説明

殺菌システムおよび装置

目的物を殺菌または除染するためのシステム、装置および方法は、密閉できる殺菌室(12)および好ましくはNOまたはNOとNO2の混合物を発生する殺菌剤ガス発生組成物(24)を含む。好ましくは、殺菌剤ガス発生組成物(24)は炭素系ジアゼニウムジオレート化合物および粉末酸を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国特許法第120条に基づき、2004年1月7日出願の米国仮特許出願第60/534,395号、2004年6月1日出願の米国仮特許出願第60/575,421号、2004年7月23日出願の米国仮特許出願第60/564,589号の優先権を主張し、それぞれを本明細書の一部を構成するものとして全ての内容を援用する。本出願は2004年2月9日出願の米国仮特許出願第60/542,298号に関連し、これを本明細書の一部を構成するものとして全ての内容を援用する。
【0002】
本発明は殺菌剤としてガスを用いる殺菌装置および方法論に関する。具体的に、本発明は液体を用いて組成物を活性化させ、一酸化窒素の他、さらには窒素酸化物を殺菌剤ガスとして速やかに発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
蒸気オートクレーブ処理は多くの医療機器を殺菌する病院の基本である。この方法により、材料が121℃、圧力15〜20ポンドの蒸気に15〜30分間曝される。殺菌はタンパク質、DNAの熱変性および引き続く代謝機能の阻害によって起こる。その方法には、ベンチトップモデルは水面を充填できるが、さまざまな装置、電源および配管が必要である。これらの運搬上の問題とは別に、オートクレーブ処理は多くのプラスチックや熱変形する材料には不適当である。
【0004】
殺菌剤ガスは細菌汚染の増殖を絶つまたはコントロールできる。これらの殺菌剤ガスとしては、二酸化塩素、二酸化硫黄、過酸化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、硫化水素、オゾンおよびエチレンオキサイドが挙げられる。多くの殺菌ガスの問題の1つは、殺菌ガスが高濃度で爆発性があることである(例、エチレンオキサイド、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン)。したがって、これらのガスを高濃度で貯蔵、収容および使用することは使用者にとって危険となる。このことにより、安全のため使用できるガス濃度には限界があり、さらに不利をもたらす。これは殺菌剤ガスの濃度を安全上の配慮から下げなければならず、効果的な殺菌を達成するのに曝露時間が長くなるからである。一般に、化学的危険性としての点において化学品の危険性が高いほど、殺菌サイクルは長くなる。
【0005】
二酸化塩素、オゾンおよび過酸化水素のようなある種の殺菌剤ガスは、輸送において困難でコストがかかる。これらの殺菌剤ガスの多くは強力な酸化剤である。酸化性のガスは高価で、大きなタンクでの出荷には徹底した事務処理を必要とし、それらの使用をさらに複雑にする。オゾンや二酸化塩素のようなガスは使用場所またはその近くで発生させなければならない。二酸化塩素のような殺菌剤ガスを発生する現場のプラントは高価であり、設置にかなりの広さが必要である。
【0006】
Hamiltonの米国特許第6,607,696号には、液体または液体中にある品目を消毒または殺菌するため二酸化塩素を運ぶ装置が開示されている。その装置では塩化ナトリウムとクエン酸のようなガス発生する反応物を収納する浸透性の袋を用い、その袋は液体または気体が浸透できる貯蔵器である。液体がその貯蔵器の中に拡散し、ガス発生反応物に達し、二酸化塩素のようなガスを発生する。浸透性袋から拡散するガスは環境/大気から遮断されていない。二酸化塩素を産出するため、区画室を通って液体および気体が浸透でき、拡散できる閉じた区画室内に収納されたガス発生材料を用いる多区画室装置は、例えば米国特許第6,602,466号および6,607,696号で用いられる袋状および円筒状区画室である。これらのシステムは高価で製造が困難のみならず、発生したガスを意図せず環境/大気に放出することを防ぐ、または内容物が殺菌されるとき、使用者が予期し制御可能にガスを閉じられる密閉可能な容器に放出できるようになっていない。
【特許文献1】米国特許第6,607,696号明細書
【特許文献2】米国特許第6,602,466号明細書
【0007】
従って、安全で効率的に使用場所で殺菌ガスを発生させる方法および装置にニーズがある。爆発または酸化性火災の危険がない十分な濃度の殺菌ガスを産生できるプロセスにさらなるニーズがある。短期間により高濃度のNOを産出し、より短い曝露、より効率的な殺菌プロセスに対するニーズがある。また、少量の殺菌剤ガスを経済的に発生させるシステムおよび方法にもニーズがある。少量の殺菌剤ガスを経済的に発生できることで殺菌システムの容易な輸送が可能になり、従来の殺菌装置および方法では一般にはみられないシステムに携帯性を与える。
【0008】
このように、従来のガス殺菌剤および消毒剤に問題がある場合、殺菌剤ガスを速やかに安全に経済的におよび、量を調整できるよう産生し、爆発および酸化性火災のリスクを最小にする殺菌剤ガス発生システムおよび方法にニーズがある。加えて、殺菌または消毒に要する時間が最小になるよう高濃度で安全に使用できるガスにニーズがある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は殺菌および消毒用の一酸化窒素、二酸化窒素およびさらに他の窒素酸化物を発生させる方法に関する。酸性化に際し、一酸化窒素を発生する化合物を用い、典型的な装置内に一酸化窒素と大気を混合することにより、各々それ自身抗菌性を有する水溶性酸化物と脂質溶解性の酸化物の両方を発生する。また、本発明で発生したガス混合物は他の殺菌剤ガスよりも低い酸化力を有し、ガスの取扱いがより安全である。さらに、ガス混合物は現在好まれている多くの殺菌剤ガスがもつ爆発の危険性がない。
【0010】
本発明の上記の特徴は、以下の詳細な説明を参照してより容易に理解されるであろう。
【発明の詳細説明】
【0011】
本発明は、殺菌しなければならない、特に医療用途の機器、装置、道具、設備を殺菌または消毒するために酸化物または窒素とともに一酸化窒素を発生するシステムおよび装置を提供する。一酸化窒素単独または空気との組合せを形成する一酸化窒素の酸化物と組み合わせて使用することは、消毒および殺菌ガス混合物として他のガスよりもいくつかの利点を有する。一酸化窒素もその酸化物も高濃度で爆発性がない。加えて、一酸化窒素およびその酸化物は過酸化物やオゾンよりも弱い酸化力をもち、殺菌できる材料の広範囲のリストに適用可能である。一酸化窒素および/またはその酸化物を用いる他の利点はそれらの密度が空気の密度に近いため空気と混合するとき、空気の密度の2倍以上大きい二酸化塩素と違い、閉じられた区画室の底に沈まない。
【0012】
窒素酸化物の混合物を発生させることは純粋な一酸化窒素および他の単純な殺菌ガスよりもさらに利点がある。一酸化窒素は脂質に多く溶解して微生物の脂質膜を崩壊させる能力をもつ。さらに、一酸化窒素はチオタンパクを不活性にし、それによって細菌の機能性タンパクを崩壊する。最後に、一酸化窒素および二酸化窒素が極めてDNAの有効な崩壊剤であり、鎖切断および細胞が機能できない不活性に導く他の損傷を生じさせる。
【0013】
〔定義〕
本明細書で用いる用語「一酸化窒素またはNO」はNOフリーラジカルまたはNO・を意味する。本明細書で用いる用語「NO発生」化合物はまたは組成物はNO、NO2およびNOxを産生または放出することができる化合物または組成物を意味する。本明細書で用いる用語「殺菌剤ガス発生」化合物または組成物は殺菌剤ガスを産生または放出することができる化合物または組成物を意味する。好ましい殺菌剤ガスの例としては、NO、NO2およびNOxに限定されず、それらの混合物を含む。NO発生化合物は殺菌剤ガス発生化合物の一種である。本発明のシステム、装置および方法で用いられる好ましい殺菌剤ガス発生化合物は、化合物モル当たり少なくとも1モルのNOを発生する炭素系ジアゼニウムジオレート化合物である。
【0014】
本明細書で用いる用語「殺菌室」は硬質または軟質材料で構成され、殺菌または消毒の品目が収納できるいかなる寸法のいかなる気密性の室である。当業者は空気にNOを添加することはNOが空気中の酸素と反応しNO2を形成する結果となることを知っているであろう。
【0015】
本明細書で用いる用語「ガス発生室」は、ガスを収納するのに用いられるいかなる寸法または構成のいかなる容器を意味する。本明細書で用いる用語「細菌」は、いかなるバクテリア、ウイルス、菌類、寄生虫、マイコバクテリアなどを意味する。本明細書で用いる用語「洗浄」は、殺菌装置の排気流から毒性の窒素酸化物を除去または変換を意味する。
【0016】
本明細書で用いる用語「不浸透」は、少なくとも1時間で、いかなる液体または気体のその通過または拡散が95%を超えるのを防止する物質、材料または物体を意味する。本明細書で用いる用語「浸透」は、気体および/または液体がそれ通して通過できる物質、材料または物体を意味する。
【0017】
本発明の殺菌システムおよび方法では、酸性化に際して殺菌剤ガス好ましくは一酸化窒素を放出する化合物を用いる。本発明のシステムおよび方法では、典型的には水溶性および脂質溶解性の窒素酸化物の混合物として使用される一酸化窒素を発生し、広範囲の装置、機器、材料、人体および動物の組織、医薬、生物製剤、各種の医療関連材料を殺菌する。
【0018】
本発明のシステムおよび方法の好ましい実施形態では、使用現場でガスが発生できる。そのような使用現場法では、システムおよび装置は潜在的に危険なガスの重いタンクまたは高価な現場ガス発生プラントの必要がなくなる。本発明のシステムおよび方法で応用される使用現場ガス発生は電気を必要とせず機能的であるため戦闘地域、難民キャンプなどの厳しい環境下での殺菌、消毒および除染のため携帯できる実施形態に採用できる。一態様で、本発明は殺菌および消毒の目的のため窒素酸化物の混合物を発生させる方法が説明される。その方法ではガス発生と搬送方法を一体化した装置が必要である。そのプロセスで用いられる器具一式は多くの潜在性のある実施形態を有してもよい。
【0019】
1つの一般的に好ましい実施形態として、殺菌室と流体連結するガス発生室が挙げられる。他の好ましい実施形態としては、殺菌室内に収容しているガス発生室が挙げられる。
【0020】
