説明

歯周疾患のためのワクチン

本発明は、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患の原因となる、16SrRNAのDNAによって同定された新規の細菌分離株、および、このような細菌を含むワクチンに関する。また、歯周疾患の治療および予防方法、ならびに、歯周疾患を検出し治療するためのキット、歯周疾患を検出し予防するためのキットも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患の原因となる16SrRNAのDNAによって同定された新規の細菌分離株、それらに含まれるポリヌクレオチド配列、このようなポリヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチド、および、不活性化または弱毒化された上記細菌分離株、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含むワクチンに関する。また、歯周疾患の治療および予防方法、ならびに、歯周疾患を検出し、治療し、予防するためのキットも提供する。
【背景技術】
【0002】
歯周疾患は、歯の支持組織に関する一連の感染で構成される。その重症度のレベルは、歯肉(歯茎)の軽度の可逆性炎症から、歯周組織(歯肉、歯根膜および歯槽骨)の慢性的な破壊(結果的に歯の脱落を伴う)に至る。歯周疾患に関する実験データの大半は、ヒト、または、ヒトから単離された細菌の研究に基づいている。それに対して、ヒト以外の動物、例えばコンパニオンアニマル、特にイヌおよびネコにおける歯周疾患に関してわかっていることはほとんどない。
【0003】
微生物学的な観点からみれば、この病気の数々の特徴は興味深いものである。細菌的な原因論は、ヒトにおける病気発症と進行に関与する多種多様な生物と複雑に関連している。全てとは言えないがこれらの生物の多くは、歯周に関して健康な個体にも存在し得るもので、片利共生的に宿主と調和して存在する可能性がある。ヒトにおいて、歯および歯肉縁下の領域にうまく定住した生物は、これらの領域に生息する多くの(600種を超える)その他の細菌種と共存していなければならないことがわかっている。
【0004】
歯と歯肉の上皮細胞の石灰化した硬組織はいずれも、定着に利用可能である。これらの組織は、宿主の唾液分泌物や歯肉の歯肉溝滲出液(血清滲出液)に晒され、これらはいずれも細菌と直接相互作用し、優勢な環境条件を改変する分子を含む。局所的な環境は、歯肉縁上の歯表面と歯肉縁下の隙間(これは、歯根と歯肉との間のチャンネルであり、病気が進行するにつれて深くなり歯周ポケットになる)にある構成している微生物叢に様々な特有の制約を課する。ヒトにおける歯周疾患の病因の研究は、微環境の生態学的な複雑のために複雑化している。しかしながら、病気の発症は、例えば所定の生物の絶対数または相対数における変化、発病させる可能性の変化、または、特定の宿主の因子の変調の結果として、細菌と宿主の因子との生態学的均衡がシフトした結果として起こる可能性があると考えられる。
【0005】
ヒトにおける歯周疾患の様々な兆候の分類は頻繁に変化しており、さらに、病気は、重症度、進行速度、および、影響を受けた歯の数に応じて変動し、乳歯の萌出の後に様々な年齢群において感染しやすくなることがいえる。病原性物質の性質は、これら病気そのものの間で、同様にヒト患者の間で変化し、さらに患者における異なる罹患部位の間でさえも変化する。しかしながら、一般的に、この病気の重度の形態は、多数のグラム陰性の嫌気性細菌に関連する。この群のなかでも、ヒトにおいて、ほとんどの証拠は、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis,以前はBacteroides gingivalis)に関する病因となる役割を指摘している。この生物は、単独で作用するか、または、その他の細菌との混合感染として作用するかのいずれかであり、場合によっては、宿主における有益種の非存在および所定の免疫応答と協調するが、この生物が存在することが病気の活性に必須のようである。
【0006】
P.ジンジバリスのヒト口腔への最初の侵入は、感染した個体からの伝染によって起こると考えられる。従って、その他の媒介体もまた、作動する可能性があるようである。これらの研究によれば、定着部位または臨床状態に関係なく、個体は、単一の(または、少なくとも優勢の)遺伝子型でコロニー形成されることが示されている。それに対して、異なる個体に、多くの様々なクローン起源の株が存在する。これは、P.ジンジバリスは、実質的に、特定のクローンタイプに限定されない、毒性を有する日和見病原体であるという概念を裏付けるものである。
【0007】
P.ジンジバリスに加えて、バクテロイデス属(Bacteroides)もまた、ヒトにおいて歯周炎に関連している。新規のバクテロイデス属、バクテロイデス・フォルシサス(Bacteroides forsythus)が、嫌気的な歯周ポケットから最初に単離された(Tanner等,“A study of the bacteria associated with advancing periodontitis in man”,Journal of Clinical Periodontology(1979年),6,278〜307)。近年、これは、様々な生化学的な基準に基づき、タンネレラ・フォーサイセンシス(Tannerella forsythensis)と再分類された(Sakamoto等,“Reclassification of Bacteroides forsythus(Tanner等,1986年) as Tannerella forsythensis corrig.,gen.nov.,comb.nov.”,International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology(2002年),52,841〜849)。
【0008】
歯周疾患について、ヒトではかなりわかっているが、同じ病気でコンパニオンアニマルにおいてわかっていることは極めてわずかである。また、動物においてポルフィロモナス属(Porphyromonas)も病気に関与するが、これらの分離株は、それらとヒトにおいてそれらに対応するものとを区別する特徴を有する(総論として、Harvey in “Periodontal disease in dogs.Etiopathogenesis,prevalence,and significance”,Veterinary Clinics of North America−Small Animal Practice(1998年),28,1111〜1128を参照)。Fournier,D.等は、動物におけるP.ジンジバリスのバイオタイプの、様々な動物宿主からの単離を説明している(“Porphorymonas gulae sp.nov.,an Anaerobic,Gram−negative,Coccibacillus from the Gingival Sulcus of Various Animal Hosts”,International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology(2001年),51,1179〜1189)。この著者によれば、この生物(P.gulae)は、P.ジンジバリスとは別個のポルフィロモナス属の特徴を示すと仮定している。WO03/054755では、イヌおよびネコ由来の新規のポルフィロモナス分離株、同様に、歯周疾患を治療および予防するための方法およびキットを説明している。
【0009】
また、バクテロイデス種は、歯周疾患を有すると診断されたイヌにおいて歯肉縁下部位からも単離されている(Forsblom等,“Characterization of Anaerobic,Gram−Negative,Nonpigmented,Saccharolytic Rods from Subgingival Sites in Dogs”,Clinical Infectious Diseases(1997年),25,S100〜106)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を治療および予防するための安全で有効なワクチンに関する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、直接的に、または、その他の病原性物質と組み合わされることのいずれかによって、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を引き起こす単離された色素生産性嫌気性細菌を提供する。
【0012】
その他の実施形態において、本発明は、直接的に、または、その他の病原性物質と組み合わされることのいずれかによって、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を引き起こす単離された色素生産性嫌気性細菌を提供するものであって、ここにおいて、前記細菌は、コンパニオンアニマルなどの哺乳動物において歯周疾患を治療または予防するためのワクチンを製造するのに用いることができ、ここにおいて、前記ワクチンは、不活性化または弱毒化された少なくとも1種の細菌の免疫学的に有効な量を含む。
【0013】
一実施形態において、本細菌はさらに、バクテロイデス・デンティカノリス(Bacteroides denticanoris)、ポルフィロモナス・レビ(Porphyromonas levii)、および、タンネレラ・フォーサイセンシスからなる群より選択される。
【0014】
好ましくは、本細菌は、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15からなる群より選択される配列に少なくとも約95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%相同な16SrRNAのDNA配列を含む。
【0015】
さらなる実施形態において、本発明は、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15からなる群より選択されるヌクレオチド配列のいずれかを含む単離されたポリヌクレオチド分子、および、それらに少なくとも約95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%の相同性を有する相同体を提供する。本発明の単離されたポリヌクレオチドは、以下で定義されるようなフラグメントおよび変異体を含む。
【0016】
その他の形態において、本発明は、本発明に係る少なくとも1つの色素生産性嫌気性細菌、および、製薬上許容できる担体を含む免疫原性組成物を提供する。本免疫原性組成物の細菌は、生きていてもよいし、または不活性化されていてもよい。場合により、本免疫原性組成物は、アジュバントを含んでいてもよい。
【0017】
さらなる形態において、本発明は、コンパニオンアニマルなどの哺乳動物において歯周疾患を治療または予防するためのワクチンを提供するものであり、本ワクチンは、免疫学的に有効な量の本発明に係る少なくとも1つの色素生産性嫌気性細菌、および、製薬上許容できる担体を含む。本ワクチンの細菌は、生きていてもよいし、または不活性化されていてもよい。場合により、本ワクチンは、アジュバントを含んでいてもよい。
【0018】
その他の形態において、本発明は、コンパニオンアニマルなどの哺乳動物において歯周疾患を治療または予防する方法を提供するものであり、本方法は、本発明に係るワクチン組成物を、それらが必要な哺乳動物に投与することを含む。
