説明

次亜リン酸誘導体のジアステレオ異性体

【課題】代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)に対してアゴニストまたはアンタゴニストの性質を有する次亜リン酸誘導体のジアステレオ異性体を提供する。
【解決手段】
式(1)で示される次亜リン酸誘導体のジアステレオ異性体。式中、フェニル基は、フェニル環上の1ヶ所ないし数ヶ所を占める1個ないし数個の原子もしくは基により置換されている。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)に対してアゴニストまたはアンタゴニストの性質を有する、取り分け、第III群、subtype4の代謝調節型グルタミン酸受容体(mGlu4R)に対してアゴニストまたはアンタゴニストの性質を有する次亜リン酸誘導体、および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明はそのジアステレオ異性体に関する。
【背景技術】
【0003】
CNRS名義の特許文献1(国際特許出願公開WO2007/052169明細書)は、かかる種類の誘導体に関する。この明細書の内容を参照により本明細書の一部とする。
【0004】
これらの分子の殆どはキラル中心を有し、ジアステレオ異性体の形状で存在し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願公開WO2007/052169明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新しい分子としてかかるジアステレオ異性体を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、当該分子のジアステレオ異性体を分離する方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明はこれらのジアステレオ異性体の薬物としての使用にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のジアステレオ異性体は、式(I)により示される。式中、フェニル基は、フェニル環上の1ヶ所ないし数ヶ所を占める1個ないし数個の原子もしくは基により置換されている。
【化1】

【0010】
フェニル基の好適な置換基の例はアルコキシ基−ORであり、RはC1〜C12のアルキル基であって、置換されていてもよく、例えばカルボキシル基などの官能基により置換されていてもよい。フェニル基の置換基は例えばニトロ基、ヒドロキシ基であってもよい。
【0011】
本発明はまた当該ジアステレオ異性体を得るための方法にも関し、当該方法は、pH1.5ないし2.5、流速1〜2.5mL/分で、カラム中、準分取用(semi-preparative)HPLCクロマトグラフィーを実施することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、pHは約2.0であり、流速は約1.5〜2mL/分である。
【0013】
有利には、該HPLCカラムは適切な容積のインジェクションループを含んでなる。さらに該カラムは、二重UV検出系、特に210および254nmの二重UV検出系を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実験の部に示すように、2つの型の誘導体が得られるが、その場合の第一の型はそのジアステレオ異性体が同じ活性を有し、第二の型はそのジアステレオ異性体が異なる活性を有する。
【0015】
第一の群において、ベンジル性OHが存在しないか、または同じ箇所で−NH基により置換されると、作用がなくなる。
【0016】
逆に、第二の群においては、ジアステレオ異性体の一方がより活性である。さらに、ベンジル性OHが存在しないか、またはその−NHでの置換は、活性の喪失を誘発する。
【0017】
より詳しくは、本発明は、(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]3−ニトロベンゼン塩酸塩;(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩;(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩;(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−エトキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩のジアステレオ異性体に関する。
【0018】
また、本発明はこれらのジアステレオ異性体の薬物活性本体としての使用に関する。
【0019】
本発明のその他の特徴および有益性は、以下の実施例にて説明する。
【実施例】
【0020】
実験の部
実施例1
【化2】

【0021】
(2S)−2−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−4−[(ヒドロキシ)−ホスフィニル]ブタン酸メチル(1):
メタノール(1mL)中、N−ベンジルオキシカルボニル−L−α−ビニルグリシンメチルエステル(Z−L−α−ビニルGlyOMe、249mg、1mmol)、次亜リン酸(HPOの50%水溶液、1.040mL、10mmol)およびα,α−アゾイソブチロニトリル(AIBN、16mg、0.1mmol)の混合物を、80℃で5時間還流した。次いで、減圧下にメタノールを蒸発させ、残渣を水10mLで処理し、酢酸エチル125mLで抽出した。有機層を水(2×10mL)で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に蒸発させて、化合物(1)(315mg、定量的収率)を得た。
【表1】

【0022】
実施例2
【化3】

【0023】
一般手法A(R=HまたはOH;R’=HまたはOMe):
乾燥ジクロロメタン(2mL)中、化合物(1)(1mmol)および対応アルデヒド(R=OH)または対応ブロミド(R=H)(2.2mmol)の溶液に、アルゴン下、0℃で、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA、1.08mL、4.4mmol)を滴下した。混合物を室温に加温し、アルゴン下で一夜攪拌し、次いで、0℃に冷却し、1N塩酸(20mL)を加えて、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を減圧下に濃縮し、次いで、残渣を水(10mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)に溶かし、次いで、酢酸エチル(100mL)で洗った。有機層を水(5mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)で2回抽出した。併合した水層を37%塩酸で処理してpH1に調整し、水相を酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。併合した酸性の有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。
【化4】

