説明

歯科装置洗浄剤

本発明は、水不溶性ポリマー性崩壊剤を含有する非発泡性処方である歯科装置洗浄剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水不溶性、水膨潤性ポリマー性崩壊剤を含有する非発泡性処方である、歯科装置洗浄剤に関する。洗浄剤は、55〜70℃の温度に加熱した水浴中で歯科装置を洗浄するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
総義歯または部分義歯は、欠損歯の代わりに口腔内に挿入されることを意図とする。歯のように、義歯および他の歯科装置は、良い口腔衛生を維持するために定期的に洗浄すべきである。歯のように、歯科装置はまた、美容上の理由から、例えば、さわやかな息を維持するために定期的に洗浄すべきである。義歯および他の歯科装置における微生物沈着および増殖は、患者およびその治療をする歯科医師に多くの問題をもたらすことがよく知られている。かかる問題には、臭気、義歯誘発性口内炎、装置によるならびに口腔内の汚れおよび不愉快な味が含まれる。
【0003】
歯とは違い、義歯および他の歯科装置は、洗浄するために取り外すことができる。歯科装置はまた、比較的過酷な洗浄条件に耐えうる、アクリルポリマーなどの耐久性のある材料から製造されうる。結果として、それらは、過酷な洗浄条件に曝すことができ、そして大抵、曝されている。それらは、典型的には、洗浄浴でしばらくの間浸されるかあるいは歯磨剤または特に処方された洗浄クリームで磨く、2つの方法の1つで洗浄される。
【0004】
クリームで磨くことは、機械的作用を伴う洗浄処方を補うという利点がある。不運なことには、歯と同様に、歯科装置のスポットは、ブラッシング工程中に見逃されうるかまたは見落とされうる。結果として、歯科装置の材料は、時間とともに分解され得、使用者の残りの歯および歯茎は、病原体および望ましくない美容の結果に曝されうる。
【0005】
洗浄浴中に浸すことは、義歯全体を洗浄するという利点を提供する。浴中に義歯全体を浸すことは、洗浄組成物がクリームで普通に磨くことによって達することができない表面に達することを可能にする。洗浄浴は、通常、それ自体は販売されていない。典型的には、活性成分は、義歯洗浄粉末または錠剤として、固体形態でまたは濃縮液形態で販売されている。次いで、活性成分は、水浴中で溶解され、洗浄浴を形成する。
【0006】
ひどく汚れた義歯または著しく細菌汚染されたものは長期に(例えば、一晩)浸すことを必要とするが、大抵、患者は長期間その義歯がないことに抵抗がある。さらに、浸すことは、クリームおよび歯磨剤で見出された機械的洗浄の利点を放棄する。この機械的洗浄の損失を補うために、義歯洗浄錠剤および粉末には、通常、機械的洗浄および強力な化学洗浄剤を模倣するために発泡システムが含まれる。しかしながら、より古い装置は装置材料のバルク材料に進行した深い汚れ、ならびに細菌汚染を有しうるので、洗浄はより古い装置に関してさらに大きな問題となる。そのような場合、室温にて発泡性洗浄剤中に装置を浸すことは、歯科装置材料、例えば、アクリル樹脂で見出された細孔および隙間内の義歯の洗浄を完了する作用の必要な深さに達していなくてもよい。
【0007】
単独のまたは発泡性洗浄剤と併せての、マイクロ波照射の使用は、付着性歯科プラークを取り除くのに非常に有効であると主張されている。しかしながら、歯科装置が水に浸している場合にマイクロ波照射がもたらす不均一な加熱は、アクリル樹脂のガラス転移温度に近い、70〜75℃の安全限度を超えるアクリル樹脂の温度を上昇させうる。したがって、アクリル樹脂を70℃を超える温度に加熱するならば、マイクロ波加熱は、義歯の変形の危険性を増加させうる。
【0008】
したがって、適当な歯科装置洗浄機と組み合わせて水浴を70℃以下の温度に加熱することによってアクリル樹脂内深部の歯科装置を洗浄する必要がある。かかる歯科装置洗浄処方は、温度の上昇にて安定にすべきである。
【0009】
同時係属出願番号第60/936,057号(代理人整理番号0003479USP/2420、2007年6月18日に出願)は、発泡性錠剤を用いた場合に見出されるように、処方中に含有される活性酸素は、制御された手法で、過剰の泡および発泡を伴わずに放出されるので、水中の歯科装置を55〜70℃の持続温度に加熱する装置を開示している。55〜70℃の水浴の温度を維持する装置に関する本発明の非発泡性歯科装置洗浄処方の使用が好ましい。さらに、活性酸素および加熱の組み合わせは、歯科装置の細孔および隙間内の洗浄に有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
1の態様において、本発明は、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方であって、該処方が非発泡性であるところの、歯科装置洗浄処方に関する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方であって、該処方が非発泡性であり、該酸化剤が水性環境中で長期間かけて放出されるところの、歯科装置洗浄処方に関する。
