説明

欠陥レビュー方法および装置

【課題】欠陥ファイルに登録された欠陥の位置情報を用いてファインアライメントを実行する機能を備えた観察装置において、ファインアライメント補正を正確なものとし、レビューのために要するユーザの工数を低減する。
【解決手段】レビュー装置が検出した欠陥のステージ位置から、そのステージ位置に近い欠陥候補を検査装置が提供する欠陥情報(欠陥種別,欠陥画像,欠陥サイズ)とともに一覧表示し、ファインアライメント補正に使用する欠陥を選択できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体電子回路基板や液晶表示基板等の薄膜デバイス製造過程において、基板上に発生したパターン欠陥、もしくは付着した異物を走査型電子顕微鏡等の拡大撮像装置を用いてレビューするための方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の製造過程では、製造装置で発生した異物等による半導体形成パターンのショートや断線欠落等によって、製品歩留まりが低下するおそれがある。そこで、半導体製造工程において、半導体基板上の欠陥あるいは異物(以下、欠陥と異物とを合わせて単に欠陥という)の種類を特定し、欠陥の発生原因を解析することは歩留まり向上のために重要なことである。
【0003】
近年、半導体は微細化が進み、微小の欠陥が半導体の性能に重大な障害を与える可能性がある。そこで、光学式欠陥検査装置あるいは光学式異物検査装置、またはSEM式外観検査装置(以下、単に検査装置という)を用い、欠陥の発生箇所を特定し該当検査装置により得られた欠陥座標等の情報に基づき、光学顕微鏡、あるいは走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEMという)などの観察装置(以下、レビュー装置という)で、視野を該欠陥が存在する位置に移動し、拡大して撮像したうえで、大きさや致命性の判定,元素分析,断面観察等を実施し、その欠陥の種類を特定することで不具合原因を特定することが一般的に行われている。その結果、装置やプロセスの改善を行い、歩留まり低下を防いでいる。
【0004】
上記のようなレビュー作業は、従来、作業者が手動で欠陥位置へ移動,探索し分類していたが、近年では、異物検査装置や外観検査装置からの検査データを基に、自動的に異物・欠陥の拡大画像を取得する機能(Automatic Defect Review、以下ADRという)を有するレビュー装置が開発されている。例えば特許文献1には、上記のADR機能が開示されている。また、特許文献2には、取得した画像を特定のルールに従って自動分類(Automatic Defect Classification、以下ADCという)する手法が開示されている。
【0005】
検査装置で検出した欠陥をレビュー装置で観察する場合、レビュー装置は該当試料とその試料が乗っているステージとの座標補正を行う。これをウェーハアライメントという。ウェーハアライメントは、通常、試料上に作成されているアライメントマークなどを用いて、複数の特定の座標位置を入力することにより行われる。
【0006】
検査装置とレビュー装置において、同一のアライメントマークが同一のステージ座標位置にある場合は、2つの座標系は一致するはずだが、実際には、検査装置から出力される欠陥座標情報には、検査装置でのウェーハアライメントの誤差や検査方法による誤差が含まれるため2つの座標系が完全に一致しない場合もある。
【0007】
そこで、検査装置から提供される欠陥の座標情報を実際に撮像し、取得画像を画像処理することにより検出される欠陥の座標の情報を用いてアライメント(以下、ファインアライメントという)を行い、検査装置の座標系とレビュー装置の座標系のオフセット補正や回転補正,ピッチ補正等を行う。
【0008】
ファインアライメントに使用される欠陥の登録作業は、手動で行う場合と自動で行う場合がある。
【0009】
登録作業を手動で行う場合、装置の作業者は、まず検査装置から提供される欠陥の座標データやサイズ等の情報から、ファインアライメントとして登録する欠陥数点をサンプリングで選定する。登録したい欠陥を決定したら、検査装置から提供される座標データを基に、レビュー装置上で撮像視野を移動し欠陥の画像を取得する。画像が適切であれば作業者は妥当な欠陥と判断し、欠陥をファインアライメント点として登録する。