【0024】
(3S)−3−[(((3−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニル)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−3−ニトロベンゼン(2):
該化合物は一般手法Aに従い、化合物(1)(248mg;0.77mmol)と3−ニトロベンズアルデヒド(261mg;1.71mmol)とから調製した。白色固体(281mg;76%収率)を得た。
【表2】

【化5】

【化6】

【0025】
(3S)−3−[(((3−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニル)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4−メトキシ−3−ニトロベンゼン(3):
該化合物は一般手法Aに従い、化合物(1)(315mg;1mmol)と4−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(736mg;4mmol)とから調製した。粗生成物はさらに精製せずに、そのまま脱保護する。
【表3】

【化7】

【0026】
((S)−3−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニルプロピル)ホスフィン酸3−ニトロベルジル(4):
該化合物は一般手法Aに従い、化合物(1)(258mg;0.82mmol)と臭化3−ニトロベンジル(389mg;1.8mmol)とから調製した。淡黄色固体(272mg;74%収率)が得られた。
【表4】

【0027】
実施例3
【化8】

【0028】
一般手法B(R=HまたはOH;R’=HまたはOMe):
乾燥ジクロロメタン(2mL)中、化合物(1)(1mmol)および対応アルデヒド(R=OH)または対応ブロミド(R=H)(2.2mmol)の溶液に、アルゴン下、0℃でN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA、1.08mL、4.4mmol)を滴下した。混合物を室温に加温し、アルゴン下で一夜攪拌し、次いで、0℃に冷却し、1N塩酸(20mL)を加えて、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。併合した有機抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。
【化9】

【0029】
(3S)−3−[(((3−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニル)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼン(5):
該化合物は一般手法Bに従い、化合物(1)(277mg;0.88mmol)と4−ヒドロキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(323mg;1.93mmol)とから調製した。粗生成物はなお過剰のアルデヒドを含有するので、そのまま脱保護した。
【表5】

【化10】

【0030】
(3S)−3−[(((3−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニル)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンゼン(6):
該化合物は一般手法Bに従い、化合物(1)(292mg;0.93mmol)と4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(5−ニトロバニリン)(568mg;2.79mmol)とから調製した。粗生成物はなお過剰のアルデヒドを含有するので、そのまま脱保護した。
【表6】

【化11】

【0031】
(3S)−3−[(((3−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニル)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4−ヒドロキシ−5−エトキシ−3−ニトロベンゼン(7):
該化合物は一般手法Bに従い、化合物(1)(295mg;0.94mmol)と4−ヒドロキシ−5−エトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(435mg;2.06mmol)とから調製した。粗生成物はなお過剰のアルデヒドを含有するので、そのまま脱保護した。
【化12】

【0032】
(3S)−3−[(((3−(N−ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニル)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロベンゼン(8):
該化合物は一般手法Bに従い、化合物(1)(233mg;0.74mmol)と3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒド(298mg;1.63mmol)とから調製した。粗生成物はなお過剰のアルデヒドを含有するので、そのまま脱保護した。
【化13】

【0033】
((S)−3−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニルプロピル)ホスフィン酸4−ヒドロキシ−3−ニトロベンジル(9):
該化合物は一般手法Bに従い、化合物(1)(315mg;1mmol)と臭化4−ヒドロキシ−3−ニトロベンジル(433mg;1.87mmol)とから調製した。粗生成物はなお過剰のアルデヒドを含有するので、そのまま脱保護した。
【表7】

【化14】

【0034】
((S)−3−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メトキシカルボニルプロピル)ホスフィン酸4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンジル(10):
該化合物は一般手法Bに従い、化合物(1)(315mg;1mmol)と臭化4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンジル(416mg;1.59mmol)とから調製した。粗生成物はなお過剰のアルデヒドを含有するので、そのまま脱保護した。
【表8】

【0035】
実施例4
【化15】

【0036】
一般手法C(R=HまたはOH;R’=HまたはOMe):
塩化アセチル/酢酸(5/1mL)中、化合物(1)(1mmol)の溶液に、アルゴン下に、カルバミン酸ベンジル(151mg;1mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、対応アルデヒド(1mmol)を加えた。混合物を室温に加温し、アルゴン下に5時間攪拌した後、濃縮乾固した。
【化16】

