説明

歯牙塗布用組成物

【課題】 CPP−ACPの持つ脱灰抑制効果,再石灰化促進効果等のう蝕予防効果をより長期間維持することができる歯牙塗布用組成物を提供する。
【解決手段】 水を含まず、(a)カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)及び/またはカゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP):0.5〜20重量%と、(b)皮膜形成高分子:5〜70重量%と、(c)アルコールを含むように選択された有機溶剤:5〜70重量%と、(d)フッ素化合物:0.01〜10重量%と、(e)増粘剤:0.1〜20重量%から成り、歯牙へ塗布して使用することを特徴とする歯牙塗布用組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯牙へ塗布することで皮膜を形成し、う蝕予防効果を長期間得ることができる歯牙塗布用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(以下、単にCPP−ACPと記すことがある。)は、牛乳のタンパク質(カゼイン)由来ペプチドと無機質(非結晶性リン酸カルシウム)の複合体から成る物質であり、その構成要素の中に歯の無機成分であるカルシウムやリンを含んでいるため歯の再石灰化を促進させる効果がある。
【0003】
CPP−ACPによるう蝕予防には、歯質の再石灰化作用と歯質の脱灰抑制作用との2つのプロセスがある。歯質の再石灰化作用は、CPP−ACPによりエナメルの表層下脱灰病変内部へカルシウムとリンのイオンが持続的に供給されることで起きる。歯質の脱灰抑制作用は、口腔内の唾液中においてCPP−ACP由来のカルシウムとリンのイオンによってこれらのイオン濃度が過飽和状態に保たれていることにより、歯質エナメル表層のリン酸カルシウムの溶解度は著しく低下し歯が溶け難くなるために起きる。フッ素を含むカゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(以下、単にCPP−ACFPと記すことがある。)にも、う蝕予防に効果がある。
【0004】
CPP−ACPやCPP−ACFPを含有させ、う蝕の予防を補助するためのガムやキャンディ等の食品や、歯磨剤や洗口剤などの口腔ケア用組成物等が開示されている(例えば、特許文献1,2参照。)。しかし、口腔内においてCPP−ACPのう蝕予防効果を十分に発揮させるためには、CPP−ACPを長時間滞在させる必要があり、例えばCPP−ACPを配合したガムの場合には、2粒(3g)を同時に、1日4回,20分間を目安に2週間も継続する必要があった。
【0005】
1日に何度も適用することは一般的なライフスタイルを考えると困難であるため、1日1回の適用でもCPP−ACPのう蝕予防効果を発揮させることを目的としたCPP−ACPを含有するペースト状,クリーム状のう蝕予防組成物もある。(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
しかしながら、このう蝕予防組成物は親水性に富むペースト状組成物であるため口腔内では唾液等に溶解してしまい、直接歯牙に塗布した場合は数十分、トレーを用いた場合でもせいぜい数時間程度で流れ落ちてしまう問題があった。そこで、一度歯牙に塗布すれば、長期的に歯牙上に保持され、なお且つCPP−ACPの脱灰抑制や再石灰化等のう蝕予防効果を発揮し続けるような組成物が市場において求められてきた。
【0007】
【特許文献1】特表2002−500626号公報
【特許文献2】特表2002−540129号公報
【特許文献3】特開2005−145952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、CPP−ACPの持つ脱灰抑制効果,再石灰化促進効果等のう蝕予防効果をより長期間維持することができる歯牙塗布用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水を含まず、(a)カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)及び/またはカゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP):0.5〜20重量%と、(b)皮膜形成高分子:5〜70重量%と、(c)アルコールを含むように選択された有機溶剤:5〜70重量%と、(d)フッ素化合物:0.01〜10重量%と、(e)増粘剤:0.1〜20重量%から成り、歯牙へ塗布して使用することを特徴とする歯牙塗布用組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る歯牙塗布用組成物は、歯牙に塗布して長期的にCPP−ACP及び/またはCCP−ACFPの持つ脱灰抑制効果があり、再石灰化促進効果等のう蝕予防効果を促し続けることが可能な優れた歯牙塗布用組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の歯牙塗布用組成物は構成成分として水を含まない。水を含むと歯面への塗布後に形成される皮膜が弱く、すぐ破れてしまったり歯牙塗布用組成物が脱落してしまう等の不都合が生じるからである。
