説明

殺菌エアロゾル、殺菌エアロゾルの使用方法および殺菌エアロゾルの製造方法

担体ガス中に分散されている液滴を含むエアロゾルであって、前記液滴のうち少なくとも一部が、殺生物剤を不活性化するのに有効な拮抗剤を含有するエアロゾルが提供される。前記液滴は、前記殺生物剤、及び、前記殺生物剤と反応し、それを無害化する拮抗剤を含有してもよい。前記拮抗剤が、前記殺生物剤を効果がないものにするのに必要な時間が、前記殺生物剤が、所望のレベルの殺菌または滅菌のために有効であるために必要な時間よりも長いことを確実にするよう、前記殺生物剤が殺菌または滅菌のために使用され、前記拮抗剤の性質および濃度が選択され、または手段が提供される。また、エアロゾルの製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌、真菌、ウイルス、真菌胞子または細菌胞子、プリオンなど感染性種に感染し得る露出面または空間を殺菌または除染するための方法および組成物に関する。
【0002】
「滅菌(sterilization)」は、胞子濃度の6log低減を達成できる方法としてWO2007/014435に定義されている。「殺菌(disinfection)」は、同様の方法であるが、相違は、特に細菌胞子に対して、より少ない程度の殺生物性効果をもたらすことである。「滅菌」は「殺菌」を含み、「殺菌/滅菌」は、「殺菌および/または滅菌」の略語である。一般に、単語、殺菌するおよび滅菌するおよび関連単語は、ウイルス、細菌またはその他の生物の低減または処理を示すととられてもよいが、また、化学兵器戦争において使用されることが多い有害な化学物質に曝されている表面の、化学物質の酸化などによる除染も含む。殺菌または滅菌は、有効であることが必要であり、必ずしも完全ではない。便宜上、本願では、「殺菌する」、「滅菌する」、殺菌および滅菌する、殺菌する/滅菌する」および「殺菌または滅菌する」は、通常、生物の処理または有害な化学物質が存在する場所の除染を指すよう使用される。
【0003】
本発明は、小さい殺菌チャンバ、生物学的安全キャビネット、アイソレータ、グローブボックス、インキュベータ、マテリアルエアロック(materials airlocks)などの中に入れられた機器および物品の殺菌/滅菌の両方に適用できる。本発明は、食品容器などおよび製造機械の殺菌/滅菌に適用され、また、極めて大きな空間の殺菌にも適用される。
【0004】
本発明は、主に、単に例として、病院において見られる空間および表面、例えば、手術室中または病棟の壁、床面、天井および在中物の表面の殺菌/滅菌と関連する問題に特に関連して本明細書に記載されるが、このような環境に限定されない。
【0005】
本発明は、ショッピングモール、工場、郵便仕分け空間、地下鉄、競技場、運送用コンテナ、航空機内部などといった大きな空間の境界となる表面またはそれに含まれる表面の殺菌または滅菌に同様に適用される。露出面は、空間を既定する壁または隔壁の表面によって、加工物の表面または機械表面、空調用ダクト、または室内であるか、少なくとも一時的に囲まれ得る、もしくは部分的に囲まれ得るその他の表面、例えば、病院用ベッドによって例示され得る。
【0006】
本発明はまた、隠蔽面の殺菌/滅菌にも適用される。
【0007】
本発明はまた、例えば、軍隊などが、炭疽菌、エボラ、マールブルグウイルス、腸ペスト、コレラ、野兎病、ブルセラ症、Q熱、マチュポ、コクシジオイデス真菌症、鼻疽、類鼻疽、赤痢菌、ロッキー山紅斑熱、チフス、オウム病、黄熱病、日本脳炎B型、リフトバレー熱、天然痘またはその他の微生物などの細菌戦争の病原体に曝露される化学兵器戦争攻撃からのそれらの保護のために、およびテロリストの攻撃などの際に同様に曝露される一般人の保護のために、開放または外部空間中でも適用できる。
【背景技術】
【0008】
本明細書を通じて先行技術のいかなる考察も、このような先行技術が、当分野において広く知られている、または一般常識の一部を形成するということの承認と決して考えられるべきではない。
【0009】
近年、病院環境において特に問題のあるものと同定された微生物の数および多様性が著しく増大した。労働コストの増大のために、壁、床面、天井およびその他の表面が、殺菌剤および/または滅菌剤を用いてゴシゴシ洗われる頻度および強度が低減した。この処理は、手術室中では、幾分か制限された程度に、依然として存在するが、このような処理は、手術台の半径2メートル内の表面に限定されることがより通常である。近頃は、ゴシゴシ洗う処理が、公共区域の一般病棟に拡張されることはめったにない。さらに、鍵の内部、キャスターの車輪を覆う保護装置、ドアの底面、ヒンジの隠蔽面など、ゴシゴシ洗われる領域内に、ゴシゴシ洗われることによって満足のいくように処理されず、生物を有し得る多数の表面がある。さらに、一部の手術室では、例えば、コンピュータなどの電子装置が、装置中に冷却用空気を吹き込み、微生物を有し得る粒子を装置の筐体中に運ぶファンを含み、ここで、微生物が内表面で増幅し得る。
【0010】
酸化力のある、もしくは腐食性である、および毒性であるオゾンもしくは二酸化塩素などの殺生物性ガスを用いて、または酸化エチレンおよびグルタルアルデヒドもしくはホルムアルデヒドなどのアルデヒドなどの殺生物性ガスを用いて、小空間および大空間ならびに取り囲む表面の両方を殺菌することが提案されている。しかし、このような殺生物剤はすべて、使用するには極めて毒性、有害であり、表面上に有害である可能性のある残留物を残し得る。蒸気が使用される場合もあるが、高温を伴うため、また、表面上に高密度の水分を残し、錆びまたは劣化につながり得るので、操作者にとって有害であり、多数の材料および多数の装置にとって有害である。
【0011】
近年、殺菌剤として過酸化水素または過酢酸の使用が、非常に好まれるようになった。1990年代より前は、これらの過酸化物は、蒸気での燻蒸を可能にするには不安定すぎ、有害であると考えられていた。それにもかかわらず、殺菌/滅菌のために蒸気状の過酸化水素を使用するために、種々の提案がなされてきた。蒸気が、極めて低圧で、またはプラズマとして、より有効であるので、主に、蒸気相系が、排気が可能である滅菌器などの小容量チャンバに適用されてきた(例えば、Schmidt、特許文献1)。処理サイクルの最後に、残存する過酸化水素蒸気が、真空ポンプによって送り出され、大気に直接的に、または任意の残存する過酸化物蒸気を無害の酸素および水に分解する触媒的デストラクタを介して排出される。古い蒸気ベースの機器再処理システムでは、すすぎ水の使用によって表面汚染を除去することが提案されたが、これは、水損傷の危険にさらし、乾燥がエネルギー集約的であり、長期間であるという両方から乾燥問題を発生させた。水ですすぐことは、水供給および場所によっては、主要な不利点である排水システムの必要性を強いることが不都合である。
【0012】
大気圧で使用するための過酸化物蒸気も提案されてきたが、その場合には、通常、真空システムよりも長い処理時間が含まれ、細菌胞子に対する有効性が制限されることがわかっている。処理後、小規模過酸化物蒸気システムでは、空気がチャンバ中を循環され、残存する過酸化物は、大気中にHEPAフィルタを通して直接流し出されるか、または過酸化物が、廃棄の前に酸素および水に触媒されるよう触媒的デストラクタを介して大気中に流し出されるかのいずれかである。いくつかの再循環システムでは、過酸化物が除去されるまで、処理後に、フローを迂回させ、処理回路と並行に置かれた触媒的デストラクタを通してエアポンプによって再循環させる場合もある(例えば、Hill、特許文献2および3)。
【0013】
