欠陥検査装置およびその方法
【課題】空間フィルタ設定の効率を向上可能であり、かつ空間フィルタ設定の自動化が可能な欠陥検査装置を実現する。
【解決手段】可変視野絞り81を絞り、観察カメラ88を用いて空間フィルタ面の画像を取得し、回折光の輝点の輝度レベルによって複数のグループに分類する。輝度レベルの最も高いグループを遮光するように空間フィルタを設定し、観察画像を取得する。取得した画像に繰り返しパターンが残っているかを判定し、残っていると判定した場合には、空間フィルタ45の設定を変更する。先に遮光したグループに加え、次に輝度レベルの高いグループも遮光できるように空間フィルタを設定し、繰り返しパターンが残っていないと判断されるまで同じ手順を繰り返し、空間フィルタ45の設定を終了する。
【解決手段】可変視野絞り81を絞り、観察カメラ88を用いて空間フィルタ面の画像を取得し、回折光の輝点の輝度レベルによって複数のグループに分類する。輝度レベルの最も高いグループを遮光するように空間フィルタを設定し、観察画像を取得する。取得した画像に繰り返しパターンが残っているかを判定し、残っていると判定した場合には、空間フィルタ45の設定を変更する。先に遮光したグループに加え、次に輝度レベルの高いグループも遮光できるように空間フィルタを設定し、繰り返しパターンが残っていないと判断されるまで同じ手順を繰り返し、空間フィルタ45の設定を終了する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、液晶表示素子、プリント基板など、基板上にパターンを形成する製品の製造工程において、異物やパターンの変形等の欠陥を検出する欠陥検査装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体基板(ウエハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になる。また、半導体素子上のパターンの微細化につれて、半導体基板中に微細な異物が存在した場合に、この異物がキャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因となっている。
【0003】
同様に、液晶表示素子製造工程でも、パターン上に異物が混入したり、パターンの形状に何らかの欠陥が生じたりすると、表示素子として使えないものになってしまう。
【0004】
また、プリント基板の製造工程でも状況は同じであって、異物の混入はパターンの短絡、不良接続の原因に成る。
【0005】
この種の基板上の異物を検出する技術の一例が、特許文献1に記載されている。つまり、特許文献1に記載の技術によれば、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に付着している異物からの散乱光を検出し、直前に検査した同一品種半導体基板の検査結果と比較する。検査結果と比較することにより、パターンによる虚報を無くし、高感度かつ高信頼度な異物及び欠陥検査を可能にしている。
【0006】
また、上記異物を検査する技術として、ウエハにコヒーレント光を照射してウエハ上の繰り返しパターンから射出する光を空間フィルタで除去し繰り返し性を持たない異物や欠陥を強調して検出する方法が知られている。
【0007】
また、ウエハ上に形成された回路パターンに対して、この回路パターンの主要な直線群に対して45度傾けた方向から照射して主要な直線群からの0次回折光を検出光学系の対物レンズの開口内に入射させないようにした異物検査装置が、特許文献2に記載されている。
【0008】
さらに、ウエハ上のエリア毎に最適な空間フィルタを設定し検査することで、検査感度を向上させる技術が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−89336号公報
【特許文献2】特開平1−117024号公報
【特許文献3】特開2004−184142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、半導体素子の高機能化に伴い、一つの半導体素子に形成されるパターンは複雑化し、複数の繰り返し周期を持ったパターンが混在することが多くなってきている。
【0011】
この様な半導体素子の検査では、空間フィルタの条件設定が難しく、条件設定に長時間が必要であるだけでなく、最適化が困難となっている。
【0012】
また、メモリ等の比較的構造のシンプルな半導体素子であっても、空間フィルタの条件設定には人の介在が必要であり、空間フィルタ設定の効率向上化が困難であった。
【0013】
本発明の目的は、空間フィルタ設定の効率を向上可能であり、かつ空間フィルタ設定の自動化が可能な欠陥検査方法およびその装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成される。
【0015】
本発明の欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、検査対象物を照明し、検査対象物を移動させながら検出レンズを用いて上記検査対象物からの反射散乱光を集め、上記検出レンズ中に配置された空間フィルタによって選択的に透過させた光を撮像素子上に結像させて撮像し、上記検出レンズの結像面に対応する上記空間フィルタ面を同時に撮像素子を用いて撮像し、撮像した検査対象物の表面に形成されたパターンの画像と、上記空間フィルタ面の画像とを空間フィルタ設定画面に表示し、上記空間フィルタの遮光条件を設定し、設定した条件で再度検査対象物を移動させながら検査対象物の画像を上記撮像素子によって取得し、取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空間フィルタ設定の効率を向上可能であり、かつ空間フィルタ設定の自動化が可能な欠陥検査方法およびその装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用される欠陥検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示した欠陥検査装置における観察光学系の構成例を示す図である。
【図3】本発明により観察される検査対象基板の一例説明図である。
【図4】本発明の実施例1における空間フィルタ設定画面の例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1における空間フィルタ設定画面の例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1における空間フィルタ設定の手順の例を示す図である。
【図7】本発明の実施例1における空間フィルタ設定の自動化手順の例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1における空間フィルタ設定の自動化手順の説明図である。
【図9】本発明の実施例2における空間フィルタ設定の自動化手順の説明図である。
【図10】本発明の実施例2における空間フィルタ設定画面の説明図である。
【図11】本発明の実施例2における空間フィルタ設定の説明図である。
【図12】本発明の実施例2における空間フィルタ設定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明が適用される欠陥検査装置の全体構成図であり、図2は、図1に示した欠陥検査装置の検査光学系の構成図である。また、図3は、欠陥検査装置で検査される検査対象物一例を示す図である。
【0020】
まず、図3を参照して、検査対象物の一例を説明する。
【0021】
図3の(a)において、検査対象物は、ロジックLSIあるいはメモリLSIのチップ200を所定の間隔で2次元的に配列した、円盤状の半導体ウエハ10である。半導体ウエハ10の表面に照明光20が照射される。
【0022】
図3の(b)に示すように、チップ200上には、メモリセル領域200a、200bと、デコーダやコントロール回路等からなる周辺回路領域200c、200dと、その他の領域とが主に形成されている。
【0023】
メモリセル領域200a、200bは、最小線幅が例えば0.03〜0.1マイクロメートル程度のメモリセルパターンが2次元に規則的に配列して(繰り返して)形成されている。また、周辺回路領域200c、200dには、例えば最小線幅0.1〜0.4マイクロメートル程度の非繰り返しパターンが形成されている。
【0024】
また、その他の領域は、例えば、ボンディングエリア領域(最小線幅は、例えば10マイクロメートルオーダ程度であり、パターンなしに近い)がある。
【0025】
次に、図1を参照して、欠陥検査装置について説明する。
【0026】
図1において、検査対象物10(半導体ウエハや、表示素子、プリント基板など)は、ステージ110に搭載されている。ステージ110は、例えばXYステージ、Zステージ、シータステージなどの組み合わせで構成される。
