説明

欠陥検出装置およびその方法

【課題】検査表面を多方向から撮影して欠陥を判定する装置および方法において、ワークの姿勢と撮影手段の受光部の向きを変化させると、機構が複雑となる問題が考えられる。
【解決手段】ワークWの表面の検査区域Tから異なる方向から、検査区域Tに向かって照射可能な発光手段(O・・・O)と、発光手段(O・・・O)が発した光を絞って検査区域Tに照射するためのレンズ手段(L・・・L)と、受光部が検査区域Tに正対するように検査区域Tの表面に対して鉛直方向に固定して配置され、発光手段(O・・・O)が発した光の検査区域Tにおける反射光を受光可能な撮影手段Cと、撮影手段Cが発光手段(O・・・O)の点灯方向に対応して受光部により反射光を受光して、異なる方向からの照光に対応した検査区域Tの表面の画像を撮影するように撮影手段Cを制御する制御部とを備えることを特徴とする欠陥検出装置により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物などの切削加工後のワークの表面に生じた欠陥を光学的に検出し、欠陥の種別を判定する欠陥種別判定装置およびその判定方法に関する。特には、ワークの検査対象面に様々な方向から光を照射した際の表面画像を撮影し、それらの画素情報から把握される特徴量から欠陥を検出し、その種別を判定する欠陥検出装置およびその判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミ鋳造物等の切削加工面には、切削工程において、たとえば切子が付着した状態でワークを把持することによって生じる圧痕や、切削工程における切削順序によって生じる微妙な段差や、ワークの剛性のばらつき等により刃の振動で生じたびびり等が生じる場合がある。これらは、その深さに応じて、許容公差内の非欠陥部と許容公差外の欠陥部とに分類され、欠陥部と判断されるべきものは漏れなく欠陥と判断できる必要がある。
【0003】
このような欠陥を自動的に検出して判定するために、たとえば、ワークの検査対象面に光を照射し、CCDカメラ等でその反射光を受光して撮影して欠陥を検査する欠陥検出装置が知られている。しかし、このような欠陥検出装置は、一般に平滑表面を検査対象面とするものであり、粗面における欠陥には適していない。
【0004】
これに対し、たとえば、特許文献1に記載されている欠陥検出装置では、欠陥とは別に不規則な切削加工痕が存在するような表面でも、安定的に欠陥を検出可能とする欠陥検出装置が開示されている。特許文献1に開示されている欠陥検出装置は、欠陥以外の部分に照射された光の反射光を受光した際の撮影手段の受光素子の感度が飽和するように照射光の強度を設定し、その設定条件下で照射光の強度を変化させて、欠陥を検出するものである。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている欠陥検出装置では、ある程度の深さを有する欠陥は検出が可能であるものの、表面粗さが小さいびびり等の欠陥にあっては、正常な部位と同様に、反射光に対する受光素子の感度が飽和する。このため、欠陥が正確に検出できない問題があった。
【0006】
このような問題を解決する方法としては、光の照射方向を変化させて、それぞれの方向に対応させてCCDカメラを移動させることにより、多方向からの表面画像を撮影する方法が考えられる。すなわち、欠陥部では、正常な表面に対して全体の反射強度が低く、また照射光の向きによって反射強度に変化が生じうる特徴を有しているから、検査面につき、多方向から表面画像を撮影することにより、検査部位に多方向からの照光が実現され、撮影された複数の表面画像から得られる画像情報を撮影方向に応じて分類して欠陥の種別を判別する方法を採用することにより、欠陥の検出の精度を上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−208259号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
検査表面を多方向から光を照射して撮影する方法としては、たとえば照射光の方向を固定して、ワークの姿勢と撮影手段の受光部の向きを変化させた上で反射光を撮影する方法が考えられる。しかし、ワークの姿勢を変化させる方法では、それを実現する装置において、照明の光軸と反射光の光軸とを調整する機構が複雑になる傾向がある。また、このような装置では、ワークが取り付けられるテーブルの姿勢をアクチューエータなどに変化させることが考えられるが、姿勢を高速で変化させることは一般的に困難であり、欠陥検査に時間がかかる問題も生じる。
【0009】
また、照明の光軸と反射光の光軸とを調整する際において、光の射出位置から検査面(反射面)を介して撮影手段の受光部までの光路の距離をも調整することは困難である。このため、多方向から撮影された複数の表面画像をそれぞれ比較するためには、撮影された表面画像のそれぞれを、基準位置で撮影された基準画像(一般には、水平状態を基準位置として撮影された表面画像)に対する相対的関係としての画像に変換して、配光分布を求める必要が生じる。たとえば、ある位置で撮影された表面画像から配光分布を求めるには、その位置における表面の法線と、基準位置における表面の法線とがなす偏角を求め、正常部と欠陥部との反射光の強度の違いをその偏角に対するデータとして定義し、この偏角がゼロとなるような画像変換を行うことで基準位置において撮影された表面画像に変換する処理を行う必要がある。これには多大な計算コストが必要となる。
【0010】
