説明

欠陥検出装置、欠陥検出方法、欠陥検出プログラム、および、それを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】欠陥検出速度を犠牲にすることなく高い欠陥検出精度でフラットパネルの欠陥を検出し得る欠陥検出装置を実現することにある。
【解決手段】欠陥検出装置としてのフラットパネル検査システム100は、フラットパネル200を撮像して得られた画像データに基づいてフラットパネル200の欠陥領域を特定する画像処理部104を備えている。画像処理部104は、上記画像データにおける各画素の濃淡値から、画素列毎の平均濃淡値を減算し、得られた差分値に対して閾値処理を行って欠陥領域を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理により画像表示パネルの欠陥検出を行う欠陥検出装置、欠陥検出方法、欠陥検出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、あるいは、液晶プロジェクタ等の画像表示装置に用いられるフラットパネルの品質を検査するために、画像処理により欠陥を検出する技術が広く利用されている。フラットパネルに発生し得る欠陥としては、(1)フラットパネルを構成する各絵素の不良に起因する点欠陥、および、(2)信号ラインの接触不良、隣接信号ライン間の短絡、あるいは、駆動ドライバ素子の不良等に起因する線欠陥が挙げられ、これらの欠陥を適切に検出する必要がある。
【0003】
これらの欠陥を検出するための手法としては、所定の表示パターンを表示させたフラットパネルを撮像し、得られた画像データに画像処理を施すことにより欠陥を検出する方法が一般的である。画像データからフラットパネルの欠陥を検出するための代表的な画像処理としては、所定の閾値以上の輝度を有する画素に対応するフラットパネル上の被撮像領域を輝点欠陥(欠陥により規定値より明るく表示される絵素)として検出し、また、所定の閾値以下の輝度を有する画素に対応するフラットパネル上の被撮像領域を黒点欠陥(欠陥により規定値より暗く表示される絵素)として検出するものが挙げられる。
【0004】
しかしながら、大型のフラットパネルを検査対象とする場合、該フラットパネルを撮像して得られた画像データにおいて、画像周辺部の濃淡値が低下するシェーディングが発生する。シェーディングが発生する主な要因としては、撮像に用いるカメラレンズの収差、および、被撮像領域の位置に応じたカメラレンズ・被撮像領域間の距離の変動などが挙げられる。また、検査対象のフラットパネルが透過型液晶パネルである場合、液晶パネル全体の輝度ムラが、バックライトの配置に応じて現れる。
【0005】
図13は、フラットパネル200を撮像して得られる画像データにおけるシェーエディングの様子を説明するための説明図である。図13の上部に描いたグラフは、フラットパネル200を撮像して得られる画像データのうち、フラットパネル200上の図示した直線aa´に対応する画素行の濃淡値のプロファイル(各画素の濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)を示している。また、図13の左側に描いたグラフは、フラットパネル200上の直線bb’に対応する画素列の濃淡値のプロファイルを示している。
【0006】
ここで、実線で描いたグラフD1とD2とは、それぞれ白点灯パターンを表示している正常なフラットパネル200を撮像して得られるものであり、点線で描いたグラフD1’とD2’とは、白点灯パターンより輝度を下げて全点灯させた正常なフラットパネル200を撮像して得られるものである。これらのグラフから見て取れるように、正常なフラットパネル200を撮像して得られた画像データであっても、シェーディングにより、画像中心部の濃淡値が高く、画像端部の濃淡値が低い画像データとなる。このため、フラットパネル200を撮像して得られる画像データにおいて、欠陥によって輝度が低下した領域を撮像した画素とシェーディングにより濃淡値が低下している画素とを閾値処理により区別することが困難になる。なお、グラフD1’とD2’とからわかるように、暗いパターンを表示させた場合、フラットパネル200全体の輝度が下がるため、シェーディング量も相対的に小さいものとなる。
【0007】
図13ではさらに、バックライトの配置に応じて起こりえる輝度ムラの発生状態も示している。グラフD1”は、白点灯パターンを表示している透過型液晶パネルを撮像して得られる画像データにおける濃淡値の変化を示したものである。透過型液晶パネルを検査対象とする場合、蛍光管等のバックライトを透過型液晶パネルの背面に複数配置する必要があり、バックライト直上を撮像した画素の濃淡値は比較的高くなる一方、バックライトとバックライトとの中間位置では濃淡値が下がる傾向が現れる。
【0008】
従って、単にフラットパネルを撮像した画像データを用いる欠陥検出では、検査対象であるフラットパネルが大型化するにつれて検査精度が低下する。そこで、フラットパネルを撮像した画像データにシェーディング補正を施し、補正後の画像データに基づいて欠陥検出を行う検査方法が用いられている。シェーディング補正の方法としては、大型の平滑化フィルタを用いてシェーディング量を計算し、加減算処理等により撮像画像からシェーディングを取り除くという手法が一般的である。シェーディング補正のための平滑化フィルタとしては、通常、各画素の濃淡値を周囲10数画素×10数画素〜50数画素×50数画素程度の濃淡値から算出する大型画素サイズの平滑化フィルタが用いられる。
【0009】
しかしながら、上記大型画素サイズの平滑化フィルタを用いてシェーディング補正を行う場合、(1)平滑化フィルタの画素サイズが大きくなればなる程、画像端部におけるフィルタ演算の演算精度が低下する、(2)平滑化フィルタの画素サイズが大きくなればなる程、フィルタ処理のための演算量が増大し、処理速度が低下する、という問題を招来する。
【0010】
上記1つ目の問題点について、図14を参照しながら説明する。図14に示したように、フラットパネル200を撮像して得られた画像データに対して平滑化フィルタによるフィルタ処理を施す場合、フラットパネル200の端部200xに対応する画素群Dxの濃淡値を算出するためには、フラットパネル200外部に対応する周辺画素群Dyの濃淡値を用いる必要が生じる。しかしながら、周辺画素群Dyの濃淡値は、フラットパネルの輝度とは無関係に定まるものであるため、これらの画素群に対して仮想的な濃淡値を代入した上でフィルタ処理演算を行う必要が生じる。このため、フラットパネル端部200xに対応する画素群Dxについては、平滑化フィルタの演算精度が低下する。
【0011】
以上のことから、点・線欠陥の検出精度を向上させるためには、シェーディング補正を行う必要があるが、大型画素サイズの平滑化フィルタを用いた従来のシェーディング補正では、フラットパネル端部に対する検査精度を確保することが困難であり、また、検査速度の向上が困難であるという問題が生じていた。そこで、シェーディング補正に代わる欠陥検出方法、あるいは、平滑化フィルタを用いずにシェーディング補正を行う欠陥検出方法が必要とされる。
【0012】
特許文献1には、全点灯パターンを表示させた液晶パネルを撮像して得られた全点灯画像と、全消灯パターンを表示させた液晶パネルとを撮像して得られた全消灯画像との差分画像を用いることにより、シェーディング補正を行わずに、輝点欠陥と黒点欠陥とを検出する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術について、図15と図16とを参照してさらに詳しく説明すれば以下のとおりである。
【0013】
図15は、特許文献1に記載の検査装置の要部構成を示したブロック図である。図15に示したように、まず、全点灯パターンを表示させた液晶パネルを撮像して得られた全点灯画像と、全消灯パターンを表示させた液晶パネルとを撮像して得られた全消灯画像とが、それぞれ、全点灯パターン画像メモリ51と全消灯パターン画像メモリ52とに格納される。続いて、全点灯パターン画像メモリ51と全消灯パターン画像メモリ52とに格納された画像データの差分画像が画像比較回路53により生成される。そして、生成された差分画像は、平滑化処理部54により平滑化された上で、黒点欠陥検出用2値化回路部55と輝点欠陥検出用2値化回路部56とに供給される。
【0014】
黒点欠陥検出用2値化回路部55は、平滑化された差分画像のうち、所定の閾値以下の濃淡値を有する画素に画素値1を割り当てた2値化データを生成し、輝点欠陥検出用2値化回路部56は、平滑化された差分画像のうち、所定の閾値以上の濃淡値を有する画素に画素値1を割り当てた2値化データを生成する。比較検出回路57は、これら2つの2値化データに対し論理和を取る。画像切出し部59は、比較検出回路57にて得られた画像データと、マスクパターン画像メモリ58に格納された、実際の検出有効領域を特定するマスクパターン画像との論理積を取り、検出有効領域のみの欠陥画像を得る。次に、ノイズ除去処理部60により、欠陥画像に対して膨張・収縮処理等の画像フィルタを用いたノイズ除去処理を行う。領域検出回路部61は、欠陥部分の特徴量から欠陥領域を抽出し、判定処理部62が、最終的な良否の判定を行う。
【0015】
図16は、上記従来の検査装置の作用を説明するためのものであり、上記各部による処理が施された画像データを示す説明図である。画像データ70と画像データ71とは、それぞれ、全点灯パターンと全消灯パターンとを表示させた液晶パネルを撮像して得られる、全点灯画像と全消灯画像とである。図面中、濃淡値が高い領域は、平行斜線で示されている。すなわち、全点灯画像70では、領域75a・bに黒点欠陥が存在し、全消灯画像71では、領域75cに輝点欠陥が存在している。画像データ72は、全点灯画像と全消灯画像との差分画像に、平滑化処理・2値化処理・論理和の上記各処理を施して得られる画像データである。73はマスクパターン画像であり、検出有効領域76が指定されている。画像74は、画像データ72とマスクパターン画像73との論理積をとって得られる画像データである。画像データ74から、欠陥領域75a〜cを特定することができる。
【0016】
また、特許文献2には、大型画像サイズのフィルタ処理によらずにシェーディング補正を行い、検査対象パネルの線欠陥を精度良く検出する技術が記載されている。当該従来技術におけるシェーディング補正は、検査対象パネルを撮像して得られる画像データから予め作成された基準画像の画像データを減算することにより行われる。この基準画像は、欠陥のない良品のフラットパネルを複数撮像して得られた画像データを平均化し、該画像データを平滑化フィルタにて平滑化することにより得られるものである。
【0017】
特許文献2に記載の技術において、シェーディング補正が施された被補正後画像から線欠陥を検出する方法は以下のとおりである。すなわち、被補正画像に対し、水平方向および垂直方向のエッジ検出フィルタ(水平及び垂直方向の微分系フィルタ)処理を施し、方向毎に得られたフィルタ処理結果を積算する。さらに、フラットパネルの絵素部分と絵素間の非表示領域との輝度値の差により発生する濃淡値の変動を抑制するため、上記積算により得られた画像データに対して移動平均フィルタ等を用いて平坦化を行い、得られた画像データにおける濃淡値のピークから特徴量を算出することにより、線欠陥を検出する。
【特許文献1】特開平7−175442(公開日:平成7年年7月14日)
【特許文献2】特開2005−172559(公開日:平成17年6月30日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来の欠陥検出装置においては、検査対象となるフラットパネルが大型化するにつれ、欠陥検出精度または欠陥検出速度のうち少なくとも何れか一方が低下してしまうという問題があった。
【0019】
上記問題について、もう少し詳しく説明すれば以下の通りである。
【0020】
上述したように、フラットパネルを撮像して得られる画像データにおいては、シェーディングによりフラットパネル周辺部に対応する画素で濃淡値の低下が起こる。従って、この濃淡値の低下を補正するシェーディング補正を行う必要が生じる。しかし、この場合、大型画素サイズの平滑化フィルタ等を用いる必要があるため、欠陥検出速度の低下やフラットパネル端部に対する欠陥検出精度の悪化という問題を招来する。
【0021】
