形成領域Xは、システイン残基を含まない。
【0033】
特定の実施形態では、このリンカーは、折畳まれているポリペプチドのドメインを含む。一般式:(X)−C−(X)−C−(X)中、bは、好ましくは、30〜250の間の数、例えば、50〜200、100〜200、125〜225、75〜225、125〜225、例として、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250である。示した範囲内の任意の自然数が、本明細書において開示されていることが理解されるべきである。したがって、このアミノ酸リンカーは、一般式(X)−C−ドメイン−C−(X)[式中、Cは、システインであり;Xは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびそれらの化学的誘導体を含めた、任意のアミノ酸であり;ドメインは、上記で定義したドメインであり;かつa、bは、アミノ酸の数に対応し、任意の自然数であってよい]で示される。
【0034】
特定の実施形態では、このアミノ酸リンカーは、一般式:(X)n=3〜15−C−(X)n=3〜50−C−(X)n=3〜15(表1の配列番号1)[式中、Cは、システインであり;Xは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびそれらの化学的誘導体を含めた、任意のアミノ酸であり;かつnは、アミノ酸の数である]で示される。このリンカー中のシステイン残基が、非還元条件下で鎖内ジスルフィド結合を形成することができるのであれば、このリンカーの各領域中のアミノ酸残基の数は、このリンカーが結合しているポリペプチドの構造に従って変化してよい。さらに、このリンカーの長さおよび配列は、このリンカーが一部をなすポリペプチドの1つまたは複数の機能特性を実質的に損なわないような長さおよび配列でなければならない。特定の実施形態では、このアミノ酸リンカーは、配列番号2、3および4のうちの任意の1つに記載のアミノ酸配列を含む(表1を参照されたい)。
【0035】
scFv、特に、非常に安定かつ可溶性であるscFv、例として、その内容が参照により本明細書に援用されるWO09/000098に記載されているものにおいて、本発明のリンカーは、VHドメインとVLドメインとをつなぐのに特によく適している。本発明のリンカーを含む例示的なscFvポリペプチドのアミノ配列を、配列番号6および8に記載する(表1を参照されたい)。
【0036】
(ポリペプチド)
本発明は、機能性ポリペプチド、特に、治療用ポリペプチド(例えば、scFv)を提供する。本発明のポリペプチドは、1つまたは複数の機能性部分(例えば、PEG)および/または結合特異性(例えば、特定の結合特異性を示すアミノ酸配列)を付加することによって、迅速かつ特異的に機能性を付与され得るリンカー配列を含む。
【0037】
これらに限定されないが、免疫グロブリンのドメイン(例えば、VHドメインまたはVLドメイン)を含むポリペプチドを含めて、任意のポリペプチドに、本発明の方法および組成物を使用して機能性を付与することができる。特定の実施形態では、このポリペプチドは、イムノバインダー(例えば、scFv)である。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明のポリペプチドは、一般式:ドメイン1−(X)−C−(X)−C−(X)−ドメイン2[式中、Cは、システインであり;ドメイン1およびドメイン2は、上記で定義したドメインであり;Xは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびそれらの化学的誘導体を含めた、任意のアミノ酸であり;かつa、bおよびcは、アミノ酸の数である]で示される。好ましくは、ドメイン1およびドメイン2はそれぞれ、VドメインおよびVドメイン、またはVドメインおよびVドメインである。
【0039】
(機能性部分のリンカーへの付加)
本発明のリンカーは、非還元条件下で鎖内ジスルフィド結合を形成する少なくとも2つのシステイン残基を含有する(図3を参照されたい)。このジスルフィド結合によって、機能性部分(例えば、PEG)を、本明細書に記載する方法を使用してリンカーに部位特異的に付加することが可能となる。具体的には、このジスルフィド結合中のシステイン残基を機能性部分(例えば、PEG)に共有結合させることができる。露出しているシステインによって、はるかに良好な定方向のペグ化が可能になるので、PEG付加部位に関して不均質な集団をしばしばもたらす、従来のPEG付加部位を上回る製造上の利点が達成される。単官能性反応基を含有する機能性部分を利用する場合、この機能性部分が、単一のシステイン残基に連結される。しかし、ジスルフィド結合に特異的である二官能性反応基を含有する機能性部分を利用する場合には、この機能性部分は、鎖内ジスルフィド結合の両方のシステイン残基に連結される。そのような二官能性試薬は、当該分野では周知であり、それらとしては、ビス−スルホンが挙げられる(例えば、Brocchiniら、Nature Protocols、2006年:1巻(5号)241頁を参照されたい)。
【0040】
特定の実施形態では、本発明は、配列番号2、3、4、6および8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し(表1を参照されたい)、このリンカー中の少なくとも1つのシステイン残基を、機能性部分(例えば、PEG)に共有結合させる。その他の実施形態では、本発明は、配列番号2、3、4、6および8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し(表1を参照されたい)、このリンカー中の両方のシステイン残基を、二官能性反応基(例えば、ビス−スルホン)を使用して同じ機能性部分(例えば、PEG)に共有結合させる。
