説明

段ボールシートの折り曲げ方法及び装置

【課題】形状やサイズが特殊な複数種類の段ボールシートの折り曲げ加工を1台の折り曲げ装置で可能にする。
【解決手段】駆動側及び操作側折り畳みベルト26を段ボールシート3の搬送速度に同期させて矢印方向に走行させながら、折り畳みベルト26で折り畳みパネル3a、3bを折り畳む。フォルディングバー48で折り畳みベルト26の折り畳み折り畳み動作を補助する。一方の折り畳みパネル4aが機械幅方向に長い特殊仕様の段ボールシート4を折り畳むときは、折り畳みパネル4aに干渉する過程にある駆動側プーリ37を下方に下げ、駆動側折り畳みベルト26をプーリ76,77に架け替える。代わりに追加フォルディングバー80で折り畳みパネル4bを折り畳む。また、長いフォルディングバー48を短いフォルディングバー78に取り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱を製造する段ボール製函機の折り曲げ工程を行なう折り曲げ方法及び装置に関し、詳しくは、1台の折り曲げ装置で、折り畳みベルトの配置経路を変更可能にして、形状や大きさが特殊な複数種類の段ボールシートの折り畳みを可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
平板状の段ボールシートから段ボール箱を製造する段ボール製函機は、上流側から順に、給紙部、印刷を行なうフレキソ印刷部、溝切り・罫線入れを行なう排紙部、木型による打抜きを行なうダイカット部、糊付け・折り曲げを行なうフォルディング部、及び計数・積上げを行なうカウンタ・エゼクタ部から構成されている。平板状の段ボールシートは、給紙部に供給され、各部を通して搬送されながら加工され、段ボール箱が製造される。
【0003】
このうち、フォルディング部では、平板状の段ボールシートの両端に位置する折り畳みパネルの一方に設けられたフラップ部に糊付けを行なう工程と、さらに、折り曲げ装置によって、両折り畳みパネルを折り畳み、該フラップ部を他方の折り畳みパネルに接着して、平板状の段ボールシートを箱状に成形する折り曲げ工程とを行なう。
【0004】
特許文献1には、この折り曲げ装置が開示されている。特許文献1に開示された折り曲げ装置を図7で説明する。図7において、折り曲げ装置100は、段ボールシート1の上方に配置されて段ボールシート1を矢印a方向に搬送する搬送ベルト102,102と、段ボールシート1の両側下方に配置され、段ボールシート1の両側端に位置する折り畳みパネル1a、1bを折り畳む折り畳みベルト104a、104bと、折り畳みパネル1a、1bを罫線1c、1cに沿って折り畳む際に、段ボールシート1の折り曲げ位置を規制する定規106,106とを備えている。
【0005】
搬送ベルト102、102は、上流側プーリ108,108と図示省略の下流側プーリとに巻回されている。図示省略の駆動装置で駆動される下流側プーリによって、搬送ベルト102、102が駆動される。折り畳みベルト104a、104bは、プーリ110,112及び114に巻回されている。そして、例えば、下流側プーリ114が図示省略の駆動装置によって駆動されることにより、折り畳みベルト104a、104bが段ボールシート1の搬送速度と同期した速度で走行する。
【0006】
折り畳みベルト104a、104bは、折り畳みパネル1a、1bを180°折り畳むため、上流端で水平方向に位置すると共に、途中徐々に下方へ捩じられ、180°捩じられて下流端で再び水平方向に位置するように、プーリ110,112及び114によって支持されている。段ボールシート1は、定規106,106と搬送ベルト102、102間に挟持されて矢印a方向に搬送され、搬送中に折り畳みパネル1a、1bが折り畳みベルト104a、104bによって内側に押し込まれて折り畳まれる。なお、折り畳みベルト104a、104bが正確な折り畳み経路を形成するために、プーリ110,112,114間に図示省略のガイドプーリが配設される。
【0007】
特許文献2には、折り畳みバーと折り畳みベルトを併用した折り曲げ装置が開示されている。この折り曲げ装置120を図8で説明する。図8において、折り曲げ装置120は、シート搬送方向aに沿って、左右の上フレーム122,122が設けられ、上フレーム122の入口及び出口には、夫々プーリ124,124が設けられている(出口側は図示を省略)。これら入口及び出口プーリ124に搬送ベルト126,126が巻回されている。左右の搬送ベルト126の下方には、下フレーム128,128が設けられ、各搬送ベルト126は、下フレーム128の上面を走行する。
【0008】
