説明

欠陥検査装置

【課題】FIBによる切り出しの際の欠陥箇所の特定をより容易に行うことができる欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】半導体ウエハ11に荷電粒子線6を照射して走査し、荷電粒子線6の照射により半導体ウエハ11から得られる二次荷電粒子9を検出して、走査情報と二次荷電粒子9の検出信号に基づいて得られた検査エリアの検出画像と参照エリアの検出画像とを比較し、両者の差分を閾値と比較して欠陥候補を検出する。欠陥候補の位置情報を含む欠陥情報は、半導体ウエハ11上に形成された繰り返しパターンのそれぞれに設定された座標領域の原点に対する、繰り返しパターン内に予め定められた特徴点の相対位置と、特徴点に対する欠陥候補の相対位置とを含むように生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板や薄膜基板、液晶表示素子等の異物、きず、欠陥等を検査する欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板や薄膜基板、液晶表示素子等(以下、これらを総称して被検査物と称する)、回路パターンを有する被検査物の製造工程においては、異物、きず、欠陥等(以下、これらを総称して欠陥と称する)を検出し、管理することにより、製品の品質や歩留りの向上が図られている。
【0003】
このような被検査物の欠陥を検出する従来技術としては、例えば、被検査物である基板の表面に荷電粒子ビームを送ってスキャンして、基板の上面あるいは底面からくる3種類の荷電粒子(2次荷電粒子、後方散乱荷電粒子、透過荷電粒子)の何れかを検出し、その検出結果を用いて得られる画像の隣接する同一パターン間での比較結果に基づいて欠陥検出を行うものが知られている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−258703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体デバイスなどで高集積化のために断続的に進められているパターン寸法の微細化においては、微細化に対するコストや技術障壁の高まりから、半導体デバイスの微細化とともに三次元化が急速に進んでいる。このように三次元化の進む半導体デバイスにおいては、被検査物の表面からの観察だけで欠陥を分析し原因を特定することが困難であるため、欠陥箇所における断面観察のニーズが高まっている。欠陥箇所の断面観察においては、例えは、欠陥検査装置により検出した被検査物の欠陥箇所をFIB(Focused Ion Beam)により切り出し、その試料の断面をSEM(Scanning Electron Microscope)により観察する方法がある。
【0006】
しかしながら、半導体デバイスのパターンや検出した欠陥は非常に微細であるため、欠陥をFIBによって切り出す際の欠陥箇所の特定が困難であり、欠陥箇所の切り出しに長い時間を要していた。この結果、観察できる欠陥箇所の数が制限されてしまい、半導体デバイスの製造工程へフィードバックされる情報の量が制限されてしまうという状況であった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、FIBによる切り出しの際の欠陥箇所の特定をより容易に行うことができる欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被検査物に荷電粒子線を照射して走査する荷電粒子線照射手段と、荷電粒子線の照射により被検査物から得られる二次荷電粒子を検出する荷電粒子検出手段と、前記荷電粒子照射手段からの走査情報と前記荷電粒子検出手段からの検出信号に基づいて得られた検査エリアの検出画像と参照エリアの検出画像とを比較し、両者の差分を閾値と比較して欠陥候補を検出する欠陥検出手段と、前記欠陥候補の位置情報を含む欠陥情報を生成する情報処理手段とを備え、前記欠陥情報は、前記被検査物上に形成された繰り返しパターンのそれぞれに設定された座標領域の原点に対する、前記繰り返しパターン内に予め定められた特徴点の相対位置と、前記特徴点に対する前記欠陥候補の相対位置とを含むものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、FIBによる切り出しの際の欠陥箇所の特定をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る欠陥検査装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施の形態の半導体ウエハ上のパターン構成について示す図である。
