説明

歯車伝動装置

【課題】タイヤ横力の発生に伴うホイールハブのこじりによっても、歯車伝動装置内の歯車が噛み合い率を悪化されることのないような構成を提供する。
【解決手段】電動モータ4のロータ(7)回転は入力軸8を介して歯車組5のサンギヤ11に伝達され、段付きプラネタリピニオン13をリングギヤ12の内周およびサンギヤ11の外周に沿って転動させる。この転動は、キャリア14a,14bおよび中空駆動軸21を順次介してホイールハブ9に達する。ところで、キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13より成る遊星歯車構造体を入力軸8上にベアリング19,20で回転自在に支持し、車輪側における入力軸8の端部をホイールハブ9にベアリング18で回転自在に支持し、反対端をハウジング3のリヤカバー2にベアリング17で回転自在に支持したため、タイヤ横力の発生に伴うホイールハブ9のこじりAによっても、遊星歯車構造体が入力軸8と一体的に径方向へ変位するため、歯車伝動装置内の歯車が噛み合い率を悪化されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を個々の電動モータにより駆動して走行可能な電気自動車に用いられる車輪ごとの駆動ユニット(インホイールモータユニットと俗称される)等に有用な歯車伝動装置に関し、
特に、歯車伝動装置内における歯車噛合状態を、出力回転取り出しメンバへ外部からこじり力が入力された場合においても、良好に維持し得るようになす技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる歯車伝動装置としては従来、インホイールモータユニットとして構成した例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
このインホイールモータユニットは、ハウジングに直接、回転自在に支持したピニオンを具え、同じくハウジングにホイールハブを直接、回転自在に支持して設け、このホイールハブに設けた大径歯車に上記のピニオンを噛合させて、これら大径歯車およびピニオンより成る減速歯車組を介し、モータおよびホイールハブ(車輪)間を駆動結合したものである。
【0003】
かかるインホイールモータユニットを駆動車輪ごとに具える電気自動車にあっては、電動モータを駆動するとき、その回転が減速歯車組による減速下で車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−044437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、かかる従来の歯車伝動装置にあっては、減速歯車組を構成するピニオンおよび大径歯車がそれぞれ共に、ハウジングに対し直接、回転自在に支持されているため、以下のような問題を生ずる。
【0006】
つまり、旋回走行時などにおいてタイヤ接地面から車輪へタイヤ横力(車幅方向荷重)が入力されると、ホイールハブがそのハウジングへの支承部を支点として倒れる(こじられる)傾向となる。
上記タイヤ横力によるホイールハブの倒れ(こじり)は、大径歯車の軸線を対応方向へ傾斜させる。
【0007】
他方でピニオンに上記のタイヤ横力が入力されることはないため、ピニオンの軸線は傾斜しない。
そのため、大径歯車の軸線とピニオンの軸線との平行がくずれ、大径歯車およびピニオン間に径方向相対変位を生ずる。
【0008】
そのため、旋回走行時などにおいてタイヤ接地面から車輪へタイヤ横力が入力されると、大径歯車およびピニオン間の軸間距離が変化し、これら歯車間の噛み合い率を悪化させて、これら歯車の強度低下や、耐久性の悪化を招いたり、不快な異音が発生するという問題を生ずる。
【0009】
本発明は、上記のような横力が入力されても、歯車組を構成する部品間に径方向の相対変位を生ずることのないような構成とし、これにより上記の問題を回避し得るようにした歯車伝動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明の歯車伝動装置は、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の前提となる歯車伝動装置を説明するに、これは、
ハウジング内に回転自在に横架した入力軸と、
この入力軸に同軸突き合わせ関係に配して前記ハウジングに回転自在に支持した出力回転取り出しメンバと、
前記入力軸および出力回転取り出しメンバ間での動力伝達が可能な歯車組とを具えたものである。
【0011】
そして本発明は特に、かかる歯車伝動装置における上記の歯車組が、上記入力軸および出力回転取り出しメンバ間で動力伝達を行う歯車構造体を包含し、
また、上記歯車構造体を前記入力軸に回転自在に支持してユニット化し、
更に、これら入力軸および歯車構造体の回転ユニットを、上記出力回転取り出しメンバに近い端部においては該出力回転取り出しメンバに回転自在に支持し、上記出力回転取り出しメンバから遠い端部においては上記ハウジングに回転自在に支持した構成に特徴づけられる。
【発明の効果】
【0012】
かかる本発明の歯車伝動装置によれば、前記した横力などにより出力回転取り出しメンバがこじられる時、これに伴う入力軸または歯車構造体の径方向変位に歯車構造体または入力軸が全体的に連動することとなる。
【0013】
このため、歯車構造体の構成部品が径方向に相対変位することがなく、入力軸に対しても径方向に相対変位することがない。
従って、歯車間の噛み合い率が悪化するのを回避し得て、これら歯車の強度低下や、耐久性の悪化を招くという前記の問題を生じなくすることができると共に、不快な異音が発生するという前記の問題も生じなくすることができる。
【0014】
また、出力回転取り出しメンバから遠い回転ユニットの端部をハウジングに回転自在に支持したため、
出力回転取り出しメンバがこじられる時、回転ユニットはハウジング側支持点を中心として揺動されることとなる。
【0015】
ところで本発明の上記構成によれば、入力軸にユニット化した歯車構造体が出力回転取り出しメンバよりも、回転ユニットのハウジング側支持点(回転ユニットの揺動中心)に近いため、回転ユニットの上記揺動に伴う歯車構造体の径方向変位量がその分だけ小さい。
従って、前記の歯車組が歯車構造体とハウジング側固定ギヤとの噛合により構成されたものである場合において、この固定ギヤと歯車構造体との間に設定する必要があるラジアルギャップ(径方向隙間)が小さくてよく、これら固定ギヤおよび歯車構造体間の噛合部におけるバックラッシュを減じて、歯車打音やギヤ噛み合いショックを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の第1実施例になる歯車伝動装置を示す縦断側面図である。
【図2】図1における歯車伝動装置の遊星歯車式減速歯車組に係わるギヤ間噛合関係を示す正面図である。
【図3】図1における歯車伝動装置を模式的に示し、 (a)は、該歯車伝動装置の全体を示す模式図、 (b)は、タイヤ横力入力時における該歯車伝動装置の入力軸傾斜状態を例示する説明図である。
【図4】電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の第2実施例になる歯車伝動装置を示す、図3と同様な模式図である。
【図5】電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の第3実施例になる歯車伝動装置を示す、図3と同様な模式図である。
【図6】電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の第4実施例になる歯車伝動装置を示す、図3と同様な模式図である。
【図7】電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の第5実施例になる歯車伝動装置を示す、図3と同様な模式図である。
【図8】電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の第6実施例になる歯車伝動装置を示す、図3と同様な模式図である。
【図9】電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の第7実施例になる歯車伝動装置を示す、図3と同様な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1は、電気自動車のインホイールモータユニットとして構成した本発明の一実施例になる歯車伝動装置を示す縦断側面図である。
この図において、1は、インホイールモータユニットのケース本体、2は、該ケース本体1のリヤカバーで、これらケース本体1およびリヤカバー2により、インホイールモータユニットのハウジング3を構成する。
【0018】
図1に示すインホイールモータユニットは、ハウジング3内に電動モータ4および遊星歯車式減速歯車組5(以下、単に「減速歯車組」または「歯車組」と言う)を収納して構成する。
電動モータ4は、ケース本体1の内周に嵌合して固設した円環状のステータ6と、かかる円環状ステータ6の内周にラジアルギャップ(径方向隙間)を持たせて同心に配したロータ7とで構成する。
【0019】
減速歯車組5は本発明における歯車組に相当するもので、同軸に突き合わせて対向配置した入力軸8およびホイールハブ9間を駆動結合する用をなす。
そのため減速歯車組5は、サンギヤ11と、このサンギヤ11に対しホイールハブ9に接近する軸線方向へずらせて同心配置した固定のリングギヤ12と、これらサンギヤ11およびリングギヤ12に噛合する段付きプラネタリピニオン(段付きピニオン)13と、かかる段付きプラネタリピニオン13を回転自在に支持するキャリア14a,14bとにより構成する。
【0020】
入力軸8は、軸線方向中程に前記のサンギヤ11を一体成形して具え、この入力軸8をサンギヤ11からリヤカバー2に向かう後方、およびホイールハブ9に向かう前方へ延在させる。
【0021】
ホイールハブ9は、本発明における出力回転取り出しメンバに相当し、複列アンギュラベアリングを可とするベアリング15で、ケース本体1の前端開口に回転自在に支承する。
ホイールハブ9の外周部には、これを軸線方向に貫通して複数個のハブボルト16を植設し、
図示せざる車輪のホイールディスクに穿ったボルト孔にこれらハブボルト16が貫通するよう、当該ホイールディスクをホイールハブ9の側面に密接させ、この状態でハブボルト16の先端にホイールナットを緊締螺合することにより、ホイールハブ9に対する車輪の取り付けを行う。
【0022】
入力軸8は、ホイールハブ9から遠い端部をベアリング17でリヤカバー2(ハウジング3)に回転自在に支持し、ホイールハブ9に近い端部をベアリング18でホイールハブ9内に回転自在に支持する。
【0023】
前記の電動モータ4は、そのロータ7を入力軸8に結合し、その結合位置を、減速歯車組5とベアリング17との間における軸線方向位置とする。
ケース本体1の前端開口端内に前記のリングギヤ12を廻り止め、且つ抜け止めして固設する。
【0024】
段付きプラネタリピニオン13は、入力軸8上のサンギヤ11に噛合する大径ギヤ部13a、および固定のリングギヤ12に噛合する小径ギヤ部13bを一体に有した段付きピニオン(遊星歯車)として、
段付きプラネタリピニオン13をサンギヤ11の外周およびリングギヤ12の内周に沿い転動させ得るようになす。
この段付きプラネタリピニオン13は、大径ギヤ部13aがホイールハブ9から遠い側に位置し、小径ギヤ部13bがホイールハブ9に近い側に位置するような向きに配置する。
【0025】
段付きプラネタリピニオン13は、図2に明示するごとく4個一組として円周方向等間隔に配置し、この円周方向等間隔配置を保って段付きプラネタリピニオン13を共通なキャリア14a,14bにより回転自在に支持する。
キャリア14a,14bおよび4個の段付きプラネタリピニオン13は、本発明における歯車構造体(遊星歯車構造体)を構成し、キャリア14a,14b が減速歯車組5の出力回転メンバの用をなす。
【0026】
キャリア14a,14bおよび4個の段付きプラネタリピニオン13より成る遊星歯車構造体を、キャリア14a,14bの内周面と、入力軸8の外周面との間にそれぞれ介在させたベアリング19,20により入力軸8上に回転自在に支持して、入力軸8と遊星歯車構造体(段付きプラネタリピニオン13およびキャリア14a,14b)とをユニット化する。
従って入力軸8および遊星歯車構造体(段付きプラネタリピニオン13およびキャリア14a,14b)は、本発明における回転ユニットに相当する。
【0027】
減速歯車組5の出力回転メンバであるキャリア14a,14b には、ホイールハブ9に近い方のキャリア14aからホイールハブ9に向けて延在する駆動軸21を結合させて設ける。
この駆動軸21は中空として入力軸8に遊嵌し、ホイールハブ9に近い該中空駆動軸21の先端外周21aを、ベアリング18と略同じ軸線方向位置においてホイールハブ9の内周に回転係合させる。
【0028】
ところでホイールハブ9は、タイヤ接地面から車輪へタイヤ横力(車幅方向荷重)が入力されると、例えば図1に矢Aで示す方向へ(車幅方向内方横力入力時)こじり力を受けて対応する径方向に変位する。
この時におけるホイールハブ9の径方向ガタ量を検出する変位センサ22を、図1のごとくケース本体1(ハウジング3)に設ける。
従って変位センサ22は、本発明におけるガタ量検出手段に相当する。
【0029】
変位センサ22からの信号を受信する図示せざる安全対策手段を設け、この手段は、変位センサ22が検出したホイールハブ9の径方向ガタ量に応答して、この径方向ガタ量が安全上や構造上の許容限界を超えるとき、入力軸8への出力を制限したり、警報を運転者に発するものとする。
【0030】
上記した第1実施例の歯車伝動装置は、模式的に示すと図3(a)のごとくに表される。
この図3(a)をも用いて第1実施例の構成を更に付言するに、ホイールハブ9から遠い入力軸8の端部をケース本体1(ハウジング3)に回転自在に支持するベアリング17は、このベアリング17による支承部の周りで入力軸8がケース本体1(ハウジング3)に対し揺動するのを許容するようなベアリングとする。
【0031】
また、ホイールハブ9に近い入力軸8の端部をホイールハブ9に対し回転自在に支持するベアリング18は、このベアリング17による支承部の周りで入力軸8がホイールハブ9に対し揺動するのを許容し、また入力軸8がホイールハブ9に対し軸線方向へ変位するのをのを許容し得るようなベアリングとする。
【0032】
更に、段付きプラネタリピニオン13およびキャリア14a,14bから成る遊星歯車構造体をホイールハブ9の内周に回転係合させる中空駆動軸21の先端外周21aに形成した歯を、図3(a)に明示するごとく軸線方向中高の円弧形状に形成した軸線方向中高円弧歯とし、
これにより遊星歯車構造体をホイールハブ9の内周に対し揺動可能な態様で回転係合させる。
【0033】
<第1実施例の作用>
電動モータ4のステータ6に通電すると、これからの電磁力で電動モータ4のロータ7が回転駆動され、この回転駆動力は入力軸8を介して減速歯車組5のサンギヤ11に伝達される。
これによりサンギヤ11は、大径ギヤ部13aを介して段付きプラネタリピニオン13を回転させるが、このとき固定のリングギヤ12が反力受けとして機能するため、段付きプラネタリピニオン13は、小径ギヤ部13bがリングギヤ12の内周に沿って転動し、また大径ギヤ部13aがサンギヤ11の外周に沿って転動するような遊星運動を行う。
かかる段付きプラネタリピニオン13の遊星運動は、キャリア14a,14bおよび中空駆動軸21を順次介してホイールハブ9に伝達され、ホイールハブ9を入力軸8と同方向に回転させる。
【0034】
上記の伝動作用により減速歯車組5は、電動モータ4から入力軸8への回転を、サンギヤ11の歯数およびリングギヤ12の歯数により決まる比で減速してホイールハブ9に伝達する。
ホイールハブ9への回転は、これにハブボルト16で結合した図示せざる車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
【0035】
<第1実施例の効果>
ところで第1実施例においては、減速歯車組5が、入力軸8およびハウジング3間の環状スペース内を旋回しつつ入力軸8およびホイールハブ9間での動力伝達を行う遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)を包含するようなものとし、
また、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)を入力軸8上にベアリング19,20で回転自在に支持して、1個の回転ユニットとなるようユニット化し、
更に、当該回転ユニットを構成する入力軸8を、ホイールハブ9に近い端部においては該ホイールハブ9にベアリング18で回転自在に支持し、ホイールハブ9から遠い端部においてはハウジング3(リヤカバー2)にベアリング17で回転自在に支持したため、以下の効果を得ることができる。
【0036】
タイヤ接地面から車輪へタイヤ横力(車幅方向荷重)が入力されると、ホイールハブ9は例えば図1に矢Aで示す方向へ(車幅方向内方横力入力時)こじり力を受けて対応する径方向へ変位する。
この時ホイールハブ9は、図3(b)に示すように或る中心点O1の周りで例えば矢Bの方向へ変位し、ベアリング17,18間に延在する入力軸8がハウジング側支持点(ベアリング17)の周りで図3(b)に示すように、また図3(a)の破線O2により示すように揺動して傾斜する。
【0037】
かかる入力軸8の揺動時に歯車組5の遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)は、これが入力軸8上にベアリング19,20で回転自在に支持されているため、入力軸8と一体となって揺動することとなる。
従って、遊星歯車構造体の構成部品(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)が径方向に相対変位することがなく、入力軸8上のサンギヤ11に対しても径方向に相対変位することがない。
【0038】
そのため、歯車間の噛み合い率が悪化するのを回避し得て、これら歯車の強度低下や、耐久性の悪化を招くという前記の問題を生じなくすることができると共に、不快な異音が発生するという前記の問題も生じなくすることができる。
【0039】
また上記した通り入力軸8を、ホイールハブ9から遠い端部においてハウジング3(リヤカバー2)にベアリング17で回転自在に支持し、ホイールハブ9がこじられる時、入力軸8が図3に示すごとくハウジング側支持点(ベアリング17)を中心として揺動されるようにしたため、
歯車組5の遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)がホイールハブ9よりも、入力軸8の揺動中心(ベアリング17)に近いこととなり、入力軸8の上記揺動に伴う遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の径方向変位量がその分だけ小さい。
【0040】
従って、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の小径ギヤ部13bと、リングギヤ12との間に設定する必要のあるラジアルギャップ(径方向隙間)が小さくてよく、
これら小径ギヤ部13bおよびリングギヤ12間のバックラッシュを減じて歯車打音やギヤ噛み合い騒音を小さくすることができる。
【0041】
第1実施例においては更に、ホイールハブ9から遠い入力軸8の端部をベアリング17により揺動可能な態様でケース本体1(ハウジング3)に対し回転自在に支持し、
また、ホイールハブ9に近い入力軸8の端部をベアリング18により揺動可能かつ軸線方向変位可能な態様でホイールハブ9に対し回転自在に支持し、
また、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)を中空駆動軸21(先端外周21aの軸線方向中高円弧歯)によりホイールハブ9の内周に対し揺動可能な態様で回転係合させたため、
前記した歯車間噛み合い率が悪化(歯車の強度低下や、耐久性の悪化や、騒音)に関する問題解決を一層確実なものにし得るほか、以下のような効果を享受し得る。
【0042】
つまり、ホイールハブ9に発生するガタの方向や発生量を含む発生形態の如何に関わらず、このガタをベアリング17,18および中空駆動軸21の先端外周21aにおける軸線方向中高円弧歯により吸収し得て、入力軸8に外力が伝わるのを防止することができ、ベアリング17,18および中空駆動軸21の小型化を図ることができる。
【0043】
第1実施例では更に、中空駆動軸21の先端外周21aにおける軸線方向中高円弧歯と、ベアリング18とを略同じ軸線方向位置となし、ホイールハブ9に対する入力軸8の回転支持部と略同じ軸線方向位置で、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)をホイールハブ9に対し回転係合させたため、
2個のベアリング17,18のみで、ベアリングの増設なしに、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)と入力軸8との前記した径方向一体変位を保証して、安価に前記の効果を達成することができる。
【0044】
また第1実施例においては、ホイールハブ9の径方向ガタ量を検出する変位センサ22を、図1のごとくケース本体1(ハウジング3)に設け、該変位センサ22で検出したホイールハブ9の径方向ガタ量が安全上や構造上の許容限界を超えるとき、入力軸8へのモータ出力を制限したり、警報を運転者に発するようにしたため、安全上大いに有利であると共に、信頼性を向上させることができる。
【0045】
ちなみに減速歯車組5自身は大きなホイールハブ9のガタ量を許容し得ないものであるが、第1実施例の歯車伝動装置では上記した特異な構成によりホイールハブ9の許容ガタ量が上記の通り大きくなることから、
センサ22によりホイールハブ9のガタ量を検出し得るようになり、これによる検出結果を用いて本実施例のような安全対策が実現可能となる。
【0046】
<第2実施例の構成>
図4は、本発明の第2実施例になる歯車伝動装置を示す模式図で、図中、図1,3におけると同様な部分に同一符号を付して示した。
本実施例は、図1,3に示した第1実施例と略同様な構成とし、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)を2個のベアリング19,20により入力軸8上に回転自在に支持する。
【0047】
しかし、ホイールハブ9に近い方のベアリング20を、キャリア14aからホイールハブ9に向けて延在する中空駆動軸21の先端内周21bに配置する。
これにより、図1,3に示した第1実施例のようにホイールハブ9に近い入力軸8の端部を直接ホイールハブ9に対し回転自在に支持するのではなく、
遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の一部を成す中空駆動軸21の先端(外周21aおよび内周21bを有する)を介して、ホイールハブ9に近い入力軸8の端部を間接的にホイールハブ9に対し回転自在に支持する。
【0048】
<第2実施例の効果>
かかる第2実施例の歯車伝動装置によれば、第1実施例の前記した作用効果をそのまま奏し得るのに加えて、
図1,3におけるような、ホイールハブ9に近い入力軸8の端部を直接ホイールハブ9に軸受するためのベアリング18が不要であり、コスト上および重量的に有利となる。
【0049】
<第3実施例の構成>
図5は、本発明の第3実施例になる歯車伝動装置を示す模式図で、図中、図1,3におけると同様な部分に同一符号を付して示した。
本実施例は、図1,3に示した第1実施例と略同様な構成とし、入力軸8に一体成形したサンギヤ11に噛合する大径ギヤ部13a、およびリングギヤ12に噛合する小径ギヤ部13bを有した段付きプラネタリピニオン13と、キャリア14a,14bとから成る遊星歯車構造体で入力軸8およびホイールハブ9間を駆動結合する。
【0050】
しかし、付きプラネタリピニオン13の向きを第1実施例とは左右逆転させて配置して、大径ギヤ部13aをホイールハブ9に近い側に位置させ、小径ギヤ部13bをホイールハブ9から遠い側に位置させ、
これに合わせて、入力軸8に設けるサンギヤ11、およびハウジング3に固設するリングギヤ12の位置替えを行う。
これにより本実施例ではリングギヤ12を、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の軸線方向幅内で最も、ホイールハブ9から遠い位置に配置する。
【0051】
同時に本実施例では電動モータ4の配置に際し、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)を挟んで、ホイールハブ9から遠い側に電動モータ4を配置する。
【0052】
<第3実施例の効果>
かかる第3実施例の歯車伝動装置によれば、第1実施例の前記した作用効果をそのまま奏し得るのに加えて、
リングギヤ12および小径ギヤ部13b間の噛合部が、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の軸線方向幅内で最も、ホイールハブ9から遠い位置に存在することとなり、その分だけ、入力軸8のハウジング側回転支持部(ベアリング17)に接近する。
【0053】
このため、ホイールハブ9がタイヤ横力(車幅方向荷重)によりこじり力(例えば図1の矢A)を受けて、入力軸8をベアリング17の周りで、例えば図3(b)に示すごとくに揺動させた時における小径ギヤ部13bの径方向変位量が小さい。
従って、この径方向変位量を考慮して決定すべき、リングギヤ12および小径ギヤ部13b間の噛合部におけるバックラッシュを小さくすることができ、歯車打音やギヤ噛み合い騒音を小さくし得る。
【0054】
また電動モータ4が遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)よりも更にベアリング17に近くて、入力軸8がベアリング17の周りで図3(b)に示すごとくに揺動した時におけるロータ7の径方向変位量が一層小さいため、
ロータ7およびステップ6間のラジアルギャップを極く小さくすることができ、電動モータ4の動力性能を向上させることができる。
【0055】
<第4実施例の構成>
図6は、本発明の第4実施例になる歯車伝動装置を示す模式図で、図中、図1,3におけると同様に機能する部分を同一符号により示した。
本実施例においては、図1,3に示した第1実施例、図4に示した第2実施例、図5に示した第3実施例と異なり、入力軸8を中空とし、駆動軸21を中実とする。
【0056】
そして、駆動軸21上に入力軸8を遊嵌し、中空入力軸8の両端内周と駆動軸21との間にベアリング19,20を介在させ、これらベアリング19,20により中空入力軸8を駆動軸21上に回転自在に支持する。
駆動軸21は、ホイールハブ9から遠い端部をベアリング17でハウジング3に回転自在に支持し、ホイールハブ9に近い端部をベアリング18でホイールハブ9内に回転自在に支持する。
【0057】
入力軸8の軸線方向中程位置に相当する箇所にステータ6およびロータ7より成る電動モータ4を設け、ロータ7を入力軸8の軸線方向中程に結合する。
電動モータ4よりもベアリング17に近い側、好ましくはホイールハブ9から最も遠いハウジング3内の端部内に遊星歯車構造体(段付きプラネタリピニオン13およびキャリア14a,14b)を配置する。
【0058】
遊星歯車構造体を成す段付きプラネタリピニオン13は、大径ギヤ部13aがホイールハブ9に近い側に位置し、小径ギヤ部13bがホイールハブ9から遠い側に位置するような向きに配置し、
サンギヤ11は、大径ギヤ部13aと噛合する位置に配して入力軸8の外周に設け、リングギヤ12は、小径ギヤ部13bと噛合する位置に配してハウジング3の内周に固設する。
【0059】
段付きプラネタリピニオン13を回転自在に支持するキャリア14a,14bのうち、ベアリング17に近い方のキャリア14bを駆動軸21の対応端に結合し、
駆動軸21の反対端外周21aを、ベアリング18と略同じ軸線方向位置においてホイールハブ9の内周に回転係合させる。
【0060】
<第4実施例の効果>
かかる第4実施例の歯車伝動装置においては、タイヤ接地面から車輪へタイヤ横力(車幅方向荷重)が入力され、ホイールハブ9がこじり力を受けて対応する径方向へ変位すると、
駆動軸21はハウジング側支持点(ベアリング17)の周りで対応方向へ揺動して傾斜する。
かかる駆動軸21の揺動時に入力軸8は、これと一体になって揺動し、これら入力軸8および駆動軸21間の遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)も、入力軸8および駆動軸21と一体的に揺動する。
【0061】
従って第4実施例においても、図1,3の第1実施例、図4の第2実施例、図5の第3実施例と同様に、遊星歯車構造体の構成部品(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)が径方向に相対変位することがなく、入力軸8上のサンギヤ11に対しても径方向に相対変位することがない。
そのため前記した各実施例と同様に、歯車間の噛み合い率が悪化するのを回避し得て、これら歯車の強度低下や、耐久性の悪化を招くという前記の問題を生じなくすることができると共に、不快な異音が発生するという前記の問題も生じなくすることができる。
【0062】
また上記した通り駆動軸21を、ホイールハブ9から遠い端部においてハウジング3にベアリング17で回転自在に支持し、ホイールハブ9がこじられる時、駆動軸21がハウジング側支持点(ベアリング17)を中心として揺動されるようにしたため、
歯車組5の遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)がホイールハブ9よりも、駆動軸21の揺動中心(ベアリング17)に近いこととなり、駆動軸21の上記揺動に伴う遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の径方向変位量がその分だけ小さい。
【0063】
従って、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の小径ギヤ部13bと、リングギヤ12との間に設定する必要のあるラジアルギャップ(径方向隙間)が小さくてよく、
これら小径ギヤ部13bおよびリングギヤ12間のバックラッシュを減じて歯車打音やギヤ噛み合い騒音を小さくすることができる。
【0064】
しかも本実施例においては、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)をハウジング3内に配置するに際し、ホイールハブ9から最も遠いハウジング3内の位置に設置したため、
遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)およびリングギヤ12が、駆動軸21の上記揺動の中心であるハウジング側支持点(ベアリング17)に最も近い位置に配置されることとなり、上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
【0065】
<第5実施例の構成>
図7は、本発明の第5実施例になる歯車伝動装置を示す模式図で、図中、図1,3におけると同様に機能する部分を同一符号により示した。
本実施例においては、図1,3に示した第1実施例、図4に示した第2実施例、図5に示した第3実施例と異なり、入力軸8を中空とし、駆動軸21を中実とし、
基本的には、図6に示した第4実施例と同様な構成とするが、特に、ベアリング17をリングギヤ12と略同じ軸線方向位置に配置する。
【0066】
ベアリング17のかかる配置により結果的に、ホイールハブ9から遠い遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の端部を、リングギヤ12と略同じ軸線方向位置においてハウジング3に対し回転自在に支持する。
【0067】
<第5実施例の効果>
かかる第5実施例の歯車伝動装置においては、第4実施例の作用効果に加えて、以下の作用効果を得ることができる。
つまり、ホイールハブ9から遠い遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の端部を、リングギヤ12と略同じ軸線方向位置においてハウジング3に対し回転支持するため、
タイヤ横力に起因した駆動軸21、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)、および入力軸12のハウジング側支持点(ベアリング17)周りの揺動時における小径ギヤ部13bの径方向変位を実質上0になし得る。
【0068】
よって、小径ギヤ部13bとリングギヤ12との噛合部径方向隙間について特別な考慮が不要であり、小径ギヤ部13bおよびリングギヤ12間の噛合部径方向隙間に関する第5実施例の作用効果を一層顕著なものにすることができる。
【0069】
なお、タイヤ横力に起因した駆動軸21、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)、および入力軸12のハウジング側支持点(ベアリング17)周りの揺動時に、小径ギヤ部13bは上記した通り径方向変位を生じないが、わずかに揺動するのを避けられない。
しかし、小径ギヤ部13bの揺動に伴う小径ギヤ部13bおよびリングギヤ12間の相対変位は、これら小径ギヤ部13bおよびリングギヤ12間のバックラッシュに大きく関与するものでなく、当該バックラッシュの悪化を伴うことなく容易に吸収することができ、上記相対変位の吸収とバックラッシュとの両立は容易である。
【0070】
<第6実施例の構成>
図8は、本発明の第6実施例になる歯車伝動装置を示す模式図で、図中、図1,3におけると同様な部分に同一符号を付して示した。
本実施例は、図1,3に示した第1実施例と基本的に同様な構成とするが、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)を、ホイールハブ9と略同じ軸線方向位置において、該ホイールハブ9の外周に配置し、1個のベアリング20により入力軸8上に回転自在に支持する。
【0071】
<第6実施例の効果>
かかる第6実施例の歯車伝動装置によれば、第1実施例の前記した作用効果をそのまま奏し得るのに加えて、
遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)をホイールハブ9の外周に配置したため、歯車伝動装置の軸線方向寸法を小さくして、同方向における小型化を実現し得る。
【0072】
なお、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)をホイールハブ9の外周に配置した場合、歯車伝動装置が大径になるが、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)の大径化により、歯車組5の減速比が大きくなる。
このため、電動モータ4に低出力モータを用いることができることとなり、電動モータ4の小型化、軽量化、および低廉化によるメリットを享受することができる。
【0073】
<第7実施例の構成>
図9は、本発明の第7実施例になる歯車伝動装置を示す模式図で、図中、図1,3におけると同様な部分に同一符号を付して示した。
本実施例は、図1,3に示した第1実施例と基本的に同様な構成とするが、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)を、ホイールハブ9と略同じ軸線方向位置において、該ホイールハブ9の内周に配置し、1個のベアリング19により入力軸8上に回転自在に支持する。
【0074】
そして、ホイールハブ9に近い側におけるキャリア14aを直接、ホイールハブ9に対し回転係合させ、これにより、前記した各実施例において用いた駆動軸21のような別部材を省略し得るようになす。
【0075】
<第7実施例の効果>
かかる第7実施例の歯車伝動装置によれば、第1実施例の前記した作用効果をそのまま奏し得るのに加えて、
遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)をホイールハブ9の内周に配置したため、歯車伝動装置の軸線方向寸法を小さくして、同方向における小型化を実現し得る。
【0076】
なお、遊星歯車構造体(キャリア14a,14bおよび段付きプラネタリピニオン13)をホイールハブ9の内周に配置した場合、ホイールハブ9の大径化により、その軸受に供するベアリング15も大径となり、ベアリング15の剛性および軸受容量を向上させることができる。
【0077】
かようにベアリング15の剛性および軸受容量が向上することにより、タイヤ横力によるホイールハブ9のこじれ量を減ずることができ、前記した歯車噛み合い率の悪化防止を一層確実なものにし得て、歯車の強度低下や耐久性の悪化および異音に関わる前記の問題解決を更に確実なものにすることができる。
【0078】
<その他の実施例>
なお上記した各実施例においては、歯車伝動装置を電気自動車用のインホイールモータユニットとして構成したが、
本発明の歯車伝動装置は、インホイールモータユニット用に限られるものではなく、産業上のあらゆる伝動ユニットに適用可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 ケース本体
2 リヤカバー
3 ハウジング
4 電動モータ
5 遊星歯車式減速歯車組(歯車組)
6 ステータ
7 ロータ
8 入力軸(回転ユニット)
9 ホイールハブ(出力回転取り出しメンバ)
11 サンギヤ
12 リングギヤ
13 段付きプラネタリピニオン(歯車構造体:遊星歯車構造体:回転ユニット)
14a,14b キャリア(歯車構造体:遊星歯車構造体:回転ユニット)
15 ベアリング
16 ハブボルト
17,18,19,20 ベアリング
21 駆動軸
21a 駆動軸先端外周
21b 駆動軸先端内周
22 ホイールハブ変位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に回転自在に横架した入力軸と、
この入力軸に同軸突き合わせ関係に配して前記ハウジングに回転自在に支持した出力回転取り出しメンバと、
前記入力軸および出力回転取り出しメンバ間での動力伝達が可能な歯車組とを具えた歯車伝動装置において、
前記歯車組は、前記入力軸および出力回転取り出しメンバ間で動力伝達を行う歯車構造体を包含し、
前記歯車構造体を前記入力軸に回転自在に支持してユニット化し、
これら入力軸および歯車構造体の回転ユニットを、前記出力回転取り出しメンバに近い端部においては該出力回転取り出しメンバに回転自在に支持し、前記出力回転取り出しメンバから遠い端部においては前記ハウジングに回転自在に支持したことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の歯車伝動装置において、
前記歯車構造体は、前記入力軸およびハウジング間の環状スペース内を旋回しつつ前記入力軸および出力回転取り出しメンバ間での動力伝達を行う遊星歯車構造体であることを特徴とする歯車電動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の歯車伝動装置において、
前記入力軸を、前記出力回転取り出しメンバに近い端部において該出力回転取り出しメンバに回転自在に支持し、前記出力回転取り出しメンバから遠い端部において前記ハウジングに回転自在に支持し、
前記歯車構造体を前記入力軸上に回転自在に支持したことを特徴とする歯車伝動ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の歯車伝動装置において、
前記出力回転取り出しメンバに対する前記入力軸の回転支持部と略同じ軸線方向位置において、前記歯車構造体を前記出力回転取り出しメンバに対し回転係合させたことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の歯車伝動装置において、
前記出力回転取り出しメンバから遠い前記入力軸の端部は、前記ハウジングに対し揺動可能にして回転自在に支持し、
前記出力回転取り出しメンバに近い前記入力軸の端部は、該出力回転取り出しメンバに対し揺動可能、且つ軸線方向変位可能にして回転自在に支持し、
前記歯車構造体を前記出力回転取り出しメンバに対し揺動可能な態様で回転係合させたことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の歯車伝動装置において、
前記出力回転取り出しメンバに近い前記入力軸の端部は、前記歯車構造体の一部を介して出力回転取り出しメンバに回転自在に支持したことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項7】
前記歯車構造体が、前記ハウジング内に固設したリングギヤに噛合して旋回するものである、請求項3〜6のいずれか1項に記載の歯車伝動装置において、
前記リングギヤを、前記歯車構造体の軸線方向幅内で最も、前記出力回転取り出しメンバから遠い位置に配置したことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の歯車伝動装置において、
前記歯車構造体を、前記出力回転取り出しメンバに近い端部において該出力回転取り出しメンバに回転自在に支持し、前記出力回転取り出しメンバから遠い端部において前記ハウジングに回転自在に支持し、
前記入力軸を前記歯車構造体上に回転自在に支持したことを特徴とする歯車伝動ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の歯車伝動装置において、
前記歯車構造体を、前記ハウジング内において、前記出力回転取り出しメンバから最も遠い位置に配置したことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項10】
前記歯車構造体が、前記ハウジング内に固設したリングギヤに噛合して旋回するものである、請求項9に記載の歯車伝動装置において、
前記出力回転取り出しメンバから遠い前記歯車構造体の端部は、前記リングギヤと略同じ軸線方向位置において前記ハウジングに対し回転自在に支持したことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項11】
請求項3〜7のいずれか1項に記載の歯車伝動装置において、
前記歯車構造体を、前記出力回転取り出しメンバと略同じ軸線方向位置において、該出力回転取り出しメンバの外周側に配置したことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項12】
請求項3〜7のいずれか1項に記載の歯車伝動装置において、
前記歯車構造体を、前記出力回転取り出しメンバと略同じ軸線方向位置において、該出力回転取り出しメンバの内周側に配置したことを特徴とする歯車伝動装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の歯車伝動装置において、
前記出力回転取り出しメンバのガタ量を検出するガタ量検出手段と、
該手段からの信号に応答して、出力回転取り出しメンバのガタ量が許容限界を超えるとき、前記入力軸への出力を制限したり警報を発する安全対策手段とを設けたことを特徴とする歯車伝動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−117573(P2012−117573A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266004(P2010−266004)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】