説明

止水構造

【課題】各種埋設管や構造物等の端部に形成される接合部や途中に形成される可撓部の可撓性を損なうことなく簡便かつ確実に高い気密性、水密性を確保することができ信頼性に優れ、止水材と金属等の他の材料との選択的な接着が可能で設計の自在性、汎用性に優れ、施工が容易で量産性に優れた止水構造を提供することを目的とする。
【解決手段】開口部端面で対向配置された二つの管体と、二つの管体の接合部外周に形設された接合凹部と、接合凹部に覆設され二つの管体に固定された可撓性を有する接合部保護体と、硬化前に流動性を有し接合凹部に充填され接合凹部の内面及び接合部保護体の内周面に接着された伸縮性を有する外部止水材と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中や海底等に埋設されるパイプラインやケーブル配管等の埋設管やトンネル、ボックスカルバート等の構造物に関し、埋設後の土圧や水圧に耐え、かつ、地震時などの土中の変形に柔軟に対応して端部の接合部や長手方向の途中に形成される可撓部の欠損や亀裂を防止し、気密性、水密性を確保することができる止水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水道、排水路等の埋設管として一般にヒューム管が使用されているが、地盤変動または地震等の変動により発生する折曲や偏心等の各種変位や振動等に対し、ヒューム管が対応できないために管の一部が破損、あるいは破損に至らない場合でもヒューム管の端部に欠損や亀裂を生ずることがある。そして、これが原因で浸水や漏水することがある。この地盤変動や地震等によるヒューム管の損傷や浸水、漏水を防止するため、隣接するヒューム管の接続部にはゴム・合成樹脂等の可撓性材料からなる可撓継手が使用されている。
また、埋設管以外にトンネル、ボックスカルバート等の構造物についても、大きな変位に対して破断事故が発生しないような継手の止水構造が種々検討されている。
例えば、(特許文献1)には、「止水すべき部材間隙に対応した形状の弾性体を有し、弾性体の内部に水膨張体収納領域を形成し、水膨張体収納領域に、水との接触によって膨張自在な水膨張体を配設して構成した、シール。」が開示されている。
また、(特許文献2)には、「地中に埋設され、地盤の変位に追従すべく単位長毎に継手が設けられて構築された開削地下構造物において、上記継手となる目地の外周に目地を跨いで目地からほぼ等距離に渡って帯状に水膨張止水ゴムを被着して上記目地の外周をシールすると共に、上記水膨張止水ゴムの外周面を保護鋼板で被覆する構造としたことを特徴とする開削地下構造物。」が開示されている。
【特許文献1】特開平6−272496号
【特許文献2】特開2004−92288号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)従来、変形を伴う箇所に気密性、水密性が要求される場合、止水材として伸縮性を有するゴム材料が一般的に利用されているが、特に大型製品の場合、寸法精度及び接合部との密着性を確保することは困難であり、複雑な形状の継手に対応することができず、汎用性、信頼性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献1)のシールは、通常の状態では、弾性体が弾性変形することによって、止水すべき部材間隙の幅の伸縮に追従しながら、該弾性体が止水すべき部材間隙をシールし、万一弾性体が破断したときには、該弾性体の破断によって形成された空隙を、水膨張体が水との接触によって膨張してこれを塞ぐ形で、部材間隙をシールするものであるが、弾性体が従来と同様の成形品であるため、十分な寸法精度を確保することが困難で、継手と弾性体の間に隙間が生じた場合は、弾性変形の範囲内においても水密性を確保することができないという課題を有していた。
また、セグメント相互間にシールを挟着し、ボルト、ナットによりセグメント相互間を締結接続するので、シールの密着性、施工性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献2)の開削地下構造物では、各々の目地の外周に沿って帯状の水膨張止水ゴムを被着しなければならず施工性に欠けるという課題を有していた。
また、水膨張止水ゴムが冠水して水膨張するまでに24時間以上の時間が必要で冠水後に直ちに止水することができず信頼性に欠けると共に、水膨張止水ゴムが施工中に冠水して水膨張すると、その状態で略固定されてしまい、施工完了後に土圧が変化して開削地下構造物が変形しようとしても、変形に追従することができず、可撓性に欠けるという課題を有していた。
さらに、水膨張止水ゴムの外周面を被覆する保護鋼板と、水膨張止水ゴムやコンクリートとの固定や保護鋼板の可撓性についても検討されていなかった。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、各種埋設管や構造物等の端部に形成される接合部や途中に形成される可撓部の可撓性を損なうことなく簡便かつ確実に高い気密性、水密性を確保することができ信頼性に優れ、止水材と金属等の他の材料との選択的な接着が可能で設計の自在性、汎用性に優れ、施工が容易で量産性に優れた止水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の止水構造は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の止水構造は、開口部端面で対向配置された二つの管体と、前記二つの管体の接合部外周に形設された接合凹部と、前記接合凹部に覆設され前記二つの管体に固定された可撓性を有する接合部保護体と、硬化前に流動性を有し前記接合凹部に充填され前記接合凹部の内面及び前記接合部保護体の内周面に接着された伸縮性を有する外部止水材と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)開口部端面で対向配置された二つの管体の接合部外周に接合凹部が形設されているので、接合凹部に充填された外部止水材で二つの管体を接合して確実に止水することができる。
(2)接合凹部に覆設された可撓性を有する接合部保護体が、二つの管体に固定されているので、外力による管体の動きに対して接合部保護体が追従することができ、接合部の可撓性を損なうことがなく、また、接合凹部に充填された外部止水材を保護することができる。
(3)外部止水材が硬化前に流動性を有するので、接合凹部に容易に充填することができ、接合凹部の内面及び接合部保護体の内周面に確実に接着させて止水性を確保することができる。
(4)硬化後の外部止水材が伸縮性を有するので、外力による管体の動きに対して確実に追従することができ、接合部の可撓性を損なうことがなく信頼性に優れる。
【0006】
ここで、管体の材質としては、コンクリートの他、鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、カーボン鉄鋼等の金属、合成樹脂等が好適に用いられる。管体の断面形状は、円形、楕円形、矩形、多角形或いはこれらを組合せたものなど、どのような形状でも構わない。
接合凹部は、管体の成形時に予め形設してもよいし、管体の端部外周を切削して形成してもよい。また、管体の端部に埋設や接合等の手段で別部材を固定して形成してもよい。
接合部保護体としては、外部止水材との接着性に優れると共に、硬化前の外部止水材の漏れが発生せず、可撓性を有し外部止水材を保護できるものであればよい。例えば金属繊維、カーボン繊維、エンジニアリング樹脂繊維で形成された織布やこれらで形成された網体若しくは金属線条物で形成された網状物等にニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどを被着したもの等が好適に用いられる。
金属繊維に使用される金属線及び金属繊維の材質としては鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、黄銅、銅、モネルメタル、ニッケル、ニクロム等がある。また、エンジニアリング樹脂繊維としては、ポリアミドやポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホンなどを用いることができる。
接合凹部の外周に接合部保護体を覆設してから外部止水材を充填する場合には、接合部保護体に外部止水材を充填するための充填口を穿設しておく必要がある。
