説明

歯磨剤組成物

【解決手段】 (A)フッ素化合物と(B)リン酸水素カルシウム2水和物を含有する歯磨剤組成物に、(C)湿潤剤を5〜30質量%と、(D)エーテル化度2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを0.1〜3質量%と、(E)増粘性シリカを0.5〜5質量%とを配合したことを特徴とする歯磨剤組成物。
【効果】 本発明によれば、製剤のツヤに優れ、保型性、使用中の分散性の良好な、フッ素化合物及びリン酸水素カルシウム2水和物配合の歯磨剤組成物を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤のツヤに優れ、保型性、使用中の分散性の良好な歯磨剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フッ素化合物は、歯磨剤組成物のう触予防有効成分として多くの歯磨剤に配合されている。また、歯磨剤の研磨剤として、リン酸水素カルシウム2水和物が、優れた清掃力・清掃感を持つため、広く使用されている。
【0003】
しかしながら、フッ素化合物とリン酸水素カルシウム2水和物を含有した歯磨剤は、製剤の表面のツヤがなく、審美的に劣るという問題がある。
【0004】
一方、歯磨剤の粘結剤として繁用されているものとしてカルボキシメチルセルロースがあり、様々な歯磨剤に利用されている。カルボキシメチルセルロースは、フッ素化合物とリン酸水素カルシウム2水和物などと共に歯周疾患予防・治療効果向上、消泡性・保存安定性向上、苦味・後味の悪さ低減等を目的とした組成物に用いられている(特許文献1、2、3、4参照)が、これらの技術は製剤表面のツヤを改善するものではない。
【0005】
一般的にカルボキシメチルセルロースは、そのセルロースの水酸基にカルボキシメチル基を導入して製造されるものであり、その置換度(エーテル化度)を変化させることで、様々な特徴をもつ、カルボキシメチルセルロースが製造される。
【0006】
しかしながら、従来、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は0.5以上1.5以下が一般的であり、この範囲外のエーテル化度をもつカルボキシメチルセルロースの製造は、理論的には可能であったが、実際には困難であり、商品化されていなかった。
【0007】
近年、科学技術の発展に伴い、高エーテル化度のカルボキシメチルセルロースの生産が可能となり、その配合検討が行われており、特許文献5には、この技術を用い、ミクロフィブリル化セルロースを配合した歯磨組成物にエーテル化度2.0以上のカルボキシメチルセルロースアルカリ塩を併用することで、歯磨剤を容器から押し出した時の肌つや、保型性が向上することが記載されている。しかし、これはミクロフィブリル化セルロースに併用した場合の効果であって、フッ素化合物とリン酸水素カルシウム2水和物を含有する組成物に関する記載はない。
【0008】
以上のように、歯磨剤における口腔内でのフッ素化合物及びリン酸水素カルシウム2水和物の有用性は明らかであるにもかかわらず、フッ素化合物及びリン酸水素カルシウム2水和物を配合した製剤は、表面にツヤがなく審美的に劣るという欠点があるもので、このような製剤のツヤを向上させる手段は今まで見出されていないのが現状であった。更に、この場合、多くの人が使用する歯磨剤においては、外観のツヤを向上させることと同時に、歯ブラシ上に歯磨剤を押し出した時に、歯磨剤がたれ落ちることなく保型性に優れ、更に使用中の分散性の良好な歯磨剤が望まれる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−302476号公報
【特許文献2】特開平8−325126号公報
【特許文献3】特開昭60−48919号公報
【特許文献4】特開2001−89339号公報
【特許文献5】特開平4−134024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、製剤のツヤに優れ、保型性、使用中の分散性の良好な歯磨剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、(A)フッ素化合物と(B)リン酸水素カルシウム2水和物を含有する歯磨剤組成物に、(C)湿潤剤と、(D)エーテル化度2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩と、(E)増粘性シリカとを特定割合で組み合わせて配合することにより、フッ素化合物とリン酸水素カルシウム2水和物を含有する歯磨剤組成物における製剤のツヤを改善し、かつ、保型性、使用中の分散性の良好な歯磨剤組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0012】
従って、本発明は、(A)フッ素化合物と(B)リン酸水素カルシウム2水和物を含有する歯磨剤組成物に、(C)湿潤剤を5〜30質量%と、(D)エーテル化度2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩を0.1〜3質量%と、(E)増粘性シリカを0.5〜5質量%とを配合したことを特徴とする歯磨剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製剤のツヤに優れ、保型性、使用中の分散性の良好な、フッ素化合物及びリン酸水素カルシウム2水和物配合の歯磨剤組成物を提供できるもので、本発明の歯磨組成物は、練歯磨等として幅広く使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の歯磨剤組成物は、練歯磨類として調製できるもので、(A)フッ素化合物、(B)リン酸水素カルシウム2水和物を含有すると共に、(C)湿潤剤、(D)エーテル化度2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩、(E)増粘性シリカを配合したものである。
【0015】
ここで用いられるフッ素化合物は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第一錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中の1種又は2種以上が用いられる。