【0010】
登録作業を自動で行う場合、装置の作業者は、座標データやサイズ等の情報からファインアライメント点を抽出するための選別方法あるいは選抜基準を設定する。レビュー装置は、その設定情報に基づいて欠陥数点をサンプリングとして選別し、選別した欠陥の該当欠陥位置へ移動後、該当欠陥位置の画像を取得する。画像に欠陥が含まれていれば、当該欠陥をファインアライメント点として登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−30652号公報(米国特許6756589)
【特許文献2】特開平7−201946号公報(米国特許5801965)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ファインアライメント点の登録作業を手動で行う場合、自動で行う場合のいずれにおいても、視野の移動先に欠陥が存在しない場合が存在する。通常、視野の移動先に欠陥がない場合は、移動先の周辺に視野を移動し撮像を行うことにより欠陥を探す作業(サーチアラウンドと称される)を行う。
【0013】
最初に登録予定だった位置のごく近傍で欠陥が見つかれば、当初ファインアライメントとして登録しようとしていた欠陥として登録できるが、一定の距離以上離れた位置で欠陥が見つかった場合、サンプリングからはずれている別の欠陥を見つけた可能性もあり、当初の欠陥として登録してよいのか判断できない。また、最初に登録予定だった欠陥位置に複数の欠陥が存在する場合もある。
【0014】
以上のように、視野の移動先に欠陥が存在しない場合、従来は、作業者が上記の検査データを参照して、検出した欠陥の大きさや位置あるいは欠陥の種別情報といった欠陥特徴量を参酌しながら、当初ファインアライメントとして登録しようとしていた欠陥に対応すると思われる欠陥を抽出していた。
【0015】
ところが、検査データに含まれる欠陥点数は、数十点から多いものでは千点以上にまで及び、このように膨大な検査データから所望の欠陥を抽出する作業は非常に煩雑である。結果的に、観察装置の動作条件の設定時間が多大になり、装置の使い勝手を低下させていた。また、人手による抽出作業では、当初のサンプリングとは外れた欠陥をファインアライメント点として登録してしまう危険性もあった。
【0016】
ファインアライメントは、上記検査データを取得した装置の座標系と自装置(観察装置)の座標系とのマッチングを行う重要な処理であり、外部の装置が検出した欠陥と異なる欠陥をファイルアライメントの登録点とすると、座標補正自体がおかしくなる可能性があり、正常な視野移動ができないばかりか、欠陥捕捉率を低下させる大きな原因となる。従って、ファインアライメント点として登録する欠陥については、外部装置が検出した欠陥と自装置が検出した欠陥とが必ず一致する必要がある。
【0017】
本発明の目的は、ファインアライメント点の設定を従来よりも精度よく実行可能な観察装置あるいはファインアライメントの実行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明では、ファインアライメント点として登録された位置に欠陥が存在しなかった場合、当該欠陥に該当すると考えられる周囲の欠陥をGUI上に一覧表示することにより、上記課題を解決する。または、観察装置またはファインアライメントの実行支援装置が前記周囲の欠陥から所定の基準を満たすものを自動的にファインアライメント点として登録することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、電子顕微鏡を用いた半導体欠陥自動レビューにおけるアライメント補正を正確なものとし、レビューのために要するユーザの工数を低減することができ、試料の観察を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の装置間接続形態の構成例である。
【図2】実施例1の欠陥レビューSEMの全体構成例である。
【図3】実施例1の欠陥レビューSEMで実行されるADRの全体の流れを示すフロー図である。
