説明

欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法、並びに欠陥マーキング評価装置

【課題】欠陥箇所を含むシート状成形体の欠陥箇所にマーキングする際のマーキングエラーを評価する。
【解決手段】マークエラー発生確率算出部180は、原反幅、ラインの搬送速度、マーカ速度、欠陥密度等の製造ラインの条件に基づいてマークエラー発生確率を計算することができるチャートが格納されたチャートメモリ191と、欠陥マーキング装置1の製造ライン条件が供給される又はユーザによって入力されるライン条件入力機能部192と、供給された条件から上記式(30)〜(33)に基づいて規格化欠陥密度、規格化マーカ速度等を算出する規格化演算機能部193と、チャートメモリ191に格納されたチャートに基づいて単位領域当たりのマークエラー確率を算出するエラー算出機能部194と、算出された単位領域当たりのエラーから1m当たりのエラー、製品収率等を求める評価機能部195とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状成形体の欠陥位置を検出し欠陥位置に印をつける欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱可塑性樹脂のシート状成形体(以下、樹脂シートという場合がある。)は、成形時、押出機から押し出された熱可塑性樹脂をロールの隙間に通して表面に平滑さや光沢を付与する処理が施され、引取ロールにより搬送ロール上を冷却されながら引き取られる(特許文献1参照)。また、このように成形された樹脂シートを断裁して、枚葉状に加工されたフィルム(以下、枚葉フィルムという。)が製造される(特許文献2参照)。例えば、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムは、通常、樹脂シートを加工して製造され、これを断裁して枚葉フィルムとして液晶表示装置等に使用されている。
【0003】
枚葉フィルムを製造する過程では、樹脂シートから枚葉フィルムを断裁する前段階の工程として、フィルムの傷、汚れ、品質等の欠陥検査、また寸法検査等が行われている。この欠陥検査は、人為的に行われる場合もあるが、近年、自動化要求が高まっている。
【0004】
断裁されていないロール状の樹脂シートの場合、引取ロールに巻回された樹脂シートを連続的に引き出しながら、気泡、汚れ、異物等の不具合箇所を汎用の透過光測定等によって検査することができる。そして、検査結果は、欠陥の存在が明らかになるように、作業者や検査装置によってシート上の欠陥位置にマーキングされている(特許文献3参照)。そして、検出された欠陥箇所を避けて欠陥のない良好な領域を打ち抜き又は断裁して枚葉状の製品等を得ている。
【0005】
また、マーキングの方法として、このほかに、幅方向の直線上に複数のマーカが配置された多点式マーカを用いて、欠陥が検出された箇所を挟み込む最小間隔の2つのマーカを使ってシート上にマーキングする方法(特許文献4参照)も提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−120249号公報
【特許文献2】特開2005−59593号公報
【特許文献3】特開平9−304295号公報
【特許文献4】特開2001−305070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シート状成形体の製造で発生する欠陥箇所は、不規則であるため、効率的なエラー検出が求められる。上述した特許文献4に記載された欠陥マーキング装置は、欠陥が検出されると、欠陥を幅方向に含む部分がマーカの設置されている位置まで搬送されるタイミングに合わせてマーカが作動されマーキングされる。欠陥を幅方向に含む部分を挟んでマークが描かれるが、シート状成形体上の欠陥位置に直接マークするものではない。
【0008】
一方、特許文献3に記載の技術では、シート上の欠陥位置に直接マークできるが、特許文献3のような、ペンなどのマーキングヘッドを搬送方向に垂直な方向に移動させることでシート上の任意の位置にマーク可能とした方式では、搬送速度、シート状成形体の幅、マーキングヘッドの駆動速度によっては、欠陥を検出することができても欠陥位置に対するマークが追いつかず、エラー箇所に対するマークを取りこぼす“マークエラー”が発生することがあった。
【0009】
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、欠陥箇所を含むシート状成形体の欠陥の検出と欠陥のマーキングとを確実に行う欠陥マーキング装置、欠陥箇所を含むシート状成形体の欠陥を検出して高精度にマーキングする欠陥マーキング方法を提供することを目的とする。また、欠陥マーキング装置に対してマーキングエラーが発生する確率を求めることができる欠陥マーキング評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、一定幅を有し幅方向に垂直な長さ方向に搬送されるシート状成形体に存在する欠陥の位置情報を検出する欠陥情報検出手段と、該検出されたシート状成形体の欠陥位置に欠陥であることを表すマークを施すマーキング手段と、該マーキング手段を搬送方向に垂直な方向に移動することによってシート状成形体面の任意の位置へのマーキングを可能とする制御機構とを備える欠陥マーキング装置において、シート状成形体を搬送方向に所定長を有する矩形内で検出された欠陥位置をマークできない確率を算出し、算出した確率に応じてマーキングを制御する。