また、フラットパネルを撮像して得られた画像データにおいては、絵素に対応する画素の濃淡値と絵素間の非表示領域に対応する画素の濃淡値との間で不連続な変化が生じ得る。このため、画像データ全体に対して単一の閾値を用いる2値化処理では、処理結果が安定しないという問題を生じる。
【0022】
また、フラットパネルに全点灯パターンと全消灯パターンとを表示させ、それぞれの状態のフラットパネルを撮像して得られる2枚の画像の差分画像に基づいて欠陥検出を行う特許文献1に記載の技術では、撮像時間が余分にかかり欠陥検出速度が低下するという問題があった。特に大型画素サイズのフラットパネルを撮像する場合、エリアセンサタイプの撮像装置では、フラットパネル全体を複数の領域に分割して撮像する必要がある。
また、ラインセンサタイプの撮像装置では、撮像装置またはフラットパネルをステージ機構で移動させながら撮像するので、画像データを生成するために数秒の撮像時間が必要となる。このため、上記検査速度の低下は深刻なものとなる。
【0023】
さらに、上記差分画像におけるシェーディング量は、単に全点灯パターンを表示させたフラットパネルを撮像して得られる画像データと比べて小さくなるものの、完全になくなる訳ではない。これは、全点灯パーンを撮像した画像データと前照灯パターンを撮像した画像データとではシェーディング量が異なるため、差分をとってもシェーディング量を完全に打ち消すことはできないためである。従って、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、検査精度を向上させるためには、結局シェーディング補正が必要になり、やはり欠陥検出速度の低下が起こる。
【0024】
また、シェーディング補正用基準画像を用いて補正を行う特許文献2に記載の技術では、予め良品のフラットパネルを撮像した画像を複数サンプリングし、これらの画像を用いて補正用基準画像を生成する必要がある。しかし、補正用基準画像を作成するために良品のフラットパネルを撮像する時点と、実際に欠陥検出を行う時点とでは、バックライトや外部照明等の経年変化や、計測装置のメンテナンス等により撮像条件が変化し得る。従って、常に良好な検査結果を得るためには、撮像条件が変わる度に補正用基準画像を作成する必要が生じるという問題がある。
【0025】
さらに、特許文献2に記載の技術では、エッジ検出用の微分系フィルタを用いて線欠陥検出を行う。しかしながら、微分系フィルタは、フラットパネルの絵素部分と絵素間の非表示部分との輝度値のギャップが要因で発生する濃淡値の差を拾いやすいため、この濃淡値の差を抑制する平滑化フィルタによる前処理を行う必要が生じる。しかし、この平滑化フィルタは、フラットパネルの欠陥に基づく濃淡値の差も平滑化してしまうため、欠陥検出精度が低下する要因となり得る。
【0026】
また、フラットパネルを撮像して得られる画像データにおいて発生し得るモアレを軽減するためには、フラットパネル1絵素あたり8〜10画素平方程度の解像度にて撮像を行う必要がある。しかし、フラットパネルが大型化するにつれて、このような解像度で撮像して欠陥検出を行うことは、処理速度および装置コストの面から現実的ではなくなる。そこで、上記解像度より低い解像度でフラットパネルを撮像することになるが、そうすると、モアレの影響による欠陥検出精度の低下を招来する。
【0027】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、欠陥検出速度を犠牲にすることなく高い欠陥検出精度でフラットパネルの欠陥を検出し得る欠陥検出装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の欠陥検出装置は、上記課題を解決するために、画像表示パネルを撮像して得られた画像データに基づいて該画像表示パネルにおける欠陥領域を特定する画像処理手段を備えた欠陥検出装置であって、上記画像処理手段は、上記画像データにおける各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出する第1の平均濃淡値算出手段と、上記画像データにおける各画素の濃淡値から該画素を含む画素列の上記平均濃淡値を減算し、差分値を算出する第1の差分値算出手段と、上記第1の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第1の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として特定する第1の欠陥領域特定手段と、を含んでいることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、上記画像データにおける各画素行の濃淡値が、上記画像表示パネルの欠陥以外の理由で変動するものであったとしても、該変動が画素行毎に一様な変動であれば、該濃淡値から画素列毎の平均濃淡値を減算することにより、上記濃淡値から該変動分を取り除くことができる。従って、上記差分値は、上記画像表示パネルの欠陥に対応する部分でのみ大きな絶対値を持つことになる。
【0030】
画像表示パネルの欠陥以外の理由で起こり得る、上記画像データにおける画素行毎の濃淡値の変動としては、シェーディングが挙げられる。さらに、上記画像表示パネルがカラー画像表示用パネルである場合、上記変動の例として、該画像表示パネルの各絵素列に割り当てられる色の違い(輝度の違い)に起因する濃淡値の変動が挙げられる。また、上記変動の他の例としては、上記画像データの解像度が一定の値よりも低い場合に発生し得る、モアレに起因する濃淡値の変動、および、画像データの解像度が一定の値よりも高い場合に発生し得る、画像表示パネルの表示領域(絵素部分)と非表示領域(絵素間領域)とに対応する画素間の濃淡値の不連続な変動等が挙げられる。
【0031】
従って、上記構成によれば、一般に、シェーディングの影響を排除した上で、閾値処理による欠陥特定を行うことができるので、欠陥検出精度を高めることができるという効果を奏する。しかも、シェーディングの影響を排除するために、大型画素サイズの平滑化フィルタを使用する必要は最早ないので、高速な欠陥検出を行うことができるという効果を奏する。
【0032】
さらに、上記構成によれば、シェーディングの除去と同時に、各絵素列に割り当てられる色の違い、モアレ、および、非表示領域に起因する画素行毎の濃淡値の変動成分も同時に取り除くことができる。従って、上記構成によれば、カラー画像表示用パネルの欠陥検出、モアレが発生するような低解像度の画像データを用いた欠陥検出、および、非表示領域を解像し得る高解像度の画像データを用いた欠陥検出のいずれにも対応することが可能な欠陥検出装置を実現することができる。
【0033】
なお、上記画像表示パネルが垂直方向と水平方向とに配列された絵素を含んで構成されている場合、上記画像データは、上記画像表示パネルの垂直方向が上記画素列方向と一致するように撮像されたものであっても良いし、あるいは、上記画像表示パネルの水平方向が上記画素列方向と一致するように撮像されたものであっても良い。さらに、上記画像データは、上記画像表示パネルの垂直方向または水平方向の何れか一方が上記画素列方向と厳密にあるいは近似的に一致するように撮像されたものであることが好ましいが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0034】
なお、上記第1の閾値は正の値であり、上記欠陥領域特定手段は、上記差分値が当該第1の閾値より大きいとき、その画素が輝点欠陥に対応する画素であることを特定する構成としても良い。また、上記第1の閾値は負の値であり、上記欠陥領域特定手段は、上記差分値が当該第1の閾値より小さいとき、その画素が黒点欠陥に対応する画素であることを特定する構成としても良い。
【0035】
本発明の欠陥検出装置においては、上記画像処理手段は、上記画像データにおいて上記画素列と直交する各画素行について、該画素行に属する画素群の平均濃淡値を算出する第2の平均濃淡値算出手段と、上記画像データにおける各画素の濃淡値から該画素を含む画素行の上記平均濃淡値を減算し、差分値を算出する第2の差分値算出手段と、上記第2の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第2の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として特定する第2の欠陥領域特定手段と、を更に含んでいる、ことが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、上記画像データにおける各画素列の濃淡値が、上記画像表示パネルの欠陥以外の理由で変動するものであったとしても、該変動が画素列毎に一様な変動であれば、該濃淡値から画素行毎の平均濃淡値を減算することにより、上記差分値から該変動分を取り除くことができる。従って、上記差分値は、上記画像表示パネルの欠陥に対応する部分でのみ大きな絶対値を持つことになる。
【0037】
上述したとおり、上記画像データにおいて画素行毎に一様に生じる濃淡値の変動は上記第1の差分値算出手段により除去される。そして、上記構成によれば、さらに、上記画像データにおける画素列毎に一様に生じる濃淡値の変動が上記第2の差分手段により除去される。
【0038】
従って、上記の構成によれば、画像表示パネルの欠陥以外の理由で起こり得る、上記画像データにおける濃淡値の変動が画素行毎の一様性または画素列毎の一様性のうち少なくとも一方を有しているものであれば、上記第1の欠陥領域特定手段または上記第2の欠陥領域特定手段のうち何れか一方は、欠陥以外の理由で起こりえる濃淡値の上記変動の影響を受けることなく正しく上記画像表示パネルの欠陥領域を特定し得る。
【0039】
従って、上記構成によれば、さらに確実に、上記画像表示パネルの欠陥領域を特定し得る欠陥検出装置を実現することができるという効果を奏する。
【0040】
本発明の欠陥検出装置においては、上記画像処理手段は、上記画像データにおける各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出する第3の平均濃淡値算出手段と、各画素列の上記平均濃淡値と基準濃淡値との差分値を算出する第3の差分値算出手段と、上記第3の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定めれた第3の閾値以上になる画素列に対応する上記画像表示パネルの画像表示パネルの被撮像領域を線欠陥領域として特定する線欠陥領域特定手段と、を更に含んでいる、ことが好ましい。
【0041】
上記画像データのある画素列に対応する上記画像表示パネル上の被撮像領域に線欠陥がある場合、当該画素列の平均濃淡値は、その他の画素列の平均濃淡値に比べて一段と高い(輝線欠陥の場合)あるいは一段と低い(黒線欠陥の場合)値となる。従って、画素列毎の平均濃淡値と上記基準値との差分値に閾値処理を施す上記構成によれば、上記画像表示パネル上の線欠陥領域に対応する画素群を特定することができる。従って、上記構成によれば、画像表示パネル上の線欠陥領域を検出できるようになるという更なる効果を奏する。
【0042】
なお、上記基準濃淡値は、上記画像表示パネルの特性、および、上記画像表示パネルを撮像して上記画像データを生成する撮像装置の特性に応じて予め特定され、当該欠陥検出装置に記憶された特定の値でも良いし、あるいは、上記第3の平均濃淡値算出手段により算出された画素行毎の平均濃淡値から特定のアルゴリズムにより算出される可変な値であっても良い。
【0043】
本発明の欠陥検出装置においては、上記画像処理手段は、上記画像データにおいて上記画素列と直交する各画素行について、該画素行に属する画素群の平均濃淡値を算出する第4の平均濃淡値算出手段と、各画素行の上記平均濃淡値と基準濃淡値との差分値を算出する第4の差分値算出手段と、上記第4の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定めれた第4の閾値以上になる画素行に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を線欠陥領域として特定する線欠陥領域特定手段と、を更に含んでいることが好ましい。
【0044】