【0007】
外部止水材としては、硬化前は流動性があり、硬化後は周囲の部材と接着し、高伸縮性、高弾性を有するシリコーン系,ウレタンゴム系,ジエン系等の液状ゴムが好適に用いられる。これにより、充填が容易で生産性に優れると共に、接合部の可撓性、水密性を確保できる。
外部止水材の充填前には、外部止水材と接する接合凹部の内面及び接合部保護体の内周面にプライマー処理を施すことが好ましい。被着体である接合凹部や接合部保護体の材質に応じて、適宜、最適なプライマーを選択することができる。プライマー処理により、外部止水材との接着性を向上させることができると共に、選択的にプライマー処理を施すことにより、接着の有無を容易かつ確実に制御することができ施工性に優れる。
尚、プライマー処理の前に清掃及び脱脂処理を行うことにより、さらに接着性を向上させることができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の止水構造であって、前記二つの管体の内の一方の管体が、前記開口部端面側の外周に形成された切り欠き部を有し、前記接合凹部が、前記一方の管体の前記切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面と、前記二つの管体の内の他方の管体の前記開口部端面と、で形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)二つの管体の内の一方の管体が、開口部端面側の外周に形成された切り欠き部を有するので、二つの管体の開口部端面同士を当接させるだけで、接合部外周に接合凹部を形成することができ、外部止水材を充填して容易に止水することができる。
(2)接合凹部が、一方の管体の切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面と、他方の管体の開口部端面で形成されているので、接合凹部に充填された外部止水材を介して二つの管体を接続することができ、接合部を確実に止水することができる。
【0009】
ここで、一方の管体は開口部端面側の外周に切り欠き部が形成されることにより、内周側に薄肉部が形成される。薄肉部の先端(開口部端面)を他方の管体の開口部端面に当接させることにより、軸方向力を伝達することができるので、開削施工以外に推進施工にも用いることができる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の止水構造であって、前記二つの管体が、各々の前記開口部端面側の外周に形成された切り欠き部を有し、前記接合凹部が、前記二つの管体の前記切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面と、で形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)二つの管体が、各々の開口部端面側の外周に形成された切り欠き部を有するので、二つの管体の開口部端面同士を当接させるだけで、接合部外周に接合凹部を形成することができ、外部止水材を充填して容易に止水することができる。
(2)接合凹部が、二つの管体の切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面で形成されているので、接合凹部に充填された外部止水材を介して二つの管体を接続することができ、接合部を確実に止水することができる。
【0011】
ここで、二つの管体は開口部端面側の外周に切り欠き部が形成されることにより、内周側に薄肉部が形成される。薄肉部の先端(開口部端面)同士を当接させることにより、軸方向力を伝達することができるので、開削施工以外に推進施工にも用いることができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の止水構造であって、前記二つの管体が、コンクリートで形成され、前記一方の管体の少なくとも前記切り欠き部表面に配設された金属製の切り欠き部形成部材と、前記他方の管体の前記開口部端面に配設された金属製の開口部端面形成部材と、を備えている構成を有している。
この構成により、請求項2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)一方の管体の少なくとも切り欠き部表面に配設された金属製の切り欠き部形成部材と、他方の管体の開口部端面に配設された金属製の開口部端面形成部材を有するので、切り欠き部表面や開口部端面を保護できると共に、接合凹部における外部止水材との密着性を向上させることができ、止水の確実性に優れる。
【0013】
ここで、切り欠き部形成部材及び開口部端面形成部材の材質としては、鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、カーボン鉄鋼等の金属が好適に用いられる。
切り欠き部形成部材及び開口部端面形成部材は、それぞれ型枠内にセットして、コンクリートを投入し、切り欠き部形成部材及び開口部端面形成部材に配設したアンカー部を管体に埋設して形成してもよいし、成型済みの管体にボルト締めによって固定してもよい。
切り欠き部形成部材及び開口部端面形成部材が各々配設された二つの管体の端面同士を突き合わせて仮固定することにより、接合凹部が形成される。その後、接合部保護体を接合凹部に覆設し、二つの管体に固定する。最後に接合凹部に外部止水材を充填して可撓性接合部が完成する。
このとき、接合部保護体に充填口を穿設することにより、簡単かつ確実に接合凹部と接合部保護体との間に外部止水材を充填できる。充填口を接合部保護体の長手方向や円周方向に1乃至複数個、設けた場合、充填口から外部止水材の充填状態を確認できると共に、空気を追い出しながら確実に充填することができ、また、充填不足の箇所に追加充填することもでき、信頼性、施工性に優れる。
【0014】
可撓性接合部を先に形成し、後からコンクリートを打設して可撓性接合部の両端に管体を成形することもできる。この場合、まず切り欠き部形成部材と開口部端面形成部材を突き合わせて仮固定する。その後、接合部保護体を開口部端面形成部材の外周に固定する。次に、開口部端面形成部材が下になるように縦置きし、切り欠き部形成部材と接合部保護体で囲まれた円筒状の空間に上端側の開口から外部止水材を充填することにより、外部止水材によって一体化された可撓性接合部が得られる。この可撓性接合部を型枠内にセットし、コンクリートを投入することにより、可撓性接合部の両端に管体が成形される。
切り欠き部形成部材の先端に延設され薄肉部の先端(開口部端面)に覆設される端部保護板を有する場合、薄肉部の先端(開口部端面)が直接、他方の管体の開口部端面に当接するのを防止でき、変形時等に薄肉部が破損するのを防止できる。
【0015】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の止水構造であって、前記二つの管体が、コンクリートで形成され、前記二つの管体の少なくとも前記切り欠き部表面及び前記切り欠き部端面に配設された金属製の接合凹部形成部材を備えている構成を有している。
この構成により、請求項3の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)二つの管体の少なくとも切り欠き部表面及び切り欠き部端面に配設された金属製の接合凹部形成部材を有するので、切り欠き部表面及び切り欠き部端面を保護できると共に、接合凹部における外部止水材との密着性を向上させることができ、止水の確実性に優れる。
【0016】
ここで、接合凹部形成部材の材質は、前述の切り欠き部形成部材及び開口部端面形成部材と同様のものが好適に用いられる。
接合凹部形成部材は、型枠内にセットして、コンクリートを投入し、接合凹部形成部材に配設したアンカー部を管体に埋設して形成してもよいし、成型済みの管体にボルト締めによって固定してもよい。
接合凹部形成部材が各々配設された二つの管体の端面同士を突き合わせて仮固定することにより、接合凹部が形成される。その後は請求項4で説明した手順と同様にして可撓性接合部が完成する。
【0017】
可撓性接合部を先に形成し、後からコンクリートを打設して可撓性接合部の両端に管体を成形することもできる。この場合、まず二つの接合凹部形成部材を突き合わせて仮固定する。その後、接合部保護体を接合凹部形成部材の外周に固定する。次に、前述と同様に接合部保護体又は接合凹部形成部材に穿設した充填口から外部止水材を充填する。外部止水材によって一体化された接合凹部形成部材及び接合部保護体(可撓性接合部)を型枠内にセットし、コンクリートを投入することにより、可撓性接合部の両端に管体が成形される。