【0011】
マークエラー発生確率算出する際には、シート状成形体の原反幅と搬送速度との積をマーキング手段の幅方向への駆動速度で割った商を単位方形長と定義し、駆動速度を原反幅で割った商を規格化マーカ速度と定義し、欠陥密度と原反幅と搬送速度との積を単位方形長における規格化欠陥密度と定義し、規格化欠陥密度を駆動速度で割った商を搬送方向の辺長が単位方形長で決定される単位方形内の欠陥密度と定義するとき、欠陥密度の自乗と原反幅の自乗と搬送速度との積を駆動速度で割った商に比例した値としてマークエラー発生確率を規格化する。
【0012】
また、規格化欠陥密度と規格化マーカ速度とマークエラー発生確率とを対応づけたチャートに基づいてマークエラー発生確率を算出する。また、マークエラーを生じることなくマーキング可能な平均面積を算出し、該平均面積に応じてマーキング手段を制御する。更に、欠陥情報検出手段において検出された信号に基づく欠陥情報の位置がマーク可能領域にあるか否かを判別し、マークエラーが発生する場合にユーザに警告を提示してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、欠陥箇所を含むシート状成形体の欠陥の検出と欠陥のマーキングとを確実に行うことができる。また、本発明によれば、欠陥マーキング装置毎に異なるマーキング特性を評価できる基準を規格化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態として示す欠陥マーキング装置は、一例として熱可塑性樹脂のシート状成形体上の欠陥箇所(又は欠陥領域)を検出して、検出された欠陥箇所に欠陥であることを示すマークをつけることができる欠陥マーキング装置である。また、欠陥に対してマーキングできない“マーキングエラー”が発生する確率を算出する欠陥マーキング評価装置を備えている。本発明の実施の形態として示す欠陥マーキング装置について図面を参照して詳細に説明する。図1は、欠陥マーキング装置1の主要部を横方向から表した図である。
【0015】
欠陥マーキング装置1は、図示しない押出機から押し出された熱可塑性樹脂をロールの隙間に通して表面に平滑さや光沢を付与する処理が施され、引取ロールにより搬送ロール上を冷却されながら引き取ることにより成形された樹脂シートを一定方向に移送し、この移送過程でシート面を撮像し、撮像して得た画像を用いて欠陥検査を行い、欠陥箇所又は欠陥領域を抽出するとともに欠陥箇所又は欠陥領域にマーキングを行う装置である。マーキングされた欠陥位置の情報は、例えば、所定サイズの枚葉品を断裁する処理等に利用することができる。
【0016】
本実施の形態に適用可能な熱可塑性樹脂は、例えば、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリカーボネイト(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリアセチルセルロール樹脂(TAC)等である。熱可塑性樹脂シートとしては、これらの熱可塑性樹脂の単独シート、積層シート等である。
【0017】
欠陥マーキング装置1は、具体的な構成として、引取ロールにより搬送ロール上を冷却されながら引き取られることにより成形された樹脂シート2を図1の搬送方向Yに搬送する送出ローラ11a、11b、12a、12bと、受取ローラ13a、13b、14a、14bを備えている。送出ローラ12aと受取ローラ13aとの間には、搬送される枚葉フィルムの所定領域の画像データを取得するCCDラインセンサ15が備えられている。また、搬送される枚葉フィルムを挟んでCCDラインセンサ15の対向位置には、検査光を発光する光源16が設けられている。本具体例では、CCDラインセンサ15を用いているが、CCDエリアセンサであってもよい。また、搬送方向Yに対してCCDラインセンサ15を境としたとき手前のローラを送出ローラ、先のローラを受取ローラと便宜上定義しているがこの限りではない。本具体例では搬送速度は、Y方向に2m〜12m/分程度に設定される。
【0018】
また、欠陥マーキング装置1は、CCDラインセンサ15によって取得された画像データから樹脂シートと背景との境界を検出し、抽出された有効領域内の欠陥検査処理を行う欠陥検出及びマーキング評価部17を備えている。欠陥マーキング装置1は、送出ローラと受取ローラとの間隔に適宜、フィルム検知センサ18a、18b、19a、19b、20a、20bを備えており、搬送される樹脂シートの位置ずれ等が検出できる構成になっている。
【0019】