上記画像データのある画素行に対応する上記画像表示パネル上の被撮像領域に線欠陥がある場合、当該画素行の平均濃淡値は、その他の画素列の平均濃淡値に比べて一段と高い(輝線欠陥の場合)あるいは一段と低い(黒線欠陥の場合)値となる。従って、画素列毎の平均濃淡値と上記基準値との差分値に閾値処理を施す上記構成によれば、上記画像表示パネル上の線欠陥領域に対応する画素群を特定することができる。従って、上記構成によれば、画像表示パネル上の線欠陥領域を検出できるようになるという更なる効果を奏する。
【0045】
なお、上記基準濃淡値は、上記画像表示パネルの特性、および、上記画像表示パネルを撮像して上記画像データを生成する撮像装置の特性に応じて予め特定され、当該欠陥検出装置に記憶された特定の値でも良いし、あるいは、上記第3の平均濃淡値算出手段により算出された画素行毎の平均濃淡値から特定のアルゴリズムにより算出される可変な値であっても良い。
【0046】
本発明の欠陥検出装置は、上記画像表示パネルにカラー画像を表示させるための表示用信号であって、上記画像表示パネルを撮像して得られる上記画像データにおいて色毎に濃淡値の偏りが生じないよう調整された表示用信号を生成する表示用信号生成手段を更に備えていることが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、上記画像表示パネルには、上記画像表示パネルを撮像して得られる上記画像データにおいて色毎に濃淡値の偏りが生じないよう調整された表示用信号が供給されるので、上記画像データにおいては、画像表示パネルの絵素の色毎の輝度の違いに起因する濃淡値の揺らぎが生じない。従って、上記構成によれば、上記表示用信号生成手段を除いて、モノクロ画像表示用パネルを検査する場合と全く同様の構成でカラー画像表示用画像表示パネルを検査することができる。従って、上記構成によれば、モノクロ画像表示用パネルと、カラー画像表示用パネルの双方に対応する欠陥検出装置を、低コストに実現できるという更なる効果を奏する。
【0048】
本発明の欠陥検出装置においては、上記画像データは、該画像データの各画素に対応する上記画像表示パネル上の被撮像領域の一辺の長さが、上記画像表示パネルを構成する絵素の一辺の長さの1/2倍以上となる解像度で撮像されたものである、ことが好ましい。
【0049】
上記構成によれば、欠陥検出精度を犠牲にすることなく、小さな画像サイズの画像データによって欠陥検出を行うことができるので、欠陥検出速度の高速化、および、装置コストの低減を図ることができるという更なる効果を奏する。
【0050】
本発明の欠陥検出装置においては、上記画像データは、該画像データの各画素に対応する上記画像表示パネル上の被撮像領域の一辺の長さが、上記画像表示パネルにおける絵素間距離以下となる解像度で撮像されたものである、ことが好ましい。
【0051】
上記構成によれば、上記画像表示パネルの絵素間に存在する非表示領域を確実に抽出することができるため、非表示領域を除去するためのマスク画像を生成することができ、絵素部分の欠陥検出精度を向上させることができるという更なる効果を奏する。
【0052】
本発明の欠陥検出装置においては、上記画像データは、上記画像表示パネルを区分して得られる各小部分を撮像した画像データであることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、上記画像表示パネルを撮像する撮像手段に対し、上記画像表示パネルが回転している場合でも、すなわち、上記画像表示パネル上で一直線上に並んだ絵素群(同一絵素列、あるいは、同一絵素行に属する絵素群)を、該画像表示パネルパネルを撮像して得られる画像データ上で、一直線上に並んだ画素群(同一画素列、あるいは、同一画素行に属する画素群)で撮像することができない場合でも、この回転による悪影響を低減することができる。従って、撮像装置の取り付け精度、あるいは、該撮像装置により撮像される上記画像表示パネルの設置精度を緩和することが可能になるという効果を奏する。
【0054】
本発明の欠陥検出装置は、上記画像データを記憶する画像データ記憶部と、上記画像処理手段に含まれる上記各手段の機能を実現するためのプログラムの命令を実行するプログラム実行部と、を備えて構成され得る。
【0055】
本発明の欠陥検出方法は、上記課題を解決するために、画像表示パネルを撮像して得られた画像データを処理し、該画像表示パネルの欠陥を検出する画像処理工程を含む欠陥検出方法であって、上記画像解析工程は、上記画像データにおける各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出する第1の平均濃淡値算出工程と、上記画像データにおける各注目画素の濃淡値と該注目画素を含む画素列の上記平均濃淡値との差分値を算出する第1の差分値算出工程と、上記第1の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第1の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として検出する欠陥領域検出工程と、を含んでいることを特徴としている。
【0056】
上記の構成によれば、上記画像データにおける各画素行の濃淡値が、上記画像表示パネルの欠陥以外の理由で変動するものであったとしても、該変動が画素行毎に一様な変動であれば、該濃淡値から画素列毎の平均濃淡値を減算することにより、上記濃淡値から該変動分を取り除くことができる。従って、上記差分値は、上記画像表示パネルの欠陥に対応する部分でのみ大きな絶対値を持つことになる。
【0057】
画像表示パネルの欠陥以外の理由で起こり得る、上記画像データにおける画素行毎の濃淡値の変動としては、シェーディングが挙げられる。さらに、上記画像表示パネルがカラー画像表示用パネルである場合、上記変動の例として、該画像表示パネルの各絵素列に割り当てられる色の違い(輝度の違い)に起因する濃淡値の変動が挙げられる。また、上記変動の他の例としては、上記画像データの解像度が一定の値よりも低い場合に発生し得る、モアレに起因する濃淡値の変動、および、画像データの解像度が一定の値よりも高い場合に発生し得る、画像表示パネルの表示領域(絵素部分)と非表示領域(絵素間領域)とに対応する画素間の濃淡値の不連続な変動等が挙げられる。
【0058】
従って、上記構成によれば、一般に、シェーディングの影響を排除した上で、閾値処理による欠陥特定を行うことができるので、欠陥検出精度を高めることができるという効果を奏する。しかも、シェーディングの影響を排除するために、大型画素サイズの平滑化フィルタを使用する必要は最早ないので、高速な欠陥検出を行うことができるという効果を奏する。
【0059】
さらに、上記構成によれば、シェーディングの除去と同時に、各絵素列に割り当てられる色の違い、モアレ、および、非表示領域に起因する画素行毎の濃淡値の変動成分も同時に取り除くことができる。従って、上記構成によれば、カラー画像表示用パネルの欠陥検出、モアレが発生するような低解像度の画像データを用いた欠陥検出、および、非表示領域を解像し得る高解像度の画像データを用いた欠陥検出のいずれにも対応することが可能な欠陥検出装置を実現することができる。
【0060】
なお、上記画像表示パネルが垂直方向と水平方向とに配列された絵素を含んで構成されている場合、上記画像データは、上記画像表示パネルの垂直方向が上記画素列方向と一致するように撮像されたものであっても良いし、あるいは、上記画像表示パネルの水平方向が上記画素列方向と一致するように撮像されたものであっても良い。さらに、上記画像データは、上記画像表示パネルの垂直方向または水平方向の何れか一方が上記画素列方向と厳密にあるいは近似的に一致するように撮像されたものであることが好ましいが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0061】
なお、上記第1の閾値は正の値であり、上記欠陥領域特定手段は、上記差分値が当該第1の閾値より大きいとき、その画素が輝点欠陥に対応する画素であることを特定する構成としても良い。また、上記第1の閾値は負の値であり、上記欠陥領域特定手段は、上記差分値が当該第1の閾値より小さいとき、その画素が黒点欠陥に対応する画素であることを特定する構成としても良い。
【0062】
なお、上記画像処理手段は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記画像処理手段をコンピュータにて実現させる画像処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0063】
以上のように、本発明の欠陥検出装置は、画像表示パネルを撮像して得られた画像データに基づいて該画像表示パネルにおける欠陥領域を特定する画像処理手段を備えた画像表示パネル欠陥検出装置であって、上記画像処理手段は、上記画像データにおける各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出する第1の平均濃淡値算出手段と、上記画像データにおける各画素の濃淡値から該画素を含む画素列の上記平均濃淡値を減算し、差分値を算出する第1の差分値算出手段と、上記第1の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第1の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として特定する第1の欠陥領域特定手段と、を含んでいる。
【0064】
また、以上のように、本発明の欠陥検出方法は、画像表示パネルを撮像して得られた画像データを処理し、該画像表示パネルの欠陥を検出する画像処理工程を含む欠陥検出方法であって、上記画像解析工程は、上記画像データにおける各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出する第1の平均濃淡値算出工程と、上記画像データにおける各注目画素の濃淡値と該注目画素を含む画素列の上記平均濃淡値との差分値を算出する第1の差分値算出工程と、上記第1の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第1の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として検出する欠陥領域検出工程と、を含んでいる。
【0065】
従って、上記構成によれば、シェーディングの影響を排除した上で、閾値処理による欠陥特定を行うことができるので、欠陥検出精度を高めることができるという効果を奏する。しかも、シェーディングの影響を排除するために、大型画素サイズの平滑化フィルタを使用する必要は最早ないので、高速な欠陥検出を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
本発明の欠陥検出装置に関する実施の一形態について、図1〜図12に基づいて説明すれば以下のとおりである。
〔フラットパネル検査システムの構成〕
図1は、本実施の形態に係るフラットパネル検査システム100(欠陥検出装置)の概略構成を示した概略構成図である。図1に示したフラットパネル200は、フラットパネル検査システム100が検査を行う検査対象であり、例えば、液晶表示パネルである。
【0067】
図1に示したように、フラットパネル検査システム100は、撮像装置101、画像入力部102、画像メモリ103、画像処理部104、統括管理部105、計測制御部106、パターンジェネレータ107、パネル駆動・制御回路部108、および、バックライト制御部109を備えている。以下、上記各部について説明する。
【0068】
撮像装置101は、フラットパネル200の一部、あるいは、全部を撮像するための手段であり、例えば、エリアセンサカメラやラインセンサカメラである。撮像装置101が撮像した画像データは、画像入力部102に渡される。画像入力部102は、撮像装置101から得た画像信号を、画像処理部103が処理可能な画像データに変換し、該画像データを画像メモリ103に格納する。具体的には、画像入力部102は、撮像装置101から得た画像信号をA/D変換し、各画素に量子化(デジタル化)された濃淡値が割り当てられた画像データを、画像メモリ103に格納する。画像メモリ103に格納された画像データは、任意のタイミングで、画像処理部104により参照され得る。画像処理部104は、画像メモリ103に格納された画像データに対して、フラットパネル200の欠陥を検出するための画像処理を行う。画像処理部104が行う画像処理の詳細については、後述する。画像処理部104は、処理結果を特徴量として統括管理部104に渡す。統括管理部104は、画像処理部104から得た特徴量に基づいて、フラットパネル200の良否判定を行い、結果を出力する。