【0012】
カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)及び/またはカゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)は、食用または歯科的に許容されるものであれば特に制限されず、例えばホスホペプチドにカルシウム,無機リン酸,任意にフッ素を混合し、この混合物を濾過して乾燥する特許文献1に記載されている方法にて作製したものを用いることが組成及び結晶化度の点で好ましい。
【0013】
カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)及び/またはカゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)の配合量は歯牙塗布用組成物全体の0.5〜20重量%であり、特に1〜12重量%であることが好ましい。0.5重量%未満であるとカルシウムとリンの供給が不十分でう蝕予防効果が得られず、20重量%を超えると歯牙塗布用組成物の粘度が高くなりすぎ、また保存性が悪くなる。
【0014】
皮膜形成高分子は、歯牙に歯牙塗布用組成物を塗布した後、CPP−ACP及び/またはCPP−ACFPを含む安定な皮膜を歯牙上に形成し、そのまま歯牙上に保持され、う蝕予防の諸効果を発揮し続けさせるために必要な成分である。(b)皮膜形成高分子としては、セラック,ロジン,プルラン,ツェイン,カルナバロウ,ミツロウ,ヘミロース,ゼラチン等の天然物、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレンオキサイド,ポリビニルアルコール,ポリ酢酸ビニル,ポリ塩化ビニル,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,ポリアクリル酸,ポリマレイン酸,アクリル酸アルキル重合体,メタクリル酸アルキル重合体,メトキシメチレン/無水マレイン酸共重合体,ポリエチレングリコール/メチレンジイソシアナトシクロヘキサン共重合体,ポリプロピレングリコール/メチレンジイソシアナトシクロヘキサン共重合体等の有機合成物を例示することができる。勿論、2種以上を組み合わせ用いても良い。
【0015】
皮膜形成高分子の配合量は組成物全体の5〜70重量%であり、特に10〜60重量%であることが好ましい。5重量%未満であると塗布後形成される皮膜が不十分で脱落してしまう等の不都合が生じ、70重量%を超えると歯牙塗布用組成物の保存安定性が低下する。
【0016】
本発明の歯牙塗布用組成物は歯牙に塗布した後、自然乾燥や圧縮空気により乾燥させて歯面に皮膜を形成させる。その塗布,乾燥,皮膜化を良好に行うため、(c)アルコールを含むように選択された有機溶剤が揮発性成分として含まれていることが必要である。
【0017】
有機溶剤としてアルコールは必須である。アルコールは、エタノール,メタノール,プロパノール,イソプロパノール,ブタノール,イソブタノール,ペンタノール,イソペンタノール,オレイルアルコール,オクタノール,ベンジルアルコール,メチルセロソルブ,エチルセロソルブ等を例示することができる。また2種類以上のアルコールを組み合わせて選択して用いてもよい。
【0018】
アルコールの配合量は有機溶剤全体の30〜95重量%であることが好ましく、特に45〜70重量%であることが望ましい。30重量%未満であると皮膜形成に十分な揮発効果が得られにくく、95重量%を超えると組成物中の粘度が低くなり過ぎる傾向がある。
【0019】
本発明で使用する前述のアルコール以外の有機溶剤としては、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,スチレン,n−ペンタン,イソペンタン,テトラメチルメタン,n−ヘキサン,シクロヘキサン,n−ヘプタン,2−メチルヘキサン,3−メチルヘキサン,ジメチルペンタン,トリメチルブタン,ブチルグリコール,メチルジグリコール,エチルジグリコール,ブチルジグリコール,ジメチルジグリコール,1−メトキシ−2−プロパノール,メチルジプロピレングリコール,3−メトキシブタノール,テトラヒドロフラン,酢酸エチル,酢酸プロピル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル,酢酸イソブチル,ブチルセロソルブアセテート,エチルカルビトールアセテート等から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0020】
有機溶剤の配合量はアルコールを含んで組成物全体の5〜70重量%であり、特に10〜50重量%であることが望ましい。5重量%未満であると皮膜形成高分子が有機溶剤に溶解しにくくなり塗布操作が行いにくくなり、70重量%を超えると組成物の保存安定性が悪化する。