【0019】
その他の形態において、本発明は、コンパニオンアニマルなどの哺乳動物において、本発明の細菌、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに関してサンプルを解析することによって歯周疾患を診断するための方法を提供するものであり、ここにおいて、上記細菌、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドの存在が、病気の指標である。好ましくは、この解析工程は、サンプルを、PCR、ハイブリダイゼーション、および、抗体検出からなる群より選択される方法を用いて解析することを含む。
【0020】
さらにその他の形態において、本発明は、少なくとも1つのコンテナーに、コンパニオンアニマルなどの哺乳動物における歯周疾患を治療および予防するための組成物を含むキットを提供するものであり、ここにおいて、前記組成物は、少なくとも1つの不活性化または弱毒化された単離された色素生産性嫌気性細菌の有効量、または、前記色素生産性嫌気性細菌から誘導されたポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、および、製薬上許容できる担体を含む;本キットはさらに、哺乳動物において歯周疾患を治療または予防するのに有用なキットであることを示す説明書一式を含む。本キットは、前記組成物を分注するための手段をさらに含んでいてもよい。
【0021】
さらにその他の形態において、本発明は、少なくとも1つのコンテナーに、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15に記載のヌクレオチド配列のいずれかの相補物に高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15のいずれか一つから選択される少なくとも約15個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む単離されたDNA分子を含み、第二のコンテナーに、高度にストリンジェントな条件下で配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15に記載のヌクレオチド配列のいずれかにハイブリダイズする配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15に記載のヌクレオチド配列のいずれかの相補物から選択される少なくとも約15個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む第二の単離されたDNA分子を含むキットを提供するものであり、本キットはさらに、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属およびタンネレラ属(Tannerella)の検出に有用なキットであることを示す説明書一式を含む。このような方法は、一般的に、コンパニオンアニマルなどの全ての哺乳動物に用いることができる。
【0022】
さらなる形態において、本発明は、少なくとも1つのコンテナーに、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15のいずれか一つから選択される少なくとも約15個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む単離されたDNA分子、またはその相補物を含むハイブリダイゼーションキットを提供するものであり、ここにおいて、上記ハイブリダイゼーションは、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属に特異的であり、本キットはさらに、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属の検出に有用なキットであることを示す説明書一式を含む。好ましくは、上記ハイブリダイゼーションは、高度にストリンジェントな条件下で行われる。
【0023】
本発明はさらに、生物学的に純粋な細菌培養物を提供するものであり、ここにおいて、前記細菌は、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15からなる群より選択される配列に少なくとも約95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%相同な16SrRNAのDNA配列を含む。
【0024】
本発明はまた、生物学的に純粋な細菌培養物を提供するものであり、ここにおいて、前記培養物は、ATCC PTA−5881、または、ATCC PTA−5881の同定された特徴の全てを有する培養物である。本発明はまた、生物学的に純粋な細菌培養物を提供するものであり、ここにおいて、前記培養物は、ATCC PTA−5882、または、ATCC PTA−5882の同定された特徴の全てを有する培養物である。本発明は、生物学的に純粋な細菌培養物を提供するものであり、ここにおいて、前記培養物は、ATCC PTA−6063、または、ATCC PTA−6063の同定された特徴の全てを有する培養物である。
【0025】
本発明はまた、コンパニオンアニマルなどの哺乳動物において歯周疾患を治療または予防するためのワクチンとしての有用性を有する本発明の細菌から誘導された、単離されたポリヌクレオチドおよびポリペプチドも含む。
【0026】
図面の簡単な説明
図1.イヌおよびネコのBPAB分離株の特徴付け、
図2.B.デンティカノリスB78T、同様に、6種のコントロール細菌に関するRapID ANA II試験の結果である。
図3.バクテロイデス網からの代表種に関する、近隣結合法による系統樹である。この系統樹は、CLUSTAL Xバージョン1.81と、NJプロットソフトウェアプログラム(いずれも、ftp://ftp-igbmc.u-strasbg.fr/pub/ClustalX/より入手可能)を用いて作製された。この系統樹は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)の16SrRNA遺伝子配列(登録番号J01695)(データ示さず)を起源とした。ブートストラップ解析を1000の複製を用いて行った。ブートストラップ値は、記号によって示される(●、>950;■、>850;○、>700;□、>500;記号なし、<500)。目盛りのバーは、ヌクレオチド位置あたり0.01の置換を示す。矢印は、B.デンティカノリスB78Tの位置を示す。登録番号:P.ジンジバリスATCC33277、J01695;P.gulae B243,AF285874;P.cansulci VPB4875,X76260;P.salivosa NCTC11632,L26103;P.endodontalis ATCC35406,AY253728;T.フォーサイセンシスATCC43037,AB035460;バクテロイデスcf.フォルシサスの口腔のクローンBU45,AF385565;B.merdae ATCC43184T,X83954;B.distasonis ATCC8503,M86695;ウマの糞の細菌(Equine fecal bacterium)118ds10,AY212569;D.shahii CCUG 43457株,AJ319867;A.putredinis ATCC29800,L16497;R.microfusus ATCC29728,L16498;ブタの糞の細菌(Swine fecal bacterium)FPC111,AF445205;バクテロイデス属139,AF319778;B.フラジリス(fragilis)ATCC25285T,X83935;B.テタイオタオミクロン17.4,AY319392株;B.acidofaciens A37,AB021163株;B.デンティカノリスB78T,AY549431;バクテロイデス属0103−800,AJ416906;培養されていないBacteroidetes Bisii 27,UBA318179;P.bivia ATCC29303.L16475;P.nigrescens ATCC25261,L16479;P.intermedia ATCC25611,L16468;P.denticola ATCC35308,L16467;および、P.buccae ATCC33690,L16478。
【0027】
図4.B.デンティカノリスの臨床分離株に関する近隣結合法による系統樹である。この系統樹は、図1と同様にして作成された。この系統樹は、バクテロイデス属0103−800の16SrRNA遺伝子配列(登録番号AJ416906)を起源とした。目盛りのバーは、ヌクレオチド位置あたり0.001の置換を示す。それぞれの16SrRNA配列クラスターから、構成要素を1つだけ示す。登録番号:B.デンティカノリスB78T、AY549431;B.デンティカノリスB80、AY549432;B.デンティカノリスB83、AY549433;B.デンティカノリスB241、AY549434;B.デンティカノリスB242、AY549435;B.デンティカノリスB342、AY549436;B.デンティカノリスB458、AY549437;B.デンティカノリスB473、AY549438;B.デンティカノリスB474、AY549439;および、B.デンティカノリスB476、AY549440。
図5.歯周疾患の口腔のマウスモデルにおける、B.デンティカノリスB78Tの病原性試験である。それぞれの試験群に16匹のマウスを用いた。マウスを説明通りに処理した。開始後42日にマウスを殺し、顎の肉を取り、染色した。それぞれの顎に対して、14回の独立したCEJ−ABC距離の測定を行った。それぞれの群の平均CEJ−ABC測定値を示す。それぞれの群の標準誤差を示す。2つの群の間の統計学的な有意性を示す。
【0028】
配列表の簡単な説明
配列番号1 配列解析用プライマー、
配列番号2 配列解析用プライマー、
配列番号3 バクテロイデス・デンティカノリス(B78)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号4 ポルフィロモナス・レビ(B222)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号5 タンネレラ・フォーサイセンシス(B343−24)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号6 バクテロイデス・デンティカノリス(B78)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA(全長)、
配列番号7 バクテロイデス・デンティカノリス(B80)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号8 バクテロイデス・デンティカノリス(B83)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号9 バクテロイデス・デンティカノリス(B241)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号10 バクテロイデス・デンティカノリス(B242)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号11 バクテロイデス・デンティカノリス(B342)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号12 バクテロイデス・デンティカノリス(B458)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号13 バクテロイデス・デンティカノリス(B473)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号14 バクテロイデス・デンティカノリス(B474)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号15 バクテロイデス・デンティカノリス(B476)由来の16SrRNAの一部をコードするDNA、