【0027】
ステージ110の上方に設置された検査光学系100によって検査対象物10の全面が検査できるように、検査対象物10をXY面内で走査できるものが用いられる。検査対象物10は、照明光学系30(光源を含む)から射出される照明光20によって照明される。
【0028】
検査対象物10上のパターンや異物等の欠陥からの散乱反射光のうち、検出レンズ40に入射したものは、検出レンズ40の像面直前に配置されたビームスプリッタ50を経てセンサ70に導かれると共に、ビームスプリッタ50により反射され、観察光学系80に導かれる。
【0029】
検出レンズ40は、内部の空間周波数面に空間フィルタ45を備えている。検査対象物10上の繰り返しパターンからの回折光を空間フィルタ45で遮蔽することにより、高感度な検査が可能となる。ビームスプリッタ50としては、大判のものの実現が容易な平板ビームスプリッタを用いる。
【0030】
センサ70に入射した光は、光電変換され、画像信号が画像処理部140に送られる。検出レンズ40としては、検光子を備えたものを用いることもある。センサ70としては、リニアCCDセンサやTDIセンサなどが用いられる。画像処理部140では、隣接する同じパターンからの画像が比較され、得られた差分から欠陥が検出される。
【0031】
観察光学系80は、検出レンズ40の像面を観察可能な像面観察系と空間フィルタ45面を観察可能な空間フィルタ観察系を備え、空間フィルタ45の条件設定に使用される。
【0032】
次に、図2において、検出光学系100は、検査対象物10からセンサ70および観察光学系80までの構成を有している。
【0033】
検出レンズ40は、対物レンズ40aと結像レンズ40bとを備え、空間フィルタ45は、レンズ40a、40b両者の間の空間周波数面に配置される。空間フィルタ45としては、棒状の遮光物を縦横に配置し、それらの互いの間隔を調整可能にしたものや、2次元アレイ上に遮光可能な画素が配置されたもの(液晶などを用いた空間光変調器)などが用いられる。
【0034】
ビームスプリッタ50は、検出レンズ40の像面直前に配置され、光路に対して抜き差し可能な構成とする。つまり、ビームスプリッタ50は、移動可能になっており、光路中及び光路外に配置することができる。空間フィルタ45の条件設定の際には、ビームスプリッタ50を検出レンズ40の光路中に入れ、観察光学系80で結像面および空間フィルタ面の画像を観察しながら設定を行う。そして、検査の際には、ビームスプリッタ50を検出レンズ40の光路から外し、センサ70を用いた撮像に影響が出ないようにすることができる。
【0035】
観察光学系80は検出レンズ40の像面に配置され視野を制限する可変視野絞り81と、ビームスプリッタ82と、空間フィルタ面観察レンズ84と、空間フィルタ面観察カメラ88と、像面観察レンズ86と、像面観察カメラ89とを備えている。
【0036】
空間フィルタ面観察カメラ88及び像面観察カメラ89の出力画像は、図1に示す制御部120に送られ、制御部120は、送られた画像に基いて空間フィルタ45の条件設定を行う。可変視野絞り81は、検出レンズ40の像面観察の視野を規定するとともに、同時に空間フィルタ面観察の際の検査対象物10上のフーリエ変換対象領域を規定する。こうすることにより、検査対象物10上の領域とそのフーリエ変換像の1対1対応をとることが可能となる。
【0037】
像面観察カメラ89では、可変視野絞り81の像と、その開口を通して観察される検査対象物10上の領域の像が観察される。
【0038】
一方、このとき、空間フィルタ面観察カメラ88で観察される空間フィルタ面の画像は、ちょうど像面観察カメラ89で可変視野絞り81の開口内に観察される検査対象物10上の領域のフーリエ変換像となる。
【0039】
したがって、空間フィルタ45を最適化したい領域が像面観察カメラ89の視野中心に来るように検査対象物10を移動させ、その他の領域が視野に入らず、かつ最大の開口が取れるように可変視野絞り81の開口サイズを操作部130を介して調整する。これによって、遮光すべき回折光成分を正確に知ることが可能となる。
【0040】
さらに、空間フィルタ面観察カメラ88の画像を見ながら、回折光が遮光されるように空間フィルタ45を操作部130及び制御部120により設定することによって、検査対象物10上のその領域に対しての最適な空間フィルタ45の条件設定が可能となる。操作部130及び制御部120により遮光条件設定手段が構成される。
【0041】
なお、結像レンズ40bをズームレンズとすることにより、検査の際に複数の結像倍率を選択することが可能となるが、この様な場合には、空間フィルタ面観察レンズ84及び像面観察レンズ86も倍率可変とすることが望ましい。結像レンズ40bの焦点距離にあわせて、空間フィルタ面観察レンズ84及び像面観察レンズ86の倍率を設定することで、空間フィルタ面観察カメラ88及び像面観察カメラ89の撮像面全体を有効に使って、空間フィルタ面および像面の観察をすることが可能となる。
【0042】
次に、図4、図5、図6を参照して、空間フィルタ45の条件設定の手順を具体的に説明する。
【0043】
空間フィルタ45の最適設定条件は、検査対象物10上の繰り返しパターンの形状に依存するため、理想的にはパターンの異なる領域ごとに設定する必要がある。本発明の実施例1では、特定の領域(チップ200上の領域200a)に最適な空間フィルタ45を設定する方法の例を示す。
【0044】
まず、検査対象物10をステージ110に載せ、チップ200上の繰り返しパターン部200aが像面観察カメラ89で観察できるようにする(手順910)。このとき、例えば、図4に示すように、操作部130(図1に示す)の操作画面300には像面観察カメラ89の画像310と空間フィルタ面観察カメラ88の画像320が表示されるようにする。画面上のエリア330には、例えば、像面観察レンズ86や像面観察カメラ89の設定情報、可変視野絞り81の設定情報、及びそれらの操作画面を表示するとよい。
【0045】
また、画面上のエリア340には、例えば、空間フィルタ面観察レンズ84や空間フィルタ面観察カメラ88の設定情報、空間フィルタ45の棒状遮光物327、328の設定情報、及びそれらの操作画面を表示するとよい。
【0046】
図4に示した状態では、可変視野絞り81は大きく開かれており、像面観察カメラ89の視野はカメラ89の撮像素子の大きさで制限されているため、画面いっぱいに検査対象物10上の複数のパターンが観察されている。
【0047】
一方、空間フィルタ面観察カメラ88には複数のパターン領域からの回折光325が重なって観察されている。この状態では、どの回折光325を遮光すれば目的とする領域200a(図3にて示す)のパターンを消すことができるのか知ることは容易ではない。このため、従来技術においては、複数回の試行錯誤を繰り返すことが必要となっており、空間フィルタ45の遮光物327、328の設定に時間がかかり最適化も困難であった。
【0048】
本発明の実施例1では、像面観察画像上で空間フィルタ45の調節の目的とする繰り返しパターン200aのみが視野内に見えるように可変視野絞り81を調節し(手順920)、これと一対一に対応する空間フィルタ面画像320を観察できるようにすることで、空間フィルタ45の遮光物327、328の最適設定を容易とする。空間フィルタ45の遮光物327、328は、操作部(遮光条件設定部)130、制御部(遮光条件設定部)120を介して操作者が手動で設定可能となっている。なお、後述するように、空間フィルタ45の遮光物327、328は、最適状態に自動的に設定可能でもある。
【0049】
図5に示すように、可変視野絞り81を絞ることで繰り返しパターン200aのみが、絞り81によって制限された視野315内に見えるようにすることが可能となる。このとき、空間フィルタ面で観察されるフーリエ変換像320は、視野絞り81内に見えるパターン200aのみのフーリエ像となる。
【0050】
従って、この画像320上の回折光325を遮光するように空間フィルタ45の遮光物327、328を設定(手順930)すれば目的とするパターン200aを消すことが可能となる。
【0051】
像面観察カメラ88の画像を操作部130の操作画面300上に表示しておけば、空間フィルタ45を調節し、空間フィルタ面画像320で回折光の輝点が遮光できたかを確認すると同時に像面観察画像310で繰り返しパターン200aが消えたかを確認(手順940)することが可能である。これによって、空間フィルタ45の設定が正しいこととその効果を即時に確認することができる。
【0052】
なお、ここでは視野絞り81の開口として円形の開口の例を示したが、円形に限らず、任意の形状でよい。パターンの存在領域は一般的には矩形であることから、矩形開口を用いれば像面で広い開口領域を確保でき、空間フィルタ面画像の明るさを確保しやすいというメリットがある。
【0053】
