説明

正浸透分離方法

工学的浸透を使用する分離方法が開示され、一般に、第2濃厚溶液を使用して第1溶液から半透膜を通過する溶媒を引き出すことによる、溶質を濃縮するための第1溶液からの溶媒の抽出に関与する。産業的又は商業的源由来の低位廃熱を使用することにより効率が増進し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1つ以上の態様は一般に浸透分離に関する。特に、本発明の1つ以上の態様は、水溶液から溶質を分離するために工学的浸透方法(例えば、正浸透)を使用する。
【背景技術】
【0002】
正浸透は脱塩・淡水化のために使用されている。一般に、正浸透脱塩法では半透膜により分離された2つのチャンバーを有する容器を使用する。1つのチャンバーは海水を含有する。もう一方のチャンバーは濃厚溶液を含有し、海水と濃厚溶液との間に濃度勾配が生じる。この勾配により、選択的に水を通すが塩は通さない膜を横切って水が海水から濃厚溶液へと引き出される。濃厚溶液に入る水は徐々に溶液を希薄化する。その後、溶質が希薄溶液から除去されて飲料水が生成する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様は、一般に、正浸透分離、直接浸透濃縮、圧力支援(pressure assisted)正浸透及び圧力遅延浸透(pressure retarded osmosis)等の工学的浸透システム及び方法に関する。
【0004】
1つ以上の実施形態によると、正浸透分離方法は、半透膜の第1の側に第1溶液を導入すること、第1溶液の少なくとも1つの特性を検出すること、アンモニア及び二酸化炭素を含む濃厚引出(draw)溶液について、少なくとも1つの検出された特性に基づいてモル比を選択すること、アンモニア及び二酸化炭素を選択されたモル比で含む濃厚引出溶液を半透膜の第2の側に導入して、半透膜を横切る所望の浸透濃度勾配を維持すること、半透膜を横切る少なくとも一部の第1溶液の流れを促進して、半透膜の第1の側に第2溶液を、そして半透膜の第2の側に希薄引出溶液を形成すること、少なくとも一部の希薄引出溶液を分離操作に導入して、引出溶質(draw solute)及び溶媒流を回収すること、半透膜の第2の側に引出溶質を再導入して濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素の選択されたモル比を維持すること、及び溶媒流を収集することを含み得る。
【0005】
いくつかの実施形態において、分離操作は、引出溶質を濃厚引出溶液中に濃縮するように構成された吸収体を使用することを含む。溶媒流、希薄引出溶液又は濃厚引出溶液を吸収体の吸収剤として使用し得る。吸収体と共に冷却を使用してもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、さらに、希薄引出溶液から引出溶質を分離した結果得られるガス流を、ガス圧縮機又はスチームエダクターを用いて圧縮して、濃厚引出溶液による引出溶質の再吸収を促進することを含み得る。本方法は、さらに、第1溶液に圧力をかけて、半透膜を通過して濃厚引出溶液へ入る流れの流束を増大させるか、又は引き起し得る。本方法は、さらに、引出溶質の溶液からの除去若しくは溶液への導入が触媒の使用により増進される能力により特徴付けられる、引出溶質の溶液からの除去若しくは溶液への導入が再利用可能な物理的作用物質若しくは化学的薬剤により増進される能力により特徴付けられる、又は引出溶質の溶液からの除去又は溶液への導入が電気的エネルギー場、磁気エネルギー場、若しくは分離に対する引出溶質の感受性が増大して引出溶質の除去及び再利用が増進されるような他の環境変化により増進される能力により特徴付けられる引出溶質を含む濃厚引出溶液を選択することを含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、本方法は、さらに、第1溶液及び濃厚引出溶液の少なくとも1つの体積変化を検出すること、及び検出された変化に応じて半透膜の流路を変更して所望の流れ特性を維持することを含み得る。他の実施形態において、本方法は、さらに、触媒、試薬、消費可能なもの(consumable)、再利用可能なもの、電気的エネルギー場若しくは磁気エネルギー場を使用して引出溶質の除去又は吸収を増進することを含み得る。さらに他の実施形態において、本方法は、さらに、機械的蒸気再圧縮、熱蒸気再圧縮、真空蒸留、スイープガス蒸留、パーベーパレーション及び密閉サイクル熱ポンプの少なくとも1つを使用することによりプロセスエネルギーを減少させることを含み得る。本方法は、さらに、圧力遅延浸透について、二酸化炭素を使用して引出溶質を沈殿させ、アンモニアを使用して沈殿物を再吸収させることを含み得る。本方法は、さらに、種を添加された(seeded)スラリーを第1溶液に導入することを含み得る。少なくとも1つの実施形態において、本方法は、さらに、第1操作中に第1溶液における塩の過飽和及び、再飽和のために第1操作に戻る前に第2操作中における塩の脱飽和を使用することを含み得る。
【0007】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液から溶媒を浸透抽出するための装置は、第1溶液源に流体接続された入口を有する第1チャンバー、アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1のモル比で含む濃厚引出溶液源に流体接続された入口を有する第2チャンバー、第1チャンバーを第2チャンバーから分離している半透膜システム、第2チャンバーの下流に流体接続され、蒸留カラムを含み、希薄引出溶液を第2チャンバーから受け取り、引出溶質及び溶媒流を回収するように構成された分離システム、及び、引出溶質を第2チャンバーに再導入して濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素のモル比を維持し易くするように構成され、吸収体を含むリサイクルシステムを含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、吸収体は充填カラムを含み得る。少なくとも1つの実施形態において、吸収体は膜接触器を含む。膜接触器は、膜接触器において、冷却された吸収剤の並列流及び引出溶質ガスの直列流を容易にするように構成・配置され得る。いくつかの実施形態において、蒸留カラムは膜蒸留装置を含み得る。いくつかの実施形態において、リサイクルシステムは、さらに、吸収体の下流に圧縮操作を含んでいて、引出溶質ガスの濃縮を増進し得る。少なくとも1つの実施形態において、圧縮操作はガス圧縮機、スチームエダクター又は液体流エダクターを含む。分離操作は、さらに、炭素隔離(sequestration)ループを含んでいて、引出溶質を吸収・脱着し得、該炭素隔離ループは引出溶質ガスの吸収を完結させ、その圧力を増加させてその濃厚引出溶液への吸収を促進するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態において、半透膜システムは、第1溶液に浸漬した膜モジュールを含み得、ここで濃厚引出溶液は膜モジュールの内部を通って流れる。少なくとも1つの実施形態において、半透膜システムは、第1溶液(ここから溶媒が抽出される)に関連する第1流路であって、先細りの(tapering)の形状又は第1流路の有効体積が第1流路の長さに伴って減少するようなフロースペーサーの形状を有する第1流路と、濃厚引出溶液(第1溶液から抽出された溶媒が入る)に関連する第2流路であって、第2流路は拡大(expanding)形状又は第2流路の有効体積が第2流路の長さに伴って増加するようなフロースペーサーの形状を有する第2流路とを含む。いくつかの実施形態において、半透膜システムは、ピラミッド状の膜モジュールの配置を含んでいて、第1溶液の体積の減少及び濃厚引出溶液の体積の増加を受け入れ、向流(counterflow)配置において、引出溶液入口及び供給溶液出口の向きにはより少ない膜モジュールが存在し、膜モジュール供給溶液入口及び引出溶液出口の向きにはより多くの膜モジュールが存在するように配置・構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態において、システムは、さらに、下流のゼロ液体排出又はその他減少した排出流操作を含み得る。システムは、さらに、引出溶質を取り去るのを補助するように構成される真空又は空気ストリッピングシステムを含み得る。システムは、さらに、引出溶質を取り去るように構成されるパーベーパレーションシステムを含み得る。いくつかの実施形態において、パーベーパレーションシステムは水蒸気と比較して引出溶質ガスに対して選択的である膜を含み得る。システムは、さらに、引出溶質を取り去るための膜蒸留システムを含み得る。少なくともいくつかの実施形態において、モジュールにおいて、膜は引出溶質の分離及び熱交換の両方に使用され得る。
【0011】
1つ以上の実施形態によると、浸透発電のための方法は、膜分離操作を実施して第1溶液を形成すること、引出溶質を第1溶液から沈殿させること、沈殿した引出溶質を分離して第2溶液を形成すること、第2溶液からのガスの発生を促進すること、速度論に基づいた異なる吸収等の技術によりガスを分離すること、及び、膜分離操作における再利用のために、少なくとも1種の分離されたガスを使用して沈殿した溶質を再溶解して第3溶液を形成することを含み得る。
【0012】
さらに他の態様、実施形態、およびこれらの代表的な態様および実施形態の利点については、以下に詳細に述べる。なお、前述の情報および以下の詳細な説明のいずれも、様々な態様および実施形態の単なる説明に役立つ実例にすぎず、特許請求の範囲に記載された態様および実施形態の性質、特性を理解するための概観または枠組みを提供することを意図していることを理解するべきである。添付図面は、説明や様々な態様および実施形態のさらなる理解の提供のために含められ、かつ本明細書に組み込まれその一部を構成する。本図面は、本明細書の他の部分とともに、説明されかつ特許請求の範囲に記載された態様や実施形態の原理と動作を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
少なくとも1つの実施形態の様々な態様が、添付図面を参照して以下に述べられる。図は一定の縮尺で示したものではなく、図において、様々な図に示される同一またはほぼ同一の部分は同様の数字により表される。明確にするために、全ての部分が全ての図に表示されてはいない。図面は、例示および説明を目的として提供され、本発明の限定を意図するものではない。
【図1】図1は1つ以上の実施形態による分離方法の概略図を示す。
【図2】図2は1つ以上の実施形態による分離方法の詳細な図を示す。
