説明

毛髪処理剤組成物

【課題】剤形に限定されず、かつ香料を必要とすることなく、簡便にアンモニア臭を低減させた毛髪処理剤組成物の提供。
【解決手段】アンモニア及び一般式(1)で表されるアルコキシアルカノールを含有する毛髪処理剤組成物。


〔R1〜R3は、メチル基又はエチル基を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアを含有する毛髪処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化染毛剤又は毛髪脱色剤における第1剤、パーマネントウェーブ剤における第1剤等、アルカリ剤を含有する毛髪処理剤において、アルカリ剤としてアンモニアを用いるのが一般的である。これは、アンモニアが弱アルカリであって頭皮への刺激の懸念が少ないこと、揮発性のため頭皮に残留する危険が少ないためと考えられる。
【0003】
このようにアンモニアは、毛髪処理剤に用いるのに適したアルカリ剤であるが、刺激臭を有するという問題がある。そこで、施術時の刺激臭を抑制するための提案が種々なされている。
【0004】
例えば、アンモニアを含有する第1剤の平均乳化粒子径を十分に小さくすることでアンモニアによる刺激臭や皮膚に対する刺激を低減した毛髪脱色又は染毛剤用乳化組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この組成物は、乳化系であることを前提にしており、油を含まない非乳化系には適用できないものである。
【0005】
また、パーマネントウェーブ剤の第1剤において、特定の香料を併用することが提案されている(特許文献2)。しかしながら、香料を用いる場合には、匂いを却って強くすることがあり、その選択が困難である。
【0006】
【特許文献1】特開2002-226342号公報
【特許文献2】特開2002-241237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、剤形に限定されることなく、簡便にアンモニア臭を低減させた毛髪処理剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、アンモニアを用いる毛髪処理剤組成物において、特定構造のアルコキシアルカノールを共存させることで、簡便にアンモニア臭を低減させることができることを見出した。
【0009】
本発明は、アンモニア及び一般式(1)で表されるアルコキシアルカノールを含有する毛髪処理剤組成物を提供するものである。
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中、R1〜R3は、メチル基又はエチル基を示す。〕
【発明の効果】
【0012】
本発明の毛髪処理剤組成物は、使用時のアンモニア臭が少なく、香料の配合量を低減させることができ、あるいは香調の自由度を上げることができる。更に、剤形に限定されないため、液状、クリーム等、目的に応じて自由に設計できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の毛髪処理剤組成物の代表的な形態としては、使用時に過酸化水素を含有する組成物(第2剤)と混合される二剤式染毛剤又は毛髪脱色剤の第1剤、他の剤と混合されることなくそのまま毛髪に適用されるパーマネントウェーブ剤又はストレートパーマ剤(以下、単に「パーマ剤」という)の第1剤が挙げられる。本明細書における各成分の含有量は、いずれの場合にも、第1剤の全量を基準とした濃度を示す。
【0014】
本発明で使用する一般式(1)で表されるアルコキシアルカノールとしては、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-エトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ペンタノール、3-エトキシ-3-メチル-1-ペンタノール等が挙げられる。代表的なものとして、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(ソルフィット;クラレ社)が挙げられる。この3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールは、室温で透明液状であって、水と自由に混合する。
【0015】
本発明の毛髪処理剤組成物中の上記アルコキシアルカノールの含有量は、十分なアンモニア臭抑制効果の点から、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.2〜2質量%である。
【0016】
本発明の毛髪処理剤組成物中のアンモニアの含有量は、一般的な染毛剤、脱色剤、パーマ剤で使用される範囲でよいが、一般的には0.05〜5質量%が好ましい。本発明の毛髪処理剤組成物がアンモニウム塩を含む場合、上記アンモニアの含有量は、これらアンモニウム塩をアンモニアに換算した量を含めた値である。本発明の毛髪処理剤組成物における好ましい媒体は水性媒体であり、好ましいpHは8〜12である。
【0017】
本発明の毛髪処理剤組成物が、毛髪脱色剤又はパーマ剤の第1剤である場合には、染料は含有せず、染毛用第1剤である場合には、酸化染料中間体又は直接染料を含有する。
【0018】
(酸化染料中間体)
酸化染料中間体としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカプラーを用いることができる。プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,3,2′-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4′-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾールとこれらの塩等が挙げられる。
【0019】
また、カプラーとしては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジンとこれらの塩等が挙げられる。
【0020】
プレカーサーとカプラーはそれぞれ2種以上を併用してもよく、プレカーサーとカプラーそれぞれの含有量は、染毛用第1剤中の0.01〜10質量%、特に0.1〜8質量%が好ましい。
【0021】
(直接染料)
直接染料としては、酸性染料、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等が挙げられる。酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、アシッドオレンジ3等が挙げられ、ニトロ染料としては、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等が挙げられ、塩基性染料としては、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等が挙げられる。
【0022】
直接染料は、2種以上を併用してもよく、酸化染料中間体と併用してもよい。またその含有量は、染毛用第1剤中の0.001〜10質量%、特に0.01〜6質量%が好ましい。
【0023】
本発明の毛髪処理剤組成物が、第2剤と混合することなく使用される第1剤である場合、すなわちパーマ剤の第1剤である場合、当該第1剤はケラチン還元性物質を含有する。ケラチン還元性物質としては、毛髪の構造タンパク質であるケラチンに対し還元能を有する化合物であればいずれでもよく、例えばチオグリコール酸、チオグリコール酸誘導体、チオグリコール酸又はチオグリコール酸誘導体の塩、システイン、システイン又はシステイン誘導体の塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、一般式(2)で表されるチオグリセリルアルキルエーテル、その誘導体及びそれらの塩、一般式(3)で表されるメルカプトアルキルアミド又はその塩等が挙げられる。
【0024】
【化2】

【0025】
〔式中、R4は水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はRa−O−Rb(Raは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Rbはメチレン基又は炭素数2〜4の直鎖若しくは分岐のアルキレン基)を示す。〕
【0026】
【化3】

【0027】
〔式中、pは0〜5の整数を示し、qは0〜3の整数を示し、rは2〜5の整数を示す。但し、pとqとが同時に0となることはない。〕
【0028】
これらの還元性物質のうち、特に好ましいものの例としては、チオグリコール酸、チオグリコール酸のグリセリルエステル、L-システイン、D-システイン、N-アシルシステイン、これらシステイン類のアンモニウム塩、4級アンモニウム塩及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エトキシヒドロキシプロパンチオール、エトキシエトキシヒドロキシプロパンチオール、メトキシエトキシヒドロキシプロパンチオール、イソプロポキシエトキシヒドロキシプロパンチオール等のチオグリセリルアルキルエーテル、メルカプトエチルプロパナミド、メルカプトエチルグルコナミド等が挙げられる。
【0029】
ケラチン還元性物質は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、パーマ用第1剤中に0.1〜20質量%配合するのが好ましく、特に3〜20質量%配合すると、充分な還元が行えるとともに、皮膚や毛髪に損傷を与えることがなく好ましい。
【0030】
〔アルカリ剤〕
本発明の毛髪処理剤組成物中には、アンモニア以外のアルカリ剤を含有してもよい。アンモニア以外のアルカリ剤としては、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩; 1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩; 炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。これらのアルカリ剤は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、十分な染毛・脱色効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、本発明の毛髪処理剤組成物中の0.05〜30質量%が好ましく、更に0.1〜20質量%、特に0.2〜10質量%が好ましい。
【0031】
上記アルカリ剤のうち、アンモウム塩としては炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムが好ましく、アルカノールアミン及びその塩としてはモノエタノールアミン及びその塩が好ましい。更には、これらの含有量が下記範囲であることが最も好ましい。第1剤中のアンモニア及びその塩をアンモニアとして換算した場合の含有量(X)と、モノエタノールアミン及びその塩をモノエタノールアミンとして換算した場合の含有量(Y)の合計が、十分な染毛・脱色効果、毛髪形状制御効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激、嗅覚刺激の低減の点から、0.05〜30質量%であることが好ましく、更には0.1〜20質量%、特に0.2〜10質量%であることが好ましい。また、X/Yの質量比が、0.01:1〜2:1であることが好ましく、更には0.02:1〜1:1、特に0.05:1〜0.5:1であることが好ましい。
【0032】
〔カチオン性ポリマー〕
本発明の毛髪処理剤組成物には、優れた使用感を付与するために、更にカチオン性ポリマーを含有させることが好ましい。カチオン性ポリマーとは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となる両性ポリマーも含まれる。すなわち、カチオン性ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特にシャンプー時の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さ、乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という効果及び剤の安定性の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、カチオン化セルロース誘導体がより好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体が最も好ましい。
【0033】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体の骨格としては、次の一般式(4)又は(5)で示されるものが好ましい。
【0034】
【化4】

【0035】
〔式中、R5及びR6は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R7及びR8は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を示し、An-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。〕
【0036】
ジアリル4級アンモニウム塩と共重合体を構成するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩、アクリルアミドが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩が好ましい。アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩とジアリル4級アンモニウム塩との共重合体は、ジアリル4級アンモニウム塩の構成比率が高く、全体としてカチオン性ポリマーとなる。
【0037】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリクオタニウム-6,例えばマーコート100;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22,例えばマーコート280,同295;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7,例えばマーコート550;Nalco社)等が挙げられ、なかでもマーコート280、同295が好ましい。
【0038】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体としては、次の一般式(6)で表されるものが好ましい。
【0039】
【化5】

【0040】
〔式中、R9は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R10、R11及びR12は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、Bは酸素原子又はイミノ基を示し、aは1〜10の整数を示し、bとcはその和が20〜8000となる数を示し、An-は前記と同じ意味を示す。〕
【0041】
本発明で用いられる4級化ポリビニルピロリドン誘導体の分子量としては1万〜200万、特に5万〜150万が好ましい。市販品としては、ガフコート734、同755、同755N(以上、アイエスピー・ジャパン社)等が挙げられる。
【0042】
カチオン化セルロース誘導体としては、例えば次の一般式(7)で表されるものが好ましい。
【0043】
【化6】

【0044】
〔式中、Gはアンヒドログルコース単位の残基を示し、dは50〜2万の整数を示し、R13は、それぞれ次の一般式(8)で表される置換基を示す。〕
【0045】
【化7】