上述した欠陥マーキング装置1の各構成について具体的に説明する。本実施の形態で使用するCCDラインセンサ15の一例は、幅方向に5000画素程度並べたラインセンサであり、55mmのマクロレンズを通して光が入射する。図1では図示されていないが、同一センサを2つ並列することにより樹脂シートの幅方向長さに対応することができる。
【0020】
光源16としては、メタルハライドランプ、ハロゲン伝送ライト、蛍光灯など、枚葉フィルムの組成及び性質に影響を与えない光を発光するものであれば、特に限定されない。光源16からの検査光は樹脂シートで透過されてCCDラインセンサ15で検出され、欠陥検出及びマーキング評価部17に送られる。
【0021】
欠陥検出及びマーキング評価部17は、欠陥位置を検出し、マーカ部21を駆動制御する信号を生成する。また、マークエラーが発生するか否かを示すマークエラー発生確率を算出する。生成された制御信号がマーカ部21に送られる。
【0022】
マーカ部21は、欠陥検出及びマーキング評価部17において検出された樹脂シート上の欠陥位置にマーキングを行う。
【0023】
図2に、欠陥検出及びマーキング評価部17の構成を示す。欠陥検出及びマーキング評価部17は、CCDラインセンサ15において取得した画像データを入力するインターフェイス部171と、画像データをメモリ173に保存する又はメモリから読み出す制御を行うメモリドライバ172と、CCDラインセンサ15によって取得されメモリ173に格納された原画像データから背景画像を算出し検出対象物を抽出する画像処理を行う画像処理部174と、画像処理部174で抽出された有効領域内の欠陥検査処理を行う欠陥検査処理部175とを備えており、これらの各構成が制御部176によって統括され制御されている。また、欠陥検出及びマーキング評価部17は、欠陥位置をマーキングするときマークエラーが発生する確率を算出するマークエラー発生確率算出部180を備えている。マークエラー発生確率算出部180の詳細については、後述する。
【0024】
上述した欠陥検出及びマーキング評価部17において制御部176は、CCDラインセンサ15における取得データから樹脂シートの表面のデータを抽出し、シートの有効領域に対して欠陥検査、寸法検査等を制御している。例えば、欠陥検出及びマーキング評価部17は、欠陥検査処理に至る事前の処理としてCCDラインセンサ15によって撮影した樹脂シート部分とシート部分以外の背景の画像データを画像処理部174での画像処理で各ドットの輝度を比較し、画像データから検査対象である樹脂シート部分の画像データを抽出する。そして、抽出された樹脂シート部分の画像データを使って欠陥検査を行う。移送される樹脂シートは、CCDラインセンサ15の直下にあたる撮影ラインを通過して欠陥箇所が検出されるようになっている。上述した樹脂シートの欠陥検出方法は、透過光測定等をはじめとする既存汎用の方法を広く適用することができる。
【0025】
欠陥検出及びマーキング評価部17は、このほかにユーザによって操作入力が行われる操作パネル177、検査に関連するメッセージや検査結果を表示するための表示デバイスドライバ178及び表示デバイス179を備えている。欠陥検出及びマーキング評価部174は、画像処理演算が実行可能なパーソナルコンピュータ等の情報処理機器であってもよい。
【0026】
ここで、本実施の形態で使用されるマーク部21の一例について図3を用いて説明する。マーク部21は、その構造を図3に簡潔に示すように、樹脂シートの搬送方向に垂直なシート幅方向に沿って設けられたアーム211と、ペン等を有するマーカヘッド212とからなり、マーカヘッドがアーム上をシート幅方向に移動(トラバース動作)することによってシート上の任意の位置にマーキングが行える、1ヘッドマーカ(1点トラバース方式ともいう)である。しかし、アーム211とマーカヘッド212とを1組備えただけのこのタイプのマーカは、2カ所同時にマーキングすることができない。また、トラバース動作の速度、樹脂シートの搬送速度、欠陥場所によっては、欠陥箇所をマーキングできないマークエラーが起こることがある。
【0027】
そこで、本実施の形態では、このような1ヘッドマーカ方式を採用している欠陥マーキング装置を設計する上で、その性能を評価するための基準を規格化する方法を提案し、この規格にしたがってマークエラーの発生確率を評価する機能を果たすマークエラー発生確率算出部180を欠陥検出及びマーキング評価部17に設けて、マークエラーの発生を防止している。
【0028】
以下では、欠陥検出及びマーキング評価部17における欠陥検査処理と、マークエラーが発生する確率を算出する処理について、マークエラー発生確率算出部180の機能構成及びマークエラー発生確率算出部180で定められた規格化条件と併せて図面を参照して説明する。
【0029】
はじめに、樹脂シート上に生じた欠陥位置に対して1点トラバース方式の欠陥マーキング装置のマークヘッドが追いつけない事態が発生する確率、すなわちマークエラーが発生する確率を求める基本理論について説明する。
【0030】
前提条件として、欠陥密度、原反幅、ラインの搬送速度、搬送方向の単位矩形長、矩形内平均欠陥個数を下記式(1)及び図4のように定義する。
【0031】
【数1】