接合凹部形成部材の先端に延設され薄肉部の先端(開口部端面)に覆設される端部保護板を有する場合、薄肉部の先端(開口部端面)同士が直接、当接するのを防止でき、変形時等に薄肉部が破損するのを防止できる。
【0018】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の止水構造であって、前記接合部保護体が、周方向及び/又は軸方向に断続的に形成された切れ目部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)接合部保護体が周方向及び/又は軸方向に断続的に形成された切れ目部を有することにより、引張り、曲げ、ねじり等の外力に対して変形可能であるので、接合部の可撓性、水密性を損なうことなく外部止水材や接合部を確実に保護することができる。
【0019】
ここで、接合部保護体の材質としては、鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、カーボン鉄鋼等の金属が好適に用いられる。
接合部保護体の切れ目部の形成にはレーザ加工が好適に用いられる。切れ目部の幅、長さ、ピッチは管体の大きさ、接合部保護体の板厚、許容する曲げ変形量等を考慮して決定される。尚、切れ目部の形状は一直線状や、くの字型、レの字型或いはこれらを組合せた形状に形成できる他、これらを所定の角度で傾斜させて配置することができる。また、周方向に断続的な切れ目部を接合部保護体の長手方向の中央等の変位箇所に形成することにより、引張りや曲げの外力に対応して変形することができ、軸方向に断続的な切れ目部を任意の位置に形成することにより、ねじりの外力に対応して変形することができる。
【0020】
また、接合部保護体の周方向に断続的に形成された切れ目部が、接合部保護体の中心軸の長手方向に所定のピッチで複数列配置され、隣接する切れ目部同士が周方向に所定間隔ずつずれた千鳥状に配列されている場合、外力による変形時に接合部保護体の引張り側が網目状に開いて可撓性を確保できると共に、外部止水材を保護することができる。
尚、接合部保護体の切れ目部は、管体の開口部端面位置と重ならない位置に形成することが好ましい。これにより、外力による変形時に接合部保護体の切れ目部が開口しても、接合凹部の内面に接着された外部止水材で確実に止水することができ、止水の信頼性、耐久性を向上させることができる。
【0021】
本発明の請求項7に記載の発明は、管体と、前記管体の周方向に千鳥状に断続的に形成された複数の切れ目部を有する可撓部と、前記管体の外周側に離間して前記可撓部に覆設された筒状部と前記筒状部の一端部に延設され前記管体の外周面に固定された環状固定部とを有する可撓部保護体と、硬化前に流動性を有し前記管体と前記可撓部保護体との間に充填され前記管体の外周面及び前記可撓部保護体の内面に接着された伸縮性を有する外部止水材と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)管体の可撓部が、周方向に千鳥状に断続的に形成された複数の切れ目部を有するので、引張り、曲げ、ねじり等の外力に対して変形可能であり、管体の内部に収容されるケーブル等を外力から保護することができる。
(2)可撓部保護体が、管体の外周側に離間して可撓部に覆設された筒状部と筒状部の一端部に延設され管体の外周面に固定された環状固定部とを有するので、筒状部により可撓部を保護することができ、特に外部止水材の充填前に外力等により可撓部が断裂するのを防止できる。
(3)外部止水材が硬化前に流動性を有するので、可撓部保護体の開口側から容易に充填することができ、管体の外周面及び可撓部保護体の内面に確実に接着させて止水性を確保することができる。
(4)硬化後の外部止水材が伸縮性を有するので、外力による管体の動きに対して確実に追従することができ、可撓部の可撓性を損なうことがなく信頼性に優れる。
【0022】
ここで、管体及び可撓部保護体の材質としては、鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、カーボン鉄鋼等の金属、合成樹脂等が好適に用いられる。管体の断面形状は、円形、楕円形、矩形、多角形或いはこれらを組合せたものなど、どのような形状でも構わない。また、可撓部保護体は管体の断面形状に合わせて一回り大きく形成すればよい。管体と可撓部保護体の環状固定部との固定は、材質に応じて接着、溶着、溶接等の方法を選択することができる。可撓部保護体の一端側が環状固定部により管体に固定され閉塞されているので、環状固定部が下になるように管体を立てた状態で可撓部保護体の開口部から簡便に外部止水材を充填することができ施工性に優れる。尚、外部止水材は前述のものと同様である。
【0023】
可撓部の切れ目部は前述の接合部保護体の切れ目部と同様に形成することができる。可撓部を管体の長手方向の中央等の変位箇所に形成することにより、引張りや曲げの外力に対応して変形することができる。特に切れ目部が、千鳥状に配列されていることにより、引張りの外力により切れ目部が網目状に開いて可撓部を変形させることができる。
尚、可撓部の切れ目部は、管体と一体化された可撓部保護体により覆われているので、外力による変形時に可撓部の切れ目部が開口しても、可撓部保護体の内面に接着された外部止水材で確実に止水することができ、止水の信頼性、耐久性を確保できる。特に、可撓部の切れ目部を可撓部保護体の開口部からできるだけ離した位置(環状固定部側)に形成することで、外部止水材に気泡等による局部的な欠陥や部分的な亀裂等が生じても、破断に至ることがなく、気密性、水密性を維持することができる。
【0024】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の止水構造であって、前記外部止水材が液状ゴムである構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)外部止水材が液状ゴムであることにより充填性に優れ、接合部や可撓部の外部を止水して水密性を確保できると共に、外部止水材の弾性及び伸縮性により引張り、圧縮、曲げ等の変形に対応することができ、接合部や可撓部の可撓性を維持することができる。
(2)外部止水材が液状ゴムであることにより、注入器等を用いて簡便に充填を行うことができる。
【0025】
ここで、液状ゴムとしては室温で空気中の水分と反応してゴム状に硬化する脱アルコール型RTV(室温硬化型)など縮合反応型のものが好適に用いられる。硬化と同時に周囲の材質と接着するシリコーンRTVゴム(例えば、信越シリコーン土木用シーラント70シリーズ)は、止水の信頼性に優れ好ましい。周囲の材質に応じて、適宜、最適なプライマーを選択、塗布することにより、外部止水材と確実に接着することができる。尚、外部止水材や周囲の材質の種類によっては、プライマー処理を行わなくてもよい。また、シリコーンRTVゴムとしては、一液型のものや二液型のものを用いることができる。
外部止水材が十分な伸縮性を有するので、外部止水材と接する箇所全面と接着しても接合部や可撓部の可撓性が低下することがなく、外力に伴う管体の動きや接合部保護体の変形に追従して外部止水材が伸縮でき、止水の信頼性に優れる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明の止水構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)開口部端面で対向配置され接合部外周に接合凹部が形設された二つの管体を、接合凹部に充填された外部止水材で接合して確実に止水することができる簡素な構成で信頼性に優れた止水構造を提供することができる。
(2)二つの管体に固定され接合凹部に覆設された接合部保護体が可撓性を有するので、外力による管体の動きに対して追従することができ、接合部の可撓性を損なうことがなく、また、接合凹部に充填された外部止水材を確実に保護することができる可撓性及び止水の信頼性に優れた止水構造を提供することができる。
(3)硬化前に流動性を有する外部止水材を用いることにより、接合凹部への充填が容易で施工性に優れると共に、接合凹部の内面及び接合部保護体の内周面に外部止水材を確実に接着させて止水性を確保することができる信頼性に優れた止水構造を提供することができる。
