説明

毛髪化粧料組成物

【課題】振とうによる発泡において、セルロース系増粘剤の効果を発揮させることの容易な毛髪化粧料組成物を提供する。
【解決手段】毛髪化粧料組成物は、酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される。毛髪化粧料組成物は、セルロース系増粘剤を粉末の形態で含有する主剤と、水及び低級アルコールを含有するとともに前記主剤と使用時に混合される副剤とを備えている。副剤のpHは5〜8である。毛髪化粧料組成物中における低級アルコールの含有量は、0.1〜10.0質量%であることが好ましい。低級アルコールに対するセルロース系増粘剤の質量比は、0.2〜25の範囲であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びエチルアルコールを含有する酸化染毛剤が開示されている。また、特許文献2及び3には、フォーマー容器を用いて泡状の剤型とする毛髪化粧料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−86471号公報
【特許文献2】特開2007−314523号公報
【特許文献3】特開2004−339216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物では、振とうにより発泡させることで、例えばフォーマー容器のような複雑な容器を用いずに泡状の剤型にすることができるという利点がある。振とうにより形成された泡の消泡を抑制するには、増粘剤を用いることが有効である。こうした増粘剤の中でも、セルロース系増粘剤は、例えば皮膚に対する刺激が少ないという観点から好適に用いることができる。ここで、酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤は、化学反応を伴うため、複数の剤を使用時に混合する構成とされている。こうした毛髪化粧料組成物において、セルロース系増粘剤を粉末の形態で含有する剤と水系分散媒を含有する剤とを、使用時に接触させるとともに振とうする構成とすることで、セルロース系増粘剤をより均一に分散させることができるようになる。ところが、セルロース系増粘剤自体の溶解性又は膨潤性は必ずしも良好ではないため、振とうによる発泡においてセルロース系増粘剤の効果が発揮され難いおそれがあった。その結果、効率よく発泡が行われ難くなったり、発泡操作を完了した直後の発泡状態が維持され難くなったりするおそれがある。
【0005】
そこで本発明の目的は、振とうによる発泡において、セルロース系増粘剤の効果を発揮させることの容易な毛髪化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪化粧料組成物は、酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、セルロース系増粘剤を粉末の形態で含有する主剤と、水及び低級アルコールを含有するとともに前記主剤と使用時に混合される副剤と、を備え、前記副剤のpHは5〜8であることを要旨とする。
【0007】
なお、振とうにより発泡させるときの操作の具体例は、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作を含む。振とうにより発泡させるときの操作は、前記具体例の一種を使用してもよいし、前記具体例のうち、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、セルロース系増粘剤を粉末の形態で含有する主剤と、低級アルコールを含有するとともに前記主剤と使用時に混合される副剤と、を備え、前記主剤は、pHが5〜8の水系分散媒に混合された後に前記副剤と混合されることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物において、前記毛髪化粧料組成物中における前記低級アルコールの含有量が0.1〜10.0質量%であることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物において、前記低級アルコールに対する前記セルロース系増粘剤の質量比が0.2〜25の範囲であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振とうによる発泡において、セルロース系増粘剤の効果を発揮させることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)〜(d)は、実施形態における毛髪化粧料組成物の使用方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明を毛髪脱色剤として構成される毛髪化粧料組成物に具体化した第1の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
毛髪脱色剤は、(A)セルロース系増粘剤を粉末の形態で含有する主剤と、水及び(B)低級アルコールを含有するとともに主剤と使用時に混合される副剤とから構成されている。この毛髪脱色剤は、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される。副剤のpHは5〜8の範囲とされている。なお、主剤は粉末状の剤型であるとともに、副剤は液状の剤型である。
【0015】
主剤に含有されるセルロース系増粘剤(A)は、毛髪脱色剤を増粘させることで、その発泡状態を維持させる。セルロース系増粘剤の具体例は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース、並びにそれらの塩を含む。塩の具体例は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩を含む。
【0016】
使用されるセルロース系増粘剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上のセルロース系増粘剤を組み合わせて使用してもよい。セルロース系増粘剤の粒子径は、例えば400μm以下であることが好ましい。