また、本発明のシステムおよび方法の好ましい実施形態は、オゾンおよび過酸化水素を含む広く使用されている殺菌剤ガスよりも酸化力の少ない窒素酸化物の混合物を産生する。さらなる利点は、産生した窒素酸化物の混合物がエチレンオキサイド、過酸化水素および二酸化塩素などの広く使用されている殺菌剤ガスよりもずっと爆発性が低いことである。このことによって、本発明のシステムおよび方法によってより高濃度のガス状混合物が使用でき、当業者に公知の殺菌サイクルにおける曝露時間を短くできる。
【0021】
さらに他の利点は、本発明の方法は殺菌および消毒の目的で種々の化学的性質をもつ複数の化学種の発生である。当業者は、細胞の破壊または不活性化の複数の作用機構がしばしば単一の処理よりも好ましいことを理解している。異なる作用機構の抗細菌剤はしばしば相乗的であり、各作用物を合わせた単純加算効果から期待されるよりも大きな効果を生み出す。同じ原理が細菌耐性にも当てはまり、複数のとき、明らかに活性作用物類が処理に用いられる。
【0022】
本発明のシステムおよび方法の最も好ましい実施形態では、用いられるNO発生化合物は炭素系ジアゼニウムジオレート化合物である。炭素系ジアゼニウムジオレート分子は一酸化窒素を大量に放出し、ニトロソアミンを形成しない。好ましくは、炭素系ジアゼニウムジオレート化合物はモル当たりより多いNO量を発生する。好ましくはジアゼニウムジオレートのモル当たり少なくとも1モルのNOを発生することができるC系ジアゼニウムジオレート化合物を殺菌剤発生化合物として本発明のシステムおよび方法で使用する。そのような炭素系ジアゼニウムジオレート化合物は、2004年2月9日出願の米国仮特許出願第60/542,298号、「Nitric Oxide-Releasing Molecules」に記載されている。この全体を本明細書に援用する。
【0023】
本発明のシステムおよび方法では好ましくは、酸性化のとき発癌性のニトロソアミンを形成しないC系ジアゼニウムジオレート化合物を用いる。好ましいNO発生化合物としてC系ジアゼニウムジオレート化合物を用いる他の利点は、NO発生化合物のモル当たりより多くのNO量を放出することである。例えば、窒素系ジアゼニウムジオレートおよびニトロソチオールは炭素系ジアゼニウムジオレート化合物と比較すると化合物のモル当たり少ないNO量を産出する。また、好ましいNO発生化合物としてC系ジアゼニウムジオレート化合物を用いることにより、ニトロソチオールからNO発生に必要な銅溶液ではなくNO発生のため酸の使用ができる。さらに本発明の方法およびシステムの他の利点は、銅イオンを含有する溶液を必要とする方法に比べて環境負荷が減少することである。
【0024】
本発明のシステムおよび方法で活用する一酸化窒素発生化合物は本発明にいくつかの有利な要素を提供する。1つの利点は、一酸化窒素は脂質溶解性が高く脂質膜を有するほとんど全ての細菌(例外は非円筒状ウイルス)に毒性がある。
【0025】
二酸化窒素および四酸化二窒素のような他の窒素酸化物は一酸化窒素よりも水によく溶ける。これら、特に二酸化窒素は高度にDNAを損傷させ、DNA塩基の含硝酸化および脱アミノ化を起こし、一重および二重鎖切断の結果になる。DNAの損傷は激しい殺傷機構である。結合されて、本発明のガス混合物は各種可能な作用機構を経由し細菌へ複数方面からの攻撃を提供する。複数の作用機構を用いる方法の抗細菌の恩恵は上記で議論した。
【0026】
本発明のシステムおよび方法のさらに他の利点は、湿度のある環境で固体に付着している水中で少量の亜硝酸の形成ができ、本発明の抗細菌性を高めることができる。
【0027】
〔殺菌剤ガスの発生方法〕
本発明のシステムおよび方法の好ましい実施形態は、ジアゼニウムジオレートとして知られる一酸化窒素のドナー類を用いてNOを発生する。これらの化合物は溶液の酸性度に比例した速度で溶液中NOを自発的に放出する。本発明の方法では、NOを発生するために高度に酸性の条件が用いられ、速やかに(NOの理論完全放出は30秒内)NOガスを発生する。本発明のシステムおよび方法の好ましい実施形態は、高度に発癌性のニトロソアミン種を形成することのできる窒素系化合物よりも炭素系ジアゼニウムジオレートを用いる。(Parzuchowskiら著, J Am Chem. Soc 124巻、12182-91頁(2002年)参照)また、限定されないが、米国特許第6,232,336号に開示された化合物と比較して化合物のモル当たり大量の窒素酸化物を発生する米国仮特許出願60/542,298号に記載のものであるような大量のNOを発生する炭素系ジアゼニウムジオレートが好ましい。2004年2月9日出願の米国仮特許出願60/542,298号全体を本明細書に援用する。
【0028】
本発明のシステムおよび方法で使用してもよい1つのNO発生化合物は、ガス発生室内でシアン化物が同時に形成される理由から慎重にではあるが、ニトロプルシド・ナトリウムである。シアン化物の形成は人の健康の危険を示しており、ガス発生室の廃棄上の安全性問題を起こす。ニトロソチオールもまた本発明においてNO発生のために使用してもよいかもしれないが、ニトロソチオールはNO放出後変性する傾向があり、それゆえ、NO用化学流しを新たに作ることおよびNOの放出を予期できなくさせる。
【0029】
NOを含有する加圧されたまたは加圧されていないシリンダーであるガス発生室を使用する本発明のシステムおよび方法の他の実施形態が使用されてもよい。この実施形態は携帯性を犠牲にするが、軍隊や他の大きな装置のような大規模除染には有用である。NOがシリンダー内に高濃度で貯蔵されてもよい。但し、この実施形態は危険および追加費用、濃縮した加圧ガスの出荷に伴う事務処理により望ましいものではない。より好ましい方法はシリンダー内で窒素または他の不活性ガス、限定はしないがアルゴン、ヘリウムおよびネオンでNO濃度を薄めて所望の濃度にする。ガスまたはガス混合物が殺菌室と流体連結している計測された調整器を通ってまたは当業者に公知の他のガス配送方法によって殺菌室に配送することができる。他の実施形態は、ガスシリンダーから殺菌剤ガスの配送を管理するコンピュターまたはマイクロプロセッサー手段を含む。
【0030】
NO放出実体が酸で活性化される本発明の実施形態において、NOを発生するためどのような酸も使用される。本発明の一実施形態において、NOドナーが実施例1に記載の酸水溶液の添加で活性化される。酸水溶液の取扱および運搬が不便なため水により活性化される粉末酸が好ましい。いかなる粉末酸も条件を満たすが、好ましい方法は、NOが速やかに発生し、低pKa酸は実施例14に示すようにより効果的であるので、低pKaの粉末酸が好ましい。これらの低pKa酸としては、限定されないが、シュウ酸およびマレイン酸が挙げられる。一般に、粉末酸の10倍モル過剰まで用いられるが、より低いモル比でも条件を満たし得る。
【0031】
本発明のシステムおよび方法の好ましい実施形態は、炭素系ジアゼニウムジオレートおよび粉末酸を収納するガス発生室を含み、ガス発生室は液体好ましくは水の添加ができる迅速に密封する開口部を含み、殺菌室と流体連結して炭素系ジアゼニウムジオレートの活性化で発生したガスが殺菌室に輸送される。必要ならその室からNOガスを放出するため、さらなる連結および/または取付け口が真空を適用する目的のため含まれてもよい。好ましくは、NOガスは再生可能なNOx洗浄システムに放出される。
【0032】
乾燥剤が製造、出荷およびガス発生室で貯蔵の間、湿気を減ずるためガス発生室に含まれてもよい。乾燥剤の例には、それらに限定されないが、分子篩、シリカゲルおよび当業者に公知の他の方法が挙げられる。水の添加に際し、NOの発生を妨げないように乾燥剤の量に注意しなければならない。
【0033】
当業者は理想気体の法則を適用し、各種NO発生化合物から放出されるNOのモル、当該の化合物の分子量および殺菌室を構成するいかなる特定の容積に加えられるNOの所望のパーセントを達成するガス発生室に必要な化合物の重量の算出ができる。例えば、分子量163g/モルの化合物モル当たり2モルのNOを発生する化合物1.956gを用いて、0.0225モルのNOを産出し1リットルに50%NO濃度を提供する。このことにより、使用者が各種の殺菌用途に添加されるNO量を管理することができる。例えば、医療実務者は、より高濃度の添加NOを要求してより迅速な殺菌サイクルを望むであろう。携帯性により関心のある使用者はプロセスの速度および費用に敏感でないかも知れない。長い殺菌サイクルでは少ないNO発生化合物、すなわち少ない添加NOしか必要としない。従って、装置100およびプロセスによって潜在的な最終使用者に費用、スピード、携帯性および他の使用因子に関する選択肢を与える柔軟性が提供される。
【0034】
本発明の一実施形態は、電源を必要としないので迅速で効果的な殺菌剤として化学的に発生したNOを用いて軽量で携帯性のある装置であり、厳しい環境の中での使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は最も単純な形で装置10を示す。装置10はサブコンポネントから構成され、殺菌室(SC)12、ガス発生室(GGC)14、ガスがGGC14からSC12に流れる連結管16、SC12からGGC14を分離する連結管16の長さに沿って安全バルブ18を含む。SC12は遮蔽20、連結口15および排気管29に取付けた排気口22を含む。排気バルブ23は排気管29に取付けられている。GGC14は以下詳細に説明する粉末殺菌剤ガス発生組成物または化合物24を収納する。GGC14はさらに連結管16に取付けられたメスルアー結合具17および液体添加用充填口21から構成される。装置10を構成する各サブコンポネントは以下詳細に説明する。
【0036】
〔殺菌室12(SC)〕
図1はSC12も詳述している。SC12はプラスチックからなる物理的容器13、遮蔽20、それは気体浸透性で殺菌される材料の装填および取出し用にSC12の再開口および再密閉でき、連結管16とガス密封できる連結口15および殺菌される材料の除去前にSC12からガス状殺菌剤を除去できる排気口22含む。SC12は低分子量のガスを45分間まで収納できるいかなるプラスチック材料で構成することができる。ガスを収納するのに必要な短い持続時間のため、SC12を構成するためガス半浸透性材料が用いられてもよく、重量、強靭性およびコストを各用途に対し最適化できる。SC12の物理的容器13用に用いられるプラスチックとして高度な耐薬品性ポリマー、限定されないが例えば、C−FLEX、Chemfluor367、EPDM、ETFE、Kynar、MFA、PEEK、PFA、FEP、ポリイミドおよびPVCが挙げられる。遮蔽20はSC内のいろいろな場所に位置してよいが、好ましくはSC上、結合口15および排気口22の反対側またはSC12のいずれかの側に向かった箇所である。遮断20は好ましくはポリエチレンで構成される。1つの好ましい遮蔽は、U−MAXIGRIP(Illinois Tool Works Inc., Glenview, IL)のような圧力破損に耐性のある連結直線締め具を有するものである。連結直線締め具の多くは入手可能で、このモデルは圧力破損に耐性があるため特に望ましい。