次に、図6を用いて説明した空間フィルタ45の設定手順を自動化する際のより詳細な手順を図7に示す。なお、図7に示した例は、処理の自動化のため、画像を取得し、それを処理して空間フィルタ45の遮光物を設定する部分を詳細に示している。自動化のための処理は、主に制御部120で行われる。
【0054】
図7において、手順910は図6に示した手順と同様である。手順920は、画像取得(手順922)と、画像処理による領域抽出(手順924)と、視野絞り径の算出と設定(手順926)とに分けられる。
【0055】
まず、可変視野絞り81を開いた状態で像面観察カメラ89を用いて検査対象物10の画像を取得する(手順922)。図4に示した画像310のように、カメラの視野全体にわたってパターンの特徴の異なる複数の領域が写った画像が得られる。この画像から、制御部120の内部記憶部に記憶されたパターン配置情報に基づき、画像中心付近の繰り返しパターン部を抽出する(手順924)。それ以外の領域を遮光するために必要な可変開口絞り81の開口径を算出し、絞り81を動かして開口径を算出した値にあわせる(手順926)。絞り81は、制御部120の指令信号により設定された開口径となるように制御される。
【0056】
手順930は、空間フィルタ面画像取得(手順932)と、画素の輝度レベル分け(手順934)と、空間フィルタ設定(手順936)とに分けられる。
【0057】
まず、空間フィルタ45の遮光物327、328を入れずに空間フィルタ面観察カメラ88を用いて空間フィルタ面の画像を取得する(手順932)。図8の(a)に示すように、回折光325の輝点あるいは線のある画像が得られる。ヒストグラムに表すと例えば図8の(b)に示すようになる。この画像の画素を輝度レベル(画素値)によって複数のグループに分類する。
【0058】
例えば、各画素256階調のカメラで撮像した場合には、輝度レベルは0から255階調となる。ヒストグラム上で輝度レベル50未満をグループ1、輝度レベル50以上100未満をグループ2、輝度レベル100以上150未満をグループ3、輝度レベル150以上200未満をグループ4、輝度レベル200以上をグループ5とグループ分けする(手順934、図8の(b))。
【0059】
画像上では、図8の(a)に示すように背景は暗いのでグループ1に属し、回折成分の輝点や輝線は、それぞれの強度レベルに応じてグループ2〜5に属することになる。空間フィルタ45の設定に当たっては、まず、輝度レベルの最も高いグループ5を遮光できるように空間フィルタの遮光物327、328を設定する(手順936)。遮光物327、328の設定は、例えば、まず、遮光物327を移動して、輝度レベルが最も高かった位置に遮光物327を設定し、その後に、遮光物328を移動して、輝度レベルが最も高かった位置に遮光物328を設定することで、空間フィルタ45の設定を行なうことができる。遮光物327、328の移動制御は、制御部120により行われる。
【0060】
次に、手順940は、像面観察画像の取得(手順942)と、繰り返しパターンの有無の確認(手順944)とに分けられる。手順930で空間フィルタ45を設定した上で、像面観察カメラ89を用いて検査対象物10の画像を取得する(手順942)。
【0061】
次に、取得した画像に繰り返しパターンが残っているかを確認する(手順944)。繰り返しパターンの有無の確認は、例えば、空間フィルタ45を入れる前の画像(例えば手順926の後に取得しておく)との相関値を計算し、その値に対して閾値処理を行えばよい。
【0062】
また、画像の一部を切り出し、それと画像全体との相関演算を行って、相関値分布を作成し、それを閾値処理して判定しても良い。あるいは、画像をフーリエ変換し空間周波数成分に変換した上で、閾値処理を行っても良い。
【0063】
繰り返しパターンが残っていると判定した場合には、手順936に戻り、更に空間フィルタ45の設定を変更する。
【0064】
先に遮光したグループ5に加え、次に輝度レベルの高いグループ4も遮光できるように空間フィルタ45を設定し、繰り返しパターンが残っていないと判断されるまで同じ手順を繰り返す。そして、繰り返しパターンが残っていないと判断されれば、空間フィルタ45の設定は終了である。
【0065】
なお、空間フィルタ45の設定に当たって、単純に輝度の高い画素グループから遮光する例を示したが、回折光成分の分布形状(点あるいは線)を判別し、分布形状によって優先順位を変えても良い。輝度レベルは低くても輝点を遮光することを優先したり、あるいは逆に輝線を消すことを優先するなど、分布形状によって優先順位を変えることによって、検査感度を確保したい領域に対して優先的に空間フィルタ45を働かせることが可能となる。
【0066】
以上のように本発明の実施例1によれば、可変視野絞り81の開口径を絞り、特定の領域のパターンからの空間フィルタ画面を画面表示(操作部130の操作画面に表示)し、回折光の輝点を遮光するように空間フィルタ45の遮光物327、328を設定する構成としたので、空間フィルタ設定の効率を向上可能であり、かつ空間フィルタ設定の自動化が可能な欠陥検査方法およびその装置を実現するができる。
【実施例2】
【0067】
次に、図9及び図10に本発明の実施例2である欠陥検査装置における空間フィルタ設定を説明する。
【0068】
図9は本発明の実施例2における空間フィルタ設定の手順を示し、図10は、本発明の実施例2における空間フィルタ設定画面300を示している。欠陥検査装置の全体構成は、図1に示した例と同一である。
【0069】
この実施例2では、検査対象物10上のチップ200を1ライン走査し、センサ70で取得した画像310(図10)と、走査中連続して積算し撮像した空間フィルタ面の画像320とを用いて空間フィルタ45の設定を行う。画像310のサイズは、スキャン方向に直交する方向(図10の上下方向)は、センサ70の視野幅に対応し、スキャン方向は、少なくとも検査対象物10のチップ200の1チップ分とする。
【0070】
これらの画像取得に際しては、ビームスプリッタ50をセンサ70と検出レンズ40との間の光路に入れた状態で、観察光学系80の可変視野絞り81を最大に設定し(手順1010)、センサ70と空間フィルタ面観察カメラ88で撮像を行う(手順1020)。
【0071】
可変視野絞り81を最大に開いておくことで、センサ70の撮像範囲をできるだけ広く観察光学系80で取り込むことができる。こうすることで、画像310に表示される多くの領域からの回折光を含む空間フィルタ面画像を1枚の画像320に納めることが可能となる。
【0072】
画像310で検査したい領域がカバーできているかを確認し、画像320を見ながら輝度の高い回折光を遮光するように空間フィルタ45を設定することで、複数の領域に対応した空間フィルタ45の設定が可能となる。空間フィルタで遮光する輝点を選択するに当たっては、実施例1と同様に空間フィルタ面画像の各画素を輝度レベルでグループ分け(手順1030)し、輝度の高いグループを優先して遮光する(手順1040)。これにより、広い面積にわたる繰り返しパターンを優先的に消す空間フィルタ設定が可能となる。
【0073】
空間フィルタ45の設定を決めた後、再度同じ位置をラインスキャンし、検査画像を取得して、繰り返しパターンを消すことが出来ているかを確認する(手順1050)と良い。
【0074】
繰り返しパターンの消し残りがあった場合には、先に遮光した画素グループの次に輝度が高い画素グループも遮光するように空間フィルタ45を設定しなおし、検査画像の確認を行うとよい。これを繰り返すことによって、空間フィルタ45の最適設定が可能となる。この方法を用いれば、ライン走査する領域を指定するだけで、その領域に対応した空間フィルタ45の自動設定も可能となる。
【0075】
なお、画像320の取得に際して、上記では1ライン走査中の連続蓄積撮像する例を示したが、1ライン走査時間を短い時間に分割して多数の画像を撮像し、それらをピークホールド処理や加算処理、平均化処理など処理して最終的な1ライン走査に対応する空間フィルタ面画像を取得しても良い。
【0076】
また、空間フィルタ45の自動設定を行う場合には、検査対象物上のパターンの設計データと検査装置の照明光学系および検出光学系のパラメータ(照明のNA、方位、入射角、検出レンズのNAなど)を用いてパターンからの散乱回折光の空間フィルタ面での分布を計算し、空間フィルタ面観察カメラで撮影した画像と照合して検証し、空間フィルタ設定を決定してもよい。
【0077】
検査対象物10上のチップ200の全体に対して最適な空間フィルタ設定をする場合には、図11に示すように、チップ200全体をカバーするように走査(210a〜210c)し、そのライン走査画像410a〜410cおよびそれらに対応する空間フィルタ面画像420a〜420cを取得するとよい。
【0078】