【0069】
計測制御部106、パターンジェネレータ107、パネル駆動・制御回路部108、および、バックライト制御部109は、検査対象であるフラットパネル200を制御し、検査に適した状態に維持するための構成である。パターンジェネレータ107は、フラットパネル200に供給する所定の表示信号を生成する。パターンジェネレータ107が生成する表示信号については、後述する。パターンジェネレータ107により生成された表示信号は、パネル駆動・制御回路部108に渡される。パネル駆動・制御回路部108は、パターンジェネレータ107から得た表示信号に基づいてフラットパネル200を駆動・制御し、フラットパネル200に所定の映像パターンを表示させる。バックライト制御部109は、フラットパネル200のバックライトとなるパネル照明を点灯させる。なお、バックライト制御部109は、検査対象となるフラットパネル200が透過型液晶パネルである場合に必要となる構成であり、省略することも可能である。また、バックライト制御部109が制御するパネル照明は、フラットパネル200に搭載されたバックライトであっても良い。あるいは、フラットパネル200にバックライトが搭載されていない場合には、フラットパネル検査システム100がバックライトとなるパネル照明(不図示)を備え、バックライト制御部109が当該パネル照明を制御する構成としても良い。計測制御部106は、上記各部を制御する。具体的には、検査開始時に、(1)所定の表示信号を生成するようパターンジェネレータ107を制御し、(2)当該表示信号に基づいてフラットパネル200の駆動を開始するようパネル駆動・制御回路108を制御し、同時に、必要に応じて、(3)パネル照明の点灯を開始するようバックライト制御部109を制御する。
〔画像処理部104による欠陥検出の原理〕
次に、上述した画像処理部104(図1)による欠陥検出の原理について、図3を参照しながら説明する。図3は、フラットパネル200(図1)の構成と、該フラットパネル200を撮像して得られた画像データにおける濃淡値のプロファイルを示した説明図である。なお、図3では、図面を簡略化するために、フラットパネル200は、4行12列の絵素配列からなるものとし、絵素200aに輝点欠陥が、絵素200bに黒点欠陥があるものとしている。
【0070】
図3上部に実線で示したグラフM1は、上記フラットパネル200を撮像して得られた画像データにおける、画素列毎の平均濃淡値のプロファイル(各画素列に属する画素の平均濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)を示している。ここで、黒点欠陥絵素200aや輝点欠陥絵素200bが存在しても、画素列毎の平均濃淡値M1は周期的に変動し、これら点欠陥の影響は現れていない点に注意されたい。これは、図3ではフラットパネル200は4×12絵素からなるものとして図面を簡略化しているが、実際のフラットパネル200は数百〜数千絵素平方程度の絵素数を有するものであり、特定の画素列に数個の欠陥絵素(点欠陥)があったとしても、画素列毎の平均濃淡値M1に与える影響は僅かなものに過ぎないためである。
【0071】
図3の直線aa´は、欠陥絵素200a・b上を通り、フラットパネル200の水平方向に平行に引かれた直線である。図3上部に点線で示されたグラフDaa´は、上記画像データにおいてこの直線aa´に対応する画素行の濃淡値のプロファイル(各画素の濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)を示している。図3に示したとおり、欠陥絵素200a・bに対応する画素列以外では、平均濃淡値M1と濃淡値Daa´とが良く一致する。一方、輝点欠陥200aに対応する画素列では、濃淡値Daa´が平均濃淡値M1より大きくなり、黒点欠陥200bに対応する画素列では、濃淡値Daa´が平均濃淡値M1より小さくなる。従って、濃淡値Daa´から平均濃淡値M1を減算して得られる差分値Daa´−M1の大きさは、図3に示したように、欠陥絵素200a・bに対応する画素列でのみ、一定の値より大きくなる。
【0072】
そこで、差分値Daa´−M1の大きさを所定の閾値で2値化すれば、欠陥絵素200a・bに対応する画素を抽出することがでる。全ての画素行について、上述した処理を繰り返せば、上記画像データにおいて欠陥絵素に対応する画素を全て抽出することができる。
【0073】
なお、画像データの画像左端に近い画素列に属する画素、および、画像右端に近い画素列に属する画素は、シェーディングにより、他の画素に比べて濃淡値が下がり得る。しかしながら、各画素行の濃淡値(例えば、濃淡値Daa´)のシェーディング量と、画素列毎の平均濃淡値M1におけるシェーディング量は概ね一致するので、差分を取ることによりこれらのシェーディング量は打ち消される。従って、各画素行の濃淡値と画素列毎の平均濃淡値との差分値(例えば、差分値Daa´−M1)に対して閾値処理を行えば、シェーディング補正を行わなくとも、フラットパネル200上の欠陥領域に対応する画素を精度良く特定することができる。
【0074】
図3において左側に示したグラフは、画素行毎の平均濃淡値M2と、直線bb´に対応する画素列の濃淡値Dbb´と、直線cc´に対応する画素列の濃淡値Dcc´とを示したものである。これらを利用して、フラットパネル200の欠陥領域に対応する画素を特定する原理は、各画素行の濃淡値と画素列毎の平均濃淡値との差分からフラットパネル200の欠陥領域に対応する画素を特定する上述の原理と同様であるので、その説明を省略する。
【0075】
なお、図3では、フラットパネル200の絵素がストライプ型(縦縞型)に整然と配置された場合について、画素列毎の平均濃淡値と画素行毎の平均濃淡値とのうち、少なくとも何れか一方に基づいて、フラットパネル200の欠陥領域に対応する画素を特定する原理を説明したが、この原理はフラットパネル200の絵素がその他のパターンで配列されている場合にも、適用することができる。
【0076】
一例として、絵素が千鳥型に配列されたフラットパネル200を図4に示す。図4において左側に示したグラフは、画素行毎の平均濃淡値M2と、直線bb´に対応する画素列の濃淡値Dbb´と、直線cc´に対応する画素列の濃淡値Dcc´とを示したものである。ここで、撮像装置101の解像度は、画像データの1画素に対応する被撮像領域のサイズが、フラットパネル200の1絵素のサイズに相当する程度、あるいは、それより低い解像度に設定されている。すなわち、濃淡値Dbb´および濃淡値Dcc´は、それぞれ、直線bb´および直線cc´を含む幅1絵素以上の帯状領域の輝度値に対応する。従って、濃淡値Dbb´および濃淡値Dcc´は、欠陥絵素200a・bに対応する画素行以外では、平均濃淡値M2と良く一致するようになる。一方、欠陥絵素200a・bに対応する画素行では、濃淡値Dbb´および濃淡値Dcc´は、平均濃淡値M2と一定以上の差を有するものになる。従って、絵素が千鳥型に配列されている場合でも、絵素がストライプ型に配列されている場合と同様、上述した原理により、欠陥領域を検出することができる。
〔画像処理部104の構成〕
次に、以上の原理に基づいてフラットパネル200(図1)の欠陥を特定する画像処理部104(図1)の構成について、図2を参照しながら、さらに詳しく説明する。図2は、画像処理部104の要部構成を示した機能ブロック図である。図2に示したように、画像処理部104は、列平均濃淡値演算処理部111、行平均濃淡値演算処理部112、マルチプレクサ部113、ライン差分演算処理部114、および、欠陥特定処理部115を含んで構成されている。上記各部について、以下、順に説明する。
【0077】
・ 列平均濃淡値演算処理部111
列平均濃淡値演算処理部111は、画像メモリ103に記憶された画像データの各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出するための手段であり、加算処理部111aと除算処理部111bとを含んで構成されている。ここで、加算処理部111aは、画像メモリ103に記憶された画像データの各画素列に属する画素群の濃淡値を加算し、画素列毎にその和を算出するものである。また、除算処理部111bは、各画素列に属する画素群の濃淡値の和を該画素群の画素数で除算し、画素列毎の平均濃淡値を算出するものである。例えば、画像メモリ103に記録された画像データが640列×480行の画素からなる画像データである場合、列平均濃淡値演算処理部111は、同一画素列に配列された480画素の濃淡値を加算処理部111aにて加算し、得られた濃淡値の和を濃淡値和除算手段111bにて480で除算することにより、各画素列の平均濃淡値を算出する。そして、この処理を640回繰り返すことにより、全ての画素列の平均濃淡値を算出する。
【0078】
・ 行平均濃淡値演算処理部112
行平均濃淡値演算処理部112は、画像メモリ103に記憶された画像データの各画素行について、該画素行に属する画素群の平均濃淡値を算出するための手段であり、加算処理部112aと除算処理部112bとを含んで構成されている。ここで、加算処理部112aは、画像メモリ103に記憶された画像データの各画素行に属する画素群の濃淡値を加算し、その和を算出するものである。また、除算処理部112bは、各画素行に属する画素群の濃淡値の和を該画素群の画素数で除算し、画素行毎の平均濃淡値を算出するものである。例えば、画像メモリ103に記録された画像データが640列×480行の画素からなる画像データである場合、行平均濃淡値演算処理部112は、同一画素行に配列された640画素の濃淡値を加算処理部112bにて加算し、得られた濃淡値の和を除算処理部112bにて640で除算することにより、各画素行の平均濃淡値を算出する。そして、この処理を480回繰り返すことにより、全ての画素行の平均濃淡値を算出する。
【0079】
なお、図1の画像処理部104は、列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とを含んで構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上述したように、画像処理部104は、列毎の平均濃淡値と行毎の平均濃淡値とのうち何れか一方だけを用いてフラットパネル200の欠陥領域を特定し得るものであり、列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とのうち何れか一方のみを含む構成とすることも可能である。特に、図3に示したような、ストライプ型に絵素が配列されたフラットパネル200に対しては、画素列毎の平均濃淡値と画素行毎の平均濃淡値とのうち何れか一方だけを用いて十分高い精度で欠陥領域を検出することができる。従って、このような場合には、画像処理部104において、列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とのうち何れか一方を省略し、装置の簡単化を図ることが好ましい。また、図3に示したようなストライプ型以外の絵素配列を有するフラットパネルに対しては、欠陥検出精度を保つために、列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112との両方を備え、列毎の平均濃淡値と行毎の平均濃淡値との両方を用いて欠陥領域を特定するように画像処理部104を構成することが好ましい。
【0080】
・ マルチプレクサ部113
列平均濃淡値演算処理部111により算出された画素列毎の平均濃淡値、および、行平均濃淡値演算処理部112により算出された画素行毎の平均濃淡値は、マルチプレクサ部113に供給される。マルチプレクサ部113は、これらの平均濃淡値の何れか一方、あるいは両方をライン差分演算処理部114に渡す。
【0081】
なお、マルチプレクサ部113が、どの平均濃淡値をライン差分演算処理部114に渡すかは、絵素の配列パターンやカラー/モノクロ表示の種別などの検査対象フラットパネルの特性に応じて切り替え可能に構成されている。マルチプレクサ部113が出力する平均濃淡値の切り替えは、例えば、予め外部情報として登録された検査対照フラットパネルの種類を参照して行われる。また、上述したように、列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とのうち何れか一方は省略することが可能であり、この場合、マルチプレクサ部113も省略され得る。