また、広角発光素子による拡散照明およびそれをそのまま受光する拡散投受光が選択された場合には、得られた配光分布において、判定に使用するS/N比(たとえば、正常部における反射強度と欠陥部における反射強度との比)が低くなり、欠陥の種別を判定する上で不利となる。一方、角度に応じて距離関係を一定に保つことは、作業上煩雑となり、検査に時間がかかる問題に生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる問題を、検査対象面の検査区域に対して、検査対象面の方向を固定した上で、異なる方向から照射した光の反射光を受光して表面画像を撮影し、照光方向に応じた画素情報から欠陥を検出する欠陥検出装置およびその方法により解決する。
【0012】
また、検査対象物の面の方向を変更することなく、検査区域に異なる方向から該検査区域に向かって照射可能な発光手段と、該発光手段が発した光を絞って該検査区域に照射するためのレンズ手段と、受光部が該検査区域に正対するように該検査区域の表面に対して鉛直方向に固定して配置され、該発光手段が発した光の該検査区域における反射光を受光可能な撮影手段と、該撮影手段が該発光手段の点灯方向に対応して該受光部により該反射光を受光して、異なる方向からの照光に対応した該検査区域の表面の画像を撮影するように該撮影手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする欠陥検出装置により解決する。
【0013】
また、検査対象物の面の方向を変更せずに、検査区域に異なる方向から該検査区域に向かって発光手段から光を発する工程と、該発光手段が発した光を絞って該検査区域に光を照射する工程と、受光部を該検査区域に正対させて、該発光手段の点灯に対応して該検査区域に照射された光の反射光を受光して、表面画像を撮影する工程と、該撮影手段が撮影した表面画像の画素値に基づいて、該発光手段の点灯方向に対する反射光強度としての撮影配光分布を生成し、該撮影配光分布と、正常面において該発光手段の点灯方向に対する反射光強度としての反射光の配光分布との比較により欠陥の判別を行う工程とを備える欠陥検出方法により解決する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、多方向から光を照射して検査対象となる表面画像を撮影するための光学系部材の選択が容易となる。また、多方向からの反射光を撮影手段の受光部が受光するための機構を簡易化することができる。さらに、欠陥の検出に必要な時間を削減することが可能となる。
【0015】
また、本発明により、多方向から撮影した検査対象となる表面画像から配光分布を求める際に、水平状態における表面画像などの基準画像を介することなく、直接配光分布を求めることができ、計算コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の欠陥検出装置およびその方法における欠陥判別の原理を説明した図である。
【図2】本発明の実施例1である欠陥検出装置を示した図である。
【図3】本発明の実施例1である欠陥検出装置の検査ヘッドを示した図である。
【図4】本発明の実施例1である欠陥検出装置の制御系を含めた全体の構成の概略を示した図である。
【図5】本発明の欠陥検出装置の手順を示したフローチャートである。
【図6】非欠陥部の例としての高さ3マイクロメートルの段差の表面画像である。
【図7】欠陥部の例としての高さ8マイクロメートルの段差の表面画像である。
【図8】欠陥部の例としての圧着痕の表面画像である。
【図9】平行投受光における高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図10】同軸広角投受光における高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図11】平行投受光における高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図12】同軸広角投受光における高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布である。
【図13】平行投受光における圧着痕の場合の擬似配光分布である。
【図14】同軸広角投受光における圧着痕の場合の擬似配光分布である。
【図15】本発明の実施例2である欠陥検出装置を示した図である。
【図16】図15の矢視Yからみた欠陥検出装置の検査ヘッド部を示した図である。
【図17】図15の矢視Zからみた欠陥検出装置の検査ヘッド部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、本発明の欠陥検出装置およびその方法における欠陥判別の原理を説明する。図1は、たとえば、ワーク(検査対象物)の表面に生じた欠陥を光学的に検出する装置および方法の概念を示した図である。検査対象物の検査する面を検査対象面と定義し、検査対象面のうち検査を行う領域を検査領域Wと定義する。また、検査対象領域Wのうち、特に、1回のシーケンスで欠陥を検出しようとする範囲を検査区域Tと定義する。本発明の欠陥検出装置およびその方法は、発光手段と、レンズ手段と、撮影手段と、制御部とを備える。
【0018】
発光手段は、検査対象物の姿勢(検査対象物の面)の方向を変更することなく、検査対象物の表面の検査区域に、検査対象となる表面の検査区域Tを中心とする曲線軌道OI上の異なる方向(たとえば、位置O,O,O,O,O,O,OまたはO)から該検査区域Tに向かって照射可能である。発光手段としては、たとえば、軌道OI上の任意の位置に固定した複数の発光素子とすることもできる。また、一の発光素子、または少数の発光素子を軌道OI上で移動させ、各位置(たとえば、位置O,O,O,O,O,O,OまたはO)において点灯させることもできる。