そうして得られた画像を図12に示すように、設定画面に表示して空間フィルタ45を設定すればよい。これらの画像を用いて前述の手順でスキャンライン毎に空間フィルタ45を設定することで、チップ200全体を効率的に検査する空間フィルタ設定を行うことが可能となる。
【0079】
また、高スループット化などの目的で、スキャンライン毎に空間フィルタ設定を変えないことが望ましい場合には、空間フィルタ面画像420a〜420cを1つの画像として各画素を輝度レベルでグループ分けし、輝度の高いグループを優先して遮光するように空間フィルタを設定すると良い。
【0080】
そうすることにより、複数のスキャンラインに平均的な効果をもつ空間フィルタ45の設定が可能となる。
【0081】
本発明の実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0082】
10・・・被検査物(試料、基板、ウエハ)、 20・・・照明光、 30・・・照明光学系(光源含)、 40・・・検出レンズ、 45・・・空間フィルタ、 50・・・ビームスプリッタ、 70・・・センサ、 80・・・観察光学系、 81・・・観察光学系視野絞り、 88・・・空間フィルタ面観察カメラ、 89・・・像面観察カメラ、 100・・・検出光学系、 110・・・ステージ、 120・・・制御部、 130・・・操作部、 140・・・画像処理部、 300・・・操作画面、 310・・・像面観察カメラの画像、 320・・・空間フィルタ観察カメラの画像、 325・・・回折光、 327、328・・・空間フィルタの遮光物
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、液晶表示素子、プリント基板など、基板上にパターンを形成する製品の製造工程において、異物やパターンの変形等の欠陥を検出する欠陥検査装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体基板(ウエハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になる。また、半導体素子上のパターンの微細化につれて、半導体基板中に微細な異物が存在した場合に、この異物がキャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因となっている。
【0003】
同様に、液晶表示素子製造工程でも、パターン上に異物が混入したり、パターンの形状に何らかの欠陥が生じたりすると、表示素子として使えないものになってしまう。
【0004】
また、プリント基板の製造工程でも状況は同じであって、異物の混入はパターンの短絡、不良接続の原因に成る。
【0005】
この種の基板上の異物を検出する技術の一例が、特許文献1に記載されている。つまり、特許文献1に記載の技術によれば、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に付着している異物からの散乱光を検出し、直前に検査した同一品種半導体基板の検査結果と比較する。検査結果と比較することにより、パターンによる虚報を無くし、高感度かつ高信頼度な異物及び欠陥検査を可能にしている。
【0006】
また、上記異物を検査する技術として、ウエハにコヒーレント光を照射してウエハ上の繰り返しパターンから射出する光を空間フィルタで除去し繰り返し性を持たない異物や欠陥を強調して検出する方法が知られている。
【0007】
また、ウエハ上に形成された回路パターンに対して、この回路パターンの主要な直線群に対して45度傾けた方向から照射して主要な直線群からの0次回折光を検出光学系の対物レンズの開口内に入射させないようにした異物検査装置が、特許文献2に記載されている。
【0008】
さらに、ウエハ上のエリア毎に最適な空間フィルタを設定し検査することで、検査感度を向上させる技術が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−89336号公報
【特許文献2】特開平1−117024号公報
【特許文献3】特開2004−184142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、半導体素子の高機能化に伴い、一つの半導体素子に形成されるパターンは複雑化し、複数の繰り返し周期を持ったパターンが混在することが多くなってきている。
【0011】
この様な半導体素子の検査では、空間フィルタの条件設定が難しく、条件設定に長時間が必要であるだけでなく、最適化が困難となっている。
【0012】
また、メモリ等の比較的構造のシンプルな半導体素子であっても、空間フィルタの条件設定には人の介在が必要であり、空間フィルタ設定の効率向上化が困難であった。
【0013】
本発明の目的は、空間フィルタ設定の効率を向上可能であり、かつ空間フィルタ設定の自動化が可能な欠陥検査方法およびその装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成される。
【0015】
本発明の欠陥検査装置及び欠陥検査方法は、検査対象物を照明し、検査対象物を移動させながら検出レンズを用いて上記検査対象物からの反射散乱光を集め、上記検出レンズ中に配置された空間フィルタによって選択的に透過させた光を撮像素子上に結像させて撮像し、上記検出レンズの結像面に対応する上記空間フィルタ面を同時に撮像素子を用いて撮像し、撮像した検査対象物の表面に形成されたパターンの画像と、上記空間フィルタ面の画像とを空間フィルタ設定画面に表示し、上記空間フィルタの遮光条件を設定し、設定した条件で再度検査対象物を移動させながら検査対象物の画像を上記撮像素子によって取得し、取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空間フィルタ設定の効率を向上可能であり、かつ空間フィルタ設定の自動化が可能な欠陥検査方法およびその装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用される欠陥検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示した欠陥検査装置における観察光学系の構成例を示す図である。
【図3】本発明により観察される検査対象基板の一例説明図である。
【図4】本発明の実施例1における空間フィルタ設定画面の例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1における空間フィルタ設定画面の例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1における空間フィルタ設定の手順の例を示す図である。
【図7】本発明の実施例1における空間フィルタ設定の自動化手順の例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1における空間フィルタ設定の自動化手順の説明図である。
【図9】本発明の実施例2における空間フィルタ設定の自動化手順の説明図である。
【図10】本発明の実施例2における空間フィルタ設定画面の説明図である。
【図11】本発明の実施例2における空間フィルタ設定の説明図である。
【図12】本発明の実施例2における空間フィルタ設定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明が適用される欠陥検査装置の全体構成図であり、図2は、図1に示した欠陥検査装置の検査光学系の構成図である。また、図3は、欠陥検査装置で検査される検査対象物一例を示す図である。
【0020】
まず、図3を参照して、検査対象物の一例を説明する。
【0021】
図3の(a)において、検査対象物は、ロジックLSIあるいはメモリLSIのチップ200を所定の間隔で2次元的に配列した、円盤状の半導体ウエハ10である。半導体ウエハ10の表面に照明光20が照射される。
【0022】
図3の(b)に示すように、チップ200上には、メモリセル領域200a、200bと、デコーダやコントロール回路等からなる周辺回路領域200c、200dと、その他の領域とが主に形成されている。
【0023】
メモリセル領域200a、200bは、最小線幅が例えば0.03〜0.1マイクロメートル程度のメモリセルパターンが2次元に規則的に配列して(繰り返して)形成されている。また、周辺回路領域200c、200dには、例えば最小線幅0.1〜0.4マイクロメートル程度の非繰り返しパターンが形成されている。
【0024】
また、その他の領域は、例えば、ボンディングエリア領域(最小線幅は、例えば10マイクロメートルオーダ程度であり、パターンなしに近い)がある。
【0025】
次に、図1を参照して、欠陥検査装置について説明する。
【0026】
図1において、検査対象物10(半導体ウエハや、表示素子、プリント基板など)は、ステージ110に搭載されている。ステージ110は、例えばXYステージ、Zステージ、シータステージなどの組み合わせで構成される。