小チャンバの滅菌/殺菌のための殺生物性物質として過酸化物エアロゾルを使用する(蒸気ではなく)ために、その他のものが提案されている。エアロゾルは、大気圧で活性種のかなり高い濃度密度が得られ、高価な真空装置の必要性が除外されることをはじめ、蒸気を上回るいくつかの大きな利点を有する。いくつかのこのような場合には、処理回路が過酸化物残留物の除去を完了した後に、エアロゾルフローを触媒的デストラクタを通して迂回させてもよい(出願人の共同所有される特許文献4および5参照のこと)。
【0014】
過酸化物蒸気および過酸化物エアロゾル系の両方はまた、大空間の殺菌/滅菌または除染のために提案されている。このような場合には、大抵は、残留物は、単に外環境に流し出されるようである。Ronlanは、特許文献6において、100%相対湿度での殺菌に適した過酢酸または過酸化水素の高密度エアロゾル(エアロゾル液滴直径が50ミクロン未満)を提供するために熱噴霧器(thermo fogger)(パルスジェット噴霧器)の使用を提案したが、過酸化物廃棄を論じていない。特許文献7(Adiga)には、同様であるが、同じく、過酸化物廃棄を論じないものが開示されている。出願人の共同所有される特許文献8および特許文献9ではまた、大規模殺菌目的のためにエアロゾルを使用した。Ericksonは、「リザーバ、ネブライザ、ファンおよびヒーターを、チャンバからチャンバに移動させることができるポータブルユニットに組み合わせてもよく、必要に応じて、別個の空気乾燥システムまたは空調システムを、ネブライザと同じチャンバ中で使用するためにポータブルにしてもよく、またはネブライザユニットと組み合わせてもよい」と言い、チャンバからチャンバへ移動させ、処理されたチャンバから過剰の過酸化物を除去するために使用することができるポータブル触媒的デストラクタユニットを構想し、一方で、Berentsveigは、残存する過酸化物を直接、または、必要に応じて、触媒的デストラクタを介して放出した。残存する過酢酸は、容認できない臭気というさらなる不利点に悩まされる。
【0015】
水性殺生物剤、好ましくは、過酸化水素のこのような安定な霧状のものは、大気圧以上で使用でき、真空装置の必要性を避け、極めて大きな空間の殺菌または燻蒸により容易に適応できるが、残存する過酸化水素の排出は、大きな問題のままである。
【0016】
例えば、過酸化物を用いる食品容器の滅菌では、微量の過酸化水素であっても、製品の風味に影響を及ぼし、または製品の色の変化などのその他の望ましくない変化をもたらし得る。米国では、食品包装規制は、現在、容器上の過酸化水素残留物を最大0.5ppmに制限している。手術室中または手術用機器上の表面残留物は、1ppm未満であるべきである。空気を吹き込むまたは吸い込むことによってこのようなレベルを達成することは、機器などを滅菌するための小チャンバ容積であっても、プロセス時間を大幅に増大させ得るが、50〜100立方メートルという部屋の大きさほどの容積に対してそうすることは、特に、流入空気がHEPAフィルタ濾過され、無菌性を維持していることも必要とされる場合には、巨大な資本設備およびエネルギー費を必要とする。部屋の中の空気の容積は、10回超、置換される必要がある。したがって、除去工程は、過酸化物の残存するバランスが漸減するので、処理時間を大幅に増大させる。最後の数ppmの滅菌剤を除去するために、相当な時間(大きな建築物では、数時間)が必要であり、空間は、この工程が完了するまで安全に再居住可能ではない場合がある。例えば、Steris VHP1000蒸気システムは、56mの部屋を処理するのに最大6時間かかる。処理される空間の容積が大きくなるほど、除去のための時間が漸増するので、除去問題がより困難になる。
【0017】
近年、戦争またはテロの行為の結果として感染してしまった空間に特に関心が払われてきた。例えば、米国では、いくつかの連邦ビルが、炭疽菌胞子によって汚染されたと考えられた。これらは塩素ガスで処理されたが、塩素ガスはビルに大変損害を与えるものであったが、さらに、ビルを居住可能にできるレベルに塩素が有効に除去され得るまでに長時間を必要とした。任意の殺菌およびまたは滅菌法では、殺生物剤を用いる処理および空間が安全に居住され得るポイントへの殺生物剤の除去の両方を含むプロセスの全期間が最小にされることが重要である。
【0018】
細菌戦争の病原体を失活させるために、次亜塩素酸塩溶液などの化学殺菌剤が、これまでに提案されてきたが、このような殺生物性薬剤は、それ自体、腐食性および毒性のためにヒトおよび装置にとって有害である。
【0019】
要約すれば、過酸化水素、過酸化水素複合体および過酢酸などの過酸化物は、表面(例えば、医療機器および食品加工機械および手術台)の殺菌/滅菌のための、小および大チャンバの、および大空間の殺菌/滅菌のための、ならびに細菌戦争の病原体を失活させるための薬剤として好ましい。過酸化物は、この目的のために、蒸気およびエアロゾルの両方として使用されてきた。殺菌/滅菌は、極めて短時間で達成され得るが、1ppmを下回る、好ましくは、0.5ppmを下回る安全なレベルへ下げられる残存する過酸化物の除去は、大きな問題であり、受け入れ難いほど長時間かかり、必要な装置およびエネルギー消費の点で非常にコストがかかる。時間の問題は、大きな容積空間については大きく増大する。多数のその他の殺生物剤もまた、残存する毒性または腐食性を有し、このためにその使用が非現実的なものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第4863688号明細書
【特許文献2】米国特許第7238330号明細書
【特許文献3】米国特許第6953549号明細書
【特許文献4】国際公開第2007/014436号
【特許文献5】国際公開第2007/014438号
【特許文献6】米国特許第6500465号明細書
【特許文献7】米国特許第7326382号明細書
【特許文献8】国際公開第2007/014437号明細書(Erickson)
【特許文献9】国際公開第2007/014435号明細書(Berentsveigら)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的は、先行技術の不利点のうち少なくとも1つを克服または改善することまたは有用な代替物を提供することである。
【0022】
本発明の目的は、先行技術の不利点のうち少なくともいくつかを回避または改善する、容積および/または表面積を殺菌または滅菌する方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、その方法を実施するための改良された装置(apparatus)および改良された組成物を提供することである。
【0023】
本発明の好ましい実施形態の目的の一つは、比較的短時間で、分散された化学物質、例えば、殺菌/滅菌剤の量が低減され得る手段および方法を提供することである。
【0024】
本発明の好ましい実施形態の目的の一つは、例えば、滅菌チャンバまたはグローブボックスなどの小チャンバおよび手術室、病院の病棟、低温室、冷蔵庫、バン、海上コンテナ、工場エリアおよび殺菌が必要条件であるような場所などの大空間の両方において、空間および表面を殺菌/滅菌できること並びに殺生物剤の除去を含めた処理が実施されるのを可能にする手段によってそれを行うこと、居住可能な容積の場合には、空間が再居住可能であるレベルへ迅速に完了されることである。
【0025】
極めて高度に好ましい実施形態の目的の一つは、安全で、有効な自己不活性化殺生物性エアロゾルを提供することである。「自己不活性化」エアロゾルは、本明細書において、活性な試薬が不活性化、中和、またはそうでなければ、無害にされた(すなわち、安全な、無害の、または臭気を含まない)エアロゾルを意味する。