【0016】
上記フッ素化合物の歯磨剤組成物全体に対する配合量は、フッ化ナトリウムの場合0.1〜0.3%(質量%、以下同様)、モノフルオロリン酸ナトリウムの場合0.3〜1.0%であり、通常、日本ではフッ素として1000ppm前後が配合される。
【0017】
次に、リン酸水素カルシウム2水和物としては、通常歯磨剤に用いられる平均粒径が10〜50μmであり、吸液量が0.5〜0.9mL/2gのものを配合でき、具体的には、東ソーファインケム(株)製:歯磨用リン酸カルシウム2水和物やRhodia社製:Victor DF等が挙げられる。
【0018】
上記リン酸水素カルシウム2水和物の配合量は、歯磨剤組成物全体の21〜60%、特に25〜60%、とりわけ35〜50%が好適である。配合量が21%未満であると保型性に劣る場合があり、60%を超えるものは製剤のツヤに劣る場合がある。
【0019】
本発明において、湿潤剤としては、例えばソルビット、グリセリン、プロピレングリコ−ル、平均分子量400〜4000のポリエチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等が挙げられ、これらの中の1種又は2種以上が用いられるが、特にソルビット、プロピレングリコ−ル、キシリットが好ましい。
【0020】
これら湿潤剤の配合量は、純分換算で組成物全体の5〜30%であり、特に15〜20%とすることが好ましく、配合量が5%未満の時は歯磨剤表面のツヤが発揮されず、30%を超えると歯磨剤使用時の分散性が損なわれる。
【0021】
更に、本発明において、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられ、そのエーテル化度が2.0〜2.8、好ましくは2.2〜2.5の範囲ものが使用される。本発明では、このような特定のエーテル化度を有するカルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩を使用することで、歯磨剤表面のツヤ、保型性等に優れたものとすることができるもので、エーテル化度が2.0未満では、歯磨剤表面のツヤが満足に発揮されず、2.8を超えると歯磨剤の保型性が保たれず、歯磨剤を歯ブラシに押し出した時に歯ブラシ上から歯磨剤がたれ落ちる恐れがある。
【0022】
上記特定のエーテル化度を有するカルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩の配合量は、組成物全体の0.1〜3%、好ましくは0.2〜2%、特に好ましくは0.2〜1%である。配合量が0.1%未満では歯磨剤表面のツヤが発揮されず、3%を超えると歯磨剤使用時の分散性が損なわれる。
【0023】
また、増粘性シリカとしては、BET法による比表面積が100〜300m2/g、特に150〜200m2/g、吸液量が2〜3mL/g、特に2.1〜2.7mL/gのものが好適であり、例えば火成性シリカ、沈降性シリカなど、公知の製法で得られたものを使用できる。
【0024】
上記増粘性シリカの配合量は、組成物全体の0.5〜5%であり、特に1〜4%、とりわけ2〜3%であることが好ましく、配合量が0.5%に満たないと歯磨剤が保型性に劣るものとなってしまい、5%を超えると歯磨剤のツヤが満足に発揮されない。
【0025】
本発明の歯磨剤組成物は、その剤型に応じ、上記必須成分に加えて任意成分としてその他の添加剤を必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができ、通常の方法で製造することができる。
【0026】
練歯磨の場合は、例えば上記リン酸水素カルシウム2水和物、上記シリカ以外の研磨剤、上記エーテル化度2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩以外の粘結剤、界面活性剤、香料、甘味剤、防腐剤、上記フッ素化合物以外の各種有効成分、着色剤等を配合でき、これら成分と水とを混合して製造することができる。
【0027】
研磨剤としては、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、リン酸水素カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
これらの他の研磨剤を配合する場合、その配合量は、歯磨剤組成物全体の2〜20%、特に10〜15%とすることが好ましい。
【0028】
粘結剤としては、エーテル化度2.0未満のカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、カチオン化セルロース、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、カラヤガム、ビーガム、キサンタンガム等が挙げられる。
これら他の粘結剤を配合する場合、その配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができるが、歯磨剤組成物全体の0.1〜2%、特に0.3〜1%が好適である。
【0029】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合し得る。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエーテル型の活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチンなどが挙げられる。
これらの界面活性剤の配合量は、歯磨剤組成物全体の0.1〜3%、特に0.5〜1.5%とすることが好ましい。
【0030】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム等、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0031】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、 及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。
