説明

歩行補助具の制動装置

【課題】下り坂での加速による事故を防止することができるようにし、また、登り坂で使用者の安全を保護できるようにした歩行補助具の制動装置を提供する。
【解決手段】枠組みになる本体10、本体10の上部両側に具備される把持部20、本体10の下部の前後に備わる前後車輪30で構成された歩行補助具において、前記車輪30を回転可能に支持するブラケット40の上部に連結管41を形成し、この連結管41に本体10の下部を上下に移動可能に挿入し、前記本体10の下部にその下降時に車輪30と接触する制動ピン50をスプリング60で弾性付勢して設置し、前記連結管41の下部中央部に制動ピン50が挿通するピン孔42を形成し、前記ピン孔42を貫通して下部に突出した制動ピン50にスナップリング70を挟んで固定した構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挙動が不自由な患者や老人などが歩行する際に補助器具として使う歩行補助具に関するもので、より詳しくは、下り坂の加速による安全事故を防止できるようにし、また、登り坂で使用者を安全に保護できるようにした歩行補助具の制動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、周知のごとく歩行補助具は患者や老人、また脚や体の不自由な障害者などが歩行する際に補助記具として使用するもので、このような歩行補助具は軽いウォーキングや場所を移動する際に体を支えることで移動可能にしたものである。
【0003】
従来の歩行補助具には多様な形態があるが、通常はパイプを折り曲げた枠組みになる本体と、前記本体の上部両側に具備され、手でつかんで押し引きしながら運行できる把持部と、前記本体の下段前後方に各々備わる前後車輪で構成されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の歩行補助具においては、制動機能に欠如があり、 平坦な地形での活動には構造的に特別問題はないが、下り傾斜の坂での歩行時の突発的な状況や、使用者の体重が歩行補助具に加重され、急速に歩行補助具の速度が増す場合、挙動が不自由な患者や老人の大半がブレーキをかけることができず、事故を誘発するという安全上の問題点があった。
【0005】
また、従来の歩行補助具においては、上述した通り制動機能が欠如し、特に登り傾斜の坂での歩行時に歩行補助具が傾斜路に沿って降りてきてしまい、事故を誘発するという危険があり、登り坂で使用者の安全を十分保護できないという問題点もあった。
【0006】
本発明の目的は、以上のような前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、歩行時にブレーキをかけられるようにすることにより下り坂での加速による事故を未然に防止することができるようにし、また、登り坂で使用者の安全を確保できるようにした歩行補助具の制動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、枠組みになる本体、前記本体の上部両側に具備される把持部、前記本体の下段前後方に各々備わる車輪で構成された歩行補助具において、前記車輪を回転可能に支持するブラケットの上部に連結管を各々形成し、前記連結管の内径に本体の下部を上下に移動可能に各々挿入するものの、前記本体の下部に下降時車輪と接触する制動ピンを各々設置して前記把持部を取って本体を下部に押すと制動ピンが下降して車輪に接触しながらブレーキがかかるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の歩行補助具の制動装置によると、走行時に歩行補助具の把持部を取って本体を下部に押すと制動ピンが車輪に接触しながらブレーキがかかるので、構造的に下り坂で加速による事故を未然に防止することができ、また、登り坂でブレーキをかければ後退が防止されるので登り坂で使用者の安全を確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の設置状態を示す歩行補助具の斜視図である。
【図2a】図1の「A」部分の作動状態を示す断面図である。
【図2b】図1の「A」部分の作動状態を示す断面図である。
【図3a】図1の「B」部分の作動状態を示す断面図である。
【図3b】図1の「B」部分の作動状態を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【0010】
以下、添付された図面によって本発明の技術的構成を詳しく説明する。
【0011】
本発明による歩行補助具の制動装置は、図1乃至図3bのごとく、枠組みになる本体10、本体10の上部両側に各々具備される把持部20、本体10の下段両側前後方に各々備わる前後車輪30で構成された歩行補助具において、前記車輪30を回転可能に支持するブラケット40の上部に連結管41を各々形成し、この連結管41に本体10の左右両側の前後に位置する脚部の下部を上下に移動可能に各々挿入してある。この連結管41と前記本体10との間には、前記本体10の右両側の前後に位置する脚部が下降した際に車輪30と接触する制動ピン50がスプリング60で弾性付勢下状態で各々設置してある。前記連結管41の下部中央部に前記制動ピン50が挿通するピン孔42を形成し、前記ピン孔42を介して下部に突出した制動ピン50にスナップリング70を挟んで固定したことをその技術的構成上の基本的な特徴とする。
【0012】
ここで、前記本体10は歩行補助具の基本骨格の主な枠組みになるものであって、このような本体10は図1のごとくパイプで折り曲げられた両側枠組みが連結バーに連結された構造として形成される。
【0013】
前記把持部20は、本体10の上部両側に各々具備されるもので、このような把持部20は歩行補助具を手でつかんで押し引きしながら運行できるようにする役割を遂行する。つまり、使用者は前記把持部20を手で掴んで歩行補助具を押し引きしながら走行することができる。
【0014】
前記前後車輪30は、本体10の下段両側の前後方に各々具備されるもので、このような前後車輪30は走行時に歩行補助具を円滑に移動させる役割を遂行する。
【0015】