【0019】
レンズ手段は、発光手段が発した光を絞って検査区域Tに照射する。検査区域Tに照射される光は、平行光線である必要はない。しかし、レンズ手段としてコリメータレンズを使用して、発光手段が発した光を平行光線して検査区域Tに照射できれば、検査区域Tでの散乱を防ぎ、より精度の高い欠陥判定をすることができる。レンズ手段は、発光素子の位置に対応して配置する。たとえば、固定された複数の発光素子の場合には、各発光素子から検査区域Tとの間の各光路に複数個のレンズL,L,L,L,L,L,LまたはLを配置してもよい。または、発光素子を軌道OI上で移動させる場合には、それとともに移動して、各発光素子から検査区域Tとの間の各光路に常に位置するようにしてもよい。さらには、発光素子を軌道OI上で移動させる場合であっても、複数個のレンズL,L,L,L,L,L,LまたはLを配置した上で、レンズが配置された各位置で移動した発光素子が点灯するようにしてもよい。
【0020】
撮影手段Cは、その受光部が検査区域Tの反射光を受光し、検査区域Tの表面を撮影できる位置に配置する。撮影手段Cは、検査区域Tに正対するように検査区域Tの表面に対して鉛直方向に固定して配置されることが好ましい。これにより、反射強度を測定するにあたり、検査区域Tの表面に対して鉛直方向から全方位に対称な反射光として比較処理をすることが可能となる。
【0021】
制御部(図1では、不図示)は、撮影手段Cを、発光手段の点灯方向に対応して撮影手段Cが異なる方向(O,O,O,O,O,O,OまたはO)からの照光に対応した検査区域Tの表面の画像を撮影するように、制御する。たとえば、発光手段を軌道OI上の任意の位置に固定した複数の発光素子とする場合には、各発光素子の点灯のタイミングで撮影手段Cが撮影をおこなうように制御する。また、一または少数の発光素子を軌道OI上で移動させて点灯させる場合には、その各位置での点灯のタイミングで撮影手段Cが撮影を行うように制御する。欠陥の検出および判別では、撮影した画像が、如何なる方向から照光した場合に撮影された画像(得られた画素情報)であるかが必要となる。そのため、表面画像を撮影した際に、撮影した画像と、照光方向とを関連付けた情報とを生成する。照光方向は、たとえば、検査区域Tの表面に対して鉛直方向からの角度、または発光手段の点灯位置を水平方向からの角度として表すことができる。
【0022】
発光手段を異なる方向(O,O,O,O,O,O,OまたはO)から点灯して検査区域Tに照射すると、欠陥のない正常面では、照射した光は、検査区域Tの表面において、正規反射により均一な反射光を生じる。すなわち、検査区域Tの表面に対して、入射角と反射角が同一になるように反射する。
【0023】
一方、欠陥が存在すると、その面はミクロに不規則な面を有している。そのため、発光手段を異なる方向(O,O,O,O,O,O,OまたはO)から点灯して検査区域Tに照射すると、いずれかの方向で不規則な反射光を生じる。すなわち、検査区域Tの表面に対して、入射角と反射角が同一にならない。したがって、正常な面における反射光の強度と欠陥を有する面における反射光の強度とを配光分布として比較すると、欠陥を有している場合には特徴な差異を生じる。すなわち、たとえば、発光手段をOの方向から検査区域Tに対して照射すると、検査区域Tの表面に欠陥が無い場合には、反対の発光手段をOの方向に向かって光が反射するため、撮影手段Cは反射光Rを受光しない。しかし、このときに、撮影手段Cが反射光Rを受光したとすれば、照射方向に対して反射光の方向は、検査区域Tの表面に対して、入射角と反射角が同一ではないと判断できるから、検査区域Tに何らかの欠陥が存在することがわかる。また、欠陥の種類に応じても、反射光強度には、異なる特徴がみられる。平行投光または平行受光を行うと、さらに反射光強度の差異は顕著に現れる。
【0024】
発光手段は、検査区域Tの表面を中心とした半球を仮定すると、その半球の天頂を通り検査区域Tの表面に垂直な一の面内でみると、検査区域Tの表面に対して鉛直方向から、両方向に、90度(水平)までの任意の角度において撮影することができるように取り付けられる。なお、少なくとも、検査区域Tの表面に対して鉛直方向から両方向に60度に至るまでの角度において撮影をすることができれば、少なくとも欠陥の検出が可能である。さらに、たとえば図1のOIIのように、検査区域Tの表面に対して垂直な任意の一の面は、検査区域Tの表面に対して鉛直方向周りに、全方位(360度)に設定することができ、これらの複数の面において発光手段を取り付ける。これにより、偏った方向に成長した欠陥などの検出も可能となる。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
図2,図3および図4を参照して、本発明の実施例1の欠陥検出装置1について説明する。実施例1は、上述した実施の形態において、全方位の軌道OI上の任意の位置に、固定した複数の発光素子を適用とした形態に対応する。図2は、欠陥検出装置1の外観を示した図である。図3は、図2における断面X−Xで示した検査ヘッド2の断面の概略を示した図である。図4は、欠陥検出装置1を動作させるための、制御系の構成の概略を示した図である。欠陥検出装置1は、検査ヘッド2と、撮像制御部3とを具備する。
【0026】