配列番号16 配列解析用プライマー、
配列番号17 配列解析用プライマー。
【0029】
発明の詳細な説明
細菌の分離株
本発明は、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患および様々なその他の病気、ならびに臨床的な兆候の原因となり得る、16SrRNAのDNA配列によって同定された単離された嫌気性細菌を提供する。より具体的には、本細菌は、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属から選択される。
【0030】
さらに本発明は、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を引き起こす新規の嫌気性細菌を提供する。この新規の分離株は、実験用の歯周疾患のマウスモデルにおいて、歯槽骨の減少を誘導する。この細菌の分離株の細胞形態学的および生化学的な特性によれば、これはバクテロイデス属の一員であることが示される。16SrRNA遺伝子配列の比較によれば、本細菌は、生化学、分子レベルの系統発生学、および、病原性の証拠に基づき、バクテロイデス属のなかでこれまで定義されていない種であることを示すことが示唆されており、我々はこれを、Bacteroides denticanoris sp.novと命名した。バクテロイデス・デンティカノリスの標準株は、B78T株(=ATCC PTA−5881)である。従って、好ましくは、本発明の単離された細菌としては、バクテロイデス・デンティカノリス(B78)、ポルフィロモナス・レビ(B222)、および、タンネレラ・フォーサイセンシス(B343−24)が挙げられるが、その他の種または株も本発明に包含される。好ましい実施形態において、本発明の単離された細菌は、それらの16SrRNAのDNA配列(配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15に示される)によって同定することができる。
【0031】
本発明の細菌で感染させることによって引き起こされる病気としては、これらに限定されないが、コンパニオンアニマルの歯周疾患、コンパニオンアニマル 口の悪臭(口臭)、ウシの足腐敗症、イヌの冠動脈心疾患、および、イヌの全身感染が挙げられる。また、これらの属に含まれる細菌は、冠動脈心疾患、耳下腺炎、口の悪臭、歯肉炎、歯周炎、卒中、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、細菌性膣炎、子宮内発育遅延(IUGR)、および、低い出生時体重の乳児の早期産発生率の上昇などの様々なヒトの病気にも関連している。
【0032】
本発明は、細菌種の単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。本発明はまた、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15のいずれかに、少なくとも約90%の相同性、好ましくは少なくとも約95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供する。
【0033】
加えて、本発明は、ストリンジェントな条件下で、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15に示されるポリヌクレオチド配列のいずれかの相補物にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0034】
その他の具体的な実施形態において、高いストリンジェンシー条件化で、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15に示されたポリヌクレオチド配列のいずれか、またはそれらの相補物にハイブリダイズ可能な核酸が提供される。一例として、ただしこれらに限定されないが、このような、90個を超えるヌクレオチドからなるハイブリダイゼーション領域のための高いストリンジェンシー条件を用いる手法は以下の通りである。DNAを含むフィルターのプレハイブリダイゼーションを、8時間〜一晩、65℃で、6×SSC、50mMトリス−HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%PVP、0.02%フィコール、0.02%BSA、および、500μg/mLの変性サケ精子DNAで構成される緩衝液中で行う。フィルターを、48時間、65℃で、100μg/mLの変性サケ精子DNA、および、5〜20×106cpmの32Pで標識したプローブを含むプレハイブリダイゼーション混合物中で、ハイブリダイズさせる。フィルターの洗浄を、37℃で1時間、2×SSC、0.01%PVP、0.01%フィコール、および、0.01%BSAを含む溶液中で行う。それに続き、オートラジオグラフィの前に、0.1×SSC中で、50℃で45分間洗浄を行う。
【0035】
使用可能なその他の高いストリンジェンシー条件は、核酸の性質(例えば長さ、GC含量など)や、ハイブリダイゼーションの目的(検出、増幅など)に応じて決まり、当業界周知である。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において、約15〜40塩基からなるオリゴヌクレオチドの相補配列へのストリンジェントなハイブリダイゼーションは、以下の条件下、すなわち塩濃度は50mMのKCl、緩衝液濃度は10mMトリス−HCl、Mg2+濃度は1.5mM、pH7〜7.5、および、アニーリング温度は55〜60℃で行われる。
【0036】
好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーション後の洗浄条件は以下の通りである。それぞれのメンブレンを、2回洗浄し(それぞれ30分間、それぞれ45℃で、40mMリン酸ナトリウム、pH7.2、5%SDS、1mMのEDTA、0.5%ウシ血清アルブミン中で)、続いて、4回洗浄する(それぞれ30分間、リン酸ナトリウム、pH7.2、1%SDS、1mMのEDTA中で)。高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションのためには、メンブレンをさらに、4回の洗浄(それぞれ30分間、40mMリン酸ナトリウム、pH7.2、1%SDS、1mMのEDTA中で、55℃で)、続いて4回の洗浄(それぞれ30分間、リン酸ナトリウム、pH7.2、1%SDS、1mMのEDTA中で、65℃)で処理する。
【0037】
本発明はさらに、コンパニオンアニマルに治療有効量で投与すると、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患の治療または予防(すなわち、それに対して耐性を付与すること)に有用なワクチンおよびワクチン製剤を提供する。
【0038】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1種の弱毒化した(弱毒化された生の)、または、不活性化された細胞全体の調製物(バクテリン)を含むワクチンを提供する。その他の実施形態において、本ワクチンは、免疫反応を誘発させることができる1種またはそれ以上の細菌種由来のサブユニット分画を含む。
【0039】
弱毒化した(弱毒化された生の)、または、不活性化されたワクチン(バクテリン)は、その他の既知のワクチン製剤の成分(例えば適合するアジュバント、 希釈剤、または担体)と組み合わせて存在していてもよい。
【0040】
定義および略語
ヌクレオチド配列に関する用語「同一性」または「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウ上で2つの最適に並べられた配列を比較することによって決定されるが、ここで、最適なアライメントによって最も高い並びの適合が得られ、さらに、試験配列または参照配列へヌクレオチド付加が導入されていてもよい。同一性のパーセンテージは、全配列にわたり、各位置での試験配列と参照配列との間で同一なヌクレオチドのパーセンテージを計算することによって決定される。最適な配列アライメントと同一性のパーセンテージは、手動で決定してもよいし、または、より好ましくは、コンピューターアルゴリズム(例えば、ただしこれらに限定されないが、TBLASTN、FASTA、GAP、BESTFIT、および、CLUSTALWなど)によって決定してもよい(Altschul等,1990年,J.Mol.Biol.215(3):403〜10;PearsonおよびLipman,1988年,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(8):2444〜8;Thompson等,1994年,Nucleic Acids Res.22(22):4673〜80;Devereux等,1984年,Nuc.Acids.Res.12:387〜395;Higgins等,1996年,Methods Enzymol.266:383〜402)。好ましくは、一連のNCBI Blastサーバー(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)をデフォルトパラメーターで用いて、相同配列に関する複数のデータベースを検索することである。
【0041】
用語「異種」は、本明細書で用いられる場合、異なる細菌種または株から誘導されていることを意味する。
用語「相同性」、「相同な」等は、本明細書で用いられる場合、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列間の同一性の程度を意味する。
用語「相同な」は、細菌種に関して用いられる場合、同じ細菌種または株を意味する。
用語「単離された」は、本明細書で用いられる場合、天然に存在する環境から分離されて、単独であるか、または、異種宿主細胞、または染色体もしくはベクター(例えばプラスミド、ファージなど)中に存在するかのいずれかを意味する。
【0042】
用語「単離された嫌気性細菌」、「単離された細菌」、「単離された菌株」等は、例えば天然に存在する環境から本細菌を分離した場合に、培養物中において、本細菌にその他の微生物が実質的に含まれていない組成物を意味する。用語「生物学的に純粋な培養物」は、本発明の細菌に適用される場合、その他の微生物を実質的に含まない細菌培養物を意味する。
用語「単離されたポリヌクレオチド」は、単離されたヌクレオチドが、組成物の質量の少なくとも50%含まれる組成物を示す。より好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、組成物の質量の約95%、最も好ましくは99%含まれる。
【0043】
本明細書で用いられる用語「機能的に同等な」は、内因性細菌由来の天然型のタンパク質の免疫応答と実質的に類似した免疫応答を惹起することが可能な、またはそれらを引き起こすことが可能な、コンパニオンアニマルにおいて歯周疾患を引き起こす細菌によって生産された天然型ポリペプチドまたは組換えポリペプチドに特異的な抗体によって認識することができる組換えポリペプチドを意味する。従って、機能的に同等なポリペプチドに対して生じる抗体もまた、コンパニオンアニマルにおいて歯周疾患を引き起こす細菌によって生産された天然型のポリペプチドを認識する。