【図4】ファインアライメント点を抽出するためのフィルタリング,サンプリング条件の設定画面の一例である。
【図5】実施例1のファインアライメントの詳細を示すフロー図である。
【図6】ファインアライメント点の欠陥情報の取得処理の内容を示すフロー図である。
【図7】ファインアライメント点の登録処理で表示される表示画面の一例である。
【図8】ファインアライメント点の登録処理で表示される表示画面の別の一例である。
【図9】候補欠陥が複数検出された場合の表示画面の一例である。
【図10】サーチアラウンド処理の内容を説明する図である。
【図11】実施例2のファインアライメントの詳細を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0022】
まず、図1を用いて、半導体製造ラインの検査工程における各装置の接続形態の一例について説明する。半導体製造ラインでの検査工程では、図1に示すように、データ管理サーバ1,検査装置2,レビュー装置3がネットワーク4で接続された構成となっている。検査装置2には、光学式欠陥検査装置あるいは光学式異物検査装置、またはSEM式外観検査装置などがある。検査装置が検出した欠陥情報、例えば欠陥の位置情報や欠陥のサイズ情報あるいは欠陥の種別情報といった欠陥に関する情報は、欠陥の識別子である欠陥IDと対応付けられて欠陥ファイルに格納され、更に欠陥ファイルは、検査装置による検査が行われた被検査試料あるいは欠陥検査が行われた工程毎にまとめられ、データ管理サーバで一元管理される。
【0023】
レビュー装置3はデータ管理サーバ1から上記の欠陥ファイルを取得し、ファイルに格納された情報に基づいて撮像視野を欠陥位置へ移動し、欠陥の検出,観察を行う。欠陥の検出,観察を行った後、欠陥種別の分類を行ったり、EDSを用いた元素分析を行う場合もある。また、レビュー装置3または検査装置2は、ネットワーク4を介してレシピ設定装置1001と接続されており、各種装置の作業者は装置の動作条件(観察条件あるいは検査条件)を遠隔設定できるようになっている。
【0024】
上記の説明においては、レビュー装置3がネットワーク経由で欠陥ファイルを取得する構成を示したが、FDやDVDなどの可般型記録媒体を用いて、検査装置から直接レビュー装置に検査情報を伝達する場合もある。また、以降では、レビュー装置3は、欠陥ファイルを使用して欠陥レビューを行うものとして説明を行うが、本実施例での欠陥ファイルとは欠陥データの集合を意味し、特定のファイルシステムで使用されるファイルフォーマットのみには必ずしも限定されないものとする。
【0025】
図2は、本実施例の欠陥レビュー装置(欠陥観察装置)の全体構成を示す。本実施例のレビュー装置はSEMを用いたSEM式の欠陥レビュー装置である。5は走査型電子顕微鏡装置、13はSEMの制御ユニット、17は欠陥分類ユニット、18は欠陥分類ユニットに付随する記憶装置,ディスプレイ11と入力部12を含む管理コンソールなどにより構成される。管理コンソールは、パーソナルコンピュータを備えており、簡単な演算処理であれば実行する機能を持つ。
【0026】
走査型電子顕微鏡5は、電子光学カラム6,ステージ9を格納する試料室7などにより構成され、制御ユニット13により制御される。レビューの対象となる試料8はステージ9に搭載され、ステージ9は制御ユニット13からの信号を基にXおよびY方向に移動される。また、試料8には、制御ユニット13により制御される電子光学カラム6から電子ビームが照射され、この照射によって試料8から得られる二次電子や反射電子を検出し、SEM像が生成される。
【0027】
制御ユニット13は走査型電子顕微鏡5の動作制御のみならず、欠陥検出処理の際に行われる画像処理を実行する機能も有し、取得画像から欠陥の有無を求める画像演算部14、ファインアライメントの際にファインアライメント点としてサンプリングされた欠陥に距離的または特徴的に近い欠陥候補を抽出して、操作画面上に一覧表示する欠陥候補抽出部15、作業者の操作あるいは所定の選別基準に従って欠陥候補の中から該当欠陥を決定する欠陥分類部16などを備える。記憶装置18には、欠陥分類ユニット17で行われた処理結果が格納される。