【0041】
(ループに対する機能性の付与)
本発明のリンカー中のシステイン残基によって鎖内ジスルフィド結合を形成させて、これらシステイン残基間のリンカーのアミノ酸配列を環化して、ループを形成する(図3および5を参照されたい)。このループ構造は、この構造を改変して、1つまたは複数の特定の結合特異性を示すアミノ酸配列を含ませ、したがって、追加の機能性を、このループが一部をなすポリペプチドに付加することができる点で特に好都合である。
【0042】
このループの配列は、例えば、任意の標的分子に対する結合特異性を示すことができる。適切な標的分子としては、これらに限定されないが、PK変更因子、例として、ヒアルロン酸、血清アルブミン、インテグリン、抗体のFc領域、トランスフェリン等が挙げられる。例えば、血清アルブミンへの結合によって、このポリペプチドの半減期が延長される。FcRxへの結合によって、このポリペプチドの胎盤内への輸送が改善され、一方、ムチンへの結合によって、上皮内における滞留時間が延長される。抗原に対して特異性を示すイムノバインダーの場合、特定の実施形態では、VHドメインとVLドメインとの間のループ領域を、抗原に結合するように操作し得、したがって、このイムノバインダーの親和性を改善することができる。別の実施形態では、標的分子は、ポリペプチド自体である。換言すると、このループによって、このポリペプチドに、二量体、三量体またはそれより高次の多量体を構築させる多量体化の機能をもたらすことができる。多量体は、単量体と比較して、より強力なアビディティーを示す。さらに、多量体によって、架橋結合が可能になり、これには、例えば、細胞表面上における受容体の活性化が最終的に続く。別の実施形態では、標的分子は、そのリンカーにおいて相補性を示すループを提示する別のイムノバインダーである。すなわち、これら2つの分子のループが相互に結合するが、これらのループは、同一であってもまたは異なってもよい。これによって、二重特異性または多重特異性のイムノバインダーの複合体の形成が可能になる。二重特異性または多重特異性の複合体によって、分子または細胞を、別の細胞または分子にリクルートすることが可能となる。例えば、T細胞をがん細胞にリクルートして、がん細胞を死滅させる(Cancer Res. 69巻、4941頁)。
【0043】
所望の標的分子に対して結合特異性を示す任意の短いアミノ酸配列を、本発明のループ内に導入することができる。好ましい実施形態では、このループ配列は、5〜15個のアミノ酸からなり(すなわち、一般式(X)−C−(X)−C−(X)中、bは、5〜15であり)、システインは含有しない。ループ内に組み込むことができる適切なアミノ酸配列としては、これらに限定されないが、ヒアルロン酸結合性ペプチド(例えば、表1の配列番号4の残基12〜23を含むペプチド)、およびインテグリン結合性ペプチド(例えば、RGDペプチド)が挙げられる。
【0044】
ループ内に組み込むのに適した、所望の標的分子に対する結合特異性を示す新しいペプチドを、例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイおよびmRNAディスプレイ等の当該分野で認識されている手段によって同定することができる。そのようなディスプレイ系が、当該分野では周知である(例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第66258558号、同第6699658号および同第7118879号を参照されたい)。例として、ファージディスプレイによるスクリーニングを実施するために、このリンカーの2つのシステインによって形成されているループを、ファージのカプシドタンパク質に融合させて、ファージ表面上に提示させることができる(模式図については、図5を参照されたい)。このループ配列は、理想的には、5〜15個の間のアミノ酸を含み、ループを形成するのに必要なシステイン以外のシステインは含有しない。スクリーニングするために、このループ配列を無作為化して、ループ配列のライブラリーを提供する。適切なファージライブラリー、例えば、New England Biolabからジスルフィド拘束(disulfide−constrained)ヘプタペプチド(Ph.D.−C7C)ライブラリーが市販されている。そのようなファージのスクリーニングのための標的分子としては、例えば、PK変更因子、例として、コラーゲンII型、アルブミン、抗体のFc領域、抗体のFc受容体(例えば、FcRx)、ムチン、インテグリン、接着結合タンパク質および補体因子が挙げられる。
【0045】
(改変ポリペプチド)
それに加えてまたは代わって、本発明のポリペプチドを、このリンカー領域の外側の1つまたは複数のアミノ酸残基において機能性部分(例えば、PEG)に共有結合させることもできる。1つまたは複数のこのポリペプチドの機能特性を実質的に損なうことのない任意のアミノ酸残基、例えば、表面に露出しているリジン残基およびシステイン残基を利用することができる。所望により、ポリペプチドを(付加または置換により)改変して、機能性部分への連結に適した追加の反応性のアミノ酸を導入することができる。特定の実施形態では、ポリペプチドを改変して、少なくとも一対のシステイン残基を含有させ、少なくとも一対のこれらのシステイン残基は成熟したポリペプチド中で鎖内ジスルフィド結合を形成する。機能性部分を、単官能性反応基を使用して、単一の反応性の残基(例えば、システイン)に連結してもよく、または二官能性のジスルフィド結合に特異的な反応基(例えば、ビス−スルホン)を使用して、2つの、ジスルフィド結合システインに連結してもよい。