【0017】
毛髪脱色剤中におけるセルロース系増粘剤の含有量は、好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.5〜8.0質量%である。セルロース系増粘剤の含有量が0.1質量%以上の場合、毛髪脱色剤を発泡状態に維持させる効果が顕著に得られ易い。セルロース系増粘剤の含有量が10.0質量%を超える場合、毛髪に毛髪脱色剤が馴染み難くなるおそれがある。
【0018】
主剤には、酸化剤、及びアルカリ剤が含有される。
酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色する。本実施形態では、25℃(常温)で固体状の酸化剤が使用される。酸化剤の具体例は、例えば、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物を含む。
【0019】
使用される酸化剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上の酸化剤を組み合わせて使用してもよい。
酸化剤の含有量は、毛髪脱色剤中において0.01〜20質量%であることが好ましい。
【0020】
アルカリ剤は、毛髪の脱色を促進する。本実施形態では、25℃(常温)で固体状のアルカリ剤が使用される。アルカリ剤の具体例は、例えば、ケイ酸塩、炭酸塩(炭酸水素塩を含む)、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、及びリン酸塩を含む。ケイ酸塩の具体例は、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、及びケイ酸マグネシウムを含む。炭酸塩の具体例は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウムを含む。メタケイ酸塩の具体例は、例えば、メタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムを含む。硫酸塩の具体例は、例えば、硫酸アンモニウムを含む。塩化物の具体例は、例えば、塩化アンモニウムを含む。リン酸塩の具体例は、例えば、リン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムを含む。
【0021】
使用されるアルカリ剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。
副剤に含有される水は、剤型を泡状とするための基材である。毛髪脱色剤中における水の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
【0022】
副剤に含有される(B)低級アルコールは、上記セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤を促進させる。低級アルコールは、炭素数1〜5の一価アルコールを含む。低級アルコールの具体例は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びペンタノールを含む。
【0023】
使用される低級アルコールは一種類のみであってもよいし、二種類以上の低級アルコールを組み合わせて使用してもよい。
毛髪脱色剤中における低級アルコールの含有量は、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤を促進させる効果が顕著に得られ易くなるという観点から、好ましく0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.15〜4.5質量%である。この毛髪脱色剤中における低級アルコールの含有量が10.0質量%を超える場合、発泡状態が維持され難くなる。
【0024】
毛髪脱色剤中において、(B)低級アルコールに対する(A)セルロース系増粘剤の質量比(質量比=(A)セルロース系増粘剤の質量/(B)低級アルコールの質量)は、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤を促進させる効果が顕著に得られ易くなるという観点から、0.2〜25の範囲であることが好ましく、0.5〜17の範囲であることがさらに好ましい。
【0025】
副剤のpHは5〜8の範囲であることにより、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤を促進させる。副剤のpHが5未満の場合、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤が不十分となり、しかも副剤が皮膚に付着したときの刺激が強まるおそれがある。副剤のpHが8を超える場合、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤が不十分となる。
【0026】
副剤のpHは、副剤の1質量%の水溶液を25℃において測定した値である。副剤のpHは、常法に従って、例えばpH調整剤を用いることで上記範囲に調整することができる。
【0027】
毛髪に適用される毛髪脱色剤のpHは8〜11となるように構成されることが好ましい。毛髪脱色剤のpHが8未満の場合、毛髪の明度が十分に得られないおそれがある。毛髪脱色剤のpHが11を超える場合、毛髪脱色剤が皮膚に付着したときの刺激が強まるおそれがある。
【0028】
毛髪脱色剤のpHは、主剤と副剤とを混合した混合物の1質量%水溶液を25℃において測定した値である。毛髪脱色剤のpHは、例えば、酸化剤の含有量、又はアルカリ剤の含有量を調整したり、pH調整剤を含有させたりすることで上記範囲に調整することができる。
【0029】
毛髪脱色剤には、界面活性剤が含有されることで、毛髪脱色剤の発泡性が高められる。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種が好適である。
【0030】