【図3】図3は1つ以上の実施形態による分離方法に使用される装置の図を示す。
【図4】図4は1つ以上の実施形態による分離方法に使用される装置の概略図を示す。
【図5】図5は1つ以上の実施形態による分離装置の一部の概略図を示す。
【図6】図6は1つ以上の実施形態による分離装置の一部の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1つ以上の実施形態によると、溶液から溶媒を抽出するための浸透方法は、一般に、正浸透膜の第1表面に溶液をさらすことを含み得る。いくつかの実施形態において、第1溶液(処理又は供給溶液といわれる)は海水、汽水、廃水、汚染水、処理流(プロセス流)又は他の水溶液であり得る。少なくとも1つの実施形態において、溶媒は水であるが、他の実施形態は非水性溶媒に関する。第1溶液と比較して溶質の濃度が高い第2溶液(引出溶液といわれる)は、正浸透膜の反対側の第2の表面にさらされ得る。その後、溶媒(例えば水)は、正浸透により、第1溶液から正浸透膜を通過して第2溶液へと引き出され、溶媒濃厚溶液を生成し得る。正浸透は、一般に、より濃厚でない溶液からより濃厚な溶液への溶媒の移動に関する流体移動性を利用する。浸透圧は、一般に、供給溶液から引出溶液への正浸透膜を通過する溶媒の移動を促進する。溶媒濃厚溶液(希薄引出溶液ともいわれる)は、第1出口で回収され得、別の分離過程に付され得る。いくつかの非限定的実施形態において、精製水が溶媒濃厚溶液からの産物として製造され得る。第2の産物の流れ(すなわち、消耗した(depleted)又は濃厚処理溶液)は、排出又は別の処理のために第2出口で回収され得る。濃厚処理溶液は、下流における使用のために濃縮又は単離することが望ましいことがあり得る1種以上の目的化合物を含有し得る。
【0015】
1つ以上の実施形態によると、正浸透分離システムは1つ以上の正浸透膜を含み得る。一般に、正浸透膜は半透性であり得、例えば、溶媒(例えば、水)を通過させるが、その中に溶解した溶質(例えば、塩化ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、その他の塩、糖、薬剤又は他の化合物)を排除する。水(すなわち、溶媒)の通過を許容することができるが、溶質の通過を阻止することができ、溶液中の溶質と反応しないという条件で、多くの種類の半透膜がこの目的に好適である。膜は薄膜、中空糸膜、スパイラル型膜、モノフィラメント及びディスクチューブ等の種々の形状であり得る。水を通すことができるが、溶質分子(例えば、塩化ナトリウム及びそのイオン性分子種(例えば、塩化物)を排除できる十分に小さい孔を有することで特徴付けられる多数の良く知られた市販の半透膜が存在する。かかる半透膜は有機又は無機材料で製造され得る。いくつかの実施形態において、セルロースアセテート、セルロースニトレート、ポリスルホン、ポリビニリデンフルオリド、ポリアミド及びアクリロニトリルコポリマー等の材料で製造された膜が使用され得る。他の膜はZrO及びTiO等の材料で製造される鉱物膜またはセラミック膜であり得る。
【0016】
好ましくは、半透膜としての使用のために選択される材料は、一般に、膜が受け得る様々なプロセス処理条件に耐え得るべきである。例えば、膜は殺菌又は他の高温過程に関連する高温に耐え得ることが望ましいことがある。いくつかの実施形態において、正浸透膜モジュールは摂氏約0度〜摂氏約100度の範囲の温度で作動し得る。いくつかの非限定的実施形態において、処理温度は摂氏約40度〜摂氏約50度の範囲であり得る。同様に、膜は、様々なpH条件下で完全性を維持するのが望ましいことがある。例えば、膜周囲の1種以上の溶液(例えば引出溶液)は、多かれ少なかれ酸性又は塩基性であり得る。いくつかの非限定的実施形態において、正浸透膜モジュールは約2〜約11のpHで作動し得る。特定の非限定的実施形態において、pHは約7〜約10であり得る。使用される膜はこれらの材料の1つから製造される必要はなく、種々の材料の複合物であり得る。少なくとも1つの実施形態において、膜は、例えば、活性層を第1表面に有し、支持層を第2表面に有するような非対称膜であり得る。いくつかの実施形態において、一般に、活性層は排斥層であり得る。例えば、いくつかの非限定的実施形態において、排斥層は塩の通過を阻止し得る。いくつかの実施形態において、一般に、支持層(例えば、バッキング層)は不活性であり得る。
【0017】
1つ以上の実施形態によると、少なくとも1つの正浸透膜はハウジング又はケーシングの中に置かれ得る。一般に、ハウジングはその中に置かれる膜に対応する大きさ及び形状であり得る。例えば、スパイラル型の正浸透膜を収納する場合、ハウジングは実質的に円筒状であり得る。モジュールのハウジングは、供給及び引出溶液をモジュールに提供するための入口、並びにモジュールからの産物流の引出のための出口を含有し得る。いくつかの実施形態において、ハウジングはモジュールに導入されるべき、又は、モジュールから引出されるべき流体を保持する又は貯蔵するための少なくとも1つのリザーバ又はチャンバーを提供し得る。少なくとも1つの実施形態において、ハウジングは孤立し得る。
【0018】
1つ以上の実施形態によると、正浸透分離システムは、一般に、第1及び第2溶液が半透膜の第1の側及び第2の側とそれぞれ接触するように、構成され得、配置され得る。第1及び第2溶液は停滞したままであり得るが、第1及び第2溶液の両方がクロスフローにより導入される、すなわち半透膜の表面に対して平行に流れることが好ましい。このことは、一般に、1つ以上の流体の流路に沿って接触する膜表面積を増加させ得、それによって、正浸透の効率を増大させる。いくつかの実施形態において、第1及び第2溶液は同一方向に流れ得る。他の実施形態において、第1及び第2溶液は反対方向に流れ得る。少なくともいくつかの実施形態において、類似の流体力学が膜表面の両側に存在し得る。このことはモジュール又はハウジング中の1つ以上の正浸透膜の効果的な統合により達成され得る。
【0019】
1つ以上の実施形態によると、本発明の方法は過剰なエネルギー需要及び/又は環境に有害な廃棄物の排出のない高収率の溶媒抽出を達成し得る。溶媒は、エネルギー効率の良い方法で処理流から抽出されて溶質(例えば、望ましい目的種)を濃縮し得、高収率につながり得る。溶媒及び/又は処理流から回収された溶質は所望の最終製品であり得る。引出溶液中の溶質はまた過程中で再利用され得る。
【0020】
1つ以上の実施形態による分離方法は第1溶液を半透膜の第1表面にさらすことを含み得る。第1溶液の濃度よりも高い濃度を有する第2溶液は、この膜の反対側の第2の表面にさらされ得る。いくつかの実施形態において、第2溶液の濃度は、第1試薬を使用して第2溶液中の溶質の平衡を調整して第2溶液中の溶質の溶解性種の量を増加させることにより増加され得る。その後、第1及び第2溶液間の濃度勾配により、溶媒が第1溶液から半透膜を通過して第2溶液へと引き出され、溶媒富化溶液を生成する。1つ以上の実施形態によると、溶質の一部は溶媒富化第2溶液から回収され得、引出溶液にリサイクルされ得る。この回収過程は溶媒産物流を与え得る。また、濃度勾配は半透膜の第1の側に、排出され得るか、又はさらに処理され得る消耗した溶液も生成させる。消耗した溶液はその濃縮又は回収が望ましい1つ以上の目的種を含み得る。
【0021】
1つ以上の実施形態によると、浸透作用を使用する第1溶液からの溶媒の抽出のための装置が開示される。装置の1つの非限定的実施形態において、装置は、入口及び出口を備えた第1チャンバーを有する。第1チャンバーの入口は第1溶液源に接続され得る。半透膜は第1チャンバーを第2チャンバーから分離する。第2チャンバーは入口並びに第1及び第2出口を有する。いくつかの実施形態において、第3チャンバーは、第2チャンバーの第1出口から溶媒富化第2溶液を、第2チャンバーの第2出口から試薬を受け取り得る。第3チャンバーは、例えば、溶媒富化第2溶液を濾過するための濾過器等の分離操作に接続される出口を含み得る。濾過器は第1及び第2出口を有し得、第1出口は、沈殿した溶質を第2チャンバーにリサイクルために第2チャンバーの入口に接続される。いくつかの実施形態において、第4チャンバーは溶媒富化第2溶液を分離操作の第2出口から受け取り得る。第4チャンバーは溶媒富化第2溶液を加熱するためのヒーターを有し得る。第4チャンバーの第1出口は第2チャンバーの入口に構成ガスを戻し得る。本明細書に記載されるように、第4チャンバーからのガス及び/又は第3チャンバーからの沈殿した溶質等の種々の種がシステム中でリサイクルされ得る。かかる種は、例えば、同一の入口又は異なる入口から第2チャンバーに導入され得る。第4チャンバーの第2出口は最終産物(溶媒)を装置から出すことを可能にし得る。流束は1つの溶液からその他の溶液へと膜を通過して起こるので、流路の形態は供給及び引出溶液の流量又は流速を変化させる原因となり得る。膜システム中の供給及び引出溶液のための流路は、一般に、短い長さ及び、低〜中程度の流束速度に対してほぼ同等であるか、又は、より長い流路の長さ及び/又はより高い流束に対して、供給が狭くなり、引出が深くなる先細りになるように設計されるべきである。
【0022】
図1は1つ以上の実施形態による正浸透分離方法の概略図を示し、その詳細は図2を参照して以下にさらに記載される。図1に示されるように、第1溶液と呼ばれる溶液(10)(例えば、海水、汽水、廃水、汚染水又は他の溶液)は第1チャンバー(12)内に入れられる。第1チャンバー(12)は、矢印(13)により示されるように、半透膜(16)と流体連通される。第1溶液よりも高い濃度を有する第2溶液は第2チャンバー(18)に収容される。矢印(15)により示されるように、より高濃度の溶液によって、第1チャンバー(12)中の第1溶液からの溶媒(すなわち水)が、半透膜(16)を通過して第2チャンバー(18)内に位置するより濃厚な第2溶液へと浸透することを可能になる。多量の溶媒を失うので、第1チャンバー(12)中に残っている第1溶液は溶質が濃縮されている。溶質が廃棄物であると考えられる場合、矢印(14)により示されるように溶質は廃棄され得る。或いは、溶質は目的化合物であり得、別の処理又は所望の製品としての下流における使用のために回収され得る。その後、矢印(19)により示されるように、第2チャンバー(18)中の得られた溶媒富化第2溶液は第3チャンバー(22)に導入される。第3チャンバー(22)において、溶媒富化第2溶液中の溶質は分離され得、矢印(28)により示されるように、リサイクルして第2チャンバー(18)に戻され得て第2溶液の濃度を維持する。1つ以上の実施形態において、第3チャンバー(22)及び流れ(28)は任意である。その後、第3チャンバー(22)に残っている溶媒富化第2溶液は、矢印(23)により示されるように第4チャンバー(24)に導入され得る。第4チャンバー(24)において、残りの溶媒富化第2溶液は加熱されて残っている溶質を全て除去して、矢印(26)で示されるように溶媒流を生成し得る。例えば、廃水の処理であるようないくつかの実施形態において、溶媒流は精製水であり得る。第4チャンバー(24)において、加熱は、溶質をその構成ガスへと分解することにより残っているいずれの溶質も除去し得、矢印(20)で示されるように、ガスは第2チャンバー(18)に戻されてチャンバー(18)中の第2溶液の濃度勾配を維持し得、試薬として作用し得る。