【0026】
文脈が明確に別のものを必要としない限り、本記載および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などは、排他的な意味または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で、すなわち、「それだけには限らないが、含む」の意味で解釈されるべきである。
【0027】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、担体ガス中に分散されている液滴を含むエアロゾルを提供し、ここで、液滴のうち少なくとも一部は、殺生物剤を不活性化するのに有効な拮抗剤を含有する。
【0028】
本明細書において「拮抗剤」とは、別の物質と反応し、中和し、良性にし、またはその破壊を触媒するか、そうでなければ、変化させるか、またはその破壊または不活性化において中間体として作用する任意の物質を意味する。
【0029】
微生物を死滅させるために、殺生物剤として過酸化物(例えば、過酸化水素)であって、少なくとも一部の液滴が、過酸化水素の酸素および水への分解を触媒する、または引き起こす、例えば、金属イオン、酵素またはその他の試薬である拮抗剤を含有するものが使用される好ましい実施形態では、殺生物剤は、第1の態様のエアロゾルによって不活性で、無害にされる。これは、過酸化物を無害にし、チャンバ中の空気を置換することを不要にする。
【0030】
当業者ならば、これまで、過酸化水素は、例えば、コンタクトレンズ上の微生物を死滅させるために小容量液体系において使用されており、その後(すなわち、殺菌工程が完了した後)、過酸化水素は、適した液体過酸化水素破壊化合物、例えば、カタラーゼの添加によって不活性化されてきたことは認識されよう。一部の小容量液体系(例えば、コンタクトレンズ洗浄剤)では、カタラーゼは、過酸化物が殺菌工程を完了した後に液体中で溶解するよう、ゆっくりと溶解するカプセル化物質中にカプセル化された錠剤として液体過酸化物溶液に添加されてきた。
【0031】
第1の態様による本発明の実施形態は、例えば、過酸化水素が先に蒸気またはエアロゾルとして入れられているチャンバ内の空間およびチャンバ内の表面が、エアロゾルの形態で適した拮抗剤を導入することによって無毒にされることを構想する。好ましい実施形態では、拮抗剤は、任意の残存する過酸化物を、短時間で水および酸素に変換する。当業者ならば、エアロゾルの形態で不活性化剤を使用することは、これまでは実施されていなかったということは理解されよう。これまでは、蒸気およびエアロゾル系では、すべてまたは十分な割合の生物を死滅させた後、チャンバをポンプで吸い出すこと、チャンバ中に空気を吹き出すことによって、過酸化物を除去しており、いくつかの場合には、ポンプで送られた、または吹き出された気流を触媒的デストラクタを通して通過させ、ここで、蒸気またはエアロゾルが固体触媒と接触することによって、残存する過酸化物蒸気またはエアロゾルが不活性化されてきた。
【0032】
蒸気またはエアロゾル系では、過酸化物を不活性化剤に運ぶのではなく、不活性化剤を過酸化物に運ぶことも、触媒をエアロゾルとして有することも、まして、同一エアロゾル中に、または同一エアロゾル液滴中に存在する過酸化物および拮抗剤の両方を有することも、これまでは実施されなかった。
【0033】
第1の態様による実施形態では、拮抗剤を含有する霧状のものまたはエアロゾルの導入は、過酸化物が所望の殺菌/滅菌効果を達成した後まで遅延され得る。あるいは、拮抗剤によって引き起こされる不活性化または破壊が、殺菌速度と比較して緩やかな速度で進行する場合には、拮抗剤を含有するエアロゾルを、過酸化物と同時に(またはさらに先立って)導入してもよい。
【0034】
好ましい実施形態では、過酸化物(過酸化水素または過酢酸など)が、殺菌剤または滅菌剤(殺生物剤)として使用され、拮抗剤は、任意の適した触媒的デストラクタ(例えば、マンガンまたはその他の遷移金属、金属イオン、金属酸化物または前記のものの塩もしくは組合せ:トリエタノールアミンまたはその他のアルカリ化合物、カタラーゼなど)である。
【0035】
第1の態様による好ましい実施形態では、過酸化水素を不活性化するのに有効な拮抗剤が、拮抗剤を含有するエアロゾルまたは霧状のものを製造するために第1のネブライザによって霧状にされる(液体、溶液または微細固体の液体懸濁液として)。これは、エアロゾル(空間中に先に導入される)として、殺生物剤、例えば、過酸化水素を含有する空間に導入し、殺生物剤を中和し得る(過酸化物の例では、水および酸素を生成しながら)が、これは、合わされた霧状のものの中の粒子が、表面上で衝突し、および/または合体する、または一緒に凝結するからである。殺生物剤はまた、液体または蒸気として空間中に先に導入されていてもよい。適した拮抗剤の溶液(破壊剤)を霧状にすることが好ましいが、破壊剤はまた、前駆体間の反応によってエアロゾルでその場で生成する場合もある。
【0036】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、担体ガス中に分散されている液滴を含むエアロゾルを提供し、液滴の少なくとも一部が、殺生物剤を含有し、エアロゾル中の液滴の少なくとも一部が、殺生物剤と反応性の拮抗剤を含有し、それを無害にすることを特徴とする。
【0037】
第2の態様による好ましい実施形態では、過酸化水素(液体溶液として)は、第1のネブライザによって霧状にされ得る殺生物剤であり、拮抗剤(液体、溶液または液体懸濁液として)は、第2のネブライザによって霧状にされ得、2種のネブラントを組合せて、過酸化物の液滴および拮抗剤の液滴の両方が懸濁されているエアロゾルを製造する。過酸化物の液滴は、少なくともそれらが、衝突、合体または凝結のいずれかの結果として拮抗剤の液滴と接触するまで有効なままである。2種の液滴が各々、他方と接触する前の経過時間は、例えば、それぞれの霧状にする条件、霧状にする速度、ネブラント粒径の制御によって、またはそれらがそれぞれのネブライザから発せられる時に、一方または両方の種類の液滴を帯電させることによって、または単に、一方の成分の導入を遅延することによって影響を受け得る。過酸化水素は、1ppmを下回る濃度では無害と考えられる。
【0038】
本発明の第3の態様によれば、本発明は、少なくとも一部の液滴が、殺生物剤および殺生物剤と反応性であり、それを無害にする拮抗剤の両方を含有する、第2の態様のエアロゾルを提供する。
【0039】
この場合には、反応速度論は、殺生物剤が、拮抗剤によって無害にされる前は、微生物を死滅させるのに有効であることができるように制御されなければならない。
【0040】
本発明の第4の態様によれば、本発明は、拮抗剤が、殺生物剤を効果がないものにするのに必要な時間が、殺生物剤が、所望のレベルの殺菌または滅菌のために有効であるために必要な時間よりも長いことを確実にするよう、殺生物剤が殺菌または滅菌のために使用され、拮抗剤の性質および濃度が選択され、または手段が提供される、第2または第3の態様のエアロゾルを提供する。
【0041】