(4)硬化後に伸縮性を有する外部止水材を用いることにより、外力による管体の動きに対して確実に追従することができ可撓性に優れ、外部止水材の破断が発生し難く止水の信頼性に優れた止水構造を提供することができる。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)二つの管体の開口部端面同士を当接させるだけで、切り欠き部により簡便に接合部外周に接合凹部を形成することができ、外部止水材を充填して容易かつ確実に接合部を止水することができる止水の信頼性、施工性に優れた止水構造を提供することができる。
(2)接合凹部を形成する一方の管体の切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面と、他方の管体の開口部端面に、接合凹部に充填された外部止水材を確実に接着することができ、伸縮性及び弾性を有する外部止水材により二つの管体を接続することができる可撓性及び止水性に優れた止水構造を提供することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)二つの管体の開口部端面同士を当接させるだけで、切り欠き部により接合部外周に接合凹部を形成することができ、外部止水材を充填して容易かつ確実に接合部を止水することができる止水の信頼性、施工性に優れた止水構造を提供することができる
(2)接合凹部を形成する二つの管体の切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面に、接合凹部に充填された外部止水材を確実に接着することができ、伸縮性及び弾性を有する外部止水材により二つの管体を接続することができる可撓性及び止水性に優れた止水構造を提供することができる
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)一方の管体の少なくとも切り欠き部表面に配設された金属製の切り欠き部形成部材と、他方の管体の開口部端面に配設された金属製の開口部端面形成部材により、切り欠き部表面や開口部端面を保護できると共に、接合凹部における外部止水材との密着性を向上させることができる止水の確実性、耐久性に優れた止水構造を提供することができる
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)二つの管体の少なくとも切り欠き部表面及び切り欠き部端面に配設された金属製の接合凹部形成部材により、切り欠き部表面及び切り欠き部端面を保護できると共に、接合凹部における外部止水材との密着性を向上させることができる止水の確実性、耐久性に優れた止水構造を提供することができる
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)接合部保護体が周方向及び/又は軸方向に断続的に形成された切れ目部を有することにより、引張り、曲げ、ねじり等の外力に対して変形可能で、接合部の可撓性、水密性に優れ、外部止水材や接合部を確実に保護することができる信頼性に優れた止水構造を提供することができる
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)管体自身が周方向に断続的に形成された複数の切れ目部からなる可撓部を有するので、引張り、曲げ、ねじり等の外力に追従して変形可能であり、簡便な構造で管体の内部に収容されるケーブル等を外力から保護することができる信頼性、量産性に優れた止水構造を提供することができる。
(2)可撓部保護体が環状固定部により管体と一体化されると共に、可撓部に覆設された筒状部により可撓部を保護することができ、特に外部止水材の充填前に外力等により可撓部が断裂するのを防止できる信頼性、施工性に優れた止水構造を提供することができる。
(3)硬化前に流動性を有する外部止水材を用いることにより、充填が容易で施工性に優れると共に、管体の外周面及び可撓部保護体の内面に外部止水材を確実に接着させて止水性を確保することができる信頼性に優れた止水構造を提供することができる。
(4)硬化後に伸縮性を有する外部止水材を用いることにより、外力による管体の動きに対して確実に追従することができ可撓性に優れ、外部止水材の破断が発生し難く止水の信頼性に優れた止水構造を提供することができる。
【0033】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)外部止水材が液状ゴムであることにより充填性に優れ、接合部や可撓部の外部を止水して水密性を確保できると共に、外部止水材の弾性及び伸縮性により引張り、圧縮、曲げ等の変形に対応することができ、接合部や可撓部の可撓性を維持することができる信頼性、実用性、耐久性に優れた止水構造を提供することができる。
(2)外部止水材が液状ゴムであることにより、注入器等を用いて簡便に充填を行うことができる施工性、量産性に優れた止水構造を提供することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における止水構造を備えた管体を示す要部破断側面図であり、図2(a)は実施の形態1における止水構造を備えた管体の変形時の側面図であり、図2(b)は図2(a)のA部拡大図であり、図3は実施の形態1における止水構造を備えた管体の変形時の要部断面図である。
図1中、1,2はコンクリートの他、鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、カーボン鉄鋼等の金属、合成樹脂等で形成され実施の形態1における可撓性接合部の止水構造を備えて接合された円形や矩形等の断面を有する管体、1a,2aは管体1,2の開口部端面、1b,2bは管体1,2の外周面、1c,2cは管体1,2の開口部端面1a,2a側の外周に形成された切り欠き部、1d,2dは切り欠き部1c,2cの切り欠き部表面、1e,2eは切り欠き部1c,2cの切り欠き部端面、1f,2fは開口部端面1a,2aで当接した管体1,2の薄肉部、1g,2gは管体1,2の外周面1b,2bに形成された段差状又は接合部保護体4の厚さ分低く形成された被嵌部、3は切り欠き部1c,2cの切り欠き部表面1d,2d及び切り欠き部端面1e,2eにより管体1,2の接合部外周に形設された接合凹部、4は接合凹部3を覆設し二つの管体1,2の被嵌部1g,2gに嵌着固定された鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、カーボン鉄鋼等の金属管製の接合部保護体、4aは接合部保護体4の周方向に千鳥状に断続的に形成され配列された切れ目部、4bは接合部保護体4の切れ目部4aと切れ目部4aの間に形成された接続部、4cは接合部保護体4の一端側で接合凹部3と重なる位置に円周方向に穿設された複数の充填口、5は充填口4cから接合凹部3に充填され接合凹部3の内面である切り欠き部表面1d,2dと切り欠き部端面1e,2e及び接合部保護体4の内周面に接着された伸縮性を有するシリコーンゴム等の外部止水材である。
【0035】
接合凹部3を形成する切り欠き部1c,2cは、管体1,2の成形時に予め形成してもよいし、管体1,2の開口部端面1a,2a側の外周を切削して形成してもよい。
接合部保護体4は半割りにし、管体1,2を両側から挟むようにして固定することができる。段差状の被嵌部1g,2gに嵌着固定することで管体1,2の外周面1b,2bと接合部保護体4の外周面を略面一にすることができ、接合部保護体4の位置ずれが発生せず、確実に固定することができる。
接合部保護体4は、2mm〜12mmの板厚で形成した。板厚が2mmより薄くなるにつれ、剛性、耐摩耗性が低下し外部止水材5の破損が発生し易くなる傾向があり、板厚が12mmより厚くなるにつれ、重量が増えて施工性、加工性に欠けると共に接合部の可撓性が低下し易くなる傾向があることがわかったためである。
【0036】
接合部保護体4の切れ目部4aの形成にはレーザ加工を用いた。切れ目部4aの幅、長さ、ピッチは管体1,2の大きさ、接合部保護体4の板厚、許容する曲げ変形量等を考慮して決定した。尚、切れ目部4aの形状は一直線状のもの以外に、くの字型、レの字型或いはこれらを組合せた形状に形成できる他、これらを所定の角度で傾斜させて配置することができる。