【0023】
1つ以上の実施形態によると、希薄引出溶液の一部は蒸留カラムから引出溶質ガスを吸収するのに使用され得る。少なくとも1つの実施形態において、冷却及び吸収剤との混合はいずれも吸収カラム中で実施し得る。吸収剤として作用する希薄引出溶液の一部(その後、濃厚引出溶液になる)とのガスの混合は容器中で実施され得る。一般に、容器は吸収剤とガスの間の相互作用を促進するのに十分に大きい面積を提供する大きさであり得る。いくつかの実施形態において、充填カラムが吸収体として使用され得る。1つ以上の実施形態において、ストリッピング蒸留カラム及び吸収カラムが共に使用され得る。加熱は蒸留カラム中で実施され得、冷却及び希薄引出溶液吸収剤との接触は吸収カラム中で実施され得る。1つの好ましい実施形態において、約25%の希薄引出溶液流が吸収流体として働くために吸収体に向かい得、残っている約75%の希薄流はその供給流としてストリッパーに向かう。これらの2つの流れの間のバランスは、膜システムに戻される再濃縮された引出溶液の濃度、吸収体及び/又はストリッパーの大きさ、並びにストリッパーに必要とされる加熱の量、及び、吸収体又は吸収段階の前、後及び/又は間に必要とされる冷却の量に影響する。例えば、図5に示されるように、希薄引出溶液の第1の部分はチャンバー510から蒸留カラム520に向かい得、希薄引出溶液の第2の部分はチャンバー510から吸収体530に向かい得る。蒸留カラム520を出ていく流れは吸収体530へと導入され得、正浸透膜500の引出側に引出溶質を再導入するように、チャンバー510へと戻すために希薄引出溶液と混合される。
【0024】
1つ以上の実施形態によると、引出溶質は再利用のために回収され得る。溶質は希薄引出溶液から除去(ストリッピング)されて実質的に溶質を含まない生産水を製造し得る。その後、ガス状溶質は濃縮されるか、又は吸収されて濃厚引出溶液を形成し得る。吸収体は希薄引出溶液を吸収剤として使用し得る。他の実施形態において、溶質リサイクルシステム由来のガス流の全部又は一部の吸収のために、生産水が吸収剤として使用され得る。
【0025】
1つ以上の実施形態によると、低温の熱源はコストが低く、代わりの使用がほとんどないか、全くないという観点から、溶質を除去するために低温を使用することが望ましいことがあり得る。しかし、除去する際の温度が低くなると、その圧力も低くなり、低圧凝縮及び吸収は速度が遅く、場合によっては、特定の化合物(例えば、二酸化炭素)の吸収を非常に困難にする。溶質が除去され、これらの一部(典型的には、約60〜80%)が凝縮された後に残っているガスを吸収するために種々の方法が使用され得るが、残っているガスは短期間に吸収し続ける傾向が低い。
【0026】
いくつかの実施形態において、残っている蒸気流は圧縮されてその圧力を上げ得、それにより、吸収速度を増加させる。圧縮器が使用され得る。他の実施形態において、スチームジェットが使用され得、この場合少量のスチームが蒸気と混合されて2つの流れの間の中間圧力まで圧力が増加し得る。さらに別の実施形態において、吸収溶液を加圧し、エダクタージェットに導入して、溶質蒸気を取り込み、圧縮し得る。
【0027】
1つ以上の実施形態において、蒸気の直列の流れ及び吸収剤の直列又は並列の流れを有する吸収体は、膜接触器を使用して、カラム又は同様の機器内に充填して種々の形態で使用され得る。1つの実施形態において、吸収装置において冷却の必要が生じないように、蒸気の直列の流れは冷却された吸収剤の並列の流れと一緒になり得る。他の実施形態において、冷却は装置中で実施され得る。熱交換領域及び質量界面領域は両方とも1つの装置中であり得る。吸収剤は濃厚引出溶液流に加わる目的であり得る混合物を形成するために使用され得る。吸収剤は希薄引出溶液、生産水、アンモニアを添加された水、液体アンモニア及び後に生産水に出るか、又は除去されるか、若しくは破壊される不揮発性二酸化炭素隔離剤(sequestrate)を含み得る。
【0028】
1つ以上の実施形態によると、二酸化炭素吸収/脱着ループは、溶液が低圧で吸収剤として使用されて二酸化炭素を吸収するように実施され得る。その後、溶液は液体形態で圧力をかけられ得、加熱されてより高圧で二酸化炭素を脱着し、コンデンサー又は前記の他の方法で二酸化炭素を吸収させる。このように、いくつかの実施形態は二酸化炭素隔離(sequestration)システムと類似し得る。いくつかの実施形態において、吸収溶液は水中にアンモニアを含み得る。他の実施形態において、溶質が吸収システムにおいてリサイクルされるように、吸収溶液は、二酸化炭素と複合し得、その後、それを放出するように誘発され得る不揮発性溶質を含み得る。いくつかの実施形態において、加熱が使用され得る。いくつかの実施形態において、触媒及び/又は試薬が使用され得る。1つ以上の過程における、又はコンデンサーにおける触媒又は試薬の使用は、引出溶質の凝縮又は再吸収の速度を増加し得る。
【0029】
1つ以上の実施形態において、希薄引出溶液をストリッパーに導き得、ここで低温の加熱により、引出溶質を蒸発させて、前記溶質を実質的に含まない生産水を残す。熱交換器を使用して蒸気の一部を凝縮し得る。少なくとも1つの実施形態において、約70%の蒸気が凝縮され得る。吸収システムを使用して、残っている蒸気の一部を導入して希薄引出溶液流中に吸収させ得る。少なくとも1つの実施形態において、第2吸収システムは濃厚アンモニア溶液を使用して残っている引出溶質蒸気を吸収し得る。コンデンサーを出た液体流並びに第1及び第2吸収体を混合し、濃厚引出溶液の全部又は一部として使用し得る。
【0030】
前記のように、1つ以上の実施形態による分離方法は、第1容器(12)に含有される第1溶液から開始し得る。第1溶液は水性又は非水性溶液であり得、精製水の回収の目的で、望ましくない溶質の除去のために、又は所望の溶質の濃縮及び回収のために処理される。望ましくない溶質に含まれるのは、望ましくない化学的に沈殿可能な可溶性の塩(例えば、塩化ナトリウム(NaCl))である。第1溶液の典型的な例は、水溶液、例えば海水、塩水及び他の塩溶液、汽水、鉱水、産業廃水、及び、例えば食品産業及び医薬産業に関連する高純度使用に付随する製品流を含む。本明細書に記載される第1溶液は水溶液又は非水溶液であり得る。一般に、引出溶液と相溶性であるいずれの溶媒も使用され得、例えば、引出溶質を溶解することができる溶媒が使用される。第1溶液は、浸透分離の前に固体及び化学廃棄物、生物的混入物質を除去し、その他膜の汚れを防止するために公知の技術に従って濾過及び前処理され得、その後、矢印10に示されるように第1チャンバー(12)に供給され得る。
【0031】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液は、溶媒及び、分離、精製又は他の処理が望まれる1種以上の溶質を含有するいずれの溶液でもあり得る。いくつかの実施形態において、第1溶液は非飲料水、例えば、海水、塩水、汽水、家庭雑排水(gray water)及びある種の産業用水であり得る。下流における使用のために、かかる流れから精製水又は飲料水を製造することが望ましいことがあり得る。処理されるべき処理流は塩及び他のイオン種、例えば、クロリド、スルフェート、ブロミド、シリケート、ヨージド、ホスフェート、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ニトレート、ヒ素、リチウム、ホウ素、ストロンチウム、モリブデン、マンガン、アルミニウム、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、鉛、ニッケル、セレン、銀及び亜鉛を含み得る。いくつかの例において、第1溶液は塩水(例えば、塩水若しくは海水)、廃水又は他の汚染水であり得る。他の実施形態において、第1溶液は、濃縮し、単離し、又は回収することが望ましい1種以上の溶質(例えば、目的種)を含有する処理流であり得る。かかる流れは医薬品又は食品グレードの用途等の産業プロセスに由来し得る。目的種は医薬品、塩、酵素、タンパク質、触媒、微生物、有機化合物、無機化合物、化学前駆体、化学製品、コロイド、食品又は汚染物質を含み得る。第1溶液は、正浸透膜処理システムに上流のユニット操作(例えば、産業用設備)又は他の源(例えば、海)から送達され得る。
【0032】
第1溶液と同様に、第2溶液は水溶液であり得、すなわち、溶媒は水である。他の実施形態において、非水溶液(例えば、有機溶媒)が第2溶液として使用され得る。第2溶液は第1溶液と比較して高濃度の溶質を含有する引出溶液であり得る。一般に、引出溶液は、浸透分離システム内に浸透圧を発生させることができる。浸透圧は脱塩、水処理、溶質濃縮、発電及び他の応用等の種々の目的のために使用され得る。幅広い種類の引出溶液が使用され得る。いくつかの実施形態において、引出溶液は1種以上の除去可能な溶質を含み得る。少なくともいくつかの実施形態において、熱的に除去可能な(熱分解性)溶質が使用され得る。例えば、引出溶液は熱分解性塩溶液を含み得る。いくつかの実施形態において、アンモニア及び二酸化炭素引出溶液が使用され得、例えば、米国特許出願公開第2005/0145568号(McGinnis)に開示されており、その開示は、援用により、その全体が全ての目的のために本明細書に組み込まれる。1つの実施形態において、第2溶液はアンモニア及び二酸化炭素の濃厚溶液であり得る。
【0033】
1つ以上の実施形態によると、アンモニア対二酸化炭素の比は、システム中の引出溶液の最も高い濃度に基づいて、引出溶液ガスの吸収流体(前記の希薄引出溶液の一部)への完全な吸収を実質的に可能にするべきである。一般に、2つの溶液間の所望の浸透圧差が膜システム及び供給水回収の範囲全体を通して維持されるように、引出溶液の濃度、体積及び流速は、供給溶液の濃度、体積及び流速と合わせるべきである。このことは膜内、及びその表面における内部及び外部濃度分極現象の両方を考慮して1つ以上の実施形態により算出し得る。1つの非限定的な脱塩の実施形態において、濃厚引出溶液の入口流速は塩供給水流速の約33%であるものが使用され得、典型的には海水脱塩システムについて約25%〜75%の範囲である。より低い塩分濃度の供給流は、供給水流の約5%〜25%の引出溶液入口流速を必要とし得る。希薄引出溶液の出口速度は、典型的には供給水の入口速度の約50%〜100%であり得、塩水排出体積の約3〜4倍である。