段ボールシート1は、搬送ベルト126と下フレーム128間に送り込まれ、搬送ベルト126の摩擦力で下フレーム128の上面を滑って移動する。下フレーム128、128は、折れ位置に対応する罫線1c、1cよりも内側(機械の中心側)に位置している。この下フレーム128、128に支持されて、折畳み定規130,130が段ボールシート1の走行路に沿って設けられている。折畳み定規130、130の先端規制部(エッジ)は、罫線1c、1cに一致している。段ボールシート1の走行路の両外側には、折り畳みバー132a、132bが設けられている。
【0009】
段ボールシート1は、走行する過程で、折畳み定規130の先端規制部(エッジ)に折れ位置を規制されながら、両端の折り畳みパネル1a、1bが折り畳みバー132a、132bにより下方へ押圧され、最終的に平面状に折り畳まれる。折り畳みバー132a、132bの下流側には折り畳みベルト134a、134bが設けられている。段ボールシート1は折り畳みバー132a、132bで180°近くまで折り畳まれ、その後さらに折り畳みベルト134a、134bで180°まで折り畳まれる。折り畳みベルト134a、132bの下流側で、折り畳まれた折り畳みパネル1a、1bがどちらか一方に設けられた糊付けフラップによって接着される。接着されて箱状となった段ボールシート1は、下流側のカウンタ・エゼクタ部に送出される。
【0010】
折り曲げ装置の折り曲げ手段は、前記折り畳みベルト又は折り畳みバーによるもの以外に、ゲージローラを使用した折り曲げ手段がある。この折り曲げ手段は、図9中、符号140で示すように、周面に凹溝が形成された矯正ローラ(ゲージローラ)を段ボールシートの搬送路の両側に、所定間隔で複数配置し、段ボールシート1の罫線1cに対応した折れ位置をこの凹溝に案内させることにより、段ボールシート1を折り畳む方式のものである(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−20046号公報
【特許文献2】特開2008−93997号公報
【特許文献3】特開2007−105985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来、折り畳みベルトを用いた折り曲げ装置では、折り畳みベルトの位置や角度の微調整は可能であったが、折り畳みパネルを折り畳むための折り畳みベルトの配置経路は、固定されていて変更できない。そのため、段ボールシートの形状や大きさが特殊であり、既存の折り曲げ装置で折り曲げ加工ができない場合には、折り畳みベルトの配置経路が異なる折り曲げ装置を別途必要としていた。そのため、段ボールシートの形状や大きさが特殊な製品を生産する場合は、複数の折り曲げ装置を所持する必要があった。
【0013】
例えば、一方の折り畳みパネルが機械の幅方向に極端に長い仕様の段ボールシートがある。この段ボールシートの例を図9に示す。図9(A)は、この種の段ボールシート2の折り曲げ工程を示し、(B)は、この段ボールシート2から段ボール箱を製函した後で、箱状に成形した状態を示す。この段ボール箱は、主として商品の展示用に用いられる。図9(A)に示す折り曲げ装置は、段ボールシート1の搬送路両側に所定間隔で配置された複数のゲージローラ140,140を備え、段ボールシート2の折り畳みパネル2a、2bを折り畳むようにしている。
【0014】
即ち、ゲージローラ140の周端面に凹溝142を形成し、該凹溝142で段ボールシート1の罫線部分2c、2cを挟み、折り畳みパネル2a、2bを折り畳むようにしている。折り畳みパネル2a、2bを折り畳んだ後、段ボールシート2の搬送路中央で搬送方向に配置された折り畳みバー144で折り畳みパネル2a、2bを折り畳み状態に保持する。この段ボールシート2では、折り畳みパネル2aが機械幅方向に長いため、プーリで支持された通常規格の折り畳みベルトで折り畳みパネル2bを押圧すると、折り畳みパネル2aの端が該折り畳みベルトに当り、該折り畳みベルトで折り畳みパネル2bを押し込むことができない。
【0015】
この状態を図4を参照して説明する。図3において、段ボールシート3が、両折り畳みパネル3a及び3bの機械幅方向長さが同一の通常仕様の段ボールシートであり、段ボールシート4が一方の折り畳みパネル4aが他方の折り畳みベルト4bより機械幅方向に極端に長い特別仕様の段ボールシートである。
段ボールシート4を折り畳む場合、図3(D)に示すように、折り畳み工程の後半で、折り畳みパネル4aが折り畳みパネル4bを押し込む折り畳みベルト26及び該折り畳みベルト26を支持するプーリ37に当ってしまい、折り畳みパネル4aをそれ以上折り畳むことができない。そのため、別仕様の折り曲げ装置と取り替えて、折り曲げ加工を行なわざるを得なかった。