アニオン性界面活性剤の具体例は、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸塩、及びスルホコハク酸エステルを含む。界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。例えばアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩を使用することができる。例えばアルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、及びセチル硫酸ナトリウムを使用することができる。例えばスルホコハク酸エステルとしては、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムを使用することができる。
【0031】
両性界面活性剤の具体例は、例えば、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩、N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩、及びヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンを含む。
【0032】
脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインの具体例は、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン、又はヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインと呼ばれることもある。)、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン、又はラウリン酸アミドプロピルベタインと呼ばれることもある。)、及びリシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを含む。脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインは、その塩として配合してもよい。塩の具体例は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩を含む。
【0033】
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインの具体例は、例えば、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを含む。アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインは、その塩として配合してもよい。塩の具体例は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びトリエタノールアミン塩を含む。
【0034】
N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩の具体例は、例えば、ココアンホ酢酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンであり、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインと呼ばれることもある。)、ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、及び綿実アンホ酢酸Naを含む。
【0035】
N−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩の具体例は、例えば、ココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Naを含む。
【0036】
非イオン性界面活性剤の具体例は、例えば、エーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、及びPOEセチルステアリルジエーテルを含む。
【0037】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例は、例えば、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、及びショ糖脂肪酸エステルを含む。
【0038】
使用される上記界面活性剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上の上記界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
毛髪脱色剤は、必要に応じてカチオン性界面活性剤、油性成分、水溶性高分子化合物、キレート剤、無機塩、又は分散剤をさらに含有してもよい。
【0039】
カチオン性界面活性剤の具体例は、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアリルトリモニウムクロリド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアルミニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びクオタニウム−91を含む。
【0040】
油性成分の具体例は、例えば、油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンを含む。
油脂の具体例は、例えば、ラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油を含む。ロウの具体例は、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンを含む。高級アルコールの具体例は、例えば、セチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールを含む。