【0037】
SC12の他の実施形態を図2に示すが、SC12は連結プラスチック鉤のC形トラックおよびリブであるフラップ遮蔽30を用い、ヒンジジッパー状蓋31で開閉および密閉され、連結部品を分離および圧縮する案内溝32があり、SC12の開閉または密閉となる。フラップ遮蔽30はSC12の3つ隣接側面上SC12の周囲から1〜2cmに位置し、プラスチック製のフラップをSC12の簡単な装填および取外しのためにSC12から引き戻すことができる。
【0038】
連結口15によって、SC12と連結管16の間のガス密封連結ができる。好ましい実施形態は、連結口15の頂点にメスルアー接続具25を含み、連結管16の端部がオスルアー接続具27またはメスルアー接続具25にぴったりと接続するように設計された傾斜の付いたシャフトから構成される。別の構成は当技術範囲内にあり、連結口15の頂点にメスルアー接続具を有するものはオスルアー接続具で、連結管16に連結する端部を有するものはメスルアー接続部である。
【0039】
一実施形態において、排気口22はプラスチック製フランジであり、排気管と接触するユニットで、SC12から端部が外にフランジが付けられ、排気管29の長さに沿って傾斜が付いている。排気管29はバルブ23で接続され、閉じられるときは、SC12を大気から密閉している。好ましい実施形態において、バルブ23はローラ活性圧縮バルブであり、排気管29を密封する手段の多くの可能な実施形態は当業者に知られている。
【0040】
連結管は化学品に相対的に耐性があるいかなる柔軟なプラスチックで作成できる。好ましいプラスチック材料としては、限定されないが、C−FLEX、Chemfluor367、EPDM、ETFE、Kynar、MFA、PEEK、PFA、FEP、ポリイミドおよびPVCが挙げられる。連結管の長さは使用者が他の室を妨害することなく各室を自由に操作するのに十分なものとすべきである。典型的に、連結管16は20〜30インチの長さが好ましいが、20〜30インチの範囲外の長さもまた機能的である。連結管16のいずれかの端にオスルアー接続部がある。別の方法として、流体密封を確実にするためメスルアー接続部に挿入できる傾斜の付いた硬質プラスチック製チップがある。
【0041】
広範囲の安全バルブ18はSC12からGGC14を分離するために用いられ、限定されないが、クリンプバルブ、ロール活性圧縮バルブなどが挙げられる。GGC14からSC12に流体の流れを密閉できるいかなるバルブ、本発明の好ましい実施形態は自己活性の理由から空気排気/真空解除バルブである。
【0042】
〔ガス発生室(GGC)およびガス発生化合物〕
GGC14は化学的耐性のある各種のプラスチックからなる容器19を含む。これらは限定されないが、C−FLEX、Chemfluor367、EPDM、ETFE、Kynar、MFA、PEEK、PFA、FEP、ポリイミドおよびPVCが挙げられる。好ましい実施形態として、容器はPFTEおよび/またはポリオレフィンで構成される。GGC14は連結管16にGGC14を取付けるために一体化したメスルアー接続具17を含み、GGC14内部からSC12に連続的に流体が流れることができる。好ましくはGGC14の充填口21は大きくて蓋付の開口部で、簡単に掴んだり蓋が閉められるようにGGCの壁の少なくとも0.5cm上に飛び出ているネジ付のリムを有する。
【0043】
本発明の他の実施形態は、図3に模式的に示されている。殺菌装置100は内部ガスポンプ付の硬質ケースと密閉できるガス発生室102に取付けられる洗浄手段を含む。装置100は密閉口103を通してガス発生室102と流体連結している。好ましい実施形態において、密閉口103は二重閉鎖急速断絶継ぎ手(Colder Products St. Paul, MN)で構成でき、ガス発生室102からの管104がメス継ぎ手のオスをもち、密閉口103が相補的継ぎ手を構成する。二重閉鎖の特徴の利点は断絶がガス発生室102または殺菌室101のいずれかを局所環境に開口せずに可能である点にある。それゆえ、殺菌剤ガスは殺菌室101内に収納されていて、ガス発生室102からの残留ガスは洗浄工程まで収納される。装置100は吸引バルブ106の位置に依存して殺菌室101と流体連結しているまたはしていない、電子または手動ポンプ105から構成される区画室を有する。吸引バルブ106は手動でまたは管理されたマイクロプロセッサー110で操作されてもよい。吸引バルブ106は手動で操作できる、またはマイクロプロセッサー110が制御される。吸引バルブ106によって、殺菌室101に、ポンプが働いているとき殺菌室101と流体連結にあるなら殺菌室101およびガス発生室102に存在する収容されたガスを除去できる。そのガスは排気流からガスを不活性にし、除去する洗浄システム107を通って排気される。ポンプ105および洗浄システム107の内部ルーメンを構成する区分室は吸引バルブ106の位置に依存して殺菌室101と流体連結しているかまたはしていなくともよい。装置100は、殺菌サイクルが完成した後、バルブおよびポンプ105を働かせ殺菌室101から吸引バルブ106を通して引き込み、洗浄システム107にガスを送り、装置100からガスを流出する排気バルブ108を通って排出、またはガスのレベルをOSHAまたは他の規制局の水準、指針までに減ずるためガスを循環の目的で洗浄システム107を通して殺菌室101に戻す。そのようなガスのリサイクルの間に、ポンプ105、洗浄システム107および殺菌室101とこれら要素の間の流体連結を維持するため必要な管のガス流によって捕集されたいかなる細菌汚染の可能性を防ぎ、ガスリサイクルプロセスの間に殺菌室101に入らないため、殺菌室に再び入ったガスは無菌空気フィルター109を通して通過させる必要があると当業者は理解するであろう。
【0044】
当業者は、特別な搬送方法および取扱が必要であるガス状NO固有の特定のリスクがあることが理解されよう。高濃度のNOに曝されるのは危険である。職業安全衛生管理局(OSHA)はNOの現行レベルを設定し、生命と健康に直ちに危険なのは100ppm(百万部あたり100部)に最大30分間で、それを超えると健康または生命を脅かす曝露効果が出るだろうと提示した。OSHAはまた、職場でのNOのレベルを8時間の時間加重平均で25ppmと設定している。NOの致死量の潜在的な危険から、いかなる装置、搬送システムは、漏れたNOが吸飲されるまたは、その曝露により害が及ぶ可能性がある対象に適用される危険を生じる状況やレベルにNOの周囲環境への漏れを防止するための対策を備えなければならない。二酸化窒素の形成も大きな健康上の危険を示す。OSHAは8時間に渡る時間加重平均でNO2を1ppmと制限している。
【0045】
本発明のシステムは使用者がそのガスに曝されるのを制限している。本発明のシステムおよび方法は殺菌剤ガスの除去および/または解毒できる、別の言い方では洗浄として知られるシステムを含む。本発明の方法は好ましくは殺菌室から殺菌されたまたは消毒された材料を取出す前に、これらのガスを除去および解毒する洗浄プロセスを含む。洗浄プロセスはNO、NO2およびNOxを除去および解毒するための多くの方法を含む。洗浄システムプロセスはNOを捕集する吸収剤を、NOをNO2に変換する酸化剤を含む。適当な条件で殺菌剤ガスはNO、NO2およびNOxが容易に分散するだろう濃度で外部環境に排気されてもよい。洗浄プロセスは、Buchi Analytical B-414 (New Castle, DE)のような市販の洗浄装置で達成できるだろう。理想的には、洗浄装置は排気ガス中のNO、NO2およびNOxのレベルをOSHAのLTWA未満のレベルに減少する。(Basile R.の「Dealing with Nitrogen Oxide Emission」参照)http//www.finishers-management.com/may2002/nox.htm。その方法は迅速に実施すことも好ましい。
【0046】
本発明の方法は最も好ましくはOSHA限界を超えた濃度のNO、NO2およびNOxに使用者を曝さないことである。好ましい実施形態において、ガスが室を開く前に室から除去される。野外での使用のような場合にはガスを除去することなく室が開かれるかもしれない。殺菌剤ガスに曝されることを制限するために本発明のシステムおよび方法は殺菌剤ガスを除去および浄化できるまたは、別の言い方では洗浄として知られるシステムを含む。
【0047】
実施例2、3および4はPurakol and Purafil Select (Purafil, Doraville, GA)を用いる有効な洗浄システムの実施形態を説明する。当業者は窒素酸化物の混合物用洗浄システムの多くの構造が設計できることを理解するであろう。
【0048】
本発明の一実施形態において、殺菌システムは軽量で、電力(電池を含む)が不要であり、完全に自己完結型である。システムの核は再使用可能な、密封可能な殺菌室、処分可能なガス発生室および連結管である。再使用可能なシステムは外科用機器または他の殺菌される材料が入れられ、密閉され、一酸化窒素(NO)ドナーおよび酸性活性剤を予め充填したガス発生室に接続される。それから水がガス発生室に加えられ、室が密封され、発生したガスが殺菌室に流入する。ガス浸透、液体不浸透性バルブによって2つの室が分離され、各室の内容物が混じるのを防ぐ。殺菌には5分間で十分な初期的結果が示されるが、さらに10分間の安全域が追加試験後、賢明であることを証明するかもしれない。
【0049】
〔実施例1:搬送された一酸化窒素の変動量と殺菌〕
血液貯蔵容器(Nexell, Irvine, CA; Lifecell PL732 プラスチック組織培養フラスコ)を殺菌室として用いる。ステンレス製の細片が、胞子形成した枯草菌B. subtilis var. niger(ABS595標準線により決定される)106CFU/ml中に浸漬される。細片が空気乾燥され、殺菌室に置かれ、それから殺菌室が熱シールされる。殺菌室が注射器で殺菌室バルブにより空気の流れを管理して排気される。空気の既知量が目盛り付き注射器を用いて容器に添加される。
【0050】
NO発生ドナー化合物が7ccのガス発生室に置かれる。ガス発生室はルアーロックコネクターを介して貯蔵室に取付けられている。液体活性剤、3.0NのHClがガス発生室に添加され、発生したガスが殺菌室に流入する。短い発生期間後、ガスが圧縮バルブを用いて殺菌室内で密封される。
【0051】