本発明の高度に好ましい形態である、第3および第4の態様による実施形態では、過酸化物および拮抗剤は、第1のネブライザによって霧状にされる直前に組み合わされる(液体、溶液または液体懸濁液として)。得られたエアロゾルは、殺生物剤および拮抗剤の“両方が”同一液滴中に共存する液滴を含有する。この場合には、拮抗剤の、薬剤との反応が十分に遅い、そうでなければ、遅延され、その結果、薬剤が、拮抗剤によって効果のないものにされる前に有効である時間を有することが重要である。拮抗剤の、過酸化物との反応速度は、過酸化物が殺生物剤として作用する速度と比較してゆっくりと過酸化物を破壊する拮抗剤の選択によって制御され得る。あるいは、拮抗剤は、殺菌/滅菌工程と比較して遅い中間工程によって形成され得る、または作用し得る。さらなる可能性は、例えば、漂白活性化剤などを含めることによって、濃度、温度、湿度および/またはこのような運動速度制御手段の組合せが採用され得る条件の選択によって殺生物剤の反応速度が増強されるということである。
【0042】
本発明の第5の態様によれば、本発明は、担体ガス中に分散されている液滴を含むエアロゾルを提供し、その液滴の少なくとも一部は、殺生物剤を含有し、殺生物剤を保持するものと同一であっても異なっていてもよい、少なくとも一部の液滴は、殺生物剤を不活性化するのに有効な拮抗剤を含有する。
【0043】
第6の態様によれば、本発明は、自己不活性化殺生物性エアロゾルを提供する。
【0044】
本発明の第6の態様による実施形態は、過酸化物および拮抗剤として適した触媒的破壊剤を、共通のネブライザ流入ポートへの供給として別個の供給源から供給することによって行われ得、その組合せが所定の割合の過酸化物対拮抗剤で霧状にされ、両成分がガス流の各液滴中にあるエアロゾルを生成する。過酸化物は、チャンバまたは室内において殺菌または滅菌効果を生じるよう意図され得、エアロゾル中に同様に存在する触媒的デストラクタは、過酸化物が所望のレベルの殺生物性有効性を達成する前に過酸化物を破壊するのには有効ではないことを確実にするように手段が提供される。好ましい実施形態では、薬剤および拮抗剤は、同一液滴中に、少なくとも最初は共存するが、殺生物性剤および拮抗剤は、エアロゾル中の異なる液滴中にあり得、すなわち、過酸化物および拮抗剤は、別個に霧状にされ、次いで、ネブラントが混合され得る。
【0045】
本発明のその他の態様は、第1から第6の態様のいずれか1つのエアロゾルを製造する方法および第1から第6の態様のいずれか1つのエアロゾルを使用する方法に関する。本発明のエアロゾルは、任意の適した手段によって調製してもよい。超音波ネブライザの使用が好ましいが、本発明を、スプレージェット(spray jets)、噴霧器、遠心装置、その他のアトマイザーを使用して実施してもよく、いくつかの適用ではエアロゾル缶を含み得る。
【0046】
本発明の好ましい実施形態は、チャンバ中の過酸化物濃度を許容されるレベルに低減するのに必要な時間を大幅に短縮する。
【0047】
本発明は、殺生物剤が過酸化物である系に関連して最初に例示される。その後、殺生物剤が、前記の態様のいずれか1つのエアロゾルであり、殺生物剤が、殺生物性酸化剤、第四級アンモニウム化合物、アルデヒド、ハロゲン化フェノール、ピロリドン、シラノールおよびそれらの組合せからなる群から選択されるその他の実施例を参照して例示され、このような殺生物剤の適当な拮抗剤の考察を含む。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のプロセスの実施形態を説明するための模式図である。
【図2】本発明のプロセスの実施形態を説明するための模式図である。
【図3】種々の遷移金属の存在下での過酸化水素破壊の熱効果を示す図である。
【図4】過酸化水素の種々の初期濃度での熱効果H+Mn(II)反応を示す図である([Mn(II)]=1.2×10−4M)。
【図5】H破壊の速度に対する初期Mn(II)濃度の効果を示す図である。
【図6】種々のアルカリ物質の添加後のpH 35%過酸化水素を示すグラフである。
【図7】H+Mn(II)反応の速度に対するアルカリ添加物の性質の効果を示すグラフである(ST−結晶形成成分としてのデンプン)。
【図8】H+Mn(II)反応の熱効果に対する炭酸濃度の効果を示すグラフである。
【図9】過酸化水素破壊の速度論に対する初期溶液の温度の効果を示す図である。
【図10】H+Mn(II)反応の速度論に対する種々の尿素過酸化物の組合せの影響を示すグラフである。
【図11】速度論的H+Mn(II)反応に対する尿素過酸化物の組合せの影響を示すグラフである。
【図12】Staphylococcus aureusのLog10低下に対する過酸化水素濃度および曝露時間の効果を示すグラフである。
【図13】Staphylococcus aureusのLog10低下に対する過酸化水素濃度および曝露時間の効果を示すグラフである。
【図14】SDBを使用するPESスライド上のStaphylococcus aureusの6log低減を達成するのに必要な時間を示すグラフである。
【図15】種々の条件でのPES表面での速度論的SDB崩壊を示すグラフのセットである。
【図16】ガラススライド表面上でのSBDの霧状のものの室温での破壊を示すグラフのセットである。
【図17A】拮抗剤としての次亜塩素酸ナトリウムネブラント(別個に霧状にされた)による過酸化水素ネブラントの不活性化に必要な時間を示すグラフである。
【図17B】拮抗剤としての次亜塩素酸ナトリウムネブラント(別個に霧状にされた)による過酸化水素ネブラントの不活性化に必要な時間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明を、以下、実施例を参照して、より詳しく説明する。
【0050】
図1を参照して、本発明の第1の態様によるエアロゾルを製造および使用する方法が概略的に示されている。この実施例では、チャンバ9、例えば、グローブボックスが、滅菌され、その後、新たな微生物を用いて再使用される。35%過酸化水素の溶液が、過酸化物含有リザーバ1から、バルブ2を介して、第1のネブライザ4の流入ポート3に供給され、第1のネブライザ4は、本実施例では、例えば、より詳しくは、WO2007/014435、WO2007/014436またはWO2007/014437に記載される超音波ネブライザである。ネブライザ4はまた、ネブライザガス流入口5で担体ガス、例えば、空気の流れを受け取り、ネブライザ流出口6で過酸化水素溶液の超微粒の霧状のものを生成し、これは、バルブ7およびチャンバ流入口8を介してチャンバ9へ導かれる。この滅菌工程は、先行技術に記載されている。8などのチャンバ中で、過酸化水素の適したエアロゾルを使用して、細菌胞子などの微生物を死滅させるために、さらに困難な6log低減を達成するのに数分しかかからない。しかし、その容積に応じて従来手段によってチャンバから過酸化物を排除するのに多くの時間がかかる場合がある。
【0051】
本発明の第1の態様に係る第1の実施形態では、殺菌/滅菌工程が完了した後、バルブ7を閉じ、本明細書において以下でより詳細に論じられる、Mn(II)塩または遷移金属塩またはそれらの組合せ、カタラーゼまたはその他の過酸化物破壊剤などの過酸化物拮抗剤または触媒的デストラクタの溶液から第2のエアロゾルが生成される。拮抗剤は、pH変更因子またはバッファー、保存料(例えば、カタラーゼの場合には)、安定化剤、動態変更因子などといったその他の試薬を含み得る。図1を参照すると、拮抗剤溶液は、リザーバ11中に含有され、バルブ12を介して、第2のネブライザ14の流入ポート13中に供給される。ネブライザ14はまた、ネブライザガス流入口15で担体ガス、例えば、空気の流れを受け取り、ネブライザ流出口16で拮抗剤溶液の超微粒の霧状のものを生成し、これは、バルブ17(必要に応じて、逆止めバルブ10を介して)チャンバ流入口8へ導かれ、ひいては、チャンバ9に入る。拮抗剤エアロゾルは、超微粒の霧状のものとしてチャンバに入り、合体する霧状のものの粒子間の接触によって、または表面での凝結のいずれかによって、または両方によって、チャンバ中の任意の残存する過酸化水素と反応する。圧力逃しバルブ20または再循環ラインが提供され得るが、包含されるべき本発明の原理にとっては、このような提供を詳述する必要はない。