【0034】
1つ以上の実施形態によると、アンモニア対二酸化炭素の比は、一般に、引出溶液の濃度及び引出溶質除去及び回収過程において使用される温度に合わせるべきである。その比が十分に高くない場合、濃厚溶液において、再利用のために引出溶質ガスを塩に完全に吸収させることができず、その比が高すぎる場合、引出溶液中に、過程を駆動するための廃熱の使用に必要であるような所望の温度範囲において適切に濃縮されず、過剰のアンモニアが存在する。例えば、いくつかの実施形態において、蒸留カラムは約50℃でガスを除去し得、吸収カラムは約20℃で作動し得る。さらに、アンモニア対二酸化炭素の比は、アンモニアの供給溶液への膜を通る通過を阻止するように考えるべきである。その比が高すぎると、引出溶液(通常、主にアンモニウム)中に、必要であるか、又は望ましいよりもより高い濃度で非イオン化アンモニアが存在することになり得る。他のパラメータ、例えば、供給水の種類、所望の浸透圧、所望の流束、膜の種類及び引出溶液濃度も、好ましい引出溶液モル比に影響を与え得る。アンモニア対二酸化炭素の比は浸透分離過程においてモニターされ得、制御され得る。少なくとも1つの実施形態において、引出溶液はアンモニア及び二酸化炭素を1対1よりも大きいモル比で含み得る。いくつかの非限定的実施形態において、引出溶液についての比は、約50℃で、及び、引出溶液中の二酸化炭素のモル濃度として特定される引出溶液のモル濃度で、1モル濃度までの引出溶液について少なくとも約1.1〜1、1.5モル濃度までの引出溶液について約1.2〜1、3モル濃度までの引出溶液について約1.3〜1、4モル濃度までの引出溶液について約1.4〜1、4.5モル濃度までの引出溶液について約1.5〜1、5モル濃度までの引出溶液について約1.6〜1、5.5モル濃度までの引出溶液について約1.7〜1、7モル濃度までの引出溶液について約1.8〜1、8モル濃度までの引出溶液について約2.0〜1、及び10モル濃度までの引出溶液について約2.2〜1であり得る。実験によると、このおおよその温度において、これらは、これらの濃度の溶液の安定な溶解性のために必要なおおよそ最小の比であることを示す。より低い温度において、アンモニア対二酸化炭素のより高い比が同一の濃度に対して必要である。より高い温度において、より低い比が必要であり得るが、溶質のガスへの分解を防止するために溶液にある程度の圧力を加えることも必要であり得る。2モル濃度未満の全体の濃度においてさえ、1対1よりも大きい比は、適量の加熱及び/又は圧力の減少に応じて、溶液の安定性を大幅に増大させ、二酸化炭素ガスの発生及び一般的な引出溶液の熱分解性分裂を防止する。
【0035】
一般に、引出溶液は供給溶液よりも高い溶質濃度を有する。これは、供給溶液よりも高い濃度を有する溶液を製造するために十分に溶解性である溶質を使用することにより達成し得る。引出溶液の1つ以上の特性は、処理のために分離システムに供給される処理流に基づいて調整され得る。例えば、供給溶液の体積、流速又は溶質の濃度は引出溶液について選択される1つ以上のパラメータに影響を与え得る。システムに付随する排出流に関連する要件も1つ以上の作動パラメータに影響を与え得る。他の作動パラメータも正浸透分離システムの目的とする応用に基づいて変化し得る。好ましくは、第2溶液中の溶質は溶液から分離過程を経て容易に除去可能であるべきであり、ここで前記分離過程は、溶液の溶媒により容易に溶解する少なくとも1種の種(すなわち、溶解性種)及び溶媒に容易に溶解しない1つの種(すなわち、より溶解性の低い種)へと分離し、溶質は、得られる溶媒に僅かな量が残っていても、健康上のリスクを全く引き起こさないべきである。溶解性種及びより溶解性の低い溶質種の存在は、溶液が必要に応じ調整され、又は操作されることを可能にする。典型的には、溶解及びより溶解性の低い溶質種は溶液中で、特定の条件温度、圧力、pH等の下で、溶質のいずれの種も他方について増加せず、減少もしない(すなわち、溶質の溶解性種対不溶性種の比が変化しない)点に達する。これは平衡と呼ばれる。溶液の特定の条件において、平衡で、溶質種は1対1の比である必要はない。化学物質(本明細書において試薬と呼ばれる)の添加により、溶質種間の平衡は移動し得る。第1試薬を使用して、溶液の平衡は溶質の溶解性種の量を増加させるように移動し得る。同様に、第2試薬を使用して、溶液の平衡はより溶解性の低い溶質種の量を増加させるように移動し得る。試薬の添加後、溶質種の比は、状態により好ましい新しいレベルで安定化され得る。溶質の溶解性種に好ましい平衡を操作することにより、溶液の溶媒が溶質をそれ以上溶解させることができない飽和に近い濃度を有する第2溶液が達成され得る。
【0036】
第2(引出)溶液について好ましい溶質はアンモニア及び二酸化炭素ガス並びにその生成物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウムであり得る。水に約1のモル比で溶解した際のアンモニア及び二酸化炭素は、主に重炭酸アンモニウム、並びに、より少ない量の関連生成物である炭酸アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウムを含む溶液を形成する。この溶液の平衡は、より溶解性の低い溶質種である重炭酸アンモニウムを、溶解性の溶質種であるカルバミン酸アンモニウム及びより少ない量の炭酸アンモニウムよりも好む。主に重炭酸アンモニウムを含む溶液を、アンモニア対二酸化炭素のモル比が1よりも大きくなるように過剰のアンモニアで緩衝することは、溶液の平衡をより溶解しやすい溶質種であるカルバミン酸アンモニウムへと移動させる。アンモニアは水により溶解性であり、溶液に優先的に吸収される。カルバミン酸アンモニウムは第2溶液の溶媒に容易に吸収され易いので、その濃度は、溶媒が溶質をそれ以上吸収できない点(飽和)まで増加され得る。いくつかの非限定的実施形態において、この操作により達成されるこの第2溶液中の溶質の濃度は約2モル濃度より大きい、約6モル濃度より大きいか、又は約6モル濃度〜約12モル濃度である。
【0037】
アンモニアは溶質であるカルバミン酸アンモニウムが分解した際に生じる化学成分(又は構成成分と呼ばれる)の1つであるので、カルバミン酸アンモニウムについて好ましい第1試薬であり得る。一般に、溶媒についての試薬は溶質の構成成分であることが好ましく、これは、そうすることにより、溶媒が除去される際に過剰の試薬が溶液から容易に除去され得るからであり、好ましい実施形態において、構成成分は第1試薬としてリサイクルすることができる。しかし、試薬が溶液から容易に除去され、かつ、試薬の僅かな成分が最終的な溶媒中に残っても試薬が健康上のリスクを及ぼすことがない限り、溶液中の溶質種の平衡を操作することができる他の試薬も考えられる。
【0038】
1つ以上の実施形態によると、引出溶液は、一般に、浸透圧を生じさせるべきであり、再生及びリサイクル等のために取り出し可能であるべきである。いくつかの実施形態において、引出溶液は、触媒された相転移を経る能力により特徴付けられ得、すなわち、引出溶質が、触媒を使用して水溶液から沈殿させることができる固体又はガスへと変換される。いくつかの実施形態において、その機構は加熱、冷却、反応物の添加、又は電場若しくは磁場の導入等の他の手段と併用され得る。他の実施形態において、化学物質を導入して引出溶質と可逆的若しくは不可逆的に反応させて、その濃度を減少させ得、膜によるその排斥特性を変化させ得、又は、その他の方法で取り出し易くし得る。少なくとも1つの実施形態において、電場の導入は、相転移、イオン化度における変化、又は、溶質を容易に取り除く他の電気的に誘発された変化等の引出溶質における変化を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、溶質の通過及び/又は排斥はpHを調整すること、溶質のイオン性を調整すること、溶質の物理的大きさを変更すること、又は引出溶質が以前は排斥された膜を容易に通過するようにする別の変化を促進すること等により、操作し得る。例えば、イオン種は非イオン性の状態にされてもよく、又は大きい種は比較的小さくなってもよい。いくつかの実施形態において、加熱を使用しない分離技術、例えば、電気透析(ED)、冷却、真空又は加圧を実施し得る。少なくとも1つの実施形態において、電気的勾配が1種以上の公知の分離技術に従って実施され得る。いくつかの実施形態において、特定の分離技術(例えば、ED)を使用して、電気的要件を低くするといったように、分離されるべき種を減少させ得る。少なくとも1つの実施形態において、温度、圧力、pH又は溶液の他の特性を変更する等により、有機種の溶解性を操作し得る。少なくともいくつかの実施形態において、例えば、アンモニウム塩である引出溶質をリサイクルするために、ナトリウム再供給(recharge)イオン交換技術、又は酸及び塩基再供給イオン交換等のイオン交換分離が実施され得る。
【0039】
1つ以上の実施形態によると、開示された引出溶液は、任意の工学的浸透過程、例えば、圧力遅延浸透、正浸透又は圧力支援正浸透等の用途において使用され得る。いくつかの実施形態において、開示された引出溶液は浸透熱エンジンに使用され得、例えば、国際公開第2008/060435号(McGinnis等)に記載されている(全ての目的のためにその全体が本明細書に参照により組み込まれる)。浸透熱エンジンは半透膜を使用して浸透圧を電力へと変換し、熱エネルギーを機械仕事へと変換し得る。濃厚アンモニア−二酸化炭素引出溶液は液圧勾配に抗して半透膜を通過する水流束を生成させる、高い浸透圧を生じ得る。タービンにおける増加した引出溶液の体積の減圧は、電力を生成し得る。その過程は、浸透熱エンジンにおける再利用のための再濃縮された引出溶液及び脱イオン化水作動流体への希薄引出溶液の分離により定常状態運転に維持され得る。浸透熱エンジンにおける開示された引出溶液の使用を含むいくつかの実施形態において、引出溶質を沈殿させることにより効率が増進され得る。少なくとも1つの実施形態において、開示された引出溶液はグリッドエネルギー貯蔵のためのシステム及び方法に使用し得、塩分勾配(例えば、浸透圧勾配又は2つの溶液間の差)の使用が濃縮された溶液において液圧を生じるのに使用し得、電力の生成を可能にする。国際公開第2007/146094号(McGinnis等)(その開示全体が全ての目的のために本明細書に参照により組み込まれる)に記載されている多段式蒸留カラム等の蒸留カラムを含む1つ以上の実施形態によると、希薄引出溶液は、各段への熱伝達のために、熱交換器又は吸収体において吸収流体として使用され得る。1つ以上の実施形態によると、開示された引出溶液は種々の直接浸透濃縮(DOC)用にも使用され得る。