【0012】
別の態様において、本発明は、口腔外の歯科装置の洗浄方法であって、歯科装置を洗浄し、歯科装置を水で洗い流すのに十分な時間、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む非発泡性である歯科装置洗浄処方と接触させて歯科装置を維持することを含む、方法に関する。
【0013】
また別の態様において、本発明は、口腔外の歯科装置の洗浄方法であって、高温にて歯科装置を洗浄し、歯科装置を水で洗い流すのに十分な時間、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む非発泡性である歯科装置洗浄処方と接触させて歯科装置を維持することを含む、方法に関する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方を輸送するためのキットであって、該処方が非発泡性であり、洗浄処方を分散しうる容器および55〜70℃の範囲の持続温度を維持しうる別々に包装された水浴装置を含むキットに関する。
【0015】
またさらに別の態様において、本発明は、歯科装置を少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方で洗浄することによって歯科装置の口腔内におけるさわやかな息の持続を維持する方法であって、該処方が非発泡性であり、該洗浄が、さわやかな息の持続を維持するのに十分な時間、歯科装置洗浄処方と接触させて歯科装置を維持し、歯科装置を水で洗い流し、使用者の口腔内の歯科装置を置くことを含む、方法に関する。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方であって、従来の歯科装置洗浄発泡性処方より水分に対して安定である、歯科装置洗浄処方に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で交互に用いられる、「洗浄する」、「洗浄」または「洗浄すること」なる語は、本明細書に記載の処方で、歯科装置の表面上および細孔内の、食べかす、汚れおよび他の口腔堆積物を除去することを意味する。
【0018】
本明細書に用いられる「架橋ポリマー性崩壊剤」なる語は、活性剤を放出させる錠剤の分解に有益である、水不溶性、水膨潤性物質を意味する。
【0019】
本明細書に用いられる「歯科装置」なる語は、義歯または部分義歯、人工歯、取り外し可能な歯列矯正ブリッジおよび義歯床、上顎タイプおよび下顎タイプ両方の歯列矯正固定器具および装置、保護用マウスガード、歯ぎしりおよび/または顎関節(TMJ)障害を防止するためのナイトガードなどを意味する。
【0020】
本明細書に用いられる「義歯洗浄剤」なる語は、歯科装置を洗浄するための口腔外用処方を意味する。
【0021】
本明細書に用いられる「さわやかな息の持続」なる語は、最大2時間以上持続的な口あたりの(mouth-feel)、義歯悪臭防止および口腔悪臭防止の組み合わせを意味する。
【0022】
本発明の歯科装置洗浄処方は、粉末または錠剤にすることができ、特に、錠剤洗浄剤を処方するのに有用である。さらに、1の具体的な実施態様において、錠剤は水浴中に加えられる。別の実施態様において、錠剤は、加熱し、55〜70℃の温度で維持する水浴中に加えられる。
【0023】
任意の具体的な理論に拘束されることなく、非発泡性歯科装置洗浄処方の分解によって放出される活性酸素と熱との組み合わせが、多数の歯科装置で見出された表面上の細孔および溝内部の堆積物を除去するのに必要である深い洗浄作用を可能にすると考えられる。特に、これは、最低2分間最適な洗浄温度および/または範囲にて維持される熱液体に歯科装置洗浄処方を溶解することによって達成される。1の実施態様において、2〜10分にわたって崩壊が生じる。第2の実施態様において、3〜8分にわたって崩壊が生じる。第3の実施態様において、5分にわたって崩壊が生じる。
【0024】
最適温度範囲は、歯科装置を製造する材料を傷づけることなく、本発明の洗浄処方の洗浄効果を増強することを意図とする。洗浄されるべき品目にもよるが、最適温度範囲は、55〜70℃である。1の実施態様において、水は、60〜68℃の温度範囲に加熱される。第2の実施態様において、水は、60〜65℃の温度範囲に加熱される。本明細書に開示されている温度は、+/−1℃変化してもよい。
【0025】