前記ブラケット40は、前後車輪30を回転可能に支持するもので、このようなブラケット40の上部には連結管41が各々形成され、この連結管41に、内径には本体10の左右両側の前後に位置する脚部が上下に移動可能に装着してある。この時、前記連結管41の下部中央には制動ピン50が貫通するピン孔42が形成される。
【0016】
前記制動ピン50は、本体10の左右両側の前後に位置する脚部にスプリング60で退入側に弾性不正して設置してあり、この制動ピン50は図2a、3aのごとく平常はスプリング60により弾力的に上昇された状態(退入姿勢)を維持し、一方、前記本体10を下側に押すと制動ピン50が同時に下降しながら図2b、3bのごとく車輪30と接触してブレーキをかける進出姿勢をとる。
【0017】
前記制動ピン50の上部には、本体10の脚部下端に密着する支え段51が一体として形成してあり、前記支え段51の上部には本体10の脚部内径に圧入される固定棒52が一体として設けてある。この際、前記支え段51は制動ピン50が本体10の脚部内部に押し寄せることを防止するという役割を遂行し、前記固定棒52は制動ピン50を本体10に固定させるという役割を遂行する。
【0018】
なお、図3a、3bに示すように、後車輪30に設置される制動ピン50の場合には、車輪30の中央上部に正位置して制動時に制動ピン50の底面が車輪30に面接触されるが、図2a、2bのごとく前車輪30に設置される制動ピン50の場合には車輪30の中央上部の正位置ではなく片側に偏って位置し、制動時に制動ピン50の底面が車輪30に面接触せず隅が接触することになるから摩擦力が落ちることになるので、前車輪30に設置される制動ピン50の摩擦力を高めるために制動ピン50の下部端縁はテーパー面50aに形成される。
【0019】
前記スプリング60は制動ピン50に弾力を付与するものであって、このようなスプリング60は制動ピン50に挟まれた状態で支え段51とピン孔42の間に配置される。したがって、平常、制動ピン50はスプリング60の弾性によって図2a、3aに示すように弾力的に上昇された状態(退入姿勢)を維持し、一方、前記本体10を下部に押すと制動ピン50が図2b、3bに示すようにスプリング60を圧縮しながら弾発力に抗して下降するようになる。
【0020】
前記スナップリング70は、ピン孔42を介して下部に突出した制動ピン50に挟まれるもので、このようなスナップリング70は本体10が連結管41から完全に陥ることを防止するという役割を遂行する。
【0021】
本発明の他の実施例によると図4に示すように、前記連結管41の内径にはボールホーム41aが形成され、前記ボールホーム41aには本体10と接触する多数のボール80が挟まれたことを特徴とする。このような本発明の他の実施例によると、連結管41の内径と本体10の外径の間にボール80が配置されるので、本体10の昇降作動がいっそう円滑に行われる。
【0022】
このように構成された本発明の歩行補助具も周知のごとく患者や老人、また脚や体の不自由な障害者などが歩行する際、補助具具として使用するということは従来と同様である。
【0023】
しかしながら、本発明では図2a、3aのごとく平常はスプリング60の弾力によって制動ピン50が車輪30と離隔された状態を維持してブレーキがかからないが、図2b、3bのごとく本体10を下部に押すと制動ピン50が車輪30に接触してブレーキがかかるようになる。
【0024】
したがって、このような本発明に係る歩行補助具の制動装置によると、使用者が両側把持部20を手でつかんだ状態で把持部20を下部に押さなければ図2a、3aと車輪30にブレーキがかからないが、図2b、3bのごとく本体10が下降するように把持部20を下部に押すと制動ピン50が下降しながら車輪30に接触してブレーキがかかるので、特に傾斜度のある下り坂で把持部20を押しながら走行すれば加速を防止しながら徐々に移動でき、下り坂で加速による事故を未然に防止できるという長所がある。
【0025】
また、本発明に係る歩行補助具の制動装置によると、上述した通り把持部20を下部に押すとブレーキがかかるので、特に傾斜度がある登り坂で把持部20を押しながら上がれば後進を防止しながら徐々に移動できるので、登り坂で使用者の安全を保護できるという長所がある。
【符号の説明】
【0026】
10…本体、20…把持部、30…車輪、40…ブラケット、41…連結管、41a、ボールホーム、42…ピン孔、50…制動ピン、50a…テーパー面、51…支え段、52…固定棒、60…スプリング、70…スナップリング、80…ボール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組みになる本体10、本体10の上部左右両側に具備される把持部20、本体10の下部前後に備わる前後車輪30で構成された歩行補助具において、前記車輪30を回転可能に支持するブラケット40の上部に連結管41を形成し、この連結管41に本体10の下部を上下に移動可能に挿入し、前記本体10の下部と連結間41の底部との間に本体下降の際に車輪30と接触する制動ピン50を退入付勢する状態でスプリング60を装着し、前記連結管41の下部の中央部に前記制動ピン50が挿通するピン孔42を形成し、このピン孔42を貫通して下部に突出した制動ピン50にスナップリング70を挟んで固定したことを特徴とする歩行補助具の制動装置。
【請求項2】
前記制動ピン50の上部には本体10の下端に密着する支え段51が備わり、前記支え段51の上部には本体10の内径に圧入される固定棒52が具備されることを特徴とする請求項1記載の歩行補助具の制動装置。
【請求項3】
前記制動ピン50の下部にはテーパー面50aが形成されたことを特徴とする請求項1記載の歩行補助具の制動装置。
【請求項4】
前記連結管41の内径にはボールホーム41aが形成され、このボールホーム41aには本体10と接触する多数のボール80が挟まれたことを特徴とする請求項1記載の歩行補助具の制動装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−94522(P2013−94522A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241987(P2011−241987)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(511267952)
【Fターム(参考)】