【0040】
1つ以上の実施形態において、分離過程は第1及び第2溶液を半透膜(16)の第1及び第2の側に、それぞれ接触させることにより始まり得る。第1及び第2溶液は停滞したままであり得るが、第1及び第2溶液の両方がクロスフローにより導入される、すなわち、半透膜(16)の表面に対して平行に流れることが好ましい。このことは、一定の量の溶液が接触する半透膜(16)の表面積を増加させ、それにより、正浸透の効率を増大させる。第2チャンバー(18)中の第2溶液は、第1チャンバー(12)中の第1溶液よりもより高い溶質濃度を有するので、第1溶液中の溶媒は第2溶液へ正浸透により拡散する。いくつかの実施形態において、2つの溶液間の濃度差は非常に大きいので、溶媒は第1溶液に圧力を加えることなく半透膜(16)を通過する。全体として、この過程は第1溶液に含有される約50%〜約99.9%の溶媒の除去をもたらし得る。分離過程中、第1溶液は溶媒を失うのでより濃縮され、第2溶液は、溶媒を得るのでより希薄化される。この現象に関わらず、2つの溶液間の濃度勾配は有意なままである。膜の第1の側で消耗した溶液、及び膜の第2の側で希薄化された溶液は、それぞれ、1種以上の所望の製品の回収のためにさらに処理され得る。例えば、膜の第1の側で消耗した溶液は、その濃縮及び回収が望ましい目的種である溶質を含有し得る。また、膜の第1の側で消耗した溶液は廃棄物として廃棄され得る。同様に、膜の第2の側で希薄化された溶液は、所望の製品であり得る溶媒が富化され得る。
【0041】
排出(14)(すなわち、濃厚第1溶液)はより高い溶質濃度を有する。従って、第1溶液をその源に戻すか、又は本方法により第1溶液を再循環させる前に、過剰の溶質は濃厚第1溶液から除去され得る。このことは、例えば、いくつかの非限定的実施形態において、濃厚第1溶液を、ソーラーエバポレーター、簡単なスクリーン濾過装置、ハイドロサイクロン若しくは沈殿マス(precipitation mass)又は他の核形成点と接触させることにより実施されて溶質を沈殿させ得る。この沈殿した溶質は、さらに処理されて消費者又は産業目的のために好適にされ得る。
【0042】
正浸透により第2溶液へと第1溶液の溶媒が抽出され、それにより、溶媒富化第2溶液が形成した後、溶質を溶媒富化第2溶液から除去して溶媒を単離することが望ましいことがあり得る。いくつかの非限定的実施形態において、これは、溶質を溶液から沈殿させること、溶質を溶液から蒸発するその構成ガスへと分解すること、溶媒を溶液から蒸留すること、又はある表面上への溶質の吸収により達成することができる。少なくとも1つの実施形態において、溶質の一部を沈殿により除去することは残っている溶質を分解するために溶液を加熱するのに必要なエネルギー量を減少させ、分解は溶質の完全な除去をもたらす。可能な沈殿及び分解工程についてはそれぞれ第3及び第4チャンバー(22、24)を参照して記載する。
【0043】
第2チャンバー(18)中の溶媒富化第2溶液は、矢印(19)に示されるように第3チャンバー(22)へと導入され得る。その後、溶媒富化第2溶液は処理されて溶質の一部を溶媒富化溶液から沈殿により取り除き得る。第2試薬を導入して、溶解性及びより溶解性の低い溶質種の平衡をより溶解性の低い溶質種に有利なように調整し得る。第1試薬と同様に、溶媒富化第2溶液から容易に除去され、かつ、健康上のリスクを全く及ぼさない限り、平衡を調整することができるいずれの化学物質も好適である。好ましくは、該試薬は溶質の構成成分であり、好ましい溶質であるカルバミン酸アンモニウムの場合は二酸化炭素ガスである。いくつかの非限定的実施形態において、溶媒富化第2溶液に二酸化炭素が拡散すると、溶液中のアンモニア対二酸化炭素の比は約1〜1.5に減少し得、溶媒富化第2溶液中の平衡はより溶解性の低い溶質種である重炭酸アンモニウムの方へ戻され得る。その後、より溶解性の低い溶質種は溶液から沈殿し得る。重炭酸アンモニウムの沈殿の結果、溶媒富化第2溶液中の溶質の濃度は約2〜3モル濃度へ実質的に減少し得る。好ましくは、第3チャンバー(22)中の溶媒富化第2溶液の温度は溶質の沈殿を補助するために約18〜25℃、好ましくは20〜25℃まで下げられる。その後、沈殿した溶質は溶液から濾過され得る。
【0044】
図2について、沈殿した溶質は第3チャンバー(22)内で濾過され得るが、矢印(36)により示されるように、溶液は濾過チャンバー(29)へと導かれ得る。よく知られた方法、例えば、ハイドロサイクロン、沈殿(sedimentation)タンク、カラム濾過又は簡単なスクリーン濾過を使用して、沈殿した溶質は溶媒富化溶液から取り除かれ得る。例えば、沈殿物は重力により溶液から沈降させ得、その時、残っている溶液は、サイホンで吸い取り得る。矢印(23)で示されるように、残っている溶媒富化第2溶液は濾過チャンバー(29)から第4チャンバー(24)へと移され得、その後、加熱されて溶質をその構成ガスへと分解する。1つの好ましい実施形態において、これらの構成ガスはアンモニア及び二酸化炭素であり得る。分離過程に必要なエネルギーは、カルバミン酸アンモニウム溶質の完全な除去をもたらす温度まで溶液の温度を上昇させるのに必要な熱である。さらに、プロセス内でリサイクルされる溶質の気化と溶解のエンタルピーの熱伝達の非効率さ補うために追加の加熱が必要である。具体的には、加熱は溶媒富化第2溶液中に残っている溶質をその構成ガスへと分解させ、このガスは溶液から出て行く。いくつかの実施形態において、効率を改善するため、かつ/又は分解ガスが溶液から蒸発する温度を低くするために、加熱されている間真空又は空気流を溶媒富化第2溶液上に維持し得る。第4チャンバーに対して空気流を発生させることにより、典型的に使用されるよりもより低い温度で全ての溶質を除去し得る。この分解は溶媒製品(例えば飲料水製品)をもたらし得、これは最終用途のためにさらに処理され得る。一般に、飲料水製品は約pH7を有するべきであり、水をその意図される目的に好適にするために、さらなるpH調整及び/又は望ましい成分(例えば塩及び/又は残留消毒剤)の添加が必要であり得る。
【0045】
溶媒富化第2溶液は、外部熱源(34)並びにガス及び溶質の発熱導入に由来する、熱交換器(32)を経由して組み上げられる熱(38、42)の組合せを使用して加熱され得る。外部熱源(34)は、太陽及び地熱エネルギー等の熱源により供給され得る。その源は蒸留の熱源に類似し得る。いくつかの実施形態において、その源は主にコジェネレーション(cogeneration)環境からであり得、発電又は産業過程からの廃熱を利用する。さらに、プロセス効率は、熱交換器(32)を使用して本発明の脱塩方法において前の工程中に放出された熱を捕獲することにより維持され得る。図2の矢印(38)及び(42)に示されるように、第2及び第3チャンバー(18、22)における化学反応から放出される熱は、熱交換機(32)へと汲み上げられ得、その後、矢印(40)により示されるように、溶媒富化第2溶液の加熱を補助するためにこの熱は第4チャンバー(24)へと汲み上げられる。別の実施形態において、放出された構成ガスを、溶媒富化第2溶液が加熱されるチャンバー(24)の外側で凝縮することにより追加の熱が発生し、この発熱反応からのエネルギーが第4チャンバー(24)へ伝えられる。凝縮物(1つの好ましい実施形態において、カルバミン酸アンモニウムである)は、その後、第2チャンバー(18)の第2溶液にリサイクルされ得る。
【0046】
さらに、第2溶液から除去された溶質及び溶質成分をリサイクルして本発明の正浸透分離方法の環境影響及びコストを制限することも好ましい。濾過チャンバーから廃棄された沈殿した溶質は、矢印(28)により示されるように、第2チャンバー(18)にリサイクルされ得、ここで、第2溶液中に溶解することができ、それにより、第2溶液の高い濃度を維持することができる。さらに、第4チャンバー(24)で溶媒富化第2溶液から除去された構成ガスは、矢印(20)及び(30)により示されるように第2又は第3チャンバー(18、22)へとそれぞれリサイクルされ得、ここで、それらは試薬として作用する。1つの好ましい実施形態において、溶質はカルバミン酸アンモニウムであり、それはその構成ガスであるアンモニア及び二酸化炭素へと分解される。その後、これらのガスは、矢印(20)により示されるように第2チャンバー(18)にリサイクルされる。アンモニアは二酸化炭素よりもより溶解性であるので、アンモニアは第2溶液に優先的に吸収され、カルバミン酸アンモニウムに有利な溶質種の平衡を調整することにより試薬として作用する。残りの二酸化炭素は、矢印(30)に示されるように第2チャンバー(18)から引き出され、第3チャンバー(22)へと移され、ここで試薬として作用し、第2溶液の平衡を、重炭酸アンモニウムに有利なように変更する。いくつかの好ましい実施形態において、溶質の分解に由来する構成ガスをリサイクルすることが考えられるので、最適量よりも少ない溶質を沈殿させて、本プロセスの効率を維持するのに十分なガスを確実にリサイクルすることが必要であり得る。典型的には、約半分の溶質を溶液から沈殿により除去することにより、本過程を維持するのに十分な量の構成ガスが確実に発生するようにするべきである。
【0047】
本明細書に記載される過程は、本過程を経て溶媒から溶質を良好に単離するために、連続的に、又はバッチ式で実施され得る。
【0048】
本発明の方法を実施するための装置の1つの非限定的実施形態を図3に詳述する。該装置は入口(50)及び出口(52)を有する第1チャンバー(12)を有する。第1チャンバーの入口(50)は、第1溶液源、例えば、前処理を受けたか若しくは上流の操作から導入される溶液のための保持タンクと、又は第1溶液の天然源、例えば、海、湖、小川若しくは他の水塊及び水路と通じている。第1チャンバーの入口(50)は、第1溶液をその源から吸い上げるためのポンプ及び/又は微粒子を除去するためのスクリーン若しくは濾過器を組み込み得る。さらに、場合によって、第1溶液の温度を調整するための加熱又は冷却装置も含み得る。同様に、第1チャンバーの出口(52)は、第1溶液を第1チャンバー(12)から引き出すためのポンプを組み込み得る。出口(52)は第1溶液を第1溶液源に直接再循環させるために使用され得るが、好ましくは、第1溶液は、第1溶液源へと戻される前に、沈殿装置へと又は沈殿装置を横切ってポンプで送られる。かかる沈殿装置はソーラーエバポレーションベッド、簡単なスクリーン濾過装置、ハイドロサイクロン又は沈殿マス又は他の核形成点操作又は当業者に公知の他の種類のものを含み得る。第1チャンバー(12)は第2チャンバー(18)から半透膜(16)により分離されている。
【0049】