【0041】
炭化水素の具体例は、例えば、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンを含む。
【0042】
高級脂肪酸の具体例は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸を含む。アルキルグリセリルエーテルの具体例は、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルを含む。
【0043】
エステルの具体例は、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルを含む。
【0044】
シリコーンの具体例は、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンを含む。
【0045】
多価アルコールの具体例は、例えば、グリコール、及びグリセリンを含む。グリコールの具体例は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールを含む。グリセリンの具体例は、例えば、グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンを含む。
【0046】
水溶性高分子化合物の具体例は、例えば、アルギン酸ナトリウムを含む。キレート剤の具体例は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類を含む。無機塩の具体例は、例えば、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムを含む。分散剤の具体例は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、酸化チタン、及びデンプンを含む。
【0047】
毛髪脱色剤は、例えば、糖類、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種をさらに含有してもよい。
【0048】
主剤の剤型は、全体として粉末状の剤型であって、その一部に粒状物が含まれていてもよい。副剤における液状の剤型の具体例は、例えば、水溶液状、分散液状、及び乳化液状を含む。
【0049】
以上のように構成された主剤と副剤は、個別に包装された包装体として使用時まで保管される。なお、各剤の包装形態としては、特に限定されず、例えばボトル包装、ピロー包装、及びチューブ包装のいずれであってもよい。こうした主剤及び副剤は、振とうによる発泡を行うための発泡用具を備える脱色用品として提供されることが好ましい。
【0050】
次に、発泡用具について説明する。
本実施形態の発泡用具は、毛髪脱色剤を液密に閉塞可能とする閉塞可能容器である。図1(a)に示されるように、閉塞可能容器20は、有底筒状の容器本体21と、容器本体21の開口部を閉塞する蓋体22とを備えている。
【0051】
蓋体22の周縁部にはフランジ状の嵌合部が形成されており、この嵌合部が容器本体21の開口部に嵌合されるようになっている。なお、本実施形態の閉塞可能容器20では、嵌合部を容器本体21の開口部に嵌合させて蓋体22を回転させることで蓋体22が液密に装着されるようになっているが、容器本体21を閉塞させる構造は特に限定されない。例えば、蓋体に凹条を形成するとともにその凹条を容器本体の開口部周縁に形成した凸条に圧入させる構造により閉塞可能としてもよい。
【0052】
閉塞可能容器20は、主剤の包装体11及び副剤の包装体12が収容可能に形成されている。閉塞可能容器20では、それを毛髪脱色剤10の外装容器として、各剤をまとめて保管することができる。なお、本実施形態の閉塞可能容器20には、脱色処理時に用いられる手袋、説明書等の付属品も収容されるように形成されている。こうした閉塞可能容器は、軽量化の観点から、樹脂材料、又は、耐水性を付与した紙材料から形成されることが好ましい。また、容器本体21の外面には、例えばシュリンクフィルムを用いた印刷を付与することもできる。
【0053】
脱色用品を用いて脱色処理を施すには、まず、主剤の包装体11、及び副剤の包装体12を容器本体21から取り出し、各包装体11,12を開封した後、図1(b)に示されるように各剤を容器本体21に投入する。このとき、主剤に含まれるセルロース系増粘剤の粉末は、副剤に接触される。
【0054】
続いて、図1(c)に示されるように容器本体21に蓋体22を装着し、閉塞可能容器20を上下に振る操作を行う。このとき、閉塞可能容器20内では、各剤が混合されるとともに各剤の混合物である毛髪脱色剤が上下に振とうされることで毛髪脱色剤に空気が混入される。このように毛髪脱色剤に空気を振り混ぜる操作により、毛髪脱色剤の発泡が開始される。そして、閉塞可能容器20を所定の回数振ることで、発泡操作を完了する。この発泡操作により、図1(b)に示される発泡前の毛髪脱色剤13から、図1(d)に示される泡状の毛髪脱色剤14が調製される。
【0055】
ここで、上記副剤には水及び低級アルコールが含有されている。この副剤のpHは5〜8であることで、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤が促進される。
続いて、泡状の毛髪脱色剤14を例えば手で取り出して毛髪に塗布する。このとき、毛髪脱色剤は泡状をなしているため、毛髪に容易に馴染ませることができる。こうして毛髪脱色剤が塗布された毛髪を所定時間放置することで、毛髪が脱色される。続いて、毛髪上の毛髪脱色剤を水又は温水で洗い流すことで、脱色処理が完了される。
【0056】
ここで、容器本体21はその底壁よりも開口部が拡径された有底筒状をなすことで、例えば手により毛髪脱色剤を容易に取り出せるように構成されている。また、容器本体21の内面は曲面状をなすことで、例えば手により毛髪脱色剤を取り出す際に、毛髪脱色剤が容器本体21の内面に残留し難くなっている。
【0057】