また、接合部保護体4の周方向に断続的に形成した切れ目部4aを接合部保護体4の中心軸の長手方向に複数列配置し、隣接する切れ目部4a同士が周方向にずれた千鳥状に配列した。これにより、図2に示すように外力による変形時に接合部保護体4の引張り側の切れ目部4aが網目状に開いて可撓性を確保できると共に、外部止水材5を保護することができる。
【0037】
図3中、5aは管体1,2の変形時に開口部端面1a,2aの間に発生する隙間である。
接合部保護体4の切れ目部4aは、管体1の薄肉部1fの範囲内でその先端(開口部端面1a側)から離れた位置(切り欠き部端面1e側)に形成した。これにより、管体1,2が引張りや曲げで変形し、開口部端面1a,2aの間に隙間5aが発生しても、切れ目部4aと隙間5aが重なることがない。外部止水材5が接合凹部3の内面及び接合部保護体4の内周面に全面で接着されているので、変形時においても外部止水材5の内周及び外周をそれぞれ切り欠き部表面1d,2d及び接合部保護体4で保護することができ、切れ目部4aや隙間5aの近傍で外部止水材5の一部に亀裂等が生じても、外部止水材5が完全に断裂することがなく、止水性を保つことができる。
【0038】
尚、接合部保護体4は本実施の形態に限定されるものではなく、外部止水材5との接着性に優れると共に、硬化前の外部止水材5の漏れが発生せず、可撓性を有し外部止水材5を保護できるものであればよい。例えば、金属繊維、カーボン繊維、エンジニアリング樹脂繊維で形成された織布やこれらで形成された網体若しくは金属線条物で形成された網状物等にニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどを被着したもの等を好適に用いることができる。金属繊維に使用される金属線及び金属繊維の材質としては鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、黄銅、銅、モネルメタル、ニッケル、ニクロム等がある。また、エンジニアリング樹脂繊維としては、ポリアミドやポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホンなどを用いることができる。
【0039】
外部止水材5としては、硬化前は流動性があり、硬化後は周囲の部材と接着し、高伸縮性、高弾性を有するシリコーン系,ウレタンゴム系,ジエン系等の液状ゴムが好適に用いられる。これにより、充填が容易で生産性に優れると共に、接合部の可撓性、水密性を確保できる。特に、室温で空気中の水分と反応してゴム状に硬化する脱アルコール型RTVなど縮合反応型のものは施工性に優れ、中でも硬化と同時に周囲の材質と接着するシリコーンRTVゴム(例えば、信越シリコーン土木用シーラント701等)は、止水の信頼性に優れ好ましい。周囲の材質に応じて、適宜、最適なプライマーを選択、塗布することにより、外部止水材5と確実に接着することができる。尚、外部止水材5や周囲の材質の種類によっては、プライマー処理を行わなくてもよい。
【0040】
外部止水材5の充填は、接合部保護体4に穿設した充填口4cから行った。複数の充填口4cを設けることにより、外部止水材5の充填状態を確認できると共に、空気を追い出しながら確実に充填することができ、また、充填不足の箇所に追加充填することもでき、信頼性、施工性に優れる。尚、複数の充填口4cを設ける場合、1つの充填口4cから外部止水材5を充填する際に、他の充填口4cからの漏れを防止するために、充填が完了した箇所(下方側)から順次、充填口4cを閉塞することが好ましい。また、本実施の形態では複数の充填口4cを円周方向に設けたが、長手方向に設けてもよい。この場合、管体1,2を立てた状態で充填を行い、充填が完了した下端側の充填口4cから閉塞すればよい。
【0041】
以上のように構成された実施の形態1における止水構造を備えた管体の製造方法について、以下、図面を用いて説明する。
図4(a)は実施の形態1における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図であり、図4(b)は実施の形態1における止水構造の仮接合工程を示す要部断面模式図であり、図4(c)は実施の形態1における止水構造の接合部保護工程及び外部止水材充填工程を示す要部断面模式図である。尚、説明の都合上、図4においては、上下対称な断面の上方のみを示している。
【0042】
まず、プライマー処理工程について説明する。
図4(a)中、6は管体1,2の切り欠き部表面1d,2d及び切り欠き部端面1e,2eに形成されたプライマー処理層である。
プライマー処理層6は、後述する外部止水材充填工程において充填される外部止水材5に接する各部との接着性を向上させるために形成する。管体1,2の材質に応じたプライマー処理剤を刷毛塗り等で塗布することによりプライマー処理層6を形成できる。
尚、プライマー処理工程の前に清掃工程及び脱脂処理工程を行うことにより、さらに接着性を向上させることができる。
【0043】
次に、仮接合工程について説明する。
図4(b)中、7は管体1,2を開口部端面1a,2aの内周側で仮固定する粘着テープや粘着シート等の仮固定部材である。
これにより、管体1,2を一体に取り扱うことができると共に、後述する外部止水材充填工程において充填される外部止水材5の漏れを防止でき、施工性に優れる。
【0044】
次に、接合部保護工程について説明する。
図4(c)中、8は接合部保護体4の内周面に形成されたプライマー処理層である。
このプライマー処理層8が形成された接合部保護体4を管体1,2の被嵌部1g,2gに嵌着固定する。
管体1,2と接合部保護体4との固定方法は、それぞれの材質に応じて適宜、選択することができ、接着、溶着、溶接等の手段が好適に用いられる。
【0045】
次に、外部止水材充填工程について説明する。
図4(c)において、接合部保護体4の充填口4cから接合凹部3に外部止水材5を充填する。外部止水材5の硬化後に仮固定部材7を取り除くことにより、図1(a)で示した止水構造が得られる。
【0046】
次に、実施の形態1における止水構造を備えた管体の変形例について説明する。
図5は実施の形態1における止水構造を備えた管体の変形例を示す要部破断側面図である。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図5中、10,20はそれぞれ二つの管体1,2の切り欠き部表面1d,2d及び切り欠き部端面1e,2eを覆う断面略L字型の金属製の接合凹部形成部材、11,21は接合凹部形成部材10,20の裏面の要所に立設され管体1,2に埋設されたアンカー部である。
【0047】
接合凹部形成部材10,20は、管体1,2がコンクリート製である場合に好適に用いることができる。接合凹部形成部材10,20をそれぞれ型枠内にセットして、コンクリートを投入することにより、接合凹部形成部材10,20に配設したアンカー部11,21を成型される管体1,2に埋設して一体化することができる。
接合凹部形成部材10,20が各々配設された二つの管体1,2の端面同士を突き合わせて仮固定することにより、接合凹部3が形成される。接合凹部3の内部に接合凹部形成部材10,20が配設されている以外は実施の形態1と同様であり、前述と同様の手順で製造することができる。
【0048】
以上のように実施の形態1における可撓性接合部の止水構造によれば、以下の作用を有する。
(1)開口部端面1a,2aで対向配置された二つの管体1,2の接合部外周に接合凹部3が形設されているので、接合凹部3に充填された外部止水材5で二つの管体1,2を接合して確実に止水することができる。
(2)接合凹部3に覆設された可撓性を有する接合部保護体4が、二つの管体1,2に固定されているので、外力による管体1,2の動きに対して接合部保護体4が追従することができ、接合部の可撓性を損なうことがなく、また、接合凹部3に充填された外部止水材5を保護することができる。
(3)外部止水材5が硬化前に流動性を有するので、接合凹部3に容易に充填することができ、接合凹部3の内面及び接合部保護体4の内周面の隅々まで確実に接着して止水性を確保することができる。
(4)硬化後の外部止水材5が伸縮性を有するので、外力による管体1,2の動きに対して確実に追従することができ、接合部の可撓性を損なうことがなく信頼性に優れる。
(5)二つの管体1,2が、各々の開口部端面1a,2a側の外周に形成された切り欠き部1c,2cを有するので、二つの管体1,2の開口部端面1a,2a同士を当接させるだけで、接合部外周に接合凹部3を形成することができ、外部止水材5を充填して容易に止水することができる。