【0052】
対応する機能の一部が、図1中と同一の数字によって特定されており、バルブ2が開放しており、バルブ12が閉じている、図2に示される本発明の第1の態様による第2の実施形態によれば、過酸化物の霧状のものは、所望のレベルの微生物死滅が達成されるまで、ネブライザ4によって調製され、チャンバ9に入れられ得る。所望の程度の殺菌/滅菌が達成された後、次いで、同じネブライザ4において拮抗剤が霧状にされ、チャンバ9に入れられ、チャンバ中の残存する過酸化物と反応し、除去され得るよう、バルブ2を閉じ、バルブ12を開けてもよい。
【0053】
拮抗剤がどれだけ迅速に過酸化水素を分解するかに応じて、過酸化水素が所望のレベルの微生物死滅を完了した後まで待機し、その後、チャンバ9に拮抗剤エアロゾルを入れる必要がない場合もあることは理解されよう。例えば、拮抗剤が過酸化物と反応する前に、閾値もしくは誘導期間がある場合、または過酸化物破壊の速度が、過酸化物の殺生物性効果の速度と比較して遅い場合には、拮抗剤は、過酸化物が殺生物剤としてまだ活性である間に製造され、入れられてもよい。このような場合には、拮抗剤は、殺生物剤が微生物にまだ作用している間に入れられ得る。
【0054】
本発明の第2の態様に係る第3の実施形態では、担体ガス中に分散されている液滴を含む第1の態様に係るエアロゾルが提供され、その液滴の少なくとも一部は、過酸化水素を含有し、その液滴の少なくとも一部は、過酸化水素を効果のないものにするのに有効な拮抗剤を含有する。
【0055】
この場合には、図1のものと同様の装置を使用してもよいが、ネブライザ4によって調製される過酸化水素1のネブラントが、ネブライザ14によって調製される拮抗剤11のネブラントと組み合わされ、それぞれのネブラントは、過酸化物の液滴および拮抗剤の液滴を含有する単一のガス流に合わされ、その後、チャンバ9に入れられる。その混合は、バルブ7、17およびチャンバ9間の図1に示されない混合チャンバによって促進され得る。この場合には、拮抗剤および過酸化物間の任意の反応が、十分に遅延され、その結果、過酸化物が、拮抗剤が残存する過酸化物を破壊する前に、微生物を所望のレベルに死滅させ得ることが重要である。過酸化物および拮抗剤が異なる液滴中にある場合には、一方の、もう一方との反応は、粒子を反対に帯電させることによって、粒径に影響を及ぼすことなどによって遅延させることができる。しかし、以下に論じるような、拮抗剤の選択および反応速度論の制御によって、一方の、もう一方との反応を遅延させることが好ましい。
【0056】
本発明の第6の態様に係る第4の実施形態では、拮抗剤は、各液滴中で過酸化物と組み合わされ、自己破壊的殺生物剤を生成する。
【0057】
この場合には、図2に概略的に示されているものと同様の装置を使用してよいが、リザーバ1からの過酸化物溶液およびリザーバ11からの拮抗剤溶液が、バルブ2および12の制御またはそれらのバルブとネブライザ流入口3の間の液体混合チャンバ(図2には示されていない)においてのいずれかによって組み合わされる。従って、過酸化物溶液1の、拮抗剤溶液11との液体混合物は、混合され、直後に、ネブライザ4において霧状にされ、ライン7によってチャンバ9に供給される。その後、拮抗剤が、チャンバ9において殺生物剤を不活性化する。
【0058】
液体混合チャンバ(図2には示されていない)は、迅速で、完全な混合を促進するよう、バルブ2、12の下流およびネブライザ流入口3の上流に提供され得る。この場合には、拮抗剤による過酸化物の破壊が十分に遅く、その結果、チャンバ9において、十分に高濃度の過酸化物が、所望のレベルの殺菌/滅菌を達成するのに十分に長く利用可能であるように、拮抗剤系が選択されることが不可欠である。
【0059】
(予備実験)
種々の遷移金属ベースの拮抗剤系および反応条件を、本発明の実施形態において使用するためにスクリーニングした。スクリーニングは、エアロゾルとしてではなく、チューブ中で合わされたバルク溶液を使用して最初に実施した。これらの系による過酸化物の破壊が、高度に発熱性であるので、溶液系における温度上昇測定を、予備実験1〜6におけるエアロゾル中の過酸化水素の破壊速度の測定の代用物として使用した。
【0060】
(予備実験1−遷移金属拮抗剤系)
図3は、0.02M水酸化ナトリウムの存在下で、拮抗剤(触媒的過酸化物デストラクタ)として使用される表1の金属と組み合わせた35%過酸化水素溶液の組合せの時間の関数としての温度を示す。
【0061】
【表1】

【0062】
図3は、Mn(II)塩またはKMnO単独としてのマンガンが、1×10−4Mを下回る濃度でさえ比較的迅速な結果を生じ、約10分後に35%過酸化物との反応のピーク速度に達したことを示す。Mnは、5mg/mのMnという、OH&S必要条件による許容曝露限界を有する。Ce、Ti、Fe、MoおよびMnの化合物は、プロモーターとして使用できるが、マンガンの塩が、今までに調べられたもののうち最も許容される有効性を示すことがわかった。
【0063】
(予備実験2−過酸化物濃度の効果)
【0064】
【表2】

【0065】
Mn(II)拮抗剤との反応プロフィール(発熱温度によって示されるような)に対する、表2におけるような種々の濃度の過酸化物の効果が、図4に示されている。50%過酸化水素の安定性は、予期しないもののようであるが、溶液中の安定剤の濃度および性質の変動によって説明され得る。15%および20%過酸化水素溶液は、35%溶液の希釈によって調製した。50および35%過酸化水素溶液は、異なる濃度および性質の添加剤を含む個々のバッチとした。
【0066】
(予備実験3−Mn(II)濃度の効果)
Mn(II)拮抗剤との35%過酸化物溶液との組合せ中における、初期Mn(II)濃度の違いによる反応プロフィール(発熱温度によって示されるような)に対する効果が、図5に示されている。過酸化水素破壊の速度が、初期Mn(II)濃度に極めて敏感であることは明確である。概算として、図5のデータは、過酸化水素破壊の速度に対して、およそ1.5オーダーのMn(II)濃度の影響を与える。
【0067】
(予備実験4−アルカリ添加物およびデンプンの効果)
35%過酸化水素溶液(INTEROXから入手−過酸化物安定剤を含有する)は、かなり安定であった。「未変性の」溶液および低いMn(II)濃度を用いてMn(II)+H反応を開始するのは困難であった。妥当な速度の反応を達成するには、過酸化水素溶液の初期pHが増大されるべきであることを見出した。
【0068】
これは3種のアルカリ添加物:NaOH、NaCOおよびNaHCOを用いて示された。これらの化学物質を使用する過酸化水素溶液のpHの変化の効果を図6に見ることができる。図7は、35%過酸化物溶液をMn(II)拮抗剤と共に用いる反応プロフィール(発熱温度によって示されるような)に対するそれらの添加物の効果を示す。
【0069】
アルカリ添加物の効果は、実際に驚くべきものであり、酸性からほとんど中性への溶液のpHの変化のみによっては説明できないことを見出した。図6から、NaOHおよびNaCOがpHの変化に及ぼす影響は実質的に同一であることが明らかだが、図7から速度論的H破壊が異なっていると思われる。炭酸の添加が、陰イオンによるH+Mn(II)の反応を、阻害剤の存在下でのラジカル連鎖反応に通常典型的な明確な遅延時間を有するプロセスに変えた。本発明者らは、過酸化水素によるMn(II)の酸化が、スーパーオキシドおよびヒドロキシルラジカルを生成することならびに炭酸および重炭酸イオンが、ヒドロキシルフリーラジカルのスカベンジャとして作用することを推測する:−