【0032】
各種有効成分としては、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等のグルカナーゼ、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェロール、α−ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、クロロヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物が挙げられる。なお、上記有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
【0033】
着色剤としては、青色1号、黄色4号、緑色3号、二酸化チタン等を通常量で配合することができる。
【0034】
本発明の歯磨剤組成物を収容する容器の材質は特に制限されず、通常、歯磨剤組成物に使用される容器を使用できる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等のプラスチック容器等が使用できる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。
【0036】
なお、リン酸水素カルシウム2水和物及び増粘性シリカの平均粒径は、日機装製マイクロトラック粒度分布測定装置 Model 7995−10を用いて測定した。
リン酸水素カルシウム2水和物及び増粘性シリカの吸液量の測定法は、一定量の試料を滑らかなガラス板上に量りとり、ヘラで液分が全体に均一に混ざるように良くほぐし、グリセリン(42.5%)を滴下し、最後に試料をヘラでガラス板の中央に集め、ヘラでガラス板よりはがしてみて、きれいにはがれる時を終点とし、重量あたりの試料に要したグリセリン量を吸液量とした。
【0037】
〔実施例、比較例〕
下記表1〜3に示す組成の練歯磨組成物を下記製造法により調製した。
製造法:
(1)精製水中に水溶成分(粘結剤、プロピレングリコール等を除く)を常温で混合溶解させたA相を調製した。
(2)プロピレングリコール中に粘結剤を常温で分散させたB相を調製した。
(3)撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。
(4)C相中に、香料、研磨剤、界面活性剤等の成分を1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い常温で混合し、減圧による脱泡を行い、歯磨剤組成物1.2kgを得た。
なお、組成中にプロピレングリコールのない歯磨剤組成物に関しては、撹拌中のA相に粘結剤を添加混合し、C相を調製した。
【0038】
表1〜3に示した歯磨剤組成物について、10名の被験者により、適量を歯刷子にとり、観察し、歯磨剤表面のツヤの程度、保型性、使用中の分散性について、以下の基準で絶対評価での官能試験を行い、平均値を求めた。結果を表1〜3に示す。
【0039】
歯磨剤表面のツヤ:
(評点)3点:歯磨剤表面にツヤがある。
2点:歯磨剤表面にややツヤがある。
1点:歯磨剤表面にツヤがない。
(ツヤの評価基準)
◎:歯磨剤表面のツヤ平均点 2.0点以上
○:歯磨剤表面のツヤ平均点 1.5点以上〜2.0点未満
×:歯磨剤表面のツヤ平均点 1.5点未満
【0040】
保型性:
(評点)3点:歯ブラシ上でペーストの形状が保たれており、歯ブラシからたれ落ちない

2点:歯ブラシ上でのペーストの形状はやや崩れているが、歯ブラシからたれ落
ちない。
1点:歯ブラシ上でペーストの形状が崩れ、歯ブラシからたれ落ちる。
(保型性の評価基準)
◎:保型性平均点 2.0点以上
○:保型性平均点 1.5点以上〜2.0点未満
×:保型性平均点 1.5点未満
【0041】
使用中の分散性:
表1〜3に示した練歯磨組成物について、10名の被験者により、1gを歯刷子(ライオン株式会社製、クリニカハブラシ4列ヘッド、ミディアム)にとり、5秒間ブラッシング後、はき出された歯磨組成物を観察し、溶け残った歯磨剤の量について、以下の基準で相対評価での官能試験を行い、平均値を求めた。
(評点)
3点:溶け残りがない。
2点:溶け残りはあるが、比較例3に比べて少ない。
1点:比較例3に比べ、同等、もしくはそれ以上の溶け残りがある。
(使用中の分散性評価基準)
◎:使用中の分散性平均点 2.0点以上
○:使用中の分散性平均点 1.5点以上〜2.0点未満
×:使用中の分散性平均点 1.5点未満
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
なお、本試験で使用したリン酸水素カルシウム2水和物の平均粒径は17.5μm、吸液量は0.7mL/2gであり、増粘性シリカとしては、BET比表面積が200m2/g、吸液量が2.2mL/gの沈降性シリカを用いた。
【0046】
表1〜3の結果から、モノフルオロリン酸ナトリウムとリン酸水素カルシウム2水和物、湿潤剤、特定のエーテル化度のカルボキシメチルセルロース及び増粘性シリカを特定割合で配合した歯磨剤組成物(実施例)は、歯磨剤のツヤ、保型性、使用中の分散性のいずれも良好であることがわかった。これらに対して、本発明の必須要件のいずれかを満たしていない場合(比較例)は、歯磨剤のツヤに劣ったり、保型性が悪く、使用中の分散性に劣り、充分な効果が発揮されず本発明の目的を達成できないことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フッ素化合物と(B)リン酸水素カルシウム2水和物を含有する歯磨剤組成物に、(C)湿潤剤を5〜30質量%と、(D)エーテル化度2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩を0.1〜3質量%と、(E)増粘性シリカを0.5〜5質量%とを配合したことを特徴とする歯磨剤組成物。

【公開番号】特開2006−1901(P2006−1901A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181602(P2004−181602)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】