【0046】
〔式中、R14及びR15は炭素数2又は3のアルキレン基を示し、eは0〜10の整数を示し、fは0〜3の整数を示し、gは0〜10の整数を示し、R16は炭素数1〜3のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を、R17、R18及びR19は同一でも異なってもよく、炭素数10までのアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、また式中の窒素原子を含む複素環を形成してもよい。An-は前記と同じ意味を示す。〕
【0047】
カチオン化セルロース誘導体のカチオン置換度、すなわちアンヒドログルコース単位当りのfの平均値は、0.01〜1、特に0.02〜0.5が好ましい。また、e+gの合計は平均1〜3である。カチオン置換度は、0.01未満では十分でなく、また1を超えてもかまわないが反応収率の点より1以下が好ましい。ここで用いるカチオン化セルロース誘導体の分子量は10万〜300万が好ましい。市販品としては、レオガードG、同GP(以上、ライオン社)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(以上、ユニオンカーバイド社)等が挙げられる。その他のカチオン化セルロース誘導体としてはヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられ、市販品としてはセルコートH-100、同L-200(以上、ナショナルスターチアンドケミカル社)等が挙げられる。
【0048】
これらカチオン性ポリマーは、2種以上を併用してもよく、またその含有量が多いほど効果が高いが、多すぎると安定性不良、剤単独での又は混合時の粘度低下を引き起こす。これらの点から、本発明の毛髪処理剤組成物中の0.001〜40質量%が好ましく、更には0.01〜20質量%、特に0.05〜10質量%が好ましい。
【0049】
〔シリコーン類〕
更に、本発明の毛髪処理剤組成物には、シリコーン類を含有させることができる。このようなシリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0050】
(1) ジメチルポリシロキサン
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
(CH3)3SiO-[(CH3)2SiO]k-Si(CH3)3
〔式中、kは3〜20000の数を示す。〕
【0051】
(2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3000〜100000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)、アミノエチルアミノプロピルジメチコーン(Aminoethylaminopropyl Dimethicone)、又はアミノプロピルジメチコーン(Aminopropyl imethicone)の名称でINCI辞典(米国,International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)第10版中に記載されているものが好ましい。このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング社)、DC 929(ダウコーニング社)、KT 1989(GE東芝社)等が挙げられる。N含量としては特に限定はされないが、0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%が特に好ましい。
【0052】
(3) その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0053】
シリコーン類は、2種以上を併用してもよく、その含有量は、本発明の毛髪処理剤組成物中の0.01〜20質量%が好ましく、更には0.05〜12質量%、特に0.3〜6質量%が好ましい。
【0054】
〔その他任意成分〕
本発明の毛髪処理剤組成物には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、高級アルコール、界面活性剤のほか、炭化水素類、動植物性油脂、高級脂肪酸類、天然又は合成の高分子、エーテル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、動植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0055】
〔剤型〕
本発明の毛髪処理剤組成物の剤形は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。媒体として、水及び必要により有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール類、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0056】
〔第2剤〕
本発明の毛髪処理剤組成物が、過酸化水素を含む第2剤と混合して使用される第1剤である場合、すなわち二剤式染毛剤又は毛髪脱色剤の第1剤である場合、当該第1剤と混合される第2剤は、水性媒体中に過酸化水素を含有する。過酸化水素の含有量は、十分な脱色・染毛効果、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、第2剤中の0.2〜20質量%、特に2〜10質量%が好ましい。また、この第2剤は、第1剤と混合するまで過酸化水素の分解を防止するため、弱酸性とし、過酸化水素の分解防止剤を含有させることが好ましい。
【0057】
本発明の毛髪処理剤組成物が、第2剤と混合することなく使用される第1剤である場合、すなわちパーマ剤の第1剤である場合、第1剤に続いて使用される第2剤は、酸化剤を含有する。酸化剤としては、臭素酸塩、過ホウ素酸塩、過酸化水素等が挙げられ、臭素酸塩及び過ホウ素酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。酸化剤の含有量は、過酸化水素の場合、縮毛矯正効果及び毛髪損傷防止の観点から、第2剤中に0.5〜3質量%、特に0.75〜2.5質量%が好ましい。
【0058】
これら第2剤には、通常の第2剤に用いられる成分や化粧品分野で用いられる成分を、目的に応じて加えることができ、その剤形は、例えば、液状、乳液状とすることができる。
【実施例】
【0059】
表1に示す毛髪脱色用第1剤及び表2に示す第2剤を調製し、この第1剤と第2剤を混合して毛髪の脱色処理を行ったときの「アンモニア揮散量」及び「アンモニアの刺激の強さ」について、下記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0060】
<評価方法>
「アンモニア揮散量」
80mm×80mm×25mmのディスポトレーに、第1剤を1g及び第2剤を1.5g量りとり、幅12mmのナイロン絵筆で1分間よく混合しながら厚さが均一となるようにトレー底面に塗り延し、そのトレーを40cm×40cm×30cm容量48Lのアクリルボックスに入れ、蓋をした後10分間放置する。ガステック社製の気体検知管No.3LAアンモニア(5-100ppm)の先端をアクリルボックス内に差込みアンモニア揮散量を測定した。
【0061】
「アンモニアの刺激の強さ」
気体検知管による測定直後に、匂いの専門パネル5名でアクリルボックス内の匂いを、次に示す7段階で官能評価した。評価は、5人が独立に行った後、結果を照合し、食い違いがあった場合には話し合い、いずれかの評価に統一した。
6:非常に強く感じる
5:かなり強く感じる(目に刺激がある)
4:強く感じる(鼻に刺激がある)
3:はっきり感じる
2:弱く感じる
1:ごくわずかに感じる
0:刺激なし
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア及び一般式(1)で表されるアルコキシアルカノールを含有する毛髪処理剤組成物。
【化1】

〔式中、R1〜R3は、メチル基又はエチル基を示す。〕
【請求項2】
使用時に過酸化水素を含む組成物と混合されるものである請求項1記載の毛髪処理剤組成物。
【請求項3】
更に、酸化染料を含有するものである請求項1又は2記載の毛髪処理剤組成物。
【請求項4】
更に、ケラチン還元性物質を含むものである請求項1記載の毛髪処理剤組成物。

【公開番号】特開2009−35504(P2009−35504A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200317(P2007−200317)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】