HO+HCO/CO2−→HCO/CO−・+OH、ここで、
k=8.5×10+3.9×10×10pH−10.3−1−1
【0070】
種々の添加物の存在下での反応機構H+Mn(II)は、よりいっそう複雑であり得る。しかし、炭酸濃度を変更することによって、有益な遅延時間を作製することが可能であることはあり得ると思われる(図8参照のこと)。図8中、ST=0.01%デンプンに注意されたい。
【0071】
図8から理解されるであろうが、上記で論じられるものなどの因子の制御によって、過酸化物エアロゾルが、殺生物剤として高度に有効であることを可能にするのに十分に長い、たどられる条件下で、その破壊が本格的に始まるより実質的に前に最大10分の誘導期間を得ることが可能である。過酸化物が、その破壊が始まった後でさえも殺生物性に作用し続ける場合もあることおよび開始後に、破壊が、最初はまだゆっくりと進行する場合もあることは注意されたい。
【0072】
(予備実験5−温度の影響)
反応混合物の温度が、化学反応の速度を制御するための極めて強力な因子であることを見出した。試験管中でのMn(II)または過マンガン酸塩による過酸化水素の破壊の際に、溶液の温度が沸点に達したことがかなり多かった。これは、バルク溶液中および殺生物剤の薄層中の完全に異なる熱交換条件のために、殺生物剤が、霧状のものとして噴霧される場合には起こらないはずである。しかし、過酸化水素破壊の速度論に対する初期溶液の温度の効果を示す図9に示されるように、溶液の初期温度は、リードタイムを制御するのに役立ち得るパラメータであり得る。リードタイムとは、反応速度が急に増大する前の遅延期間または誘導期間を意味する。低温の初期溶液は、長いリードタイムにつながる。初期溶液の温度を変更することによって、その有効性を妥協することなく、Mn(II)+H反応のリードタイムの長さを制御できる。図9に示される条件下で、2℃の初期温度を用いて、30分を超えるリードタイムが得られた。
【0073】
(予備実験6−その他の添加剤の影響)
デンプンを、MnOのコロイド溶液の安定剤として添加したところ、反応のパラメータを制御するのに役立ち得る添加物の範囲を拡張すると思われた。図10および11は、H+Mn(II)反応の速度論に対する尿素−過酸化物の効果を示す。
【実施例1】
【0074】
(本発明の自己破壊性殺生物性エアロゾルの例)
自己破壊性殺生物剤(「SDB」)エアロゾルの種々の改変物を、炭酸ナトリウムおよび0.01%デンプンの存在下で、種々の濃度(10%〜35%の範囲)の過酸化水素を、種々の濃度Mn(NOからなる拮抗剤と組み合わせることによって調製し、混合後直ちにその組み合わせからエアロゾルを製造した。
【0075】
種々の微生物に対する硬表面担体のベンチテストを実施した。
【0076】
いくつかの結果が、表3および4に示されている。ガラススライドにGeobacillus stearothermophilusを播種し(1×1cm面積)、PESスライドにBacillus subtilis胞子を播種した(2×2cm)。各場合において、60μLのSDBエアロゾルを、播種された面積の上部に広げ、種々のSDBエアロゾル(具体的には、本発明の第6の態様に係る、表3に特定される4種の殺生物性調製物)とともに所定の時間曝露した。対応する濃度の過酸化水素単独のエアロゾルの有効性もまた、比較のために表3に示されている。
【0077】
【表3】

【0078】
表3では、5log低下は、完全死滅に近似し、35%過酸化物を使用するサンプルによって5分以内に達成され、拮抗剤の不在下と同様であった。驚くべきことに、19.1%の過酸化物が、拮抗剤の存在下で、その不在下よりも高レベルの死滅を達成し、10分以内に4.7log低減を達した。表4は、19%を超えるすべての過酸化物濃度で、拮抗剤の存在下でB.subtillisを破壊するのが困難な7logを超える低減(実質的に完全な死滅)が、5分未満でエアロゾルによって達成され得、19〜35%の範囲の過酸化物濃度で、エアロゾルは、5分未満で7logを超える低減を達成した(すなわち、拮抗剤の存在下で)ことを示す。
【0079】
表4は、PECスライド上のB.subtillisを使用する同様の試験の結果を示す。
【0080】
【表4】

【0081】
SDBエアロゾルは、40〜60分以内に自身を破壊した、すなわち、過酸化物残留物が酸素および水に変換された。当然のことではあるが、今日までに実施された実験は、原則の証明に向けられており、本明細書におけるデータは、必ずしも、達成可能な最短の破壊時間または最適条件を表さない。しかし、破壊時間は、空気の置換容積に依存しないので、これは、0.5立方メートルグローブボックスにおいてと同程度に容易に、倉庫における数千平方メートルの空間において自己破壊性殺生物性エアロゾルを使用して過酸化物を除去するための同じ短時間を得ることができることを示す。SDBエアロゾルは、その自身の破壊の種を含有し、「デストラクタ」に移されるか、無毒にされるために移される必要はない。
【0082】
Staphylococcus aureusを用いるSDB例の有効性を、わずかに異なる条件下で調べた。PESスライドにStaphylococcus aureusを播種し(2×2cm)、種々の量の試験される殺生物剤を、播種された面積の上部に広げた。変数を、過酸化水素の濃度(35、19および14.7%)、投与量(30、40、50および60μLの殺生物剤)、曝露時間(5および10分)とする、小さいMATRIXを使用した。
【0083】
3次元グラフとしてのこのMATRIXの結果を、図10および12および13に示す。図14はSDBエアロゾルを使用してPESスライド上のS.aureusにおいてlog6低減を達成するのに必要な時間を示す。図14から、SDBが、過酸化水素エアロゾル単独とほぼ同様に、またはわずかに良好にさえ働くことがわかる。過酸化水素を、自己破壊性組成物に変換する本発明の拮抗剤添加物は、その殺生物性有効性を低減せず、むしろ増強し、この混合物は、さらなる自己破壊性特性を有する改良された殺生物剤として使用できる。
【0084】
「自己破壊性殺生物剤」(SDB)の概念が、「使用時」条件で本当に働くことを証明するために、いくつかの実験を行った。第1に、ポリマー(PES)またはガラススライド上に蒸着させた場合のSDB崩壊を調べた。
【0085】
試験は、以下の手順で行った:
1.SDB(通常、過酸化水素、Mn(II)、デンプンまたはその他の添加物の混合物)60μLを、混合した直後に、PESの表面上でエアロゾルから室温で蒸着させた。
【0086】
2.特定の曝露時間後のSDBを含むPESの各スライドを、使い残された、残存する過酸化水素の滴定のために、希硫酸を含む円錐フラスコに移した。
【0087】
いくつかの結果が、図15に示されている。
【0088】
PES表面でのSDBエアロゾル破壊の結果を、バルク液体としての速度論的SDB破壊と比較すると、表面でのSDBエアロゾルの破壊速度の絶対値は、バルク溶液においてと比較してかなり低いということを結論できる。この反応速度の低下は、熱放散の相違に起因する。しかし、同時に、異なる添加物の影響の傾向および主成分の濃度の効果は、実質的に同様であった。例えば、Mn(II)濃度を増大することは、SDBエアロゾル破壊速度の増大につながる(図5および15c参照のこと)。異なるアルカリ添加物は、破壊速度および表面上の炭酸塩も増大または低減し得、バルク溶液では、破壊速度を低減し、いくらかの時間のずれで炭酸塩が生じる(図8および15b)。両方の場合において、SDBへのFe(II)の添加は破壊速度を低減する(図11および15a参照のこと)。