【0044】
用語「免疫原性」は、タンパク質またはポリペプチドが、コンパニオンアニマルにおいて歯周疾患を引き起こす細菌に対して特異的に向けられた免疫反応を惹起する能力を意味する。
用語「抗原性」は、タンパク質またはポリペプチドが、そのタンパク質またはポリペプチドに対して生じた抗体と免疫特異的に結合する能力を意味する。
【0045】
本明細書で用いられる用語「抗体」は、抗原に結合することができる免疫グロブリン分子を意味する。抗体は、ポリクローナル混合物でもよいし、またはモノクローナルでもよい。抗体は、天然源または組換え源から誘導された完全な免疫グロブリンでもよいし、または、完全な免疫グロブリンの免疫活性部分でもよい。抗体は、例えばFv、Fab'、F(ab')2などの多種多様な形態で存在していてもよいし、同様に一本鎖で存在していてもよい。
【0046】
本明細書で用いられる用語「コンパニオンアニマル」は、ヒト以外の、ペットとみなされる飼育されるあらゆる動物を意味する。このような動物としては、ただしこれらに限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、サル、および、齧歯類、例えばマウス、ラット、ハムスター、アレチネズミ、および、フェレットが挙げられる。
【0047】
本明細書でワクチンに関して用いられる用語「保護」、「〜を保護すること」等は、ワクチンが、そのワクチンで用いられる抗原が得られる生物によって引き起こされる病気の症状を予防する、または、減少させることを意味する。また、用語「保護」および「〜を保護すること」等は、本ワクチンは、被検体がすでに持っている病気、または、それらの病気の複数の症状のうちいずれかを「治療する」のに用いることができることも意味する。
【0048】
用語「治療有効量」は、細菌またはサブユニット(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド配列)、および、それらの組み合わせの、それらが投与される被検体において免疫反応を惹起するのに十分な量を意味する。この免疫反応には、これらに限定されないが、細胞性および/または体液性免疫の誘導が含まれる。
【0049】
用語「感染を予防すること」は、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患の原因となる細菌の複製を予防または阻害すること、本細菌の感染を阻害すること、または、本細菌がその宿主に定着することを予防すること、または、感染によって引き起こされる病気の症状を緩和することを意味する。このような処理は、細菌の蓄積に減少がみられる場合、治療的なものとみなされる。
【0050】
用語「製薬上許容できる担体」は、活性成分の生物活性の有効性に干渉せず、それらが投与される被検体にとって非毒性である担体媒体を意味する。
【0051】
用語「治療剤」は、それによって引き起こされる細菌感染または病気または状態の治療を支援するあらゆる分子、化合物または治療剤を意味し、好ましくは抗菌剤である。
【0052】
用語「それらのフラグメントまたは変異体」は、本発明に係る部分的なヌクレオチド配列を意味する。類似体は、用語「それらのフラグメントまたは変異体」に包含される。1またはそれ以上の突然変異(ヌクレオチド残基の欠失、挿入または置換)を有する可能性がある突然変異ポリヌクレオチドは、用語「それらのフラグメントまたは変異体」に包含される。対立遺伝子変異体は、用語「それらのフラグメントまたは変異体」に包含される。
【0053】
細菌種の単離および特徴付け
本発明によって提供される細菌は、既知のサンプリング、培養および単離技術を用いて得ることができる。例えば、微生物のサンプルは、歯周疾患を示すイヌおよびネコのようなコンパニオンアニマルの個体群から得ることができる。歯周疾患の証拠は、既知の基準(例えば、歯周ポケットが>3mmのイヌ、および、歯周ポケットが>2mmのネコ)を用いて観察することができる。歯周疾患を特徴付けるための既知のパラメーター、例えば歯科的な指数(歯肉炎指数、および、歯周疾患指数)、および、歯周ポケットの深さは、コンパニオンアニマルのサンプル群に関して決定することができる。個々のサンプルは、嫌気性条件下で維持され、様々な既知の培地を用いて培養された特定の動物の歯周ポケットから得ることができる。
【0054】
臨床分離株は、多数の生化学的試験、および、16SrRNAのDNA配列解析のような既知の技術を用いて特徴付けされ、それらの属および種を決定することができる。個々の分離株をプレートに移し、抗生物質ディスク(Anaerobe Systems)を寒天表面に置き、それぞれの分離株の抗生物質耐性パターンを決定することができる。また、精製したコロニーは、既知のインドールおよびカタラーゼ試験(Anaerobe Systems)で処理することもできる。リパーゼおよびレシチナーゼ生産パターンは、個々の分離株に関して決定することができる。
【0055】
上記分離株は、それらの16SrRNAのDNA配列に基づきタイプ分けすることができる。うまく単離された個々のコロニーを、例えばプライマー D0056およびD0057(配列番号1および配列番号2;表1)を用いた、16SrRNA領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のためのテンプレートとして利用することができる。場合により、全長16SRNAは、例えば、配列番号16および17として開示されたプライマーを用いて増幅することができる。
【0056】
得られたPCR産物は、市販のPCR調整キット(プロメガ社(Promega Corp.);マディソン,ウィスコンシン州)を用いて精製し、単離することによってプールすることができる。次に、精製したPCR産物を脱塩し、DNA配列解析で処理することができる。得られたDNA配列を用いて、利用可能なDNAデータベースを検索することができる。次に、この細菌分離株は、データベース検索によって同定された最も近いマッチングに基づきタイプ分けすることができる。
【0057】
【表1】

【0058】
以下のコンパニオンアニマルの歯根膜の分離株を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)、10801 University Blvd.,マナサス,バージニア州,20110,米国に寄託した:バクテロイデス・デンティカノリス(B78;(PTA−5881))、ポルフィロモナス・レビ(B222;(PTA−5882))、および、タンネレラ・フォーサイセンシス(B343−24;(PTA−6063))。
【0059】
細菌のヌクレオチド配列のクローニング
本発明のヌクレオチド配列をクローニングするのに用いることができる数種の既知の方法または技術がある。例えば、この配列は、制限フラグメントとして単離し、クローニングおよび/または発現ベクターにクローニングすることができ、その配列をPCRで増幅し、クローニングおよび/または発現ベクターにクローニングしてもよいし、または、その配列をこれらの2つの方法を併用してクローニングしてもよい。
【0060】
当業界既知であり、非特異的に説明されている標準的な分子生物学的な技術は、一般的に、以下で説明されているようなものに従ってもよい:Sambrook等,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),ニューヨーク(1989年);Ausubel等,Current Protocols in Molecular Biology,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons),ボルチモア,メリーランド州(1989年);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ,ニューヨーク(1988年);Watson等,Recombinant DNA,Scientific American Books,ニューヨーク;Birren等(編) Genome Analysis:A Laboratory Manual Series,第1〜4号 コールドスプリングハーバーラボラトリープレス,ニューヨーク(1998年);および、米国特許第4,666,828号;4,683,202号;4,801,531号;5,192,659号、および、5,272,057号に記載の方法論。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、一般的に、PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications,アカデミックプレス(Academic Press),サンディエゴ,カリフォルニア州(1990年)で説明されているようにして行われる。
【0061】
本発明のポリヌクレオチドをクローニングおよび配列解析するのに有用な方法の例は、実施例に示す。
【0062】
抗体産生
抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、または組換えのいずれかが可能である。抗体は、免疫原またはそれらの部分に対してうまく製造することができ、または、クローニング技術を用いて組換えによって製造することもでき、または、天然の遺伝子産物および/またはそれらの部分は、単離されて、免疫原として用いることができる。免疫原を用いて、当業者周知の標準的な抗体産生技術によって、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory),コールドスプリングハーバー,ニューヨーク州,1988年、および、Borrebaeck,Antibody Engineering−A Practical Guide,W.H.フリーマン・アンド・カンパニー(W.H.Freeman and Co.),1992年で一般的に説明されているようにして、抗体を生産することができる。また、当業者既知の方法によって、抗体から、Fab、F(ab' )2、および、Fvなどの抗体フラグメントを製造することもできる。
【0063】
抗体生産において、望ましい抗体のスクリーニングは、当業界既知の免疫学において標準的な方法で達成することができる。非特異的に説明されている技術は、一般的に、Stites等(編),Basic and Clinical Immunology(第八版),Appleton&Lange,Norwalk,CT(1994年)およびMishellおよびShiigi(編),Selected Methods in Cellular Immunology,W.H.フリーマン・アンド・カンパニー,ニューヨーク(1980年)に記載されているように行われる。一般的に、イムノアッセイの好ましいタイプは、ELISAおよびウェスタンブロッティングである。これらの分析はいずれも当業者周知である。これらの分析に、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両方が用いることができる。抗体は、固体支持体の基質に結合させてもよいし、または、検出可能な部分に接合させてもよいし、または、当業界周知の通りに、結合させ、かつ接合させてもよい(蛍光性の部分または酵素学的な部分の接合の総括的な考察については、Johnstone&Thorpe,Immunochemistry in Practice,Blackwell Scientific Publications,Oxford,1982年を参照)。また、固体支持体の基質への抗体の結合も当業界周知である(総括的な考察については、Harlow&Lane Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリー・パブリケーションズ(Cold Spring Harbor Laboratory Publications),ニューヨーク,1988年、および、Borrebaeck,Antibody Engineering−A Practical Guide,W.H.フリーマン・アンド・カンパニー,1992年を参照)。本発明に使用するために考慮された検出可能な部分としては、これらに限定されないが、蛍光性、金属製、酵素学的、および、放射性マーカーが挙げられ、例えばビオチン、金、フェリチン、アルカリホスファターゼ、b−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、フルオレセイン、ローダミン、トリチウム、14Cおよびヨウ素化である。
【0064】
必要に応じて、ラジオイムノアッセイ(RIA)のようなその他のイムノアッセイも、当業界既知の通りに用いることができる。利用可能なイムノアッセイは、特許や科学文献で広範囲にわたり説明されている。例えば、米国特許第3,791,932号;3,839,153号;3,850,752号;3,850,578号;3,853,987号;3,867,517号;3,879,262号;3,901,654号;3,935,074号;3,984,533号;3,996,345号;4,034,074号;4,098,876号;4,879,219号;5,011,771号;および、5,281,521、同様に、Sambrook等,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバー,ニューヨーク,1989年を参照。
【0065】
検出、診断および予防キット
本発明はさらに、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属、および、タンネレラ属を検出するためのキットを提供する。本キットは、本発明の前記生物、ポリペプチドまたはヌクレオチド配列の存在に関してサンプルを解析するための試薬を含み、ここにおいて、前記ヌクレオチド配列の存在は、前記生物の存在の指標である。この方法によれば、症状の発現の前に病気を診断することができ、患者へのダメージが生じる前に病気の発症を予防することができるので、有用である。細菌、ポリペプチドまたはヌクレオチド配列の存在は、抗体、PCR、ハイブリダイゼーション、およびその他の当業者既知の検出方法を用いて決定することができる。
【0066】
一実施形態において、本キットは、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属に対する抗体を検出するための試薬を提供する。特定の実施形態において、本キットは、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属の検出に有用なキットであることを示す説明書一式またはラベルを含んでいてもよい。その他の実施形態において、本キットは、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属の核酸を検出するための試薬を提供する。一実施形態において、本キットは、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属の核酸のPCR検出のための試薬を提供し、本キットは、少なくとも1つのコンテナーに、少なくとも約15、20、25または30個のヌクレオチドからなるフラグメント(このフラグメントは、ストリンジェントな条件下で、配列番号3〜5のポリヌクレオチドのいずれかに記載の少なくとも15、30、45、60、75または90個の連続したヌクレオチド配列を含むDNA分子にハイブリダイズする)を含む、第一の単離されたDNA分子、および、少なくとも15、20、25または30個のヌクレオチドからなるフラグメント(このフラグメントは、ストリンジェントな条件下で、配列番号3〜5のポリヌクレオチドのいずれかに記載の少なくとも15、30、45、60、75または90個の連続したヌクレオチド配列を有するDNA分子に相補的なDNA分子にハイブリダイズする)を含む、第二の単離されたDNA分子を含み、これら第一および第二のDNA分子は、16SrRNA(この16SrRNAは、配列番号3〜5からなる群より選択されるDNA分子によってコードされている)をコードするバクテロイデス属、ポルフィロモナス属またはタンネレラ属の核酸を特異的に増幅するのに用いることができる。
【0067】
ワクチン製剤および投与方法
本発明のワクチンのコンパニオンアニマルへの投与は、本発明のワクチンが、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を治療的に処理するか、または、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患に対する耐性を付与するか、または、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を予防するような有効量で行うことができる。本発明のワクチンは、歯周疾患の原因となる細菌のコントロールにおいて有用である。本発明のワクチンは特に、獣医学の分野でコンパニオンアニマルを治療するために、および、本明細書で説明されているような歯周疾患の原因となることがわかっている細菌に対して、公衆衛生を維持するために用いることができる。
【0068】
本発明のワクチンは、ヒトおよびコンパニオンアニマルにとって有害な細菌、または、病気の保菌生物として蔓延または作用する細菌(例えば本明細書で説明されている細菌)のコントロールにおいて有用である。本発明のワクチンは特に、コンパニオンアニマルに存在する細菌のコントロールに有用であり、その目的のために、本ワクチンは、あらゆる既知の投与方法(これらに限定されないが、経口、非経口、鼻腔内、皮下、または局所的など)を用いて投与することができる。
【0069】
本発明のさらなる形態によれば、本発明のワクチンを、適合するアジュバント、希釈剤または担体と混合されて含む組成物が提供される。好ましい実施形態において、本発明のワクチン製剤は、少なくとも1種の本発明の細菌、および/または、少なくとも1つのサブユニットタンパク質を含む水性懸濁液または溶液で構成され、好ましくは生理学的なpHに緩衝化されており、すぐに注射できる形態である。
【0070】
本発明はさらに、細菌感染を治療または予防する方法を提供するものであって、本方法は、本発明のワクチンまたはワクチン製剤の有効量を用いた治療を含む。当然ながら、処理といえば、細菌感染の確立された症状の予防、同様に、緩和も含む。
【0071】
本発明のワクチンおよびワクチン製剤を用いて、歯周疾患を引き起こす細菌によって引き起こされた歯周疾患に特徴的な病理学的変化を予防する応答を誘導することができる。望ましくは、ワクチン製剤には、本細菌、精製したタンパク質、核酸、またはそれらの組み合わせの免疫原性を示す量が、哺乳動物での使用に適した従来のワクチンアジュバントおよび生理学的なビヒクルと共に混合されている。
【0072】
コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を予防するためのワクチン製剤は、少なくとも1種の単離、精製した不活性化または弱毒化された細菌、精製したポリペプチド(例えば天然型タンパク質、サブユニットタンパク質、またはポリペプチド)を用いて、これらの1またはそれ以上を適合するアジュバント、希釈剤、または担体と混合することによって生産することができる。
【0073】
本発明はさらに、少なくとも1種の不活性化または弱毒化された細菌を、1またはそれ以上の追加の免疫原性成分と組み合わせて含む混合ワクチンを提供する。このような混合ワクチンは、驚くべきことに、ワクチン接種した動物において、別々に投与されたそれぞれの成分の作用を単に足したものから予想される作用より大きい作用を生じる。従って、混合ワクチンは、動物において相乗的な抗体生産を刺激する可能性がある。
【0074】
本発明において考慮される混合ワクチンにおいて有用なその他の免疫原性成分としては、これらに限定されないが、イヌジステンパー(CD)ウイルス、イヌアデノウイルス2型(CAV−2)、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウイルス、イヌパルボウイルス(CPV)、イヌコロナウイルス(CCV)、イヌヘルペスウイルス、および、狂犬病ウイルスが挙げられる。本発明のワクチン組成物に使用するための、これらの免疫原由来の抗原は、弱毒化された生のウイルス製剤、または、不活性化されたウイルス製剤の形態が可能である。これらのウイルスの毒性の株を弱毒化させる方法、および、不活性化されたウイルス製剤の製造方法は、当業界既知であり、例えば、米国特許第4,567,042号、および、4,567,043号で説明されている。
【0075】
本発明によれば、本混合ワクチンは一般的に、獣医学的に許容できる担体を含む。獣医学的に許容できる担体としては、あらゆる、および、全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、アジュバント、安定剤、希釈剤、保存剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などが挙げられる。希釈剤としては、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどが挙げられる。等張剤としては、特に、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、および、ラクトースが挙げられる。安定剤としては、特に、アルブミンが挙げられる。
【0076】
その他の病原体由来の1種またはそれ以上の抗原と、獣医学的に許容できる担体は、混合ワクチン組成物を形成するのに都合がよく実用的なあらゆる手法(例えば混合、溶液、懸濁液、乳化、カプセル化、吸収など)で結合させることができ、注射、埋め込み、吸入法、摂取などに適した懸濁液、錠剤、カプセル、粉末、シロップのような製剤に製造することができる。
【0077】
本発明のワクチンは、少なくとも1種の不活性化または弱毒化された細菌と、製薬上許容できる担体、好ましくはアジュバントとを組合せることによって製造することができる。
【0078】
本発明のワクチンの適切な製剤としては、液状の溶液または懸濁液のいずれかの注射物質が挙げられる。また、注射の前に液状の製薬上許容できる担体への溶解または懸濁に適した固体を製造することもができる。本ワクチン製剤は、乳化させてもよい。活性な免疫原性成分は、好ましくは、製薬上許容でき、かつ活性な免疫原性成分に適合するアジュバントと混合される。適切なアジュバントとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:ミネラルゲル、例えば、水酸化アルミニウム;界面活性物質、例えばリゾレシチン;配糖体、例えば、サポニン誘導体、例えばQuil AまたはGPI−0100(米国特許第5,977,081号);カチオン性界面活性剤、例えばDDA、プルロニック(pluronic)ポリオール;ポリアニオン;非イオン性ブロックポリマー、例えば、プルロニック(Pluronic)F−127(B.A.S.F.,米国);ペプチド;ミネラルオイル、例えばMontanide ISA−50(Seppic,パリ,フランス)、カルボポール(Carbopol)、Amphigen(Hydronics,オマハ、ネブラスカ州,米国)、Alhydrogel(Superfos Biosector,フレデリクスン,デンマーク)オイルエマルジョン、例えば、ミネラルオイル、例えばBayolF/Arlacel Aおよび水のエマルジョン、または、植物油、水および乳化剤、例えばレシチンのエマルジョン;アラム、コレステロール、rmLT、サイトカイン、および、それらの組み合わせ。また、免疫原性成分は、リポソームに包含されていてもよいし、または、ワクチン製剤に使用するための多糖類および/またはその他のポリマーに接合させてもよい。本発明の方法に使用するための生成物に含ませることができる追加の物質としては、これらに限定されないが、1またはそれ以上の保存剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウムまたは四ナトリウム塩、マーサイアレイトなどが挙げられる。
【0079】
本ワクチンが投与される被検体は、好ましくはコンパニオンアニマルであり、最も好ましくはイヌまたはネコである。
【0080】
本発明のワクチンは、ワクチン製剤の場合、単位剤形で存在することが好ましい。本発明の目的において、投与されると免疫原性を示す量は、約1×104〜約1×1013個の不活性化された細菌細胞を含む。複数の成分を含むワクチン製剤では、上記免疫原性を示す量と同量か、またはそれより少ない量を有効に用いることができる。
【0081】
適切な治療上有効な用量は、当業者によって、上記の免疫原性を示す量、治療される状態、および、動物の生理学的な特徴に基づき容易に決定することができる。従って、ワクチン製剤は、免疫原性を示す量の活性成分(ここにおいて、活性成分は、少なくとも1種の細菌である)の滅菌製剤の用量を提供する。追加の活性物質が存在する場合、これらの単位投与量は、当業者によって簡単に調節することができる。
【0082】
望ましい用量の処方計画には、望ましいワクチン組成物の少なくとも1回の用量の投与が含まれ、ここにおいて、各単位中の抗原性の含量は上述した通りである。また、本発明のワクチンの有効量(免疫化する量)は、モデル試験系から得られた用量応答曲線から推定してもよい。本発明のワクチンの投与様式は、本ワクチンを宿主に運搬するあらゆる適切な経路が可能である。このような経路としては、これらに限定されないが、経口、皮内、筋肉内、腹膜内、皮下、鼻腔内経路、および、乱切法(例えば二又の注射針を用いて、皮膚の最上層に小さく浅い切開を行うこと)が挙げられる。しかしながら、本ワクチンは、好ましくは、皮下に、または、筋肉注射によって投与される。また、その他の投与様式も、要望に応じて用いることができ、例えば皮内、静脈内、鼻腔内、または扁桃内である。
【0083】
研究によれば、上記で説明されたワクチン組成物それぞれにとって、望ましくは、幼動物の一次免疫化を開始し(8週齢になった後)、12週および16週齢にブースター用量を投与することが示されている。年1回の再ワクチン接種が推奨される。
【0084】
本発明のワクチンは、それぞれの被検体の臨床的な状態、投与部位および方法、投与のスケジュール、被検体の年齢、性別、体重、および、医師には既知のその他の要素を考慮した優れた医療に従って、投与、服用される。
【0085】
本発明はさらに、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を予防するためのキットを提供する。一実施形態において、本キットは、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を予防する治療有効量の組成物を含むコンテナーを提供する。また、同一または異なるコンテナーに、本組成物で使用可能な製薬上許容できる担体も提供される。本キットはさらに、本発明の組成物への応答の発生を支援するのに用いることができるアジュバントを含んでいてもよい。また、本キットは、本組成物を、好ましくは単位剤刑に分注するためのディスペンサーを含む。ディスペンサーは、例えば、金属またはプラスチック箔で構成されてもよく、例えばブリスターパックである。本キットに、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を予防するための本組成物の投与を説明したラベルまたは説明書が一緒に入っていてもよい。また、製薬上許容できる担体中に製剤化された本発明のワクチン組成物を含む組成物を製造し、適切なコンテナーに入れ、表示された歯根膜の状態の治療に関してラベルを付することもできる。
【0086】
ワクチンの有効性の決定
本発明のワクチンおよびワクチン組成物により誘導された具体的な保護メカニズムは、以下で説明するインビボでの動物試験によって示されたように、ワクチン接種した動物における抗体の誘導および/または細胞免疫反応である。
本発明の細菌、ワクチンおよびワクチン組成物は、コンパニオンアニマルの歯周疾患、ウシの足腐敗症、冠動脈心疾患(イヌ)、または全身感染(イヌ)を治療または予防するのに有用である。本発明をさらに、以下の限定されない実施例および添付の表によって説明する。
【実施例】
【0087】
実施例1
コンパニオンアニマルの歯肉溝滲出液サンプル
微生物のサンプルを、獣医診療所で歯根膜の治療に関して試験されたイヌおよびネコ、または、通常の検査に関して認定された所定の施設で試験されたイヌから採取した。この研究に、歯周ポケットが>3mmのイヌと、歯周ポケットが>2mmのネコを用いた。歯科的な指数(歯肉炎指数、および、歯周疾患指数)、および、歯周ポケットの深さを記録した。個々の目の粗い吸収紙の先端(ヘンリー・シャイン(Henry Schein);メルビル,ニューヨーク州)を、無菌的に歯周ポケットに挿入した。除去する際に、その紙の先端を即座に、予め還元された、嫌気的に滅菌された(Pre−Reduced Anaerobically Sterile;PRAS)嫌気性歯科用輸送用(Anaerobic Dental Transport;ADT)培地(Anaerobe Systems;モーガンヒルズ,カリフォルニア州)を含むバイアルに挿入した。
【0088】
バイアルを、ベクトロンIV(Bactron IV)嫌気性チャンバー(シェルドン・マニュファクチュアリング(Sheldon Manufacturing),コーネリアス,オレゴン州)に移し、90%N2、5%H2、5%CO2下で処理した。紙の先端を無菌的に、PRAS脳心臓浸出液(BHI)、PYGまたはSSYG培地(Anaerobe Systems)50μl中に置き、ボルテックスで30秒混合した。BHI、PYGまたはSSYG培地で1:100および1:1000の希釈液を製造した。1:100および1:1000希釈液の100μlのアリコートを、PRASブルセラ血液寒天(BRU)プレート(Anaerobe Systems)に塗り広げた。このプレートを、嫌気性チャンバー中で、37℃で5〜7日間インキュベートした。細菌のコロニーの総数、および、黒色色素生産性嫌気性細菌(BPAB)コロニーの数をカウントした。個々の BPAPコロニーを新しいBRUプレートに移し、上述のように再びインキュベートした。
【0089】
臨床分離株の特徴付け
それぞれの臨床分離株を、多数の生化学解析と、プライマーD0056およびD0057(配列番号1および配列番号2;表1)を用いた16SrRNAのDNA配列解析で処理し、属と種を決定した。個々の分離株は、BRUプレート上で筋状にした。カナマイシン、バンコマイシンおよびコリスチンディスク(Anaerobe Systems)を寒天表面に置き、それぞれの分離株のKVC耐性パターンを決定した。精製したコロニーもインドールおよびカタラーゼ試験(Anaerobe Systems)で処理した。リパーゼおよびレシチナーゼ生産パターンを決定するために、個々の分離株を卵黄寒天(EYA)プレート(Anaerobe Systems)に移した。このデータは、下記の図1に示す。
【0090】
歯周疾患指数は、この多面的な病気の複数の特徴を考慮した歯周疾患の重症度の体系分類を意味する。このような指標としては、これらに限定されないが、ポケットの深さ、接着の喪失、プロービングにおける出血、歯の可動性、および、歯肉炎が挙げられる。歯肉炎指数は、歯肉の炎症の重症度の系統的な分類を意味する。観察されたこの分類に影響を与える前兆としては、これらに限定されないが、ある程度の浮腫、色、自発的な出血、歯肉後退、および、過形成が挙げられる。
【0091】
特徴付けられた5種のタンネレラ・フォーサイセンシス分離株由来の部分的な16SrRNA配列から、約520bp領域で100%同一であることが明らかになった。3種のポルフィロモナス・レビ分離株は、解析された部分的な16SrRNA配列の範囲内での同一性は99%より大きく、1個のヌクレオチドしか異なっていなかった(配列番号4の13位)。
【0092】
バクテロイデス属の新規の種(バクテロイデス・デンティカノリス)の同定
この研究の経過中に、我々は、16SrRNA配列が利用可能なデータベースで高い類似性のマッチングを有さない多数の臨床分離株を同定したが、これは、これら細菌が、新規の分離株である可能性を示す。これらのうち一つの分離株群(以下の表2)は、新規の種であることを示しているようであった。ここに添付されたデータに基づき、我々は、この細菌分離株群を、Bacteroides denticanoris sp.nov.と称することを提唱する。B.デンティカノリスの標準株は、B78T株(=ATCC PTA−5881)である。
【0093】
【表2】

【0094】
バクテロイデス・デンティカノリスB78Tの表現型の特徴付け
B.デンティカノリスB78Tを、歯周疾患に罹った5歳のメスの雑種犬から単離した。臨床的に、このイヌの歯周疾患指数スコアは3であり、歯肉炎指数スコアは2であった(Harvey,1998年)。紙の先端のサンプルを、歯周ポケットの深さが5mmの左上の第四小臼歯から得た。このサンプルを上述のようにして処理した。精製した細胞は、グラム陰性であり、非胞子形成であり、非運動性であり、桿菌様であり、および、カタラーゼ陰性であった。ブルセラ血液寒天上で、37℃で嫌気性インキュベートしてから約5日後に、コロニーが形成された。B.デンティカノリスB78Tのコロニーは、インキュベート5〜7日後に着色し始めた(黄褐色〜黒色)。この分離株は、ブルセラ血液寒天上で溶血性で、カナマイシン感受性であり、バンコマイシンとコリスチン(Anaerobe Systems製の抗生物質ディスク)の両方に耐性のようであった。卵黄寒天(Anaerobe Systems)上のコロニーは、レシチナーゼ活性があることを実証したが、リパーゼ活性は示さなかった。多数の培地タイプで別個のコロニーが出現したため、細菌の遊走は認められなかった(データ示さず)。
【0095】
生化学解析
B.デンティカノリスB78Tを、RapID ANA II臨床試験キット(Remel;レネクサ,カンザス州)を用いた生化学解析で処理した。簡単に言えば、ブルセラ血液寒天上の3種のB.デンティカノリスB78T培養物を、等量のMcFarland#3に再懸濁した。この懸濁液を試験ウェルに添加し、37℃で4時間インキュベートした。インキュベート後、18種の別個の生化学的試験に関する結果を記録した。
図2に、B.デンティカノリスB78T、同様に、6種のコントロール細菌に関するRapID ANA II試験の結果を示す。RapID ANA IIキットによって行われた18種の試験のうち、6種(ONPG、βGLU、αFUC、NAG、PO4、および、LGY)が、B.デンティカノリスB78Tに関して陽性であった。比較すると、ポルフィロモナス・ジンジバリスATCC33277、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)ATCC25611、タンネレラ・フォーサイセンシスATCC43037、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)ATCC29148、バクテロイデス・フラジリスATCC25285、および、バクテロイデス・スプランキニカス(Bacteroides splanchnicus) ATCC29572はそれぞれ、5、4、10、12、9および8種の陽性試験結果を示した。
【0096】
系統発生解析
B.デンティカノリスB78T由来の全長16SrRNA遺伝子を、プライマーD134(5’−GAGTTTGATCCTGGCTCAGG−3’ 配列番号16)、および、D57(5’−CCCGGGAACGTATTCACCG−3’ 配列番号17)(インビトロジェン社(Invitrogen Corp.))を用いて、三連でPCRで増幅した。Slots,J.等.Clin Infect Dis 20 Suppl 2,S304〜S307(1995年)。
【0097】
そのPCR産物をプールし、精製し、脱塩し、直接DNA配列解析で処理した。B.デンティカノリスB78Tの16SrRNA遺伝子配列を用いた国立バイオテクノロジー情報センターでの重複のないヌクレオチドデータベースのBLAST−N(Altschul,S.F.等.J Mol Biol 215,403〜410)(1990年)検索によれば、B.デンティカノリスB78T分離株は、バクテロイデス属の種類に関連することが示された。このデータベース内で最も近い関連配列は、バクテロイデス属0103 800(登録番号AJ416906)の16SrRNA遺伝子配列であり、1,463bpにわたり97%の同一性を示した。バクテロイデス属0103−800を、嫌気性の脳膿瘍から単離した。
【0098】
16SrRNA遺伝子配列に基づく系統発生解析をCLUSTAL Xバージョン1.81ソフトウェアを用いて行った。近隣結合法を用いて系統樹を作製した(Saitou,N.&Nei,M.Mol Biol Evol 4,406〜425)(1987年)。
【0099】
1000個の複製を用いてブートストラップ値を得た。図3に、B.デンティカノリスB78T単離株に関する系統発生解析の結果を示す。主要な属(ポルフィロモナス、バクテロイデス、プレボテラ、タンネレラなど)の配置は、サイトファーガ・フラボバクター・バクテロイデス(cytophaga−flavobacter−bacteroides;CFB)群に関して以前に公開された系統樹に一致する(Paster等(1994年).J Bacteriol 176,725〜732.,Shah,H.N.等.Bacteroides,Prevotella,and Porphyromonas.In Microbiology and microbial infections,pp.1305〜1330.A.BalowsおよびB.I.Duerden編.ロンドン:オックスフォード・ユニバーシティ・プレス(Oxford University Press)(1998年))。
【0100】
B.デンティカノリスB78T、バクテロイデス属0103−800、および、培養されていないBacteroidetes Bisii27分離株は、B.フラジリス群の枝分かれに分類され、B.フラジリス群はまた、B.Acidofaciens、および、B.テタイオタオミクロンも含む(図1)。B.フラジリス部分集団から、B.デンティカノリスB78T部分集団の枝先端におけるブートストラップの信頼値が99.9%であったことにより、この新たに同定された生物の系統発生学的な配置に対する信頼が高められた。
【0101】
9種の別のイヌのB.デンティカノリス臨床分離株由来の16SrRNA遺伝子の約560bpの領域(表1)を、上述で説明したように、D56およびD57プライマーを用いてPCRで増幅した(三連で)。PCR産物を精製し、脱塩し、プールした。次にPCR産物のDNA配列を決定した。その結果は、表3で詳述する。上記分離株をそれらの16SrRNAのDNA配列に基づきタイプ分けした。別々のよく単離されたコロニーを、プライマーD0056およびD0057(配列番号1および配列番号2;表1)を用いた16SrRNA領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅(三連で)のためのテンプレートとして用いた。PCRは、1×PCR緩衝液(ライフテクノロジーズ(Life Technologies);ロックビル,メリーランド州)、1.0mMのMgCl2、1.25μMの各プライマー、300μMの各デオキシ−NTP、および、2.5UのPlatinum Pfx DNAポリメラーゼ(ライフテクノロジーズ)を含む反応液(50μl)中で行った。以下のPCRサイクル条件を用いた:変性工程を94℃で2分間;94℃で40秒変性、60℃で40秒アニーリング、および、72℃で1分間伸長を30サイクル;最終伸長工程を、72℃で2分間;および、最終冷却工程を、〜4℃。全てのPCR増幅に、GeneAmp9700 サーモサイクラー(パーキン・エルマー・アプライド・バイオシステムズ(Perkin Elmer Applied Biosystems);フォスターシティ,カリフォルニア州)を用いた。
【0102】
得られたPCR産物を、PCR調整キット(プロメガ社;マディソン,ウィスコンシン州)を用いて精製し、単離することによってプールした。次に、精製したPCR産物を、点滴分析によって、滅菌水25mLに対して、0.025μmのニトロセルロースフィルター(ミリポア社(Millipore Corp.);ベッドフォード,マサチューセッツ州)を用いて脱塩した。精製、脱塩されたPCR産物を、ABI自動DNAシーケンサーでDyeDeoxy停止反応を用いて、DNA配列解析した。合成オリゴヌクレオチドプライマーD0056およびD0057(それぞれ配列番号1〜2;1)を用いて、二本鎖DNA配列を得た。得られたDNA配列を用いて、公共的に利用可能であるDNAデータベースを、国立バイオテクノロジー情報センター(米国)より公共的に利用可能であるBLAST−Nプログラムを用いて検索した。
【0103】
【表3】

【表4】

【0104】
10種のB.デンティカノリス分離株由来の部分的な16SrRNA配列は、4つの配列群(B78T、B80、B83、B342、および、B458;B241;B242;
および、B473、B474、および、B476)に集団化できることがわかった。群内の全ての分離株は、この約560bp領域において同一な16SrRNA配列を有する。図4に、B.デンティカノリス分離株の部分的な16SrRNA遺伝子配列の系統発生解析の結果を示す。全てのB.デンティカノリス分離株の間で、560bp領域の範囲において99.5%DNA配列同一性がある。この観察に基づき、我々は、これらの分離株は全て、同じ種の変異株であると結論付ける。加えて、この種の株は、地理的に離れた地域(ペンシルベニア州およびカリフォルニア州)で発見された。
【0105】
図1に、上記分離株全ての全リストと、それらのそれぞれの特徴を記載する。
【0106】
表4に、分離株の分布を示す。
【表5】

上記の表は、分離株の数、同様に、示された細菌種が単離されたイヌの数とパーセンテージを示す。
【0107】
以下のコンパニオンアニマルの歯根膜の分離株を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;10801 University Blvd.,マナサス,バージニア州,20110,米国)に寄託した;バクテロイデス・デンティカノリス(B78;(PTA−5881)、ポルフィロモナス・レビ(B222;(PTA−5882)、および、タンネレラ・フォーサイセンシス(B343−24;PTA−6063)。
【0108】
細菌種に応じた培養条件
多くの嫌気性細菌のための標準的な増殖培地(脳心臓浸出液[BHI]および細切れ肉の炭水化物[CMC]培地)は、動物性の産物を含み、これらはワクチン生産には適さないので、これらの成分を含まない増殖培地を模索した。様々な培地組成(ヘミンおよびビタミンK含有/非含有)を、BHIまたはCMCでの成長に匹敵する成長を維持する能力に関して試験した。PYG完全およびSSYG培地の両方が、バクテロイデス・デンティカニス(Bacteroides denticanis)、P.レビ、および、T.フォーサイセンシスの成長を維持した。増殖培地として、培養中に高密度培養物が得られる能力のためにPYG完全またはSSYG−完全培地を選択した。PYG培地は、以下の成分を含む:3%ファイトン(phytone)(ベクトン・ディッキンソン(Becton−Dickinson);クッキーズビル,メリーランド州)、0.3%酵母抽出物(ベクトン・ディッキンソン)、0.3%グルコース(シグマ社(Sigma Corp.);セントルイス、ミズーリ州)、0.05%チオグリコール酸ナトリウム(ベクトン・ディッキンソン)、0.5%塩化ナトリウム(シグマ社)、5μg/mlヘミン(シグマ社)(オートクレーブ処理後に添加)、0.5μg/mlメナジオン(シグマ社)(オートクレーブ処理後に添加)、および、0.2%重炭酸ナトリウム(シグマ社)、pH7.0。バクテロイデス・デンティカニス、P.レビ、および、T.フォーサイセンシスを、ブルセラ血液寒天プレート(Anaerobe Systems)上で、または、完全PYG培地またはBHI中で、37℃で、ベクトロンIV嫌気性チャンバー(シェル・ラボス(Shel Labs);コーネリアス,オレゴン州)中、90%N2、5%CO2下で、3〜5日間(プレート)または24〜48時間(液体培養)、規定通りに培養した。SSYG培地は、以下の成分を含む:5%ソイトン(ベクトン・ディッキンソン)、0.3%酵母抽出物(ベクトン・ディッキンソン)、0.3%グルコース(EMインダストリーズ(EM Industries))、0.05%チオグリコール酸ナトリウム(ベクトン・ディッキンソン)、0.5%塩化ナトリウム(シグマ社)、0.2%重炭酸ナトリウム(フィッシャー)、dH2O、pH7.0、ならびに、5μg/mlヘミンのヘミン溶液、1N水酸化ナトリウム(dH2O中)および95%エタノール中0.5μg/mlのメナジオン溶液を含むヘミン−メナジオン溶液。
【0109】
臨床分離株の病原性試験
マウス歯根膜の骨量減少モデルで、バクテロイデス・デンティカノリス、および、P.レビを、それらの病原性に関して試験した。この研究に、推定体重14〜15グラム、3週齢の、年齢を適合させた雄Balb/c CyJマウス(ジャクソン・ラボラトリーズ(Jackson laboratories);バーハーバー,メイン州)を用いた。これらの動物を、正圧のバリアケージユニットで飼育した。実験の間中、その種に標準的なエサのペレットと水を適宜供給した。用いられた寝床は、歯肉組織での埋状を最小化するために、顆粒状のトウモロコシの穂軸の寝床(Bed O’Cobbs)とした。全ての動物は、受け取った後、5〜7日順応させた。口腔フローラとの競合を減らすために、動物をスルファメトキサゾールおよびリメトプリム(飲用水10mL;それぞれ約2mgおよび0.4mg/ml)の混合液で10日飼育し、それに続いて5日間の洗い流しを行った。それぞれのマウスの尾の静脈を出血させて血清サンプルを採取した。これらの動物を、約1×1010cfu/mlの適切な菌株の1%カルボキシメチルセルロースの懸濁液0.5mLで、胃管栄養によって感染させた。追加の液滴は、口腔内に入れた。この感染を、2回以上、総計3回(月曜日、水曜日、および、金曜日)繰り返した。
【0110】