(6)接合凹部3が、二つの管体1,2の切り欠き部1c,2cの切り欠き部表面1d,2d及び切り欠き部端面1e,2eで形成されているので、接合凹部3に充填された外部止水材5を介して二つの管体1,2を接続することができ、接合部を確実に止水することができる。
(7)接合部保護体4が周方向に断続的に形成された切れ目部4aを有することにより、引張り、曲げ、ねじり等の外力に対して変形可能であるので、接合部の可撓性、水密性を損なうことなく外部止水材5や接合部を確実に保護することができる。
(8)外部止水材5が液状ゴムであることにより充填性に優れ、可撓性接合部の外部を止水して水密性を確保できると共に、外部止水材5の弾性及び伸縮性により引張り、圧縮、曲げ等の変形に対応することができ、接合部の可撓性を維持することができる。
(9)外部止水材5が液状ゴムであることにより、注入器等を用いて簡便に充填を行うことができる。
(10)二つの管体1,2がコンクリート製で切り欠き部表面1d,2d及び切り欠き部端面1e,2eに配設された金属製の接合凹部形成部材10,20を有する場合、切り欠き部表面1d,2d及び切り欠き部端面1e,2eを保護できると共に、接合凹部3における外部止水材5との密着性を向上させることができ、止水の確実性に優れる。
【0049】
(実施の形態2)
図6(a)は実施の形態2における止水構造を備えた管体を示す要部断面図であり、図6(b)は実施の形態2における止水構造を備えた管体の変形時の要部断面図である。
尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図6中、3aは一方の管体2の切り欠き部2cにより形設された接合凹部、4dは接合部保護体4の両端部の内周に沿って配設されコンクリート製の管体1,2に埋設固定されたアンカー筋、4eは接合部保護体4の内周の要所に固設され他方の管体1の開口部端面1aに配設された金属製の開口部端面形成部材10aと溶接やねじ止め等により固定された略L字型の止め金具、11は開口部端面形成部材10aの裏面の要所に立設され管体1に埋設されたアンカー部、20aは管体2の切り欠き部表面2dに配設された金属製の切り欠き部形成部材、21aは切り欠き部形成部材20の両端部の内周に沿って配設され管体2に埋設固定されたアンカー筋である。
【0050】
図6において、実施の形態2における止水構造が実施の形態1と異なるのは、管体1に切り欠き部1cが形成されず開口部端面1aに開口部端面形成部材10aが配設されている点と、管体2に形成された切り欠き部2cの切り欠き部表面2dに切り欠き部形成部材20aが配設されている点と、接合部保護体4がアンカー筋4dにより管体1,2に埋設固定されると共に、止め金具4eにより開口部端面形成部材10aに固定されている点である。
尚、図6においては、上下対称な断面の上方のみを示しているが、開口部端面形成部材10aは管体1の開口部端面1aを覆うように環状に形成され、切り欠き部形成部材20aは管体2の切り欠き部表面2dを覆うように筒状に形成されている。
図6(b)に示すように、接合部保護体4の切れ目部4aは、管体2の切り欠き部形成部材20aの範囲内でその先端(開口部端面3a側)から離れた位置(切り欠き部端面2e側)に設けた。これにより、管体1,2が引張りや曲げで変形し、開口部端面1a,2aの間に隙間5aが発生しても、切れ目部4aと隙間5aが重なることがないので、切れ目部4aや隙間5aの近傍で外部止水材5の一部に亀裂等が生じても、外部止水材5が完全に断裂することがなく、実施の形態1と同様の良好な変形状態を得ることができ、止水の信頼性に優れる。
【0051】
以上のように構成された実施の形態2における止水構造を備えた管体の製造方法について、以下、図面を用いて説明する。
図7(a)は実施の形態2における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図であり、図7(b)は実施の形態2における止水構造の仮接合工程を示す要部断面模式図であり、図7(c)は実施の形態2における止水構造の接合部保護工程を示す要部断面模式図であり、図7(d)は実施の形態2における止水構造の外部止水材充填工程を示す要部断面模式図である。
【0052】
まず、プライマー処理工程について説明する。
図7(a)において、プライマー処理層6は、開口部端面形成部材10a及び切り欠き部形成部材20aの表面で、外部止水材5に接する部分に形成する。
尚、プライマー処理剤の形成方法は実施の形態1と同様なので説明を省略する。
【0053】
次に、仮接合工程について説明する。
図7(b)中、7aは開口部端面形成部材10aと切り欠き部形成部材20aの端部を切り欠き部形成部材20aの内周側で仮固定し、後述する外部止水材充填工程において充填される外部止水材5の漏れを防止する仮固定部材である。
尚、仮固定部材の材質、固定方法については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。
【0054】
次に、接合部保護工程について説明する。
図7(c)中、22は接合部保護体4の内周面と切り欠き部形成部材20aの外周との間に形成される略円筒状の接合凹部3aの開口部である。
図7(c)において、予め内周の要所に溶接等により止め金具4eが固定された接合部保護体4を開口部端面形成部材10a及び切り欠き部形成部材20aの外周に配設し、止め金具4eを開口部端面形成部材10aの裏面に溶接やビス止め等により固定する。また、接合部保護体4の内周で外部止水材5と接着する部分には実施の形態1と同様にプライマー処理層8を形成した。
尚、開口部22には、周上の要所に楔型の間隔調整コマ(図示せず)を配設することが好ましい。間隔調整コマを配設することで、接合部保護体4の内周面と切り欠き部形成部材20aの外周との間に形成される接合凹部3aの高さを全周に渡ってほぼ一定に保つことができる。この結果、後工程の外部止水材充填工程における外部止水材5の充填性を向上させ、外部止水材5の仕上り厚さを均一にできる。
【0055】
次に、外部止水材充填工程について説明する。
図7(d)において、接合部保護体4の内周面と切り欠き部形成部材20aの外周との間に開口部22から外部止水材5を充填する。
このとき、開口部端面形成部材10aが下になるように縦置きして充填作業をすることにより、斑なく確実に外部止水材5を充填できる。外部止水材5の硬化後、仮固定部材7aは取り除く。
【0056】
次に、コンクリート打設工程について説明する。
外部止水材5を介して一体化された接合部保護体4、開口部端面形成部材10及び切り欠き部形成部材20(図7(d)参照)を遠心成形用の型枠内にセットしてコンクリートを投入しながら遠心成形をする。
遠心成形により接合部保護体4のアンカー筋4d、開口部端面形成部材10aのアンカー部11、切り欠き部形成部材20aのアンカー筋21aを管体1,2に埋設させて図6(a)に示した止水構造を備えた管体を得ることができる。尚、管体2の薄肉部2fの先端である開口部端面2aのコンクリートが管体1の開口部端面形成部材10aに張り付くのを防止するため、開口部端面形成部材10aの表面に剥離材を塗布しておく。
【0057】
以上のように実施の形態2における止水構造によれば、実施の形態1で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)二つの管体1,2の内の一方の管体2が、開口部端面2a側の外周に形成された切り欠き部2cを有するので、一方の管体2の開口部端面2aを他方の管体1の開口部端面1aに配設された開口部端面形成部材10aに当接させるだけで、接合部外周に接合凹部3aを形成することができ、外部止水材5を充填して容易に止水することができる。
(2)接合凹部3aが、一方の管体2の切り欠き部2cの切り欠き部表面2d及び切り欠き部端面2eと、他方の管体1の開口部端面1aに配設された開口部端面形成部材10aで形成されているので、接合凹部3aに充填された外部止水材5を介して二つの管体1,2を接続することができ、接合部を確実に止水することができる。
(3)一方の管体2の切り欠き部表面2dに配設された金属製の切り欠き部形成部材20aと、他方の管体1の開口部端面1aに配設された金属製の開口部端面形成部材10aを有するので、切り欠き部表面2dや開口部端面1aを保護できると共に、接合凹部3aにおける外部止水材5との密着性を向上させることができ、止水の確実性に優れる。