【0037】
((S)−3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メトキシカルボニルプロピル)ホスフィン酸(ベンジルオキシカルボニルアミノ)(3−ニトロフェニル)メチル(11):
該化合物は一般手法Cに従い、化合物(1)(264mg;0.84mmol)、3−ニトロベンズアルデヒド(136mg;0.9mmol)およびカルバミン酸ベンジル(136mg;0.9mmol)から調製した。
【化17】

【0038】
((S)−3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−メトキシカルボニルプロピル)ホスフィン酸(ベンジルオキシカルボニルアミノ)(4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロフェニル)メチル(12):
該化合物は一般手法Cに従い、化合物(1)(113mg;0.36mmol)、4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンズアルデヒド(71mg;0.36mmol)およびカルバミン酸ベンジル(54mg;0.36mmol)から調製した。
【表9】

【0039】
実施例5
【化18】

【0040】
一般手法D(R=HまたはOHまたはNH;R’=HまたはOMe;R”=HまたはOHまたはOMe):
一般手法A、BまたはCにより合成した粗生成物を6N塩酸(5mL)に溶解した。混合物を100℃で5時間攪拌し、次いで室温に冷却した。この溶液を酢酸エチル(50mL)と水(10mL)で希釈した。分離した有機層を1N塩酸(3×10mL)で抽出した。併合した水相を減圧下に濃縮し、残渣をダウエックスAG50x4カチオン交換樹脂カラム(H、50〜100メッシュ;水で溶出するか、またはR=NHの場合は0.5M−NHOH)により精製した。
【0041】
実施例6
【化19】

【0042】
一般手法E−ジアステレオ異性体の分離(R=HまたはOMe;R’=HまたはOHまたはOMe):
ジアステレオ異性体は準分取用HPLCカラム・ダイセルクラウンパックCR(+)150×10mmを、pH2.0の塩酸(流速2または1.5mL/分)、2mLのインジェクションループ、および210と254nmの二重UV検出系を用いて分離した。薬理試験に充分な生成物を得るために数回のインジェクションを実施した。保持時間の短い方のジアステレオ異性体を−Iと命名し、他のものを−IIと命名した。
【化20】

【0043】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]3−ニトロベンゼンLSP1−2093:
生成物(2)(260mg)を一般手法Dに従って脱保護した。純品のLSP1−2093(72mg)を得た(42%収率)。
【表10】

【0044】

(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]3−ニトロベンゼン塩酸塩LSP3−1098−IおよびLSP3−1098−II:
LSP1−2093のジアステレオ異性体は一般手法Eに従って、23℃、流速2mL/分で分離した。各インジェクションはpH2.0の塩酸1.8mLで9mgのLSP1−2093から調製した。3回のインジェクションの後、各ジアステレオ異性体12mgを得た。
【化21】

【表11】

【化22】

【0045】
(3S)−3−[(((3−アミノ−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4−メトキシ−3−ニトロベンゼンLSP1−2101:
粗生成物(3)は一般手法Dに従って脱保護した。純品のLSP1−2101(304mg)を得た(87%収率;2工程)。
【表12】

【化23】

【表13】

【化24】

【0046】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4−メトキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩LSP2−6146−IおよびLSP2−6146−II:
LSP1−2101のジアステレオ異性体は一般手法Eに従って、7℃、流速1.5mL/分で分離した。温度はペルティエ効果サーモスタットイグルー(Igloo)−CILで調整した。各インジェクションはpH2.0の塩酸1.5mL中、6mgのLSP1−2101で調製した。何回ものインジェクションの後、37mgのジアステレオ異性体Iと36mgのジアステレオ異性体IIを得た。
【表14】

【化25】

【0047】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−メチル]3−ニトロベンゼンLSP3−1045:
化合物(4)(272mg;0.86mmol)を一般手法Dに従い脱保護した。純生成物LSP3−1045(140mg)を得た(54%収率)。
【表15】

【化26】

【0048】
(3S)−3−[(((3−アミノ−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼンLSP1−2109:
粗生成物(5)は一般手法Dに従って脱保護した。純品のLSP1−2109(116mg)を得た(39%収率;2工程)。
【表16】

【化27】

【0049】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩LSP3−2074−IおよびLSP3−2074−II:
LSP1−2109のジアステレオ異性体は、一般手法Eに従って、5℃、流速2mL/分で分離した。温度はペルティエ効果サーモスタットイグルー(Igloo)−CILで調整した。各インジェクションはpH2.0の塩酸1.5mL中、5mgのLSP1−2109で調製した。7回のインジェクションの後、16mgのジアステレオ異性体Iと18mgのジアステレオ異性体IIを得た。
【表17】

【化28】

【0050】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンゼンLSP1−2111:
粗生成物(6)は一般手法Dに従って脱保護した。純品のLSP1−2111(196mg)を得た(58%収率;2工程)。
【表18】