【0028】
ディスプレイ11上には、レビュー装置の動作条件を設定するための操作画面(GUI)が表示され、入力部12に備えられたポインティングデバイス(マウスなど)やキーボードを用いて、作業者が動作条件を設定入力することができる。また、記憶装置10には、ネットワークあるいは可般型記録媒体を介して伝達された欠陥ファイルが格納され、必要に応じて管理コンソールあるいは制御ユニット13で使用される。
【0029】
次に、図3を用いて、本実施例の欠陥レビュー装置の動作の全体フローについて説明する。まずStep1で、外部の装置(例えば外観検査装置)で生成された欠陥ファイルをレビュー装置に読み込む。上述の通り、欠陥ファイルは記憶装置10内に格納されており、制御ユニット13によって読み出される。欠陥ファイルには、欠陥ごとの検出座標および、欠陥サイズのデータ,欠陥種別を数値化したデータ,検出した欠陥の画像などが検査データとして格納されている。この際、作業者は管理コンソールを用いてレビューの条件を入力する。制御ユニット13は入力された条件に基づいて欠陥観察条件を設定する。
【0030】
Step2では、試料が試料室にロードされ、試料がレビュー装置で観察可能となる。Step3ではウェーハアライメントが実施され、ステージと試料の座標の誤差が補正される。ウェーハアライメントを実施しても座標誤差が小さくならない場合、Step4でファインアライメントを実施する。ファインアライメントが適正に実行されれば、Step5での欠陥レビューが開始される。Step5での欠陥レビューにおいて、制御ユニット13は、欠陥ファイルに格納されている欠陥座標をファインアライメントの結果を用いて補正し、補正後の座標へSEMの撮像視野を移動する。視野移動は、ステージ移動あるいはSEMのイメージシフトにより行われる。該当欠陥がステージ移動により視野に入るとSEM像が取得され、画像演算部14によって欠陥検出処理が行われる。検出された欠陥は欠陥分類部16によってその種別を特定される。
【0031】
次に、図4および図5を用いて本実施例のファインアライメント処理の詳細について説明する。まず、ファインアライメントを行うに際して、欠陥ファイルに登録された欠陥の中から、ファインアライメントに使用する欠陥(以下、ファインアライメント点と称する)を抽出する必要がある。このため、適当なサンプリング条件あるいはフィルタリング条件を設定して、欠陥ファイルに登録された欠陥から適当な欠陥を抽出する。
【0032】
図4には、ファインアライメント点のサンプリング用GUIの構成例を示す。作業者が図3のStep5を実行する際には、ディスプレイ11の操作画面上に図4に示すGUIを呼び出す。この画面で示すように、ファインアライメントを行う欠陥点は、通常、欠陥レビューを行う欠陥点の中から数点(図4では5点)抽出して実施する。ファインアライメントを行う欠陥を抽出する条件には、サイズ情報やクラスタ番号,欠陥分類番号等が用いられる。また、試料上のどの欠陥を抽出するかは、レビューSEM内のアルゴリズムによって決定されるが、通常は、欠陥の座標位置を用いて試料内全面から偏りなく欠陥が抽出される場合が多い。
【0033】
図5には、本実施例のファインアライメント処理の詳細を示すフロー図を示した。Step1では、図4の画面で設定した情報をもとにファインアライメントを行う欠陥を抽出するサンプリング,フィルタリングを制御ユニット13が実施する。Step2からStep9では、サンプリング,フィルタリングによって抽出された欠陥をファインアライメント実施に適した順番に並び替えて、抽出した点数分ファインアライメントを実施する。この並び替えの処理も制御ユニット13により実行される。
【0034】
Step2ではStep1で確定した順番で、欠陥位置への視野移動を行い、欠陥位置のSEM画像を撮像する。視野移動の際には、前述の通り、ステージ移動とイメージシフトが併用される。Step3に示される周辺探索は、後述するStep5の欠陥有無の判定処理で、欠陥が無かった場合に実行される処理であり、同一欠陥に対する最初の撮像では実行されずにStep2から直接Step4に移行する。Step4では、Step4で撮像されたSEM画像を用いて、画像演算部14により欠陥検出処理が行われる。
