説明

毛髪化粧料用原料及びそれを用いた毛髪化粧料

【課題】毛髪におけるキューティクルリフトアップを抑制し、更に、使用後の毛髪の手触りやまとまり性がよく、適度なしっとり感等、を毛髪に付与することができる毛髪用化粧料用原料及びそれを用いた毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1.桜の抽出物を有効成分とする毛髪におけるキューティクルリフトアップ抑制剤。
2.桜の抽出物を有効成分とする毛髪保湿剤。
3.桜の抽出物を有効成分とする毛髪のまとまり性改善剤。
4.前記桜の抽出物は桜の花抽出物である上記1.〜上記3.の剤。
5.上記1.〜上記4.に記載の剤を含有する毛髪化粧料用原料。
6.桜の抽出物を有効成分とする毛髪化粧料用原料。
7.前記桜の抽出物は桜の花抽出物である上記6.に記載の毛髪化粧料用原料。
8.上記5.〜上記7.に記載の毛髪化粧料用原料を含有する毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪用化粧料に関する。より詳しくは桜のエキスを含有し、毛髪に対してしっとり感やなめらかさなどの優れた質感を付与することのできる毛髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヘアシャンプー、ヘアトリートメント、ヘアスタイリング剤などの毛髪用化粧料には、使用後の毛髪に対して、しっとり感、さらさら感、指どおりのよさ、なめらかさ、手触り感、まとまり性などの優れた質感や良好な艶などを付与できることが求められている。
【0003】
このような効果を発現させるために、毛髪用化粧料に種々の成分を配合させているが、成分によっては、肌荒れやアレルギー反応を起こしたり、毛髪用化粧料の安定性を損ねたりして、充分な効果が発揮されないことがある。
【0004】
こうした中、肌荒れなどを防止するために、植物エキスを配合した毛髪用化粧料が数多く提案および開示されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、これらは肌荒れなどを防止することを主眼としており、上述したような毛髪用化粧料に対して本来的に求められている毛髪に優れた質感や艶などを付与する効果という面では、必ずしも充分とはいえなかった。
【0005】
特に、近年、このような毛髪用化粧料に対する要求は高まる一方であり、より優れた効果を発揮する毛髪用化粧料が求められている。
【0006】
また、シャンプーは、毛髪特にキューティクル表面上に付着した外界由来、皮脂由来あるいはヘアケア製品由来の汚れを除去するために広く用いられている。現在市販されているシャンプーの殆どはアニオン性界面活性剤をベースとするものであるが、斯かる界面活性剤は、キューティクル表面上から汚れを除去するのみでなく、洗髪過程でキューティクル自体を脱落させ、パサつきや枝毛、切れ毛を引き起こすといった問題を有している。
【0007】
斯かるアニオン性界面活性剤によるキューティクルの脱落に関し、本発明者らは、毛髪がアニオン性界面活性剤水溶液に浸漬されることにより、キューティクルが顕著な膨潤やめくれ上がり(以下、「キューティクルリフトアップ」という)を生じ、さらに洗髪過程での擦り合いによってそのキューティクルが脱落するという現象を見出し、洗髪過程でのキューティクルの脱落は、アニオン性界面活性剤によるキューティクルリフトアップに起因することが知られている(特許文献2〜4参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−338451号公報
【特許文献2】特開平3−48609号公報
【特許文献3】特開昭59−84996号公報
【特許文献4】特開2004−196794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、即ち、毛髪におけるキューティクルリフトアップを抑制し、更に、使用後の毛髪の手触りやまとまり性がよく、指どおりがなめらかであり、適度なしっとり感、さらさら感、潤い感などの優れた質感、良好な艶を毛髪に付与することができる毛髪用化粧料用原料及びそれを用いた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1.桜の抽出物を有効成分とする毛髪におけるキューティクルリフトアップ抑制剤。
2.桜の抽出物を有効成分とする毛髪保湿剤。
3.桜の抽出物を有効成分とする毛髪のまとまり性改善剤。
4.前記桜の抽出物は桜の花抽出物である上記1.〜上記3.の剤。
5.上記1.〜上記4.に記載の剤を含有する毛髪化粧料用原料。
6.桜の抽出物を有効成分とする毛髪化粧料用原料。
7.前記桜の抽出物は桜の花抽出物である上記6.に記載の毛髪化粧料用原料。
8.上記5.〜上記7.に記載の毛髪化粧料用原料を含有する毛髪化粧料。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】試験例1において、毛髪のキューティクルリフトアップの状態を撮影した写真である。
【図2】試験例2において毛髪の保湿性を示すグラフである。
【図3】試験例3において、毛髪のまとまり性を撮影した写真である。
【図4】試験例3において、毛髪のまとまり性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の毛髪化粧料用原料は桜の抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
サクラ(桜、櫻)は、バラ科サクラ属(Prunus)の植物のうち、ウメ、モモ、アンズなどを除いた総称である。
【0013】