NOガスの量を変えて、即ち10%、5%、2.5%および1%のNOで殺菌室内の効率が試験される。発生し殺菌室に添加されたNOガスの量(%)がNOの所望のパーセンテージになるように発生に必要なNOのモル数から計算される。使用されるNOガス発生化合物の質量を決定するため、この計算には理想気体の法則および、NOガス発生化合物の式の重量を用いるが本実施例ではジアゼニウムジオレートNOドナーである。
【0052】
試験された全てのパーセンテージは1%も含めて、106CFU/mlの胞子形成されたB. subtilis var. nigerを5分で殺菌するが、これは汚染された鋼鉄製の細片をLB中37℃で激しく振り混ぜながら48時間培養してから、寒天板に塗付することにより決定される。実験対照はNOの代わりに窒素のパーセンテージの追加を除いて同じ処理を行う。対照の鋼鉄製の細片は上述の条件下培養24時間後に肉眼で分かる増殖を示した。
【0053】
〔実施例2:携帯殺菌室からNO、NOxの洗〕
殺菌剤ガスを殺菌室で使用後、室のガスは洗浄媒体を含有するもう1つの室に排出される。排出されたガスは洗浄媒体上に在留する。
【0054】
2つの300ml PL732プラスチック組織培養袋(Lifecell PL732プラスチック組織培養フラスコケース、Nexell, Irvine, CA)を互いに管で連結する。1つの袋をもう一方の袋から閉じるためにホース締め具を用いる。1つの袋を切断して「洗浄」袋と名づけ、予め計量した洗浄媒体(Purafil SelectとPurakolの1:1混合物6.0〜60g)をその袋に添加した。それから切断を熱シールする。両方の袋を注射器で排気する。空気(180cc)を殺菌室と名づけた袋に注入する。その後、20ccのNOガスを最終濃度10%NOになるように注入する。NOと空気との混合物を殺菌室に5分間留める。その後、ホース締め具を解除し、Purafil SelectとPurakolを含有する洗浄袋に全てのNOxガスを入れるよう殺菌袋を圧縮する。それからホース締め具を閉める。その後直ちに、洗浄袋中の雰囲気サンプル(0.1から1.0cc)を取り、NOを濃度ppb(10億分の1)で測定するNO検知器に注入する。その後、洗浄袋中の雰囲気サンプル1.0ccを時間間隔で採取しNOx検出器に注入する。3つの連続する試験の結果を表1に示す。洗浄材料は一連の試験の間、取り替える必要はない。
【0055】
【表1】

【0056】
〔実施例3〕
本実施例はNOxガスを容器に連結する、洗浄媒体で充填された管を通して流すことによりNOxを除去する方法を提供する。管(内径3/8インチ、外径1/2インチ、長さ30インチの殺菌された管)はPurafil SelectとPurakolの1:1混合物13.3gで充填される。媒体のいくつかはこのプロセスで粉砕される。グラスウール栓が管の端に挿入される。管のそれぞれの端は分離プラスチック組織培養袋(Lifecell PL732プラスチック組織培養フラスコ、Nexell, Irvine, CA)に連結される。1つの袋はインラインバルブを含む。袋は大気が排気されてバルブが閉じられる。1つの袋は殺菌室と名づけられ、180ccの空気と20ccのNOガスが収納される。そのガスを殺菌室に5分間留める。それからバルブを開いて管を通って収納袋にガスを押し込む。収納袋中の雰囲気サンプル0.5ccをNOx検出器に注入する。その結果から、収納袋の含有量がNOx30ppbであり、OSHA指針より十分低い濃度であることがわかる。
【0057】
〔実施例4:殺菌室からNO、NOxの洗浄〕
密封できるケース(Pelican Products, Inc., Torrance, CA)がEFC 12シリーズ急速断絶継ぎ手(Colder Products Company, St. Paul, MN)およびケースをほぼ同体積に上部分と下部分に分割する自己密閉ガスケット端を有するプラスチック棚から構成される追加の引込み口で修正される。上部分が殺菌室で、20.3l(4.5インチ×19インチ×14.5インチ)の体積をもつ。殺菌室への1つの引込み口は既知量のNOガスを殺菌室に導入するために用いられ、任意選択的に再循環流ができる。ケースの反対側の排気口はNOガスの添加に伴う殺菌サイクル時間が5分間の工程のために断絶(密閉)状態にある。
【0058】
下部室はポンプ、マイクロプロセッサー、もしあれば電気部品、バルブ、洗浄システム、無菌空気フィルター、任意選択的に追加の部品を収納する。洗浄システムは排気口に連結され、EFC 12シリーズ急速断絶継ぎ手のオス端を有する管を含む。排気口の先端で管がポンプ(Gast, Benton Harbor, MI,モデルDOA-P104-AA;流速35lit/min)に連結され、洗浄システムを構成する円柱に連結する。1つの円柱はPurafil Select(Doraville, GA)が充填され、他の円柱はPurakol(各円柱に約200〜300g材料)が充填されている。NOが上部殺菌室に注入され5分間保持される。5分後、洗浄システムがEFC12シリーズ急速断絶継ぎ手のオス端を排気口のメス端に取付けられ、このように取付け口を開いてポンプを動かして作動される。ポンプの活性化前に、ポンプ排気がNOを殺菌室に添加するのに用いる同じ取付け口を経由してEFC12シリーズ急速断絶継ぎ手のオス端で終わる管、また無菌エアーフィルター(ACRO 50, Pall Corporation, Port Washington, NY)から構成される管を用いて、殺菌室に再び連結される。殺菌室からのガスが、1分間のポンプ作動後、ゴム製の隔膜で接合されたインラインサンプル採取容器から注射器を用いてサンプルが採取される。それから採取されたガスが注入され、ThermoEnvironmental(Waltham, MA)42C化学発光NOx検知器によって定量化される。加えて、NO貯蔵容器からNOが正の制御として機器に注入される。システムは再循環でき、例えば、ガスを添加し、ガス発生室を断絶することにより、排気口から管を追加し、元のNOが添加された吸引口に戻り、ポンプが動くとガスがシステムを通って再び循環する。
【0059】
1%添加NOを用いてその装置で4通りの1組の実験が実施される。上記のように、排気口からのガスが吸引口(殺菌室を汚染するのを除去する無菌エアーフィルターを用いて)を通って戻る再循環の1分後、殺菌室のガス内容物を採取および測定により、実質的にNOおよびNOxのすべての成分が取り除かれたことを示した。4つのサンプルの各々はNO検出器のベースラインをわずかに上げるだけであり、約2ppbと予測され、OSHAのNOは25ppm、NO2は1ppmの指針よりはるかに低いと評価される結果となる。
【0060】
5%添加NOを用いて実験が実施される。5%NO添加の前に密閉されたケースから1lの空気(5%)が取り除かれるので実験は大気圧で実施される。それから1lのNOが密閉された殺菌室に添加され5分間留まる。それから上述したように洗浄システムが活性化される。ガス再循環の1分後、サンプルはNOおよびNOxが約4ppbを示し、各実験で再びOSHA指針よりはるかに低いことが示された。Purafil SelectおよびPurakol円柱は、これらの6実験の間、取替えらなかった。
【0061】
〔実施例5〕
ガラス圧力容器が洗浄されたNOガスタンク源に連結される。圧力容器は大気の酸素(NO2・の形成を防止)を取り除くためアルゴンで5回清浄され、純粋なNO雰囲気および殺菌剤活性の一定の結果を確実にするためさらに3回NOで清浄にする。殺菌方法の試験のため、枯草菌(Bacillus subtillis var niger 9372)が用いられ(80%超えて内生胞子形成を得た後、エチレンオキサイドおよびオートクレーブ殺菌の標準)、さらに表皮に広く見られる有機体、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus (str 21769))およびブドウ球菌表皮(Staphylococcus epidermides (str 21977))、および腸の有機体、クレブシエラ菌肺炎(Klebsiella pneumoniae(str 21991))およびセラチア菌(Serratia marcesens (str 21140))が用いられる。この特定のセラチア(Serratia)菌株は従来の研究で培養中に殺菌剤効果に最も耐性があるバクテリアの1つであることが見出されている(Raulliら、2002年)。
【0062】
有機体がBHI中で一昼夜培養される。培養液には各有機体が標準化されたABS595線を基に少なくとも108CFU/mlを含有していた。ステンレス製試片(3×1cm)が培養液に浸漬され、まず大気圧で乾燥されるかまたは培養浸漬でまだ湿潤状態で圧力容器に入れられる。試片が大気圧でNOガスに、最初は45分から始まり、5分に戻る減少する時間周期で曝露される。対照サンプルは圧力容器が窒素で供給される以外は同一に取り扱われる。
【0063】
【表2】

【0064】
全てのNOをアルゴンで清浄後、密封した容器が層流流れのフードの中で注意深く開かれる。サンプルは殺菌された掴み具で無菌的に取り出され、殺菌されたBHI媒体を含有する培養チューブに入れられる。サンプルは35℃水浴で激しく振り混ぜながら培養する。サンプルは24時間後、観察(デジタル写真)、水浴に戻し、72時間後に吸収を測定する。対照は24時間後、108CFU/mlを超えた。表2に示す結果は3つの別個の実験であり、結果(3/3)は3つの試験で3つがバクテリアの増殖が見られないことを示す。
【0065】
〔実施例6〕
実施例1と同様に、血液貯蔵容器および他の実験機器を用いて携帯システムを考案した。この構成において、血液貯蔵容器(Nexell, Irvine, CA, Lifecell PL732プラスチック組織培養フラスコ)を殺菌室として用いる。それは複数の取付け口を有し、管または他の室に容易に取り付けられ、汚染された/殺菌されたサンプルを挿入および取り出しに容易に切断および熱シールされる。熱シールは強く、圧力でよく保持され、1ATM圧でさえ実験的に使用される。2つの60ml注射器が互いに連結され、3方コックによる一連の管を、1つの注射器の酸緩衝液を他の注射器のNO放出ジアゼニウムジオレートと混合するために用いられる。管は血液容器/殺菌室に連結される。
【0066】
コックは酸緩衝液がジアゼニウムジオレートを含有する注射器に添加できるように回転される。バルブが緩衝液注射器側で直ちに閉じられ殺菌室に開かれる。300cc殺菌室が約15秒で膨張する。この考案したシステムが圧力容器の代わりに使用される以外は上記のように実験が実施される。
【0067】