【0046】
したがって、1つの実施形態では、本発明は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、Lys40、Lys43、Lys46、Lys107、Lys176、Lys197およびLys208からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が、機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、C24−C89およびC154−C228からなる群より選択される少なくとも一対のシステイン残基が、同じ機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、Cys123およびCys136からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が、機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、一対のシステイン残基Cys123−Cys136が、同じ機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、Lys44、Lys47、Lys105、Lys109、Lys142、Lys143、Lys149、Lys173、Lys193およびLys195からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が、機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0051】
別の実施形態では、本発明は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、Cys25−Cys90およびCys152−Cys226からなる群より選択される少なくとも一対のシステイン残基が、同じ機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0052】
別の実施形態では、本発明は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、Cys121およびCys129からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が、機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、一対のシステイン残基Cys121−Cys129が、同じ機能性部分(例えば、PEG)に共有結合している。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、配列番号5、6、7または8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、このポリペプチドは改変されて、少なくとも1つの反応性のアミノ酸(例えば、システインまたはリジン)を含有する。そのような反応性のアミノ酸を、機能性部分(例えば、PEG)に共有結合させることができる。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、配列番号5、6、7または8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、このポリペプチドは改変されて、少なくとも一対のシステイン残基を含有し、少なくとも一対のシステイン残基は、成熟したポリペプチド中で鎖内ジスルフィド結合を形成することができる。特定の実施形態では、少なくとも一対のシステイン残基を、二官能性反応基(例えば、ビス−スルホン)を使用して同じ機能性部分(例えば、PEG)に共有結合させる。
【0056】
当該分野で公知のごとく、PEGを結合させることによって、バイオ医薬品(biopharmaceutical)の特定の特徴が改善するが、それらの機能は変化せず、したがって、それらの治療効果が増強される。例示的な効果は、(i)溶解性の増強、安定性の改善、吸収の持続および/もしくは連続的な生物薬学的作用による薬物動態の改善;(ii)治療有効量および/もしくは投薬頻度を減少させる循環時間の増加;ならびに/または(iii)例えば、安全性プロファイルの改善、免疫原性の低下、抗原性の低下および/もしくはタンパク質分解の低下に起因する毒性の減少である。
【0057】
(ポリペプチドの組成物および処方物)
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチド(例えば、ScFv)の組成物の薬学的処方物に関する。そのような処方物は典型的には、このポリペプチド(例えば、ScFv)の組成物および薬学的に許容できる担体を含む。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容できる担体」は、生理学的に適合性である、任意かつ全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤等を含む。好ましくは、担体は、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、(例えば、眼、皮膚もしくは上皮層への)局所投与、吸入による投与、非経口投与、脊髄投与または上皮投与(例えば、注射または注入による)に適している。投与経路に応じて、これらのポリペプチド(例えば、ScFv)を、材料中に被覆して、化合物を不活性化する恐れがある酸の作用およびその他の天然の条件から、化合物を保護することができる。