【0082】
・ ライン差分演算処理部114
マルチプレクサ部113から画素列毎の平均濃淡値が供給されると、ライン差分演算処理部114は、画像メモリに記憶された画像データにおける各画素の濃淡値から該画素を含む画素列の平均濃淡値を減算し、差分値を算出する。具体的には、画像メモリに記憶された画像データから各画素行の画像データを抽出し、該画素行に属する各画素の濃淡値から該画素を含む画素列の平均濃淡値を減算する処理を、画素行数分繰り返すことにより、差分画像を生成する。
【0083】
マルチプレクサ部113から画素行毎の平均濃淡値が供給されると、ライン差分演算処理部114は、上記画素行毎の差分演算処理に加え、画素列毎の差分演算処理を実行する。すなわち、ライン差分演算処理部114は、画像メモリに記憶された画像データにおける各画素の濃淡値と該画素を含む画素行の平均濃淡値との差分値を算出する。具体的には、画像メモリに記憶された画像データから各画素列の画像データを抽出し、該画素列に属する各画素の濃淡値から該画素を含む画素行の平均濃淡値を減算する処理を、画素列数分繰り返すことにより、差分画像を生成する。
【0084】
・ 欠陥特定処理部115
ライン差分演算処理部114により生成された差分画像は、欠陥特定処理部115に渡される。欠陥特定処理部115は、得られた差分画像において差分値の大きさが予め定められた閾値以上になる画素に対応するフラットパネルの被撮像領域を欠陥領域として特定するための手段であり、黒点欠陥検出用2値化処理部115aと輝点欠陥検出用2値化処理部115bと特徴量抽出部115cとを含んで構成されている。
【0085】
ライン差分演算処理部114にて生成された差分画像は、フラットパネル200の輝点欠陥に対応する画素が正の濃淡値を有し、黒点欠陥に対応する画素が負の濃淡値を有する画像データとなる。黒点欠陥検出用2値化処理部115aは、上記差分画像において所定の負の閾値Th1以下の濃淡値を有する画素に1を割り当て、それ以外の画素に0を割り当てた黒点欠陥検出用2値化データを生成する。一方、輝点欠陥検出用2値化処理部115bは、上記差分画像において所定の正の閾値Th2以上の濃淡値を有する画素に濃淡値1を割り当て、それ以外の画素に0を割り当てた輝点欠陥検出用2値化データを生成する。
【0086】
これらの欠陥検出用2値化データは、特徴量抽出部115cに渡される。特徴量抽出部115cは、黒点欠陥検出用2値化データおよび輝点欠陥検出用2値化データから、フラットパネル200に存在する欠陥を特定する特徴量を抽出する。ここで、特徴量抽出部115cが抽出する特徴量とは、検査対象であるフラットパネル200上の欠陥領域を特定するための情報であり、例えば、欠陥領域の位置、形状、大きさ、連結性などの情報が含まれ得る。特徴量抽出部115cにより抽出された特徴量は、図1に示した統括管理部105に送られ、フラットパネル200の最終的な良否判定に利用される。
【0087】
・ 画像処理部104による画像処理方法
画像処理部104による画像処理方法について、図5に示したフローチャートを参照しながら説明する。当該画像処理方法に含まれる各工程を順に説明すれば、以下のとおりである。
【0088】
(ステップS1)撮像装置101が、検査対象となるフラットパネル200を撮像し、得られた画像データが、画像メモリ103に格納される。
【0089】
(ステップS2)列平均濃淡値演算処理部111の加算処理部111aが、画像メモリ103に記憶された画像データの各画素列について、該画素列に属する画素群の濃淡値を加算する。
【0090】
(ステップS3)列平均濃淡値演算処理部111の除算処理部111bが、各画素列に属する画素群の濃淡値の和を該画素群の画素数で除算する。
【0091】
(ステップS4)行平均濃淡値演算処理部112の加算処理部112aが、画像メモリ103に記憶された画像データの各画素行について、該画素行に属する画素群の濃淡値を加算する。
【0092】
(ステップS5)行平均濃淡値演算処理部112の除算処理部112bが、各画素行に属する画素群の濃淡値の和を該画素群の画素数で除算する。
【0093】
なお、ステップS2・S3と、ステップS4・S5は、同時並列的に行われても良いし、順に行われても良い。また、上述したとおり、ステップS2・S3とステップS4・S5とのうち、何れか一方は省略し得る。
【0094】
(ステップS6)後続の処理に利用する平均値濃淡値の種類(画素列毎の平均濃淡値と画素行毎の平均濃淡値とのうちの何れか一方、あるいは、両方)が決定される。画素列毎の平均濃淡値を利用する場合は、後述するステップS7が、画素行毎の平均濃淡値を利用する場合は後述するステップS8が、両方の平均濃淡値を利用する場合は、ステップS7とS8との両方が実行される。
【0095】
(ステップS7)ライン差分演算処理部114が、画像メモリに記憶された画像データから各画素行の画像データを抽出し、該画素行に属する各画素の濃淡値から該画素を含む画素列の平均濃淡値を減算することにより、差分画像を生成する。
【0096】
(ステップS8)ライン差分演算処理部114が、画像メモリに記憶された画像データから各画素列の画像データを抽出し、該画素列に属する各画素の濃淡値から該画素を含む画素行の平均濃淡値を減算することにより、差分画像を生成する。
【0097】
(ステップS9)黒点欠陥検出用2値化処理部115aが、差分画像において所定の負の閾値Th1以下の濃淡値を有する画素に1を割り当て、それ以外の画素に0を割り当てた黒点欠陥検出用2値化データを生成する。
【0098】
(ステップS10)輝点欠陥検出用2値化処理部115bが、差分画像において所定の正の閾値Th2以上の濃淡値を有する画素に1を割り当て、それ以外の画素に0を割り当てた輝点欠陥検出用2値化データを生成する。
【0099】
(ステップS11)特徴量抽出部115cが、黒点欠陥検出用2値化データおよび輝点欠陥検出用2値化データから、フラットパネル200に存在する欠陥を特定する特徴量を抽出する。
【0100】
(ステップS12)統括管理部104が、画像処理部104から得た特徴量に基づいて、フラットパネル200の良否判定を行う。
【0101】
以上のようにすれば、平均濃淡値を算出し、画像データとの差分画像を生成することにより、フラットパネルの絵素間の濃淡値の変動部分と、カメラのレンズ特性や照明条件等の要因で発生するシェーディング量とを同時に除去し、フラットパネル200の欠陥領域を精度良く検出することができる。また、以上の方法によれば、シェーディング補正のための平滑化フィルタを用いる必要がないため、演算処理の高速化を図ることができ、画像端での演算精度を保つこともできる。
【0102】
なお、フラットパネル検査システム100の画像処理手段である画像処理部104は、列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とを備えるものであるが、本発明の画像処理手段はこれに限るものではない。例えば、画像処理部104から列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とのうち何れか一方を省略した構成を有するものも、本発明の技術範囲に含まれる。
【0103】
特に、検査対象パネル200が垂直方向と水平方向とに配列された絵素を含んで構成されているものであったり、モノクロ画像表示用フラットパネルであったりする場合には、濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とのうち何れか一方を省略し、画素列毎の平均濃淡値または画素行毎の平均濃淡値のみに基づいて欠陥領域の特定するよう構成を簡略化したとしても、欠陥検出精度は保たれる。従って、検査対象となるフラットパネルが上記のようなものに限定されている場合、以上のような簡略構成を採用することにより、処理速度を向上させ、また、装置コストを低減することができる。
【0104】
一方、検査対象パネル200が千鳥型の絵素配列パターンを有するものであったり、カラー画像表示用フラットパネルであったりする場合には、画像処理部104は、上述のように、列平均濃淡値演算処理部111と行平均濃淡値演算処理部112とを備え、画素列毎の平均濃淡値に基づいた欠陥領域の特定と、画素行毎の平均濃淡値に基づく欠陥領域の特定とを行う構成とすることが好ましい。以上のように画像処理部104を構成するれば、画素列毎の平均濃淡値に基づいた欠陥領域の特定と、画素行毎の平均濃淡値に基づく欠陥領域の特定とのうち、何れか一方の精度が低下したとしても、他方により欠陥検出精度の低下を補うことができる。

〔カラー画像表示用フラットパネルに関する補足説明〕
通常、カラー画像表示用フラットパネルは、全ての絵素が正常に機能している場合でも、人間の視覚特性に合わせて、白色点灯時の各原色(R(赤)、G(緑)、B(青))に対応する絵素間で輝度が同一にならないように調整されている。また、仮にフラットパネル側でR・G・Bの各原色に対応する絵素が同一輝度で発光していたとしても、該フラットパネルを撮像して得られる画像データは、撮像装置の光学特性に応じて、原色毎に異なった濃淡値を有するものとなる。このため、カラー画像表示用フラットパネルを撮像して得られた画像データ自体に対して閾値処理による欠陥検出を行うと、色毎の輝度の違いに由来する濃淡値の変動の影響を受けて、欠陥検出精度が低下する。
【0105】
しかしながら、上記画像処理部104(図1)による欠陥検出方法によれば、検査対象となるフラットパネル200(図1)がカラー画像表示用フラットパネルの場合であっても、精度良く欠陥領域を特定することができる。このことについて、以下、図6を参照しながら説明する。
【0106】
図6は、フラットパネル200がカラー表示用フラットパネルである場合に得られる画像データの特性を説明するための説明図である。図6に示したように、カラー表示用フラットパネル200は、R・G・Bの各原色に対応する絵素列が巡回的に配列して構成されている。例えば、絵素200Rと同一絵素列に属する絵素は全て赤の絵素であり、絵素200Gと同一絵素列に属する絵素は全て緑の絵素であり、絵素200Bと同一絵素列に属する絵素は全て青の絵素になっている。
【0107】
図6の上部に実線で示したグラフM1は、フラットパネル200を撮像して得られた画像データにおける、画素列毎の平均濃淡値のプロファイル(各画素列に属する画素の平均濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)である。また、点線で示したグラフDaa´は、直線aa´に対応する画素行の濃淡値のプロファイル(各画素の濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)である。なお、ここでは、フラットパネル200において同一色の絵素群が並ぶ方向(図6では垂直方向)と、同一画素列に属する画素が並ぶ方向とが一致するように撮像された画像データを仮定している。
【0108】
このような画像データを用いた場合、フラットパネル200の欠陥領域に対応する部分以外では、各画素行の濃淡値(たとえば、濃淡値Daa´)の振る舞いと、画素列毎の平均濃淡値M1との振る舞いとが一致する。従って、差分値Daa´−Mに対して閾値処理を行って欠陥領域を特定する本発明の方法によれば、色毎の輝度の違いに由来する濃淡値の変動も、シェーディングによる濃淡値の変動と同時に除去できるので、検査対象となるフラットパネル200がカラー画像表示用フラットパネルの場合であっても、精度良く欠陥領域を特定することができる。
【0109】
なお、フラットパネル200において同一の原色が割り当てられる絵素列が並ぶ方向と、同一画素列に属する画素が並ぶ方向とが一致するように撮像された画像データが利用できない場合、パターンジェネレータ107は、カラー画像表示用フラットパネル300を撮像して得られる画像データにおいて色毎に濃淡値の偏りが生じないよう調整された表示用信号を生成するものであることが好ましい。これにより、カラー画像表示用フラットパネル300の検査時においても、モノクロ画像表示用フラットパネルと同一の検査精度で欠陥検出を行うことができる。
〔画像データの撮像解像度についの補足説明〕
通常、フラットパネルの欠陥を検出するために用いられる画像データは、フラットパネルの絵素一辺につき、8〜10画素程度以上の画素数を割り当てて撮像された画像データである。これは低解像度で撮像された画像データ自体に対して閾値処理による欠陥検出を行うと、モアレに由来する濃淡値の変動の影響を受けて、欠陥検出精度が低下するためである。