試験有機体がBHI中で一昼夜培養される。培養液には各有機体が標準化されたABS595線を基に少なくとも108CFU/ml(FDA試験指針の100倍以上多い)を含有している。ステンレス製試片(3×1cm)が培養液に浸漬されまず大気圧で乾燥されるか、または培養浸漬でまだ湿潤状態で圧力容器に入れられる。乾燥したサンプルが殺菌室に入れられる前に殺菌したBHI媒体に浸漬される。この試作によりB. subtilis(内生胞子化endosporulated), B. subtilis(植物性vegetative), S. marcescens,およびS. epidermidesの15分で汚染された湿潤浸漬ステンレス製試片に対する殺菌剤活性を提示のために示され、殺菌がより短い時間で達成されるかもしれない。
【0068】
【表3】

【0069】
〔実施例7〕
針およびプラスチック管などの医療関連材料を試験するためさらなる研究を実施した。テフロン(登録商標)(内径1/8インチ)、ポリエチレン(内径1.77mm)、ビニル(内径0.5mm)管および30ga使い捨て針を約108全CFU/mlでB. subtilis、 S. marcescens、およびS. epidermidesを含有するバクテリアカクテルに浸漬する。サンプルは殺菌室に置かれ密閉される。各々、管の内腔または少なくとも視覚的に確認された接種材料が含まれる。表4はこの研究の結果を示す。各材料の対照はABS595標準線により決定される24時間後少なくとも106全CFU/mlに到達した。
【0070】
【表4】

【0071】
〔実施例8:湿度効果〕
いくつかの加湿実例とガス殺菌シール子袋により殺菌される能力が試験される。約108CFU/mlに全てが増殖し、同等の容積に混合されたバクテリアカクテルが用いられる。ステンレス製の試片が浸漬され乾燥され3つの方法の1つを対象とする。方法Aはサンプルが湿ったキムワイプ(Kimwipe)に包まれ、方法Bはサンプルが乾燥状態で放置され、方法Cはサンプルがガスおよびオートクレーブ殺菌に設計しているV.MuellerTM二重皮シール小袋に乾燥、密封された。方法BおよびCからのサンプルは、湿ったキムワイプと殺菌されるサンプルの最大分離を保証するようにして湿ったキムワイプと共に殺菌室に置かれる。この室はキムワイプに対してサンプルの位置が障害にならぬように注意深く再度シールされる。サンプルは1ATMで15分の殺菌サイクルにかけられ、無菌条件下で取り出され、上記のように、BHI媒体の中にサンプルが置かれる。対照サンプルはNOでガス供給される室を除いて同一に取り扱われる。結果を表5に示す。全ての対照はABS595標準線により決定される24時間後少なくとも106全CFU/mlよりも大きな値に到達した。
【0072】
【表5】

【0073】
この実験は2つの非常に重要な発見を示唆している。1つはサンプルが必ずしも湿っている必要がなく、キムワイプからの少量の湿気で室内で乾燥サンプルの殺菌が達成できたことである。2つ目の重要な発見は、室が開かれた後、機器の無菌を保持することができる個々の包装内で殺菌が起こりうることである。これまでのこの殺菌法における我々の結果は、電力を必要とせず高度に輸送可能な軽量な方法であることを示す。
【0074】
〔実施例9:粉末酸の試験〕
好ましい殺菌剤ガス発生組成物は窒素系ジアゼニウムジオレートおよびシュウ酸から構成される。シュウ酸を10:1のモル比でジアゼニウムジオレートに添加すると殺菌剤ガス、NOがジアゼニウムジオレートから産出され、約20秒で血液貯蔵容器を充満させる。この能力によって、NOをはっせいするために3NのHClをジアゼニウムジオレートに添加する必要性がなく、代わりにNOガス放出には水の添加でよい。酸の必要性がないことで装置が出荷、貯蔵および使用に際し非常に便利になる。
【0075】
炭素系ジアゼニウムジオレート(窒素系ジアゼニウムジオレートは分解して発癌性ニトロサミンを形成する可能性がある)と活性化させる粉末酸を予め充填できる使い捨てプラスチックガス発生室は、水の添加が容易なように大きな蓋付の開口部およびガスを殺菌室に輸送するため適当な付属ラインを有する。他の用益ラインまたは取付け口は、必要なら真空に引くためおよび室からNOを放出するため(再使用可能なNOx洗浄システムを通って)その後に付け加えてもよい。
【0076】
ポリオレフィン材料が、その柔軟性、刺し傷耐性、軽量および製造の容易さから選択される。寸法は約平板10インチ平方である。殺菌室の底部角は再密閉できる開口部できっちりした「ジップロック(Ziploc)」であり、迅速容易に機器の取り付けおよび再び密封することができる。使用者が機器を小袋に入れた後、小袋の上端部が単純迅速に蓋で密封して完全なガス密封となる。
【0077】
小袋殺菌室の1つの角は、ガス発生室に連結するため埋め込み管取付け口および約10インチ長の管を有するであろう。搬送管の端はガス発生室に容易に連結できるように「迅速断絶接続具」を有し、各管は管を密閉するため圧縮ローラーバルブを有する。
【0078】
また、室はポリオレフィン材料製、3.5インチ平方で粉末と水を容易に充填できるよう容器の頂上部から飛び出した大きな硬いプラスチック製ネジ蓋からなる。室は殺菌室に容易に連結できるようルアーロック取付け口を有するであろう。
【0079】
〔実施例10:溶解性炭素系ジアゼニウムジオレートの合成〕
多様の窒素系ジアゼニウムジオレートが市販されており、この応用で使用できるかもしれないが、大いに発癌性ニトロソアミンを形成する窒素系ジアゼニウムジオレートの能力により医療用途では使用に限界がある(Parzuchowskiら、2002年)。炭素系ジアゼニウムジオレートはニトロサミンを形成できず、窒素系NOドナーよりモル当たり3倍多くNOを産出できる。炭素系NOドナーを使用することによって全重量を減少する一方、製品の安全性の利点が増加する。
【0080】
炭素系ジアゼニウムジオレートはベンジル型中間体を用いて製造できる。ベンジルメチルエーテル、PhCH2OCH3(Sigma-Aldrich社から購入可能、St. Louis, MO)が1つの出発材料である。パール(Parr)圧力容器に、ベンジルメチルエーテル3ml(0.024モル)をメタノール30mlに添加する。この溶液に25%ナトリウム・メトキシド11ml(0.048モル)を攪拌しながる添加する。不活性ガスの加圧および排気の交互のサイクル(10回)によりフラスコから酸素を取り除く。それから溶液を室温、40〜80psiの間でNOガスに1〜5日曝露する。反応が完結、即ちNOガスがこれ以上消費しないとき、上部空間のNOガスを追放する。それからジエチルエーテルを添加し、陰イオンのジアゼニウムジオレート塩の全てを沈殿させ、ろ過し、乾燥する。生成物PhC(N22Na)2OCH3は、分光測光法、元素分析およびNMR確認による構造証明のほかに下記の化学発光方法によってNO放出能を試験する。
【0081】
別の合成案は、市販のベンジルチオシアン酸塩(PhCH2SCN, Sigma-Aldrich社, St. Louis, MO)から誘導することができる。パール圧力容器に、ベンジルチオシアン酸塩3g(0.020モル)をテトラヒドロフラン30mlに添加する。この溶液に、1.0Mナトリウム・シラノレート40ml(0.040モル)を攪拌しながら添加する。不活性ガスの加圧および排気の交互のサイクル(10回)によりフラスコから酸素を取り除く。それから溶液を室温、40〜80psiの間でNOガスに1〜5日曝露する。反応が完結、即ちNOガスがこれ以上消費しないとき、上部空間のNOガスを追放する。それからジエチルエーテルを添加し、陰イオンのジアゼニウムジオレート塩の全てを沈殿させ、ろ過し、乾燥する。生成物PhC(N22Na)2SCNは、分光測光法、元素分析およびNMR確認による構造証明のほかに下記の化学発光方法によってNO放出能を試験する。
【0082】
好ましい殺菌剤ガス発生化合物は、酸条件下NO放出速度が速くほぼ同一なので、NO発生のためにこれらの炭素系ジアゼニウムジオレート化合物である。NOドナー選択の適当な基準は収率とコストである。
【0083】
〔実施例11:ジアゼニウムジオレートからNO放出の決定〕
方法はSmithら(1996年)に拠る。サンプルの秤量が記録され、0.1M燐酸緩衝液(pH7.4)に入れられ、その溶液が水浴中25℃空気中に開放される。それから緩衝液は、ガス状流出ガスがNO含有量の測定に検定された化学発光NOx検知器内を通過するように、容器の底でフリットガラス管を経由してアルゴンガスで洗浄される。泡立ちは安定した水平跡が達成されるまで続けられ、そこで信号が数分に渡って積分される。積分単位がヘリウム(MG Industries, Morrisville, PA)中のNOの保証されたガス状標準に対して得られた積分値と比較してNOのモル値に変換される。時間増分に渡るNO放出速度は、積分された信号を積分が実施された分の数で割って計算され、サンプルが最初に緩衝液に入れられたときから全経過時間に対してプロットされる。
【0084】
〔実施例12:NOの環境閉じ込め〕
NOを伴う全ての実験は保証された換気フード内で実施される。NOは環境汚染物であり、100ppmを越える濃度で人体に害を及ぼす可能性がある。合成容器または殺菌室に含有するNOを、その体積の10倍の周囲空気を保持する容器に5分間かけて流し込む。この工程によって、すべてのNOがNO2に変える。それから室からのNO2はNaOHの円柱を通過し効果的にNO2を清浄にする。これは生産加工で広く用いられている十分確立された方法である(Basile、2002年)。
【0085】
〔実施例13:殺菌条件の最適化〕
以下の因子が最適化される。サイクル維持、周囲温度、許容空気パーセント、湿度、内圧(NOの量)および機器負荷因子(機器の表面積、機器の種類(即ち、狭い内腔、袋小路内腔)、殺菌小袋中の予めパッケージされた材料の使用、塩クラスト機器、タンパク質クラスト機器)。試験用に選択された生物学的指針有機体は、胞子形成した枯草菌(sporulated Bacillus subtilis var niger)であり、Et2Oプロセス検証および他の殺菌プロセス検証用に広く用いられる標準有機体である(Hoxey、1985年)。
【0086】
B. subtilis var niger 9372はルリア培養液(Luria Broth: LB)媒体中、水浴37℃で一昼夜培養される。通常、これにより108CFU/mlを超える培養液となる。各一昼夜培養液のABS595が測定され、標準線と比較しておおよそのCFU/mlが決定される。培養液の密度は殺菌したLBで希釈して106CFU/mlに調整される。それからバチルス菌が以下の方法によって胞子形成を行う。培養液が2500RPM(1000xg、Sorvall GLC-1)で5分間遠心分離され、SterliniとMendelstamにより記載された(1969年)低栄養塩媒体に再分散された。バクテリアが胞子形成媒体内で2回洗浄され、最終ペレットが適量の胞子形成媒体に分散されて106CFU/mlの密度に保持される。典型的に、この方法によって80%を超える内生胞子形成となる。
【0087】
対になったステンレス製試片、テフロン(登録商標)R管部1インチ長さ、内径1/8、(ポリエチレン)テレフタレート(PET)試片が殺菌サイクル因子研究(「材料パネル」)の一般研究に用いられる。材料パネルからの品目が106CFU/mlの内生胞子化バチルス菌分散液に浸漬される。対になった金属サンプルは同じように取り扱われ、コントロール材料はNOガスで殺菌を行うグループとして同じ条件下に殺菌室に置かれて窒素に曝される。処理後、材料はLB内に置かれ、水浴中37℃で振り混ぜながら24時間培養された。コントロールと処理されたグループの培養培地は24時間で視覚観察と写真撮影が行われる。部分標本が取り出され、順に殺菌されたLBで希釈され、LB寒天板に塗られてCFU/mlが決定される。培養液がさらに24時間、合計48時間培養され、必要ならABS595が48時間で測定される(追加的な確証的な写真もあわせて)。接種されたLB寒天板は37℃で培養され、コロニー増殖を塗られてから24および48時間で評価される。
【0088】
殺菌プロセスを通して材料から生じたいかなる板状コロニーは、形態学的にグラム染色および/または他の必要な手段でB. subtilis var nigerとして同定を確認するため試験される。同じ確認工程がLB中のいかなる陽性となる培養液にも適用される。殺菌プロセスに曝露後、B. subtilis var niger陽性を示す材料となるいかなる試験因子が使用範囲を超えた因子とみなされる。
【0089】
〔生物学的指針有機体として乾燥された胞子の使用〕
DoyleとErnst(1967年)の方法がバチルス菌から精製された胞子を得るために用いられた。簡単に言えば、熱衝撃を受けた胞子(65℃30分間)がLBに加えられ激しく振り混ぜながら32℃で一昼夜培養された。この培養液がLBの大きなフラスコを接種するのに用いられる。これらの培養液が32℃で4日間培養される。胞子形成した培養液が植物性細胞を自己分解できるよう45℃で一昼夜保持する。胞子は遠心分離で集められ、蒸留水で8回洗浄し、純度を評価するため位相差顕微鏡で確認する。胞子は長期保存用に凍結乾燥された粉末として貯蔵される。各バッチは実験に使用する前にバッチの実行可能性を確認するため培養される。
【0090】
各因子の限度が胞子形成化B. subtilis接種材料を用いて一度見出されると、最もありそうな使用の条件に加えて、同一限界で精製した胞子(106CFU/ml)の懸濁液で接種して試験される。差異は期待されないが、徹底さの興味から、乾燥した胞子が見出された限界でおよびありそうな使用点で試験される。胞子形成したバチルス菌に対する確立された限界で胞子を殺菌できないことは、設定された限界の再調整および、乾燥したB. subtilis胞子を代替物として、生物学的指針としての胞子形成化B. subtilisを再評価することになる。
【0091】
乾燥した胞子を用いて実験的な結果の決定は上記で説明したものと類似しており、接種した材料の培養が下記の負荷因子の節で説明されるように実施される。
【0092】
〔実施例14:殺菌有効性に関する殺菌サイクル維持の評価〕
材料の殺菌は材料パネルに関し、室温で5、10、20、40、80および120分で試験された。各処理されるグループはNOの代わりに窒素ガスを用いた以外は同一に処理されるコントロールグループを有する。実験は3回繰り返され、どの特定の時間点でも殺菌成功の基準は3回試験のすべてで0CFU/mlである。3回の試験で1回の失敗(陽性B. subtilis var niger)はその実験で失敗とみなされ、それゆえ測定された因子で限界が設定される。
【0093】
〔殺菌有効性に関する周囲温度の効果〕
材料パネルの品目が106CFU/mlのLB中のB. subtilisに浸漬される。最適な時間点が前回の実験データを用いて選択され、最後から2番目の最小成功時間点(即ち、もし5分なら、10分)が用いられる。実験は10度増分で、−10℃〜50℃で実施される。どちらかの極端な温度で成功の結果が得られないときは、温度を10℃増加または減少させて成功の結果が得られるまで試験が繰り返される。寒冷実験が−20℃〜20℃の温度が可能な検定された冷凍ユニット内で実施される。20℃を超えると、標準の培養装置で実験は実施される。殺菌装置の部品は殺菌プロセス実験前に20分間試験温度に平衡にされる。各処理されるグループはNOの代わりに窒素ガスを用いる以外は、同一に処理されるコントロールグループを有する。どの特定の温度点でも殺菌成功の基準は3回試験のすべてで0CFU/mlである。3回試験で1回の失敗(陽性B. subtilis var niger)はその実験で失敗とみなされ、それゆえ測定した因子で限界が設定される。
【0094】
1つの可能性ある相互依存性は、より高い周囲温度とプロセスで用いるNOガス圧の関係だろう。より高い温度は、より低いNOガス圧で同等またはより高い有効性の結果となり得ることは合理的に予測される。このことは必ずしも問題ではないだろう。現れるかもしれない問題は凍結温度条件下、殺菌室を湿らせる能力である。この場合、室を湿らすことができないことが凍結温度でプロセスの有用性の限界を生じさせるかもしれない。
【0095】
〔殺菌有効性に関する湿度の影響〕
多くのガス殺菌法が幾分かの湿度を必要とするが、初歩的データ(雰囲気レベルの湿度で実施)から、本殺菌システムには高いレベルの湿度は必要がないかもしれない。
【0096】
〔殺菌室内の再現性ある湿度条件の決定〕
製造された殺菌室の原型が湿度計の探針を挿入できるように変更される。探針は非硬化型シリコーン封止剤を用いて室の内側にシールされる。相対湿度(RH)2〜98%範囲のNIST追跡可能湿度計(Fisher Scientific)が湿度レベルを測定するのに用いられる。計器の検定は週に1度、11、43および75%のRH環境を作り出すように混合塩浴を含有する専用の窒素ガス室を用いてチェックされる。
【0097】
殺菌室で再現性のあるRHレベルを作り出す方法が一度確立されると、マテリアルパネルの品目がB. subtilisで汚染され、周囲空気で乾燥でき、適量の水(布切れに吸収させて)と共に殺菌室に入れ、殺菌プロセスを10〜15%の増分で得られるRHの直線範囲に沿って試験される。室温以外の温度で実施される実験は殺菌プロセスを始める前に20分間試験温度に平衡にされる。再び、最後から2番目の最小効果時間点が用いられる。どのRHレベルでも成功結果は、3回試験のすべてで0CFU/mlである。3回試験で1回の失敗(陽性B. subtilis var niger)はその実験で失敗とみなされ、それゆえ測定された因子で限界が設定される。
【0098】
RH領域のある点で殺菌が失敗すると、即ち、0%RHで失敗だが15%で効果的なとき、さらに0〜15%RH試験の実験を追加し、有効条件のより詳細な範囲を決定する試みがされ、殺菌室内で湿気を与えるまたは乾燥させるための機構が必要かどうかを決定する。
【0099】
相互依存性は以前に論じた湿度と凍結温度の潜在的な関係を含む。亜硝酸の不適な(希釈された)レベルを作り出す高湿度と低NOガス圧も潜在的にあり、もし実際に亜硝酸の形成が殺菌プロセスで重要であるなら殺菌有効性を減ずる結果となる。この相互依存性は最も低い可能なNOガス圧で湿度を低位から高位に変えることによる殺菌結果を試験することにより検証可能である。
【0100】
周囲空気を少量含む必要性によって、正規の使用条件においてRHレベルの変動を極端に増加させるかもしれない。
【0101】
〔殺菌有効性に関するNOガス圧の効果〕
低圧計器が殺菌室管に接合される。3方コック(ルアーロック)が計器に直接または短い管ではめられる。そこから、60cc注射器でまたは必要ならポンプで真空に引かれる。室はコックで密封できるので真空を保持する。殺菌試験に使用するNOガス圧はガス発生室内のジアゼニウムジオレートの量を、容積1000cc当たり6.8gmの正規のレベルから変えることにより規制できる。実験を通してシュウ酸との10:1比を保ちながら、ガス発生室内のジアゼニウムジオレートを1.7、3.4、6.8gm(対照)を用いて殺菌が試みられる。新しい原型で一度測定された空所はその後も占められるであろう。成功結果は、3回試験のすべてで0CFU/mlである。3回試験で1回の失敗(陽性B. subtilis var niger)はその実験で失敗とみなされ、それゆえ測定された因子で限界が設定される。
【0102】
〔殺菌有効性に関する周囲空気の効果〕
周囲空気の包含または排除は、本方法でNO殺菌の究極の機構が表面凝集物に亜硝酸(HNO2)の形成を含むことができるので重要な因子である。少しのパーセンテージの周囲空気がプロセスに有利に含まれるかもしれない。湿った凝集物に溶解した少量のO2はまた、本発明の方法に用いられる条件下で亜硝酸を産出するのに十分かもしれない。
【0103】
低圧計器が殺菌室管に接合される。3方コック(ルアーロック)が計器に直接または短い管ではめられる。そこから、60cc注射器でまたは必要ならポンプで真空に引かれる。室はコックで密封できるので真空を保持する。周囲空気を充満した目盛り付注射器がコックに取り付けられ、既知量の空気が殺菌室に添加される。ガス発生室内のジアゼニウムジオレートの量はジアゼニウムジオレートのモル当たり2モルのNOに基づいて理想気体の法則を用いて1Lに1ATMまたはリットルの容積当たり6.8gmになるように調節される。空所、それが作成された原型から決定されるとき、ジアゼニウムジオレートの量でも占められるであろう。殺菌室で1、2.5、5、10、15および20%で表される周囲空気の容積が試験される。これらの試験は25℃で上記で概説された実験で決定された2つの関連する極端な温度で実施される。材料パネルからB. subtilis汚染品目の3回試験でゼロ増殖は成功とみなされる。3回試験で1回の失敗(陽性B. subtilis var niger)はその実験で失敗とみなされ、それゆえ測定された因子で限界が設定される。周囲空気の低レベルでの失敗は酸素を必要とする示唆かも知れず、従って、本プロセスにおいてNOの作用機構は亜硝酸の形成に関連しているかもしれない更なる証拠を提供する。
【0104】
周囲空気と湿度の相互依存性の可能性は前もって論じた。
【0105】
〔殺菌有効性に関する不溶性結晶の閉塞の効果〕
数多くの研究において示唆されるように、困難な事は特に、ガス状の殺菌剤、水に不溶な結晶内に閉塞された胞子の滅菌(Abbottら、1956年。DoyleとErnst、1967年)である。DoyleとErnstの方法は胞子の産出と分離、炭酸カルシウム結晶中の胞子の閉塞および殺菌有効性の決定のための閉塞された胞子の回復に用いられる。
【0106】
1.11%CaCl2の10mlの溶液がml当たり106胞子を含有するように作成される。これに1.06%Na2CO3の10mlが急速に添加され混合物が激しく振り混ぜられる。CaCO3の結晶が直ちに形成され結晶当たり多くの胞子を閉塞する。その結晶を蒸留水で3回洗浄し、20000xg遠心分離する。結晶は取扱が容易なように、10mlの蒸留水と0.2%メチルセルロースに戻される。10μgの結晶懸濁液をろ紙の細片に垂らし、室温で乾燥、さらに90℃で16時間乾燥する。
【0107】
殺菌剤に曝露の後、結晶を溶解するため、細片が殺菌した3.0%NH4Clの25ml中に0℃で3日間置かれる。それから細片および溶液が混合器に入れられ、音波破壊を5分実施する。それからサンプルは希釈され計数のためトリプトングルコース酵母抽出寒天上に塗られる。3回試験でゼロ増殖が成功結果とみなされる。
【0108】
〔細長い袋小路の内腔の装置の殺菌有効性〕
多くのの研究において信頼性のある殺菌用の細長い袋小路の内腔の困難性が示されている(Alfa,1997年。RutalaとWeber、1998年)。これらのタイプの装置を有効に殺菌するのに、この殺菌プロセスの能力を試験するため、多孔性でないテフロン(登録商標)管(≦3mm内径)が125cm長に切られB. subtilis var niger(106CFU/ml)の培養液が60mlの注射器を用いて管に挿入される。この管を空にして空気乾燥させる。ある管は密封プラグの端に差し込まれる。プラグのガス密封性は60cc注射器を用いて少量の空気圧を与えてあらかじめ試験されているであろう。管の端の密閉の他の方法には、熱シール、溶媒溶接および締め具がある。開放または密閉端管は管を締め付けないよう注意して巻かれ、処理のため殺菌室に置かれる。殺菌プロセスが完了後、管は4インチの部分に切られ、管の部分を完全に覆い隠せるように十分LBを含有する殺菌された培養管の中に置かれる。殺菌の有効性は上述のように評価される。
【0109】
〔閉塞ジョイントをもつ機器中の殺菌有効性〕
手術用鋏およびピンセットが106CFU/mlの汚染培地中に浸漬することで回転ジョイントを超えて汚染される。回転ジョイントはバクテリアが機器の腕の間に入ることのできるように覆われながら作動される。機器が空気乾燥され殺菌プロセスにかけられる。3回試験でゼロ増殖が成功結果とみなされる。
【0110】
〔個々の殺菌小袋中の機器の殺菌〕
手術用鋏およびピンセットが106CFU/mlの汚染培地中に浸漬することで回転ジョイントを超えて汚染される。機器は乾燥され、V.MuellerTM二重皮密閉小袋(Fisher Scientific)内に密閉され処理のため道具殺菌室に挿入される。処理後、汚染されたピンセットが無菌技術と無菌条件を用いて小袋から注意して取り出され、殺菌されたLB媒体を含む培養フラスコに入れられ、上述したように殺菌有効性が評価される。3回試験でゼロ増殖が成功結果とみなされる。細長い内腔管のような他の品目も研究のためこの手順に加えられるかもしれない。
【0111】
本発明の代表的な実施形態の説明において、明細事項は工程の特定の手順として方法および/またはプロセスを表している。しかしながら、方法またはプロセスは本明細書で記述した工程の特定の順に依存しない範囲まで、方法またはプロセスは記述された工程の特定の順に限定されるべきでない。当業者が理解するように、工程の他の手順は可能である。それゆえ、本明細書で記述した工程の特定の順は特許請求の範囲を限定すると理解してはならない。さらに、本発明の方法および/またはプロセスに関連する特許請求の範囲は記述された順の工程の性能に限定されるべきでなく、手順は変更が可能であり、やはり本発明の精神と範囲内にあることを当業者は容易に理解できる。
【0112】
本発明の上記の実施形態の開示は例示および説明を目的として示されたものであるので、網羅をまたは本発明を開示した詳細な形に限定する意図はない。ここで記載した実施形態の変更および修正は上記開示を踏まえて当業者には明らかであろう。
【0113】
本発明の代表的な実施形態の説明において、明細事項は工程の特定の手順として方法および/またはプロセスを表している。しかしながら、方法またはプロセスは本明細書で記述した工程の特定の順に依存しない範囲まで、方法またはプロセスは記述された工程の特定の順に限定されるべきでない。当業者が理解するように、工程の他の手順は可能である。それゆえ、本明細書で記述した工程の特定の順は特許請求の範囲を限定すると理解してはならない。さらに、本発明の方法および/またはプロセスに関連する特許請求の範囲は記述された順の工程の性能に限定されるべきでなく、手順は変更が可能であり、やはり本発明の精神と範囲内にあることを当業者は容易に理解できる。
【0114】
本発明の上記の実施形態の開示は例示および説明を目的として示されたものであるので網羅または本発明を開示した詳細な形に限定する意図はない。ここで記載した実施形態の変更および修正は上記開示を踏まえて当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】殺菌室(SC)12、ガス発生室(GGC)14および安全バルブ18をもつ連結管16を有する殺菌装置を示し、SC12は遮蔽20、連結口15および排気管29に取付ける排気口22を有し、排気バルブ23は排気管29に取付けられており、GGC14は殺菌剤ガスを発生できる組成物(殺菌剤ガス発生組成物)24を収納し、GGC14は連結管16が取付けられる接続具17および液体添加用の充填口21を有する。
【図2】SC12を開くまたは密封するフラップ遮蔽30をもつ殺菌室12の他の実施形態の図である。
【図3】内部ガス排気および洗浄機能付硬質ケーシングからなる本発明の殺菌装置の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を殺菌するシステムまたは装置であって、
密閉できる殺菌室および殺菌剤ガス発生組成物を含み、前記殺菌剤ガス発生組成物がNOまたはNOとNO2との混合物を発生することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項2】
材料を殺菌するシステムまたは装置であって、
ガス発生室、および
ガス発生室と流体接続性のある殺菌室を含むことを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項3】
前記ガス発生室が殺菌剤ガスまたは殺菌剤ガス発生組成物を含む、請求項2のシステムまたは装置。
【請求項4】
前記殺菌剤ガス発生組成物が殺菌室の内壁に自由に曝される、請求項2のシステムまたは装置。
【請求項5】
前記殺菌剤ガス発生組成物がガス発生室の内壁に自由に曝される、請求項3のシステムまたは装置。
【請求項6】
前記殺菌剤ガス発生組成物が炭素系ジアゼニウムジオレート化合物を含む、請求項1または請求項3のシステムまたは装置。
【請求項7】
前記殺菌剤ガス発生組成物が窒素系ジアゼニウムジオレート化合物を含む、請求項1または請求項3のシステムまたは装置。
【請求項8】
前記殺菌剤ガス発生組成物がさらに活性化剤を含み、前記活性剤は酸である、請求項1または請求項3のシステムまたは装置。
【請求項9】
前記酸がシュウ酸およびマレイン酸からなる群から選択される、請求項8のシステムまたは装置。
【請求項10】
ガス発生室が液体および/または気体に不浸透である、請求項2のシステムまたは装置。
【請求項11】
殺菌室が液体および/または気体に不浸透である、請求項1または請求項2のシステムまたは装置。
【請求項12】
ガス発生室が外環境から密閉できる、請求項2のシステムまたは装置。
【請求項13】
殺菌剤ガスがNOまたはNOとNO2との混合物を含む、請求項1または請求項3のシステムまたは装置。
【請求項14】
殺菌剤ガス発生組成物がNOまたはNOとNO2との混合物を発生する、請求項1または請求項2のシステムまたは装置。
【請求項15】
ガス発生室がNOを含む室である、請求項2のシステムまたは装置。
【請求項16】
ガス発生室がNOを含む加圧された室である、請求項2のシステムまたは装置。
【請求項17】
前記ガス発生室がさらに液体または固体を導入するための取付け口を含む、請求項2のシステムまたは装置。
【請求項18】
殺菌剤ガス発生組成物が殺菌室中の目的物を殺菌するために十分な量のNOガスを放出するのに約2秒から約30秒を要する、請求項6のシステムまたは装置。
【請求項19】
さらに洗浄システムを含む、請求項1または請求項2のシステムまたは装置。
【請求項20】
前記洗浄システムがNOをNO2に変換する酸化剤を含む、請求項19のシステムまたは装置。
【請求項21】
前記洗浄システムがNO2を捕集する吸収剤を含む、請求項19のシステムまたは装置。
【請求項22】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物が前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物のモル当たりNO1モル以上のNO量を産生する、請求項6のシステムまたは装置。
【請求項23】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物がジアゼニウムジオレート基を担う炭素を有し、前記炭素がイミデート、チオイミデート、アミジンまたはエナミンの部分を含まない、請求項6のシステムまたは装置。
【請求項24】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物が次式で表されるC系ジアゼニウムジオレート化合物を有し、
3−C(R1x(N222y
式中、xは0から2の整数、yは1から3の整数および、xとyの合計が3、
1がイミデート、チオイミデート、アミジンまたはエナミンでなく、
2が対カチオンおよび末端酸素の保護基からなる群から選択され、および
3がフェニル基である、請求項6のシステムまたは装置。
【請求項25】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物が次式で表され、
【化1】

式中、R1がイミデート、チオイミデート、アミジンまたはエナミンでなく、
2が対カチオンおよび末端酸素の保護基からなる群から選択され、および
3がフェニル基である、請求項6のシステムまたは装置。
【請求項26】