【0035】
Step5では、Step4の結果を用いて撮像位置に欠陥があったかどうかの判定が行われ、欠陥が無かった場合には、Step3に戻って周辺探索を実行する。本実施例では、欠陥ファイルに格納された欠陥位置に欠陥が無かった場合を前提としているので、Step3の周辺探索は必ず実行されるものとしている。周辺検索で行う視野の移動範囲は事前に設定され、当該設定された移動範囲内で撮像を実行し、再度Step5の判定処理を実行する。周辺探索を行っても欠陥を検出できなかった場合は、当該ファインアライメント点には欠陥が存在しなかったものと見なし、次のサンプリング位置の処理に移行する。Step5の判定で欠陥が検出できた場合は、Step6に移行し、周辺探索によって得られた欠陥に関して更に詳細な情報が取得される。なお、Step5の最初の判定で欠陥が存在していた場合には周辺探索を行う必要はないので、図5のStep6〜Step9を実行することなくStep10に移行し、見つかった欠陥をそのままファインアライメント点として登録する。
【0036】
図6には、Step6の欠陥情報取得処理の詳細フローを示した。Step26では、Step5にて画像演算部14が行った欠陥検出により、欠陥中心のステージ位置を制御ユニット13から取得する。また、画像演算部14による欠陥検出ではなく目視での欠陥検出の場合は、ディスプレイ11上に表示されている欠陥画像の上でクロスカーソルにて欠陥中心をクリックすることで欠陥位置のステージ位置を取得する場合もある。欠陥候補抽出部15は、取得したステージ位置座標と検査装置から入手した全欠陥点の座標情報を用いて取得したステージ座標近傍の欠陥点と検出したステージ位置との差分(距離)を算出する。Step27では、画像演算部14が欠陥検出と同時に検出した欠陥のサイズを取得する。Step28では欠陥分類部での欠陥分類を行い、欠陥種別情報を取得する。Step29では、画像演算部14が検出した欠陥の画像を取得する。Step26からStep29で取得する情報はすべての情報を取得してもよいし、より有効な情報のみを取得してもよい。
【0037】
図5に戻って説明を続ける。Step6では、図6に示したフローで取得された欠陥情報を用いて、Step26で取得した欠陥のステージ情報と欠陥ファイルに記載されている位置情報とを比較し、欠陥を検出したステージ位置に近い欠陥を欠陥ファイルから抽出する。欠陥の抽出処理は、実際に欠陥を検出したステージ位置に近い順に設定された欠陥点数分について実行する。抽出された欠陥は、ディスプレイ11の操作画面上に一覧表示される(Step8)。一覧表示される情報としては、例えば、欠陥ファイルに含まれるサイズ情報,欠陥分類情報,欠陥画像情報などが含まれ、これらが欠陥ごと欠陥IDと共に表示される。また、Step7の処理でレビュー装置が取得した欠陥サイズ,欠陥種別,欠陥画像の情報も合わせて表示する。
【0038】
作業者は一覧表示の内容を確認し、一覧表示された欠陥に周辺探索で見つかった欠陥が含まれているかどうかの確認を行う(Step8)。該当欠陥があると判断した場合は、Step9に進んで、該当欠陥を選択する。そのときに当初探していた欠陥IDと異なる場合は選択した欠陥IDでファインアライメント点として登録する(Step10)。
【0039】
Step8で該当欠陥がないと判断した場合は、当初の欠陥位置には欠陥が存在しなかったものと見なし(つまり、ファインアライメント点としては採用できないものとみなし)、Step2に戻って次のサンプリング点の処理に移行する。
【0040】
以上説明したStep2からStep10の処理を、サンプリング,フィルタリングによって抽出した欠陥点数分繰り返して、ファインアライメント点を登録する。
【0041】