【0110】
しかしながら、画像処理部104部(図1)による上述した欠陥検出方法によれば、撮像装置101(図1)の解像度を下げても、発生するモアレの影響により精度を落とすことなく、フラットパネルの欠陥領域を特定することができる。このことについて、図7を参照しながら説明する。
【0111】
図7は、フラットパネル200の拡大図であり、4×3=12絵素からなるフラットパネルの一部分を示したものである。図7の長方形状の領域200aは、1つの絵素を表す。一方、9行8列に配列された正方形状の領域(例えば領域Da)は、フラットパネル200を撮像して得られる画像データの各画素に対応する被撮像領域を示したものである。すなわち、図7は、フラットパネル200が、水平方向に1絵素辺り約2画素、垂直方向に1絵素あたり約3画素の解像度で撮像されることを表している。図7に示した解像度でフラットパネル200を撮像すると、各画素に対応する被撮像領域において、表示領域(絵素領域)が占める部分の面積と、非表示領域(絵素間領域)が占める部分の面積との割合が少しずつずれてゆき、その結果、撮像された画像データにおける濃淡値の揺らぎ(モアレ)が生じる。このため、低解像度で撮像された画像データ自体に対して閾値処理による欠陥検出を行うと、モアレに由来する濃淡値の変動の影響を受けて、欠陥検出精度の低下する。
【0112】
図7の上部に実線で示したグラフM1は、上記フラットパネル200を撮像して得られた画像データにおける、画素列毎の平均濃淡値のプロファイル(各画素列に属する画素の平均濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)を示したものである。また、点線で示したグラフDaa´は、直線aa´に対応する画素行の濃淡値のプロファイル(各画素の濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)を示している。図7に示したとおり、輝点欠陥絵素200bに対応する画素列以外では、平均濃淡値M1と濃淡値Daa´とが良く一致する。これは、モアレの発生パターンが、各画素行で概ね同一であるためである。
【0113】
本発明の画像処理部104は、上述したように、濃淡値Daa´から平均濃淡値M1を減算して得られる差分値Daa´−Mの大きさに基づいてフラットパネル200の欠陥領域を特定するものである。従って、モアレによる濃淡値の変動もシェーディングによる濃淡値の変動と同時に除去できるので、図7に示したような低解像度でフラットパネル200を撮像して得られる画像データに基づいて欠陥検出を行ったとしても、モアレによる検出精度の低下を招来することはない。
【0114】
このため、例えば、画像データの各画素に対応するフラットパネル200上の被撮像領域の一辺の長さが、フラットパネル200を構成する絵素の一辺の長さの1/2倍以上となる解像度で撮像された画像データを用いて、フラットパネル200の欠陥検出を行うことが可能になる。このような、低解像度の画像データを用いることで、処理速度の高速化と装置コストの低下とを実現することができる。
【0115】
以上、欠陥検出のために用いる画像データが低解像度の場合でも、本発明の欠陥検出方法が有効に機能することについて説明したが、逆に画像データが高解像度の場合でも、本発明の欠陥検出は有効に機能する。
【0116】
図8は、高解像度で撮像された画像データに基づく欠陥検出の原理を説明する説明図である。図8には、3×3=9絵素を含む、フラットパネル200の一部が拡大されて示されている。長方形状の領域200aはフラットパネル200のひとつの絵素を表し、正方形状の小領域Daはフラットパネル200を撮像して得られる画像データの1つの画素に対応する撮像領域を表す。
【0117】
図8上部に実線で示したグラフM1は、上記フラットパネル200を撮像して得られた画像データにおける、画素列毎の平均濃淡値のプロファイルを示すものであり、点線で示されたグラフDaa´は、直線aa´に対応する画素行の濃淡値のプロファイルを示すものである。一方、図8の左側に実線で示したグラフM2は、画素列毎の平均濃淡値のプロファイルを示すものであり、点線で示されたグラフDbb´は、直線bb´に対応する画素行の濃淡値のプロファイルを示している。
【0118】
図8に示したように、各画素に対応する撮像領域の一辺の長さを絵素間距離以下にすると、各画素行の濃淡値の変動、および、画素列の濃淡値の変動において、表示領域(絵素が占める領域)と非表示領域(絵素間の領域)の分離性が良くなる。このため、上記像度で撮像された画像データ自体に対して閾値処理による欠陥検出を行うと、黒点欠陥に対応する画素と非表示領域に対応する画素との弁別が困難になるという問題を生じ得る。
【0119】
しかしながら、このような画像データを用いた場合でも、フラットパネル200の欠陥領域に対応する部分以外では、各画素行の濃淡値(たとえば、濃淡値Daa´)の振る舞いと、画素列毎の平均濃淡値M1との振る舞いとが一致する。従って、差分値Daa´−Mに対して閾値処理を行って欠陥領域を特定する本発明の方法によれば、非表示領域に由来する濃淡値の変動も、シェーディングによる濃淡値の変動と同時に除去できる。このため、画像データの各画素に対応するフラットパネル200上の被撮像領域の一辺の長さが、フラットパネル200における絵素間距離以下となる解像度で撮像された画像データを用いても、フラットパネル200の欠陥検出を行うことが可能になる。
【0120】
また、各画素に対応する撮像領域の一辺の長さを絵素間距離以下にした場合、画素列毎の平均濃淡値M1、および、画素行毎の平均濃淡値M2を利用して、絵素間の非表示領域を除去するためのマスク画像を生成する構成とすることも可能である。このマスク画像を使って、フラットパネル200を撮像して得られた画像データから表示領域(絵素領域)のみを抽出した画像を生成し、これを用いた欠陥検出を行うことで、欠陥検出の精度を向上させることができる。なお、表示領域の画像のみを抽出した画像から、再度、表示領域のみの画素列毎の平均濃淡値および/または画素行毎の平均濃淡値を算出する構成としても良い。このようにして得られた平均濃淡値を用いて欠陥検出を行うことで、欠陥検出精度を一層向上させることができる。
〔画像データの撮像範囲に関する補足説明〕
フラットパネル200の大型化・高精細化、および、該フラットパネル200を撮像する撮像解像度の高解像度化により、フラットパネル200上で一直線上に並んだ絵素群(垂直方向に並んだ同一絵素列、あるいは、水平方向に並んだ同一絵素行に属する絵素群)を、該フラットパネルパネルを撮像して得られる画像データ上で、一直線上に並んだ画素群(同一画素列、あるいは、同一画素行に属する画素群)で撮像することが困難になるためである。
【0121】
図9は、検査対象であるフラットパネル200と、該フラットパネル200を撮像して得られる画像データとの関係を示す説明図である。図9に点線で示した矩形は、被撮像領域、すなわち、その輝度値が濃淡値として画像データに格納される領域を示したものである。図9に示したように、フラットパネル200の絵素列方向(垂直方向)と画像データの画素列方向とは、角度α>0(回転量)をなしており、一致していない。このため、例えば、同一絵素列に属する絵素200aと絵素200bとを、同一画素列に属する直線aa’上の画素群で撮像することができなくなる。このように、同一絵素列に属する絵素群を同一画素列に属する画素群で撮像できなくなると、画像処理部104における、画像データから非表示領域(絵素間領域)に由来する濃淡値の変動を除去する能力が低下し得る。
【0122】
画像処理部104が欠陥検出のために用いる画像データは、フラットパネル200の全部を撮像した画像データであっても良いし、その一部を撮像した画像データであっても良いが、上記問題に対処するためには、フラットパネル200を区分して得られる各小部分P1〜P4を撮像して得られる画像データであることが好ましい。この場合、画像処理部104は、各小部分P1〜P4を撮像して得られた画像データを上述した方法に従って処理し、欠陥検出を行う。すなわち、各小部分P1〜P4を撮像して得られた画像データ毎に、画素列毎の平均濃淡値が算出され、各画素行の濃淡値との差分が算出される。すなわち、P1を撮像して得られた画像データに対しては、P1における平均濃淡値を用い、P2を撮像して得られた画像データに対しては、P2における平均濃淡値を用い、順次演算処理を行う。
【0123】
なお、フラット200の区分については、非表示領域(絵素間領域)に由来する濃淡値の変動を除去することが可能なものであれば十分であるが、具体的には、例えば、各小部分を渡る画素列に対するズレ量が、絵素サイズ(絵素の1辺の長さ)の1/4以下になるように上記フラットパネルを区分することが好ましい。例えば、図9では、フラットパネル200全体(1辺1024絵素とする)を渡る直線aa´上の画素列は、約1絵素のズレ量を有している。従って、各小部分でのズレ量を1/4絵素程度に抑えるには、各小部分1辺の長さが256絵素(=1024÷4)以下になるよう、フラットパネルを区分すれば良い。
【0124】
以上のことから、フラットパネル200を区分して得られる各小部分P1〜P4を撮像して得られる画像データに基づいて欠陥検出を行う構成を採用すれば、フラットパネル200の絵素列方向と画像データの画素列方向とが必ずしも一致しない場合でも、欠陥検出精度を悪化させずに、フラットパネル200の欠陥検出を行うことが可能になる。
〔変形例〕
上記画像処理部104(図1)の一変形例について説明する。本変形例は、検査対象のフラットパネルにおける線欠陥を検出するためのものである。
【0125】
フラットパネル上の線欠陥を検出する従来の方法としては、フラットパネル上の欠陥領域を点欠陥として検出した上で、検出された点欠陥同士の連結性を判定して線欠陥を特定する方法が一般的である。連結性の判定には、通常、検出された点欠陥を膨張処理により統合し、ラベリング処理によって隣接する点欠陥をひとつの塊(線欠陥)として特定する方法が用いられる。しかしながら、このような方法では、線欠陥の開始点、終了点、方向等を明確化するために、ラベリング処理の結果からフェレ径、1次モーメント、2次モーメント等の特徴量を算出する演算負荷の大きい処理を行うことが必要になる。このため、以上のような従来の線欠陥の検出方法においては、処理時間が増大するという問題が発生していた。
【0126】
しかしながら、フラットパネルにおける線欠陥は、主に、隣接する信号ラインの短絡、信号ラインの接触不良、あるいは、駆動ドライバ素子不良等に起因するものである。従って、線欠陥の発生方向は、絵素の配列方向、すなわち、フラットパネルの水平方向または垂直方向に限定される。本変形例の線欠陥検出方法は、この点に着目して効率の高い線欠陥検出方法を提供するものである。
(画像処理部104´による線欠陥検出の原理)
以下、本変形例における線欠陥検出の原理について、図10および図11を参照しながら説明する。
【0127】
図10は、フラットパネル200(図1)において垂直方向に発生した線欠陥を検出する原理を説明するための説明図であり、フラットパネル200の構成と、該フラットパネル200を撮像して得られた画像データにおける濃淡値のプロファイルとを示している。図10では、直線bb´上で垂直方向に並んだ3つの絵素(平行斜線で示す)において欠陥が発生した場合を示している。
【0128】
図11は、フラットパネル200において水平方向に発生した線欠陥を検出する原理を説明するための説明図である。水平方向に発生した線欠陥を検出を検出する原理は、画像データにおける画素行と画素列との役割を交換するだけで、垂直方向の線欠陥を検出する原理と同等なものであるので、以下、図10に基づいて、垂直方向の線欠陥についてのみ説明する。
【0129】