本発明で用いる桜の種は特に限定されず、例えば、ヤマザクラ群、エドヒガン群、マメザクラ群、チョウジザクラ群、ミヤマザクラ群、シナミザクラ群等の群に属する桜を用いることができるが、これらの群に限定されない。具体的には、例えばサクラ(チェリー) (Prunus cerasus等)、セイヨウミザクラ(Prunus avium)、カンヒザクラ(Prunus campanulata)、スミミザクラ(Prunus cerasus)、ヤマザクラ(Prunus jamasakura)、カスミザクラ(Prunus leveilleana)エドヒガン(Prunus pendula)シナミザクラ(Prunus pseudocerasus)、オオシマザクラ Prunus
speciosa、カスミザクラ(Prunus verecunda)、モチヅキザクラ(Prunus × mochizukiana)、ソメイヨシノ(Prunus × yedoensis)、ヤエザクラ(Prunus lannesiana)等を用いることができるがこれらに限定されない。
【0014】
本発明の原料で用いる桜の部位は特に限定されず、葉、茎、幹、花、根、果実等が挙げられるが、葉又は花を用いることが好ましい。
【0015】
ここで、極性溶媒抽出にて抽出する場合、用いる極性溶媒は特に限定されないが、たとえば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。これらのうち、水、メタノール、エタノールが好ましい。有効成分を効率よく抽出できるからである。尚、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0016】
抽出溶媒として水を使用する場合には、抽出温度0〜100℃、好ましくは10〜60℃程度で行うとよい。これは、抽出温度が高すぎると桜に含有している有効成分が分解されやすくなるからである。抽出用の水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水等を使用することができる。
【0017】
抽出溶媒として含水アルコールを使用する場合、アルコール濃度20wt%以上、好ましくは25〜50wt%であることが好ましい。20wt%未満の場合、高い抽出量の有効成分を得ることが困難だからである。また、アルコール濃度が30wt%以上の場合、抽出温度は、0〜95℃、好ましくは0〜60℃程度で行うとよい。なお、含水エタノール抽出は、有効成分の含有率を向上させるため、種々の濃度で繰り返すとよい。
【0018】
また、極性溶媒にて抽出する場合、その抽出方法は特に限定されず、例えば、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出等任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。尚、上述した方法にて抽出を行う場合、これらのうちの1つのみを行っても良いし、これらの方法を組み合わせても良い。また、これらの抽出は、1回のみ行っても良いし、2回以上行っても良い。
【0019】
具体的な方法としては、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒として水または含水アルコールを用いる場合には、抽出原料の3〜100倍量程度(重量比)の極性溶媒を使用し、1分〜150時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって、抽出液を得る。その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施し、高濃度のポリフェノール等の有効成分を含有する抽出物(毛髪化粧料用原料)を得る。
なお、精製方法としては、例えば、活性炭処理、樹脂吸着処理、シリカゲル処理、イオン交換樹脂、液−液向流分配、膜分離等の方法が挙げられる。
【0020】
更に、超臨界抽出により抽出を行う場合、このときに用いる超臨界流体は特に限定されないが、たとえば、二酸化炭素及び窒素等が挙げられる。尚、これらは1種のみを用いても良いし、2種類以上併用しても良い。また、これらのうち特に二酸化炭素が好ましい。より容易に有効成分を抽出することができるからである。また、このときの抽出方法は、公知の方法にて行えばよい。その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施し、高濃度のポリフェノール等の有効成分を含有する抽出物(毛髪化粧料用原料)を得る。
【0021】
本発明の毛髪化粧料は主として上記毛髪化粧料用原料を有効成分とすることを特徴とする。ここで、毛髪化粧料はシャンプー、リンス、トリートメント等に用いることができる。
【0022】
ここで、本発明の毛髪化粧料をシャンプーとして用いる場合、上記毛髪化粧料用原料と、洗浄剤、コンディショニング剤等を配合することが好ましい。
【0023】
洗浄剤として、以下の成分を用いることができる。
アニオン性界向活性剤:脂肪酸セッケン、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミタゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
【0024】
コンディショニング剤として、以下の成分を用いることができる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0025】
本発明の毛髪化粧料をヘアリンス、ヘアトリートメントとして、上記毛髪化粧料用原料と用いる場合、通常、油剤、コンディショニング剤、乳化剤等を用い、更に増粘剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤等を配合することが好ましい。
【0026】
このとき、油剤として、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル油、炭化水素油、天然油シリコーン油等をもちいることができる。具体的には、以下のものを用いることができる。
(1)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2−エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
(2)高級脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。
(3)エステル油の例
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12−18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
(4)炭化水素油の例
スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
(5)天然油の例
牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
(6)シリコーン油の例
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
【0027】
コンディショニング剤として、カチオン系界面活性剤、シリコーン油等を用いることができる。
カチオン系界面活性剤として、上述したシャンプーと同様の成分を使用することができる。更に、シリコーン油についても上述した油剤に使用するものと同様のものを使用することができる。
【0028】
乳化剤として、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等をもちいることができる。ここで、カチオン系海面活性剤として、上述したシャンプーに使用したものと同様のものを用いることができる。
またノニオン系界面活性剤として、PEG-80水添ひまし油、POEセチルエーテル等のPOEアルキルエーテル、POEプロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン等を用いることができる。
【0029】
増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース等を用いることができるが、これに限定されない。
【0030】
安定剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エタノール等を用いることができる。
【0031】
尚、本発明の毛髪化粧料は、これらの他に、整髪剤(ヘアジェル、ヘアワックス、ヘアクリーム、ヘアスプレー等)、ヘアカラー剤(酸化染毛剤、酸性染毛剤、非酸染毛剤等)、育毛剤等にも用いることができる。
【0032】
本発明の毛髪用化粧料の調整法は、特に限定されず、各用途に応じた成分と、上記毛髪化粧料用原料とを配合して、均一になるように攪拌・混合等を行なえばよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明によって得られる毛髪化粧料の機能用途の確認を行うための説明であり、本発明の範囲は、これらの製品および製法に限定されるものではない。
桜の抽出物(葉、花)の製造
桜[ヤエザクラ (カンザン), Prunus lannesiana Wils. cv. Sekiyama]の花部を30%(W/W)含水エタノールで1時間抽出(60℃)を行った。その後、ろ過、濃縮を行い、桜の花抽出物を得た。
【0034】
毛髪試料の作成
化学処理を行っていない同一人毛(中国人毛)を用いて毛束を作成し,ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分2.0%)に40℃で30分間浸漬し,流水洗浄後,ドライヤーで乾燥したものを健常毛試料(Normal)とした。ブリーチ(損傷)処理として,1%アンモニア,3%過酸化水素溶液に毛髪を浸漬し,30℃にて40分放置後,流水洗浄し,ドライヤー乾燥した。この操作を3回繰り返し,損傷毛髪を作成した。
損傷毛髪を,固形分1.0%に調整した桜の花抽出物の水溶液に浸漬し,40℃で10分間振とう後,流水洗浄し,タオルドライ後ドライヤー乾燥した。この操作を10回繰り返し,桜の花抽出物処理毛試料(Sakura)とした。比較として水で同様に処理した毛髪を損傷毛試料(Control)とした。健常毛,損傷毛髪,桜の花抽出物処理毛の各試料は一晩室温で放置した物で評価を行った。
【0035】
試験例1:走査型電子顕微鏡(SEM)による毛髪表面の観察
実験方法
桜の花抽出物のキューティクル修繕作用を確認するため,走査型電子顕微鏡(JSM-5400 SCANNING MICRO SCOPE:日本電子社製)で健常毛,損傷毛髪,桜の花抽出物処理毛の毛髪表面をそれぞれ350倍,1000倍,2000倍で観察した。その結果を図1に示す。
【0036】
結果及び実施例の効果
図1によれば、Normalと比較し,ControlとSakuraはキューティクルのめくれ(リフトアップ)が観察された(図1の円内部参照)。ControlとSakuraを比較すると,Controlの方がSakuraに比べ,リフトアップが目立ちSakuraはリフトアップを抑えていた。これにより、桜の花抽出物はキューティクルのリフトアップを抑制することが確認された。
【0037】
試験例2:毛髪の保湿力評価
実験方法
ControlとSakuraの毛髪試料を,電子水分量計(MA50:ザルトリウス社製)を用いて二次蒸散水分量を測定し,保湿性の評価を行った。
【0038】
結果及び試験例2における実施例の効果
二次蒸散水分率の結果から,Controlと比較し,Sakuraは有意に保湿性が高かった。これにより、桜の花抽出物は、毛髪における優れた保湿性を有するので、適度なしっとり感、さらさら感、潤い感などの優れた質感、良好な艶などを毛髪に付与することができることが確認された。