図7には、図5のStep7で一覧表示されるGUIの一例を示す。図7の上部に示される欠陥検出結果表示部には、レビュー装置による周辺探索で取得した欠陥画像を表示する欠陥画像表示部102と、図5のStep6で抽出された当該欠陥に対応する欠陥情報表示部101が表示されていて、クロスカーソル103は欠陥の中心を指している。図7は画像演算部がStep5で欠陥有りと判断した場合に表示されるものであり、欠陥画像有りと判断されたと同時に欠陥候補表示部104が自動的に表示される場合もあるし、欠陥候補一覧表示ボタンの押下で欠陥候補表示部104が一覧表示される場合もある。また、欠陥検出を目視で行っている場合は、欠陥画像表示部102に表示されている欠陥をマウスでクリックすると、図7の下部に示す欠陥候補表示部104が一覧表示される。欠陥候補表示部104には、欠陥ファイルに登録された欠陥が、欠陥画像表示部102に表示され欠陥の位置に近い順に、欠陥IDと共に表示される。欠陥候補表示部104には、欠陥位置からの距離、欠陥サイズまたはサイズ比、欠陥種別を示す分類番号(名称も含む)、検査装置が取得した欠陥のサムネイル画像などの情報が、該当欠陥かどうかを判断する補足情報として一覧表示される。
【0042】
作業者は、一覧表示されたその中から、該当欠陥を選択し登録ボタンを押す。図7では、欠陥IDが000010の欠陥が該当欠陥として登録された例を示しており、ファインアライメント点の欠陥IDを000011から000010に変更して補正が行われる。
【0043】
なお、以上の説明では、周辺探索で見つかった欠陥と欠陥ファイルに登録された欠陥の位置との距離を、欠陥情報の取得時点(図5のStep6)で算出しているとして説明を行ったが、図7の一覧表示を行う時点で距離を計算しても良い。欠陥候補表示部104を表示させる場合に、作業者に欠陥画像表示部102に表示されている欠陥をクリックさせ、当該クリック操作により指定された位置を距離計算のための基準位置として、欠陥間の距離(クリックした座標と検査データから取得した座標との差分)を計算してもよい。
【0044】
図8には、図5のStep7で表示されるGUIの変形例を示す図であり、図7のような一覧表示形式ではなく、候補欠陥をマップ表示するGUIである。Step5にて欠陥有りと判断した場合、表示欠陥点数もしくは表示欠陥エリアを指定し、欠陥候補マップ表示ボタンを押すと、マップ上に候補欠陥が表示される。図8の例では表示欠陥点数を2に設定し欠陥候補マップ表示ボタンを押した場合であり、2つの欠陥候補の位置がドットで表示されている。また各欠陥には203の吹き出し表示で、現在位置からの距離が表示されているが、図7のように他の欠陥の情報(欠陥サイズや欠陥分類情報,欠陥像)を表示することも可能である。マップ上のドットをマウスでクリックすることで、ステージを移動し欠陥の有無を確認することもできる。どの場合でも該当欠陥の登録ボタン(204)を押すことで、ファインアライメントの登録点として登録される。
【0045】
図9に示すGUIは、図5の欠陥検出(Step4)で複数の欠陥が検出された場合に表示されるGUIの変形例である。図9のように図5のStep5で欠陥有りと判定された際に1つの撮像視野内に複数の欠陥が存在していた場合、欠陥検出ボタン304を押すと各欠陥に吹き出し表示で、各欠陥に座標位置が近い欠陥のリストが一覧表示される。図8の例では各欠陥に一番近い欠陥の欠陥IDとその距離が表示されているが、吹き出し表示には図7に記載した104のように複数の欠陥の情報(欠陥サイズや欠陥分類情報,欠陥像)が一覧表示される場合もある。どの場合でも該当欠陥の登録ボタン(204)を押すことで、ファインアライメントの登録点として登録される。
【0046】
例えば、図5のStep5で欠陥有りと判定された際に1つの撮像視野内に複数の欠陥が存在していた場合に使用される。目視もしくは画像演算部での欠陥検出にて複数の欠陥が存在すると判定された場合、欠陥検出ボタン304を押すと、各欠陥に303の吹き出し表示で、各欠陥に座標位置が近い欠陥のリストが一覧表示される。図9の例では各欠陥に一番近い欠陥の欠陥IDとその距離が表示されているが、吹き出し表示には図7に記載した104のように複数の欠陥の情報(欠陥サイズや欠陥分類情報,欠陥像)が一覧表示される場合もある。どの場合でも該当欠陥の登録ボタン(305)を押すことで、ファインアライメントの登録点として登録される。
【0047】
図10のA図には、周辺探索の概念図を示す。Step3の周辺検索は、Step2で移動した座標位置(301)より開始され、A図に示す矢印に沿って、検出開始位置401での撮像視野と同じサイズの視野だけ隣接位置に移動して実行される。Step4の欠陥検出は、各撮像位置での画像取得と平行して実行されるが、途中の撮像位置で欠陥が検出された場合でも周辺検索と欠陥検出を停止せずに事前に設定した周辺検索領域(図9のA図の例では3視野×3視野)の周辺探索を実施する。