【0058】
本発明の薬学的化合物は、1つまたは複数の薬学的に許容できる塩を含むことができる。「薬学的に許容できる塩」とは、親化合物の所望の生物学的な活性を保持し、任意の望まれない毒物学的作用をもたらさない塩を指す(例えば、Berge, S. M.ら(1977年)J. Pharm. Sci. 66巻:1〜19頁を参照されたい)。そのような塩の例としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、無毒性の無機酸、例として、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等、ならびに無毒性の有機酸、例として、脂肪族のモノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族のスルホン酸等に由来するものが挙げられる。塩基付加塩としては、アルカリ土類金属、例として、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等、および無毒性の有機アミン、例として、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等に由来するものが挙げられる。
【0059】
また、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容できる抗酸化剤も含むことができる。薬学的に許容できる抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例として、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性抗酸化剤、例として、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ−トコフェロール等;および(3)金属キレート剤、例として、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等が挙げられる。
【0060】
本発明の薬学的組成物中で利用することができる適切な水性および非水性の担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例として、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)およびそれらの適切な混合物、オリーブ油等の植物油、ならびにオレイン酸エチル等の注射可能有機エステルが挙げられる。例えば、レシチン等の被覆材料を使用することによって、分散物の場合には必要な粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。
【0061】
また、これらの組成物は、保存剤、加湿薬、乳化剤および分散化剤等のアジュバントも含有することができる。微生物の存在の阻止を、上記の滅菌手順、ならびに種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を含めることの両方によって確実にすることができる。また、等張化剤、例として、糖、塩化ナトリウム等を、この組成物中に含めることが望ましい場合がある。さらに、注射可能な薬学的形態の吸収の延長を、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等の吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらすこともできる。
【0062】
薬学的に許容できる担体は、無菌の水溶液または分散物、および無菌の注射可能溶液または分散物を用時調製するための無菌の粉末を含む。薬学的に活性な物質のための、そのような媒質および薬剤の使用は、当該分野では公知である。任意の従来の媒質または薬剤がこの活性化合物に適合する限り、本発明の薬学的組成物におけるその使用を企図する。また、追加の活性化合物を、この組成物中に組み込むこともできる。
【0063】
治療用組成物は典型的には、製造および保管の条件下で無菌かつ安定でなければならない。この組成物を、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適したその他の秩序構造として処方することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)ならびにそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であってよい。例えば、レシチン等の被覆材料を使用することによって、分散物の場合には必要な粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。多くの場合、この組成物中に、等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトール等のポリアルコール、または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射可能組成物の吸収の延長を、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
【0064】
適切な溶媒中に、必要量の活性化合物を、必要に応じて、上記に列挙した成分のうちの1つまたはそれらの組み合わせと共に組み込み、続いて、精密ろ過により滅菌することによって、無菌の注射可能溶液を調製することができる。一般に、活性化合物を、基礎分散媒および上記に列挙したものからの必要なその他の成分を含有する無菌のビヒクル中に組み込むことによって、分散物を調製する。無菌の注射可能溶液を調製するための無菌の粉末の場合、調製の好ましい方法は、活性成分に任意の追加の所望の成分を加えた溶液を先に無菌ろ過し、それから粉末を得る真空乾燥および凍結乾燥(freeze−drying)(凍結乾燥(lyophilization))である。