【0016】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、段ボールシートの形状やサイズが特殊な場合でも、折り畳みベルトを支持するプーリの一部を取り外したり、あるいは別仕様の折り曲げ装置を使用することなく、1台の折り曲げ装置で複数種類の段ボールシートの折り曲げ加工を可能することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するため、本発明の段ボールシートの折り曲げ方法は、
段ボールシートをフレーム上を搬送させながら、段ボールシートの搬送方向に段ボールシートと同期して走行する一対の無端状折り畳みベルトで、段ボールシート両端の折り畳みパネルを折り畳み方向に押し込んで折り畳む段ボールシートの折り曲げ方法において、
前記折り畳みパネルの折り畳み軌跡を規定する前記無端状折り畳みベルトの配置経路を、該無端状折り畳みベルトの全長を一定に保持したまま変更可能にし、
折り畳みパネルの形状又は大きさに応じて無端状折り畳みベルトの配置経路を変えることにより、形状又は大きさが特殊な複数種類の段ボールシートの折り畳みを可能としたものである。
【0018】
本発明方法では、段ボールシートの搬送方向に沿って形成される折り畳みベルトの配置経路を段ボールシートの形状又は大きさに応じて変更可能にしたことにより、形状や大きさが異なる複数種類の段ボールシートに対して折り曲げ工程を実施できる。また、折り畳みベルトの配置経路を変更する場合に、折り畳みベルトの全長を変更しないで一定に保持するので、折り畳みベルトの張力を一定に保持できる。そのため、折り畳みベルトの配置経路を変更しても、折り畳みパネルに対する押圧力を一定に保持でき、折り曲げ工程を支障なく行なうことができる。
【0019】
本発明方法において、第1の折り畳みパネル及び第2の折り畳みパネルが段ボールシートの両端にあり、第1の折り畳みパネルと第2の折り畳みパネルを折り畳む無端状折り畳みベルトとが干渉するとき、第1の折り畳みパネルと該無端状折り畳みベルトとの干渉を避けるように該無端状折り畳みベルトの配置経路を変えるようにするとよい。
これによって、段ボールシートが特殊な形状の段ボールシート、例えば、第1の折り畳みパネルが搬送方向と直角方向に長い寸法をもつ折り畳みパネルであっても、第2の折り畳みパネルを折り畳む無端状折り畳みベルトの配置経路を変更することによって、折り曲げ工程を実施できる。
【0020】
この場合、駆動側無端状折り畳みベルトと操作側無端状折り畳みベルトの配置経路が同一でなくなる。しかし、両無端状折り畳みベルトの全長は同一のままであるので、両無端状折り畳みベルトの走行速度を段ボールシートの搬送速度に合わせて同期させておくことにより、段ボールシートを機械幅方向に向いた正しい姿勢で搬送できる。
【0021】
本発明方法において、第1の折り畳みパネルと第2の折り畳みパネルを折り畳む無端状折り畳みベルトとが干渉するとき、該無端状折り畳みベルトを走行可能に支持するプーリを移動させて該無端状折り畳みベルトが第1の折り畳みパネルと干渉するのを避けるようにし、該無端状折り畳みベルトの代わりに、第1の折り畳みパネルと干渉しない位置に位置する折り畳みバーにより第1の折り畳みパネルを折り畳むようにするとよい。
これによって、第1の折り畳みパネル及び第2の折り畳みパネルの折り畳みを確実に行なうことができる。
【0022】
折り畳みベルトの配置経路を変更する方法として、例えば、折り畳みベルトを支持するプーリの位置を移動させるか、あるいはプーリの一部を取り外すことにより、折り畳みベルトが第1の折り畳みパネルに干渉しないようにする方法を採用できる。
【0023】
本発明方法において、折り畳みパネルを折り畳んだ後に、該折り畳みパネルの下面を段ボールシートの搬送方向に配置した支持バーで支持し、該折り畳みパネルの折り畳み状態を保持するようにするとよい。これによって、折り畳みパネルの接着工程で、該支持バーで折り畳みパネルを折り畳み状態に保持できるので、折り畳みパネル同士の接着を確実に行なうことができる。
【0024】
前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の段ボールシートの折り曲げ装置は、
段ボールシートをフレーム上を滑らせて搬送する搬送ベルトと、該段ボールシートの両側に配設され段ボールシート両端の折り畳みパネルに当接して折り畳み方向へ押し込む一対の無端状折り畳みベルトと、該無端状折り畳みベルトを段ボールシートと同期して走行可能に支持するプーリとを備えた段ボールシートの折り曲げ装置において、