【0048】
周辺検索と欠陥検出の結果、複数の欠陥が検出された場合は、図10のB図に示すように、周辺検索で取得した画像を合成した画像(403)が表示され、各欠陥(404)はそれぞれ吹き出し表示にて、各欠陥に座標位置が近い欠陥のリストが一覧表示される。図9のB図の例では、検索していた欠陥との距離と検出した欠陥サイズ情報,その他の欠陥候補が表示されているが、吹き出し表示には複数の補足情報が表示される。あるいは、図7の欠陥候補表示部104のように、欠陥サイズや欠陥分類情報,欠陥像などの情報を一覧表示してもよい。どの場合でも該当欠陥の登録ボタンを押すことで、ファインアライメントの登録点として登録される。
【0049】
以上の説明では、本実施例のファインアライメント点の実行支援機能は、欠陥レビュー装置の管理コンソール上に表示されるものとして説明を行ったが、レビュー装置と独立したコンピュータ上に実装することもできる。例えば、図1のレシピ設定装置1001に実装することもできるし、別のネットワーク接続されたコンピュータをファインアライメントの実行支援装置としてもよい。
【0050】
以上、本実施例により、ファインアライメント点の設定を従来よりも精度よく実行可能な観察装置あるいはファインアライメントの実行支援装置が実現される。
【0051】
(実施例2)
本実施例では、ファインアライメント点の設定処理を手動ではなく自動で実行する機能を備えた観察装置の構成例について説明する。装置の全体構成は、実施例1と同様なので、説明は省略し、また図2を適宜引用する。
【0052】
図11には、本実施例のファインアライメント処理の詳細を示すフロー図を示す。Step1からStep6までの処理は図5と同様であるので説明は省略する。Step7では、図6のStep26で取得した各種の欠陥特徴量を用いて、欠陥ファイルに登録されている欠陥がファインアライメント点として採用予定であった欠陥にどれくらい近いかを示す評価点を算出し、評価点の最も高い欠陥をファインアライメント点と判定する処理を行う。
【0053】
評価点の算出に際しては、各種の欠陥特徴量、例えば、欠陥のステージ情報と検査データに記載されている位置情報から求められる座標ずれ量,レビュー装置が取得したサイズ情報と検査データに記載されているサイズ情報から求められるサイズまたはサイズ比の類似性,レビュー装置が取得した欠陥分類情報と検査データに記載されている欠陥分類情報から求められる欠陥分類情報の類似性,レビュー装置が取得した欠陥画像情報と検査データに含まれる検査装置が取得した欠陥画像から求められる欠陥画像情報の類似性などの情報を数値化し、優先順位等で重み付けを行うことにより算出する。なおここでは、算出した値を評価点とする。
【0054】
該当欠陥の判定には、評価点が一番高かった点をファインアライメント点として判断する場合や、評価点の閾値を設け、その閾値以上の欠陥をファインアライメントとして判断する場合があるが、異なる欠陥をファインアライメント点として登録する危険性を考慮すると評価点が閾値を越えた欠陥の中なら一番評価点が高かった欠陥を選択する方法が有効である。
【0055】
Step7において、該当欠陥なしと判断した場合は、次の欠陥の処理に移行する。Step7において、該当欠陥有りと判断した場合は、Step8で欠陥番号を特定し、Step9でファインアライメント補正点として登録する。Step2からStep9までの処理をサンプリング,フィルタリングによって抽出した欠陥点数分繰り返す。
【0056】
本実施例のファインアライメント点の自動判定機能により、複数枚試料での連続したADRを実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 データ管理サーバ
2 検査装置
3 レビュー装置
4 ネットワーク
5 走査型電子顕微鏡
6 電子光学カラム
7 試料室
8 試料
9 ステージ
10,18 記憶装置
11 ディスプレイ
12 入力部
13 制御ユニット
14 画像演算部