図2では、検査対象たるワーク5が、ワーク支持台6に取り付けられ、ワーク5は、ワーク5の表面のうち、欠陥の有無を確認しようとする検査対象面5aを検査ヘッド2に向けて配置する。ここで、検査対象面のうち、検査区域5aと定義する。したがって、欠陥の検査は、検査区域5aの位置をずらしながら検査対象面内の検査領域の全てを検査することを意味する。検査区域5aは、検査ヘッド2の下側中央にあたる所定の位置に配置させるように設定する。
【0027】
検査ヘッド2は、複数の発光素子21と、レンズ22と、撮影手段23とを具備する。検査ヘッド2は、姿勢コントロール装置に取付けられる。複数の発光素子21のそれぞれは、所定の位置に検査区域5aが位置するように検査ヘッド2を配置した際に、複数の発光素子21のそれぞれが、検査区域5aに対して異なる方向となるように配置される。また、検査区域5aから撮影手段23に至る方向に対しても、それぞれが異なる方向に位置するように複数の発光素子21が配置されることにもなる。詳細には、検査区域5aの一点を原点(一般には、検査区域5aのほぼ中央)と設定した際に、原点に向けての複数の発光素子21のそれぞれの光軸が向くように設定されることを意味する。
【0028】
図3は、検査ヘッド2の具体的な一の実施例として、図2の断面X−Xにおける検査ヘッド2の断面を示している。ここに示すように、たとえば、球面状のカバー部材24に複数の発光素子21を配置し、特には、カバー部材24は半球体であることが好ましい。その球面状カバー部材24の開口底部中心部(半球の場合には、その半球の中心)に検査区域5aを配置する。また、多面体形状のカバー部材または多面体の各辺をフレームで構成したトラス部材に複数の発光素子21を配置することもできる。なお、半球を使用したとしても、検査区域5aを配置することが予定される検査ヘッド2の中心にあたる所定の位置が、発光素子21のそれぞれから一定である必要は無い。ただし、拡散光の場合には、複数の発光素子21のそれぞれが、検査区域5aを配置することが予定される検査ヘッド2の中心にあたる所定の位置から、ほぼ一定の距離となるように配置すれば、精度があがる場合がある。
【0029】
複数の発光素子21は、検査区5aの表面を中心とした半球を仮定した際に、その半球の天頂を通り検査区域Tの表面に垂直な任意の一の面内で、列をなすように配置されていることが好ましい。さらに、複数の発光素子21が列をなす面が、撮影手段23を中心として、全方位(360度)の任意の角度に複数となるように配置することが好ましい。
【0030】
発光素子21と検査区域5aとの間にはレンズ22が配置される。複数の発光素子21は、検査区域5aを照射することができれば、どのような光源であっても利用することができる。しかし、平行光線を照射することができれば、特に顕著な有利な効果を奏する。本実施例では、レンズ22は、発光素子21と検査区域5aとの間に配置され、検査区域5aに平行光線を照射可能である。姿勢コントロール装置としては、代表的には、多関節ロボットアーム25とすることができる。発光素子21としては、代表的には、発光ダイオード(以下、LED)であるが、レンズ22との組合せにより平行光線とすることができる限り、その他の照明部材を使用することができる。撮影手段23は、検査区域5aが配置されるように設定する位置に撮影手段23の受光部23aが正対し、検査区域5aの表面に対して鉛直方向に受光部23aが位置するように配置する。撮影手段23の受光素子部23bは、たとえば、CCDまたはCMOSの高速カメラとすることができる。複数の発光素子21のそれぞれにより、検査区域5aに向かって多方向から照射された光Eが検査区域5aで反射し、撮影手段23は検査区域5aからの平行反射光Rを受光する。
【0031】
図4に示すとおり、多関節ロボットアーム25は、ロボット制御装置34に接続されている。ロボット制御装置34は、先端に取り付けられている検査ヘッド2の撮影手段23の受光部23aが、検査区域5aに正対し、検査区域5aの表面に対して鉛直方向に受光部23aが位置するように多関節ロボットアーム25の関節を移動させる。
【0032】
ワーク支持台6は、たとえば、水平方向の一方向に可動なXテーブル26と、Xテーブル26の可動方向と直交する方向に可動なYテーブル27とを具備している。さらに、回転テーブル28を付加することもできる。ワーク支持台6のXテーブル26と、Yテーブル27と、回転テーブル28とは、ステージ制御装置35に接続され、水平方向において、直交する2方向にワーク5を移動させ、または水平面内を回転させることが可能である。
【0033】
撮像制御部3は、制御部32と、照明装置33とを具備する。複数の発光素子21は照明装置33に接続され、照明装置33から電圧の供給を受けて点灯および消灯を行う。制御部32はロボット制御装置34に接続されている。制御部32は、多関節ロボットアーム25に対し多関節ロボットアーム25の関節の動作の指令を送信するとともに、多関節ロボットアーム25の状態の情報を受信することが可能である。
照明装置33は制御部32に接続されている。制御部32は、照明装置33に供給させる複数の発光素子21への電圧を調整して、複数の発光素子21のそれぞれの点灯および消灯のタイミング、および発光素子21の輝度を制御可能である。たとえば、複数の発光素子21の全てを消灯しておき、まず、最も端に位置する一の発光素子21を点灯させる。その発光素子21が消灯したタイミングをみて、その発光素子に隣接する発光素子21を点灯させる。これを順次繰り返す。点灯の時間は、たとえば1ミリ秒とすることができる。これにより、列をなした複数の発光素子21が順々に点灯消灯を繰り返すことになる。複数の発光素子21の点灯消灯は、必ずしも、隣接する発光素子21の順序で点灯・消灯を行う必要はなく、点灯した発光素子21の位置に応じて撮影手段23が撮像を行う限り、検査区域5aに対して撮影手段22と発光素子21とのなす角度に対しての検査区域5aの表面映像として関連付けられればよい。すなわち、制御部32は、複数の発光素子21のうちの点灯した発光手段21の位置に応じて撮影手段23が検査区域5aの表面の画像を撮影するように制御し、撮影された表面画像と点灯した発光素子の位置とを関連付けた情報を生成する。生成された情報は、記憶装置(不図示)等に格納することができる。点灯した発光素子の位置は、たとえば、検査対象面(水平面)内の任意の一方向をX軸(たとえば、ワーク支持台6のXテーブル26の可動方向など)とし、これに直交する方向をY軸(たとえば、ワーク支持台6のYテーブル27の可動方向など)とし、水平検査区域5aの表面に対して鉛直方向をZ軸と仮定し、X軸からのZ軸に反時計周りを正とした方向の偏角θと、Z軸からの偏角φとにより、極座標(θ,φ)として表すことができる。実施例1の場合には、複数の発光素子21の全てが固定されているので、それぞれの発光素子に偏角θと偏角φとが一意に割り当てられることになる。検査対象物の面)の方向を変更することなく、異なる方向から光を照射することができるので、どの方向からの照光であろうとも、変換をすることなく検査区域5aの面に対する共通の極座標(θ,φ)として表すことができる。
【0034】
発光素子21をLEDとした場合には、消灯状態から点灯状態になった後に再度消灯するまでの時間を数百マイクロ秒から数ミリ秒程度の短時間に抑えることが可能となる。これにより、列をなす複数の発光素子21の最初の素子の点灯から最後の素子の消灯までの時間を非常に短くすることができる。
【0035】
撮影手段23も、制御部32に接続され、撮影手段23が反射光を撮影するタイミングの調整をとる。複数の発光素子21の点灯のタイミングに合わせて、撮影手段23が撮影を行う。撮影した映像も制御部32に格納される。発光素子21をLEDとして、撮影手段23を高速CMOSカメラとすれば、LEDの発光のタイミングに合わせて撮像した結果、視野50平方ミリメートルに対して、約1秒で、多方向から照射した光に対応した複数の表面画像の撮影を完了できる。
【0036】
制御部32は、画像形成装置31に接続されている。撮影手段23により撮影され、制御部32に取得された表面画像は画像形成装置31に送られる。表面画像は一時的にメモリ(不図示)に格納される。画像形成装置31は、格納されている多方向から照射した光に対応した表面画像の全画素データを組み合わせ、検査領域全体の擬似配光分布を計算する。擬似配光分布は、任意の偏角θの二次元面内において、輝度(反射光強度)をベクトル量とし、検査区域5aからの反射光の方向の偏角φをベクトルの要素として表した二次元面上における反射光の強度分布である。計算された擬似配光分布から、検査領域の全画素の特徴量を算出する。特徴量は、撮影された表面画像の画素値から、反射光強度(輝度)Iとその際の偏角φとにより、F(I,φ)と定義する。複数の発光素子21が、撮影手段23を中心として全方位(360度)に配置されているため、欠陥が存在する場合には、いずれかの方向に反射特性の差異が現れる。また、その反射特性の差異は、欠陥の種類によっても異なる。したがって、これを偏角θ(θ=0〜360°)における各面の特徴量F(I,φ)として予め把握しておけば、この特長量の比較によって、欠陥の種別を把握することができる。
【0037】
ここで、本実施例において、欠陥の検出および種類の判別において、表面画像を撮影するために光を照射した際の反射光と、予め正常部に光を照射した際の反射光との間における、擬似配光分布上の反射特性の差異(測定公差量を超えたもの)の指標として、「予め正常部において取得した反射光強度」に対しての「測定された反射光強度」を、照射した光の方向(検査対象面の法線に対する角度)に対応させた値により判別する。具体的には、任意の偏角θにおける正常面における擬似配光分布において、特徴量F(In,φn)(−90°<n<90°)を求める。一方、同じ偏角θにおいて欠陥検査のために撮影した表面画像により求めた擬似配光分布とから、特徴量F(Im,φm)(−90°<n<90°)を求める。特徴量Fと特徴量Fと同一の偏角φm(=φn)のときの特徴量の比(Im/In)が最大となる偏角を求める。予め欠陥の種類ごとに特徴量の比を閾値THとして取得しておいて、測定された画像から求められた特徴量の比と閾値を比較して、測定された特徴量比がTHを超えた場合には、欠陥と認定することができる。
【0038】
なお、欠陥の存否については、上記の方法でなくとも、別の方法により判定することもできる。欠陥の高さについては、撮影された画像の画素値であらわされる反射光の明度で、認識をすることが可能となる。したがって、特徴量の比を閾値THに対応する明度の2値化データを予め決定しておき、撮影された画像の画素値のすべてについての明度が、閾値の明度の2値化データより大きいか小さいかを判定する。そして、各画素において、それが閾地の明度の2値化データより大きい場合には最低明度の2値を付与し、小さい場合には最高明度の2値を付与する。これにより、反射光に特異な差異がみられる箇所の画素はたとえば黒に対応した画素が、一方、特異な差異がみられない箇所はたとえば白に対応した画素が付与された画像ができる。欠陥の大きさについては、特異な差異の広がりにより判別することができる。したがって、これを異なる方向から光線を当てて撮影した全ての画像の画素値について行って合成すれば、たとえば黒の画素が大きい箇所は、欠陥が存在すると判定することも可能となる。
【0039】
続いて、図5を参照して、欠陥検出の手順に説明する。まず、ワーク支持台6にワークを載置する。そして、検査ヘッド2の所定の位置に検査区域5aが位置するように、ワーク支持台6のXテーブル26、Yテーブル27または回転テーブル28を回転し、多関節ロボットアーム25の関節を作動させる(S1)。制御部32により、照明装置33から供給する電圧を調整して、複数の発光素子21のそれぞれの点灯および消灯を行って(S2)、各発光素子21が点灯した際の表面画像を撮影する(S3)。撮影した表面画像を、検査区域5aの表面映像としての全画素値の輝度値を、検査区域5aに対して撮影手段22と発光素子21とのなす角度の情報と関連づけて、メモリに格納する(S4)。その後、検査領域に対応する指定した全ての角度における撮影が完了したか否かを判定し、未了の場合には、複数の発光素子21の全てに対して再度、撮影の工程(S2,S3,S4)を繰り返す(S5)。完了している場合には、検査領域における全画素の擬似配光分布を計算する(S6)。続いて、撮影した全ての表面画像の全画素について擬似配光分布が得られた後に、特徴量を計算する(S7)。その後、得られた特徴量から、正常面および欠陥種別を判定する(S8)。欠陥の種類ごとに画素を分類し(S9)、その種類ごとに特徴量を算出して閾値との比較をする。全検査領域の判定が完了した場合には(S11)、閾値を超えたものについて欠陥の有無を判定する(S12)。
【0040】
ここで、本実施例における光学系において、図6から図8、図9と図10,図11と図12,および図13と図14を参照して、複数の発光素子21およびレンズ22による平行投光、および撮影手段23による平行受光が如何に有利な効果を奏するかを説明する。例として、非欠陥部の例として、図6に示す表面画像のように段差(高さ3マイクロメートル)を有している場合と、欠陥部の例として図7に示す表面画像のように段差(高さ8マイクロメートル)を有している場合および図8に示す表面画像のように圧着痕を有している場合と、を考える。
【0041】
図6に示した段差(高さ3マイクロメートル)を有している表面における欠陥検出の場合において、図6に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図9に示す。この擬似配光分布では、予め正常部において取得した反射光強度51と、欠陥検出のために測定された段差部の反射光強度52とを重ねて示している。この例では、予め正常部において取得した反射光強度51(ベクトル量)の分布は全方位に対してほぼ均等な扇形を示しており、また段差部の反射光強度52(ベクトル量)は、その大きさが若干低いものの、分布は均等であることがわかる。また、予め正常部において取得した反射光強度51(ベクトル量)の最大値bに対する測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)の最大値aの比(以下、「配光分布比(a/b)」とよぶ)は、0.71となる。
【0042】
図7に示した段差(高さ8マイクロメートル)を有している表面における欠陥検出の場合において、図7に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図11に示す。欠陥と判定されるこの例のように、高低が大きい段差の擬似配光分布では、均等な分布を示す予め正常部において取得した反射光強度51(ベクトル量)よりも、測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)が特に一方向(図11の左側)に向かって強い偏りをもっていることが明確にわかる。また、配光分布比(a/b)も6.6と高い値を示す。
【0043】
図8に示した圧着痕を有している表面における欠陥検出の場合において、図8に円で示した検査区域として本実施例の欠陥検出装置により測定し計算した擬似配光分布を図13に示す。この例でも均等な分布を示す予め正常部において取得した反射光強度51(ベクトル量)よりも、測定された段差部の反射光強度52(ベクトル量)が特に一方向(図13の右側)に非常に強い偏りをもっていることがわかる。また、この偏りは、段差(高さ8マイクロメートル)の場合の擬似配光分布とは異なった傾向であることが明白である。この場合の配光分布比(a/b)は1.48であり、段差(高さ8マイクロメートル)の場合よりも低いが、非欠陥部よりも高い値を示している。
【0044】
このように、本実施例における光学系では、複数の発光素子21およびレンズ22による平行投光、および撮影手段23による平行受光を実現することが出来る。本実施例において、平行投受光を実現するにより、配光分布比(a/b)は、圧着痕の場合で6.6にまで感度をあげることができる。これは、同軸面照明と通常レンズとを組合せた同軸広角投光およびその反射光を受光する同軸広角投受光光学系を利用した場合に比べて非常に高い値である。すなわち、欠陥部の有無の判定および欠陥部の種類の分類において、欠陥に対する感度が高く判別が容易であることを意味する。
【0045】
図10,図12,図14は、それぞれ、同軸広角投受光の場合における擬似配光分布である。図10,図12および図14に示めすとおり、同軸広角投受光光学系の場合には、高さが3マイクロメートルの段差と、8マイクロメートルの段差と、圧着痕とにおいて、予め正常部において取得した反射光強度51の擬似配光分布と、測定された反射光強度52の擬似配光分布の形状および各方向への反射光強度のベクトル量に、平行投受光光学系の場合における擬似配光分布ほどの顕著な差がみられない。 特に、同軸広角投受光光学系の場合には、欠陥と判断されるべき高さ8マイクロメートルの段差の擬似配光分布(図12)と、圧着痕(図14)においては、その形状に大きな違いがなく、欠陥の種類の判別が困難であることがわかる。