【図3】第1の実施の形態の欠陥検査装置における検査エリアに関する設定画面を示す図である。
【図4】第1の実施の形態の欠陥位置補正処理の様子を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の欠陥検査装置による欠陥検出処理で生成される欠陥情報を示す図である。
【図6】第2の実施の形態の欠陥情報を生成する欠陥情報生成処理を示す処理フローである。
【図7】第2の実施の形態において、メモリマット上に欠陥が検出された様子を示す図である。
【図8】第2の実施の形態の再欠陥検出処理の処理工程を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の欠陥検査装置による欠陥検出処理で生成される欠陥情報を示す図である。
【図10】第3の実施の形態における検査エリア作成画面を示す図である。
【図11】第3の実施の形態におけるダイ、基準点、及び、欠陥の位置関係を模式的に示す図である。
【図12】第3の実施の形態の欠陥検査装置による欠陥検出処理で生成される欠陥情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の被検査物の一例として半導体装置が形成される半導体ウエハを挙げ、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態に係る欠陥検査装置の全体構成を概略的に示す図である。
【0013】
図1において、本実施の形態の欠陥検査装置は、SEM(Scanning Electron Microscope)1と、SEM1を含む欠陥検査装置全体の動作を制御する制御PC2と、半導体ウエハ(被検査物)11に形成される回路パターンのCAD(Computer Aided Design)情報を記憶するCADサーバー16とを概略備えている。
【0014】
制御PC2は、欠陥検査装置を含む生産システムなどを制御する上位のホスト17に接続されており、他の欠陥検査装置や装置と種々の連携が可能なように構成されている。また、図示しない表示装置、入力装置、記憶装置などを備えている。
【0015】
SEM1は、被検査物である半導体ウエハ11を載置して三次元的に移動可能なステージ12と、電子光学系であるカラム4に設けられて半導体ウエハ11に照射する荷電粒子線6を射出する電子銃3と、電子銃3から射出された荷電粒子線6を集束させるためのコンデンサレンズ5および対物レンズ8と、集束された荷電粒子線6を半導体ウエハ11上に走査させるためのディフレクタ7と、ディフレクタ7の動作を制御するビーム走査コントローラ13と、荷電粒子線6の照射によって半導体ウエハから得られる二次荷電粒子9を検出する荷電粒子検出装置10と、ビーム走査コントローラ13による荷電粒子線6の照射情報と荷電粒子検出装置10からの検出信号に基づいて半導体ウエハ11表面の画像を生成する画像処理ユニット15と、ステージ12の位置を制御するステージコントローラ14とを備えている。
【0016】
画像処理ユニット15は、ビーム走査コントローラ13からの走査情報(走査位置の情報)と荷電粒子検出装置10からの検出信号に基づいて得られた検査エリアの検出画像と参照エリアの検出画像とを比較し、両者の差分を予め定めた閾値と比較して欠陥候補を検出し(欠陥検出処理)、その位置情報を含む欠陥情報(後の図5参照)を生成する。
【0017】
図2は、本実施の形態における被検査物の一例である半導体ウエハ11上における位置座標設定を示す図である。なお、以下において、各工程中で半導体ウエハ11の向きを合わせるためのノッチ11bを下向きに配置した場合に、左右方向にX軸、上下方向にY軸を設定する。
【0018】
図2において、半導体ウエハ11上には、X軸方向およびY軸方向に並べて配置された複数のダイ20が形成されており、ダイ20上にはさらにX軸方向およびY軸方向に並べて配置された複数のメモリマット21が形成されている。そして、ダイ配列におけるそれぞれのダイ20のダイ座標は、原点ダイ201からの相対位置(Ax,Ay)で表す。図2において、ダイ202は、原点ダイ201から左に2ダイ分、また下に1ダイ分移動した位置であるため、そのダイ座標は(−2,−1)となる。
【0019】
ダイ20においては、ダイ20の下端に沿ってX軸、左端に沿ってY軸を配置し、このX軸とY軸の交点(すなわち、ダイ20の左下角)を原点20aとするダイ座標系を構成する。このダイ座標系において、ダイ20上の欠陥30の位置は、ダイの原点20aからの相対座標(Cx,Cy)で表す。
【0020】
また、ダイの原点20aからの欠陥30を含むメモリマット21の原点21aの相対座標(Mx,My)、ならびに欠陥30のマットの原点21aからの相対距離(Nx,Ny)を用いて、欠陥30のダイの原点からの相対座標は(Mx+Nx,My+Ny)と表すことも出来る。
【0021】
図3は、本実施の形態の欠陥検査装置における検査エリアに関する設定画面を示す図である。設定画面50は、制御PC2の表示装置(図示せず)に表示されている。
【0022】
図3において、設定画面50には、マップを表示するマップ表示エリア51と、画像を表示する画像表示エリア52とが配置されている。
【0023】
マップ表示エリア51の周辺には、マップ表示エリア51の表示をウエハマップに切り替えるウエハマップ選択ボタン53と、ダイマップに切り替えるダイマップ選択ボタン54と、領域選択モードに切り替える矢印ボタン58と、移動モードに切り替えるポイントボタン59とが配置されている。図3では、ダイマップ選択ボタン54が選択され、マップ表示エリア51に、6行×4列(=24個)のセルマット61が配置されたダイ領域60のダイマップが表示されている場合を一例として示している。矢印ボタン58を選択して領域選択モードに切り替え、マップ表示エリア51のダイマップ上の点を選択することにより、マットコーナー62〜65の何れかを選択する。また、ポイントボタン59を選択して移動モードに切り替え、マップ表示エリア51のダイマップ上の点を選択することにより、その点に対応する位置の画像が画像表示エリア33に表示される。
【0024】
画像表示エリア52の周辺には、画像表示エリア52の表示をCAD画像に切り替えるCAD画像選択ボタン55と、光学顕微鏡画像に切り替える光学顕微鏡画像選択ボタン56と、SEM画像に切り替えるSEM画像選択ボタン57と、画像表示エリア52の表示範囲を移動するスライドバー66、及び、表示倍率を変更する表示倍率変更ボタン67とが配置されている。図3では、CAD画像選択ボタン55が選択され、画像表示エリア52にCAD画像が表示されている場合を示している。
【0025】
図3に示すように、ダイマップ選択ボタン54と、CAD画像選択ボタン55とポイントボタン59が選択された状態で、ダイ領域60の左下エリアを選択し、画像表示エリア52にマットコーナー62付近のCAD画像を表示させる。画像表示エリア52にてマットコーナー62に対応するマットコーナー位置68を選択し、マットコーナー62の位置情報を登録する。次に、画像表示エリア52にてマットコーナー63に対応するマットコーナー位置69を選択し、マットコーナー63の位置情報を登録するし、これによりセルマット61のサイズが確定される。このとき、必要によりスクロールバー66や表示倍率変更ボタン67を用いて、所望の位置のCAD画像を表示させる。同様に、マットコーナー64,に対応するマットコーナー位置を選択してマットコーナー64の位置情報を登録し、セルマット61の配列ピッチを確定させる。そして、マットコーナー65に対応するマットコーナー位置を選択してマットコーナー65の位置情報を登録し、ダイ領域60におけるセルマット61の配列数を確定させる。
【0026】
また、矢印ボタン58を選択して領域選択モードに切り替え、マップ表示エリア51においてマットコーナー62を選択する。この状態で、位置確認ボタン73を選択することで画像表示エリア52に、マットコーナー62を中心としたCAD画像を表示させる。続いて、SEM画像選択ボタン57を押して、画像表示エリア51にマットコーナー62のSEM画像を表示させ、テンプレート登録ボタン71を選択してからSEM画像上でマットコーナー68を選択する。このとき、選択された位置には、テンプレート画像(後述)の基準点を示す十字マークが表示される。そして、テンプレート確定ボタン72を選択し、テンプレート画像を検査レシピに添付されるかたちで制御PC2の記憶装置(図示せず)に保存する。このとき保存されたテンプレート画像は、テンプレート表示エリア70に表示される。
【0027】
次に、本実施の形態の欠陥位置補正処理について図面を参照しつつ説明する。図4は、欠陥位置補正処理の様子を並べて示す図である。
【0028】
本実施の形態の欠陥検出処理は、画像処理ユニット15において、ビーム走査コントローラ13からの走査情報(走査位置の情報)と荷電粒子検出装置10からの検出信号に基づいて得られた検査エリアの検出画像と参照エリアの検出画像とを比較し、両者の差分を予め定めた閾値と比較して欠陥候補を検出するものである。