15 欠陥候補抽出部
16 欠陥分類部
17 欠陥分類ユニット
101 欠陥情報表示部
102,301 欠陥画像表示部
103 クロスカーソル
104 欠陥候補表示部
201 欠陥候補表示部(マップ)
202 周辺探索で検出された欠陥
203,303,405 欠陥情報吹き出し表示
204,305 登録ボタン
205 ステージ中心位置を示すクロスカーソル
302 検出された欠陥
304 欠陥検出ボタン
401 検出開始位置
402 検索範囲
403 周辺検索結果の合成画像
404 レビュー装置が検出した欠陥
1001 レシピ設定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥ファイルに登録された所定試料上の欠陥の位置情報を用いて、当該欠陥位置の画像を前記検査装置の取得画像よりも分解能の高い欠陥画像を撮像する観察装置において、
当該観察装置は、前記欠陥ファイルに含まれる任意の欠陥の位置情報と、当該位置情報を撮像して得られる欠陥の位置情報から、前記欠陥ファイルに登録された欠陥の位置情報を取得した装置の座標系と自装置の座標系のマッチングを行うファインアライメント機能を備え、
前記撮像を実行する走査電子顕微鏡と、
前記座標マッチングを実行する制御ユニットと、
前記ファインアライメントに使用する欠陥の位置に欠陥が存在しなかった場合には、当該欠陥に該当すると考えられる周囲の欠陥の画像を表示する表示画面を有する管理コンソールとを備えたことを特徴とする観察装置。
【請求項2】
請求項1に記載の観察装置において、
前記管理コンソールは、前記欠陥ファイルに登録された欠陥に対応する妥当な欠陥を前記表示された周囲の欠陥画像から選択するポンティングデバイスを備え、
前記表示画面上に、前記周囲の欠陥のサムネイル画像と欠陥IDとが一覧表示されることを特徴とする観察装置。
【請求項3】
請求項2に記載の観察装置において、
前記サムネイル画像と欠陥IDに加えて、前記欠陥の特徴量も表示されることを特徴とする観察装置。
【請求項4】
請求項1に記載の観察装置において、
前記周囲の欠陥の画像に替えて、前記周囲の欠陥がマップ表示されることを特徴とする観察装置。
【請求項5】
請求項1に記載の観察装置において、
前記ファインアライメントに使用する欠陥の位置の周囲をサーチアラウンドすることにより、前記周囲の欠陥の画像を取得することを特徴とする観察装置。
【請求項6】
欠陥ファイルに登録された所定試料上の欠陥の位置情報を用いて、当該欠陥位置の画像を前記検査装置の取得画像よりも分解能の高い欠陥画像を撮像する観察装置において、
当該観察装置は、前記欠陥ファイルに含まれる任意の欠陥の位置情報と、当該位置情報を撮像して得られる欠陥の位置情報から、前記欠陥ファイルに登録された欠陥の位置情報を取得した装置の座標系と自装置の座標系のマッチングを行うファインアライメント機能を備え、
前記撮像を実行する走査電子顕微鏡と、
前記座標マッチングを実行する制御ユニットと、
前記走査電子顕微鏡で撮像された画像を用いて前記欠陥の欠陥特徴量を求め、当該欠陥の欠陥分類を実行する欠陥分類ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、
前記ファインアライメントに使用する欠陥の位置に欠陥が存在しなかった場合には、前記欠陥特徴量を用いて、前記欠陥ファイルから前記欠陥に該当すると考えられる欠陥を抽出して前記ファインアライメントに使用する欠陥として登録することを特徴とする観察装置。
【請求項7】
請求項6に記載の観察装置において、
前記欠陥特徴量として、前記欠陥の欠陥サイズ,欠陥の種別情報,前記抽出された欠陥の位置と前記存在しなかった欠陥の前記欠陥ファイル上での位置との距離,前記欠陥の画像に含まれる背景パターンまたは欠陥の濃淡情報のいずれか一つ以上を用いることを特徴とする観察装置。
【請求項8】
請求項6に記載の観察装置において、
前記ファインアライメントに使用する欠陥の位置の周囲を、欠陥が2つ以上検出されるまでサーチアラウンドすることにより、前記周囲の欠陥の画像を取得することを特徴とする観察装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate