説明

毛髪を処理するためのブラシ状コポリマーを含む組成物

式(1)のブラシ状コポリマーを含む組成物(ここで、Mは、開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位であり;Rは、アルキル、エーテル、エステルまたはアリール単位であり;MおよびMは、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択され;Xは、ジチオエステル、トリチオカーボネート、キサンテートからなる群から選択される末端単位であり;mは2から1,000,000の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。)。この組成物は、毛髪の処理に使用される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、コポリマー材料およびこれらの組成物から利益作用物質を送達するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア組成物は、身体または毛髪を引き立たせる一連の作用物質を含む。香料、シリコーン、ワックス、香味料、ビタミンおよび繊維活性剤などの利益作用物質は、高価であり、パーソナルケア組成物、洗浄用組成物中で高濃度で使用される場合、一般に効果が少ない。その結果、このような利益作用物質の効果を最大化する要望が存在する。この目的を達成する1つの方法は、このような利益作用物質の送達効率を改良することである。残念ながら、このような作用物質は、その作用物質の物理的もしくは化学的特性のために失われ得て、またはこのような作用物質は、組成物の他の成分とまたは処理された部位との適合性がないことがあり得るので、利益作用物質の送達効率を改良することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、利益作用物質の送達効率の改良を提供する、利益作用物質を含む送達粒子が求められている。
【0004】
本発明は、利益作用物質送達系に関する。組成物、例えば、洗浄用組成物(例えば、シャンプーもしくは身体洗浄液)またはコンディショニング組成物または頭皮および他の身体部位などの皮膚用洗い流さない製品中に使用された場合、この利益作用物質送達系は、利益作用物質の送達効率を増大して、使用される利益作用物質の量の低減を可能にする。さらに、利益作用物質の量が低減されることを可能にすることによって、この利益作用物質送達系は、広範囲の利益作用物質が使用されることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の説明
本発明は、式1のブラシ状コポリマー
【0006】
【化1】

[式中、Mは、開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位であり;
Rは、アルキル、エーテル、エステルまたはアリール単位であり;
およびMは、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択され;
Xは、ジチオエステル、トリチオカーボネート、キサンテートからなる群から選択される末端単位であり;
mは2から1,000,000の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
を含む組成物に関する。
【0007】
毛髪に利益作用物質を送達するための上記コポリマーの使用はまた、上記コポリマーの組成物を毛髪に適用することによって毛髪を処理する方法であるとして記述される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本発明は、利益作用物質を送達するためのコア−シェルブラシ状コポリマーに関する。好ましくは、このブラシ状コポリマーは、ナノケージ構造の形態である。
【0009】
コア−シェルブラシ状コポリマー
本発明は、式1のブラシ状コポリマー
【0010】
【化2】

[式中、Mは、開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位であり、好ましくは、シクロオクタジエンまたはノルボルネンの開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位であり;
Rは、アルキル、エーテル、エステルまたはアリール単位であり;
およびMは、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択され、好ましくは、スチレン、イソプレン、メチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、酢酸ビニル、ビニルピリジンまたはビニルフェニルケトンの可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択され;
Xは、ジチオエステル、トリチオカーボネート、キサンテートからなる群から選択される末端単位であり;
mは、2から1,000,000、好ましくは10から500,000、より好ましくは100から200,000の整数であり、nは、2から500,000、好ましくは10から250,000、より好ましくは20から100,000の整数であり、kは、2から500,000で、好ましくは10から250,000、より好ましくは20から100,000の整数である。]
を含む組成物に関する。
【0011】
好ましくは、このコア−シェルブラシ状コポリマーは、式2の構造
【0012】
【化3】

[式中、mは2から1,000,000の整数であり、yは2から18の整数であり、xは1から100の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
を有する。
【0013】
本発明は、式3のコア−シェルブラシ状コポリマー
【0014】
【化4】

[式中、mは2から1,000,000の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
にさらに関する。
【0015】
本発明の他の態様は、式4のコア−シェルブラシ状コポリマー
【0016】
【化5】

[式中、mは2から1,000,000の整数であり、xは0から1の値であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
である。
【0017】
本発明のコア−シェルブラシ状コポリマーは、動的光散乱法、原子間力顕微鏡法、透過電子顕微鏡法または当業者には知られている他の標準的手段によって測定して、2から2000nmの範囲の寸法および1から10000のアスペクト比を有する、事実上好ましくは粒子である。
【0018】
このコア−シェルブラシ状コポリマーは、タンデムROMP(開環メタセシス重合)およびRAFT(可逆的付加開裂連鎖移動重合)のステップを用いて製造される。
【0019】
好ましい反応スキームは以下の通りである。
【0020】
【化6】

【0021】
このコア−シェルブラシ状コポリマーは、さらに重合されて、ナノケージを形成してもよい。このナノケージは、内部架橋、粒子中の内部架橋によって調製される。本発明の文脈において、ナノケージは、シェル様の構造を形成するように並んだ共重合ポリマーと定義することができる。このシェル様構造の極めて好ましい用途は、カプセル化材料用である。
【0022】
コア−シェルブラシ状コポリマー中に取り込まれているものが、利益作用物質の場合は非常に好ましい。
【0023】
このコアシェルブラシ状コポリマーは、(利益作用物質を伴いまたは伴わずに)好ましくは0.01から50重量%、より好ましくは0.2から20重量%、最も好ましくは0.5から10重量%の量で総組成物中に存在する。
【0024】
利益作用物質:
利益作用物質は、保湿剤、しわ防止剤、皮膚、毛髪および爪の栄養素等、冷却剤および温感を提供するものなどの化学的感覚剤等、芳香剤、シリコーン油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、精油、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、サンスクリーン剤、グリセリン、触媒、漂白粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭低減剤、口腔ケア剤、日用ケア剤、衣類仕上げ剤、洗剤、制汗活性剤、香味料、食品添加物、カチオン性ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0025】
特に好ましい利益作用物質は、ヘアスタイリングポリマー、着色剤、ヘアコンディショナー、毛髪洗浄剤、育毛促進剤、パーマネントウェーブ化合物、ヘアリラクサー、アミノ酸、ビタミン、ヘアストレートナー、育毛刺激剤、育毛抑制剤、脱毛防止剤、抗菌化合物、抗真菌化合物、抗炎症性化合物、止痒剤、皮脂抑制剤、サンスクリーン剤およびこれらの混合物から選択される。
【0026】
とりわけ好ましいものは、抗真菌化合物、抗菌化合物、抗炎症性化合物、皮脂抑制剤および止痒剤またはこれらの混合物である。特に注目されるものはサリチル酸である。
【0027】
本発明の代替の態様において、育毛促進剤は、利益作用物質として注目される。それ自体が育毛を刺激するまたは促進する能力を有する物質の例には、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、フェノールエストラジオール、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロロフィリン誘導体、コレステロール、サリチル酸、シスチン、トウガラシチンキ、ニコチン酸ベンジル、dl−メントール、ハッカ油、パントテン酸カルシウム、パンテノール、ヒマシ油、ヒノキチオ−ル、プレドニソロン、ミノキシジル、ノコギリヤシ抽出物、イラクサ根抽出物、カプサイシン、ナイアシン、イチョウ葉、トクサ抽出物、リン脂質、グリセロールオキシドエステル、シクロデキストリン、ケトコナゾール、ウルソール酸、ポリソルベート、1,4,3,6−ジアンヒドロ−2,5−d−o−メチル−d−グルシトール、マリアアザミ、ニコチン酸メチル、フィナステリド、アゼライン酸、メドロキシプロゲストロン、デュタステライド、局所的ヘッジホッグアゴニスト、アデノシン、trans−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンおよびレゾルシノールが含まれる。
【0028】
これらの利益作用物質は、この組成物の総重量に対して、好ましくは0.0001から5重量%の量で組成物中に取り込まれている。
【0029】
製品形態
本発明の組成物は、好ましくはパーソナルケア組成物であり、より好ましくはこれらはヘアトリートメント用組成物である。
【0030】
本発明の組成物は、洗い流すまたは毛髪上に放置することができ、典型的にはこれらは、毛髪に適用され、次いですすぎ落とされる「洗い流す」組成物である。
【0031】
特に好ましい製品形態はシャンプー組成物である。
【0032】
シャンプー組成物
本発明のシャンプー組成物は一般に水性であり、即ち、これらの主な成分として、これらは、水もしくは水性溶液またはリオトロピック液晶相を有する。適切には、この組成物は、組成物の総重量に対して、50から98重量%、好ましくは60から90重量%の水を含む。
【0033】
アニオン洗浄性界面活性剤
本発明で特許請求されたシャンプー組成物は、化粧品として許容され、毛髪に局所適用するのに適した、1種または複数のアニオン洗浄性界面活性剤を一般に含む。
【0034】
適したアニオン洗浄性界面活性剤の例には、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N−アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、およびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩、特に、これらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩がある。このアルキルおよびアシル基は、8から18、好ましくは10から16個の炭素原子を通常含み、不飽和であってもよい。このアルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにこれらの塩は、1分子当たり1から20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含んでいてもよい。
【0035】
本発明のシャンプー組成物に使用するための典型的なアニオン洗浄性界面活性剤には、ナトリウムオレイルスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシネート、アンモニウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムココイルイセチオネート、ナトリウムラウリルイセチオネート、ラウリルエーテルカルボン酸およびナトリウムN−ラウリルサルコシネートが含まれる。
【0036】
好ましいアニオン洗浄性界面活性剤は、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート(n)EO、(ここで、nは1から3である。)、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシネート(n)EO、(ここで、nは1から3である。)、アンモニウムラウリルスルフェート、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート(n)EO、(ここで、nは1から3である。)、ナトリウムココイルイセチオネートおよびラウリルエーテルカルボン酸(n)EO(ここで、nは10から20である。)である。
【0037】
前述の任意のアニオン洗浄性界面活性剤の混合物も適している。
【0038】
本発明のシャンプー組成物中のアニオン洗浄性界面活性剤の総量は、組成物の総重量に対するアニオン洗浄性界面活性剤の総量で、一般に0.5から45重量%、好ましくは1.5から35重量%、より好ましくは5から20重量%の範囲である。
【0039】
他の成分
場合により、本発明のシャンプー組成物は、性能および/または消費者許容度を高めるために、以下に説明する他の成分を含んでいてもよい。
【0040】
共界面活性剤
この組成物は、組成物に美観、物理的または洗浄特性の付与を助けるために、共界面活性剤を含むことができる。
【0041】
共界面活性剤の一例は、非イオン性界面活性剤であり、組成物の総重量に対して、0.5から8重量%、好ましくは2から5重量%の範囲の量で含めることができる。
【0042】
例えば、本発明のシャンプー組成物中に含めることができる代表的な非イオン性界面活性剤には、脂肪族(C−C18)の一級もしくは二級直鎖もしくは分枝鎖アルコールまたはフェノールと、アルキレンオキシド(通常、エチレンオキシド、一般に6から30個のエチレンオキシド基を有する。)との縮合生成物が含まれる。
【0043】
他の代表的な非イオン性界面活性剤には、モノ−またはジ−アルキルアルカノールアミドが含まれる。例には、ココモノ−またはジ−エタノールアミドおよびココモノ−イソプロパノールアミドが含まれる。
【0044】
本発明のシャンプー組成物中に含めることができる他の非イオン性界面活性剤には、アルキルポリグリコシド(APG)がある。典型的には、このAPGは、1つまたは複数のグリコシル基のブロックに(場合により橋架け基を介して)結合したアルキル基を含むものである。好ましいAPGは、以下の式
RO−(G)
[式中、Rは、飽和または不飽和であってもよい、分枝鎖または直鎖のアルキル基であり、Gは糖基である。]
によって定義される。
【0045】
Rは、約Cから約C20の平均アルキル鎖長を表し得る。好ましくは、Rは、約Cから約C12の平均アルキル鎖長を表す。最も好ましくは、Rの値は、約9.5から約10.5の間にある。Gは、CまたはC単糖類残基から選択してもよく、好ましくはグルコシドである。Gは、グルコース、キシロース、ラクトース、フルクトース、マンノースおよびそれらの誘導体を含む群から選択してもよい。好ましくはGはグルコースである。
【0046】
この重合度nは、約1から約10以上の値を有してもよい。好ましくは、nの値は約1.1から約2にある。最も好ましくは、nの値は、約1.3から約1.5にある。
【0047】
本発明に使用するのに適したアルキルポリグリコシドは、市販されており、例えば、Seppic製Oramix NS10;Henkel製Plantaren 1200およびPlantaren 2000と特定される材料が含まれる。
【0048】
本発明の組成物に含めることができる糖から誘導された他の非イオン性界面活性剤には、(例えば、国際公開第92/06154号パンフレットおよび米国特許第5,194,639号明細書に記載されているように)C12−C18N−メチルグルカミドなどのC10−C18N−アルキル(C−C)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ならびにC10−C18N−(3−メトキシプロピル)グルカミドなどのN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが含まれる。
【0049】
好ましい共界面活性剤の例は、両性または双性イオン界面活性剤であり、これらは、組成物の総重量に対して、0.5から約8重量%、好ましくは1から4重量%の範囲の量で含めることができる。
【0050】
両性または双性イオン界面活性剤の例には、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメート(ここで、このアルキルおよびアシル基は、8から19個の炭素原子を有する。)が含まれる。本発明のシャンプーに使用するための典型的な両性および双性イオン界面活性剤には、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびナトリウムココアンホアセテートが含まれる。
【0051】
特に好ましい両性または双性イオン界面活性剤は、コカミドプロピルベタインである。
【0052】
前述の両性または双性イオン界面活性剤の任意の混合物も適している。好ましい混合物は、コカミドプロピルベタインと上記の他の両性または双性イオン界面活性剤とのものである。好ましい他の両性または双性イオン界面活性剤は、ナトリウムココアンホアセテートである。
【0053】
本発明のシャンプー組成物中の界面活性剤(任意の共界面活性剤、および/または任意の乳化剤を含む)の総量は、組成物の総重量に対する界面活性剤の総重量で、一般に1から50重量%、好ましくは2から40重量%、より好ましくは10から25重量%である。
【0054】
カチオン性ポリマー
カチオン性ポリマーは、コンディショニング性能を高めるための本発明のシャンプー組成物中の好ましい成分である。
【0055】
適したカチオン性ポリマーは、カチオン性に置換されたホモポリマーであってもよく、または2つ以上のタイプのモノマーから形成されてもよい。このポリマーの重量平均(M)分子量は、一般に100,000から2,000,000ダルトンの間である。このポリマーは、四級アンモニウムもしくはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物などのカチオン性窒素を含む基を有する。このポリマーの分子量が低すぎる場合、その結果コンディショニング効果は劣る。高すぎる場合、その結果、注ぐ場合この組成物の糸引きを生じる高い伸長粘度が問題となり得る。
【0056】
このカチオン窒素含有基は、カチオン性ポリマーの総モノマー単位のある分画上の置換基として通常存在する。したがって、このポリマーがホモポリマーでない場合、これはスペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory、第3版に記載されている。非カチオン性に対するカチオン性モノマー単位の比は、一般に0.2から3.0ミリ当量/gmである、必要とされる範囲内のカチオン電荷密度を有するポリマーを得るように選択される。このポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学的試験法として、米国薬局方に記載された通りにケルダール法を介して適当には決定される。
【0057】
適したカチオン性ポリマーには、例えば、カチオン性アミンまたは四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、例えば、(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンなどの水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーが含まれる。このアルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1−C7アルキル基、より好ましくはC1−C3アルキル基を有する。他の適したスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが含まれる。
【0058】
このカチオン性アミンは、個々の種および組成物のpHに応じて、一級、二級または三級アミンであることができる。一般に、二級および三級アミン、特に三級が好ましい。
【0059】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミンの形態で重合され、次いで、四級化によってアンモニウムに変換することができる。
【0060】
このカチオン性ポリマーは、アミン−および/もしくは四級アンモニウム−置換モノマーと/または適合性のあるスペーサーモノマーから誘導されるモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0061】
適したカチオン性ポリマーには、例えば:
−例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロライドのコポリマー(当業界(CTFA)では、それぞれ、ポリクオタニウム6およびポリクオタニウム7と称される。)を含む、カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー;
−3から5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモ−およびコ−ポリマーのアミノ−アルキルエステルの無機酸塩(米国特許第4,009,256号明細書に記載されている。);
−カチオン性ポリアクリルアミド(国際公開第95/22311号パンフレットに記載されている。)
が含まれる。
【0062】
使用することができる他のカチオン性ポリマーには、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、およびカチオン性グアーガム誘導体などの、カチオン性多糖類ポリマーが含まれる。
【0063】
本発明の組成物中に使用するのに適したカチオン性多糖類ポリマーには、式
A−O−[R−N(R)(R)(R)X
[式中、Aは、デンプンまたはセルロースアンヒドログルコース残基などの、アンヒドログルコース残基である。Rは、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、もしくはヒドロキシアルキレン基、またはこれらの組合せである。R、RおよびRは、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、またはアルコキシアリール基を独立に表し、各基は最大約18個までの炭素原子を含む。各カチオン性部分についての炭素原子の総数(即ち、R、RおよびR中の炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン対イオンである。]
のモノマーが含まれる。
【0064】
カチオン性セルロースの他のタイプには、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩(当業界(CTFA)では、ポリクオタニウム24と称される。)が含まれる。これらの材料は、Amerchol Corporationから、例えば、商品名Polymer LM−200として入手可能である。
【0065】
他の適したカチオン性多糖類ポリマーには、四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号明細書に記載されている)、およびエーテル化セルロースとデンプンのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号明細書に記載されている)が含まれる。
【0066】
使用することができるカチオン性多糖類ポリマーの特に適したタイプは、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(RhodiaからJAGUAR商標系列中で市販されている)などのカチオン性グアーガム誘導体である。このような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14、JAGUAR C15、JAGUAR C17およびJAGUAR C16、Jaguar CHTおよびJAGUAR C162である。
【0067】
上記のカチオン性ポリマーの任意の混合物を使用してもよい。
【0068】
カチオン性ポリマーは、本発明のシャンプー組成物中に、組成物の総重量に対するカチオン性ポリマーの総重量で、一般に0.01から5重量%、好ましくは0.05から1重量%、より好ましくは0.08から0.5重量%の濃度で存在する。
【0069】
懸濁剤
好ましくは、本発明の水性シャンプー組成物は懸濁剤をさらに含む。適した懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。この長鎖アシル誘導体は、エチレングリコールステアレート、16から22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびそれらの混合物から望ましくは選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物にパール光沢を付与するので好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能性剤で架橋されたアクリル酸のポリマーを使用してもよい:これらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸を含むモノマーとアクリル酸エステルの適したコポリマーの一例は、Carbopol 1342である。すべてのCarbopol(商標)材料は、Goodrichから入手可能である。
【0070】
アクリル酸およびアクリレートエステルの適した架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。適したヘテロ多糖類ガムは、例えば、Kelzan muとして入手可能なキサンタンガムである。
【0071】
上記の懸濁剤の任意の混合物を使用してもよい。好ましいものは、アクリル酸の架橋ポリマーと結晶性長鎖アシル誘導体の混合物である。
【0072】
懸濁剤は、本発明のシャンプー組成物中に、総組成物の重量に対する懸濁剤の総重量で、一般に0.1から10重量%、好ましくは0.5から6重量%、より好ましくは0.9から4重量%の濃度で存在する。
【0073】
コンディショナー組成物
本発明による組成物のための他の好ましい製品形態は、毛髪の処理(典型的にはシャンプーで洗った後)およびその後のすすぎのためのコンディショナーである。
【0074】
このようなコンディショナー組成物は、化粧品として許容され、毛髪への局所適用に適した1種または複数のコンディショニング界面活性剤を典型的に含む。
【0075】
適したコンディショニング界面活性剤には、単一物でまたは混合物として使用される、カチオン性界面活性剤から選択されるものが含まれる。好ましくは、このカチオン性界面活性剤は、式Nを有し、式中、R、R、RおよびRは、独立に、(CからC30)アルキルまたはベンジルである。好ましくは、R、R、RおよびRの1つ、2つまたは3つは、独立に、(CからC30)アルキルであり、他のR、R、RおよびR基または基(複数)は、(C−C)アルキルまたはベンジルである。より好ましくは、R、R、RおよびRの1つまたは2つは独立に、(CからC30)アルキルであり、他のR、R、RおよびR基は、(C−C)アルキルまたはベンジル基である。場合により、このアルキル基は、アルキル鎖中に1つまたは複数のエステル(−OCO−または−COO−)および/またはエーテル(−O−)結合を含んでもよい。アルキル基は1つまたは複数のヒドロキシル基で場合により置換されていてもよい。アルキル基は、直鎖または分枝鎖であってよく、3個以上の炭素原子を有するアルキル基については環状であってもよい。このアルキル基は、飽和であってもよく、または1個または複数の炭素−炭素二重結合(例えば、オレイル)を含んでもよい。アルキル基は、アルキル鎖上で1つまたは複数のエチレンオキシ基で場合によりエトキシ化されている。
【0076】
本発明中で特許請求されたコンディショナー組成物に使用するのに適したカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、タロウトリメチルアンモニウムクロライド、ジ水素化タロウジメチルアンモニウムクロライド(例えば、Akzo Nobel製Arquad 2HT/75)、ココトリメチルアンモニウムクロライド、PEG−2−オレアンモニウムクロライドおよび対応するそれらの水酸化物が含まれる。他の適したカチオン性界面活性剤には、CTFA名クオタニウム−5、クオタニウム−31およびクオタニウム−18を有する材料が含まれる。前述の材料の任意の混合物も適し得る。本発明で特許請求されたコンディショナー中に使用するのに特に有用なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロライドであり、例えば、Hoechst CelaneseからGENAMIN CTACとして市販されている。本発明で特許請求されたコンディショナー中に使用するのに特に有用な他のカチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライドであり、例えば、ClariantからGENAMIN KDMPとして市販されている。
【0077】
単一物または1種もしくは複数の他のカチオン性界面活性剤と一緒に、本発明に使用するのに適したカチオン性界面活性剤のクラスの別の例は、以下の(i)および(ii)の組合せである。
【0078】
(i)一般式(I)に対応するアミドアミン
【0079】
【化7】

[式中、Rは、10個以上の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり、
およびRは、1から10個の炭素原子のヒドロカルビル鎖から独立に選択され、
mは1から約10の整数である];および
(ii)酸。
【0080】
本明細書では、用語ヒドロカルビル鎖は、アルキルまたはアルケニル鎖を意味する。
【0081】
好ましいアミドアミン化合物は、
が、約11から約24個の炭素原子を有するヒドロカルビル残基であり、
およびRが、それぞれ独立に、ヒドロカルビル残基、好ましくは、1から約4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
mが1から約4の整数である式(I)に対応するものである。
【0082】
好ましくは、RおよびRが、メチルまたはエチル基である。
【0083】
好ましくは、mが、2または3、即ちエチレンまたはプロピレン基である。
【0084】
本明細書で有用な好ましいアミドアミンには、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0085】
本明細書で有用な特に好ましいアミドアミンは、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、およびこれらの混合物である。
【0086】
本明細書で有用な市販されているアミドアミンには、Inolex(Philadelphia Pennsylvania、米国)から入手可能な商品名LEXAMINE S−13および日光ケミカルズ株式会社(東京、日本)から入手可能なAMIDOAMIN MSPを有するステアラミドプロピルジメチルアミン、日光ケミカルズ株式会社から入手可能な商品名AMIDOAMINE Sを有するステアラミドエチルジエチルアミン、Croda(North Humberside、英国)から入手可能な商品名INCROMINE BBを有するベヘナミドプロピルジメチルアミン、およびScher(Clifton New Jersey、米国)から入手可能な商品名SCHERCODINE系列を有する様々なアミドアミンが含まれる。
【0087】
酸(ii)は、ヘアトリートメント用組成物中でアミドアミンをプロトン化することが可能な任意の有機酸または無機酸であることができる。本明細書において有用な、適した酸には、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸およびこれらの混合物が含まれる。好ましくは、この酸は、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0088】
この酸の本来の役割は、ヘアトリートメント用組成物中でアミドアミンをプロトン化し、それによってヘアトリートメント用組成物中においてin situで三級アミン塩(TAS)を形成することである。このTASは、事実上、非恒久的四級アンモニウムまたは擬似四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0089】
適切には、この酸は、存在するすべてのアミドアミンをプロトン化するのに十分量、即ち、この組成物中に存在するアミドアミンの量と少なくとも等モルの濃度で含まれる。
【0090】
本発明のコンディショナー中において、カチオン性界面活性剤の濃度は、組成物の一般に0.01から10重量%、より好ましくは0.05から7.5重量%、最も好ましくは0.1から5重量%の範囲である。
【0091】
本発明のコンディショナーはまた、典型的には脂肪アルコールを取り込んでいる。コンディショニング組成物中において脂肪アルコールとカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤がその中に分散されたラメラ相の形成を生じるので、特に有利であると考えられる。
【0092】
代表的な脂肪アルコールは、8から22個、より好ましくは16から22個の炭素原子を含む。脂肪アルコールは、典型的には直鎖アルキル基を含む化合物である。適した脂肪アルコールの例には、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこれらの混合物が含まれる。これらの材料の使用はまた、本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与する点で有利である。
【0093】
本発明のコンディショナーにおける脂肪アルコールの濃度は、組成物の、一般に0.01から10重量%、好ましくは0.1から8重量%、より好ましくはから0.2から7重量%、最も好ましくは0.3から6重量%の範囲である。脂肪アルコールに対するカチオン性界面活性剤の重量比は、適切には1:1から1:10、好ましくは1:1.5から1:8、最適には1:2から1:5である。脂肪アルコールに対するカチオン性界面活性剤の重量比が高すぎる場合、これはこの組成物から眼刺激をまねきかねない。低すぎる場合、これは一部の消費者に関しては、毛髪をキュッキュッときしむ感触にしかねない。
【0094】
他のコンディショニング剤
本発明の組成物は、湿潤時および乾燥時のコンディショニングの利益を最適化するために、他のコンディショニング剤を含んでもよい。
【0095】
特に好ましい他のコンディショニング剤は、シリコーンエマルジョンである。
【0096】
適したシリコーンエマルジョンには、ポリジオルガノシロキサン、特に、CTFA名ジメチコンを有するポリジメチルシロキサン、CTFA名ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン、およびCTFA名アモジメチコンを有する、アミノ官能性ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンから形成されるものが含まれる。
【0097】
このエマルジョン液滴は、本発明の組成物中で、典型的には0.01から20マイクロメートル、より好ましくは0.2から10マイクロメートルの範囲のザウタ平均液滴径(D3,2)を有する。
【0098】
ザウタ平均液滴径(D3,2)を測定ための適した方法は、Malvern Mastersizerなどの計測器を用いてレーザ光散乱法による。
【0099】
本発明の組成物中で使用するのに適したシリコーンエマルジョンは、Dow CorningおよびGE Siliconnesなどのシリコーンの供給業者から入手可能である。このような予備形成シリコーンエマルジョンの使用は、処理のおよびシリコーン粒径制御の容易さのために好ましい。このような予備形成シリコーンエマルジョンは、典型的には、アニオン性もしくは非イオン性乳化剤またはそれらの混合物などの適した乳化剤をさらに含み、乳化重合などの化学的乳化法、または高せん断ミキサーを用いて機械的乳化法によって調製することができる。0.15マイクロメートル未満のザウタ平均液滴径(D3,2)を有する予備形成シリコーンエマルジョンは、一般にマイクロエマルジョンと称される。
【0100】
適した予備形成シリコーンエマルジョンの例には、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788およびマイクロエマルジョンDC2−1865およびDC2−1870が含まれ、すべてのものがDow Corningから入手可能である。これらは、すべてジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。また、適したものには、DC939(Dow Corning製)およびSME253(GE Siliconnes製)などのアモジメチコンエマルジョンがある。
【0101】
さらに適したものには、例えば、国際公開第03/094874号パンフレットに記載の、高分子量の表面活性ブロックコポリマーのある種のタイプが、シリコーンエマルジョン液滴と配合されているシリコーンエマルジョンがある。このような材料において、シリコーンエマルジョン液滴は、上記のものなどのポリジオルガノシロキサンから好ましくは形成される。この表面活性ブロックコポリマーの1つの好ましい形態は、以下の式
【0102】
【化8】

[式中、xの平均値は4以上であり、yの平均値は25以上である。]
で記述される。
【0103】
この表面活性ブロックコポリマーの別の好ましい形態は、以下の式
【0104】
【化9】

[式中、aの平均値は2以上であり、bの平均値は6以上である。]
に記載された通りである。
【0105】
上記シリコーンエマルジョンの任意の混合物を使用してもよい。
【0106】
シリコーンは、組成物の総重量に対するシリコーンの総重量で、一般に0.05から10重量%、好ましくは0.05から5重量%、より好ましくは0.5から2重量%の濃度で本発明の組成物中に存在する。
【0107】
他の場合による成分
本発明の組成物は、性能および/または消費者満足度を高めるために他の成分を含んでいてもよい。このような成分には、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、パール光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、防腐剤、および植物性薬品、果実抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然の毛髪栄養素が含まれる。
【0108】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例を参照して説明する。実施例中および本明細書全体にわたり、別段の指示がなければ、すべての百分率(%)は、総組成物に基づく、および活性物質に基づく重量による。
【実施例】
【0109】
(実施例1)
タンデムROMPおよびRAFT共重合によるワンポット合成ならびに小分子反応物からコア−シェルブラシ状コポリマーの担持
タンデムROMPおよびRAFT共重合によるワンポット合成ならびに小分子反応物からナノケージの担持を、以下のスキーム2に示す。
【0110】
【化10】

【0111】
コア−シェルブラシ状コポリマーのタンデム合成のための重要な薬品として、CHCl中でN、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC;2.1当量)、および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP;0.2当量)を用いて、ノルボルネン官能化アルコール2を酸官能化RAFT剤3(2.0当量)で、室温で11時間エステル化することによって、収率87%でエキソ−ノルボルネン官能化RAFT剤1を調製した。20 1のH NMR分析は、ノルボルネンアルケンプロトンaとb(6.03−6.16ppmにおいて)、CHOCOプロトンe(4.07ppmにおいて)、CHOCHプロトンcとdおよびSCHプロトンf(3.20−3.55ppmにおいて)、およびCHプロトンg(0.87ppmにおいて)のものを含む一連の特徴的な共鳴を示した(図1a)。これらの積分面積比1.95:2.00:5.95:3.10は、プロトンの比率数2:2:6:3とよく一致しており、1の分子構造を検証している。次いで、小分子反応物からコア−シェルブラシ状コポリマーのワンポット調製を、エキソ−ノルボルネン官能化RAFT剤1のROMPによって、続いて、得られた多官能性RAFT剤およびスチレン(St)および無水マレイン酸(MAn)のRAFT共重合を介する「グラフトフロム」法のためのAIBN(開始剤として)を用いることによって実施した。1(99.7mg)のROMPをCHCl中でグラブス触媒RuC1(CHC)[P(C11(0.02当量)を用いて室温で1時間実施した。この反応混合物(19体積%、エチルビニルエーテルを末端とする)のアリコートのH NMRおよびGPC分析は、1の明確に規定された多官能性RAFT剤への変換の成功を決定した。1のほぼ完全な変換率(>99%)が、6.03−6.16ppm(図1b)における1のノルボルネンアルケンプロトンのH NMR共鳴が本質的に存在しないことによって検証され、ポリ(1)、即ち4の生成が、ポリ(ノルボルネン)ベースの主鎖のアルケンプロトンa’とb’(5.00−5.50ppmにおける)、CHOCOプロトンe’(4.07ppmにおける)、CHOCHプロトンc’とd’およびSCHプロトンf’(3.20−3.55ppmにおける)、およびCHプロトンg’(0.87ppmにおける)のものを含む、一連の特徴的な共鳴によって支持された。これらの積分面積比1.93:2.00:5.94:3.03は、プロトンの比率数2:2:6:3と非常によく一致し、4の繰返し単位当たり1つのRAFT官能基を定量的に示している。GPCによって、4は、40.6キロダルトンのMおよび1.24の低い多分散指数(図2)を有することが判明した。4のMの計算値31.5キロダルトンに対するM実験値は、78%の開始効率を示した。
【0112】
ポリ(St−stat−MAn)ブロック中のMAn単位を親水性のマレイン酸単位に加水分解することによって、5は、両親媒性コア−シェルブラシ状コポリマー7にさらに変換され得る(スキーム1)。加水分解は、反応を促進するためにKOH(水酸化カリウム)を用いて塩基性条件下で、室温で容易に進行した。次に反応溶液の中和により7を得た。H NMRおよびFT−IR分光法の両方の特性決定を使用して、7をその前駆体5と比較した。DMSO−d中の7のH NMR測定によって、12.0ppmに中心があるカルボン酸プロトンのH NMR共鳴が観察され、7中にマレイン酸単位の存在が検証された。7と5の間の重大な差異がFT−IRによって明らかにされた。コア−シェルブラシ状コポリマー5は、その環状無水物基に関する1857および1778cm−1における2つのC=0伸縮振動数を示し、および0−H伸縮吸収が存在しないことを示した。しかし、両親媒性コア−シェルブラシ状コポリマー7は、1714cm−1における1つのみのC=0伸縮振動数、および2500−3500cm−1における広い0−H延伸吸収を有しており、無水物からカルボン酸基への完全な官能基の変換を示した。さらに、7では、5に比較して異なる溶解度が見られた。例えば、5はCDCl中に可溶性であったが、7はCDCl中に不溶性であり、1:2 CDCl−CDODによって溶解し得た。
【0113】
この両親媒性コア−シェルブラシ状コポリマーブラシ7を架橋することによって調製し、15重量%のサリチル酸を担持したナノケージを上記スキームに続いて合成した。15重量%のサリチル酸を担持したナノケージのこの試料をスキーム1に従って合成した。この両親媒性コア−シェルブラシ状コポリマー7は、ポリカルボルネンベースの骨格、ポリイソプレンコア、およびポリ(アクリル酸)シェルを有する。7のシェル架橋反応は、7のアクリル酸シェル単位に対して、0.11当量の2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)架橋剤および0.22当量の1−[3’−(ジメチルアミノ)プロピル)−3−エチルカルボジイミドメトヨージド(触媒)を用いて実施した。次いで、得られたシェルを架橋したナノ粒子8のポリイソプレンコアを、オゾン処理によって分解し、続いてNaSOで還元した。次いで、形成されたナノケージ9に、20%のp−ジオキサン−水溶液で2日にわたり撹拌することによって、サリチル酸(約15重量%)を担持させ、次いで、この溶液を凍結乾燥して、乾燥試料を得た。
【0114】
ナノケージ中へのサリチル酸の担持は、H NMR分析(付属のスペクトル)によって証明された。サリチル酸を担持させたナノケージ試料はまた、ナノケージ9については存在しない3233cm−1におけるIR吸収を示した。タッピングモードAFM測定は、サリチル酸の担持の前および後のナノケージに関して、検出可能ではあるが大きなサイズ変化は存在しないことを示した。担持前は、このナノケージは、雲母上に高さ1.5nm未満で20から45nmの範囲の直径を有し;担持後は、このナノケージは、雲母上に高さ1.5nm未満で20から50nmの範囲の直径を有する。留意点として、ナノケージ試料の水溶解度は、凍結乾燥に起因して低下し得る。
【0115】
以下のものは、本発明で特許請求された組成物の実施例である。
【0116】
この実施例に使用された材料は以下ものである。
【0117】
【表1】

【0118】
(実施例2)
【表2】

【0119】
(実施例3)
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1のブラシ状コポリマー
【化11】

[式中、Mは、開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位であり;
Rは、アルキル、エーテル、エステルまたはアリール単位であり;
およびMは、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択され;
Xは、ジチオエステル、トリチオカーボネート、キサンテートからなる群から選択される末端単位であり;
mは2から1,000,000の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
を含む組成物。
【請求項2】
ブラシ状コポリマーのMが、シクロオクタジエンまたはノルボルネンの開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ブラシ状コポリマーのMおよびMが、スチレン、イソプレン、メチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、無水マレイン酸、酢酸ビニル、ビニルピリジンまたはビニルフェニルケトンの可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
コア−シェルブラシ状コポリマーが、式2
【化12】

[式中、mは2から1,000,000の整数であり、yは2から18の整数であり、xは1から100の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
を有する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
コアシェルブラシ状コポリマーを0.01%から50%の量にて含む、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
コアシェルブラシ状コポリマーがナノケージの形態である、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
コアシェルブラシ状コポリマー中に取り込まれているものが利益作用物質である、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
利益作用物質が、ヘアスタイリングポリマー、着色剤、ヘアコンディショナー、毛髪洗浄剤、育毛促進剤、パーマネントウェーブ化合物、ヘアリラクサー、アミノ酸、ビタミン、ヘアストレートナー、育毛刺激剤、抗菌化合物、抗真菌化合物、抗炎症性化合物、サンスクリーン剤およびこれらの混合物から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
利益作用物質が、抗真菌化合物、抗菌化合物、抗炎症性化合物およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
利益作用物質がサリチル酸である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
洗い流す製品である、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
シャンプーまたはコンディショナーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
式1の構造
【化13】

[式中、Mは、開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位であり;
Rは、アルキル、エーテル、エステルまたはアリール単位であり;
およびMは、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択され;
Xは、ジチオエステル、トリチオカーボネート、キサンテートからなる群から選択される末端単位であり;
mは2から1,000,000の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
を有するコア−シェルブラシ状コポリマーを含む組成物の、毛髪に利益作用物質を送達するための使用。
【請求項14】
式1の構造
【化14】

[式中、Mは、開環メタセシス重合(ROMP)から入手可能な単位であり;
Rは、アルキル、エーテル、エステルまたはアリール単位であり;
およびMは、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)によって入手可能な単位から独立に選択され;
Xは、ジチオエステル、トリチオカーボネート、キサンテートからなる群から選択される末端単位であり;
mは2から1,000,000の整数であり、nは2から500,000の整数であり、kは2から500,000の整数である。]
を有するコア−シェルブラシ状コポリマーを含む組成物を毛髪に適用することによって毛髪を処理する方法。

【公表番号】特表2010−511066(P2010−511066A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537587(P2009−537587)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061816
【国際公開番号】WO2008/064973
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】