【0058】
(実施の形態3)
図8(a)は実施の形態3における止水構造を備えた管体を示す要部断面図であり、図8(b)は実施の形態3における止水構造を備えた管体の変形時の要部断面図である。
尚、実施の形態1及び2と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図8において、実施の形態3における止水構造を備えた管体が実施の形態2と異なるのは、切り欠き部形成部材20aの切り欠き部端面2e側で管体2に埋設された固定用埋設部21aを備えている点と、切り欠き部形成部材20aが開口部端面2aに覆設され開口部端面形成部材10aに当接した環状の端部保護板20cを備えている点と、アンカー筋20aの代わりに端部保護板20cの裏面の要所に立設され管体2に埋設されたアンカー部21bを備えている点である。
【0059】
固定用埋設部21aは切り欠き部形成部材20aの周方向に断続的に設けることが好ましい。これにより、固定用埋設部21aと管体2のコンクリートが互い違いに噛合うようにして固定され、固定の安定性に優れる。特に固定用埋設部21aを略逆台形状に形成した場合、アンカー効果に優れ、切り欠き部形成部材20aが水平方向に抜け難く、信頼性に優れる。
端部保護板20bは切り欠き部形成部材20aの内周側で薄肉部2fの開口部端面2aに当接するように環状に形成した。尚、端部保護板20bの高さは、成形する管体2の肉厚に応じて適宜、選択することができる。
また、端部保護板20bの裏面の要所にアンカー部21bを立設することにより、切り欠き部形成部材20aと管体2とを確実に固定した。
【0060】
以上のように構成された実施の形態3における止水構造を備えた管体の製造方法について、以下、図面を用いて説明する。
図9(a)は実施の形態3における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図であり、図9(b)は実施の形態3における止水構造の仮接合工程を示す要部断面模式図であり、図9(c)は実施の形態3における止水構造の接合部保護工程を示す要部断面模式図であり、図9(d)は実施の形態3における止水構造の外部止水材充填工程を示す要部断面模式図である。
【0061】
まず、図9(a)において、実施の形態2と同様にプライマー処理工程を行い、図9(b)において、仮接合工程を行う。
図9(b)中、7bは開口部端面形成部材10aと切り欠き部形成部材20aの端部保護板20bの内周側を仮固定し、後述する外部止水材充填工程において充填される外部止水材5の漏れを防止する仮固定部材である。
尚、仮固定部材の材質、固定方法については、実施の形態2と同様なので説明を省略する。
次に、図9(c)における接合部保護工程及び図9(d)における外部止水材充填工程を行う。この接合部保護工程及び外部止水材充填工程は実施の形態2と同様なので、説明を省略する。
最後に、実施の形態2と同様にコンクリート打設工程を行う。遠心成形により接合部保護体4のアンカー筋4d、開口部端面形成部材10aのアンカー部11、切り欠き部形成部材20aの固定用埋設部21a及びアンカー部21bを管体1,2に埋設させて図8(a)に示した止水構造を備えた管体を得ることができる。
【0062】
以上のように実施の形態3における止水構造によれば、実施の形態1又は2で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)切り欠き部形成部材20aの内周側で薄肉部2fの開口部端面2aに覆設した端部保護板20bを有することにより、管体2の薄肉部2fの先端である開口部端面2aが直接、他方の管体1の開口部端面1aに配設された開口部端面形成部材10aに当接するのを防止でき、変形時等に薄肉部2fが破損するのを防止でき、信頼性に優れる。
(2)外部止水材5を介して一体化された接合部保護体4と開口部端面形成部材10a及び切り欠き部形成部材20aを型枠内にセットしてコンクリートを投入する際に、開口部端面形成部材10aの表面に端部保護板20bが当接するので、成形時に薄肉部2fの先端(開口部端面2a)が、開口部端面形成部材10aに張り付くのを防止でき、剥離剤を塗布する必要がなく生産性に優れる。
【0063】
(実施の形態4)
図10(a)は実施の形態4における止水構造を備えた管体を示す要部断面図であり、図10(b)は実施の形態4における止水構造を備えた管体の引張り変形時の要部断面図であり、図10(c)は実施の形態4における止水構造を備えた管体の曲げ変形時の要部断面図である。
尚、実施の形態1乃至3と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図10において、実施の形態4における止水構造を備えた管体が実施の形態1乃至3と異なるのは、1つの管体1’が長手方向の途中に周方向に千鳥状に断続的に形成された複数の切れ目部14aを有する可撓部14を備えている点と、筒状部24aと筒状部24aの一端部に延設され管体1’の外周面に固定された環状固定部24bとを有する可撓部保護体24が可撓部14に覆設され管体1’の外周面と可撓部保護体24の内面との間に外部止水材5が充填されている点である。尚、14bは可撓部14の接続部であり、24cは可撓部保護体24の開口部である。
管体1’及び接合部保護体24の材質としては、鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、カーボン鉄鋼等の金属、合成樹脂等を用いることができる。特に軽量で加工が容易な合成樹脂製のものは取扱い性、施工性に優れ、推進施工が不要なケーブル配管等として好適に用いることができる。
【0064】
可撓部14の切れ目部14aは前述の接合部保護体4の切れ目部4aと同様に形成することができる。可撓部14を管体1’の長手方向の中央等の変位箇所に形成することにより、引張りや曲げの外力に対応して変形することができる。特に切れ目部14aが、千鳥状に配列されていることにより、図10(b),図10(c)に示すように引張りや曲げの外力により切れ目部14aが網目状に開いて可撓部14を変形させることができる。また、可撓部保護体24の一端側のみが環状固定部24bにより管体1’に固定されているので、管体1’の変形時に可撓部保護体24の制約を受けることがなく、外部止水材5が伸縮して可撓性を保つことができる。
尚、可撓部14の切れ目部14aは、管体1’と一体化された可撓部保護体24により覆われているので、外力による変形時に可撓部14の切れ目部14aが開口しても、可撓部保護体24の内面に接着された外部止水材5で確実に止水することができ、止水の信頼性、耐久性を確保できる。特に、可撓部14の切れ目部14aを可撓部保護体24の開口部24cからできるだけ離した位置(環状固定部24b側)に形成することで、外部止水材5に気泡等による局部的な欠陥や部分的な亀裂等が生じても、破断に至ることがなく、気密性、水密性を維持することができ信頼性に優れる。
【0065】
以上のように構成された実施の形態4における止水構造を備えた管体の製造方法について、以下、図面を用いて説明する。
図11(a)は実施の形態4における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図であり、図11(b)は実施の形態4における止水構造の可撓部保護工程を示す要部断面模式図である。
まず、図11(a)において、実施の形態1乃至3と同様のプライマー処理工程により、管体1’の可撓部14の外周にプライマー処理層を形成する。
次に、図11(b)において、可撓部保護工程により、管体1’の可撓部14の外周に可撓部保護体24を固定する。管体1’と可撓部保護体24の環状固定部24bとの固定は、材質に応じて接着、溶着、溶接等の方法を選択することができる。
尚、可撓部保護体24の内周で外部止水材5と接着する部分には実施の形態1乃至3と同様にプライマー処理層8を形成した。
最後に、外部止水材充填工程を行う。可撓部保護体24の一端側が環状固定部24bにより管体1’に固定され閉塞されているので、環状固定部24bが下になるように管体1’を立てた状態で可撓部保護体24の開口部24cから外部止水材5を充填することにより、図10(a)に示した止水構造を備えた管体を得ることができる。
【0066】