【0046】
また、欠陥とはならない高さ3マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布(図6)では、平行投受光光学系における配光分布比(a/b)が0.71(図9)であるのに対し、同軸広角投受光光学系における配光分布比(a/b)は1.1(図10)と、ほぼ近接する。これが、欠陥と認定される高さ8マイクロメートルの段差の場合の擬似配光分布(図7)の場合では、平行投受光光学系における配光分布比(a/b)は6.6(図11)と高さ3マイクロメートルの段差の場合よりも高い感度で大きく変化した。しかし、同軸広角投受光光学系における配光分布比(a/b)は1.6(図12)と高さ3マイクロメートルの段差の配光分布比(a/b)である1.1(図10)に対しては変化が小さい。すなわち、平行投受光光学系を利用する本発明により得られる配光分布比(a/b)は、欠陥に対して非常に高い感度を有するので、欠陥による特徴の比較を高い感度で行うことが出来、高い精度の欠陥の検出・判定が可能となる。
【0047】
(実施例2)
続いて、図15,図16および図17を参照して、本発明の実施例2の欠陥検出装置1について説明する。実施例2は、実施の形態において、全方位の軌道OI上にそって、発光素子を移動させる形態に対応する。実施例2は、発光素子を移動させて異なる方向から光を検査区域5aに照射する点を除いては、実施例1と同じである。ここでは、実施例1と異なる部分について説明する。図15は、実施例2の欠陥検出装置1の外観を示した図である。図16は図15の矢視Yから見た図であり、図17は矢視Zから見た図である。欠陥検出装置1を動作させるための制御系の構成は図4と同じである。実施例2の欠陥検出装置1も、検査ヘッド2と、撮像制御部3とを具備する。ワーク5も実施例1と同様にワーク支持台6に取り付けられ、ワーク支持台6も実施例1と同様に動作する。
【0048】
撮影手段23は、その受光部23aが、ワーク5の検査区域5aの面に正対し、検査区域5aから鉛直方向に配置される。実施例2の検査ヘッド8は、発光素子41と、レンズ42と、ハーフミラー43とを具備する。ハーフミラー43は、検査区域5aと撮影手段23の受光部23aとの光路の間に傾けて配置される。傾き角は、検査区域5aと撮影手段23の受光部23aとの光路に対してほぼ45度の傾斜で配置される。発光素子41は、検査区域5aと撮影手段23の受光部23aとの光路の光軸に対して直交するように、配置される。検査ヘッド8は、ハーフミラー43が検査区域5a周りの軌道上を回動可能なように回動手段に取り付けられている。より詳細には、ハーフミラー43が検査区域5aの面と垂直で検査区域5a上を移動可能な円弧状軌道を回動可能である。回動手段としては、たとえば、関節ロボットアーム25を使用することが出来るが、ハーフミラー43が検査区域5aの面と垂直な面上を回動可能である限り、様々なタイプの駆動機構が適用できる。回動手段が回動したとしても、ハーフミラー43は、全ての位置において、検査区域5aの表面から撮影手段23の受光部23aに至るまでの光路中で、各位置の光路に対して45度の傾斜を保つように位置する。なお、回動する軌道は、検査区域5aの面と垂直な面でなくてもよいが、検査区域5aの面と垂直な面であれば、特に精度の高い判別が可能となる。
【0049】
回動手段が、検査区域5aを中心として発光素子41を回動させ、回転テーブル28によりワークを360度回転することにより、検査区域5aに全方位から光を照射することができる。レンズ42は、発光素子41とハーフミラー43との間に配置されるコリメータレンズであって、ハーフミラー43に対して、平行光線を照射する。回動手段により、発光素子41が回動する軌道上のすべての位置において、発光素子41は、ハーフミラー43に向けて光を照射可能となるように配置される。
【0050】
発光素子41が回動する軌道上の任意の位置において、ハーフミラー43に向けて光を照射すると、発光素子41から照射された平行光がハーフミラー43で検査区域5aに向けて90度向きを変えて反射して検査区域5aに照射される。検査区域5aの面で反射した反射光のうち、その一部は検査区域5aの面と鉛直方向に直進してハーフミラー43を透過し、撮影手段23の受光部23aに入射する。これにより、多方向から検査区域5aに照光し、そこで反射した反射光が撮影手段32で受光され、異なる方向からの照光に対する表面画像の撮影をすることができる。
【0051】
なお、撮影された表面画像の画素に基づいて、配光分布を求めて、特徴量の比から欠陥の検出および判別を行う点は、実施例1と同じである。
【符号の説明】
【0052】
1 欠陥検出装置
2,8 検出ヘッド
5 ワーク
21,41 発光素子
23 撮影手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面に生じた欠陥を検出して判定する欠陥検出装置であって、
前記表面の検査区域に異なる方向から、前記検査区域に向かって照射可能な発光手段と、
前記発光手段が発した光を絞って前記検査区域に照射するためのレンズ手段と、
受光部が前記検査区域に正対するように、前記検査区域の表面に対して鉛直方向に固定して配置され、前記発光手段が発した光の前記検査区域における反射光を受光可能な撮影手段と、