【化29】

【0051】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩LSP3−1101−IおよびLSP3−1101−II:
LSP1−2111のジアステレオ異性体は、一般手法Eに従って、21℃、流速2mL/分で分離した。各インジェクションはpH2.0の塩酸1.8mL中、5mgのLSP1−2111で調製した。7回のインジェクションの後、15mgのジアステレオ異性体Iと14mgのジアステレオ異性体IIを得た。
【表19】

【化30】

【0052】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−エトキシ−3−ニトロベンゼンLSP3−1145:
粗生成物(7)は一般手法Dに従って脱保護した。純粋な化合物を得るためには、2本のカチオン交換カラムが必要であった。LSP3−1145の純品111mgを得た(31%収率;2工程)。
【表20】

【化31】

【0053】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−エトキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩LSP3−1143−IおよびLSP3−1143−II:
LSP3−1145のジアステレオ異性体は、一般手法Eに従って、25℃、流速2mL/分で分離した。各インジェクションはpH2.0の塩酸1.8mL中、8mgのLSP3−1145で調製した。15回のインジェクションの後、40mgのジアステレオ異性体Iと46mgのジアステレオ異性体IIを得た。
【表21】

【化32】

【0054】
(3S)−3−[(((3−アミノ−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロベンゼンLSP3−1069:
粗生成物(8)は一般手法Dに従って脱保護した。純粋な化合物を得るためには、2本のカチオン交換カラムが必要であった。LSP3−1069の純品7mgを得た(3%収率;2工程)。
【表22】

【化33】

【0055】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−メチル]4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼンLSP3−2153:
粗生成物(9)は一般手法Dに従って脱保護した。LSP3−2153の純品134mgを得た(40%収率;2工程)。
【表23】

【化34】

【0056】
(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−メチル]4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンゼンLSP3−2134:
粗生成物(10)は一般手法Dに従って脱保護した。カチオン交換カラムを1Nアンモニアで溶出した。LSP3−2134の純品120mgを得た(34%収率;2工程)。
【表24】

【化35】

【0057】
(2S)−アミノ−4−[[アミノ(3−ニトロフェニル)メチル](ヒドロキシ)ホスフィニル]ブタン酸LSP1−3131:
粗生成物(11)は一般手法Dに従って脱保護した。カチオン交換カラムを1Nアンモニアで溶出した。LSP1−3131の純品3.3mgを得た(1%収率;2工程)。
【表25】

【化36】

【0058】
(2S)−アミノ−4−[[アミノ(4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロフェニル)メチル](ヒドロキシ)ホスフィニル]ブタン酸LSP4−1184:
粗生成物(12)は一般手法Dに従って脱保護した。カチオン交換カラムを1Nアンモニアで溶出した。LSP4−1184の純品110mgを得た(89%収率;2工程)。
【表26】

【0059】
代謝調節型グルタミン酸受容体4、8、6および7に対する活性。
−ニトロベンジルPCEP誘導体
【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【0060】
IP=放射標識IP3アッセイ
fl=カルシウム蛍光アッセイ(フレックスステーション)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、フェニル基は、フェニル環上の1ヶ所ないし数ヶ所を占める1個ないし数個の原子もしくは基により置換されている]
で示される次亜リン酸誘導体のジアステレオ異性体。
【請求項2】
該フェニル環がアルコキシ基−ORにより置換されており、Rは、例えばカルボキシル基などの官能基により置換されていてもよい、C1〜C12のアルキルである請求項1記載のジアステレオ異性体。
【請求項3】
以下の誘導体のジアステレオ異性体:(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]3−ニトロベンゼン塩酸塩;(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩;(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩;(3S)−3−[(((3−アンモニウム−3−カルボキシ)プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィニル)−ヒドロキシメチル]4−ヒドロキシ−5−エトキシ−3−ニトロベンゼン塩酸塩。
【請求項4】
pH1.5ないし2.5、流速1〜2.5mL/分にて、カラム中、準分取用HPLCクロマトグラフィーを実施することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の次亜リン酸誘導体のジアステレオ異性体を分離する方法。
【請求項5】
該pHが約2.0である請求項4記載の方法。
【請求項6】
該流速が約1.5〜2mL/分である請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
該HPLCカラムがインジェクションループを含んでなる請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該HPLCカラムがさらに二重UV検出系、特に210および254nmの検出系を含んでなる請求項4から7のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−520870(P2012−520870A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500362(P2012−500362)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051200
【国際公開番号】WO2010/106526
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(507199975)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (13)
【Fターム(参考)】