説明

残留面状態検出

【課題】指紋を検出するセンサーにおいて、センサーに一度指紋を押し当て、その後にセンサーから完全に指が離れてから、押し当てられた時の指紋パターンを押し当てたセンサー表面から検出することを特徴とした指紋パターン検出方法。
【解決手段】図4は指を離した指紋センサーに40の(−)に帯電した粒子を近づけている図である。プラスとマイナスの電荷間にクーロン力が作用し、(−)帯電粒子は(+)帯電された表面に吸い付く。粒子40は例えばコピー機などのトナー、アルミ粉末などが使用できる。帯電させることが出来る粉であれば何でもよい。
そして、吸い付かない余分な粒子を取り除く。次にこの指紋センサー表面を指紋センサーの真上からCCD等の撮像素子を使用して撮影し、その画像をメモリーに取り込むことによって指紋パターンを検出することが出来る。
センサー表面の色と粒子40の色は同色以外にした方が画像にした時に指紋パターンがはっきりとして見やすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
物体の表面状態計測分野
【発明の目的】
【0002】
指紋を検出する装置は容量方式、感圧方式、プリズムとCCDの組み合わせなどの方式が知られているが、これらの方式すべてに共通していることは、指紋センサーに指を押し付けている操作中、あるいは非接触にかざすなどの行為中に指紋を測定している。
当然指を押し付けている状態でなければ指紋パターンが計測出来ないことは当たり前と思われていた。計測中は指紋検出の電力を必要とする。
本発明は指を押し付けた後で指をセンサーから離した後に、先ほど押し付けた履歴を計測するという従来と全く異なる方法で指紋パターンを計測することを発明したものである。本発明の指紋センサーは指を指紋センサーに押している間、指紋パターンを計測していないので電力は不要である。
この発明によって電力供給なしに指紋パターンを計測でき、さらに曲がる指紋センサーで出来、さらに厚さが数十ミクロンのフィルム状指紋センサーが可能となった。
まさに画期的な指紋センサーを発明した。
【0003】
図1は本発明の詳細な図面である。
1は人間の指である、2は指紋センサー3は指の山と谷で形成された指紋パターンである。
図1の指紋センサー2を詳細表示したものが図2である。20は光を通さないカバー層、21は電荷キャリア層、22はフォトコンダクター層、23は導電層、である。21、22、は例えば硫化カドニューム、セレン、イオウなどの物質が使用できる。20は黒色PETフィルム、23はアルミ蒸着などが使用できる。
今、図示しない帯電器にて21のキャリア層に例えば8KVのコロナ放電により+の帯電をさせておく。コロナ放電による帯電の仕方については数々の方法があるが本特許の主眼でないので省略する。
図3は帯電した指紋センサーに指紋を押し付けている図である。指紋の山がセンサー当たったところだけが人体によって0ボルトに除電される。つまり指紋の山30がセンサーに当たったところの電荷31をゼロボルト(0 volt)にする。しかし32の谷はセンサーに接触していないためその真下の33の電荷は+のままである。
【0004】
図4は指を離した指紋センサーに40の(−)に帯電した粒子を近づけている図である。プラスとマイナスの電荷間にクーロン力が作用し(ー)帯電粒子は(+)帯電された表面に吸い付く。
粒子40は例えばコピー機などのトナー、アルミ粉末などが使用できる。帯電させることが出来る粉であれば何でもよい。
ここでは粒子40とセンサー表面間に吸い付かせる具体的なメカニズムについては本題の主眼としないので省略する。
そして吸い付かない余分な粒子を取り除く。次にこの指紋センサー表面を指紋センサーの真上からCCD等の撮像素子を使用して撮影し、その画像をメモリーに取り込むことによって指紋パターンを検出することが出来る。センサー表面の色と粒子40の色は同色以外にしたほうが、画像にしたときに指紋パターンがはっきりして見やすい。
また図4はさらなる応用として予め45度に植毛した42の透明フィルムを指紋センサーに近づけた応用例をしめしている。(+)電荷に植毛は引き寄せられ毛は垂直になるが(0)電荷は引き寄せられないので植毛の角度は45度そのままになることを利用し、この植毛の画像を検出することで指紋画像を検出するものである。植毛の画像は42のフィルムの植毛側の反対側からCCDなどの撮像素子で撮影すればいい。このときの吸い寄せる力は静電気である。
予め植毛された42を(−)帯電させておけばさらに良い結果を生む。
【0005】
センサー表面の画像を検出する他の方法を図5に図示した。50は偏光版を貼り付けた液晶であって上ガラス54の下面に51の上電極、下ガラス56の間に液晶55を配置させている。液晶表示の下電極は指紋センサー表面の電荷がその役目をする。今51と53間に52の交流信号発生器にて交番電圧を印加すると指紋センサー表面の電荷パターンによって液晶が偏光する。
この液晶偏光画像をCCD等の撮像素子にて液晶50の上空から撮影することにより、指紋パターンを検出することが出来る。
このような発明は以下のような利点を生み出す。指紋センサーに電荷エネルギーを非接触で与えられる。つまり指紋センサーに接触端子などの電気接続する必要がない。また電荷蓄積素材も安く手に入るので指紋センサーのコストが削減できる。通常指紋センサーを作ろうとすると、XYマトリックス電極、トランジスタ、シフトレジスタ、A/Dコンバーター、その他の電子回路が必要になるが本発明の指紋センサーは不要であり、指紋パターンを一時記憶するのみの機能で済む。これは特にICカード、免許証、パスポート、等に応用することを想定した場合最適な指紋センサーといえる。なぜならこれらアプリケーションは少なくともある種のリーダーライターによって例えば銀行口座、名前、番号などユーザー固有のデータをシステムに連絡する機能が必須であるので、その固有データをデータサーバー、ハードディスクなどから読み込むカードリーダーライターが必要である。このリーダーライター内にこれら指紋検出機能を持たせることによって、無理なく自然に指紋照合システムを導入することが出来るメリットがある。
そして重要なことはカード単体のコストがかなり安くなることである。またこの指紋センサーは指紋を押し当て時に電力を必要としないので、ICカードはもとより、マグネットカード、プリペイカード、鉄道切符、コンサートチケットなど組み込む携帯カードの種類を問わない。そして携帯カード側の設計自由度が上がる。また本発明の指紋センサーは電子回路を含まない多層フィルムであるので、そのフィルム素材が持つ湾曲特性まで自由に曲げることが出来る。試作の指紋センサーでは直径1cmの円筒状態までも曲がる。折り目が付かない曲げ方なら問題はない。
【0006】
図6は磁性フィルムによる指紋センサーを図示している。60は磁性体フィルムで例えばフロッピーディスクのような可逆性のフィルムである。61は非磁性体のスペーサー、62はシート状の永久磁石である。60の上面から指を押し当てると60は指のパターンに沿って62の永久磁石に触る。次に指を離してから60の上面に磁性体粉をふりかける、あるいは磁気ヘッドによって60の磁力を測定することによって指紋パターンを検出することが出来る。言うまでもないが62の永久磁石もシート磁石が用いられ、曲がる素材である。
さらに図示しないが指を指紋センサーに押し当てる前に指紋センサー表面にローラー、エアーブラシ、ディッピングなどで薄い膜を塗布し、その後指紋を押し当てさせ前記幕の剥離、あるいはアルミ粉などの粒子をふりかけその液体に吸着させその画像を撮影してもよい。
また人体に無害な酸性液、あるいはアルカリ液を予め塗布し、指を押し当てた後にリトマス溶液などの化学反応によってその画像を検出してもいい。事前に塗る液は例えばミカン汁、お酢、などが使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】指紋パターン検出方法を示した図である。
【図2】指紋センサー構造を示した図である。
【図3】帯電した指紋センサーに指紋を押し付けている図である。
【図4】指を離した指紋センサーに帯電した粒子を近づけている図である。
【図5】センサー表面の画像を検出する他の方法を示した図である。
【図6】磁性フィルムによる指紋センサーを示した図である。
【符号の説明】
【0008】
1 人間の指
2 指紋センサー
3 指紋パターン
20 光を通さないカバー層
21 電荷キャリア層
22 フォトコンダクター層
23 導電層
30 指紋の山
31 電荷
32 指紋の谷
33 電荷
40 (−)に帯電した粒子
42 透明フィルム
50 偏光版を貼り付けた液晶
51 上電極
52 交流信号発生器
60 磁性体フィルム
61 非磁性体のスペーサー
62 シート状の永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋を検出するセンサーにおいて、センサーに一度指紋を押し当て、その後にセンサーから完全に指が離れてから、押し当てられた時の指紋パターンを押し当てたセンサー表面から検出することを特徴とした指紋パターン検出方法。
【請求項2】
前記請求項1のセンサーにおいてセンサーに一度指紋を押し当て、その後にセンサーから完全に指が離れてから、押し当てられた時の指紋パターンを押し当てたセンサー裏面から検出することを特徴とした前記請求項1の方法。
【請求項3】
前記請求項1のセンサーにおいて、押し当てられた指紋パターンを電荷の変化として記憶しその電荷の履歴をセンサーから指を離して検出することを特徴とした前記請求項1の方法。
【請求項4】
前記請求項1のセンサーにおいて、指紋を押し当てられた指紋パターンを磁気の変化として記憶しその磁気の履歴をセンサーから指を離して検出することを特徴とした前記請求項1の方法。
【請求項5】
請求項3の電荷の変化をアルミ粉末、樹脂フィラー、トナーなど少なくとも帯電する粉を吸い付かせ粉が作る画像を利用することによって検出することを特徴とした方法。
【請求項6】
請求項3の電荷の変化を液晶の偏向を利用することによって検出することを特徴とした方法。
【請求項7】
請求項2の電荷の変化を植毛の立つ角度の変化を利用することによって検出することを特徴とした方法。
【請求項8】
指紋センサーに指を押し付ける前に指紋センサー側にたとえば粘着液、水、油など少なくとも1種類の液体の幕を薄く塗りその後、指を押し付け、指の指紋パターンがその塗った幕を剥がすことで指紋パターンを検出するように構成した請求項1の方法。
【請求項9】
指紋センサーに指を押し付ける前に指紋センサー側にたとえば粘着液、たんぱく質溶液、水分、油など少なくとも1種類の幕を薄く塗りその後、指を押し付け、指の汗腺からの粘液とまざることで指紋パターンを検出するように構成した請求項1の方法。
【請求項10】
指紋センサーに指を押し付ける前に指紋センサー側にたとえば粘着液、水分、油、など少なくとも1種類の液体の幕を薄く塗りその後、指を押し付け、指紋パターンで剥離した指紋センサー表面にさらに反応する液体をその上に塗布し画像として撮影するよう構成した請求項1の方法。
【請求項11】
指紋センサーに指を押し付ける前に指紋センサー表面に付いた残留指紋、汚れ、などを清掃することを特徴とした請求項1の方法。
【請求項12】
指紋パターンを検出し終わった指紋センサー表面を清掃するように構成した請求項1の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−43398(P2006−43398A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264688(P2004−264688)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(504344635)
【Fターム(参考)】