図10上部に実線で示したグラフM1は、フラットパネル200を撮像して得られる画像データにおける、画素列毎の平均濃淡値のプロファイル(各画素列に属する画素の平均濃淡値を、画素列毎にプロットしたもの)を、線欠陥が発生していない場合について示したものである。一方、図10上部に点線で示したグラフM1’は、画素列毎の平均濃淡値のプロファイルを、上記欠陥絵素が輝点欠陥である場合について示したものであり、グラフM1”は、画素列毎の平均濃淡値のプロファイルを、上記欠陥絵素が黒点欠陥である場合について示したものである。また、図10に示したグラフLは、画素列毎の平均濃淡値M1’(またはM1”)の変動範囲を代表する基準濃淡値を示している。この基準濃淡値Lとしては、例えば、画素列毎の平均濃淡値M1’の極大値のうち、正常絵素列に対応する極大値を線形補間して得られる濃淡値を用いることができる。ただし、基準濃淡値として用いることができる濃淡値はこれに限らず、画素列毎の平均濃淡値M1’の極小値のうち、正常画素に対応する極小値を線形補間して得られる濃淡値や、平均濃淡値M1’を画素列に渡ってさらに平均して得られる平均濃淡値等であってもあっても良い。
【0130】
図10から分かるように、基準濃淡値Lと画素列毎の平均濃淡値M1’(またはM1”)との差は、線欠陥に対応する画素列において特に大きくなる。従って、画素列毎の平均濃淡値M1’(またはM1”)から基準濃淡値Lを減算し、得られた差分値に対して閾値Th3による2値化処理を行うことにより、線欠陥に対応する画素列を特定することができる。ここで、閾値Th3は、検査対象となるフラットパネル200の特性や基準濃淡値lの算出方法に応じて予め定められた特定の値である。なお、上記基準濃淡値を算出する方法については、後述する。
【0131】
以上のように線欠陥に対応することが特定された画素列のにおいて、欠陥領域に対応する画素とそれ以外の画素とを弁別すれば、線欠陥が垂直方向に伸びている範囲(開始点と終了点)を特定することができる。例えば、まず、線欠陥に対応する直線bb´上にある画素列の濃淡値Dbb´から画素行毎の平均濃淡値M2を減算し、得られた差分値M2−Dbb´の大きさを所定の閾値で2値化することにより、上記画素列に属する画素のなかで欠陥領域に対応する画素を特定する。そして、上記画素列における連続する画素群であって、該画素群に属する各画素の1/2絵素範囲内の近傍に必ず欠陥領域に対応する画素が存在する画素群を、線欠陥に対応する画素群と特定する。以上のように特定された線欠陥に対応する画素群によれば、上記線欠陥が垂直方向に伸びている範囲を正しく特定することができる。
(画像処理部104´の構成)
次に、以上の原理によりフラットパネルにおける線欠陥を特定し得る画像処理部104´の構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、画像処理部104´の要部構成を示した機能ブロック図である。
【0132】
図12に示したように、画像処理部104´は、列平均濃淡値演算処理部111、行平均濃淡値演算処理部112、マルチプレクサ部113、ライン差分演算処理部114、欠陥検出用2値化処理部115、および、特徴量抽出部116に加え、さらに、基準濃淡値算出処理部117と差分演算処理部118と線欠陥検出用2値化処理部119とを備えている。
【0133】
なお、図12の画像処理部104´における基準濃淡値算出処理部117と差分演算処理部118とを除く機能ブロックは、図1の画像処理部104のものと同一である。そこで、図12において、図1の画像処理部104と同一機能を有するブロックについては、図1と同一の部材番号を付すことにより、その説明を省略する。以下では、本変形例に係る画像処理部104´に特有の構成である基準濃淡値算出部117と、差分演算処理部118と、線欠陥検出用2値化処理部119とについて、順に説明する。
・ 基準濃淡値算出処理部117
マルチプレクサ部113から画素列毎の平均濃淡値が供給されると、基準濃淡値算出処理部117は、取得した画素列毎の平均濃淡値から基準濃淡値を計算する。具体的には、例えば、画素列毎の平均濃淡値M1’(図10)の極大値のうち、正常絵素列に対応する極大値を線形補間して得られる値を基準濃淡値として算出する。
【0134】
平均濃淡値M1’の極大値のうち、正常絵素列に対応する極大値を線形補間して得られる値を基準濃淡値として算出する場合、基準濃淡値算出処理部117は、第1の特定画素範囲に渡る濃淡値の中から最大の濃淡値を得る最大値フィルタと、第1の特定画素範囲よりも広い第2の特定画素範囲に渡る濃淡値の中から最小の濃淡値を得る最小値フィルタとを、画素列毎の平均濃淡値M1’に順に適用する。
【0135】
例えば、画像データが1絵素あたり5画素の解像度でフラットパネルを撮像したものである場合、画素列毎の平均濃淡値M1’の極大値は5画素毎に現れる。そこで、1絵素あたりの画素数の2〜3倍程度の画素数、例えば10画素を最大値検出画素範囲とし、この最大値検出画素範囲に含まれる画素の平均濃淡値の最大値を検出する最大値フィルタを平均濃淡値M1’に対して適用する。これにより、各画素列の平均濃淡値を、該画素列の周囲10画素列の平均濃淡値のうちで最大の平均濃淡値に置換することができる。
【0136】
ただし、最大値フィルタによる以上の処理だけでは、線欠陥に対応する画素列の近傍の画素列に、輝点欠陥に由来する異常に高い濃淡値が割り当てられてしまう。そこで、上記最大値フィルタの出力濃淡値に、上記最大値検出画素範囲の1.2〜2倍程度(例えば12〜30画素)の最小値検出画素範囲をもつ最小値フィルタを適用する。これにより、線欠陥に対応する画素列の近傍の画素列に対しても、正常画素に対応する極大値を割り当てることができる。従って、この最小値フィルタの出力濃淡値は、図10にてグラフLとして示したように、画素列毎の平均濃淡値M1’の極大値のうち、正常絵素列に対応する極大値を線形補間して得られる濃淡値となる。
【0137】
一方、マルチプレクサ部113から画素行毎の平均濃淡値が供給されると、基準濃淡値算出処理部117は、取得した画素行毎の平均濃淡値から基準濃淡値を計算する。具体的には、例えば、画素行毎の平均濃淡値M2’(図11)の極大値のうち、正常絵素行に対応する極大値を線形補間して得られる値を基準濃淡値として算出する。なお、基準濃淡値算出処理部117が画素行毎の平均濃淡値から上記基準濃淡値を算出する方法は、上述した画素列毎の平均濃淡値から基準濃淡値を算出する方法において、画素列と画素行とを反転したものにすぎないので、その説明は省略する。
・ 差分演算処理部118
マルチプレクサ部113から画素列毎の平均濃淡値が供給されると、差分演算処理部118は、該画素列毎の平均濃淡値と、基準濃淡値算出処理部117から供給された基準濃淡値とを比較し、前者から後者を減算する。そして、差分演算処理部118は、上記減算の結果得られた差分値を線欠陥用2値化処理部119に渡す。
【0138】
一方、マルチプレクサ部113から画素行毎の平均濃淡値が供給されると、差分演算処理部118は、該画素行毎の平均濃淡値と、基準濃淡値算出処理部117から供給された基準濃淡値とを比較し、前者から後者を減算する。そして、差分演算処理部118は、上記減算の結果得られた差分値を線欠陥用2値化処理部119に渡す。
・ 線欠陥検出用2値化処理部119
差分演算処理部118にて生成された差分値は、線欠陥に対応する画素列(あるいは画素行)で相対的に大きな絶対値を有するものとなる。この差分値を取得した線欠陥検出用2値化処理部119は、該差分値の絶対値が所定の閾値Th3以上の画素列(あるいは画素行)に1を割り当て、それ以外の画素列(あるいは画素行)に0を割り当てた線欠陥検出用2値化データを生成する。該線欠陥検出用2値化データは、特徴量抽出部115cに渡される。特徴量抽出部115cは、上記線欠陥検出用2値化データから、線欠陥が発生している絵素列の位置(あるいは絵素行の位置)を特定する。
【0139】
以上のように、画像処理部109´によれば、検査対象のフラットパネルに発生する垂直方向あるいは水平方向の線欠陥を特定することができる。しかも、画像処理部109´は、以上のように、計算負荷の大きい、ラベリング処理や特徴量の算出処理を行うことなく線欠陥を特定することができるので、従来の線欠陥検出方法と比べ、より少ない演算量でより高速に線欠陥を検出することができるという利点を持つ。
〔付記事項〕
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明は以下のように構成することができる。
【0140】
例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、被検査用フラットパネル上に被検査用表示パターンを表示させ、撮像装置にて被検査用表示パターンを撮像した被画像データを画像メモリ内に格納し、被画像データの情報からフラットパネルの点及び線欠陥部分を検出するフラットパネル欠陥検出装置において、被画像データから各垂直方向画素毎に水平平均濃淡値を算出する水平平均濃淡値演算手段または、各水平方向画素毎に垂直平均濃淡値を算出する垂直平均濃淡値演算手段または、前記両演算手段を備えた水平垂直平均濃淡値演算手段の何れかの平均濃淡値演算手段を備え、次に被画像データから各水平画素毎に垂直平均濃淡値を減算する手段または、被画像データから各垂直画素毎に水平平均濃淡値を減算する手段により差分画像データを生成する手段を備え、生成された差分画像データにおいて所定の第1の閾値以上の輝度値となる画素を輝点・輝線欠陥として、また、差分画像データの所定の第2の閾値以下の輝度値となる画素を黒点・黒線欠陥として抽出する手段を備えることにより、フラットパネルの点・線欠陥を検出するように構成することができる。
【0141】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、被検査用フラットパネルの絵素の配置パターンがストライプ型(縦縞型)に対応した前記垂直平均濃淡値を算出する演算手段または、水平平均濃淡値を算出する演算手段を備えるように構成することもできる。
【0142】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、平均濃淡値演算手段として水平平均濃淡値演算手段を備えてモノクロ表示用フラットパネルの点・線欠陥を検出するように構成することもできる。
【0143】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、撮像装置にてカラー表示用フラットパネルを撮像する場合、カラー表示用フラットパネルのR(赤)、G(緑)、B(青)が同じ濃淡輝度値として撮像を実現するための表示用信号発生器を備えることにり、カラー表示用フラットパネルの点・線欠陥を検出するように構成することもできる。
【0144】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、平均濃淡値演算手段として垂直平均濃淡値演算手段を備えることにより、カラー表示用フラットパネルの点・線欠陥を検出するように構成することもできる。
【0145】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、フラットパネルの1絵素に対し、水平方向または、垂直方向の何れかにおいて撮像素子1〜2未満画素で撮像装置にて撮像するように構成することもできる。
【0146】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、フラットパネルの各絵素間の非表示領域に対し、水平方向及び垂直方向において撮像素子1画素以上で撮像装置にて撮像することもできる。
【0147】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、前記垂直平均濃淡値を算出する演算手段と垂直平均濃淡値の最大値を線形補間する手段と線形補間した値から垂直平均濃淡値を減算する手段を備えることにより欠陥を検出する手段を備え、また、前記水平平均濃淡値を算出する演算手段から連続する点欠陥を検出する手段を備えることにより、垂直方向の線欠陥を検出するように構成することもできる。
【0148】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、前記水平平均濃淡値を算出する演算手段と水平平均濃淡値の最大値を線形補間する手段と線形補間した値から水平平均濃淡値を減算する手段を備えることにより欠陥を検出する手段を備え、また、前記垂直平均濃淡値を算出する演算手段から連続する点欠陥を検出する手段を備えることにより、水平方向の線欠陥を検出するように構成することもできる。