実験1日目は、第一回目の感染の後の火曜日と定義した。2日目に全ての動物を殺した。感染後の血清を回収し、微生物サンプルも同様に回収した。それぞれのマウスの顎の肉を取り、染色し、顕微鏡を用いて水平骨欠損に関してスコア付けした。このスコア付けを操作員のエラーを少なくするために3回繰り返した。平均骨量減少は、平均骨量減少/部位/顎(mm)として示す。得られたデータの統計的分析を、Systat(バージョン9)、SigmaStat(バージョン2)、および、SigmaPlot(バージョン2000)(SPSSサイエンス社(SPSS Science Inc,シカゴ,イリノイ州)より入手可能)を用いて行った。表5に、これらの分離株に関する計算結果を示す。
【0111】
【表6】

【0112】
これらのデータによれば、バクテロイデス・デンティカノリス分離株は、歯周疾患のマウスモデルにおいて骨量減少を引き起こすことができることが示される。ポルフィロモナス・レビ分離株は、最小限であったが、マウスの歯根膜モデルにおいて骨量減少を引き起こした。図5に、バクテロイデス・デンティカノリスに関する結果を図を用いて示す。
【0113】
本願を通して、米国特許などの様々な特許および科学文献は、著者と年で引用され、特許は番号で引用される。これらの出版物および特許の開示は、本発明が属する分野の状況をよりよく説明するために、参照によりそれら全体を本願に加入させる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】イヌおよびネコのBPAB分離株の特徴付けである。
【図2】B.デンティカノリスB78T、同様に、6種のコントロール細菌に関するRapID ANA II試験の結果である。
【図3】バクテロイデス網からの代表種に関する、近隣結合法による系統樹である。
【図4】B.デンティカノリスの臨床分離株に関する近隣結合法による系統樹である。
【図5】歯周疾患の口腔のマウスモデルにおける、B.デンティカノリスB78Tの病原性試験である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも95%相同な16SrRNAのDNA配列を含み、直接的に、または、その他の病原性物質と組み合わされてコンパニオンアニマルにおける歯周疾患を引き起こす、少なくとも1種の単離された色素生産性嫌気性細菌。
【請求項2】
配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも99%相同な16SrRNAのDNA配列を含む、請求項1に記載の細菌。
【請求項3】
配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも99.5%相同な16SrRNAのDNA配列を含む、請求項1に記載の細菌。
【請求項4】
配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される16SrRNAのDNA配列を含む、請求項1に記載の細菌。
【請求項5】
バクテロイデス・デンティカノリスである、請求項1に記載の細菌。
【請求項6】
ATCC PTA−5881、または、ATCC PTA−5881の同定された特徴の全てを有する細菌である、請求項5に記載の細菌。
【請求項7】
ポルフィロモナス・レビである、請求項1に記載の細菌。
【請求項8】
ATCC PTA−5882、または、ATCC PTA−5882の同定された特徴の全てを有する細菌である、請求項7に記載の細菌。
【請求項9】
タンネレラ・フォーサイセンシスである、請求項1に記載の細菌。
【請求項10】
ATCC PTA−6063、または、ATCC PTA−6063の同定された特徴の全てを有する細菌である、請求項9に記載の細菌。
【請求項11】
コンパニオンアニマルは、ネコまたはイヌである、請求項1に記載の細菌。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の色素生産性嫌気性細菌を含む免疫原性組成物。
【請求項13】
色素生産性嫌気性細菌は、不活性化されている、請求項12に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
製薬上許容できる担体をさらに含む、請求項12に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
免疫学的に有効な量の請求項1〜11のいずれか一項に記載の細菌、および、製薬上許容できる担体を含む、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患を治療または予防するためのワクチン。
【請求項16】
細菌は、不活性化されている、請求項15に記載のワクチン。
【請求項17】
アジュバントをさらに含む、請求項15に記載のワクチン組成物。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれかに記載のワクチン組成物を、歯周疾患の治療または予防が必要なコンパニオンアニマルに投与することを含む、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患の治療または予防方法。
【請求項19】
サンプルにおける、請求項1〜11のいずれか一項に記載の1種またはそれ以上の色素生産性嫌気性細菌の存在が、病気の指標である、コンパニオンアニマルの口腔からのサンプルを解析することによるコンパニオンアニマルにおける歯周疾患の診断方法。
【請求項20】
サンプルにおける、配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも約95%相同な16SrRNAのDNA配列を含むポリヌクレオチドの存在が、病気の指標である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
サンプルにおける、配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも約99%相同な16SrRNAのDNA配列を含むポリヌクレオチドの存在が、病気の指標である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
サンプルにおける、配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも約99.5%相同な16SrRNAのDNA配列を含むポリヌクレオチドの存在が、病気の指標である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
サンプルにおける、配列番号3、4、5、6、9、10および13からなる群より選択される16SrRNAのDNA配列を含むポリヌクレオチドの存在が、病気の指標である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
解析工程は、サンプルを、PCR、ハイブリダイゼーション、および、抗体検出からなる群より選択される方法を用いて解析することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つのコンテナーに、請求項1〜11のいずれか一項に記載の、生きた、または不活性化された、単離された色素生産性嫌気性細菌の少なくとも1種の有効量、および、製薬上許容できる担体を含むコンパニオンアニマルにおける歯周疾患を治療および予防するための組成物を含み、コンパニオンアニマルにおける歯周疾患の治療または予防に有用なキットであることを示す説明書一式をさらに含む、キット。
【請求項26】
組成物を分注するための手段をさらに含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
少なくとも1つのコンテナーに、高度にストリンジェントな条件下で配列番号3、4、5、6、9、10および13に記載のヌクレオチド配列のいずれかの相補物にハイブリダイズする、配列番号3、4、5、6、9、10および13のいずれかから選択される少なくとも約15個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む単離されたDNA分子を含み、第二のコンテナーに、高度にストリンジェントな条件下で配列番号3、4、5、6、9、10および13に記載のヌクレオチド配列のいずれかにハイブリダイズする、配列番号3、4、5、6、9、10および13に記載のヌクレオチド配列のいずれかの相補物から選択される少なくとも約15個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む第二の単離されたDNA分子を含み、さらに、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属、または、タンネレラ属の検出に有用なキットであることを示す説明書一式を含むキット。
【請求項28】
少なくとも1つのコンテナーに、配列番号3、4、5、6、9、10および13のいずれかから選択される少なくとも約15個の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む単離されたDNA分子、またはその相補物を含み、該ハイブリダイゼーションは、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属、または、タンネレラ属に特異的であり、バクテロイデス属、ポルフィロモナス属、または、タンネレラ属の検出に有用なキットであることを示す説明書一式をさらに含む、ハイブリダイゼーションキット。
【請求項29】
ハイブリダイゼーションは、高度にストリンジェントな条件下で行われる、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
細菌は、配列番号3、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも約99%相同な16SrRNAのDNA配列を含む、生物学的に純粋な細菌培養物。
【請求項31】
16SrRNAのDNA配列は、配列番号3、6、9、10および13からなる群より選択される配列に少なくとも約99.5%相同である、請求項30に記載の生物学的に純粋な細菌培養物。
【請求項32】
16SrRNAのDNA配列は、配列番号3、6、9、10および13からなる群より選択される、請求項30に記載の生物学的に純粋な細菌培養物。
【請求項33】
ATCC PTA−5881、または、ATCC PTA−5881の同定された特徴の全てを有する培養物である、生物学的に純粋な細菌培養物。
【請求項34】
ATCC PTA−5882、または、ATCC PTA−5882の同定された特徴の全てを有する培養物である、生物学的に純粋な細菌培養物。
【請求項35】
ATCC PTA−6063、または、ATCC PTA−6063の同定された特徴の全てを有する培養物である、生物学的に純粋な細菌培養物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−508837(P2007−508837A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536193(P2006−536193)
【出願日】平成16年10月11日(2004.10.11)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003310
【国際公開番号】WO2005/040359
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】