毛髪脱色剤の質量(g)に対する閉塞可能容器20の内容量(mL)の比率(mL/g)は、2〜15の範囲であることが好ましい。前記比率(mL/g)が2以上の場合、上記振とう操作を行った際に、閉塞可能容器20内における毛髪脱色剤の移動量が確保され易くなるため、毛髪脱色剤への空気の混入が促進されるようになる。この結果、毛髪脱色剤を十分に発泡させるまでの振とう回数を削減することができる。一方、前記比率(mL/g)が15を超える場合、毛髪脱色剤の発泡操作完了後において、閉塞可能容器20内に余剰となる空間が増すことで、発泡後の毛髪脱色剤14を取り出し難くなるおそれがある。
【0058】
上記発泡においては、毛髪脱色剤1g当たり2〜13mLの範囲となるように発泡させることが好ましく、3〜10mLの範囲となるように発泡させることがより好ましい。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0059】
(1)上記副剤には水及び低級アルコールが含有されている。この副剤のpHは5〜8である。これにより、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤が促進されるため、振とうによる発泡において、セルロース系増粘剤の効果を発揮させることが容易となる。従って、例えば、消泡が抑制されることで効率よく発泡が行われるようになる。また、形成された泡について消泡が抑制されるため、発泡操作を完了した直後の発泡状態が維持され易くなる。
【0060】
(2)毛髪脱色剤中における低級アルコールの含有量は、0.1〜10.0質量%であることが好ましい。この場合、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤を促進させる効果が顕著に得られ易くなり、発泡状態が維持され易くなる。
【0061】
(3)低級アルコールに対するセルロース系増粘剤の質量比は、0.2〜25の範囲である。この場合、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤を促進させる効果が顕著に得られ易くなる。
【0062】
(4)前記発泡操作は、毛髪脱色剤に空気を振り混ぜる操作である。こうした発泡操作は、熟練を要しない分かりやすい操作であるため、簡便に発泡させることができるとともに、そうした発泡操作を楽しむことができる。また、フォーマー容器のような複雑な構造の容器を用いずに、例えば閉塞可能容器により発泡させることができるようになる。このため、容器本体と蓋体といった極めてシンプルな発泡用具で発泡操作を行うことができる点において有利である。
【0063】
(5)本実施形態の脱色用品は、上記の毛髪脱色剤と、閉塞可能容器とを備えている。こうした脱色用品によれば、毛髪脱色剤に空気を振り混ぜる操作により、泡状の剤型とするという発泡操作を簡単に実施することができるようになる。従って、使用者は簡便に泡状の剤型の毛髪脱色剤を調製することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
以下、本発明を毛髪脱色剤として構成される毛髪化粧料組成物に具体化した第2の実施形態について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、第1の実施形態における副剤の構成が異なっている。
【0065】
本実施形態の副剤は、第1の実施形態の副剤に含まれる水の一部を省略した副剤である。この副剤はpH5〜8であってもよいし、8を超えるものであってもよい。副剤のpHは、皮膚に対する刺激を抑制するという観点から、好ましくは11以下に調整される。
【0066】
本実施形態の主剤は、pHが5〜8の水系分散媒に混合された後に副剤と混合される。この水系分散媒は、水のみから構成されてもよいし、例えば副剤に含有される低級アルコールの一部を含有する構成であってもよい。毛髪に適用される毛髪脱色剤のpHは8〜11となるように構成されることが好ましい。
【0067】
主剤に含有されるセルロース系増粘剤は、粉末状態でpHが5〜8の水系分散媒に接触、及び混合される。そして、副剤には低級アルコールが含有されている。このため、セルロース系増粘剤の溶解又は膨潤が促進される。こうした本実施形態によれば、上記(1)〜(5)欄で述べた効果と同様の効果が得られる。
【0068】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記実施形態の毛髪化粧料組成物は、毛髪脱色剤として構成されているが、その毛髪脱色剤は、毛髪脱染剤として用いることもできる。また、前記毛髪脱色剤は、常法に従って、上記主剤に酸化染料を含有させることで、酸化染毛剤に変更することができる。
【0069】
なお、酸化染料は、酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は、少なくとも染料中間体を含んでいる。
染料中間体の具体例は、例えば、フェニレンジアミン類(但し、メタフェニレンジアミンを除く。)、アミノフェノール類(但し、メタアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール及びパラメチルアミノフェノールを除く。)、トルイレンジアミン類(但し、トルエン−3,4−ジアミン及びトルエン−2,4−ジアミンを除く。)、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類(但し、2,6−ジアミノピリジンを除く。)、及びそれらの塩類を含む。塩類の具体例は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩を含む。使用される染料中間体は一種類のみであってもよいし、二種類以上の染料中間体を組み合わせて使用してもよい。
【0070】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する化合物であって、必要に応じて主剤に含有される。カプラーの具体例は、例えば、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩を含む。使用されるカプラーは一種類のみであってもよいし、二種類以上のカプラーを組み合わせて使用してもよい。