前記折り畳みパネルの折り畳み軌跡を規定する前記無端状折り畳みベルトの配置経路を変更可能にすると共に、
該折り畳みベルトの全長を変更せずに該折り畳みベルトの張力を常に一定に保持するように構成したものである。
【0025】
前記構成により、形状や大きさが異なる複数種類の段ボールシートに対して1台の折り曲げ装置で折り曲げ工程を実施可能になる。また、折り畳み経路を変更する場合に、折り畳みベルトの全長を一定に保持するようにしているので、折り畳みベルトの張力を一定に保持でき、これによって、折り畳みパネルに対する折り畳みベルトの押圧力を一定に保持できるので、折り曲げ工程を支障なく行なうことができる。
【0026】
本発明装置において、第1の折り畳みパネル及び第2の折り畳みパネルが段ボールシートの両端にあり、第1の折り畳みパネルに対して第2の折り畳みパネルを折り畳む無端状折り畳みベルトを干渉しない位置に変更可能に構成するとよい。
これによって、段ボールシートが特殊な形状の段ボールシート、例えば、第1の折り畳みパネルが搬送方向と直角方向に長い寸法の折り畳みパネルであっても、第2の折り畳みパネルを折り畳む無端状折り畳みベルトの配置経路を変更することによって、折り曲げ工程を実施できる。
【0027】
前述のように、この場合、駆動側無端状折り畳みベルトと操作側無端状折り畳みベルトの配置経路が同一でなくなるが、両無端状折り畳みベルトの全長は同一のままであるので、両無端状折り畳みベルトの走行速度を段ボールシートの搬送速度に合わせて同期させておくことにより、段ボールシートを機械幅方向に向いた正しい姿勢で搬送できる。
【0028】
本発明装置において、段ボールシートの搬送方向同一位置に折り畳みベルト及び折り畳みバーを第2の折り畳みパネルに対して接近又は離隔可能に設け、折り畳みベルトが第1の折り畳みパネルの旋回範囲内に位置したとき、折り畳みベルトを該第1の折り畳みパネルの旋回範囲外に移動させ、代わりに折り畳みバーを第2の折り畳みパネルに接近させ該折り畳みバーによって第2の折り畳みパネルを折り畳むように構成するとよい。
これによって、第1の折り畳みパネルが特殊形状の段ボールシートであっても、第2の折り畳みパネルを折り畳みバーで折り畳むことができるので、折り曲げ工程を支障なく実施できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明方法によれば、段ボールシートをフレーム上を搬送させながら、段ボールシートの搬送方向に段ボールシートと同期して走行する一対の無端状折り畳みベルトで、段ボールシート両端の折り畳みパネルを折り畳み方向に押し込んで折り畳む段ボールシートの折り曲げ方法において、折り畳みパネルの折り畳み軌跡を規定する無端状折り畳みベルトの配置経路を、該無端状折り畳みベルトの全長を一定に保持したまま変更可能にし、折り畳みパネルの形状又は大きさに応じて無端状折り畳みベルトの配置経路を変えることにより、形状又は大きさが特殊な複数種類の段ボールシートの折り畳みを可能としたので、1台の折り曲げ装置で形状、大きさが特殊な複数種類の段ボールシートの折り畳みが可能になり、別仕様の折り曲げ装置を用意する手間と費用を節減できる。
【0030】
また、無端状折り畳みベルトの配置経路を変更するとき、無端状折り畳みベルトの全長を変更しないので、無端状折り畳みベルトの張力調整を行なう必要がない。そのため、無端状折り畳みベルトの配置経路の変更が容易である。
【0031】
本発明装置によれば、段ボールシートをフレーム上を滑らせて搬送する搬送ベルトと、該フレームの両側に配設され段ボールシート両端の折り畳みパネルに当接して折り畳み方向へ押し込む一対の無端状折り畳みベルトと、該無端状折り畳みベルトを段ボールシートと同期して走行可能に支持するプーリとを備えた段ボールシートの折り曲げ装置において、折り畳みパネルの折り畳み軌跡を規定する無端状折り畳みベルトの配置経路を変更可能にすると共に、該折り畳みベルトの全長を変更せずに該折り畳みベルトの張力を常に一定に保持するように構成したことにより、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明方法及び装置の一実施形態に係る段ボール製函機の折り曲げ装置を模式的に示す全体図であり、通常の段ボールシートを折り畳む場合を示す。
【図2】前記折り曲げ装置の模式的全体図であり、特殊使用の段ボールシートを折り畳む場合を示す。
【図3】前記実施形態に係る折り曲げ装置のフォルディングバー取付部を示す正面図である。