1が電子吸引基、ニトロ基、エーテル、チオエーテルおよび非エナミンのアミンからなる群から選択され、
2置換基が脂肪族、芳香族および非芳香族の環状基からなる群から選択され、および
3置換基が1置換または2置換のアミノ、非置換のアミノ、アンモニウム、アルコキシ、アセトキシ、アリールオキシ、アセトアミド、アルデヒド、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオ、スルホン、ビニル、カルボキシル、ニトロソ、トリハロシラン、トリアルキルシラン、トリアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、ジアゼニウムジオレート、ヒドロキシ、ハロゲン、トリハロメチル、ケトン、およびアルキルチオからなる群から選択される、請求項25のシステムまたは装置。
【請求項27】
対カチオンがアンモニウムおよび他の4級アミンからなる群から選択され、
さらに保護基がアリール、スルホニル、グリコシル、アシル、アルキルおよびオレフィン基からなる群から選択される、請求項25のシステムまたは装置。
【請求項28】
目的物を殺菌または除染する方法であって、
目的物を殺菌室に入れる工程、
殺菌剤ガス発生組成物を殺菌ガスが発生するように活性化する工程、
殺菌剤ガスが殺菌室内で少なくとも0.1%の濃度に達するようにする工程、および
目的物を目的物が殺菌されるのに十分な時間、殺菌剤ガスに曝す工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
殺菌室が殺菌剤ガス発生組成物を活性化する工程の前に閉じる、請求項28の方法。
【請求項30】
殺菌室が殺菌剤ガス発生組成物を活性化する工程の後で閉じる、請求項28の方法。
【請求項31】
殺菌剤ガス発生組成物を活性化する工程が殺菌室中の目的物を入れる工程に先立つ、請求項28の方法。
【請求項32】
目的物を殺菌する方法であって、
品目を殺菌室に入れる工程、
殺菌剤ガスが殺菌室内で少なくとも0.1%の濃度に達するように殺菌剤ガスを殺菌室に送る工程、および
目的物が殺菌されるのに十分な時間、目的物を殺菌剤ガスに曝す工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
目的物を殺菌する方法であって、
殺菌剤ガス発生組成物を殺菌室に置く前または後のいずれかで目的物を殺菌室に入れる工程、
殺菌室を閉める前または後のいずれかで殺菌剤ガスを産生するため殺菌剤ガス発生組成物を活性化する工程、
目的物が殺菌されるのに十分な時間、目的物を殺菌剤ガスに曝す工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
殺菌剤ガスが殺菌室内に入れられた殺菌剤ガス発生組成物から産出される、請求項32の方法。
【請求項35】
殺菌剤ガスが殺菌室と流体接続性のあるガス発生室から殺菌室に送られる、請求項32の方法。
【請求項36】
ガス発生室がNOを含む加圧された室である、請求項35の方法。
【請求項37】
ガス発生室が殺菌剤ガス発生組成物を収納する、請求項35の方法。
【請求項38】
殺菌剤ガス発生組成物が殺菌剤ガス発生組成物および酸化合物を含む、請求項35の方法。
【請求項39】
前記方法が90℃未満の温度で実施される、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項40】
前記方法が約10℃から約90℃の温度で実施される、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項41】
前記方法が約25℃から約75℃の温度で実施される、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項42】
前記方法が室温で実施される、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項43】
前記方法が常圧で実施される、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項44】
前記時間が約2分から約30分の時間である、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項45】
前記時間が約4分から約15分の時間である、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項46】
前記時間が約4分から約10分の時間である、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項47】
前記方法が電気または他の動力源を必要としない、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項48】
前記システムまたは装置が20ポンド未満の重量である、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項49】
前記方法が携帯できる、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項50】
前記装置が携帯できる、請求項1または請求項2の装置。
【請求項51】
殺菌剤ガス発生組成物が液体活性剤の添加に際して殺菌ガスを発生し、前記液体が水および酸からなる群から選択される、請求項28または請求項32の方法。
【請求項52】
前記殺菌剤ガス発生組成物がガス発生室の内壁に自由に曝される、請求項37の方法。
【請求項53】
ガス発生室が液体および/または発生した気体に不浸透である、請求項35の方法。
【請求項54】
殺菌剤ガスがNOまたはNOとNO2との混合物を含む、請求項28ないし38のいずれか一項の方法。
【請求項55】
容器の内容物の殺菌の方法であって、
殺菌剤ガス発生組成物を収納するガス発生室を提供する工程、
ガス発生室を殺菌室に連結する工程、
目的物を殺菌室に入れる工程、
殺菌剤ガス発生組成物を活性化する工程、
殺菌剤ガスをガス発生室から殺菌室に送る工程、および
目的物が殺菌されるのに十分な時間、目的物を殺菌剤ガスに曝す工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
前記殺菌剤ガス発生組成物が炭素系ジアゼニウムジオレート化合物を含む、請求項28ないし55のいずれか一項の方法。
【請求項57】
さらに目的物が殺菌された後、殺菌ガスを洗浄する工程を含む、請求項28ないし54のいずれか一項の方法。
【請求項58】
前記洗浄工程が前記曝す工程の後に続く、請求項57の方法。
【請求項59】
前記洗浄工程がNOをNO2に変換しNO2を捕集する、請求項57の方法。
【請求項60】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物が前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物のモル当たりNO1モル以上のNO量を産生する、請求項56の方法。
【請求項61】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物がジアゼニウムジオレート基を担う炭素を有し、前記炭素がイミデート、チオイミデート、アミジンまたはエナミンの部分を含まない、請求項56の方法。
【請求項62】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物が次式で表されるC系ジアゼニウムジオレート化合物を有し、
3−C(R1x(N222y
式中、xは0から2の整数、yは1から3の整数および、xとyの合計が3、
1がイミデート、チオイミデート、アミジンまたはエナミンでなく、
2が対カチオンおよび末端酸素の保護基からなる群から選択され、および
3がフェニル基である、請求項56の方法。
【請求項63】
前記炭素系ジアゼニウムジオレート化合物が次式で表され、
【化2】

式中、R1がイミデート、チオイミデート、アミジンまたはエナミンでなく、
2が対カチオンおよび末端酸素の保護基からなる群から選択され、および
3がフェニル基である、請求項56の方法。
【請求項64】
1が電子吸引基、ニトロ基、エーテル、チオエーテルおよび非エナミンのアミンからなる群から選択され、
2置換基が脂肪族、芳香族および非芳香族の環状基からなる群から選択され、および
3置換基が1置換または2置換のアミノ、非置換のアミノ、アンモニウム、アルコキシ、アセトキシ、アリールオキシ、アセトアミド、アルデヒド、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオ、スルホン、ビニル、カルボキシル、ニトロソ、トリハロシラン、トリアルキルシラン、トリアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、ジアゼニウムジオレート、ヒドロキシ、ハロゲン、トリハロメチル、ケトン、およびアルキルチオからなる群から選択される、請求項63の方法。
【請求項65】
対カチオンがアンモニウムおよび他の4級アミンからなる群から選択され、
さらに保護基がアリール、スルホニル、グリコシル、アシル、アルキルおよびオレフィン基からなる群から選択される、請求項63の方法。
【請求項66】
殺菌剤ガス発生組成物がニトロソチオール(例、S−ニトロソグルタチオン)、ニトロプルシド・ナトリウム、モルシドミンおよびルサン黒色塩などの鉄−硫黄ニトロシルからなる群から選択される、請求項28、29、30、31および38のいずれか一項の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−521118(P2007−521118A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549358(P2006−549358)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/000173
【国際公開番号】WO2005/067986
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506233162)ノクシライザー,インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】NOXILIZER, INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】2700 36th street, N.W., Washington, D.C. 20007, U. S. A.
【Fターム(参考)】