【0065】
単回投薬形態を生成するための、担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される被験体および特定の投与様式に応じて変化させる。単回投薬形態を生成するための、担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は一般に、治療効果をもたらす組成物の量である。一般に、100パーセント中、この量は、約0.01パーセント〜約99パーセントの活性成分、好ましくは、約0.1パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは、約1パーセント〜約30パーセントの、薬学的に許容できる担体と組み合わせた活性成分の範囲である。
【0066】
投薬レジメンを調節して、最適な所望の応答(例えば、治療に対する応答)をもたらす。例えば、単回のボーラスを投与してもよく、用量をいくつかに分けて長時間にわたり投与してもよく、または治療状況の緊急性の指標に従って、用量を比例的に低下もしくは増加させてもよい。投与を容易にし、投与量を一様にするために、非経口用組成物を投薬単位形態として処方することは特に好都合である。本明細書で使用する場合、投薬単位形態とは、処置される被験体のための統一された投与量として適している物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体を伴って所望の治療効果をもたらすように計算された、所定の分量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態についての仕様は、(a)活性化合物の独特の特徴および達成すべき特定の治療効果、ならびに(b)個体において感受性を処置するためのそのような活性化合物を作り上げる技術に内在する制限によって定まり、それらに直接依存する。
【0067】
【表1−1】

【0068】
【表1−2】

【実施例】
【0069】
(例証)
本開示を、以下の実施例によってさらに例証するが、これらの実施例を、本発明をさらに限定するものであると解釈すべきではない。本出願の全体を通して引用するすべての図、参考文献、特許および公開されている特許出願の内容は、その全容が参照により本明細書に明示的に援用される。
【0070】
一般に、本発明の実施に際しては、別段の記載がない限り、化学、分子生物学、組換えDNA技術および免疫学(特に、例えば、免疫グロブリンの技術)の従来の技法を利用する。例えば、Sambrook、FritschおよびManiatis、Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989年);Antibody Engineering Protocols(Methods in Molecular Biology)、510頁、Paul, S.、Humana Pr(1996年);Antibody Engineering: A Practical Approach(Practical Approach Series、169頁)、McCafferty編、Irl Pr(1996年);Antibodies: A Laboratory Manual、Harlowら、C.S.H.L. Press, Pub.(1999年);Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons(1992年)を参照されたい。また、例えば、Polytherics、US6803438;EP1701741A2;EP1648518A2;WO05065712A2;WO05007197A2;EP1496941A1;EP1222217B1;EP1210093A4;EP1461369A2;WO03089010A1;WO03059973A2;およびEP1210093A1;Genentech、US20070092940A1およびEP1240337B1;ならびにESBA Tech、U.S.S.N.60/899,907およびWO03097697A2も参照されたい。
【0071】
(ESBA105のペグ化)
メチル−PEO12−マレイミド(Malemide)(Pierce)、すなわち、スルフヒドリル反応性ペグ化試薬を使用して、ESBA105(配列番号7)およびESBA105−SS−リンカー(配列番号8)中のスルフヒドリル基を改変した。ESBA105は、その側鎖の硫黄原子がジスルフィド結合として対をなして存在するシステイン残基を含有するので、メチル−PEO12−マレイミドを用いるペグ化のための標的として働く、これらのスルフヒドリル基を露出させるために、これらのジスルフィド結合を還元することが必要である。ESBA105およびESBA105−SS−リンカーのペグ化を、PEGの供給元(Thermo Scientific:Pierce Protein Research Products)の推奨に従って実施した。手短に述べると、およそ2mgのESBA105を、20mM DTTの存在下、4℃で30分間インキュベーションすることによって、ジスルフィド結合を還元した。DTTを除去するために、還元したESBA105を、PBS(pH6.5)に対して、Slide−A−Lyzer Dialysisカセット(Pierce;カットオフ:7000Da)を使用して透析した。透析および濃縮した後、2mg/mlのタンパク質を、20倍モル過剰なメチル−PEO12−マレイミドと4℃で一晩インキュベーションすることによってペグ化した。標識化タンパク質を、反応していないメチル−PEO12−マレイミドから、Slide−A−Lyzer Dialysisカセット(Pierce;カットオフ:7000Da)を使用する透析によって精製した。