【0027】
ステージ110の上方に設置された検査光学系100によって検査対象物10の全面が検査できるように、検査対象物10をXY面内で走査できるものが用いられる。検査対象物10は、照明光学系30(光源を含む)から射出される照明光20によって照明される。
【0028】
検査対象物10上のパターンや異物等の欠陥からの散乱反射光のうち、検出レンズ40に入射したものは、検出レンズ40の像面直前に配置されたビームスプリッタ50を経てセンサ70に導かれると共に、ビームスプリッタ50により反射され、観察光学系80に導かれる。
【0029】
検出レンズ40は、内部の空間周波数面に空間フィルタ45を備えている。検査対象物10上の繰り返しパターンからの回折光を空間フィルタ45で遮蔽することにより、高感度な検査が可能となる。ビームスプリッタ50としては、大判のものの実現が容易な平板ビームスプリッタを用いる。
【0030】
センサ70に入射した光は、光電変換され、画像信号が画像処理部140に送られる。検出レンズ40としては、検光子を備えたものを用いることもある。センサ70としては、リニアCCDセンサやTDIセンサなどが用いられる。画像処理部140では、隣接する同じパターンからの画像が比較され、得られた差分から欠陥が検出される。
【0031】
観察光学系80は、検出レンズ40の像面を観察可能な像面観察系と空間フィルタ45面を観察可能な空間フィルタ観察系を備え、空間フィルタ45の条件設定に使用される。
【0032】
次に、図2において、検出光学系100は、検査対象物10からセンサ70および観察光学系80までの構成を有している。
【0033】
検出レンズ40は、対物レンズ40aと結像レンズ40bとを備え、空間フィルタ45は、レンズ40a、40b両者の間の空間周波数面に配置される。空間フィルタ45としては、棒状の遮光物を縦横に配置し、それらの互いの間隔を調整可能にしたものや、2次元アレイ上に遮光可能な画素が配置されたもの(液晶などを用いた空間光変調器)などが用いられる。
【0034】
ビームスプリッタ50は、検出レンズ40の像面直前に配置され、光路に対して抜き差し可能な構成とする。つまり、ビームスプリッタ50は、移動可能になっており、光路中及び光路外に配置することができる。空間フィルタ45の条件設定の際には、ビームスプリッタ50を検出レンズ40の光路中に入れ、観察光学系80で結像面および空間フィルタ面の画像を観察しながら設定を行う。そして、検査の際には、ビームスプリッタ50を検出レンズ40の光路から外し、センサ70を用いた撮像に影響が出ないようにすることができる。
【0035】
観察光学系80は検出レンズ40の像面に配置され視野を制限する可変視野絞り81と、ビームスプリッタ82と、空間フィルタ面観察レンズ84と、空間フィルタ面観察カメラ88と、像面観察レンズ86と、像面観察カメラ89とを備えている。
【0036】
空間フィルタ面観察カメラ88及び像面観察カメラ89の出力画像は、図1に示す制御部120に送られ、制御部120は、送られた画像に基いて空間フィルタ45の条件設定を行う。可変視野絞り81は、検出レンズ40の像面観察の視野を規定するとともに、同時に空間フィルタ面観察の際の検査対象物10上のフーリエ変換対象領域を規定する。こうすることにより、検査対象物10上の領域とそのフーリエ変換像の1対1対応をとることが可能となる。
【0037】
像面観察カメラ89では、可変視野絞り81の像と、その開口を通して観察される検査対象物10上の領域の像が観察される。
【0038】
一方、このとき、空間フィルタ面観察カメラ88で観察される空間フィルタ面の画像は、ちょうど像面観察カメラ89で可変視野絞り81の開口内に観察される検査対象物10上の領域のフーリエ変換像となる。
【0039】
したがって、空間フィルタ45を最適化したい領域が像面観察カメラ89の視野中心に来るように検査対象物10を移動させ、その他の領域が視野に入らず、かつ最大の開口が取れるように可変視野絞り81の開口サイズを操作部130を介して調整する。これによって、遮光すべき回折光成分を正確に知ることが可能となる。
【0040】
さらに、空間フィルタ面観察カメラ88の画像を見ながら、回折光が遮光されるように空間フィルタ45を操作部130及び制御部120により設定することによって、検査対象物10上のその領域に対しての最適な空間フィルタ45の条件設定が可能となる。操作部130及び制御部120により遮光条件設定手段が構成される。
【0041】
なお、結像レンズ40bをズームレンズとすることにより、検査の際に複数の結像倍率を選択することが可能となるが、この様な場合には、空間フィルタ面観察レンズ84及び像面観察レンズ86も倍率可変とすることが望ましい。結像レンズ40bの焦点距離にあわせて、空間フィルタ面観察レンズ84及び像面観察レンズ86の倍率を設定することで、空間フィルタ面観察カメラ88及び像面観察カメラ89の撮像面全体を有効に使って、空間フィルタ面および像面の観察をすることが可能となる。
【0042】
次に、図4、図5、図6を参照して、空間フィルタ45の条件設定の手順を具体的に説明する。
【0043】
空間フィルタ45の最適設定条件は、検査対象物10上の繰り返しパターンの形状に依存するため、理想的にはパターンの異なる領域ごとに設定する必要がある。本発明の実施例1では、特定の領域(チップ200上の領域200a)に最適な空間フィルタ45を設定する方法の例を示す。
【0044】
まず、検査対象物10をステージ110に載せ、チップ200上の繰り返しパターン部200aが像面観察カメラ89で観察できるようにする(手順910)。このとき、例えば、図4に示すように、操作部130(図1に示す)の操作画面300には像面観察カメラ89の画像310と空間フィルタ面観察カメラ88の画像320が表示されるようにする。画面上のエリア330には、例えば、像面観察レンズ86や像面観察カメラ89の設定情報、可変視野絞り81の設定情報、及びそれらの操作画面を表示するとよい。
【0045】
また、画面上のエリア340には、例えば、空間フィルタ面観察レンズ84や空間フィルタ面観察カメラ88の設定情報、空間フィルタ45の棒状遮光物327、328の設定情報、及びそれらの操作画面を表示するとよい。
【0046】
図4に示した状態では、可変視野絞り81は大きく開かれており、像面観察カメラ89の視野はカメラ89の撮像素子の大きさで制限されているため、画面いっぱいに検査対象物10上の複数のパターンが観察されている。
【0047】
一方、空間フィルタ面観察カメラ88には複数のパターン領域からの回折光325が重なって観察されている。この状態では、どの回折光325を遮光すれば目的とする領域200a(図3にて示す)のパターンを消すことができるのか知ることは容易ではない。このため、従来技術においては、複数回の試行錯誤を繰り返すことが必要となっており、空間フィルタ45の遮光物327、328の設定に時間がかかり最適化も困難であった。
【0048】
本発明の実施例1では、像面観察画像上で空間フィルタ45の調節の目的とする繰り返しパターン200aのみが視野内に見えるように可変視野絞り81を調節し(手順920)、これと一対一に対応する空間フィルタ面画像320を観察できるようにすることで、空間フィルタ45の遮光物327、328の最適設定を容易とする。空間フィルタ45の遮光物327、328は、操作部(遮光条件設定部)130、制御部(遮光条件設定部)120を介して操作者が手動で設定可能となっている。なお、後述するように、空間フィルタ45の遮光物327、328は、最適状態に自動的に設定可能でもある。
【0049】
図5に示すように、可変視野絞り81を絞ることで繰り返しパターン200aのみが、絞り81によって制限された視野315内に見えるようにすることが可能となる。このとき、空間フィルタ面で観察されるフーリエ変換像320は、視野絞り81内に見えるパターン200aのみのフーリエ像となる。
【0050】
従って、この画像320上の回折光325を遮光するように空間フィルタ45の遮光物327、328を設定(手順930)すれば目的とするパターン200aを消すことが可能となる。
【0051】
像面観察カメラ88の画像を操作部130の操作画面300上に表示しておけば、空間フィルタ45を調節し、空間フィルタ面画像320で回折光の輝点が遮光できたかを確認すると同時に像面観察画像310で繰り返しパターン200aが消えたかを確認(手順940)することが可能である。これによって、空間フィルタ45の設定が正しいこととその効果を即時に確認することができる。
【0052】
なお、ここでは視野絞り81の開口として円形の開口の例を示したが、円形に限らず、任意の形状でよい。パターンの存在領域は一般的には矩形であることから、矩形開口を用いれば像面で広い開口領域を確保でき、空間フィルタ面画像の明るさを確保しやすいというメリットがある。
【0053】