【0071】
毛髪脱色剤中における染料中間体の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。染料中間体の含有量が0.01質量%未満の場合、毛髪を十分に染色できないおそれがある。染料中間体の含有量が10質量%を超える場合には経済的ではない。
【0072】
主剤は、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されている酸化染料をさらに含有してもよいし、あるいは直接染料をさらに含有してもよい。
【0073】
このように毛髪脱染剤又は酸化染毛剤として構成した場合であっても、上記(1)〜(5)の各欄で述べた効果を得ることができる。
以下、特に断りのない限り、毛髪化粧料組成物は、酸化染毛剤及び毛髪脱色・脱染剤を含むことを意味する。
【0074】
・前記毛髪化粧料組成物は、主剤及び副剤から構成されているが、常法に従って、アルカリ剤を含有する第1剤、及び酸化剤を含有する第2剤から構成される毛髪化粧料組成物に変更してもよい。但し、第1剤が粉末状以外の剤型の場合には、それを主剤とせずに、別途主剤を備える毛髪化粧料組成物として構成する。粉末状以外の剤型の具体例は、例えば、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、及びクリーム状を含む。第1剤が粉末状以外の剤型の場合には、アルカリ剤として、例えばアンモニア、及びアルカノールアミンを用いることができる。なお、第2剤に含有される酸化剤としては、例えば過酸化水素水を用いることができる。
【0075】
・前記毛髪化粧料組成物は、主剤及び副剤から構成されているが、少なくとも一方の剤を、複数の剤に分割して構成するとともに、それら複数の剤を使用時に混合するように構成してもよい。
【0076】
・前記発泡の操作を次のように変更することができる。すなわち、毛髪化粧料組成物に振動を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作、又は毛髪化粧料組成物に回転を加えることで、毛髪化粧料組成物に空気を混入させる発泡操作に変更することもできる。つまり、毛髪化粧料組成物の振とうにより発泡させる発泡操作とは、毛髪化粧料組成物を振り混ぜる操作、毛髪化粧料組成物に振動を加える操作、及び毛髪化粧料組成物に回転を加える操作の少なくとも一種の操作により発泡させることを意味する。
【0077】
こうした発泡操作の種類に応じて、毛髪化粧料組成物を発泡させるための発泡用具を変更することもできる。例えば、主として振動を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば加振機、及び手動式泡立て器が好適である。また例えば、主として回転を加える発泡操作の場合、発泡用具としては、例えば撹拌棒、撹拌子、及び電動式泡立て器が好適である。こうした発泡操作は、毛髪化粧料組成物を例えば上端に開口を有する容器に投入して、その容器内で行われる。
【0078】
・前記実施形態のように閉塞可能容器を上下に振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよいし、例えば閉塞可能容器を把持して手首を捻るようにして閉塞可能容器を振る操作により、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜてもよい。
【0079】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてなり、使用時に泡状の剤型とされ、その泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物の使用方法であって、前記毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜる発泡操作を実施することで前記泡状の剤型とする毛髪化粧料組成物の使用方法。
【0080】
(ロ)前記発泡操作は、閉塞可能容器内で行われる毛髪化粧料組成物の使用方法。
【実施例】
【0081】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。以下の各表において、成分の含有量を示す数値の単位は、質量%である。
(実施例1〜5、比較例1〜3)
各例では、表1に示される各成分を混合することにより、主剤及び副剤からなる毛髪脱色剤を調製した。主剤の剤型は粉末状であり、副剤の剤型は液状である。なお、比較例5については、毛髪に適用される毛髪脱色剤のpHを調整するために、主剤及び副剤とは別に、pH調整剤を微量配合している。以下、カルボキシメチルセルロースナトリウムは粒子径が300μm以下のものを用いた。
【0082】
<評価>
次に、閉塞可能容器を用いて、各例の毛髪脱色剤の発泡操作を行った。閉塞可能容器の容量は770mLであり、高さは17cmであり、内径は7cm〜8cmである。その閉塞可能容器内に、主剤及び副剤の混合物として150gとなるように各剤を投入して、閉塞可能容器を上下に20回振った。こうした発泡操作を行うことで、泡状の剤型とした。
【0083】
各例の毛髪脱色剤について、パネラー20名がポリエチレン製の手袋を装着した手で採取した後に、毛髪に塗布する操作を行った。パネラー20名が、各例の毛髪脱色剤について、セルロース系増粘剤の効果を確認した。
【0084】
セルロース系増粘剤の効果(1)として、毛髪脱色剤を毛髪に塗布する際の粘性が良好か否かを判断した。また、セルロース系増粘剤の効果(2)として、毛髪脱色剤の発泡状態の維持効果が高いか否かを判断した。
【0085】