第2チャンバー(18)は入口(54)並びに第1及び第2出口(56、58)を有する。入口(54)は第2溶液源を提供し、ポンプ及び加熱装置を組み込み得る。第2チャンバーの第1出口(56)は第3チャンバー(22)に通じ、溶媒富化第2溶液を第3チャンバー(22)に移動させるための導管を提供する。第2チャンバーのこの第1出口(56)は水富化第2溶液を第2チャンバー(18)から引き出すためのポンプを組み込むことができる。本発明の別の実施形態において、第2チャンバーの第1出口(56)は、前記のように、溶媒富化第2溶液を冷却するための冷却装置を組み込み得る。第2チャンバーの第2出口(58)は(24)からのガスが第2溶液に入口(54)を通過して導入される際の残りのガスに対する導管を提供し、好ましい実施形態において、アンモニアはこの溶液に優先的に吸収されることが期待されるので、それは主に二酸化炭素ガスであり、第3チャンバー(22)に移される。
【0050】
いくつかの実施形態において、第3チャンバー(22)において、溶質の一部は溶媒富化第2溶液から沈殿する。第3チャンバー(22)は、入口(56)及び(58)に加えて、沈殿物を溶媒富化第2溶液から分離するための濾過装置(29)に通じる出口(60)を有する。濾過装置(29)は前記のいずれの種類でもよいが、好ましくは沈殿タンクである。濾過装置(29)は2つの出口を有し、第1出口(62)は、沈殿した溶質を廃棄するか、又は第2チャンバーの入口(54)を通して第2チャンバー(18)へ戻すのに使用され得、第2出口(64)は残りの溶媒富化第2溶液を第4チャンバー(24)に移動するのに使用され得る。別の実施形態において、濾過装置(29)は第3チャンバー(22)に組み込まれ得、その場合、第3チャンバー(22)は、残っている溶媒富化第2溶液を第4チャンバー(24)に移すための1つの出口及び沈殿した溶質を廃棄するか、又は好ましい実施形態において、沈殿した溶質を第2チャンバー(18)に第2チャンバーの入口(54)を通して戻すもう1つの出口である、追加の出口を有する。
【0051】
第4チャンバー(24)は残っている溶媒富化第2溶液を加熱するための加熱装置を組み込み得る。第4チャンバー(24)は、構成ガスを放出するために、真空、ファン又は空気流を発生させるための他の装置を組み込み得る第1出口(66)も含む。好ましくは、第4チャンバーの第1出口(66)は、第2溶質としての構成ガスをリサイクルするために第2チャンバー(18)の入口(54)に通じる。第2出口(68)は最終溶媒製品(例えば飲料水又は精製水)を引き出すための導管として働く。
【0052】
溶液の重量に耐え、溶液中のいずれの溶質とも反応しない限り、任意の材料が種々の保持及び/又は貯蔵装置(チャンバー、容器及び入れ物)、導管、パイプ及び関連する設備を構成するために使用され得る。典型的な材料は非腐食性、非反応性材料、例えば、ステンレス鋼、プラスチック、ポリビニルクロリド(PVC)、繊維ガラス等である。容器は任意の好適な形状であることができるが、典型的には円筒状タンク、輪郭(contoured)又は作り付けのタンク等である。入れ物は典型的には給水塔、円筒状タンク、輪郭又は作り付けのタンク等である。前記のように、チャンバーは分離したユニットとして示されているが、本発明はその形態に限定されず、適宜、任意の数のチャンバーを1つの容器中に収容することができ、例えば、半透膜(16)により分離された2つのチャンバーに分割され得ることに留意することが重要である。
【0053】
加熱及び冷却装置は電気ヒーター、冷却ユニット、ソーラーコレクター及び熱交換器、例えば、スチームコンデンサー、サーキュレーター等、当分野においてよく知られているものであることができるが、好ましくは熱交換器である。本発明の方法で使用される他の設備と同様に、所要電力を有し得る加熱及び冷却装置は、例えば、廃棄蒸気、ソーラーエネルギー、風力又は地熱エネルギー及び通常の熱源等のいずれの種類の通常使用される源からもそのエネルギーを得ることができるが、これらに限定されない。
【0054】
図4について、1つ以上の実施形態による濃縮過程が開示される。第1溶液(1)は正浸透膜の1つの側にさらされる。第1溶液が処理されるべき廃棄物流を含む実施形態において、第1溶液は、典型的には水性であり、塩、タンパク質、触媒、微生物、有機又は無機化学物質、化学前駆体若しくは生成物、コロイド又は他の成分等の化学種の溶液を含有する。第1溶液が濃縮され回収されるべき所望の目的種を含有する実施形態において、第1溶液は医薬品、塩、酵素、タンパク質、触媒、微生物、有機化合物、無機化合物、化学前駆体、化学生成物、コロイド、食品又は汚染物質を含み得る。第1溶液を膜の1つの側にさらすことは多くの形態において達成され得、そのうちの2つは、溶液中への膜の浸漬又は膜を通過する溶液の方向付けである。この溶液は連続的に、バッチ式で、一度又は何度も、容器又は方向付け手段に導入され得る。この第1溶液(1)の流入は図に示されていない。
【0055】
第1溶液よりも高い浸透圧を生じさせることができる、例えば、水、アンモニア及び二酸化炭素等の種を含む第2溶液(2)は、膜の第1溶液がさらされるのと反対の側にさらされる。このさらすことは多くの技術により達成され得るが、第2溶液中へ膜の浸漬(第1溶液について浸漬が使用される場合でなくても)又は膜表面を通過する第2溶液の方向付けを含み得る。膜は、第1溶液の種、例えば塩、荷電及び/又は大きな分子、微生物、並びに粒子状物質の全て又はいくつかに対して不浸透性であるが、溶媒(例えば、水)を通過させ、このため第1及び第2溶液の浸透圧の差が第1溶液から第2溶液へ膜を通過する水の流束を誘発し得る。この流束は、有意に、部分的に又は大部分において、第2溶液を希薄化しない、かつ/又は第1溶液を濃縮しないで許容され得る。いくつかの、全くない、ほとんどない又は1つの第1溶液の選択種又は目的種も膜を通過することが期待され得、膜の種類及び/又は処理用途の目的によって決まる。
【0056】
溶媒富化第2溶液の一部は、引出溶質分離操作(3)(例えば、蒸留カラム、膜蒸留操作又はパーベーパレーション操作)に(流れ1を介して)向かい、そこでアンモニウム塩の種等の溶媒富化第2溶液中の溶質(例えば、アンモニア及び二酸化炭素溶質)が、引出溶質分離操作(3)に熱を加えること、及び/又は、引出溶質分離操作の上方及び/又はその操作により生成したガスに圧力差をかけることにより除去される。1つ以上の実施形態によると、膜分離方法(例えば、パーベーパレーション)は、引出溶液ガスの希薄引出溶液からの分離を可能にし得、その際水蒸気の流れを大幅に制限し、分離過程の効率を増加させ得る。パーベーパレーション材料は、天然又は合成ポリマー(例えば、ポリウレタン若しくは天然ゴム)又は懸濁化液膜を含み得、水蒸気と比較してアンモニア及び二酸化炭素に対して受動的又は能動的で選択的な膜として作用する。いくつかの実施形態において、パーベーパレーション又は同様の膜分離方法は、蒸留カラムの代わりに、又は蒸留カラムと併用して使用され得る。少なくとも1つの実施形態において、吸収体カラムも使用され得る。別の実施形態において、流れ3のガスは圧縮されて、引出溶液に完全に、又はほぼ完全に再吸収され得る点まで温度を上昇させる。1つ以上の実施形態によると、吸収体は引出溶質の再吸収の前に、又は再吸収の間に冷却と共にして使用され得る。少なくともいくつかの実施形態において、希薄引出流の一部は、吸収剤流として吸収体へと転送され得る。
【0057】
引出溶質分離操作は流れ2に示され、流れ1の種の濃度が、部分的に、実質的に又は完全に減少した溶媒流れと、流れ3に示され、流れ1から除去された種を含有しているガス流とを生成する。流れ3は第2溶液の特性(例えば、体積又は濃度)を増加させる、置換する又は維持するのに使用される、第2溶液を再構成するための操作に向けられる。この操作は種を水、第2溶液の一部に溶解させること、沈殿及び第2溶液と混合すること、又は、3において除去された種が第2溶液に再導入されるようないくつかの他の方法を含み得る。この再導入は破線の流れ4として示される。水が溶液1から除去される際、溶液1の排斥された成分は溶液1から定期的に又は連続的に除去され得る。この操作は沈降(settling)、ハイドロサイクロン分離、沈殿、(例えば、電気的又は磁気的)力の勾配、ブローダウン(blowdown)又は他のユニット操作を含み得る。1から除去された成分のこの流れは流れ5として示される。いくつかの実施形態において、流れ5は所望の製品流であり得るか、又は廃棄物として廃棄され得る。これらの技術により、浸透圧は、溶媒を溶液から浸透圧駆動流束により半透膜を介して除去するのに使用され、例えば、溶媒を医薬化合物、食品又は溶液中の他の所望の種から分離し、又は望ましくない溶質の除去により処理流を処理して精製された製品流を生じさせる。流れ5は、さらに処理されて、膜を通って容器1へと移動した容器2由来のいずれの引出溶質も除去し得る。この処理は蒸留、空気ストリッピング、パーベーパレーション、不連続点塩素処理(breakpoint chlorination)、イオン交換又は他の方法を含み得る。流れ5から除去された引出溶質は流れ4と混合することにより、又は他の方法により容器2に再導入され得る。
【0058】
1つ以上の実施形態によると、溶質の回収及びリサイクルシステムに必要なΔTを減少させるための技術が実施され得る。例えば、引出溶液ガスは圧縮されてより小さいΔTで濃厚溶液を形成し得る。任意のシステムについて所望のΔTは機械的又は吸収熱ポンプを組み込むことによっても達成され得る。
【0059】
1つ以上の実施形態によると、図6に図示されるように、真空蒸留及び/又はガス吸収が正浸透等の工学的浸透作用の使用のために組み込まれ得る。高圧水溶液により駆動されるエダクターは蒸留カラムを真空にするために使用され得る。エダクターを出て行くガス−水混合物はスタティックミキサーを通過して流れてガスが水に溶解することを確保し得る。水溶液はガス−液体分離器へと流れ得て、ここで、ガスは捕獲され得、リサイクルされ得、溶液の一部はエダクターを駆動するためにリサイクルされ得る。
【0060】
1つ以上の実施形態によると、引出溶質はリサイクルされ得、引出溶液は種々の方法で再生され得る。いくつかの実施形態において、引出溶質は蒸留カラムを使用することなくリサイクルされ得る。他の実施形態において、多孔性膜を使用する膜蒸留が実施され得る。さらに他の実施形態において、引出溶質を通過させるが水蒸気を通過させない、又は逆の選択的な膜を使用するパーベーパレーション技術が使用され得る。いくつかの実施形態において、引出溶質のための濾過繊維が熱交換繊維と一体化され得る。いくつかの繊維は不浸透性であり得るが、繊維壁における熱伝達により引出溶液の加熱又は冷却を可能にし、他の繊維は選択的であり得、引出溶質を分離し、リサイクルするのに使用され得る。各種類の割合は変わり得、種々の繊維の縦又は垂直配向は変わり得、いくつかの実施形態において、繊維はゾーンにおいて段階的であり得る。かかる配置は浸透熱エンジン等の使用におけるエネルギー所要量の減少を容易にし得る。比較的小規模の使用であるいくつかの実施形態において、構造が組み込まれた折り畳み式の可動性の形態が実施され得る。