【0149】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、前記垂直平均濃淡値または、水平平均濃淡値を算出する場合、被画像データを画像メモリ内を複数のエリアに分割し、各エリアに対する垂直平均濃淡値または、水平平均濃淡値を算出し、各エリアに対応する被画像データから各エリアに対応する垂直平均濃淡値を減算する手段または、各エリアに対応する被画像データから各エリアに対応する水平平均濃淡値を減算する手段により差分画像データを生成することにより、撮像した被画像データが回転した状態におけるフラットパネルの点・線欠陥を検出するように構成することもできる。
【0150】
また、例えば、本発明のフラットパネル欠陥検出装置は、画像メモリ内に格納された被画像データをコンピュータによるソフト演算処理手段を備えることにより、フラットパネルの点・線欠陥を検出するように構成することもできる。
【0151】
最後に、本発明のフラットパネル欠陥検出装置100、特に画像処理部104・104´は、上記各機能をハードウエアロジックによって達成することを基本としているが、これらの機能の一部または、全部をコンピュータによるソフトウエア処理によって実現してもよい。すなわち、本発明のフラットパネル欠陥検出装置100、特に画像処理部104・104´の上記各ブロックは、ハードウエアロジックによって構成されるものであってもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現されるものであってもよい。
【0152】
すなわち、上記フラットパネル欠陥検出装置は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備え得る。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである上記フラットパネル欠陥検出装置の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記フラットパネル欠陥検出装置に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成することができる。
【0153】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0154】
また、上記フラットパネル欠陥検出装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードは通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明のフラットパネル検査装置は、黒点欠陥、輝点欠陥、黒線欠陥、および、輝線欠陥を検出する検査装置として利用でき、特に大型のフラットパネルに対する検査装置として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、フラットパネル欠陥検査システムの概略構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、図1のフラットパネル欠陥検査システムに含まれる画像処理部の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、図2の画像処理部によるフラットパネルの欠陥検出の原理を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、図2の画像処理部によるフラットパネルの欠陥検出の原理を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態を示すものであり、図2の画像処理部により実行される欠陥検出方法の概略を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態を示すものであり、図2の画像処理部によるカラー画像表示用フラットパネルの欠陥検出の原理を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、低解像の画像データを用いて欠陥検出を行う場合について説明する説明図である。
【図8】本発明の実施形態を示すものであり、高解像の画像データを用いて欠陥検出を行う場合について説明する説明図である。
【図9】本発明の実施形態を示すものであり、フラットパネルを区分して得られる小部分を撮像した画像データを用いて欠陥検出を行う場合について説明する説明図である。
【図10】本発明の実施形態を示すものであり、フラットパネルで絵素列方向に発生した線欠陥を検出する原理について説明する説明図である。
【図11】本発明の実施形態を示すものであり、フラットパネルで絵素行方向に発生した線欠陥を検出する原理について説明する説明図である。
【図12】本発明の実施形態を示すものであり、図2の画像処理手部を、線欠陥を特定し得るように変形した変形例である。
【図13】従来技術を示すものであり、シェーディングの発生原理を説明する説明図である。
【図14】従来技術を示すものであり、平滑化フィルタによりシェーディング補正を行う場合に起こりえる問題点について説明するための説明図である。
【図15】従来技術を示すものであり、差分画像を用いることによりシェーディングを軽減し得る欠陥検出装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図16】図15の従来技術における、フラットパネルの欠陥検出方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0157】
100 フラットパネル検査システム(欠陥検出装置)
101 撮像装置
102 画像入力部
103 画像メモリ
104 画像処理部(画像処理手段)
105 統括管理部
106 計測制御部
107 パターンジェネレータ(表示用信号生成手段)
108 パネル駆動・制御回路
109 バックライト
111 列平均濃淡値演算処理部(第1の平均濃淡値算出手段)
112 行平均濃淡値演算処理部(第2の平均濃淡値算出手段)
113 マルチプレクサ部
114 ライン差分演算処理部(第1・第2の差分値算出手段)
115 欠陥特定処理部
115a 黒点欠陥検出用2値化処理部(第1の欠陥領域特定手段)
115b 輝点欠陥検出用2値化処理部(第2の欠陥領域特定手段)
115c 特徴量抽出部
118 差分演算処理部(第3・第4の差分値算出手段)
119 線欠陥検出用2値化処理部(線欠陥領域特定手段)
200 フラットパネル(画像表示パネル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示パネルを撮像して得られた画像データに基づいて該画像表示パネルにおける欠陥領域を特定する画像処理手段を備えた欠陥検出装置であって、
上記画像処理手段は、
上記画像データにおける各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出する第1の平均濃淡値算出手段と、
上記画像データにおける各画素の濃淡値から該画素を含む画素列の上記平均濃淡値を減算し、差分値を算出する第1の差分値算出手段と、
上記第1の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第1の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として特定する第1の欠陥領域特定手段と、
を含んでいることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
上記画像処理手段は、
上記画像データにおいて上記画素列と直交する各画素行について、該画素行に属する画素群の平均濃淡値を算出する第2の平均濃淡値算出手段と、
上記画像データにおける各画素の濃淡値から該画素を含む画素行の上記平均濃淡値を減算し、差分値を算出する第2の差分値算出手段と、
上記第2の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第2の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として特定する第2の欠陥領域特定手段と、
を更に含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
上記画像処理手段は、
各画素列の上記平均濃淡値と基準濃淡値との差分値を算出する第3の差分値算出手段と、
上記第3の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定めれた第3の閾値以上になる画素列に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を線欠陥領域として特定する線欠陥領域特定手段と、
を更に含んでいる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検出装置。
【請求項4】
上記画像処理手段は、
上記画像データにおいて上記画素列と直交する各画素行について、該画素行に属する画素群の平均濃淡値を算出する第4の平均濃淡値算出手段と、
各画素行の上記平均濃淡値と基準濃淡値との差分値を算出する第4の差分値算出手段と、
上記第4の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定めれた第4の閾値以上になる画素行に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を線欠陥領域として特定する線欠陥領域特定手段と、
を更に含んでいる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検出装置。
【請求項5】
上記画像表示パネルにカラー画像を表示させるための表示用信号であって、上記画像表示パネルを撮像して得られる上記画像データにおいて色毎に濃淡値の偏りが生じないよう調整された表示用信号を生成する表示用信号生成手段を更に備えている、ことを特徴とする請求項1から4のうち何れか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項6】
上記画像データは、該画像データの各画素に対応する上記画像表示パネル上の被撮像領域の一辺の長さが、上記画像表示パネルを構成する絵素の一辺の長さの1/2倍以上となる解像度で撮像されたものである、ことを特徴とする請求項1から5のうち何れか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項7】
上記画像データは、該画像データの各画素に対応する上記画像表示パネル上の被撮像領域の一辺の長さが、上記画像表示パネルにおける絵素間距離以下となる解像度で撮像されたものである、ことを特徴とする請求項1から5のうち何れか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項8】
上記画像データは、上記画像表示パネルを区分して得られる各小部分を撮像した画像データであることを特徴とする請求項1から7のうち何れか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項9】
画像表示パネルを撮像して得られた画像データを処理し、該画像表示パネルの欠陥を検出する画像処理工程を含む欠陥検出方法であって、
上記画像解析工程は、
上記画像データにおける各画素列について、該画素列に属する画素群の平均濃淡値を算出する第1の平均濃淡値算出工程と、
上記画像データにおける各注目画素の濃淡値と該注目画素を含む画素列の上記平均濃淡値との差分値を算出する第1の差分値算出工程と、
上記第1の差分値算出手段により得られた差分値の大きさが予め定められた第1の閾値以上になる画素に対応する上記画像表示パネルの被撮像領域を欠陥領域として検出する欠陥領域検出工程と、
を含んでいることを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から8のうち何れか1項に記載の欠陥検出装置の上記画像処理手段として動作させるためのプログラムであって、
上記画像処理手段に含まれている上記各手段として、コンピュータを機能させるための欠陥検出プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−315967(P2007−315967A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147284(P2006−147284)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】