【0072】
(SDS−PAGE)
SDS−PAGEを、非還元条件下で、Invitrogenから市販されているBis−Tris電気泳動システムを使用して、供給元の推奨に従って実施した。5μgのタンパク質試料を、プレキャスト12%Bis−Trisゲル上に添加した。このゲルを、クマシー試薬(0.1%(w/v)クマシーG250、10%氷酢酸、50%エタノール)を使用して15分間染色した。脱染は、10%(v/v)酢酸を使用して行った。
【0073】
(ペグ化を確認するためのウエスタンブロット分析)
1、10および100ngのペグ化ESBA105−SS−リンカーを、プレキャスト12%Bis−Trisゲル上に添加した。試料を、ニトロセルロース膜上にブロットし、PEG部分を、ウサギモノクローナル抗PEG抗体(Epitomics)を用いて検出した。一次抗体とのインキュベーション後、膜を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ヤギ抗ウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz)とインキュベートした。抗体の、膜への特異的結合を、化学発光検出システム(Pierce)によって検出した。
【0074】
(ペグ化ESBA105の、ヒトTNFアルファに対する結合を確認するための直接ELISA)
ESBA105およびその誘導体の結合を、直接ELISAによって評価した。ヒトTNFアルファ(PeproTech EC Ltd)を、96ウエルのマイクロタイタープレート上にコートし、次いで、BSA(ウシ血清アルブミン)を使用してブロックした。ESBA105およびESBA105誘導体を、50nM、12.5nM、3.13nM、1.56nM、0.78nM、0.39nM、0.20nM、0.10nMおよび0.05nMの濃度で試験した。それに続いて、ビオチン化ウサギポリクローナル抗ESBA105抗体(AK3A、ESBATechにおいて生成した)、ストレプトアビジンポリHRP、および発色基質(POD)を添加することによって、ESBA105およびその誘導体の、ヒトTNFアルファに対する結合を可視化した。この反応の産物を、分光計を使用して450nMにおける光学密度(OD)を測定することによって検出した。データを、4パラメータロジスティック曲線へのフィットを使用して分析し、EC50値を、scFvの用量−応答曲線から計算した。
【0075】
(ESBA903およびリンカー中にPep1を有するESBA903の表面プラズモン共鳴分析)
結合親和性を測定するために、BIAcoreTM−T100を用いる表面プラズモン共鳴の測定を利用した。これらの実験では、精製Escherichia coil発現組換えヒトVEGF165(PeproTech EC Ltd)を使用した。カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM4、GE Healthcare)を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩およびN−ヒドロキシスクシンイミドを用いて、供給元の指示に従って活性化した。ヒトVEGF165を、CM4センサーチップ上の4つの異なるフローセルのうちの1つに、標準的なアミンカップリングの手順を使用してカップリングさせた。カップリングおよびブロッキングの後に固定化hVEGF165分子を用いて得られた応答範囲は、およそ120〜140応答単位(RU)であった。各チップの第4のフローセルを、ブロッキング前にタンパク質を固定化しない以外は同様に処理し、このフローセルを、インラインの参照として使用した。HBS−EP緩衝液(0.01M HEPES、pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20)中の種々の濃度の抗VEGF scFv(20nM、10nM、5nM、2.5nM、1.25nM、0.63nM、0.31nMおよび0.16nM)を、フローセル中に、30μl/分の流速で5分間注入した。CM4チップ上のVEGFからの抗VEGF scFvの解離を、25℃で10分間進行させた。インライン参照セルについて補正し、これに続いて、緩衝液試料を減じて、センサーグラムを、各抗VEGF scFv試料について得た。見かけの解離速度定数(k)、見かけの結合速度定数(k)、および見かけの解離平衡定数(K)を、BIAcore T100 evaluation Software version 1.1を用いて、一対一ラングミュア結合モデル(one−to−one Langmuir binding model)を使用して計算した。
【0076】
(scFvのクローニングおよび発現)
本明細書において記載し、特徴付けたscFvは、以下に従って産生した。場合によっては、種々のscFvをコードするDNA配列を、サービスの提供元Entelechon GmbH(www.entelechon.com)において新規に合成した。得られたDNA挿入物を、細菌発現ベクターpGMP002中に、scFv DNA配列の5’末端および3’末端においてそれぞれ導入したNcoI制限酵素認識部位およびHindIII制限酵素認識部位を介してクローニングした。場合によっては、改変リンカーを、最先端の方法により、それぞれのアミノ酸分子をコードするアニールさせた相補性を示すオリゴとして、それらをVHドメインとVLドメインとの間の適切な制限酵素認識部位内にクローニングすることによって導入した。その他の場合には、点変異を、VHドメインおよび/またはVLドメイン内に、最先端のアセンブリPCRの方法を使用して導入した。GMP002のクローニングが、WO2008006235の実施例1に記載されている。scFvの産生は、参照により本明細書に援用されるWO08/006235の実施例1のESBA105についての記載に従って実施した。