【0089】
SDBエアロゾルの、その挙動に対する薄層蒸着の効果を調べた。この場合には、成分を混合した直後に、SDBを標準ネブライザに移した。室温で、SDBの霧状のものを、ガラススライドに5分間蒸着させた。特定の時間の後、ガラススライドを、滴定のために希硫酸を含む円錐フラスコに移した。結果は、図16に示されている。
【0090】
この場合には、SDBエアロゾルの挙動は、バルク溶液および大きな液滴蒸着を用いる状況とは異なる。まず第1に、時間内に表面からの霧状のものの蒸発の証拠がある(任意の添加物を含まない20% H曲線)。第2に、過酸化水素の破壊速度に対する添加物の正の効果を観察することができる。
【0091】
これまで、本発明は、殺生物剤として、主に過酸化水素に関連して例示されてきた。当業者ならば、その教示から、過酸化水素以外の過酸化物、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシドまたは尿素過酸化水素またはポリビニルピロリドン過酸化水素を、本発明から逸脱することなく殺生物剤として使用してもよいということを認識するであろう。さらに、本発明は、過酸化物以外の殺生物剤、例えば、オゾン、過マンガン酸塩、過クロム酸塩、オキシハライド、過酢酸、過クエン酸、過アスコルビン酸、過ギ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、エチレンオキシド、二酸化塩素および酸化剤の組合せ(所望により、例えば、アセチルコリンクロリド、モノアセチン、ジアセチンなどの「漂白活性化剤」によって活性化される)などのその他の酸化剤に適用できる。
【0092】
さらに、殺生物性第四級アンモニウム化合物(quats)、シラノール、グリコール、ハロゲン化フェノール、ポリビニルピロリドンヨウ素複合体などといった非酸化殺生物剤を、適宜選択された拮抗剤と組み合わせて選択してもよい。
【0093】
当業者ならば、本明細書の教示から、過酸化物のために触媒的デストラクタにおいて使用するために知られているものすべてを含めて、また、(それだけには限らないが)鉄、銅、コバルト、バナジウム、ニッケル、クロム、マンガン、オスミウムおよび銀、チタン、白金族の金属、前述のものの金属イオン、無機酸化物および無水物または塩または組合せなどのその他の金属触媒、トリエタノールアミンまたはジエチレントリアミンなどのアミンおよび例えば、アルカリ金属水酸化物などのその他の適した塩基、適したオキシハライド化合物MOX(式中、Mは、アルカリ金属であり、Oは酸素であり、Xはハロゲンである−例えば、NaOCl)、硫化物、アルコールおよび還元剤または酸化剤のいずれかとして過酸化物と反応することが知られているその他の化合物ならびにカタラーゼなどの適した酵素などを含めて、過酸化物についてこれまでに例示されたもの以外の拮抗剤を使用してもよいということは認識されるであろう。適した拮抗剤は、前駆体から液滴における反応によって系中で形成され得、形成反応の速度論を使用して、誘導時間を増大するか、または殺生物剤および拮抗剤間の反応の速度論に影響を及ぼしてもよい。拮抗剤は、液体形である必要はなく、系中で形成される超微粒固体の懸濁液としてエアロゾル化してもよいし、液体担体中の懸濁液として霧状にしてもよい。
【0094】
本発明のさらなる例が、図17Aおよび17Bに示されている。過酸化物濃度、相対湿度および温度が、時間の関数として示されている。過酸化水素(35%)の溶液は、殺生物性ネブラントとして第1のネブライザからエアロゾルとしてチャンバに入れられ、NaOCl溶液(4%)は、時間「A」後に、第2のネブライザから霧状にされた拮抗剤として入れられ、時間「A」は、図17Aの場合には約200秒であり、図17Bの場合には、約400秒とした。液滴を合わせ、以下の反応が生じる:
NaOCl+H→NaCl+HO+O
【0095】
図17Aの例では、過酸化物濃度は、1500秒以内に約120ppmであったが、NaOClとの反応によって、さらに1500秒以内に20ppm未満に低減された。図17Bの実施例では、過酸化物濃度は、1000秒以内に約100ppmであったが、NaOClとの反応によって、さらなる1500秒以内に20ppm未満に低減された。重要なことに、過酸化物およびNaOClの両方とも殺生物性を有し、生成物、NaCl、HO及びOは無害である。NaOClを殺生物剤として、過酸化物を拮抗剤として使用でき、逆も同様である注意されたい。
【0096】
さらなる例では、殺生物剤として過酢酸を、拮抗剤としてpHを6〜8に調整した次亜塩素酸塩と組み合わせた。この組合せを直ちに霧状にし、殺胞子性殺生物性ネブラントとして使用した。そのネブラントは、殺生物的に有効であり、その後、次亜塩素酸塩が過酢酸を中和した。pH6〜8では、生じた遊離塩素は、次亜塩素酸に変換され、殺生物性有効性が増強され、過酢酸が殺生物剤として使用される場合に通常経験される臭気が、驚くべき程度に低減される。好ましい場合には、過酢酸および次亜塩素酸塩を別個に霧状にし、その後に組み合わせてもよい。殺生物剤および拮抗剤の両方が殺生物性を有するが、互いに中和するこのような例は、本発明において使用するために特に好まれる。当業者ならば、その組合せが、殺生物的に有効であるのに十分な時間を有し、その後、中和が完了するような条件を選択できるであろう。
【0097】
過酸化物、過酢酸および次亜塩素酸塩の組合せは、殺生物剤として特に有効であり、不活性化の際に無害の残留物を形成することが見出された。
【0098】
適した拮抗剤は、その他の殺生物剤の酸化剤および還元剤の中から選択され得る。
【0099】
さらなる例では、本発明においてFentonの反応(およびその類似体)も使用できる。例えば、FeSOの溶液のような鉄触媒を、過酸化水素と組み合わせ(通常、5〜25部の過酸化水素あたり1部のFe)、直後に溶液を霧状にしてもよく、または別個に霧状にし、硫化鉄ネブラントを過酸化物ネブラントと混合してもよい:
Fe2++H→Fe3+ .OH(ラジカル)+OH
Fe3++H→Fe2+ .OOH(ラジカル)+H
【0100】
ヒドロキシルラジカルを、ベンゼンとの反応によって例示されるような付加反応によって:
OH+C→(OH)C
またはメタノールとの反応によって例示されるような水素引き抜きによって:
OH+CHOH→CHOH+H
または電子移動もしくはラジカル反応によって拮抗剤として利用してもよい。
【0101】
これらの反応は、エアロゾルとして組み合わされた試薬を用いてこれまでに実施されていない。
【0102】
拮抗剤および殺生物剤間の反応の速度論に影響を及ぼす変更因子は、本明細書に例示されるものに制限されない。
【0103】
エアロゾルは、任意の適した手段によって作製され、分配され得る。担体ガスは、空気である必要はなく、窒素、不活性ガスまたはその他の適した媒体であり得る。本明細書では過酸化水素がその殺生物性に関連して記載されているが、それはその他の用途を有し、本発明はこのようなその他の用途、例えば、漂白のために使用される場合には、残存する過酸化物の排出に等しく適用できる。過酸化水素および過酢酸の自己破壊性の組合せは、食品および食品加工業における殺菌/滅菌のための特定の適用を有すると予測される。
【0104】