【0029】
図4に示すように、欠陥検出処理のスワス80がメモリマット211〜214の下端のマット境界を含む場合、スワス80実行時にメモリマット211〜214の各マットコーナー211a〜214aの画像を用いて、ステージ精度やウエハ上の帯電分布に伴うビーム曲がりにより生じる位置情報の誤差を補正する欠陥位置補正処理を行うための誤差情報を生成する。
【0030】
欠陥位置補正処理において、画像処理ユニット15は、検査レシピに添付され制御PC2の記憶装置に記憶されたテンプレート画像を読み出し、スワス80の実行によって得られるメモリマット211〜214の各マットコーナー211a〜214aの画像に対してテンプレートマッチングを行い、各マットコーナー211a〜214aの画像とテンプレート画像の間でのX方向偏差81およびY方向偏差82を算出する。図4に示すように、複数のメモリマット21のひとつであるメモリマット212に関して、テンプレートマッチングによりX方向偏差がEx、Y方向偏差がEyである。従って、ダイ座標系において、メモリマット211内の欠陥30の補正処理前の座標が(Cx0,Cy0)であったとすると、補正後の座標を(Cx,Cy)=(Cx0−Ex,Cy0−Ey)とすることで欠陥30の位置を補正できる。また、欠陥30のメモリマット212の原点212aからの相対距離は、(Nx,Ny)=(Cx0−Ex−Mx,Cy0−Ey−My)とすることで補正処理を行う。
【0031】
図5は、欠陥検査装置による欠陥検出処理で生成される欠陥情報を示す図である。
【0032】
図5において、欠陥情報は、欠陥検出処理により検出された欠陥30のそれぞれに割り当てられた欠陥ID40と、各欠陥30が存在するダイ202の原点ダイからの相対位置(ダイ座標)41と、各欠陥30のダイ座標系における原点20aからの相対座標(ダイ内座標)42と、各欠陥30のあるメモリマット21のダイ座標系における原点20aからの相対座標(マット原点座標)43と、各欠陥30のメモリマットの原点21aからの相対位置(マット座標)44と、各欠陥の種類を表す分類コード(クラス)45とから構成されている。図5では、欠陥候補30に欠陥ID40として1が割り当てられ、ダイ座標41は(Ax,Ay)、ダイ内座標42は(Cx,Cy)、マット原点座標43は(Mx,My)、マット座標44は(Nx,Ny)、クラス45は1である場合を示している。
【0033】
以上のように構成した本実施の形態における動作を説明する。
【0034】
まず、欠陥検査装置の制御PC2の表示装置(図示せず)に表示された設定画面50において、検査エリアに関する設定を行い、次いで、ステージ12上に被検査物の一例である半導体ウエハ11を載置して、欠陥検出処理を行い、欠陥候補に関する欠陥情報を生成する。生成された欠陥情報は、被検査物である半導体ウエハ11とともに、欠陥箇所を切り出すための後段のFIB装置に送られる。FIB装置では、本実施の形態の欠陥検査装置で生成された欠陥情報に基づいて各欠陥候補の位置を特定し、欠陥箇所をFIBにより切り出して断面観察用の試料を作製し、SEMなどによりその断面を観察する。
【0035】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0036】
近年、半導体デバイスなどで高集積化のために断続的に進められているパターン寸法の微細化においては、微細化に対するコストや技術障壁の高まりから、半導体デバイスの微細化とともに三次元化が急速に進んでいる。このように三次元化の進む半導体デバイスにおいては、被検査物の表面からの観察だけで欠陥を分析し原因を特定することが困難であるため、欠陥箇所における断面観察のニーズが高まっている。欠陥箇所の断面観察においては、例えは、欠陥検査装置により検出した被検査物の欠陥箇所をFIB(Focused Ion Beam)により切り出し、その試料の断面をSEM(Scanning Electron Microscope)により観察する方法がある。
【0037】
しかしながら、半導体デバイスのパターンや検出した欠陥は非常に微細であるため、欠陥をFIBによって切り出す際の欠陥箇所の特定が困難であり、欠陥箇所の切り出しに長い時間を要していた。この結果、観察できる欠陥箇所の数が制限されてしまい、半導体デバイスの製造工程へフィードバックされる情報の量が制限されてしまうという状況であった。
【0038】
これに対し、本実施の形態においては、欠陥情報に、被検査物上に形成された繰り返しパターンのそれぞれに設定された座標領域の原点に対する、繰り返しパターン内に予め定められた特徴点(つまり、メモリマットの原点)の相対位置と、その特徴点に対する欠陥候補の相対位置とを含むように構成したので、FIBによる切り出しの際の欠陥箇所の特定をより容易に行うことができる。
【0039】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、後述するマットコーナー(特徴点)に近い欠陥候補の検出画像を再取得し、再欠陥検出処理を行う機能を有するものである。以下、第1の実施の形態と同等の部材については説明を省略する。
【0040】
図6は、本実施の形態における欠陥情報を生成する欠陥情報生成処理の内容を示すフローチャートである。
【0041】
本実施の形態の欠陥検出装置は、欠陥情報生成処理の開始が指示されると、被検査物に対して欠陥検出処理を行い(ステップS10)、その処理情報を取得した制御PC2は、欠陥検出処理により検出された欠陥から、メモリマットのコーナー付近の欠陥を抽出する(ステップS20)。ステップS20で抽出された欠陥についてリビジット画像を取得し(ステップS30)、そのリビジット画像を用いて再度、欠陥検出処理を行う(ステップS40)。ステップS20で抽出した欠陥の全てに対してステップS30とステップS40の処理を行う。次いで、ステップS40の再欠陥検出処理で検出された欠陥候補の情報を含む欠陥情報を生成し(ステップS50)、処理を終了する。
【0042】
以上のように構成した欠陥情報生成処理の各工程について詳述する。
【0043】
(欠陥抽出:ステップS20)
図7は、あるメモリマット321に欠陥300が検出された様子を示す図である。マット原点が(Mx,My)であり、横方向と縦方向のマットサイズがそれぞれWxとWyであるメモリマット321にて、マット原点321aから相対位置(Nx,Ny)に欠陥300が検出されたとする。この場合、メモリマット321の左端から欠陥300までの距離はNx、メモリマット321の右端からの距離は(Wx−Nx)となる。同様にして、メモリマット321の下端から欠陥候補300までの距離はNy、メモリマット321の上端からの距離は(Wy−Ny)となる。ここで、Nx>(Wx−Nx)、かつ、Nx>(Wy−Ny)である場合、欠陥300に最も近いマットコーナーはメモリマット321の右上のマットコーナー321bであり、その座標は(Mx+Wx、My+Wy)である。また、マットコーナー321bから欠陥300までの距離は、X軸方向が(Wx−Nx)、Y軸方向が(Wy−Ny)となる。
【0044】
ここで、リビジット画像にて欠陥とマットコーナーの両方を含む画像を取得するためには、マットコーナーから欠陥までのX軸方向とY軸方向の距離が、どちらもリビジット画像の視野よりも短い必要があるため、(Wx−Nx)と(Wy−Ny)の内の大きい方を、欠陥300のマットコーナーからの距離の評価値として用いる。全ての欠陥に対して、マットコーナーからの距離の評価値を求め、評価値が小さいものからレシピでの設定した欠陥数だけリビジット画像取得を行う。ここで、リビジット画像を取得する欠陥は、マットコーナーからの距離の評価値がレシピにて規定された閾値以下の欠陥の中から、輝度やサイズといった欠陥特徴量により選択するようにレシピ設定することも可能である。
【0045】
(再欠陥検出処理/リビジット画像取得:ステップS30,S40)
図8は、再欠陥検出処理を示す図である。欠陥候補とマットコーナーを含む視野において、予め検査レシピで設定した光学条件に基づいてリビジット画像371を取得する。レシピ作成時に取得し、レシピに添付して保存しておいたメモリマットコーナーのテンプレート画像のうち、欠陥の近いマットコーナーのテンプレート画像372をメモリ上から呼び出す。ここで、テンプレート画像372において、マットコ−ナ−375は、レシピ作成時に画像上をマウスでクリックすることにより登録しておく。次いで、正規化相関を用いた画像マッチングにより、リビジット画像371の中からテンプレート画像に対応する部分の切り出し画像373を抽出し、テンプレート画像372との間で差画像374を作成する。差画像374においては、輝度が最大の点を欠陥として判定する。ここで、テンプレート画像372上でのマットコーナー375の座標を(Sx,Sy)、また、差画像374での欠陥候補376の座標を(Tx、Ty)とすると、マットコーナーから欠陥候補376までの距離は、X軸方向が(Sx−Tx)、Y軸方向が(Sy−Ty)となる。