【図4】(A)は図1中のA―A線に沿う断面図であり、(B)は同じくB−B線に沿う断面図であり、(C)は同じくC−C線に沿う断面図であり、(D)は同じくD−D線に沿う断面図であり、(E)は同じくE−E線に沿う断面図である。
【図5】(A)は図2中のF―F線に沿う断面図であり、(B)は同じくG−G線に沿う断面図であり、(C)は同じくH−H線に沿う断面図であり、(D)は同じくI−I線に沿う断面図であり、(E)は同じくJ−J線に沿う断面図である。
【図6】追加フォルディングバーの支持機構の変形例を示す側面図である。
【図7】従来の折り曲げ装置を示す斜視図である。
【図8】従来の折り曲げ装置の別な例を示す斜視図である。
【図9】(A)は特殊仕様の段ボールシートを折り畳む状態を示す側面図であり、(B)は特殊仕様の段ボール箱の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0034】
本発明方法及び装置の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1及び図2は、段ボール製函機の一部をなす折り曲げ装置10の全体図である。図1は、段ボールシートの両端にある折り畳みパネル3a及び3bの機械幅方向寸法が同一の通常仕様の段ボールシート3を折り畳む場合を示す。図2は、一方の折り畳みパネル4aの機械幅方向寸法が他方の折り畳みパネル4bより極端に長い特殊仕様の段ボールシート4を折り畳む場合を示す。
【0035】
図1及び図2において、水平面をなす段ボールシートの搬送路cが形成されている。搬送路cは、段ボールシートを水平面を有するフレーム上を矢印a方向に滑らすによって、あるいは前述のゲージローラの周端面に設けられた凹溝で段ボールシートの両端を支持しながら段ボールシートを搬送することによって、水平方向の一定位置に形成されている。
【0036】
搬送路cの両側上方には、段ボールシートの機械幅方向両端に接して段ボールシートを矢印a方向に送る一対の無端状の搬送ベルト12が設けられている。搬送ベルト12は、下流側プーリ14を駆動する図示省略の駆動モータによって矢印a方向に送られ、複数のガイドプーリ16で案内されている。搬送ベルト12には、可動ローラ20、エアシリンダ22及び固定台24からなる張力調整機構18が設けられている。可動ローラ20にエアシリンダ22のピストンロッド22aが連結され、エアシリンダ22を駆動することで搬送ベルト12の張力を調整できる。
【0037】
搬送路cの両側下方には、搬送路cに沿って一対の無端状折り畳みベルト26が設けられている。無端状折り畳みベルト26は、上流側プーリ28、下流側プーリ30及びその他のガイドプーリ32〜38に巻回されている。無端状折り畳みベルト26は、下流側プーリ30を駆動する図示省略の駆動モータによって矢印方向に送られる。無端状折り畳みベルト26には、可動ローラ42、エアシリンダ44及び固定台46からなる張力調整機構40が設けられている。可動ローラ42にエアシリンダ44のピストンロッド44aが連結され、エアシリンダ44を駆動することで無端状折り畳みベルト26の張力を調整できる。この張力調整機構40は、主として無端状折り畳みベルト26の張力を微調整するために用いられる。
【0038】
搬送路cの下方中央には、段ボールシートsの搬送方向(矢印a方向)に、折り曲げ装置10の略全長に亘り、丸棒形状のフォルディングバー48が設けられている。このフォルディングバー48は、折り曲げ工程中、無端状折り畳みベルト26による折り畳みパネルの折り畳み動作を補助する役目がある。
【0039】
図3は、折り曲げ装置10の終端側でフォルディングバー48の一端を支持する支持機構50を示す。下フレーム52の水平な上面が搬送路cを形成し、段ボールシートは下フレーム52の上面を滑動していく。下フレーム52に保持具54及び56がボルト54a及び56aで締め付け固定され、これらの保持具54、56でフォルディングバー48を所定位置に固定している。
【0040】
かかる構成において、まず、図1及び図4により、折り曲げ装置10を用いて、通常仕様の段ボールシート3を折り畳む折り曲げ工程を説明する。図4において、段ボールシート3の搬送路cの上方には、搬送路cを上方側から規定する上フレーム60が設けられている。搬送路cの機械幅方向両側には複数のゲージローラ62が設けられている。ゲージローラ62の周端面には、凹溝62aが設けられている。段ボールシート3の罫線3c、3cに対応した折れ位置をこの凹溝62aに案内させることにより、折り畳みパネル3a、3bを折り畳む。
【0041】
搬送路cの両側下方には、支持フレーム64,64が設けられ、支持フレーム64,64と一体のスライドレール66,66が上下方向に配置されている。スライドレール66,66には可動フレーム68,68が上下方向にスライド可能に支持されている。アーム72,72が軸70を介して可動フレーム68,68に回動可能に取り付けられ、アーム72,72の先端にプーリ36,36が回動可能に装着されている。プーリ36,36によって無端状折り畳みベルト26が支持されている。駆動側及び操作側の無端状折り畳みベルト26は、下流側プーリ30,30によって段ボールシート3の搬送速度と同期して走行する。
【0042】
段ボールシート3の搬送方向に沿って、無端状折り畳みベルト26の折り畳み経路を形成するプーリ36〜38とフォルディングバー48との位置が位置決めされている。プーリ36〜38に支持された無端状折り畳みベルト26とフォルディングバー48とによって折り畳みパネル3a、3bが折り畳まれていく。図3(E)に示すように、E−E断面の所で折り畳み工程が終了し、折り畳みパネル3a、3bのどちらかにある糊付けされたフラップが他方の折り畳みパネルに接着して、段ボールシート3が箱状に成形される。
【0043】
なお、図4(E)に示すように、E−E断面の所では、下フレーム74に2個のプーリ32,32が回動可能に装着され、これらプーリに無端状折り畳みベルト26の復路が巻回されている。
【0044】
次に、図2及び図5により、折り曲げ装置10を用いて、一方の折り畳みパネル4aが他方の折り畳みベルト4bより機械幅方向に極端に長い特殊仕様の段ボールシート4を折り畳む折り畳み工程を説明する。図2において、まず、折り曲げ装置10を稼動させる前に、短尺折り畳みパネル4bが配置される駆動側の複数のプーリ群37を下方へ下げる操作を行なう。そのため、図5に示すように、プーリ群37を装着した可動フレーム68,68をスライドレール66,66に沿って下方に移動させる。
【0045】
次に、駆動側無端状折り畳みベルト26を2個のプーリ32から外し、代わりに下方に配置されたプーリ76及び77に巻回する。操作側のプーリ群37及び無端状折り畳みベルト26は、図1の状態を変更しない。駆動側無端状折り畳みベルト26の全長は、配置経路を変更した後でも、段ボールシート3の折り畳み時と変わらない。そのため、駆動側無端状折り畳みベルト26の全長と操作側無端状折り畳みベルト26の全長は同一のままである。従って、搬送ベルト12による段ボールシート3の搬送速度と、駆動側及び操作側無端状折り畳みベルト26の走行速度を同一とすることにより、段ボールシート4を機械幅方向に向けた正しい姿勢で搬送できる。
【0046】
このように、配置経路を変更した後も無端状折り畳みベルトの全長が変わらないので、無端状折り畳みベルト26の張力も基本的に変わらない。そのため、無端状折り畳みベルト26の張力調整を要せず、無端状折り畳みベルト26の配置経路の変更が容易になる。なお、無端状折り畳みベルト26の張力の微調整が必要な場合は、張力調整機構40で微調整を行なう。なお、無端状折り畳みベルト26の全長が同一のままのため、張力調整は不要であり、張力調整機構40は無くても良い。また、図3に示すように、搬送方向に長いフォルディングバー48は長い仕様の折り畳みパネル4aを折り畳む時にじゃまになるので、短い仕様のフォルディングバー78に取り替える。
【0047】
こうして、駆動側無端状折り畳みベルト26の配置経路を変更した後、折り曲げ装置10を稼動させる。この稼動手順を図5に示す。図5(A)(F−F断面)では、フォルディングバー48を除去した点を除き、図4(A)(A−A断面)と同様の動作で折り畳みを行なっている。即ち、段ボールシート4の罫線4c、4cに対応した折れ位置をゲージローラ52の凹溝62aに案内させることにより、折り畳みパネル3a、3bを折り畳む。
【0048】
図5(B)(G−G断面)に示すように、折り畳みパネル4aの先端が折り畳みパネル4bを支持する駆動側無端状折り畳みベルト26及びプーリ群37に干渉しないように、プーリ群37を下方に退避させており、また、駆動側無端状折り畳みベルト26を下方に配置されたプーリ76に巻回させている。代わりに、追加フォルディングバー80で折り畳みパネル4bを支持させている。
【0049】
追加フォルディングバー80は、丸棒形状をなし、搬送方向に配置されている。追加フォルディングバー80は、アーム82の先端に固着され、アーム82は、アーム82と一体の軸受部82aを介して可動フレーム84に機械幅方向にスライド可能に取り付けられている。スライドレール66と略同一位置に、支持フレーム64に一体に上下方向にスライドレール86が固設されている。可動フレーム84は、可動フレーム84と一体の軸受部84aを介してスライドレール86にスライド可能に支持されている。
【0050】
かかる支持機構のため、追加フォルディングバー80は任意な位置に平行移動可能である。そのため、追加フォルディングバー80を所望の位置に配置するのが容易である。
なお、この折り畳み位置で、ガイドプーリ34をスライドレール66に装着して、駆動側及び操作側の折り畳みベルト26の復路を支持させている。
【0051】
この状態で、即ち、折り畳みパネル4aを操作側折り畳みベルト26で押し込み、折り畳みパネル4bを追加フォルディングバー80で押し込みながら、段々に折り畳みパネル4a、4bを折り畳んでいく。図5(D)に示すように、I−I断面の所では、駆動側無端状折り畳みベルト26を下方に配置されたプーリ77に支持させて、搬送路cから遠ざけている。
【0052】
折り畳み工程の最終段階で、折り畳みパネル4a、4bを180°折り畳んだ状態で(図5(E)に図示した状態)、フォルディングバー78が下方から折り畳みパネル4a、4bを押さえ、一方の折り畳みパネルにある糊付けされたフラップが他方の折り畳みパネルと接着して、段ボール箱が形成される。
【0053】
本実施形態によれば、通常の段ボールシート3と特殊仕様の段ボールシート4の折り畳み工程を1台の折り曲げ装置10で行なうことができる。即ち、特殊仕様の段ボールシート4の折り畳み時には、駆動側折り畳みベルト26を搬送路cから退避させ、代わりに、折り畳みパネル4aと干渉しない位置に設けた追加フォルディングバー80で折り畳みパネル4bを折り畳むようにしているので、段ボールシート4の折り畳みを支障なく行なうことができる。
【0054】
このように、1台の折り曲げ装置で複数種類の特殊な大きさ、形状の段ボールシートの折り畳みが可能になり、折り畳みベルトを支持するプーリの一部を取り外したり、あるいは別仕様の折り曲げ装置を用意する手間と費用を節減できる。
また、配置経路を変更した駆動側無端状折り畳みベルト26の全長と、配置経路を変更しない操作側無端状折り畳みベルト26の全長は同一のままであるので、搬送ベルト12による段ボールシート3の搬送速度と、駆動側及び操作側無端状折り畳みベルト26の走行速度を同期させることにより、段ボールシート4を機械幅方向に向けた正しい姿勢で搬送できる。
【0055】
また、通常仕様の段ボールシート3の場合は、折り畳み工程の全工程に渡りフォルディングバー48で一方の折り畳みパネル4bの折り畳みを補助しているので、折り畳みパネル3a、3bを罫線3c、3cに沿って確実に行なうことができる。
さらに、通常仕様の段ボールシート3及び特殊仕様の段ボールシート4とも、折り畳み工程の最終段階で、折り畳みパネル4a、4bを折り畳んだ状態でフォルディングバー48又は78で押えるようにしているので、両折り畳みパネルの接着を確実に行なうことができる。
【0056】
また、折り畳みベルト26の全長を変更することなく、駆動側折り畳みベルト26の配置経路を変更するようにしているので、駆動側無端状折り畳みベルト26の張力を一定に保持でき、安定した張力を維持できる。そのため、配置経路を変更した後でも張力調整を要しないため、配置経路の変更が容易になる。
【0057】
(実施形態2)
図6は、追加フォルディングバー80の支持機構の変形例を示す。この支持機構90は、図3、図4に示す支持フレーム64に回動軸92aを介して第1のスライド軸92が回動可能に取り付けられている。第1のスライド軸92に第2のスライド軸94が軸受部94aを介してスライド可能に取り付けられている。そして、先端に追加フォルディングバー80が装着されたアーム96が軸受部96aを介してスライド可能に取り付けられている。
【0058】
かかる支持機構90の構成により、追加フォルディングバー80は、任意の位置に平行移動できるので、その位置を自在に設定できる。そのため、折り畳みパネル4bを折り畳む際に、機械幅方向に長い折り畳みパネル4aに干渉しない位置に配置するのが容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、段ボール製函機において、1台の折り曲げ装置で、形状又は大きさの特殊な複数種類の段ボールシートの折り畳み工程を行なうことができるので、無端状折り畳みベルトを支持するプーリの一部を取り外したり、あるいは別仕様の折り曲げ装置を用意する手間と費用を節減できる。
【符号の説明】
【0060】
1,2,3,4 段ボールシート
1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b 折り畳みパネル
1c、2c、3c、4c 罫線
10 折り曲げ装置
12 搬送ベルト
14,30 下流側プーリ
18,40 張力調整機構
26 無端状折り畳みベルト
20、42 可動ローラ
22,44 エアシリンダ
24、46 固定台
28 上流側プーリ
32〜38,76,77 プーリ
48、78 フォルディングバー
50,90 支持機構
60 上フレーム
62 ゲージローラ
62a 凹溝
64 支持フレーム
66,86 スライドレール
68 可動フレーム
72,82 アーム
74 下フレーム
80 追加フォルディングバー
c 段ボールシート搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールシートを水平方向に搬送させながら、段ボールシートの搬送方向に段ボールシートと同期して走行する一対の無端状折り畳みベルトで、段ボールシート両端の折り畳みパネルを折り畳み方向に押し込んで折り畳む段ボールシートの折り曲げ方法において、
前記折り畳みパネルの折り畳み軌跡を規定する前記無端状折り畳みベルトの配置経路を、該無端状折り畳みベルトの全長を一定に保持したまま変更可能にし、
折り畳みパネルの形状又は大きさに応じて無端状折り畳みベルトの配置経路を変えることにより、形状又は大きさが特殊な複数種類の段ボールシートの折り畳みを可能としたことを特徴とする段ボールシートの折り曲げ方法。
【請求項2】
第1の折り畳みパネル及び第2の折り畳みパネルが段ボールシートの両端にあり、第1の折り畳みパネルと第2の折り畳みパネルを折り畳む無端状折り畳みベルトとが干渉するとき、第1の折り畳みパネルと該無端状折り畳みベルトとの干渉を避けるように該無端状折り畳みベルトの配置経路を変えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の段ボールシートの折り曲げ方法。
【請求項3】
前記第1の折り畳みパネルと、前記無端状折り畳みベルトとが干渉するとき、無端状折り畳みベルトを走行可能に支持するプーリを移動させて該無端状折り畳みベルトが第1の折り畳みパネルと干渉するのを避けるようにし、
該無端状折り畳みベルトの代わりに、第1の折り畳みパネルと干渉しない位置に位置する折り畳みバーにより第2の折り畳みパネルを折り畳むようにしたことを特徴とする請求項2に記載の段ボールシートの折り曲げ方法。
【請求項4】
前記第1の折り畳みパネルが搬送方向と直角方向に長い折り畳みパネルであることを特徴とする請求項2又は3に記載の段ボールシートの折り曲げ方法。
【請求項5】
前記折り畳みパネルを折り畳んだ後に、該折り畳みパネルの下面を段ボールシートの搬送方向に配置した支持バーで支持し、該折り畳みパネルの折り畳み状態を保持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の段ボールシートの折り曲げ方法。
【請求項6】
段ボールシートを水平方向に搬送する搬送ベルトと、該段ボールシートの両側に配設され段ボールシート両端の折り畳みパネルに当接して折り畳み方向へ押し込む一対の無端状折り畳みベルトと、該無端状折り畳みベルトを段ボールシートと同期して走行可能に支持するプーリとを備えた段ボールシートの折り曲げ装置において、
前記折り畳みパネルの折り畳み軌跡を規定する前記無端状折り畳みベルトの配置経路を変更可能にすると共に、
該折り畳みベルトの全長を変更せずに該折り畳みベルトの張力を常に一定に保持するように構成したことを特徴とする段ボールシートの折り曲げ装置。
【請求項7】
第1の折り畳みパネル及び第2の折り畳みパネルが段ボールシートの両端にあり、第1の折り畳みパネルに対して第2の折り畳みパネルを折り畳む無端状折り畳みベルトを干渉しない位置に変更可能に構成したことを特徴とする請求項6に記載の段ボールシートの折り曲げ装置。
【請求項8】
段ボールシートの搬送方向同一位置に前記折り畳みベルト及び折り畳みバーを前記第2の折り畳みパネルに対して接近又は離隔可能に設け、
前記折り畳みベルトが前記第1の折り畳みパネルの旋回範囲内に位置したとき、折り畳みベルトを第1の折り畳みパネルの旋回範囲外に移動させ、代わりに折り畳みバーを第2の折り畳みパネルに接近させ、折り畳みバーによって第2の折り畳みパネルを折り畳むように構成したことを特徴とする請求項7に記載の段ボールシートの折り曲げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−98543(P2011−98543A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255909(P2009−255909)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】