【0032】
図4に示すs,s,・・・は、単位矩形を表しており、これはマーカヘッドの搬送方向の分解能に対応している。単位矩形の長さは、搬送方向の数値計算の最小単位である。計算上では、マーク印字サイズは、無限に小さくできるが、現実には有限の大きさをもつ。例えば、ペンを用いる場合、印字サイズは、小さくても1mm程度にはなる。本実施態様では、長さ1mm=1.0×10−3mの単位矩形を用いている。
【0033】
この単位矩形中に欠陥箇所が複数存在するとマーキングできない。樹脂シート上に発生する欠陥は、搬送方向(MD)、シート幅方向(TD)の何れに対してもランダムに発生するため、樹脂シート上における欠陥箇所の分布としては、シート幅方向には一様分布が、搬送方向にはポアソン分布が適用できる。但し、ここでは、例えば製造条件等に起因する密集した欠陥は対象としていない。ポアソン分布によれば、ある単位矩形内にn個の欠陥が存在する確率P(n)は、下記式(2)〜(4)で表される。
【0034】
【数2】

【0035】
図5は、原反幅W=1.3m、搬送方向の単位矩形長dy=1.0×10−3mのときの単位矩形内の欠陥個数の確率分布(ポアソン分布)を示している。但し、図5では欠陥密度Dは、製品として想定される常識的な欠陥数1〜10個/mの場合についてのみ示している。搬送方向の欠陥間距離の確率分布は、ポアソン到着による。例えば、ある単位矩形sに欠陥箇所があって、次に単位矩形sに欠陥箇所があるとき、欠陥距離がiであるとする。このとき単位矩形s〜si−1の間に欠陥が存在しない確率は、下記式(5)で表される。
【0036】
【数3】

【0037】
また、sに欠陥が1個以上存在する確率は、下記式(6),(7)で表される。
【0038】
【数4】

【0039】
したがって、搬送方向の欠陥距離がiである確率は、下記式(8)で表される指数分布となる。図6に、原反幅W=1.3m、搬送方向の単位矩形長dy=1.0×10−3mのとき、欠陥密度D=0.1〜2.5個/mのそれぞれの場合における欠陥距離と確率との関係を示す。
【0040】
【数5】

【0041】
次に、樹脂シート幅方向の欠陥距離の確率分布について、図7(a),(b)を用いて説明する。幅方向の欠陥距離の発生位置は、搬送方向と同様にランダムである。したがって、幅方向の欠陥距離の確率分布は、原反幅全域で一様な確率をもつ乱数の差の確率分布をなすと考えることができる。ここでは、図7(a)に示す区間[0,1]内に発生する互いに独立した2個の乱数の差の確率分布を求める。但し、説明を簡潔にするため、原反幅W=1.0mとする。1個の乱数の確率分布(一様乱数)は、下記式(9)である。
【0042】
【数6】

【0043】
また、乱数1の値がxからx+dxの間にあり、乱数2の値がxからx+dxの間にあるとき、この2個の乱数の差の確率分布(図7(b)に示す)は、下記式(10)になる。但し、dx(単位mm)は、マーカ分解能を表しており、通常はdx=dyである。
【0044】
【数7】

【0045】
マーキングエラーには、マーカヘッドの機械特性も考慮する必要がある。そこで、マーカのマーキング動作にかかる時間、すなわちマーカの印字部が樹脂シートまで下降する時間、マーキング(印字)に要する時間、樹脂シートから上昇する時間、次の欠陥箇所までアーム211上を移動するマーカ速度等の機械特性を下記式(11)のように定義する。
【0046】
【数8】

【0047】
図8は、マーカの1サイクル動作を説明している。これより、全幅をトラバース動作するのにかかる時間ttraverse、マーカの1ヘッドサイクル動作時間(上昇してから下降し印字する間の最短時間)tcycle、マーカの1ヘッドサイクル中に樹脂シートが搬送される距離Ycycle及び単位矩形数Ncycleは、下記式(12)〜(15)で表される。
【0048】
【数9】

【0049】
搬送方向欠陥距離が、式(15)に示すNcycle以下、且つシート幅方向欠陥距離がdx以上のとき、マークエラーが発生する。図9は、マーク可能な領域を説明する図である。現在の欠陥位置eにマーカ212があるとき、マーカ212のトラバース動作が追いつくことのできる領域は、色分けした領域になる。したがって、次の欠陥箇所がeにあるとマークエラーになる。図9の下段は、欠陥位置e付近を拡大した図である。マーカ212のトラバースが追いつくことのできる領域を更に分析すると、ヘッドが樹脂シート面から上昇するまでの時間に樹脂シートが搬送される距離と、ヘッドが次の欠陥箇所に向けて加速する領域と、ヘッドが等速移動する領域とに分類される。
【0050】
ある単位矩形内に1個以上の欠陥が存在するとき、その確率を下記式(16)とする。マークエラー確率は、ある単位矩形内に欠陥が存在するとき、次の欠陥でマークエラーが発生するか否かの確率である。
【0051】
【数10】