次に、図6を用いて説明した空間フィルタ45の設定手順を自動化する際のより詳細な手順を図7に示す。なお、図7に示した例は、処理の自動化のため、画像を取得し、それを処理して空間フィルタ45の遮光物を設定する部分を詳細に示している。自動化のための処理は、主に制御部120で行われる。
【0054】
図7において、手順910は図6に示した手順と同様である。手順920は、画像取得(手順922)と、画像処理による領域抽出(手順924)と、視野絞り径の算出と設定(手順926)とに分けられる。
【0055】
まず、可変視野絞り81を開いた状態で像面観察カメラ89を用いて検査対象物10の画像を取得する(手順922)。図4に示した画像310のように、カメラの視野全体にわたってパターンの特徴の異なる複数の領域が写った画像が得られる。この画像から、制御部120の内部記憶部に記憶されたパターン配置情報に基づき、画像中心付近の繰り返しパターン部を抽出する(手順924)。それ以外の領域を遮光するために必要な可変開口絞り81の開口径を算出し、絞り81を動かして開口径を算出した値にあわせる(手順926)。絞り81は、制御部120の指令信号により設定された開口径となるように制御される。
【0056】
手順930は、空間フィルタ面画像取得(手順932)と、画素の輝度レベル分け(手順934)と、空間フィルタ設定(手順936)とに分けられる。
【0057】
まず、空間フィルタ45の遮光物327、328を入れずに空間フィルタ面観察カメラ88を用いて空間フィルタ面の画像を取得する(手順932)。図8の(a)に示すように、回折光325の輝点あるいは線のある画像が得られる。ヒストグラムに表すと例えば図8の(b)に示すようになる。この画像の画素を輝度レベル(画素値)によって複数のグループに分類する。
【0058】
例えば、各画素256階調のカメラで撮像した場合には、輝度レベルは0から255階調となる。ヒストグラム上で輝度レベル50未満をグループ1、輝度レベル50以上100未満をグループ2、輝度レベル100以上150未満をグループ3、輝度レベル150以上200未満をグループ4、輝度レベル200以上をグループ5とグループ分けする(手順934、図8の(b))。
【0059】
画像上では、図8の(a)に示すように背景は暗いのでグループ1に属し、回折成分の輝点や輝線は、それぞれの強度レベルに応じてグループ2〜5に属することになる。空間フィルタ45の設定に当たっては、まず、輝度レベルの最も高いグループ5を遮光できるように空間フィルタの遮光物327、328を設定する(手順936)。遮光物327、328の設定は、例えば、まず、遮光物327を移動して、輝度レベルが最も高かった位置に遮光物327を設定し、その後に、遮光物328を移動して、輝度レベルが最も高かった位置に遮光物328を設定することで、空間フィルタ45の設定を行なうことができる。遮光物327、328の移動制御は、制御部120により行われる。
【0060】
次に、手順940は、像面観察画像の取得(手順942)と、繰り返しパターンの有無の確認(手順944)とに分けられる。手順930で空間フィルタ45を設定した上で、像面観察カメラ89を用いて検査対象物10の画像を取得する(手順942)。
【0061】
次に、取得した画像に繰り返しパターンが残っているかを確認する(手順944)。繰り返しパターンの有無の確認は、例えば、空間フィルタ45を入れる前の画像(例えば手順926の後に取得しておく)との相関値を計算し、その値に対して閾値処理を行えばよい。
【0062】
また、画像の一部を切り出し、それと画像全体との相関演算を行って、相関値分布を作成し、それを閾値処理して判定しても良い。あるいは、画像をフーリエ変換し空間周波数成分に変換した上で、閾値処理を行っても良い。
【0063】
繰り返しパターンが残っていると判定した場合には、手順936に戻り、更に空間フィルタ45の設定を変更する。
【0064】
先に遮光したグループ5に加え、次に輝度レベルの高いグループ4も遮光できるように空間フィルタ45を設定し、繰り返しパターンが残っていないと判断されるまで同じ手順を繰り返す。そして、繰り返しパターンが残っていないと判断されれば、空間フィルタ45の設定は終了である。
【0065】
なお、空間フィルタ45の設定に当たって、単純に輝度の高い画素グループから遮光する例を示したが、回折光成分の分布形状(点あるいは線)を判別し、分布形状によって優先順位を変えても良い。輝度レベルは低くても輝点を遮光することを優先したり、あるいは逆に輝線を消すことを優先するなど、分布形状によって優先順位を変えることによって、検査感度を確保したい領域に対して優先的に空間フィルタ45を働かせることが可能となる。
【0066】
以上のように本発明の実施例1によれば、可変視野絞り81の開口径を絞り、特定の領域のパターンからの空間フィルタ画面を画面表示(操作部130の操作画面に表示)し、回折光の輝点を遮光するように空間フィルタ45の遮光物327、328を設定する構成としたので、空間フィルタ設定の効率を向上可能であり、かつ空間フィルタ設定の自動化が可能な欠陥検査方法およびその装置を実現するができる。
【実施例2】
【0067】
次に、図9及び図10に本発明の実施例2である欠陥検査装置における空間フィルタ設定を説明する。
【0068】
図9は本発明の実施例2における空間フィルタ設定の手順を示し、図10は、本発明の実施例2における空間フィルタ設定画面300を示している。欠陥検査装置の全体構成は、図1に示した例と同一である。
【0069】
この実施例2では、検査対象物10上のチップ200を1ライン走査し、センサ70で取得した画像310(図10)と、走査中連続して積算し撮像した空間フィルタ面の画像320とを用いて空間フィルタ45の設定を行う。画像310のサイズは、スキャン方向に直交する方向(図10の上下方向)は、センサ70の視野幅に対応し、スキャン方向は、少なくとも検査対象物10のチップ200の1チップ分とする。
【0070】
これらの画像取得に際しては、ビームスプリッタ50をセンサ70と検出レンズ40との間の光路に入れた状態で、観察光学系80の可変視野絞り81を最大に設定し(手順1010)、センサ70と空間フィルタ面観察カメラ88で撮像を行う(手順1020)。
【0071】
可変視野絞り81を最大に開いておくことで、センサ70の撮像範囲をできるだけ広く観察光学系80で取り込むことができる。こうすることで、画像310に表示される多くの領域からの回折光を含む空間フィルタ面画像を1枚の画像320に納めることが可能となる。
【0072】
画像310で検査したい領域がカバーできているかを確認し、画像320を見ながら輝度の高い回折光を遮光するように空間フィルタ45を設定することで、複数の領域に対応した空間フィルタ45の設定が可能となる。空間フィルタで遮光する輝点を選択するに当たっては、実施例1と同様に空間フィルタ面画像の各画素を輝度レベルでグループ分け(手順1030)し、輝度の高いグループを優先して遮光する(手順1040)。これにより、広い面積にわたる繰り返しパターンを優先的に消す空間フィルタ設定が可能となる。
【0073】
空間フィルタ45の設定を決めた後、再度同じ位置をラインスキャンし、検査画像を取得して、繰り返しパターンを消すことが出来ているかを確認する(手順1050)と良い。
【0074】
繰り返しパターンの消し残りがあった場合には、先に遮光した画素グループの次に輝度が高い画素グループも遮光するように空間フィルタ45を設定しなおし、検査画像の確認を行うとよい。これを繰り返すことによって、空間フィルタ45の最適設定が可能となる。この方法を用いれば、ライン走査する領域を指定するだけで、その領域に対応した空間フィルタ45の自動設定も可能となる。
【0075】
なお、画像320の取得に際して、上記では1ライン走査中の連続蓄積撮像する例を示したが、1ライン走査時間を短い時間に分割して多数の画像を撮像し、それらをピークホールド処理や加算処理、平均化処理など処理して最終的な1ライン走査に対応する空間フィルタ面画像を取得しても良い。
【0076】
また、空間フィルタ45の自動設定を行う場合には、検査対象物上のパターンの設計データと検査装置の照明光学系および検出光学系のパラメータ(照明のNA、方位、入射角、検出レンズのNAなど)を用いてパターンからの散乱回折光の空間フィルタ面での分布を計算し、空間フィルタ面観察カメラで撮影した画像と照合して検証し、空間フィルタ設定を決定してもよい。
【0077】
検査対象物10上のチップ200の全体に対して最適な空間フィルタ設定をする場合には、図11に示すように、チップ200全体をカバーするように走査(210a〜210c)し、そのライン走査画像410a〜410cおよびそれらに対応する空間フィルタ面画像420a〜420cを取得するとよい。
【0078】