【0021】
本発明に係る歯牙塗布用組成物は、より再石灰化効果を与えるために(d)フッ素化合物を配合している。フッ素化合物は0.01〜10重量%配合する必要があり、好ましくは0.1〜6重量%である。0.01重量%未満であると十分な再石灰化効果が得られにくく、10重量%を超えると人体への安全性が低下する。フッ素化合物としてはフッ化ナトリウム,フッ化スズ,モノフルオロリン酸ナトリウムから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
本発明に係る歯牙塗布用組成物は、配合物を組成物中で安定化させるために適当な増粘剤を加えることが必要である。(e)増粘剤としては、アエロジル,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム,カルボキシメチルセルロースカルシウム,カルボキシメチルセルロースカリウム,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ポリビニルピロリドン,アカシアガム,アラビアガム,グァーガム,カジブビーンガム,タラガム,タマリンドシードガム,トラガントガム,カラヤガム,カラギナン,キチン,キトサン,キトサミン,キサンタンガム,ジェランガム,カードラン,カーボポール,ルーセンタイト,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,デンプングリコール酸ナトリウム,デンプンリン酸エステルナトリウム,ポリアクリル酸ナトリウム等から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
増粘剤の配合量は組成物全体の0.1〜20重量%であり、特に0.5〜10重量%であることが望ましい。0.1重量%未満であると組成物の保存安定性が悪化し、20重量%を超えると組成物の粘度が高くなりすぎて歯面に塗布しにくくなる。
【0024】
本発明に係る歯牙塗布用組成物は、歯牙に塗布することで歯面に殺菌効果を与えるために抗菌剤を配合することもできる。(f)抗菌剤としては、アズレンスルホン酸ナトリウム、ε-アミノカプロン酸、アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、β-グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム液、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンゼトニウム液、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、塩酸ピリドキシン、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ゼオライト、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、塩化クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、ヘキセチジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、臭化ドミフェン、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、トリクロサン、2,2’−ジヒドロキシー5,5’−ジブロモージフェニルエーテル、4’,5―ジブロモサリチルアニリド、3,4’,5−トリクロロサリチルアミド、3,4’,4−トリクロロカルバニリド、3−トリフルオロメチルー4,4−ジクロロカルボアニリド、2−イソプロピル−5−メチルーフェノール(チモール)、2−メトキシ−4−(2−プロペニル)−フェノール(オイゲノール)、メチル−p−クロロフェノール、エチル−p−クロロフェノール、ヘキシルレゾルシノール、メチルーレゾルシノール、メチルーレゾルシノール、ドデシルジアミノエチルグルシン、安息香酸塩、ラウロイルサルコシン塩、ラウリル硫酸塩等から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
(f)抗菌剤は、0.001〜3重量%の範囲で配合することが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.5重量%である。0.001重量%未満であると十分な抗菌効果が得られ難く、3重量%を超えると人体の安全性の面で好ましくない。
【0026】
本発明に係る歯牙塗布用組成物の形態としては、液体状,ジェル状,ペースト状,クリーム状等の何れでも良い。また歯牙に塗布する方法は、ブラシや綿棒を用いて塗布する方法,スプレーにより噴霧する方法等が考えられるが、その何れの方法も用いることができる。
【0027】
本発明に係る歯牙塗布用組成物には一般的に用いられている、着色剤,香味剤,漂白剤等の添加剤を適宜配合することもできる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1〜7及び比較例1〜3の組成の配合を表1に纏めて示す。表内の数値の単位は重量部。