前記撮影手段が前記発光手段の点灯に対応して前記受光部により前記反射光を受光して、異なる方向からの照光に対応した前記検査区域の表面の画像を撮影するように前記撮影手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の欠陥検出装置であって、
前記レンズ手段は、前記発光手段が発した光を前記検査区域に平行光線として照射可能であることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した欠陥検出装置であって、
前記欠陥検出装置は画像処理部を備え、
前記画像処理部は、前記撮影手段が撮影した表面画像の画素値に基づいて、前記発光手段の点灯方向に対する反射光強度としての撮影配光分布を生成し、前記撮影配光分布と、正常面において前記発光手段の点灯方向に対する反射光強度としての反射光の配光分布との比較により欠陥の判別を行うことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載した欠陥検出装置であって、
前記欠陥の判別は、前記撮影配光分布における反射光強度と、正常面における前記配光分布における反射光強度との比を所定の閾値と比較して判別することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記発光手段は複数の発光素子であって、
前記レンズ手段は、複数のコリメータレンズであって、
前記複数の発光素子の各々は、前記表面の検査区域から異なる方向に配置され、
前記複数のコリメータレンズの各々は、前記複数の発光素子の各々が発した光を前記検査区域に照射することが可能であり、
前記制御部は、前記複数の発光素子のそれぞれを連続的に点灯および消灯させ、点灯した発光手段の位置に応じて前記撮影手段が前記検査区域の表面の画像を撮影するように制御し、撮影された画像と点灯した発光素子とを関連付けた情報を生成することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載した欠陥検出装置であって、
前記複数の発光素子は、球面上に取り付けられていることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項7】
請求項5に記載した欠陥検出装置であって、
前記複数の発光素子は、多面体を構成する部材に取り付けられていることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の欠陥検出装置であって、
前記発光手段は、前記発光手段が前記検査区域を中心として回動可能となる回動手段に取り付けられ、
前記制御部は、前記発光手段の位置に応じて前記検査区域の表面の画像を撮影し、撮影した画像と前記位置とを関連付けた情報を生成することを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載した欠陥検出装置であって、
前記発光手段は、発光素子とハーフミラーとを備え、
前記レンズ手段は、前記発光素子と前記ハーフミラーとの間に配置されるコリメータレンズであって、
前記回動手段が回動した際に、前記ハーフミラーは前記検査区域の表面から前記受光部に至るまでの光路中に、前記光路に対して45度の傾斜を保つように位置し、
前記発光素子は、前記ハーフミラーに向けて光を照射可能な方向に配置され、
前記受光部が受光する反射光は、前記発光素子から照射された平行光が前記ハーフミラーで反射して前記検査区域に照射され、前記検査区域の表面で反射した反射光が前記ハーフミラーを透過したものであることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項10】
請求項5から9のいずれか一項に記載した欠陥検出装置であって、
前記発光素子のそれぞれは、発光ダイオード素子であることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項11】
検査対象物の表面に生じた欠陥を検出して判定する欠陥検出方法であって、
検査対象物の表面の検査区域に異なる方向から、前記検査区域に向かって発光手段から光を発する工程と、
前記発光手段が発した光を絞って前記検査区域に光を照射する工程と、
受光部を前記検査区域に正対させて、前記発光手段の点灯に対応して前記検査区域に照射された光の反射光を受光して、表面画像を撮影する工程と、
前記撮影手段が撮影した表面画像の画素値に基づいて、前記発光手段の点灯方向に対する反射光強度としての撮影配光分布を生成し、前記撮影配光分布と、正常面において前記発光手段の点灯方向に対する反射光強度としての反射光の配光分布との比較により欠陥の判別を行う工程とを備える欠陥検出方法。
【請求項12】
請求項11に記載の欠陥検出方法であって、
前記レンズ手段は、前記発光手段が発した光を前記検査区域に平行光線として照射可能であることを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載した欠陥検出方法であって、
前記欠陥の判別を行う工程では、前記撮影配光分布における反射光強度と、正常面における前記配光分布における反射光強度との比を、所定の閾値と比較して判別する工程を含むことを特徴とする欠陥検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−7589(P2013−7589A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139014(P2011−139014)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】