【0061】
1つ以上の実施形態によると、正浸透分離方法は、半透膜の第1の側に第1溶液を導入すること、第1溶液の少なくとも1つの特性を検出すること、アンモニア及び二酸化炭素を含む濃厚引出溶液について、少なくとも1つの検出された特性に基づいてモル比を選択すること、選択されたモル比でアンモニア及び二酸化炭素を含む濃厚引出溶液を半透膜の第2の側に導入して半透膜を横切る所望の浸透濃度勾配を維持すること、半透膜を通過する少なくとも一部の第1溶液の流れを促進して半透膜の第1の側に第2溶液を、及び半透膜の第2の側に希薄引出溶液を形成すること、少なくとも一部の希薄引出溶液を分離操作に導入して引出溶質及び溶媒流を回収すること、半透膜の第2の側に引出溶質を再導入して濃厚引出溶液中の選択された濃度及びアンモニア対二酸化炭素のモル比を維持すること、並びに溶媒流を収集することを含み得る。
【0062】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の浸透抽出のための装置は、第1溶液源に流体接続された入口を有する第1チャンバー、アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1のモル比で含む濃厚引出溶液源に流体接続された入口を有する第2チャンバー、第1チャンバーを第2チャンバーから分離している半透膜、第2チャンバーの下流に流体接続され、蒸留カラムを含む分離システムであって、希薄引出溶液を第2チャンバーから受け取り、引出溶質及び溶媒流を回収するように構成される分離システム、及び引出溶質を第2チャンバーに再導入して濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素のモル比を維持することを容易にするように構成され、吸収体を含むリサイクルシステムを含み得る。
【0063】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の浸透抽出のための装置は、溶媒が抽出される第1溶液に関連する第1流路であって、第1流路の有効体積が第1流路の長さに沿って減少するような、先細りの形状又はフロースペーサーの形状を有する第1流路、及び、第1溶液から溶媒が抽出される濃厚引出溶液に関する第2流路であって、第2流路の有効体積が第2流路の長さに沿って増加するような拡大形状又はフロースペーサーの形状を有する第2流路を含む膜分離システムを含み得る。
【0064】
1つ以上の実施形態によると、供給溶液からの溶媒の浸透抽出のための装置は、ピラミッド状の膜モジュールの配置を含む膜システムを含んで供給溶液の体積の減少及び引出溶液の体積の増加に適応し得、該ピラミッド状の膜モジュールの配置は、向流配置において、引出溶液入口及び供給溶液出口の向きにより少ない膜モジュールが存在し、供給溶液入口及び引出溶液出口の向きにより多い膜モジュールが存在するように配置される。
【0065】
1つ以上の実施形態によると、溶媒の浸透抽出のための装置は、引出溶質の溶液からの除去又は溶液への導入が触媒の使用により増進される能力により特徴付けられる引出溶質を含み得る。
【0066】
1つ以上の実施形態によると、溶媒の浸透抽出のための装置は、引出溶質の溶液からの除去又は溶液への導入が再利用可能な物理的作用又は化学的薬剤により増進される能力により特徴付けられる引出溶質を含み得る。
【0067】
1つ以上の実施形態によると、溶媒の浸透抽出のための装置は、引出溶質の溶液からの除去又は溶液への導入が、電気的エネルギー場により、磁気エネルギー場により、又は引出溶質の分離に対する感受性が増大して引出溶質の除去及び再利用を増進するような他の環境変化により増進される能力により特徴付けられる引出溶質を含み得る。
【0068】
1つ以上の実施形態によると、浸透発電のための方法は、膜分離操作を実施して第1溶液を形成すること、引出溶質を第1溶液から沈殿させること、沈殿した引出溶質を分離して第2溶液を形成すること、第2溶液からのガスの発生を促進すること、速度論に基づいた差動吸収等の技術によりガスを分離すること、及び、膜分離工程における再利用のために、少なくとも1種の分離されたガスを使用して沈殿した溶質を再溶解して第3溶液を形成することを含み得る。
【0069】
1つ以上の実施形態によると、浸透分離システムは、第1溶液から溶媒を抽出して濃厚溶液を作成するように構成された装置を含み得、また、その濃厚溶液を受け取るように構成された入口を有する下流のゼロ液体排出又は他の減少した排出流過程を含み得る。
【0070】
1つ以上の実施形態によると、浸透抽出方法は、浸透分離により、溶媒を第1溶液から抽出して濃厚溶液を作成すること、1種以上の溶質を濃厚溶液から回収すること、及び1種以上の回収された溶質を下流の操作に送達することを含み得る。
【0071】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の抽出のための装置は、第2溶液から溶質を除去するのを補助してその再利用と、溶質の濃度が大幅に減少した製品流又は作動流体の製造とを可能にするように構成された真空又は空気洗浄システムと、水蒸気又は第2溶液の他の成分と比較して溶質に対して選択的である膜を含むパーベーパレーションシステムとを含み得る。
【0072】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の抽出のための装置は、第2溶液から溶質を除去するのを補助してその再利用と、溶質の濃度が大幅に減少した製品流又は作動流体の製造とを可能にするように構成されたパーベーパレーション操作を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、中空糸膜が分離のためにモジュールに使用され、該膜は熱交換に使用される中空糸も含有する。
【0074】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の抽出のための装置は、第2溶液から溶質を除去するのを補助してその再利用と、溶質の濃度が大幅に減少した製品流又は作動流体の製造を可能にする膜蒸留システムを含み得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、中空糸膜がモジュールにおける分離のために使用され、それは熱交換に使用される中空糸も含有する。
【0076】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の抽出のための装置は、第1溶液に浸漬した膜モジュール及び膜モジュールの内部を流れる第2溶液を含む膜システムを含み得る。
【0077】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の抽出のための浸透方法は、第2溶液からの溶質の分離により生じるガス流を、溶質が再生した濃厚第2溶液により容易に吸収され得るように、ガス圧縮機、又は吸収液体流に対する液圧により駆動するエダクターを使用して圧縮することを含み得る。
【0078】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の抽出のための浸透方法は、第1溶液に圧力をかけて第2溶液へと膜を通過する溶媒の流束を増進する又は引き起こすことを含み得る。
【0079】
幾つかの例示的な実施形態を説明したが、当業者には明らかなように、上述のものはただ例示的だけであり、制限されず、例として挙げられるに過ぎない。多数の変更および他の実施形態は当業者には自明であり、本発明の範囲内と見なされる。具体的に、本明細書において記載された多くの例が方法手順またはシステムの要素の特定の組み合せを含むが、それらの手順およびそれらの要素が他の方法で組み合わせられることによって同一の目的を達成することができると理解するべきである。
【0080】
本明細書において説明される装置、システムおよび方法の実施形態が次の説明に記載されるまたは添付図面に図示される構造の詳細および部分の配置に、用途として制限されないことを理解するべきである。その装置、システムおよび方法は、他の実施形態でも実装でき、様々な方法で実践するまたは実行することが可能である。特定の実装の例は、図示するために本明細書において提供され、制限されるつもりではない。具体的に、1つ以上のいかなる実施形態に関しても説明される行為、要素および特徴は他のいかなる実施形態でも類似の役割から除外されるつもりではない。
【0081】
当業者は本明細書において説明されるパラメータおよび構成は例示的であり、実際のパラメータおよび/または構成は、本発明のシステムおよび技術を使用する特定の用途に依存する。当業者は通常の実験しか使用されず本発明の特定の実施形態の同等品を認識するまたは確認することができる。そのため、本明細書に記載される実施形態は、例としてしか挙げられず、また添付される請求項およびその同等品の範囲内で本発明は具体的に明記される方法以外でも実現可能であると理解されるであろう。
【0082】
また、本発明は、本明細書に記載の各特徴、システム、サブシステムまたは技術に関し、本明細書に記載される2つ以上の特徴、システム、サブシステムまたは技術のいかなる組み合せでも、そして本明細書に記載される2つ以上の特徴、システム、サブシステムおよび/または方法のいかなる組み合せでも、その特徴、システム、サブシステムおよび技術が相互に統一されていなければ、請求項に体化されるように本発明の範囲にあると見なされる。また、一実施形態だけに関し説明される行為、要素および特徴は他の実施形態においては同様な役割から除外するつもりがないと理解されるであろう。
【0083】
本明細書において使用される言い回しおよび用語は説明を目的とし制限としては見なされるべきではない。本明細書において使用されるように「複数」という用語は2つ以上の品目および部分を指す。「含む」、「運ぶ」、「有する」、「含有する」および「関わる」という用語は、明細書に記載されるか、または請求項等に記載されるかを問わず非限定的な用語であり、つまり「含むがそれに限らない」を意味する。従って、そのような用語の利用は、そこ以下に列挙される品目と、それらに同等するものと、更なる品目を網羅することを意図される。「構成される」および「本質的に構成される」という移行句のみ、それぞれに請求項に対して閉鎖または半閉鎖移行句である。請求項の要素を変更するために請求項において「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数用語の利用は、それだけで1つの請求項要素に対してもう1つの要素のいかなる優先、先行または順番でも、あるいは方法の行為の時間的な順番を伝わらず、むしろ請求項要素を差別するために、ある名称を有する1つの請求項要素を、同一の名称を有するもう1つの要素(序数用語の使用以外は)から差別するためのラベルとして利用されるに過ぎない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正浸透分離方法であって、:
半透膜の第1の側に第1溶液を導入すること;
第1溶液の少なくとも1つの特性を検出すること;
アンモニア及び二酸化炭素を含む濃厚引出溶液について、少なくとも1つの検出された特性に基づいてモル比を選択すること;
アンモニア及び二酸化炭素を選択されたモル比で含む濃厚引出溶液を半透膜の第2の側に導入して半透膜を横切る所望の浸透濃度勾配を維持すること;
半透膜を通過する第1溶液の少なくとも一部の流れを促進して半透膜の第1の側に第2溶液を、半透膜の第2の側に希薄引出溶液を形成すること;
少なくとも一部の希薄引出溶液を分離操作に導入して引出溶質及び溶媒流を回収すること;
半透膜の第2の側に引出溶質を再導入して濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素の選択されたモル比を維持すること;
溶媒流を収集すること、
を含む、前記分離方法。
【請求項2】
分離操作が引出溶質を濃厚引出溶液中に凝縮するように構成された吸収体を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒流、希薄引出溶液又は濃厚引出溶液が吸収体における吸収剤として使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
吸収体と共に冷却の使用をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
希薄引出溶液からの引出溶質の分離により生じたガス流をガス圧縮機又はスチームエダクターを使用して圧縮して濃厚引出溶液への引出溶質の再吸収を促進することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1溶液に圧力をかけて濃厚引出溶液へと半透膜を通過する流束を増進すること、又は引き起こすことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
引出溶質の溶液からの除去若しくは溶液への導入が触媒の使用により増進される能力により特徴付けられる、引出溶質の溶液からの除去若しくは溶液への導入が再利用可能な物理的作用若しくは化学的薬剤により増進される能力により特徴付けられる、又は引出溶質の溶液からの除去若しくは溶液への導入が電気的エネルギー場、磁気エネルギー場若しくは分離に対する引出溶質の感受性が増加して引出溶質の除去及び再利用を増進するような他の環境変化により増進される能力により特徴付けられる引出溶質を含む濃厚引出溶液を選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1溶液及び濃縮引出溶液の少なくとも1つについて体積変化を検出すること、及び検出された変化に応じて半透膜についての流路を変更して所望の流れ特性を維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
触媒、試薬、消耗品、再利用可能材料、電気的エネルギー場又は磁気エネルギー場を使用して引出溶質の除去又は吸収を増進することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
機械的蒸気再圧縮、熱蒸気再圧縮、真空蒸留、スイープガス蒸留、パーベーパレーション及び密閉サイクル熱ポンプの少なくとも1つを使用することによりプロセスエネルギーを減少させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
圧力遅延浸透について、二酸化炭素を使用して引出溶質を沈殿させること、及びアンモニアを使用して沈殿物を再吸収させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
種を添加されたスラリーを第1溶液に導入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1操作中の第1溶液における塩の過飽和及び、再飽和のために第1操作に戻る前に第2操作中における塩の脱飽和を使用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1溶液からの溶媒の浸透抽出のためのシステムであって、該システムが:
第1溶液源に流体接続された入口を有する第1チャンバー;
アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1のモル比で含む濃厚引出溶液源に流体接続された入口を有する第2チャンバー;
第1チャンバーを第2チャンバーから分離する半透膜システム;
蒸留カラムを含み、第2チャンバーの下流に流体接続された分離システムであって、希薄引出溶液を第2チャンバーから受け取り、引出溶質及び溶媒流を回収するように構成された分離システム;
引出溶質の第2チャンバーへの再導入を容易にして濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素のモル比を維持するように構成された吸収体を含むリサイクルシステム、
を含む、前記システム。
【請求項15】
吸収体が充填カラムを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
吸収体が膜接触器を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
膜接触器が、膜接触器において、冷却された吸収剤の並列流及び引出溶質ガスの直列流を容易にするように構成され、配置される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
蒸留カラムが膜蒸留装置を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
リサイクルシステムが吸収体の下流に圧縮操作をさらに含んで引出溶質ガスの濃縮を増進する、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
圧縮操作がガス圧縮機、スチームエダクター又は液体流エダクターを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
分離操作が炭素隔離ループをさらに含んで引出溶質を吸収し、脱着し、該炭素隔離ループが引出溶質ガスの吸収を完結させ、その圧力を増加させてその濃厚引出溶液への吸収を促進するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
半透膜システムが第1溶液に浸漬された膜モジュールを含み、濃厚引出溶液が膜モジュールの内部を流れる、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
半透膜システムが:
溶媒が抽出される第1溶液に関連する第1流路であって、第1流路は第1流路の有効体積が第1流路の長さに伴って減少するような、先細りの形状又はフロースペーサーの形状を有する;
第1溶液から溶媒が抽出される濃厚引出溶液に関する第2流路であって、第2流路は第2流路の有効体積が第2流路の長さに伴って増加するような拡大形状又はフロースペーサーの形状を有する、
を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
半透膜システムがピラミッド状の膜モジュールの配置を含んで第1溶液の体積の減少及び濃厚引出溶液の体積の増加に適応し、該ピラミッド状の膜モジュールの配置は、向流配置において、引出溶液入口及び供給溶液出口の向きにより少ない膜モジュールが存在し、膜モジュール供給溶液入口及び引出溶液出口の向きにより多い膜モジュールが存在するように配置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項25】
下流のゼロ液体排出、又は他の減少した排出流操作をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項26】
引出溶質の除去を補助するように構成される真空又は空気ストリッピングシステムをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項27】
引出溶質を除去するように構成されるパーベーパレーションシステムをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項28】
パーベーパレーションシステムが、水蒸気と比較して引出溶質ガスについて選択的である膜を含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
引出溶質を除去するための膜蒸留システムをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項30】
モジュールにおいて、膜が引出溶質の分離及び熱交換の両方に使用される、請求項14に記載のシステム。
【請求項31】
浸透発電の方法であって、
膜分離操作を実施して第1溶液を形成すること;
引出溶質を第1溶液から沈殿させること;
沈殿した引出溶質を分離して第2溶液を形成すること;
第2溶液からのガスの発生を促進すること;
速度論に基づいた差動吸収等の技術によりガスを分離すること;
膜分離工程における再利用のために、少なくとも1種の分離されたガスを使用して沈殿した溶質を再溶解して第3溶液を形成すること、
を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509295(P2013−509295A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537068(P2012−537068)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054512
【国際公開番号】WO2011/059751
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(511133509)オアシス ウォーター,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】