【0039】
試験例3:毛髪のまとまり感評価
実験方法
調整した3種の毛髪サンプル1gで毛束を作成し,結束部からの長さを15 cmにカットして調節したものを,室内で1晩放置した。湿度47%Rh,室温20℃条件下で一般的な市販ブラシでブラッシングし,髪の毛の広がり(まとまり)の観察を行った。そのときにおける毛髪の状態を撮影した。その結果を図3に示す。また、各試料毛髪の広がりを結束部より下5 cmの広がり幅を測定することで毛髪のまとまり感を評価した。その状態を広がり幅の測定は,30回のブラッシングをした後,手櫛にてまとめる操作を5回行った平均を示した。その結果を図4に示す。
【0040】
結果及び試験際3における実施例の効果
図3に示すように、観察結果から,各試料はブラッシング回数を増やすと,毛束が広がることを確認した。特にNormalとControlは毛髪一本一本が浮き上がり,互いに反発しあっているのが見られた。Sakuraはこれらと比較し,毛髪の広がりが抑えられている事が確認された。
図4.には毛髪の広がりを一定のスケールで示した。NormalやControlと比較し,Sakuraは毛髪の広がりを抑え,30回ブラッシング後には結束部より下50 mmの広がり幅は1/2程度に抑えられた。これにより、桜の花抽出物は優れた毛髪のまとまり性を有することが確認された。
【0041】
Sakura試料は桜の花抽出物にコーティングされることで,保湿力があると考えられるため,乾燥からくる静電気の発生による毛髪の広がりを抑えたと考えられる。
【0042】
本発明による毛髪化粧料用原料(桜の花抽出物)の配合例を示す。
配合例1:シャンプー
POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム 30.0wt%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
グリセリン 1.0
フェノキシエタノール 0.2
安息香酸ナトリウム 3.0
メチルパラベン 0.1
桜の花抽出物 0.1
乳酸 適量
精製水 適量
合計 100.0wt%
【0043】
配合例2:リンス
ジメチコン 3.0wt%
グリセリン 3.0
セチルアルコール 1.5
ステアリルアルコール 1.0
流動パラフィン 1.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.7
フェノキシエタノール 0.2
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.1
桜の花抽出物 0.1
精製水 適量
合計 100.0wt%
【0044】
配合例3:トリートメント
ベヘントトリモニウムメトサルフェート 2.50wt%
セテアリルアルコール 2.50
ミリスチン酸PPG−3ベンジルエーテル 10.00
水添ポリイソブテン 5.00
酸化防止剤 0.05
ブチレングルコール 5.00
メチルパラベン 0.20
桜の花抽出物 0.10
精製水 適量
合計 100.00wt%
【0045】
配合例4:ヘアジェル
カルボキシビニルポリマー 0.7wt%
ポリビニルピロリドン 2.0
グリセリン 3.0
エチルアルコール 20.0
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 2.0
桜の花抽出物 0.1
香料 0.3
キレート剤 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
合計 100.0
【0046】
配合例5:ヘアワックス
ステアリン酸 5.0wt%
ミリスチン酸イソプロピル 4.0
コハク酸ジ2エチルヘキシル 4.0
キャンデリラロウ 3.0
マイクロクリスタリンワックス 5.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 0.3
高重合ポリエチレングリコール 0.3
桜の花抽出物 0.5
香料 0.3
キレート剤 0.1
フェノキシエタノール 0.5
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
合計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上、説明したとおり、本発明は、毛髪におけるキューティクルリフトアップを抑制し、更に、使用後の毛髪の手触りやまとまり性がよく、指どおりがなめらかであり、適度なしっとり感、さらさら感、潤い感などの優れた質感、良好な艶を毛髪に付与することができる毛髪用化粧料用原料及びそれを用いた毛髪化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桜の抽出物を有効成分とする毛髪におけるキューティクルリフトアップ抑制剤。
【請求項2】
桜の抽出物を有効成分とする毛髪保湿剤。
【請求項3】
桜の抽出物を有効成分とする毛髪のまとまり性改善剤。
【請求項4】
前記桜の抽出物は桜の花抽出物である請求項1〜請求項3の剤。
【請求項5】
請求項1〜請求項4に記載の剤を含有する毛髪化粧料用原料。
【請求項6】
桜の抽出物を有効成分とする毛髪化粧料用原料。
【請求項7】
前記桜の抽出物は桜の花抽出物である請求項6に記載の毛髪化粧料用原料。
【請求項8】
請求項5〜請求項7に記載の毛髪化粧料用原料を含有する毛髪化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−201802(P2011−201802A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69496(P2010−69496)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【Fターム(参考)】