【0052】
続いて、搬送方向の平均欠陥距離に基づいて単位矩形よりも大きい所定領域当たりにおけるマークエラー発生確率を求める。ここで、単位矩形よりも大きい所定領域は、下記式(17),(18)及び図10に示すように、マーカが樹脂シートの全幅Wを移動するのにかかるトラバース時間ttraverseの間に樹脂シートが搬送される距離Yrectと、このとき通過する単位矩形の本数Nrectとを定義する。
【0053】
【数11】

【0054】
式(17),(18)及び図10によって定義される所定領域を単位領域とするときに発生するマークエラーの内訳を図11に示す。マークエラーの発生確率は、欠陥箇所に応じて、発生しない(欠陥がない)、上述した単位領域内に欠陥が1個存在する、そして単位領域内に欠陥が2個以上存在するという3つの事象について扱うことができる。P(0)は、ある単位領域に0個の欠陥が存在する事象であり、単位領域内に欠陥がなければマークエラーは起こらない。P(1)は、単位領域に欠陥が1個発生する事象である。この事象には、ヘッドサイクル以上の場合とヘッドサイクル以下の場合とがある。ヘッドサイクル以上の場合には、更に次の欠陥箇所が同一単位矩形内に存在する場合と、異なる単位矩形内に存在する場合とがある。また、ヘッドサイクル以上の場合には、更に次の欠陥箇所がヘッド移動可能距離内に存在する場合と、ヘッド移動可能距離の外に存在する場合とがある。そしてPover2は、単位領域に欠陥が2個以上発生する事象である。この事象には、次の欠陥が同一単位矩形内に存在する場合と、異なる単位矩形内に存在する場合とがある。
【0055】
ある単位矩形内に欠陥が存在するという条件下において、同一単位矩形又は異なる単位矩形内に2個以上の欠陥がある確率をPerr1とすると、Perr1は、下記式(19)で表される。但し、ここではある単位矩形に欠陥が存在するという条件下での確率であるため、P(i)をPexit_defectで除算している。以下、同様である。
【0056】
【数12】

【0057】
また、ヘッドサイクル以下で異なる単位矩形に欠陥が存在する場合の確率をPerr2とすると、Perr2は、下記式(20)で示されるヘッドサイクル以下になる場合の確率Pwithin1cycleと、下記式(21)で示される単位矩形が異なる場合の確率Pdiff_xによって、下記式(22)のように表される。
【0058】
【数13】

【0059】
更に、ヘッド移動範囲外に欠陥が存在する場合の確率をPerr3とすると、Perr3は、下記式(23)で表される。但し、式(23)におけるPxshortは、搬送方向欠陥距離がi(単位矩形の本数に相当する)のとき幅方向のトラバース動作が間に合わない確率を表している。Pxshort(i)については、後段で詳細に説明する。
【0060】
【数14】

【0061】
したがって、次の欠陥箇所でマークエラーが発生する確率は、上記Perr1、Perr2、Perr3の総和で表される(下記式(24))。
【0062】
【数15】

【0063】
単位領域内において平均Ds個の欠陥を全て取りこぼしなくマークする確率(1−Perr_next(Ds)を1から引いた値が単位領域内でマークエラーを発生する確率になる。すなわち、単位領域当たりのマークエラー発生確率は、下記式(25)のようになる。但し、式(25)におけるDsは、単位領域内の平均欠陥個数を表している。平均欠陥個数Dsは、式(26)で表される。
【0064】
【数16】

【0065】
上述したトラバース動作が間に合わない確率Pxshort(i)について図12及び図13を参照して説明する。図12は、マーカが追いつくことのできる範囲を示している。図12に示されているように、マーカの1サイクルの間に通過する単位矩形の本数Ncycleの後、マーカがシートの最端部から逆端部まで最大量のトラバースをするときの仮想線よりも搬送距離が長くなる領域に対してマーク可能である。樹脂シートがdyを進むのにかかる時間tdy、tdy間にトラバース可能な距離(すなわちマーカが追いつくことのできる最大距離)wdyを下記式(27),(28)のように定義する。
【0066】
【数17】

【0067】
また、図13に示すように、このとき、第(Ncycle+i)i=1,2,・・・,Nrect番目の単位矩形に次の欠陥がある確率は、Pdistance_y(Ncycle+i)であり、第(Ncycle+i)i=1,2,・・・,Nrect番目の単位矩形までにトラバースできる距離は、wdy・iで表されるので、第(Ncycle+i)i=1,2,・・・,Nrect番目の単位矩形にトラバースが追いつかない確率は、下記式(29)のように表される。
【0068】
【数18】