歯科装置洗浄処方は、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を利用する。酸化剤は、洗浄工程中に必要である活性酸素の源を提供する。崩壊剤は、洗浄工程中に酸化剤を徐々に放出する、時間とともに崩壊する錠剤を粉々にすることを提供する。適当には、処方は、最適温度範囲に加熱される水浴と組み合わせて用いられる。発泡システムは、本発明の処方には用いられていないので、これは、発泡が少ない洗浄水浴を製造する。さらに、発泡システムを伴わずに、発泡システムを用いる従来の義歯洗浄錠剤に比べて非常に小さい錠剤を製造することは、洗浄効果を失うことなく、可能である。さらに、本非発泡性錠剤は、従来の発泡性錠剤より安定であり、水分条件に感受性が低い。
【0026】
適当には、本発明に用いられる酸化剤には、限定されるものではないが、過酸化物剤(persalt agent)、例えば、アルカリ金属およびアンモニウム 過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩および過リン酸塩;ならびに、アルカリ金属およびアルカリ土類金属 過酸化物、またはその組み合わせが含まれる。適当な物質の例として、カリウム、アンモニウム、ナトリウムおよびリチウム 過硫酸塩および過ホウ酸塩一水和物および四水和物;ピロリン酸ナトリウムペルオキシ水和物;ならびに、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよび亜鉛 過酸化物、またはその組み合わせが挙げられる。1の実施態様において、過硫酸塩および過ホウ酸塩は、組み合わせて用いられる。第2の実施態様において、一過硫酸塩および過ホウ酸塩は、組み合わせて用いられる。さらに別の実施態様において、アルカリ金属一過硫酸塩および過ホウ酸塩は、組み合わせて用いられる。またさらに別の実施態様において、カリウム一過硫酸塩およびアルカリ金属過ホウ酸塩は、組み合わせて用いられる。さらにさらなる実施態様において、カリウム一過硫酸塩およびナトリウム過ホウ酸塩は、組み合わせて用いられる。
【0027】
酸化剤は、50〜70重量パーセント(“%w/w)の量で処方中に含有されている。1の実施態様において、過硫酸塩および過ホウ酸塩の酸化剤の組み合わせが存在する。該実施態様において、過硫酸塩の酸化剤は、全組成物の20〜30重量%の量で処方中に含有されており、過ホウ酸塩の酸化剤は、全組成物の30〜40重量%の量で処方中に含有されている。
【0028】
酸化剤、特にカリウム一過硫酸塩は、Wilmington, DE, USAにあるDuPontから入手可能である。
【0029】
本発明に用いられる適当な崩壊剤には、限定されるものではないが、ポリビニルポリピロリドン(International Specialty Products, Wayne, NJ, USAからPOLYCLARまたはPOLYPLASDONEとして;およびBASF, Florham Park, NJ, USAからKOLLIDON, CLとして商業的に入手可能);架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(FMC BioPolymer, Philadelphia, PA, USAから商業的に入手可能);およびデンプングリコール酸ナトリウム(JRS Pharma LP, Patterson, NY, USAから商業的に入手可能)が含まれる。
【0030】
崩壊剤は、全組成物の1〜10重量%の量で処方中に含有されている。1の実施態様において、崩壊剤は、全組成物の5重量%の量で処方中に含有されている。
【0031】
酸化剤および崩壊剤に加えて、処方は、限定されるものではないが、漂白アクチベータ、キレート剤、酵素、香味剤、錠剤処理用潤滑剤、抗菌性化合物、甘味剤、錠剤の結合剤および充填剤、水分捕捉剤、保存剤などを含む既知の歯科装置洗浄剤中に適当に見出される1種または複数の賦形剤を含有していてもよい。
【0032】
処方は、限定されるものではないが、陰イオン界面活性剤、両性イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤またはその組み合わせを含む1種または複数の界面活性剤を含有していてもよい。適当な陰イオン界面活性剤には、限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウムおよび他のアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アシルN−メチルタウレート、およびラウロイルサルコシンナトリウムが含まれる。1の実施態様は、4重量%〜7重量%の量でラウリルスルホ酢酸ナトリウムを含有する。
【0033】
適当な非イオン性界面活性剤には、限定されるものではないが、ポリオキシル硬化ヒマシ油、エトキシ化アルカン酸ソルビタン、脂肪酸エトキシレート、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、ポリエチレン・オキシド/ポリプロピレン・オキシドブロックブロックポリマー(Pluronics)およびショ糖エステルが含まれる。
【0034】
適当な両性イオン性界面活性剤には、限定されるものではないが、コカミドプロピルベタインおよびアルキルアミドプロピルベタインが含まれる。
【0035】
一般的には、本明細書に記載の界面活性剤は、Stepan Company, Illinois, USAから商業的に入手可能である。
【0036】
処方は、溶液中に金属イオン、例えば、カルシウム、ナトリウム、および重金属カチオンを保持することによって洗浄および漂白の安定性を補助するのに有益である1種または複数のキレート剤を含有していてもよい。キレート剤には、限定されるものではないが、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、アミノポリカルボン酸塩、例えば、ニトリロ三酢酸およびエチレンジアミン四酢酸およびその塩、ならびにポリホスホネートおよびアミノポリホスホネート、例えば、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸およびその塩、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。キレート剤は、全組成物の1〜20重量%の量で処方中に含有されている。1の実施態様において、キレート剤は、Innophos in New Jersey, USAから商業的に入手可能なポリリン酸ナトリウムであり、全組成物の約10〜18重量%の量で見出される。別の実施態様において、キレート剤は、Dow Chemical Company, Michigan, USAから入手可能なEDTAナトリウムであり、全組成物の1〜5重量%の量で見出される。さらに別の実施態様において、全組成物の1〜20重量%の全範囲に対して、EDTAおよびポリリン酸ナトリウムの組み合わせが存在する。
【0037】
本明細書にて用いられる適当な酵素の例として、プロテアーゼ、アルカラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、グルカナーゼなどがある。
【0038】
本発明の組成物に用いられる適当な香味剤には、限定されるものではないが、冬緑油、ハッカ油、スペアミント油、レモン油、オレンジ油、アニス油、丁子油、桂皮油、またはそれらの組み合わせが含まれる。香味剤は、全組成物の0.0〜2.5重量%の量で組成物中に見出される。
【0039】
本発明に用いられる適当な抗菌剤には、限定されるものではないが、チモール、メントール、トリクロサン、フェノール、オイカリプトール、安息香酸、4−ヘキシルレソルシノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、サリチルアミド、安息香酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。列挙された抗菌剤がまた、本発明の処方中の保存剤となりうることを当業者は分かるであろう。
【0040】
本発明に用いられる適当な水分捕捉剤には、限定されるものではないが、FMC Industrial Chemicals Group, Philadelphia, PA, USAから商業的に入手可能なソーダ灰が含まれる。
【0041】
本発明に記載の組成物は、成分を混合し、次いで、サシェ(sachet)に包装するかまたは周知の製法にしたがって錠剤化することによって調製されうる。
【0042】
歯科装置洗浄処方は、粉末、サシェまたは錠剤の形態でありうる。各固体剤形は、当該分野の通常の手法で包装されてもよい。固体剤形として、歯科装置洗浄処方は、水または他の適当な液体に加えられて、洗浄組成物を形成し、洗浄工程を活発化する。錠剤の形態であれば、錠剤は、個々の錠剤としてまたは他の錠剤と一緒に、例えば、歯科装置を加熱する装置を開示する同時係属出願番号第60/936,057号(代理人整理番号0003479USP/2420、2007年6月18日に出願)に記載のカートリッジなどで包装されてもよい。
【0043】
本発明の処方には発泡システムが存在しないので、錠剤の形態であれば、錠剤はより小さくなるように設計され、そのため、より簡単に製造することができる。さらに、錠剤は水分豊富な環境下で不安定ではないので、発泡システムを伴わずに、錠剤は、より長い保存期間および増大した安定性を有する。
【0044】
適当には、錠剤は、0.7〜1.4グラムの重さである。
【0045】
適当には、錠剤は、10〜12ミリメートルの範囲の直径を有する。1の実施態様において、錠剤は、11ミリメートルの直径を有する。
【0046】
本発明の錠剤処方は、加熱した液体浴、例えば、加熱した水浴中で用いられるように設計される。適当な水浴は当該分野にて周知である。歯科装置洗浄処方は、液体浴中に加えられ、時間とともに崩壊する。本発明のさらなる利点は、歯科装置洗浄処方が長時間かけて酸化剤を放出する徐放性処方であることである。最低2分後、義歯は、水で洗い流され、口腔内に戻されうる。1の実施態様において、水は、55〜70℃の温度に加熱される。該温度は、2分〜10分間維持される。1の実施態様において、温度は、3〜8分間維持される。別の実施態様において、5分かけて崩壊が生じる。水浴が加熱される場合、錠剤から放出される活性酸素がアクリル義歯を含む、多数の歯科装置を製造するのに用いられる材料にて見出される細孔および溝の深部に達するように洗浄を最適化する。
【0047】
種々の温度で実施例2にしたがって行われた錠剤の崩壊時間は、以下の表に示される。崩壊時間は、種々の温度で1個の錠剤各々を150mLの水に加え、錠剤の崩壊時間を(タイマーで)測定することによって測定された。錠剤の崩壊の測定は、目視観測に基づく。40℃および60℃について、水をホットプレート上で加熱した。
【表1】

【0048】
本発明の範囲内に含まれる歯科装置洗浄処方は、以下の非限定的な実施例と併せてより具体的に説明される。
【実施例】
【0049】
実施例1:
開示される処方を製造する場合には、換気のよい、除湿領域で操作を行うべきである。白衣、手袋およびマスクを含む個人用保護具を使用すべきである。
【0050】
据置型ホバートミキシングボウル(Troy,OHにあるHobart Corporationから)に、以下の実施例に記載のすべての化学成分を一つずつ加える。ホバートミキサーのボウル支持体を十分に低くし、次いで、ボウルの裏のボールをボウル支持体上のボウル固定スロットに適合させ、ボウル支持体の前のアライメントピンをボウルのブラケット側の穴に適合させるようにボウルの位置を合わせる。ボウルクランプをボウルのブラケット側に回転させることによって所定の位置でボウルをロックする。完了するとすぐに、アジテーターをボウル中に置き、アジテーターシフト上でそれを押し上げ、アジテーターシャンクの溝にシフトピンを入れるためにそれを時計回りに回転させることによってアジテーター(「B」プラットビーター)を取り付ける。次いで、ボウルを上げ、変速レバーを低位置に動かすことによってミキサーを起動する。スタートボタンを押す。10分間混合する。ボウルを十分に下げて、ボウルクランプを取り外すことによってボウルを持ち上げる。次いで、得られた混合粉末を、錠剤化のために錠剤プレス室に移す。次いで、錠剤プレス(Lebanon, NJにあるSMIからのCompacta)を、錠剤ツール当たり半インチごとに適合させる。
【0051】
滅菌使い捨てスコップを用いて、最終混合物を錠剤プレスホッパーに充填する。錠剤プレスを設定し、錠剤を圧縮して(約30秒間)、本明細書に記載の生成物を製造する。プレスを停止し、重量および硬度の物理試験を行う。必要な調整を行い、該工程を繰り返して、約10〜15ストロングコブ(Strong-Cobb)単位の錠剤硬度および1.06gの錠剤重量が得られる。硬度テスターは、Englishtown, NJにあるKey International, Incから購入することができる。
【0052】
2種類の乾燥剤を有する二重ポリラインファイバードラム中で錠剤を回収する。(乾燥剤は、外側のライナーの間に加え、生成物を有していなかった)。
【0053】
実施例2:
以下の表は、本発明の範囲内にある適当な処方の成分を記載している。
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
以上の記載は、好ましい実施態様を含む本発明を十分に開示している。本明細書に具体的に開示されている実施態様の修正および改良は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。さらなる詳述がなくても、当業者は、前記の記述を考慮して、最大限に本発明を利用することができると考えられる。そのため、任意の実施例は、単なる説明と解釈すべきであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。独占的権利または特権を主張する本発明の実施態様は、添付の特許請求の範囲に定義されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方であって、該処方が非発泡性であるところの、歯科装置洗浄処方。
【請求項2】
酸化剤が、アルカリ金属およびアンモニウム 過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩および過リン酸塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属 過酸化物;またはその組み合わせから選択される、請求項1記載の処方。
【請求項3】
酸化剤が、カリウム、アンモニウム、ナトリウムおよびリチウム 過硫酸塩および過ホウ酸塩一水和物および四水和物;ピロリン酸ナトリウムペルオキシ水和物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよび亜鉛 過酸化物;またはその組み合わせから選択される、請求項2記載の処方。
【請求項4】
酸化剤が、過硫酸塩および過ホウ酸塩の組み合わせである、請求項2記載の処方。
【請求項5】
酸化剤が、アルカリ金属一過硫酸塩およびアルカリ金属過ホウ酸塩の組み合わせである、請求項4記載の処方。
【請求項6】
酸化剤が、カリウム一過硫酸塩およびナトリウム過ホウ酸塩である、請求項5記載の処方。
【請求項7】
口腔外の歯科装置の洗浄方法であって、少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む非発泡性歯科装置洗浄処方を含む水性溶液と接触させて歯科装置を維持することを含む、方法。
【請求項8】
水性溶液を55〜70℃の温度に加熱する工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
水性溶液を60〜68℃の温度に加熱する工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
水性溶液を60〜65℃の温度に加熱する工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方を輸送するためのキットであって、該処方が非発泡性であり、歯科装置洗浄処方の分散手段および互いに接触させて処方の水性溶液および歯科装置を保持するための容器を含むキット。
【請求項12】
分散手段がブリスター包装である、請求項11記載のキット。
【請求項13】
容器が処方の水性溶液を55〜70℃の温度に加熱しうる、請求項11記載のキット。
【請求項14】
容器が処方の水性溶液を60〜68℃の温度に加熱しうる、請求項11記載のキット。
【請求項15】
容器が処方の水性溶液を60〜65℃の温度に加熱しうる、請求項11記載のキット。
【請求項16】
少なくとも1種の酸化剤および架橋ポリマー性崩壊剤を含む歯科装置洗浄処方であって、該処方が非発泡性であり、酸化剤が水性環境中にて長期間放出されるところの、歯科装置洗浄処方。
【請求項17】
酸化剤が、アルカリ金属およびアンモニウム 過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩および過リン酸塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属 過酸化物;またはその組み合わせから選択される、請求項16記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項18】
酸化剤が、カリウム、アンモニウム、ナトリウムおよびリチウム 過硫酸塩および過ホウ酸塩一水和物および四水和物;ピロリン酸ナトリウムペルオキシ水和物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよび亜鉛 過酸化物;またはその組み合わせから選択される、請求項17記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項19】
酸化剤が、過硫酸塩および過ホウ酸塩の組み合わせである、請求項16記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項20】
酸化剤が、カリウム一硫酸塩およびナトリウム過ホウ酸塩である、請求項16記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項21】
水性環境が加熱されている、請求項16記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項22】
水性環境が2〜10分間加熱されている、請求項21記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項23】
水性環境が5分間加熱されている、請求項22記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項24】
水性環境が55〜70℃の温度に加熱されている、請求項21記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項25】
水性環境が60〜68℃の温度に加熱されている、請求項21記載の歯科装置洗浄処方。
【請求項26】
水性環境が60〜65℃の温度に加熱されている、請求項21記載の歯科装置洗浄処方。

【公表番号】特表2010−530471(P2010−530471A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513363(P2010−513363)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/067268
【国際公開番号】WO2008/157569
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】