そうして得られた画像を図12に示すように、設定画面に表示して空間フィルタ45を設定すればよい。これらの画像を用いて前述の手順でスキャンライン毎に空間フィルタ45を設定することで、チップ200全体を効率的に検査する空間フィルタ設定を行うことが可能となる。
【0079】
また、高スループット化などの目的で、スキャンライン毎に空間フィルタ設定を変えないことが望ましい場合には、空間フィルタ面画像420a〜420cを1つの画像として各画素を輝度レベルでグループ分けし、輝度の高いグループを優先して遮光するように空間フィルタを設定すると良い。
【0080】
そうすることにより、複数のスキャンラインに平均的な効果をもつ空間フィルタ45の設定が可能となる。
【0081】
本発明の実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0082】
10・・・被検査物(試料、基板、ウエハ)、 20・・・照明光、 30・・・照明光学系(光源含)、 40・・・検出レンズ、 45・・・空間フィルタ、 50・・・ビームスプリッタ、 70・・・センサ、 80・・・観察光学系、 81・・・観察光学系視野絞り、 88・・・空間フィルタ面観察カメラ、 89・・・像面観察カメラ、 100・・・検出光学系、 110・・・ステージ、 120・・・制御部、 130・・・操作部、 140・・・画像処理部、 300・・・操作画面、 310・・・像面観察カメラの画像、 320・・・空間フィルタ観察カメラの画像、 325・・・回折光、 327、328・・・空間フィルタの遮光物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を照明する光学系と、
上記検査対象物からの反射散乱光を結像させる検出レンズと、
上記検出レンズの空間周波数面に配置され、回折光を選択的に透過させる空間フィルタと、
上記検出レンズの結像面に配置され、反射散乱光像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子によって取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する画像処理部と、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察可能な観察光学系と、
上記検査対象物の表面の画像とその画像に対応する空間フィルタ面の画像とを同時に表示する空間フィルタ設定画面を有し、上記空間フィルタの遮光条件を設定する遮光条件設定手段と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の欠陥検査装置において、
観察光学系に配置され、上記結像面の視野を制限する可変視野絞りを備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の欠陥検査装置において、上記遮光条件設定手段は、上記可変視野絞りの開口サイズを調整し、上記検査対象物の表面に形成された複数のパターンのうちの特定のパターンが形成された領域を上記空間フィルタ設定画面の上記結像面観察画像に表示させるとともに、上記空間フィルタ面の観察画像を上記空間フィルタ設定画面に表示させることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
検査対象物を保持し、移動させるステージと、
検査対象物を照明する光学系と、
上記検査対象物からの反射散乱光を結像させる検出レンズと、
上記検出レンズの空間周波数面に配置され、回折光を選択的に透過させる空間フィルタと、
上記検出レンズの結像面に配置され、反射散乱光像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子によって取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する画像処理部と、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察可能な観察光学系と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の欠陥検査装置において、上記制御部は、上記ステージを移動させて、上記操作部が指定する領域の空間フィルタ面画像を取得し、所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように、上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の欠陥検査装置において、上記制御部は、上記ステージを移動させて、空間フィルタ面画像を取得し、上記所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように上記遮光物の位置を設定した後、さらに、上記ステージを移動させて検査対象物の表面の画像を取得し、上記操作部が指定する領域に繰り返しパターンが存在するか否かを判断し、繰り返しパターンが存在している場合には、上記所定のレベルより低い第2のレベル以上の輝度を有する部分をさらに遮光するように上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
検査対象物を照明し、
検出レンズを用いて上記検査対象物からの反射散乱光を集め、上記検出レンズ中に配置された空間フィルタによって選択的に透過させた光を撮像素子上に結像させ、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察し、
上記検査対象物の表面に形成された複数のパターンのうちの特定のパターンが形成された領域と、上記特定パターンが形成された領域に対応する空間フィルタ面とを空間フィルタ設定画面に表示し、上記空間フィルタの遮光条件を設定し、
上記設定条件で検査対象物の画像を上記撮像素子によって取得し、
取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する欠陥検査方法。
【請求項8】
請求項7に記載の欠陥検査方法において、
観察光学系に配置された、上記結像面の視野を制限する可変視野絞りの開口を調整することにより、上記特定のパターンが形成された領域と、上記特定パターンが形成された領域に対応する空間フィルタ面とを空間フィルタ設定画面に表示させることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載の欠陥検査方法において、上記検査対象物を移動させて、上記特定のパターンが形成された領域の空間フィルタ面画像を取得し、所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように、上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の欠陥検査方法において、上記検査対象物を移動させて、空間フィルタ面画像を取得し、上記特定のパターンが形成された領域の上記所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように上記遮光物の位置を設定した後、さらに、上記検査対象物を移動させて検査対象物の表面の画像を取得し、上記特定のパターンが形成された領域に繰り返しパターンが存在するか否かを判断し、繰り返しパターンが存在している場合には、上記所定のレベルより低い第2のレベル以上の輝度を有する部分をさらに遮光するように上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項11】
検査対象物を照明する光学系と、
上記検査対象物からの反射散乱光を結像させる検出レンズと、
上記検出レンズの空間周波数面に配置され、回折光を選択的に透過させる空間フィルタと、
上記検出レンズの結像面に配置され、反射散乱光像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子によって取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する画像処理部と、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察可能な観察光学系と、
上記観察光学系に配置され、上記結像面の視野を制限する可変視野絞りと、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の欠陥検査装置において、
検査対象物の表面の画像とその画像に対応する空間フィルタ面の画像とを同時に表示する空間フィルタ設定画面を有し、上記空間フィルタの遮光条件を設定する遮光条件設定手段を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項13】
検査対象物を照明し、
検査対象物を移動させながら検出レンズを用いて上記検査対象物からの反射散乱光を集め、