【0046】
(欠陥情報生成:ステップS50)
図9は、本実施の形態で生成される欠陥情報を示す図である。図9において、欠陥情報は、ダイ内の欠陥位置表示として、マットコーナーの座標(Px,Py)、ならびにマットコーナーからの相対位置(Qx,Qy)を用いている。本実施の形態の欠陥情報においては、マットコーナーの座標(Px,Py)=(Mx+Wx,My+Wy)、マットコーナーからの相対位置(Qx,Qy)=(Nx−Wx,Ny−Wy)となるが、マットコーナーからの相対位置は、X軸方向は負符号の場合はコーナーの左側、正符号の場合は右側に欠陥が位置することを示す。また、Y軸方向では、負符号の場合はコーナーの下側、正符号の場合は上側に欠陥が位置することを示す。
【0047】
リビジット画像による欠陥の再検出を行った欠陥に対しては、検査時に算出したマットコーナーからの相対位置(Qx,Qy)を(Tx−Sx,Ty−Sy)に入れ替えて、欠陥情報に記録する。また、欠陥情報には、リビジット画像371のファイル名情報を欠陥IDとリンクさせて記録しておく。欠陥情報およびリビジット画像371はネットワーク経由でホスト17に送信され、必要に応じてホスト17からレビューSEMやFIB装置に対して配信される。
【0048】
その他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0049】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、特徴点として、予め設定された参照パターンと一致する形状を有する被検査物上の位置を設定するものである。以下、第1の実施の形態と同等の部材については説明を省略する。
【0050】
本実施の形態においては、ステップアンドリピート動作によりダイ内に設定される検査エリアの画像取得を行い、取得画像間の画像比較(ダイ比較)により欠陥検出を行う。
【0051】
図10は、本実施の形態における検査エリア作成画面を示す図である。図10において、GUI481上には、マップ表示エリア482と画像表示エリア483が配置されている。マップ表示エリア482は、ウエハマップ選択ボタン484とダイマップ選択ボタン485とCAD選択ボタン486により、ウエハマップ表示とダイマップ表示とCADデータ表示を切替え可能である。図10はCADデータ表示が選択された状態であり、CAD選択ボタン486がハイライト表示されている。また、表示されるマップの倍率は、表示倍率変更ボタン487により変更でき、表示領域をスライドバー488によりシフトできる。画像表示エリア483は、光学顕微鏡画像選択ボタン489とSEM画像選択ボタン490により、光学顕微鏡像とSEM像とを切替えて表示させることができる。図10はSEM像が選択された状態であり、SEM画像選択ボタン490がハイライト表示されている。
【0052】
図10に示すように、CAD選択ボタン486がハイライト表示された状態で領域登録ボタン491を押して、検査領域の登録を開始する。表示倍率変更ボタン487とスライドバー488により、マップ表示エリア482に検査エリアを設定したい領域のCADデータを表示させる。マップ表示エリア482にて、検査エリア左上のポイント494aと右下のポイント494bをクリックすることにより検査エリア494を設定し、領域確定ボタン492により確定させる。次に、マップ表示エリア482にて基準点495をクリックし、基準点確定ボタン493により確定させることにより、基準点の座標が基準点座標表示エリア496に表示される。この状態で、移動ボタン497を押して、基準点495の画像が画像表示エリア483に表示させる。テンプレート登録ボタン498を押してからSEM画像上で基準点500をクリックする。このとき、クリックされた位置には、テンプレートの基準点500を示す十字マークと、テンプレートの範囲を示す枠が表示される。テンプレート確定ボタン499を押してテンプレート画像とテンプレート位置情報を制御PCのメモリに保存する。ここで、保存されたテンプレート画像は、GUI上のテンプレート表示エリア501に表示される。
【0053】
図11はダイ、基準点、及び、欠陥候補の位置関係を模式的に示す図であり、図12は欠陥検査装置による欠陥検出処理で生成される欠陥情報を示す図である。
【0054】