【0030】
<歯面残存性の評価−1 長期滞留試験>
(1) 牛歯を歯科用樹脂で包埋し、牛歯エナメル質を耐水研磨紙により鏡面研磨する。
(2) 鏡面研磨した牛歯エナメル質に、表1及び表2に示す組成で配合した歯牙塗布用組成物を、歯面全体にブラシで塗布し、弱圧の圧縮空気により乾燥して、歯面上に皮膜を形成する。
(3) 気温37℃,湿度100%の雰囲気下に1時間放置後、蒸留水中に浸漬し37℃で3週間後、歯面上の皮膜の残存度合を確認した。

◎:完全〜ほとんど残存
○:50%以上残存
△:50%未満が部分的に残存
×:ほとんど剥離または溶解
【0031】
<歯面残存性の評価−2 摩耗試験>
(1) 牛歯を歯科用樹脂で包埋し、牛歯エナメル質を耐水研磨紙により鏡面研磨する。
(2) 鏡面研磨した牛歯エナメル質に、表1に示す組成で配合した歯牙塗布用組成物を、歯面全体にブラシで塗布し、弱圧のエアーにより乾燥して、歯面上に皮膜を形成する。
(3)気温37℃,湿度100%に1時間放置後、ブラシ摩耗試験機で5000回の摩耗試験を行い、歯面上の皮膜の残存度合を確認した。

◎:完全〜ほとんど残存
○:60%以上残存
△:60%未満部が分的に残存
×:ほとんど剥離
【0032】
<再石灰化効果の評価>
(1) 牛歯を厚さ1mmずつ裁断し、牛歯エナメル質側を#1500の耐水研磨紙により研磨する。エナメル質側約2mmを残してマスキングして試験体とする。
(2)試験体を、脱灰ジェル(乳酸;0.1M, 塩化カルシウム;1.5mM, リン酸二水素カリウム;0.9mM, CMC−Na;1wt%, pH4.8)に4日間浸漬し、人工う蝕を作成する。
(3)脱灰試験体をX線CT装置を用いて透過法にて観察し、ミネラルロス量を求める。
(4) 試験体の人工う蝕部分に、表1に示す組成で配合した歯牙塗布用組成物を塗布後に乾燥させて皮膜を形成させる。
(5)人工唾液中に各試験体を2週間浸漬(人工唾液は毎日交換)し、2週間後再度X線CT装置により透過法にて観察し、再石灰化後のミネラルロス量を求める。
(6)再石灰化率(%)を次式により求めた。

再石灰化率(%)={(スタート時のミネラルロス量−再石灰化後のミネラルロス量)/スタート時のミネラルロス量}× 100
(数値が大きいほど再石灰化したことを示している。)
結果を表1に纏めて示す。
【0033】
<保存安定性の評価>
表1に示す組成で配合した歯牙塗布用組成物を気温60℃の環境下で3日間保管した後の状態を観察した。液分離や沈殿,析出が無かったものを「良」とした。結果を表1に纏めて示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1より明らかなように、本発明の歯牙塗布用組成物は、歯牙に塗布して乾燥させることで、長期的に安定で摩耗等にも強い皮膜が形成され、しかもCPP−ACP,CPP−ACFP,フッ素化合物の働きにより再石灰化効果等も発揮されるという、優れた性質の歯牙塗布用組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含まず、(a)カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)及び/またはカゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP):0.5〜20重量%と、(b)皮膜形成高分子:5〜70重量%と、(c)アルコールを含むように選択された有機溶剤:5〜70重量%と、(d)フッ素化合物:0.01〜10重量%と、(e)増粘剤:0.1〜20重量%から成り、歯牙へ塗布して使用することを特徴とする歯牙塗布用組成物。
【請求項2】
更に(f)抗菌剤を0.001〜3重量%含む請求項1または2に記載の歯牙塗布用組成物。
【請求項3】
皮膜形成高分子が、セラック,ロジン,プルラン,ツェイン,カルナバロウ,ミツロウ,ヘミロース,ゼラチン,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレンオキサイド,ポリビニルアルコール,ポリ酢酸ビニル,ポリ塩化ビニル,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,ポリアクリル酸,ポリマレイン酸,アクリル酸アルキル重合体,メタクリル酸アルキル重合体,メトキシメチレン/無水マレイン酸共重合体,ポリエチレングリコール/メチレンジイソシアナトシクロヘキサン共重合体,ポリプロピレングリコール/メチレンジイソシアナトシクロヘキサン共重合体から選ばれる1種または2種以上の組み合わせである請求項1ないし3の何れか1項に記載の歯牙塗布用組成物。

【公開番号】特開2011−73983(P2011−73983A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224252(P2009−224252)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】