さらに別の例では、殺生物剤は、殺生物性第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ドデシルジメチルアンモニウム、グルコン酸クロルヘキシジンまたはベンジルアンモニウム塩であり得、その場合には、拮抗剤は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸によって例示される陰イオン性化合物または陰イオン性界面活性剤であり得る。
【0105】
さらに別の例では、殺生物剤は、殺生物性シラノール末端基を有するシランおよびシロキサン、例えば、トリエチルシラノールまたはジフェニルメチルシラノールをベースとするものであり得、拮抗剤は、酸化剤またはエステル化酸であり得る。殺生物剤が酸である場合には、拮抗剤は、塩基であり得、逆もまたあり得る。
【0106】
その他の殺生物剤の使用、その他の拮抗剤の使用およびその適した組合せの選択は、本明細書に含まれる記載から当業者には明らかであろう、また、このような変法は本明細書に開示される本発明の概念内にあると見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体ガス中に分散されている液滴を含むエアロゾルであって、前記液滴のうち少なくとも一部が、殺生物剤を不活性化するのに有効な拮抗剤を含有するエアロゾル。
【請求項2】
担体ガス中に分散されている液滴を含むエアロゾルであって、前記液滴のうち少なくとも一部が殺生物剤を含有し、エアロゾル中の液滴のうち少なくとも一部が、前記殺生物剤と反応性であり、それを無害にする拮抗剤を含有するエアロゾル。
【請求項3】
前記液滴のうち少なくとも一部は、前記殺生物剤および前記殺生物剤と反応性であり、それを無害にする前記拮抗剤の両方を含有する、請求項2に記載のエアロゾル。
【請求項4】
前記殺生物剤は、殺菌または滅菌のために使用され、前記拮抗剤が前記殺生物剤を効果がないものにするのに必要な時間は、前記殺生物剤が所望のレベルの殺菌または滅菌のために有効であるために必要な時間よりも長いことを確実にするよう、前記拮抗剤の性質および濃度が選択されるか、手段が提供される、請求項2または請求項3に記載のエアロゾル。
【請求項5】
担体ガス中に分散されている液滴を含むエアロゾルであって、前記液滴のうち少なくとも一部が殺生物剤を含有し、殺生物剤を保持するものと同一であっても、異なっていてもよい前記液滴のうち少なくとも一部が、殺生物剤を不活性化するのに有効な拮抗剤を含有するエアロゾル。
【請求項6】
自己不活性化殺生物性エアロゾル。
【請求項7】
前記殺生物剤は、殺生物性酸化剤、第四級アンモニウム化合物、アルデヒド、ハロゲン化フェノール、シラノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から6のいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項8】
前記殺生物剤は、過酸化物、過酸、金属オキシハライド、過ハロゲン化物(perhalogenates)、オゾン、ヒドロキシルラジカルおよびそれらの組合せからなる群から選択される酸化剤である、請求項7に記載のエアロゾル。
【請求項9】
前記拮抗剤は、金属、金属イオン、金属酸化物、酸化剤、還元剤、アミンおよび選択された殺生物剤または殺生物性の組合せを分解するのに有効な酵素からなる群から選択される、請求項8に記載のエアロゾル。
【請求項10】
前記殺生物剤は、殺生物性第四級アンモニウム化合物からなる群から選択される、請求項7に記載のエアロゾル。
【請求項11】
前記拮抗剤は、陰イオン性界面活性剤からなる群から選択される、請求項10に記載のエアロゾル。
【請求項12】
前記殺生物剤は、殺生物性アルデヒド、アルコール、ハロゲン化フェノールおよびピロリドンからなる群から選択される、請求項7に記載のエアロゾル。
【請求項13】
前記拮抗剤は、酸化剤および殺生物剤を不活性化するのに有効な金属イオンと組み合わせた酸化剤からなる群から選択される、請求項12に記載のエアロゾル。
【請求項14】
前記殺生物剤は酸である、請求項1から6のいずれかに記載のエアロゾル。
【請求項15】
前記拮抗剤は塩基である、請求項14に記載のエアロゾル。
【請求項16】
前記殺生物剤は、過酸化物を含み、前記拮抗剤は、金属、金属イオンまたは金属酸化物を含む、請求項1から6のいずれかに記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項17】
前記金属がMn(II)である、請求項16に記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項18】
前記過酸化物の濃度は35%である、請求項16または請求項17に記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項19】
pH調整化合物をさらに含む、請求項16から18のいずれかに記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項20】
pH調整化合物は塩基性化合物である、請求項19に記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項21】
前記塩基性化合物は、水酸化物イオン、次亜塩素酸塩、炭酸塩、又は重炭酸塩である、請求項15または請求項20に記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項22】
pHは5以上である、請求項16から21のいずれかに記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項23】
pHは、およそ6と7の間である、請求項16から22のいずれかに記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項24】
前記拮抗剤のための安定化剤を更に含有する、請求項16から23のいずれかに記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項25】
前記拮抗剤のための安定化剤は、澱粉である、請求項24に記載の自己不活性化エアロゾル。
【請求項26】
請求項2から25のいずれかの自己不活性化エアロゾルを、最初の濃度を有する微生物に、その最初の濃度を、より低いレベルに減じることを達成するに十分な時間で接触させる工程、及び、前記拮抗剤に、残存酸化物を不活性化させる工程を含む殺菌方法。
【請求項27】
過酸化水素に対する拮抗剤の水溶液又は懸濁液を噴霧する工程を備える、請求項1から25のいずれかに記載のエアロゾルの製造方法。
【請求項28】
酸素−ハロゲン化合物を含有する、請求項8または請求項13に記載の自己不活性化エアロゾル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【公表番号】特表2012−527254(P2012−527254A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511098(P2012−511098)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000609
【国際公開番号】WO2010/132948
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(510339197)サバン ベンチャーズ ピーティーワイ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】