ダイ411に設定された検査エリア412の基準点(特徴点)413のダイ原点からの相対座標(Mx,My)と、欠陥414の基準点413からの相対座標(Nx,Ny)を欠陥414の位置情報として欠陥情報を生成する。また、欠陥情報にはテンプレート画像444(画像ファイル名:Mark_1.tif)と欠陥画像445(画像ファイル名:Def_1.tif)も付随して保存され、各欠陥候補のテンプレート画像444と欠陥画像445のファイル名が欠陥情報に記載される。このような形で欠陥情報を出力することにより、後段のレビューSEMやFIB装置において、テンプレート画像による基準点での位置補正後に近傍の欠陥候補に移動することができるため、画像上で見つけにくい微小な欠陥も簡単に高倍画像の視野中心に持ってくることが可能となる。
【0055】
その他の構成および動作は第1の実施の形態と同様である。以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 SEM(Scanning Electron Microscope)
2 制御PC
3 電子銃
4 カラム
5 コンデンサレンズ
6 荷電粒子線
7 ディフレクタ
8 対物レンズ
9 二次荷電粒子
10 荷電粒子検出装置
11 半導体ウエハ
12 ステージ
13 ビーム走査コントローラ
14 ステージコントローラ
15 画像処理ユニット
16 CADサーバー
17 ホスト
20 ダイ
21 メモリマット
30 欠陥候補
40 欠陥ID
41 ダイ座標
42 ダイ内座標
43 マット原点座標
44 マット座標
45 クラス
50 設定画面
51 マップ表示エリア
52 画像表示エリア
70 テンプレート表示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に荷電粒子線を照射して走査する荷電粒子線照射手段と、
荷電粒子線の照射により被検査物から得られる二次荷電粒子を検出する荷電粒子検出手段と、
前記荷電粒子照射手段からの走査情報と前記荷電粒子検出手段からの検出信号に基づいて得られた検査エリアの検出画像と参照エリアの検出画像とを比較し、両者の差分を閾値と比較して欠陥候補を検出する欠陥検出手段と、
前記欠陥候補の位置情報を含む欠陥情報を生成する情報処理手段とを備え、
前記欠陥情報は、
前記被検査物上に形成された繰り返しパターンのそれぞれに設定された座標領域の原点に対する、前記繰り返しパターン内に予め定められた特徴点の相対位置と、
前記特徴点に対する前記欠陥候補の相対位置とを含むことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥検査装置において、
前記繰り返しパターン内にさらに設けられた繰り返しパターンのそれぞれに設定された座標領域の原点を特徴点としたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の欠陥検査装置において、
前記繰り返しパターン内にさらに設けられた繰り返しパターンのそれぞれの外周を規定する境界の角部のうち、前記欠陥候補に最も近い角部を特徴点としたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
請求項1記載の欠陥検査装置において、
前記繰り返しパターン内に形成されたパターンの一部であって、予め設定された参照パターンと一致する形状を有する位置を特徴点としたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の欠陥検査装置において、
前記繰り返しパターン内にさらに設けられた繰り返しパターンのそれぞれに設定された座標領域の原点の検出画像と予め設定された前記原点の参照パターンとの比較により得られる位置情報の差分を補正情報として前記欠陥情報に含むことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項記載の欠陥検査装置において、
前記欠陥情報に基づいて前記欠陥候補を含む領域の検出画像を再度取得し、該検出画像を用いて欠陥候補を検出することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
請求項4記載の欠陥検査装置において、
前記欠陥情報は、前記参照パターンも含むことを特徴とする欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−122765(P2012−122765A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271818(P2010−271818)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】