上記検出レンズ中に配置された空間フィルタによって選択的に透過させた光を撮像素子上に結像させて撮像し、
上記検出レンズの結像面に対応する上記空間フィルタ面を同時に撮像素子を用いて撮像し、
撮像した検査対象物の表面に形成されたパターンの画像と、上記空間フィルタ面の画像とを空間フィルタ設定画面に表示し、上記空間フィルタの遮光条件を設定し、
設定した条件で再度検査対象物を移動させながら検査対象物の画像を上記撮像素子によって取得し、
取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する欠陥検査方法。
【請求項1】
検査対象物を照明する光学系と、
上記検査対象物からの反射散乱光を結像させる検出レンズと、
上記検出レンズの空間周波数面に配置され、回折光を選択的に透過させる空間フィルタと、
上記検出レンズの結像面に配置され、反射散乱光像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子によって取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する画像処理部と、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察可能な観察光学系と、
上記検査対象物の表面の画像とその画像に対応する空間フィルタ面の画像とを同時に表示する空間フィルタ設定画面を有し、上記空間フィルタの遮光条件を設定する遮光条件設定手段と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の欠陥検査装置において、
観察光学系に配置され、上記結像面の視野を制限する可変視野絞りを備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の欠陥検査装置において、上記遮光条件設定手段は、上記可変視野絞りの開口サイズを調整し、上記検査対象物の表面に形成された複数のパターンのうちの特定のパターンが形成された領域を上記空間フィルタ設定画面の上記結像面観察画像に表示させるとともに、上記空間フィルタ面の観察画像を上記空間フィルタ設定画面に表示させることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
検査対象物を保持し、移動させるステージと、
検査対象物を照明する光学系と、
上記検査対象物からの反射散乱光を結像させる検出レンズと、
上記検出レンズの空間周波数面に配置され、回折光を選択的に透過させる空間フィルタと、
上記検出レンズの結像面に配置され、反射散乱光像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子によって取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する画像処理部と、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察可能な観察光学系と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の欠陥検査装置において、上記制御部は、上記ステージを移動させて、上記操作部が指定する領域の空間フィルタ面画像を取得し、所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように、上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の欠陥検査装置において、上記制御部は、上記ステージを移動させて、空間フィルタ面画像を取得し、上記所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように上記遮光物の位置を設定した後、さらに、上記ステージを移動させて検査対象物の表面の画像を取得し、上記操作部が指定する領域に繰り返しパターンが存在するか否かを判断し、繰り返しパターンが存在している場合には、上記所定のレベルより低い第2のレベル以上の輝度を有する部分をさらに遮光するように上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
検査対象物を照明し、
検出レンズを用いて上記検査対象物からの反射散乱光を集め、上記検出レンズ中に配置された空間フィルタによって選択的に透過させた光を撮像素子上に結像させ、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察し、
上記検査対象物の表面に形成された複数のパターンのうちの特定のパターンが形成された領域と、上記特定パターンが形成された領域に対応する空間フィルタ面とを空間フィルタ設定画面に表示し、上記空間フィルタの遮光条件を設定し、
上記設定条件で検査対象物の画像を上記撮像素子によって取得し、
取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する欠陥検査方法。
【請求項8】
請求項7に記載の欠陥検査方法において、
観察光学系に配置された、上記結像面の視野を制限する可変視野絞りの開口を調整することにより、上記特定のパターンが形成された領域と、上記特定パターンが形成された領域に対応する空間フィルタ面とを空間フィルタ設定画面に表示させることを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載の欠陥検査方法において、上記検査対象物を移動させて、上記特定のパターンが形成された領域の空間フィルタ面画像を取得し、所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように、上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の欠陥検査方法において、上記検査対象物を移動させて、空間フィルタ面画像を取得し、上記特定のパターンが形成された領域の上記所定の輝度レベル以上の輝度を有する部分を遮光するように上記遮光物の位置を設定した後、さらに、上記検査対象物を移動させて検査対象物の表面の画像を取得し、上記特定のパターンが形成された領域に繰り返しパターンが存在するか否かを判断し、繰り返しパターンが存在している場合には、上記所定のレベルより低い第2のレベル以上の輝度を有する部分をさらに遮光するように上記空間フィルタの遮光物の位置を設定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項11】
検査対象物を照明する光学系と、
上記検査対象物からの反射散乱光を結像させる検出レンズと、
上記検出レンズの空間周波数面に配置され、回折光を選択的に透過させる空間フィルタと、
上記検出レンズの結像面に配置され、反射散乱光像を光電変換する撮像素子と、
上記撮像素子によって取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する画像処理部と、
上記検出レンズの結像面と、この結像面に対応する上記空間フィルタ面とを同時観察可能な観察光学系と、
上記観察光学系に配置され、上記結像面の視野を制限する可変視野絞りと、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の欠陥検査装置において、
検査対象物の表面の画像とその画像に対応する空間フィルタ面の画像とを同時に表示する空間フィルタ設定画面を有し、上記空間フィルタの遮光条件を設定する遮光条件設定手段を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項13】
検査対象物を照明し、
検査対象物を移動させながら検出レンズを用いて上記検査対象物からの反射散乱光を集め、
上記検出レンズ中に配置された空間フィルタによって選択的に透過させた光を撮像素子上に結像させて撮像し、
上記検出レンズの結像面に対応する上記空間フィルタ面を同時に撮像素子を用いて撮像し、
撮像した検査対象物の表面に形成されたパターンの画像と、上記空間フィルタ面の画像とを空間フィルタ設定画面に表示し、上記空間フィルタの遮光条件を設定し、
設定した条件で再度検査対象物を移動させながら検査対象物の画像を上記撮像素子によって取得し、
取得された画像を比較処理し、検査対象物上の異物あるいはパターン欠陥を検出する欠陥検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−149869(P2011−149869A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12362(P2010−12362)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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