【0069】
以上のようにして、1点トラバース方式の欠陥マーキング装置において、樹脂シート上に生じた欠陥位置に対してマークヘッドが追いつけない事態が発生する確率、すなわち欠陥マーキング装置毎のマークエラー発生確率を求められることがわかった。したがって、欠陥検出及びマーキング評価部17は、マークエラー発生確率算出部180において、上記式(25),(26)に基づいて算出されるマークエラー発生確率に応じて、搬送速度、マーカヘッド速度等を適宜調整することにより、欠陥箇所を含むシート状成形体の欠陥の検出と欠陥のマーキングとを確実に行うことができる。また、欠陥検出及びマーキング評価部17は、マークエラー発生確率算出部180においてマーキングエラー発生確率を算出するとともに、制御部176においてマークエラーを生じることなくマーキング可能な平均面積を算出している。
【0070】
上述したマークエラー発生確率は、原反幅、搬送速度、マーカヘッド速度等によるため、欠陥マーキング装置毎に異なるが、図14に示すように、最初に定義した原反幅W[m]とマーカトラバース間に進行する樹脂シートの距離Yrect[m]、マーカ速度vhead[m/s]、ライン速度Vline[m/s]のときの欠陥密度Dが、例えば、原反幅1[m]、Yrect=1[m]、マーカ速度1[m/s]、ライン速度1[m/s]である欠陥マーキング装置の欠陥密度Dと同じであれば、マークエラー発生確率が同じになるため、原反幅や搬送速度等といった仕様が異なる欠陥マーキング装置が存在したとしても欠陥密度Dを用いて互いの性能を評価することができる。
【0071】
続いて、このマークエラー発生確率を用いた1ヘッドマーカ方式の欠陥マーキング装置の評価方法の規格化について説明する。本実施の形態で最初に定義した原反幅W[m]、ライン速度Vline[m/s]、マーカ速度vhead[m/s]、マーカトラバース間に進行する樹脂シートの距離Yrect[m]のときの欠陥密度Dである本実施の形態の欠陥マーキング装置の各々の値に基づけば、規格化欠陥密度D、規格化マーカ速度Vhead_N、単位方形Yrect、単位方形当たりの欠陥密度Dは、下記式(30)〜(33)で表される。また、マーカ分解能をdx[m]、単位矩形の搬送方向長さdy[m]とする。
【0072】
【数19】

【0073】
このとき、単位矩形内に欠陥が存在する期待値(単位矩形内の平均欠陥個数)m、単位矩形内の欠陥数確率分布P(n)、搬送方向の欠陥距離がiである確率分布Pdistance_y(i)は、下記式(34)〜(36)で表される。また、マークエラー発生確率Merrは、Dline/vheadに比例する(Merr∝Dline/vhead)。
【0074】
【数20】

【0075】
そのため、原反幅が半分であれば、エラー確率は1/2になり、欠陥密度が半分であれば、エラー確率は1/2になり、搬送速度が半分であれば、エラー確率は1/2になり、ヘッド速度が2倍になれば、エラー確率は1/2になることがわかる。図15は、マーク部21に対して原反幅が半分になった場合を示す図である。これは、すなわち、樹脂シートの中央部分で折り返す2機のマーク部とした場合に相当する。また図16は、マーク部21に対して欠陥密度が半分になった場合を示す図である。これは、すなわち、マーク部21を2機直列に配置した場合に相当する。
【0076】
式(34)〜(36)に基づけば、図14に示す、原反幅1[m]、Yrect=1[m]では、欠陥密度(以下、規格化欠陥密度という)D=D、Vhead_N=1、Yrect=1、Ds=D、m=D・dyである。
【0077】
一例として所定の条件におけるマークエラー発生確率Merrと欠陥密度Dとの関係を図17(a)に示す。また、図17(a)において現実的なD周辺を拡大したものを図17(b)に示す。図17(b)を両対数グラフに書き直して図18を得る。製造ラインの条件は、上記式(30)〜(33)のように規格化することができるので、図18の横軸及び縦軸を、原反幅、ラインの搬送速度、マーカ速度、欠陥密度で表すと図19に示すようなマークエラー発生確率を容易に計算することができるチャートを作ることができる。
【0078】
マークエラー発生確率算出部180は、以上説明したチャートに基づいてマークエラー発生確率を算出する構成とすることもできる。マークエラー発生確率算出部180の機能構成を図20に示す。マークエラー発生確率算出部180は、上述したチャートが格納されたチャートメモリ191と、欠陥マーキング装置1の製造ライン条件が供給される又はユーザによって入力されるライン条件入力機能部192と、供給された条件から上記式(30)〜(33)に基づいて規格化欠陥密度、規格化マーカ速度等を算出する規格化演算機能部193と、チャートメモリ191に格納されたチャートに基づいて単位領域当たりのマークエラー確率を算出するエラー算出機能部194と、算出された単位領域当たりのエラーから1m当たりのエラー、製品収率等を求める評価機能部195とを備えている。評価機能部195の出力は、表示デバイス179で表示される。或いはマーク部21に供給されてマーク部21の制御に用いられてもよい。
【0079】
上述したマークエラー発生確率算出部180は、欠陥マーキング装置の製造ライン条件と上述したチャートによって、マークエラーを検証するアルゴリズムを有することにより、種々の欠陥マーキング装置のマークエラー発生確率を算出してこれを評価することのできる独立した“欠陥マーキング評価装置”として実現することもできる。この例を図21に示す。本実施の形態として示した欠陥マーキング装置1に組み込んだタイプと異なり、図21では、通常の欠陥検査のみを行う欠陥検査部17になっている。そして、図19に示したチャートを記憶するメモリを備えたマークエラー発生確率算出部180の働きをする欠陥マーキング評価装置181を、インターフェイス部182を介して接続し、この欠陥マーキング評価装置181を介して1ヘッドマーカ方式のマーク部21の性能を算出するとともに、これに応じてマーク部21に適切な制御信号を送ることができる。
【0080】
なお、マークエラー発生確率算出部180で実行される確率算出のための処理は、コンピュータ制御される電子機器のCPU等で実行されるソフトウェアモジュールとして実現するのが一般的である。デバイス制御、マルチタスク動作環境、タイマ等の機能をもった一般的なマルチタスクOS上で、上述した一連のマークエラー発生確率算出処理を実行するプログラムによってソフトウェアモジュールを動作させても実現できる。
【0081】
以上説明したように、本発明の実施の形態として示す欠陥マーキング装置1、欠陥マーキング評価装置181によれば、1点トラバース方式の欠陥マーキング装置において樹脂シート上に生じた欠陥位置に対してマークヘッドが追いつけない事態が発生する確率、すなわち欠陥マーキング装置のマークエラー発生確率を求めることができ、搬送速度、マーカヘッド速度等を適宜調整することにより、欠陥箇所を含むシート状成形体の欠陥の検出と欠陥のマーキングとを確実に行うことができる。
【0082】
また、製造ラインの条件を式(30)〜(33)のように規格化することにより、マークエラー発生確率を容易に計算することができるチャートを作ることができる。このチャートに基づいて、マークエラーが発生しないようなマーク部21の仕様を決定することができるとともに、理想的な製造ライン及びマーク部の設計に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態として示す欠陥マーキング装置の主要部を説明する断面図である。
【図2】上記欠陥マーキング装置における欠陥検出及びマーキング評価部を説明する構成図である。
【図3】上記欠陥マーキング装置におけるマーク部の構造を説明する模式図である。
【図4】マークエラーの発生確率を求めるに際して定義する前提条件を説明する模式図である。
【図5】単位矩形内の欠陥個数の確率分布を示す分布図である。
【図6】搬送方向の欠陥距離の確率分布を示す分布図である。
【図7】(a)は、一様乱数の確率分布を説明する模式図であり、(b)は、一様乱数の差の確率分布を説明する模式図である。
【図8】マーカの1サイクルの動作を説明する模式図である。
【図9】現在の欠陥位置に対して次の欠陥位置がマーク可能な領域とマークエラーになる領域とを説明する模式図である。
【図10】単位領域の定義を説明する模式図である。
【図11】欠陥箇所の発生と欠陥箇所に対するマークの可否を表す全事象に対して、マークエラーになるケースを分類する分類図である。
【図12】マーカが追いつくことのできる領域を説明する模式図である。
【図13】マーカが追いつくことができない確率を説明する模式図である。
【図14】欠陥密度Dsによってマークエラー発生確率を規格化できる原理を説明する模式図である。
【図15】マーク部に対して原反幅が半分になった場合を示す模式図である。
【図16】マーク部に対して欠陥密度が半分になった場合を示す模式図である。
【図17】マークエラー発生確率Merrと欠陥密度Dの関係を示す図である。
【図18】図17(b)に示した図の両軸を対数で表した図である。
【図19】マークエラー発生確率を計算できるチャートを示す図である。
【図20】上記欠陥検出及びマーキング評価部におけるマークエラー発生確率算出部を説明する構成図である。
【図21】本発明の別の実施の形態として示す欠陥マーキング装置及び欠陥マーキング評価装置を説明する構成図である。
【符号の説明】
【0084】
1 欠陥マーキング装置、 2 樹脂シート、 11a,11b,12a,12b 送出ローラ、 13a,13b,14a,14b 受取ローラ、 15 CCDラインセンサ、 16 光源、 17 欠陥検出及びマーキング評価部、 18a,18b,19a,19b,20a,20b フィルム検知センサ、 21 マーク部、 171 インターフェイス部、 172 メモリドライバ、 173 メモリ、 174 画像処理部、 175 欠陥検査処理部、 176 制御部、 177 操作パネル、 178 表示デバイスドライバ、 179 表示デバイス、 180 マークエラー発生確率算出部、 181 欠陥マーキング評価装置、 182 インターフェイス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定幅を有し幅方向に垂直な長さ方向に搬送されるシート状成形体に存在する欠陥の位置情報を検出する欠陥情報検出手段と、該検出されたシート状成形体の欠陥位置に欠陥であることを表すマークを施すマーキング手段と、該マーキング手段を搬送方向に垂直な方向に移動することによってシート状成形体面の任意の位置へのマーキングを可能とする制御機構とを備える欠陥マーキング装置において、
上記シート状成形体を搬送方向に所定長を有する矩形内で上記欠陥情報検出手段によって検出された欠陥位置をマークできない確率を算出するマークエラー発生確率算出手段と、
上記算出された確率に応じて上記マーキング手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする欠陥マーキング装置。
【請求項2】
上記マークエラー発生確率算出手段は、
上記シート状成形体の原反幅と搬送速度との積を上記制御機構によるマーキング手段の上記幅方向への駆動速度で割った商を単位方形長と定義し、
上記駆動速度を上記原反幅で割った商を規格化マーカ速度と定義し、
欠陥密度と上記原反幅と上記搬送速度との積を上記単位方形長における規格化欠陥密度と定義し、
上記規格化欠陥密度を上記駆動速度で割った商を搬送方向の辺長が上記単位方形長で決定される単位方形内の欠陥密度と定義するとき、
マークエラー発生確率は、上記欠陥密度の自乗と上記原反幅の自乗と上記搬送速度との積を上記駆動速度で割った商に比例した値として規格化されることを特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項3】
上記マークエラー発生確率算出手段は、上記規格化欠陥密度と上記規格化マーカ速度とマークエラー発生確率とを対応づけたチャートに基づいてマークエラー発生確率を算出することを特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項4】
上記制御手段は、マークエラーを生じることなくマーキング可能な平均面積を算出し、該平均面積に応じて上記マーキング手段を制御することを特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項5】
上記マークエラーが発生する旨をユーザに提示する提示手段を備え、
上記制御手段は、上記欠陥情報検出手段において検出された信号に基づく欠陥情報の位置が上記マーク可能領域にあるか否かを判別し、マークエラーが発生する場合に上記提示手段において警告を提示することを特徴とする請求項1記載の欠陥マーキング装置。
【請求項6】
一定幅を有し幅方向に垂直な長さ方向に搬送されるシート状成形体に存在する欠陥の位置情報を検出する欠陥情報検出工程と、
上記搬送方向に垂直な方向に移動することによって該検出されたシート状成形体の欠陥位置に欠陥であることを表すマーキングを行うマーキング工程と、
上記シート状成形体を搬送方向に所定長を有する矩形内において上記欠陥情報検出工程で検出された欠陥位置をマークできない確率を算出するマークエラー発生確率算出工程と
を有し、上記算出された確率に応じて上記マーキング工程におけるマーキングを制御することを特徴とする欠陥マーキング方法。
【請求項7】
上記マークエラー発生確率算出工程は、
上記シート状成形体の原反幅と搬送速度との積を上記制御機構によるマーキングの上記幅方向への駆動速度で割った商を単位方形長と定義し、
上記駆動速度を上記原反幅で割った商を規格化マーカ速度と定義し、
上記欠陥密度と上記原反幅と上記搬送速度との積を上記単位方形長における規格化欠陥密度と定義し、
上記規格化欠陥密度を上記駆動速度で割った商を搬送方向の辺長が上記単位方形長で決定される単位方形内の欠陥密度と定義するとき、
マークエラー発生確率を、上記欠陥密度の自乗と上記原反幅の自乗と上記搬送速度との積を上記駆動速度で割った商に比例した値として規格化することを特徴とする請求項6記載の欠陥マーキング方法。
【請求項8】
上記マークエラー発生確率算出工程は、上記規格化欠陥密度と上記規格化マーカ速度とマークエラー発生確率とを対応づけたチャートに基づいてマークエラー発生確率を算出することを特徴とする請求項6記載の欠陥マーキング方法。
【請求項9】
一定幅を有し幅方向に垂直な長さ方向に搬送されるシート状成形体に存在する欠陥の位置情報を検出する欠陥情報検出手段と、該検出されたシート状成形体の欠陥位置に欠陥であることを表すマークを施すマーキング手段と、該マーキング手段を搬送方向に垂直な方向に移動することによってシート状成形体面の任意の位置へのマーキングを可能とする制御機構とを備える欠陥マーキング装置を評価する欠陥マーキング評価装置において、
上記シート状成形体を搬送方向に所定長を有する矩形内で上記欠陥情報検出手段によって検出された欠陥位置をマークできない確率を算出するマークエラー発生確率算出手段を備えることを特徴とする欠陥マーキング評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−57507(P2007−57507A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246732(P2005−246732)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】