【0077】
(実施例1)
(ESBA105およびESBA105−SS−リンカーのペグ化)
ESBA105(配列番号7)は、ヒトTNFアルファに特異的に結合し、それを阻害する単鎖の抗体である(例えば、参照により本明細書に援用されるWO06/131013を参照されたい)。ESBA105−SS−リンカー(配列番号8)は、ESBA105の改変体であり、リンカーが、SS−リンカー(配列番号3)で置換されている。
【0078】
ESBA105、DTTを用いて還元したESBA105、還元し、システインのペグ化に供したESBA105、および還元し、システインのペグ化に供し、それに続いて透析したESBA105を、SDS−PAGEによって分析した。このタンパク質をペグ化すると、およそ4kDaの分子量の増加が予想される。「還元したESBA105」および「還元し、システインのペグ化を行ったESBA105」は、ESBA105と比較して若干高い位置に移動する。cysペグ化ESBA105を透析すると、このタンパク質は、ESBA105と同じ位置に移動し、このことから、このタンパク質のシフトは、ペグ化に起因するのではなく、むしろ、透析中にスルフヒドリル基の酸化によって再度形成されるジスルフィド結合の還元に起因することが示唆される。これらのデータから、ESBA105の還元された分子内システイン(SH)は、PEG−NHSに対して、低い到達性を示すことが示されている。ESBA105中の分子内システインのスルフヒドリル基とは対照的に、図1のレーン6および7に示すように、一級アミン(N末端のリジン残基)はPEG−NHSにとって到達可能である。
【0079】
上に記載したように異なって処理したESBA105調製物の活性を、ELISA実験において評価した。図2に示すELISA分析は、還元状態のESBA105は、酸化状態のESBA105と同程度に活性であることを示している。cysペグ化ESBA105は、ESBA105と比較して、結合活性の若干の喪失を示すに過ぎない。しかし、図1に示すように、ESBA105中の鎖内ジスルフィドのペグ化の程度は低い。Lysペグ化は良好であり、ヒトTNFアルファに対する結合活性の軽微な喪失のみ有した。
【0080】
本発明の目的の1つは、cysペグ化に対して感受性であるscFv抗体を提供することであった。第1のステップでは、非ペグ化ESBA105−SS−リンカー分子が、ESBA105と比較して、依然として活性であるかどうかを調べた。このことが、図4Aに示すように、ELISAアッセイによって確認された時点で、ESBA105−SS−リンカーをcysペグ化に供した。良好なcysペグ化について試験するために、ESBA105−SS−リンカー、還元したESBA105−SS−リンカー、還元し、cysペグ化したESBA105−SS−リンカー、およびcysペグ化し、透析に供したESBA105−SS−リンカーを、SDS−PAGEによって分析した(図4Bを参照されたい)。ペグ化ESBA105−SS−リンカーは、ESBA105−SS−リンカーと比較して、より高い位置に移動し、このことから、ESBA105−SS−リンカーの良好なペグ化が示されている。ESBA105−SS−リンカーのペグ化を、ウエスタンブロット分析により、ウサギ抗PEGモノクローナル抗体を使用して確認した(図4Cを参照されたい)。100ng/mlペグ化ESBA105−SS−リンカーを使用して、予想されたサイズにおけるシグナルを検出した。さらに、図6に示すように、ELISAアッセイによって、cysペグ化ESBA105−SS−リンカーは、裸のESBA105と比較して、ほとんど完全な活性を示すことも確認されている。
【0081】
単一特異性の反応基を有するPEGを使用する、ESBA105SS−リンカーの従来のcysペグ化を、図3(中央)に模式的に示す。また、cysペグ化の代替の方法も、図3(右)に示す。この後者の方法は、二官能性反応基に結合させたPEGを利用し(PEG分子を左端に有する水平にした「T」として模式的に示す)、これによって、PEG分子の、タンパク質中のジスルフィド結合の両方のシステイン残基への接続が可能になる。そのようなリンカーの技術が、Shaunakら、Nature Chemical Biology 2006年、2巻、312頁;Brocchiniら、Nature Protocols、2006年:1巻(5号)、241頁、およびWO05/007197によって記載されている。
【0082】
(実施例2)
(SS−リンカー内への結合活性の導入)
本発明の第2の適用は、追加の結合特異性をポリペプチド(例えば、scFv)内に導入することである。この実施例では、ファージディスプレイによる選択中に、ヒアルロン酸に結合することが同定されたPep−1ペプチド(Mummertら、J. Exp. Med. 2000年、192巻、769頁)を、SSリンカーのループ領域内に導入して、SS Pep1リンカー(配列番号4)を得た。このSS Pep1リンカーを、scFv ESBA903に導入して、ESBA903 SS Pep1リンカーを産生した(時に、ESBA903−Pep1とも呼ばれる;配列番号6)。図7に示す表面プラズモン共鳴の結果が実証するように、そのループ中にPep1の12アミノ酸長のペプチドを提示するESBA903−Pep1は、その標的(VEGF)に対して、未改変のESBA903(配列番号5)と同じく良好に結合し、したがって、依然として十分な機能を示す(測定したKd値はそれぞれ、4.436E−11Mおよび5.608E−11Mであった)。ESBA903−Pep1を、裸のESBA903と比較して、ヒアルロン酸が存在する部位、例えば、硝子体または関節等に適用した場合に、局所半減期が延長するように設計した。
【0083】
(等価物)
当業者であれば、本明細書に記載する本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または日常的な実験のみを使用して、それらを究明することが可能である。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸リンカーによって接続されている2つのドメインを含むポリペプチドであって、前記リンカーが、鎖内ジスルフィド結合を形成することができる2つのシステインを含み、前記2つのシステインが相互にジスルフィド結合すると、前記リンカー配列中の前記システイン間のアミノ酸がループを形成する、ポリペプチド。
【請求項2】
前記リンカーが配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記リンカーが配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ループが標的分子に結合する、前述の請求項のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記標的分子がPK変更因子である、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記PK変更因子が血清アルブミンである、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記PK変更因子がヒアルロン酸である、請求項5に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記リンカーが配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記リンカーが配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項10】
イムノバインダーである、前述の請求項のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
scFvである、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
配列番号6または8に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記リンカー中の少なくとも1つのシステイン残基が、機能性部分に共有結合している、前述の請求項のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記リンカー中の前記2つのシステイン残基が、同じ機能性部分に共有結合している、前述の請求項のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記機能性部分がPEGである、請求項13または14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前述の請求項のいずれか一項に記載のポリペプチドおよび薬学的に許容できる担体を含む組成物。
【請求項17】
前述の請求項のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸分子。
【請求項18】
請求項17に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項19】
請求項18に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項20】
機能性ポリペプチドを製造する方法であって、
(a)ペプチド配列のライブラリーを提供するステップと、
(b)前記ライブラリーから、標的分子に結合する少なくとも1つのペプチド配列を同定するステップと、
(c)ステップ(b)で同定した少なくとも1つのペプチド配列を含むように、リンカー含有ポリペプチドのループ領域を改変して、それによって、機能性ポリペプチドを製造するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記同定ステップが、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイまたはmRNAディスプレイを使用して実施される、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−526145(P2011−526145A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515053(P2011−515053)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000225
【国際公開番号】WO2010/006454
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(502233344)エスバテック、アン アルコン バイオメディカル リサーチ ユニット、エルエルシー (19)
【氏名又は名称原語表記】ESBATech, an Alcon Biomedical Research Unit, LLC
【Fターム(参考)】