以上のように実施の形態4における止水構造によれば、実施の形態1乃至3の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)管体1’の可撓部14が、周方向に千鳥状に断続的に形成された複数の切れ目部14aを有するので、引張り、曲げ、ねじり等の外力に対して変形可能であり、管体1’の内部に収容されるケーブル等を外力から保護することができる。
(2)可撓部保護体24が、管体1’の外周側に離間して可撓部14に覆設された筒状部24aと筒状部24aの一端部に延設され管体1’の外周面に固定された環状固定部24bとを有するので、筒状部24aにより可撓部14を保護することができ、特に外部止水材5の充填前に外力等により可撓部14が断裂するのを防止できる。
(3)外部止水材5が硬化前に流動性を有するので、可撓部保護体24の開口部24cから容易に充填することができ、管体1’の外周面及び可撓部保護体24の内面に確実に接着させて止水性を確保することができる。
(4)硬化後の外部止水材5が伸縮性を有するので、外力による管体1’の動きに対して確実に追従することができ、可撓部14の可撓性を損なうことがなく信頼性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、各種埋設管や構造物の端部に形成される接合部や途中に形成される可撓部の可撓性を損なうことなく簡便かつ確実に高い気密性、水密性を確保することができ信頼性に優れ、止水材と金属等の他の材料との選択的な接着が可能で設計の自在性、汎用性に優れ、施工が容易で量産性に優れた止水構造を提供することを目的とし、下水道、排水路等の埋設管として使用されるヒューム管を始め、地中や海底等に埋設されるパイプラインやケーブル配管等の埋設管やトンネル、ボックスカルバート等の構造物などに好適に適用でき、埋設後の土圧や水圧に耐え、かつ、地震時などの土中の変形に柔軟に対応して端部の接合部や長手方向の途中に形成される可撓部の欠損や亀裂を防止し、気密性、水密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態1における止水構造を備えた管体を示す要部破断側面図
【図2】(a)実施の形態1における止水構造を備えた管体の変形時の側面図(b)図2(a)のA部拡大図
【図3】実施の形態1における止水構造を備えた管体の変形時の要部断面図
【図4】(a)実施の形態1における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図(b)実施の形態1における止水構造の仮接合工程を示す要部断面模式図(c)実施の形態1における止水構造の接合部保護工程及び外部止水材充填工程を示す要部断面模式図
【図5】実施の形態1における止水構造を備えた管体の変形例を示す要部破断側面図
【図6】(a)実施の形態2における止水構造を備えた管体を示す要部断面図(b)実施の形態2における止水構造を備えた管体の変形時の要部断面図
【図7】(a)実施の形態2における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図(b)実施の形態2における止水構造の仮接合工程を示す要部断面模式図(c)実施の形態2における止水構造の接合部保護工程を示す要部断面模式図(d)実施の形態2における止水構造の外部止水材充填工程を示す要部断面模式図
【図8】実施の形態3における止水構造を備えた管体を示す要部断面図(b)実施の形態3における止水構造を備えた管体の変形時の要部断面図
【図9】(a)実施の形態3における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図(b)実施の形態3における止水構造の仮接合工程を示す要部断面模式図(c)実施の形態3における止水構造の接合部保護工程を示す要部断面模式図(d)実施の形態3における止水構造の外部止水材充填工程を示す要部断面模式図
【図10】(a)実施の形態4における止水構造を備えた管体を示す要部断面図(b)実施の形態4における止水構造を備えた管体の引張り変形時の要部断面図(c)実施の形態4における止水構造を備えた管体の曲げ変形時の要部断面図
【図11】(a)実施の形態4における止水構造のプライマー処理工程を示す要部断面模式図(b)実施の形態4における止水構造の可撓部保護工程を示す要部断面模式図
【符号の説明】
【0069】
1,1’,2 管体
1a,2a 開口部端面
1b,2b 外周面
1c,2c 切り欠き部
1d,2d 切り欠き部表面
1e,2e 切り欠き部端面
1f,2f 薄肉部
1g,2g 被嵌部
3,3a 接合凹部
4 接合部保護体
4a,14a 切れ目部
4b,14b 接続部
4c 充填口
4d,21a アンカー筋
4e 止め金具
5 外部止水材
5a 隙間
6,8 プライマー処理層
7,7a,7b 仮固定部材
10,20 接合凹部形成部材
10a 開口部端面形成部材
11,21,21b アンカー部
14 可撓部
20a 切り欠き部形成部材
20b 端部保護板
21a 固定用埋設部
22,24c 開口部
24 可撓部保護体
24a 筒状部
24b 環状固定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部端面で対向配置された二つの管体と、前記二つの管体の接合部外周に形設された接合凹部と、前記接合凹部に覆設され前記二つの管体に固定された可撓性を有する接合部保護体と、硬化前に流動性を有し前記接合凹部に充填され前記接合凹部の内面及び前記接合部保護体の内周面に接着された伸縮性を有する外部止水材と、を備えていることを特徴とする止水構造。
【請求項2】
前記二つの管体の内の一方の管体が、前記開口部端面側の外周に形成された切り欠き部を有し、前記接合凹部が、前記一方の管体の前記切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面と、前記二つの管体の内の他方の管体の前記開口部端面と、で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の止水構造。
【請求項3】
前記二つの管体が、各々の前記開口部端面側の外周に形成された切り欠き部を有し、前記接合凹部が、前記二つの管体の前記切り欠き部の切り欠き部表面及び切り欠き部端面と、で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の止水構造。
【請求項4】
前記二つの管体が、コンクリートで形成され、前記一方の管体の少なくとも前記切り欠き部表面に配設された金属製の切り欠き部形成部材と、前記他方の管体の前記開口部端面に配設された金属製の開口部端面形成部材と、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の止水構造。
【請求項5】
前記二つの管体が、コンクリートで形成され、前記二つの管体の少なくとも前記切り欠き部表面及び前記切り欠き部端面に配設された金属製の接合凹部形成部材を備えていることを特徴とする請求項3に記載の止水構造。
【請求項6】
前記接合部保護体が、周方向及び/又は軸方向に断続的に形成された切れ目部を有することを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の止水構造。
【請求項7】
管体と、前記管体の周方向に千鳥状に断続的に形成された複数の切れ目部を有する可撓部と、前記管体の外周側に離間して前記可撓部に覆設された筒状部と前記筒状部の一端部に延設され前記管体の外周面に固定された環状固定部とを有する可撓部保護体と、硬化前に流動性を有し前記管体と前記可撓部保護体との間に充填され前記管体の外周面及び前記可撓部保護体の内面に接着された伸縮性を有する外部止水材と、を備えていることを特徴とする止水構造。
【請求項8】
前記外部止水材が液状ゴムであることを特徴とする請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の止水構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−70896(P2007−70896A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259253(P2005−259253)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)
【出願人】(500038662)麻生商事株式会社 (11)
【Fターム(参考)】