セルロース系増粘剤の効果(1)については、まず、泡状の剤型とした毛髪脱色剤を3分間放置した後、その毛髪脱色剤を手ですくい上げたとき、泡が垂れる程度を目視で確認した。その結果、垂れが全くないものを優れる(5点)、垂れが非常に少ないものを良好(4点)、垂れが少ないものを可(3点)、垂れがやや多いものをやや不良(2点)、及び、垂れが多いものを不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果の平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」とする判定基準によって、セルロース系増粘剤の効果(1)の評価を下した。
【0086】
セルロース系増粘剤の効果(2)については、泡状の剤型とした毛髪脱色剤を専門のパネラーが目視で経時変化を観察した。その結果、発泡操作直後から10分経過後において消泡(破泡)がほとんど確認されないものを「優れる:5」とし、同10分経過後において1割程度の消泡(破泡)が確認されるものを「良好:4」とし、同10分経過後において2割程度の消泡(破泡)が確認されるものを「可:3」とし、同10分経過後において3割程度の消泡(破泡)が確認されるものを「やや不良:2」とし、同10分経過後において4割程度の消泡(破泡)が確認されるものを「不良:1」とする判定基準によって、セルロース系増粘剤の効果(2)の評価を下した。
【0087】
また、各例の主剤及び副剤について、パネラー20名が手に付着させたときに感じる刺激に基づいて、皮膚に対する刺激の抑制効果が高いか否かを判断した。
パネラー20人中「高い」と答えた人が17人以上であった場合には“5”、パネラー20人中「高い」と答えた人が13〜16人の場合には“4”、パネラー20人中「高い」と答えた人が9〜12人の場合には“3”、パネラー20人中「高い」と答えた人が5〜8人の場合には“2”、パネラー20人中「高い」と答えた人が2〜4人の場合には“1”、パネラー20人中「高い」と答えた人が0〜1人の場合には“0”と評価を下した。
【0088】
これらの評価の結果を表1の“セルロース系増粘剤の効果(1)”欄、“セルロース系増粘剤の効果(2)”欄、及び“皮膚に対する刺激の抑制効果”欄に示す。
【0089】
【表1】

表1に示されるように、各実施例では、セルロース系増粘剤の効果(1)、(2)及び皮膚に対する刺激の抑制効果のいずれについても評価“3”以上の結果が得られた。
【0090】
比較例1では、低級アルコールが含有されていない。比較例2及び3では、副剤のpHが上述した範囲から外れている。こうした比較例1〜3では、セルロース系増粘剤の効果(1)及び(2)の少なくとも一方について評価“2”以下の結果となっている。
【0091】
(実施例6)
実施例6においては、表2に示される配合に変更した以外は、上記実施例1と同様に酸化染毛剤を調製した。実施例6は、主剤としての第1剤、及び副剤としての第2剤からなる酸化染毛剤である。第1剤は、アルカリ剤を含有する固体状の剤である。第2剤は、酸化剤を含有する液状の剤である。実施例6について、上記<評価>欄に記載した評価を行った。それら評価結果を表1と同様に表2の各欄に示している。
【0092】
【表2】

(実施例7〜11)
実施例7〜11においては、副剤のみを表3に示されるように変更した以外は、実施例1と同様に毛髪脱色剤を調製した。具体的には、各実施例では、低級アルコールの含有量を変更することで、低級アルコールに対するセルロース系増粘剤の質量比を変更している。なお、表3は、主剤の組成を省略している。各実施例について、上記<評価>欄に記載した評価を行った。それら評価結果を表1と同様に表3の各欄に示している。
【0093】
【表3】

(実施例12〜15)
実施例12〜15においては、表4に示されるように変更した以外は、実施例1と同様に毛髪脱色剤を調製した。具体的には、実施例12に対して実施例13〜15では、セルロース系増粘剤の種類、又は低級アルコールの種類を変更している。なお、ヒドロキシエチルセルロースは粒子径が300μm以下のものを用いた。各実施例について、上記<評価>欄に記載した評価を行った。それら評価結果を表1と同様に表4の各欄に示している。
【0094】
【表4】

【符号の説明】
【0095】
10…毛髪脱色剤、11…主剤の包装体、12…副剤の包装体、13…発泡前の毛髪脱色剤、14…発泡後の毛髪脱色剤、20…閉塞可能容器、21…容器本体、22…蓋体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、
セルロース系増粘剤を粉末の形態で含有する主剤と、水及び低級アルコールを含有するとともに前記主剤と使用時に混合される副剤と、を備え、前記副剤のpHは5〜8であることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
酸化染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成され、振とうにより発泡させることによって泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物であって、
セルロース系増粘剤を粉末の形態で含有する主剤と、低級アルコールを含有するとともに前記主剤と使用時に混合される副剤と、を備え、
前記主剤は、pHが5〜8の水系分散媒に混合された後に前記副剤と混合されることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記毛髪化粧料組成物中における前記低級アルコールの含有量が0.1〜10.0質量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
前記低級アルコールに対する前記セルロース系増粘剤の質量比が0.2〜25の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−31112(P2012−31112A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172986(P2010−172986)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】